チャンギ

チャンギ
チャンギ
各種かくしゅ表記ひょうき
ハングル：	장기
漢字かんじ：	將棋しょうぎ
発音はつおん：	[t͡ɕɐːŋgi]

チャンギ（장기、將棋しょうぎ）は、朝鮮半島ちょうせんはんとうの将棋しょうぎ類るいであり、2人ふたりで行おこなうボードゲーム（盤上ばんじょう遊戯ゆうぎ）の一種いっしゅである。朝鮮ちょうせん将棋しょうぎ（ちょうせんしょうぎ）・韓国かんこく将棋しょうぎとも言いう。中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく吉林きつりん省しょうでは非ひ物質ぶっしつ文化ぶんか遺産いさんに指定していされている。他たの将棋しょうぎ類るいと同様どうよう、紀元前きげんぜんの古代こだいインドで考案こうあんされたチャトランガが起源きげんであるとも言いわれており、シャンチーによく似にているが、成なりによる駒こまの昇格しょうかくがない、パスが出来できるなどの特徴とくちょうを持もつ。

歴史れきし

漢かん四よん郡ぐん時代じだいに数すう多おおくの漢かん族ぞくが朝鮮半島ちょうせんはんとうに移住いじゅうしてきて、楚すわえ漢かん戦争せんそうを題材だいざいに取とった将棋しょうぎを広ひろめたという説せつが広ひろまっている。朝鮮ちょうせん民族みんぞくがこれを自分じぶん達たちに合あった将棋しょうぎに改良かいりょうして、現在げんざいのチャンギに発展はってんさせたという。

一方いっぽう、チャンギが北きた夫おっと余あまりより前まえに朝鮮半島ちょうせんはんとうで作つくられており、新しん羅らと唐とうの連合れんごう軍ぐんによって高句麗こうくりが滅亡めつぼうした後のち、中国ちゅうごくに伝つたわったと主張しゅちょうするものもあるが、定説ていせつとは認みとめられていない。

また、紀元前きげんぜん2世紀せいき頃ころ、インドからはじめ、東洋とうように伝播でんぱされ、チャンギになって西洋せいように伝播でんぱされ、チェスになったという説せつもある。中国ちゅうごくの南朝なんちょう宋そうの時代じだいに高句麗こうくりに伝つたわった後のち、変化へんかしていき現在げんざいの形かたちに至いたったという説せつもある。

しかし、チャンギの祖先そせんであるインドのチャトランガが発生はっせいしたとされるのが6世紀せいきであり、中国ちゅうごくに伝来でんらいした時期じきを8世紀せいき頃ころとするのが定説ていせつであるため、将棋しょうぎの朝鮮半島ちょうせんはんとう伝来でんらいを漢かん四よん郡ぐん頃ころとする主張しゅちょうは納得なっとくし難がたい。

文献ぶんけん記録きろく

金富かなとみ軾による『三さん国史こくし記き』（1145年ねん完成かんせい）に最初さいしょにチャンギに関かんする記載きさいが現あらわれる。『三さん国史こくし記き』によれば、百済くだらの蓋ぶた鹵王と僧そうの道みち琳が囲碁いごを打うったことが書かかれている中なかで、蓋ぶた鹵王が「博奕ばくえき」、すなわち囲碁いごと将棋しょうぎを楽たのしんだという言葉ことばが出でてくる。しかし、この「博奕ばくえき」は、今日きょうの将棋しょうぎを言いうのではなく、単たんに様々さまざまなボードゲームを指さす用語ようごである可能かのう性せいが高たかい。

また徐じょ居きょ正ただしによる『筆ふで苑えん雑記ざっき』には、朝鮮ちょうせん王おう世よ宗むねの重臣じゅうしん金石かねいし亭ちんと金きむ禮あや蒙こうむが象ぞう戯おどけ対局たいきょくをしたと記載きさいされている。『世よ祖そ実録じつろく』にもまた、象ぞう戯おどけという名称めいしょうで、将棋しょうぎにまつわる話はなしが紹介しょうかいされる。中ちゅう宗むね王おうの時代じだいの文ぶん臣しん沈守慶けいによる『遣や閑雑録ろく』に初はじめて「將棋しょうぎ」という言葉ことばが出でてくる。

