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『ネメアのライオンと闘 たたか うヘラクレス 』(ネメアのライオンとたたかうヘラクレス、西 にし : Hércules lucha con el león de Nemea 、英 えい : Hercules Fighting the Nemean Lion )は、スペイン のバロック 絵画 かいが の巨匠 きょしょう フランシスコ・デ・スルバラン が1634年 ねん にキャンバス 上 うえ に油彩 ゆさい で制作 せいさく した絵画 かいが である。作品 さくひん はマドリード のプラド美術館 びじゅつかん に所蔵 しょぞう されている[ 1] [ 2] 。ブエン・レティーロ宮殿 きゅうでん (英語 えいご 版 ばん ) の「諸 しょ 王国 おうこく の間 あいだ (英語 えいご 版 ばん ) 」のために画家 がか が描 えが いたギリシア神話 しんわ の「ヘラクレス の12の功業 こうぎょう 」を表 あらわ す10点 てん からなる連作 れんさく のうちの1点 てん である[ 3] 。スルバランの画業 がぎょう においてこれら神話 しんわ 画 が 連作 れんさく は、同 おな じく「諸 しょ 王国 おうこく の間 あいだ 」のために描 えが かれた歴史 れきし 画 が 『カディスの防衛 ぼうえい 』 (プラド美術館 びじゅつかん ) とともに例外 れいがい 的 てき であり[ 4] 、貴重 きちょう な作例 さくれい である[ 5] 。また、スルバランの神話 しんわ 画 が 連作 れんさく は、おそらくスペイン絵画 かいが 黄金 おうごん 時代 じだい の最 もっと も重要 じゅうよう な男性 だんせい 裸体 らたい 連作 れんさく である[ 4] 。
ギリシア神話 しんわ の英雄 えいゆう ヘラクレスは並外 なみはず れた怪力 かいりき を誇 ほこ った半 はん 神 かみ 半 はん 人 にん で、数々 かずかず の難行 なんぎょう を果 は たした後 のち 、死 し によってオリュンポス山 さん に迎 むか え入 い れられる。ルネサンス 期 き になるとヘラクレスは、「剛力 ごうりき 」や「猛々 たけだけ しさ」の象徴 しょうちょう として描 えが かれるようになった[ 2] 。もとよりヘラクレスはスペイン王家 おうけ の神話 しんわ 的 てき な創始 そうし 者 しゃ と考 かんが えられており、本 ほん 作 さく を委嘱 いしょく したフェリペ4世 せい (スペイン王 おう ) の曽 そ 祖父 そふ カール5世 せい もハプスブルク家 か の力 ちから の象徴 しょうちょう として用 もち いた。とりわけ、プロテスタント やヨーロッパ諸国 しょこく との争 あらそ いの渦中 かちゅう にあった17世紀 せいき には、獣 しし や怪物 かいぶつ を打 う ち倒 たお すヘラクレスの姿 すがた が戦争 せんそう におけるスペイン王国 おうこく の勝利 しょうり のイメージと重 かさ ねられた。神話 しんわ の英雄 えいゆう は、悪 あく に打 う ち勝 か つ君主 くんしゅ の力 ちから と美徳 びとく の象徴 しょうちょう と見 み なされたのである[ 5] 。
ヘラクレスはヘラ の怒 いか りを買 か い、発狂 はっきょう させられてしまう。そして自分 じぶん の子 こ を敵 てき と思 おも い、1人 ひとり 残 のこ らず殺 ころ してしまうが、正気 しょうき に返 かえ った後 のち 、自身 じしん が犯 おか した罪 つみ に愕然 がくぜん とし、どうすれば罪 つみ を償 つぐな えるかアポローン の神託 しんたく に尋 たず ねた。すると「ティリュンス 王 おう エウリュステウス の臣下 しんか となり、王 おう の命 めい じる10の難行 なんぎょう をやり遂 と げよ」と命 めい じられた[ 2] [ 5] 。こうして、ヘラクレスの功業 こうぎょう が開始 かいし される。その最初 さいしょ の功業 こうぎょう が本 ほん 作 さく に描 えが かれている「ネメアのライオン 退治 たいじ 」であった。このライオンはどんな刃物 はもの で切 き りつけても、決 けっ して傷 きず を負 お わない肉体 にくたい を持 も っていた。そこで、ヘラクレスは入 い り口 くち が2つある洞窟 どうくつ にライオンを追 お い込 こ む。そして、一方 いっぽう の入 い り口 くち を完全 かんぜん にふさぎ、もう一方 いっぽう の入 い り口 くち からライオンがいる洞窟 どうくつ に入 はい った。ヘラクレスは素手 すで での格闘 かくとう の末 すえ にライオンを倒 たお し、ライオン自身 じしん の爪 つめ でその皮 かわ を剥 は ぎとる。これ以降 いこう 、ヘラクレスはこのライオンの皮 かわ を身 み に纏 まと い、その頭 あたま を兜 かぶと として被 こうむ るようになった[ 1] [ 2] 。
画面 がめん のヘラクレスとライオンの身体 しんたい からなるピラミッド 型 かた 構図 こうず において、ライオンの頭部 とうぶ はその頂点 ちょうてん をなしている[ 1] 。ヘラクレスに首 くび を絞 し められているライオンの顔 かお は苦痛 くつう にあえいでいる。目 め は焦点 しょうてん が合 あ っておらず、口 くち は半開 はんびら きである。場面 ばめん の劇的 げきてき 性格 せいかく はヘラクレスの肉体 にくたい を露 あら わにする夕日 ゆうひ によって強調 きょうちょう されている。ヘラクレスは鍛 きた え抜 ぬ かれた逞 たくま しい肉体 にくたい を持 も った裸体 らたい で表 あらわ されているが、その身体 しんたい は男性 だんせい 美 び の最 さい たるものとされ、古代 こだい ギリシア彫刻 ちょうこく にもよく表現 ひょうげん された[ 2] 。そうしたヘラクレスを際 さい 立 たた させる光 ひかり の使用 しよう は、「ヘラクレスの功業 こうぎょう 」の連作 れんさく すべてで鑑賞 かんしょう 者 しゃ の注意 ちゅうい を彼 かれ に向 む けるためにも繰 く り返 かえ されている。連作 れんさく の他 ほか の作品 さくひん 同様 どうよう 、ヘラクレスはハプスブルク家 か とスペイン王位 おうい の継承 けいしょう 者 しゃ としてのフェリペ4世 せい と同一 どういつ 視 し された[ 1] 。
なお、スペインの美術 びじゅつ 批評 ひひょう 家 か のソリア (Soria) は、ヘラクレスの位置 いち を根拠 こんきょ にして、この作品 さくひん をフランス・フロリス の作品 さくひん にもとづいてコルネリス・コルト が制作 せいさく した木版 もくはん 画 が [ 6] と比較 ひかく することを提唱 ていしょう している。岩場 いわば としての情景 じょうけい 設定 せってい は、バルテル・べーハム (英語 えいご 版 ばん ) の木版 もくはん 画 が 『ケンタウロスとの闘 たたか い (Fighting versus Centaur)』(1542年 ねん ) に従 したが っている。
宗教 しゅうきょう 画 が 単身 たんしん 聖人 せいじん 画 が 神話 しんわ 画 が ・歴史 れきし 画 が 静物 せいぶつ 画 が