將棋しょうぎ用よう車しゃ包つつみ馬ば象ぞう士卒しそつ。以木磨すり造づくり。而刻字こくじ塡彩。... 皆みな是ぜ消けし日び之の戲おどけ也。

この他ほかにも宣せん祖そ王おうの時代じだいの張ちょう維による『谿谷けいこく集しゅう』第だい3巻かん雑ざつ著ちょ76数すう「象ぞう戱志」では、将棋しょうぎの定義ていぎと将棋しょうぎ盤ばんの路みち、駒こまの役割やくわり、駒こまの場所ばしょ、駒こまの動うごき、勝敗しょうはいと理論りろんについて詳述しょうじゅつされている。

記録きろくに残のこっているチャンギの名手めいしゅとしては、『識小録ろく』に伝つたわる金剛山こんごうざん白田しろた庵あんの智さとし巖いわお大師だいしや、『於于野の譚たん』に紹介しょうかいされた西川にしかわ令れいが特とくに有名ゆうめいである。

ルール

路上ろじょうでチャンギを楽たのしむ人ひとびと（2006年ねん）

基本きほんルール

• 縦たて9本ほん、横よこ10本ほんの線せんの引ひかれた専用せんようの盤ばんを用もちいる。駒こまはマスの中なかではなく、囲碁いごのように線せんの交点こうてんに置おかれる。
• 競技きょうぎ者しゃ双方そうほうが交互こうごに、盤上ばんじょうにある自分じぶんの駒こまを1回かいずつ動うごかす。
• 駒こまは双方そうほうが7種しゅ16枚まい持もち、それぞれ動うごきが決きまっている。なお同おなじ機能きのうの駒こまでも先手せんてと後手ごてで名前なまえが異ことなるものがある。
• 自分じぶんの駒こまを動うごかすとき、動うごく先さきに相手あいての駒こまがあるとき、その駒こまを取とることが出来できる。取とられた駒こまは盤面ばんめんから除去じょきょする。（将棋しょうぎと異ことなり、取とった駒こまは再さい利用りよう出来できない）
• 相手あいての漢かんまたは楚すわえを詰つめることで勝かちになる。
• 1手てで相手あいての王おう（漢かん・楚すわえ）が取とれるようになれば（王手おうて）、必かならずチャングン（장군、將軍しょうぐん）またはチャン（장、將しょう）と言いってこの事ことを相手あいてに告知こくちする。相手あいては、これを解消かいしょうしながらモングン（멍군）またはをモン（멍）と言いう。
• 駒こまを動うごかさずに手て番ばんをパスすることも出来できる。双方そうほう続つづけてパスをした時ときは引ひき分わけとなる。パスが可能かのうなためステイルメイトは起おこらない。自分じぶんの王おう（漢かん・楚すわえ）を裏返うらがえすことでパスの意思いしを表ひょうする。
• 漢かんと楚すわえが同おなじ縦たて線せん上じょうに並ならび、間あいだに駒こまがない状態じょうたいにする手てのことをピッチャングン［普段ふだんはピッチャン（빅장）という］と言いい、相手あいてがこれを解消かいしょうしなければ引ひき分わけとなる。
• 同どう一いち局面きょくめんが3回かい現あらわれると千日手せんにちてとなり、どんな場合ばあいも引ひき分わけとなる。
• 駒こまの消耗しょうもうによって双方そうほうが相手あいてを詰つめられなくなった場合ばあいは引ひき分わけとなる。

駒こま

上下じょうげが平たいらな正せい八はち角形かくがたに切きった木片もくへんの、片面かためんに文字もじを書かいたものを用もちいる。先手せんてと後手ごての駒こまは文字もじの色いろで区別くべつし、先手せんての駒こまは緑みどり（または青あお）の草書そうしょ、後手ごては赤あかの楷書かいしょ文字もじで書かかれている（一般いっぱん的てきな朝鮮ちょうせん語ごの表記ひょうきがハングル専用せんようとなった現在げんざいでも、チャンギの駒こまの文字もじは基本きほん的てきには漢字かんじだが、ハングルで書かかれたチャンギの駒こまもある）。漢かん・楚すわえが最もっとも大おおきく、士し・兵へい・卒そつが最もっとも小ちいさい。他たはその中間ちゅうかんの大おおきさになっている。北朝鮮きたちょうせんでは「漢かん・楚すわえ」（한／han・초／cho）でなく、陣営じんえいを区別くべつせず「将はたまたは將はた」（장／chang）。

初期しょき配置はいち図ず

これは初期しょき配置はいちの一いち例れいである。象ぞうと馬うまの配置はいちは入いれ替かえることができ、ゲーム開始かいし時じに決きめられる。先さきに後手ごてが配置はいちを決きめ、それを受うけて先手せんてが配置はいちを決きめる。片側かたがわに象ぞう2枚まい、馬うま2枚まいにはできない。したがって、初期しょき配置はいちはプレイヤー毎ごとに4通とおりあり、左ひだりから象ぞう馬ば象ぞう馬ばと並ならぶ形かたちを左ひだり象ぞう（왼상）配置はいち、馬うま象ぞう馬ば象ぞうと並ならぶ形かたちを右みぎ象ぞう（오른상）配置はいち、馬うま象ぞう象ぞう馬ばを内うち象ぞう（안상）配置はいち、象ぞう馬ば馬ば象ぞうを外そと象ぞう（바깥상）配置はいちという。上うえの図ずは先手せんてが外そと象ぞう配置はいち、後手ごてが内うち象ぞう配置はいちの場合ばあいである。

左ひだり象ぞう配置はいち		右みぎ象ぞう配置はいち
内うち象ぞう配置はいち		外そと象ぞう配置はいち

なお、北朝鮮きたちょうせんではこれに加くわえて車くるまの配置はいちも入いれ替かえて「象ぞう馬車ばしゃ-車馬しゃば象ぞう」のようにすることもでき、これを機動きどう車しゃ（기동차）といい、機動きどう車しゃも含ふくめて5通とおりとなる。

シャンチーと違ちがい河かわはない。斜ななめ線せんの入はいっている九きゅう路ろを宮みや（궁、クン）といい、楚すわえ、漢かん、士しは宮みやから出でられない。

楚すわえ・漢かん

先手せんてが楚すわえ（초、チョ）、後手ごてが漢かん（한、ハン）。または、陣営じんえいを区別くべつせず將はた（장、チャン）、王おう（왕、ワン）、宮みや（궁、クン）とも呼よぶ。
宮みやの中なかを線せんに沿そって一路いちろ進すすめる。ただし宮みやから出でることはできない。詰つめられると負まけである。

士し

先手せんて、後手ごてともに士し（사、サ）。楚すわえ・漢かんと同おなじ動うごきを持もつ。士しも宮みやから出でることは出来できない。そのため完全かんぜんに守まもり専せん門もんの駒こまである。

馬うま

先手せんて、後手ごてともに馬うま（마、マ）。八方はっぽう桂かつらやナイトと同おなじ動うごきだが、駒こまを飛とび越こえることはできない。すなわち図ずの赤色あかいろの○の位置いちに他たの駒こまがあれば、その方向ほうこう（その先さきの青色あおいろの○）には進すすめない。このように、駒こまの移動いどうを妨さまたげる図ずの赤色あかいろの○の位置いちの駒こまをミョク（멱）と言いう。シャンチーの馬うまと同おなじ動うごき。

象ぞう

先手せんて、後手ごてともに象ぞう（상、サン）。縦横じゅうおうに一路いちろ進すすんでから斜ななめに二に路ろ進すすむ動うごきをする。駒こまを飛とび越こえることはできない。すなわち図ずの赤色あかいろの○の位置いちに他たの駒こまがあれば、その方向ほうこう（その先さきの青色あおいろの○）には進すすめない。

車くるま

先手せんて、後手ごてともに車くるま（차、チャ）。縦横じゅうおうに何なに路ろでも進すすめる。また宮みやの中なかでは線せんに沿そって斜ななめに進すすむことも出来できる。

包つつみ

先手せんて、後手ごてともに包つつみ（포、ポ）。縦横じゅうおうに何なに路ろでも進すすめ、宮みやの中なかでは線せんに沿そって斜ななめに進すすむことも出来できるが、動うごかす時ときは必かならず他たの駒こまを1つ飛とび越こえなければならない（シャンチーの包つつみと違ちがい、駒こまを取とる時とき以外いがいでも飛とび越こえる必要ひつようがある）。相手あいての駒こまも飛とび越こえられるが、包つつみは包つつみを飛とび越こせず、包つつみを包つつみで取とることも出来できない。

卒そつ・兵へい

先手せんてが卒そつ（졸、チョル）、後手ごてが兵へい（병、ピョン）。陣営じんえいを区別くべつせずには卒そつ（졸、チョル）と呼よぶ。前まえと横よこに一路いちろだけ進すすめる。また宮みやの中なかでは線せんに沿そって斜ななめ前まえに一路いちろ進すすむこともできる。

座標ざひょう表記ひょうき法ほう

チャンギの座標ざひょう

かつて座標ざひょうの表記ひょうきには横線おうせんを漢かん数字すうじ（一いち、二に、……九きゅう、十じゅう）で、縦たて線せんをアラビア数字すうじで表記ひょうきしていた。しかしこのような方式ほうしきの座標ざひょう表記ひょうきは使つかうのに非常ひじょうに不便ふべんなため、改訂かいていされた。

現在げんざいの大韓たいかんチャンギ協会きょうかいの改訂かいてい（第だい3次じ）版ばんで使つかわれているチャンギの座標ざひょう表記ひょうき法ほうは、すべてをアラビア数字すうじで表記ひょうきする。横線おうせんは上うえから下したへ1……9、0で表あらわされ、縦たて線せんは左ひだりから右みぎへ1……9で表あらわされる。

横線おうせんと縦たて線せんの交点こうてんは、横線おうせんを先さきに、縦たて線せんを後のちに読よむ。たとえば楚すわえと漢かんの宮みやが最初さいしょに置おかれる座標ざひょう位置いちはそれぞれ95と25である。

棋譜きふを作成さくせいするときは、駒こまが動うごく前まえの座標ざひょう、駒こまの名前なまえ、動うごいた後のちの座標ざひょうを順じゅんに記しるす。たとえば、03にある馬うまが84に動うごくときには、「03 馬うま 84」と表記ひょうきする。

対局たいきょく方式ほうしき

大おおきく勝負しょうぶ制せいと点数てんすう制せいがある。

勝負しょうぶ制せい

残のこり駒こまが少すくなくなり、お互たがいに相手あいての将しょうを詰つますことができないと合意ごういした場合ばあい、連続れんぞくパス、ピッチャングンの成立せいりつ、千日手せんにちての成立せいりつで引分ひきわけとなる。大会たいかいの場合ばあい、引分ひきわけはなく点数てんすう制せいによる判定はんていへ移うつる。

点数てんすう制せい

勝かち負まけをつける必要ひつようがあるトーナメントなどの公式こうしき対局たいきょくでは、チャンギ協会きょうかいで定さだめられた点数てんすう制せい方式ほうしきを使用しようしている。総そう対局たいきょく時間じかんが終了しゅうりょうしたときに勝負しょうぶがつかなかった場合ばあい、それぞれ漢かん・楚すわえを除のぞく残のこりの棋物（駒こま）の合算がっさん点数てんすうを計算けいさんして点数てんすうが多おおい対局たいきょく者しゃを勝利しょうりとする。各かく駒こまの点数てんすうは以下いかの通とおりである。

駒こま							後手ごて
点数てんすう	13	7	5	3	3	2	後手ごて1.5点てん

後手ごての場合ばあい1.5点てんが加算かさんされるので、初期しょき点数てんすうの合計ごうけいは73.5点てん、先手せんては72点てんになる。

点数てんすう制せい方式ほうしきでは、駒こまを1個いっこでも片方かたがたが取とった場合ばあい、対局たいきょく序盤じょばんからピッチャングンを狙ねらうことがある。ピッチャングンが成立せいりつすると、すぐに駒こまの点数てんすう勝負しょうぶとなる。

千日手せんにちてはそれぞれの残のこり駒こま点数てんすうが、どちらも30点てん未満みまんの場合ばあいのみ指さすことが可能かのうであり、その場合ばあい点数てんすうによる判定はんていへ移うつる。

互たがいに小しょう三さん能のう（ソサムヌン）など相手あいてを詰つますことができないまで駒こまが減へったり、総そう対局たいきょく時間じかんが終了しゅうりょうした場合ばあいでも、残のこりの駒こまの合計ごうけい点数てんすうで勝敗しょうはいを決きめる。

布陣ふじんの種類しゅるい

布陣ふじんを分わける法ほうは大おおきく2つで、2分ふん法ほうと5分ふん法ほうがある。しかし、この2つの方法ほうほうでは、天宮あまみや布陣ふじんのような特殊とくしゅな布陣ふじんをすべて説明せつめいすることはできないという限界げんかいがある。

2分ふん法ほう

2分ふん法ほうは、宮城みやぎの面めん（宮城みやぎ中央ちゅうおうの真上まうえの位置いち）にどの駒こまが配置はいちするかによって、2つの形態けいたいを区別くべつされる。

面めん象ぞう布陣ふじん

面めんに象ぞうを配置はいちする。

面めん包つつみ布陣ふじん

面めんに包つつみを配置はいちする。鴛鴦えんおう馬ば（ウォンナンマ、원앙마）、キ馬ば（キマ、귀마）、両りょうキ馬ば（ヤンギマ、양귀마）、両りょうキ象ぞう（ヤンギサン、양귀상）の4種類しゅるいがある。「キ」は朝鮮ちょうせん語ごで耳みみの意いで角立かどだったもののふち、この場合ばあいは宮みやの右上みぎうえと左上ひだりうえを指さす。

5分ふん法ほう

5分ふん法ほうは、李り正ただし碩せきや林はやし済わたる民みんをはじめとするチャンギ棋士きしを中心ちゅうしんに研究けんきゅうされて確立かくりつされた5つの布陣ふじんである。この布陣ふじんは、様々さまざまな書籍しょせきや口伝くでんを介かいして、1950年代ねんだい後半こうはんに初はじめて確立かくりつされた。

キ馬ば	鴛鴦えんおう馬ば	両りょうキ馬ば
最初さいしょは左ひだり象ぞうや右みぎ象ぞうで始はじめる。宮みやの片側かたがわの角かくに馬うまを配置はいちする。	内うち象ぞうで始はじめる。馬うまと象ぞう同士どうしが連携れんけいして守まもっている様子ようすをオシドリ（鴛鴦えんおう）に例たとえている。	外そと象ぞうで始はじめる。馬うま2つを宮みやの両側りょうがわの角かくに配置はいちする。この場合ばあい、兵へいが相手あいての包つつみに狙ねらわれる可能かのう性せいが高たかく、比較的ひかくてき危険きけんである。

面めん象ぞう	両りょうキ象ぞう
左ひだり象ぞう、右みぎ象ぞう、また時折ときおりは外そと象ぞうで始はじめる。宮城みやぎの面めん（中央ちゅうおうの真上まうえ）に包つつみの代かわりに象ぞうを配置はいちする。	内うち象ぞうで始はじめる。両方りょうほうの士しを上あげ、ミョク（馬うまや象ぞうなどの利きき筋すじで、経路けいろの途中とちゅうの位置いちのこと）を解消かいしょうした後のち、宮城みやぎの両りょう耳みみ（角かく）に両方りょうほうの象ぞうを配置はいちする。

シャンチーとの相違そうい点てん

• 駒こまの名称めいしょうが異ことなるものがある。
• 河かわが無ない。
• 駒こまの形状けいじょうは八はち角形かくがた。（シャンチーでは円形えんけい。）
• 駒こまの大おおきさには3種類しゅるいある。（シャンチーではすべて同おなじ大おおきさ。）
• ゲーム開始かいし前まえに象ぞうと馬うまの配置はいちを入いれ替かえることが出来できる。北朝鮮きたちょうせんのルールでは象ぞう、馬うま、車くるまの配置はいちを入いれ替かえることも出来できる。
• 漢かん・楚すわえの初期しょき配置はいちが2段だん目め。（シャンチーの帥そち・将しょうは1段だん目め。）
• 漢かん・楚すわえは線せんに沿そって斜ななめ方向ほうこうにも進すすめる。（シャンチーの帥そち・将しょうは前後ぜんご左右さゆうのみ。）
• 漢かん・楚すわえが同おなじ縦たて線せん上じょうに並ならび、間あいだに駒こまがない状態じょうたいにすることができる（ピッチャングン、相手あいてがこれを解消かいしょうしなければ引ひき分わけ）。（シャンチーの帥そち・将しょうではこの状態じょうたいにすることができない（王おう不ふ見み王おう）。）
• 士しは前後ぜんご左右さゆうにも進すすめる。（シャンチーの士し・仕つかまつは線せんに沿そった斜ななめ方向ほうこうのみ。）
• 象ぞうの動うごきが違ちがう。（シャンチーの象ぞうは斜ななめ方向ほうこうに二に歩ほ進すすめる。ただし、駒こまを飛とび越こえられない性質せいしつは共通きょうつう。）
• 兵へい・卒そつは最初さいしょから横よこにも動うごける。（シャンチーでは河かわを越こえてから。）い換いかえれば、兵へい・卒そつの昇格しょうかく（成なり）はない。
• 包つつみを動うごかすときは必かならず他たの駒こまを1枚まい飛とび越こえなければならない。（シャンチーでは駒こまを取とるときのみ。）
• 包つつみは包つつみを飛とび越こえることはできない。（敵てき、味方みかた問とわず。）
• 包つつみを包つつみで取とることはできない。
• 初手しょてで包つつみを動うごかすことはできない。（もともと、初期しょき配置はいちと上述じょうじゅつの包つつみの動うごきの関係かんけいでできないようになっている。）
• 宮みやの中なかでは兵へい・卒そつ、車くるま、包つつみは斜ななめ方向ほうこうにも動うごける。
• 駒こまを動うごかさずに手て番ばんを相手あいてに渡わたすことが出来できる。よって、ステイルメイトは起おこらない。
• いかなる形かたちの千日手せんにちても引ひき分わけとなり、連続れんぞく王手おうて等とうの禁きんじ手しゅはない。（シャンチーでは連続れんぞく王手おうて等とうの禁きんじ手しゅがある。）

競技きょうぎ人口じんこう

競技きょうぎ人口じんこうは推定すいてい700万まん人にんで将棋しょうぎ類るい（チャトランガ系けいの盤上ばんじょう競技きょうぎ）ではチェス、シャンチー（中国ちゅうごく）、将棋しょうぎ（日本にっぽん）に次つぐ世界せかい第だい4位いといわれている。

韓国かんこくではプロ棋士きしの法人ほうじんとして大韓たいかんチャンギ協会きょうかい（1999年ねん設立せつりつ）と大韓たいかんチャンギ連盟れんめい（2017年ねん設立せつりつ）が段位だんい（初段しょだん～九きゅう段だん）を認定にんていしている。

国際こくさい大会たいかいでは、大韓たいかんチャンギ協会きょうかいが安やす重根しこね義士ぎし義挙ぎきょ100周年しゅうねんを記念きねんして2009年ねん10月がつに中国ちゅうごくハルビン市しで第だい一いち回かい世界せかい人じんチャンギ大会たいかい（中国ちゅうごく名めい：朝鮮ちょうせん族ぞく伝統でんとう象棋しょうぎ国際こくさい大だい賽さい）を開催かいさいし、2016年ねんにも第だい2回かい世界せかい人じんチャンギ大会たいかいを中国ちゅうごく撫なで順じゅん市しで開催かいさいしている。

韓国かんこく将棋しょうぎ協会きょうかい東京とうきょう支部しぶ新しんローカルルール

兵へい・卒そつが敵陣てきじんの一番いちばん奥おくまで前進ぜんしんしたと同時どうじに、自分じぶんのそれまでに死しんだ駒こま（「士し」以外いがい）のどれかと入いれ換かえることができる。これは将棋しょうぎの「成なり」、チェスの「プロモーション」に似にたルールである。

チャンギに由来ゆらいする慣用かんよう句く

朝鮮ちょうせん語ごの慣用かんよう句く「차포를 떼다」は、直訳ちょくやくすると「車くるまと包つつみを取とり除のぞく」となり、車くるまと包つつみはチャンギにおいて重要じゅうような駒こまなので、日本語にほんごの「飛車ひしゃ角かく落おち」に近ちかい、スポーツなどで主力しゅりょくとなる者ものを欠かいている様子ようすを表あらわす意味いみとなる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 岡野おかの伸しん『朝鮮ちょうせん将棋しょうぎ・韓国かんこく将棋しょうぎチャンギ情報じょうほう集しゅう 1』プリンプリント、名古屋なごや、2002年ねん4月がつ、95頁ぺーじ。 

関連かんれん項目こうもく

• 廣こう象ぞう戯おどけ (朝鮮ちょうせん) - 18世紀せいきに考案こうあんされたチャンギの拡張かくちょう版ばん
• 変則へんそくチャンギ
• 棋士きし (チャンギ)
• シャンチー
• 将棋しょうぎ
• チェス
• チャトランガ
• 楚すわえ漢かん戦争せんそう

外部がいぶリンク

• 大韓たいかんチャンギ協会きょうかい 東京とうきょう支部しぶのページ