ビッグドッグ

2体たいのビッグドッグ

ビッグドッグ（英えい: BigDog）とは、2005年ねんにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのボストン・ダイナミクス社しゃとジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ、ハーバード大学だいがくが開発かいはつした四足しそく歩行ほこうロボットである。

概要がいよう

ビッグドッグは起伏きふくの多おおい地形ちけいで歩兵ほへいに随伴ずいはん出来できる輸送ゆそう用ようロボットとして用もちいる為ため、米べい国防こくぼう高等こうとう研究けんきゅう計画けいかく局きょくによる資金しきん提供ていきょうで開発かいはつされた。

歩行ほこうの様子ようすは幾いくつかの動画どうが共有きょうゆうサイトに掲載けいさいされている。まるで向むかい合あった二人ふたりの人間にんげんが足踏あしぶみしているかの様ような、機械きかいとは思おもえぬ動うごきが特徴とくちょう。荒あらい砂利じゃり道どう、雪上せつじょう、砂浜すなはま、及および海うみの浅瀬あさせなどでも問題もんだい無なく歩行ほこう出来できる。また、歩幅ほはばが非常ひじょうに小ちいさくはなるが、急きゅうな勾配こうばいも登のぼる事ことが出来できる。2008年ねん3月18日にちには新あたらしい動画どうががリリースされ、横よこから胴体どうたい部分ぶぶんを蹴けられても倒たおれる事こと無なく即座そくざに姿勢しせいを復元ふくげん出来でき、氷上ひかみで足あしを滑すべらせても素早すばやく体制たいせいを立たて直なおす事ことで転倒てんとうにはいたらないという姿勢しせい制御せいぎょ技術ぎじゅつの高たかさを見みる事ことが出来できる。また、通常つうじょうは左右さゆうの脚あしを互たがい違ちがいに進すすませて歩行ほこうするが、馬うまのギャロップの様ように疾走しっそうさせ、ジャンプして障害しょうがい物ぶつを飛とび越こえさせる実験じっけんも行おこなわれている。

2010年ねんに更新こうしんされた動画どうがには、脚あしを素早すばやく動うごかし時速じそく8km（5マイル）の速はやさで走はしる様ようにもなっている。

2010年ねん2月がつ1日にちに国防こくぼう高等こうとう研究けんきゅう計画けいかく局きょくはボストン・ダイナミクス社しゃに対たいして、ビッグドッグの実用じつよう化かに向むけたLS3 (Legged Squad Support System) の開発かいはつプロジェクトの費用ひようとして3200万まんドルを提供ていきょうすると発表はっぴょうした。

2012年ねんからアメリカ海兵かいへい隊たいで運用うんよう試験しけんが始はじまっており、音声おんせい指示しじが可能かのうとなっている。2014年ねんにアメリカ海兵かいへい隊たいでの実じつ運用うんよう開始かいしを目指めざしていると発表はっぴょうしたが、2015年ねん12月、エンジン音おんが大おおきく敵てきに味方みかた部隊ぶたいの位置いちを知しらせてしまうという理由りゆうで海兵かいへい隊たいはビッグドッグの採用さいようを見合みあわせた。

2013年ねん2月がつ28日にちには、取とり付つけられた一本いっぽんのアームでコンクリートブロックを掴つかみ、それを放ひり投なげる動画どうがが公開こうかいされた。ブロックを投なげる際さい、人間にんげんの運動うんどう選手せんしゅが行おこなう様ように脚あしや胴体どうたいを総合そうごう的てきに使つかう事ことでアームのパワーを補強ほきょうしている。

ハードウェア

物資ぶっしを運はこぶビッグドッグ

15馬力ばりきの2ストローク単たん気筒きとうガソリンエンジンを搭載とうさいし、毎まい分ぶん9000回転かいてんで油圧ゆあつポンプを駆動くどうする。これにより作つくられた油圧ゆあつで各かく脚あし4本ほん、合計ごうけい16本ほんの油圧ゆあつアクチュエータを作動さどうさせ、スムーズな歩行ほこうを実現じつげんしている。動画どうが等とうで確認かくにんできる耳障みみざわりな駆動くどう音おんは2ストロークエンジンに由来ゆらいする（後ごの改良かいりょう型がたではエンジンを更新こうしんしたためか静しずか音おん化かが進すすんでいる）。なお、研究けんきゅう室しつなどの屋内おくないで動作どうささせる際さいなど、エンジンを停止ていしし外部がいぶから油圧ゆあつを供給きょうきゅうする事ことでも駆動くどう可能かのうである。

制御せいぎょ系けいはPC/104スタック上じょうで動作どうさするQNXによるもので、これにより高度こうどな姿勢しせい制御せいぎょを行おこなっている。

特徴とくちょう

• 四足しそく歩行ほこうの為ため、車輪しゃりんでは走行そうこう不能ふのうな地形ちけいを154kgの荷物にもつを搭載とうさいしたまま時速じそく5.3km（後のちに180kgの荷物にもつ搭載とうさいで30km（一いち回かいの燃料ねんりょう補給ほきゅう）踏破とうはする事ことが可能かのうになった）で走はしる事ことが出来できる。また、駆かけ足あしで移動いどうする事ことも可能かのう。35度どの傾斜けいしゃを登のぼる事ことも可能かのうであり、かつて軍馬ぐんばが担になっていた勾配こうばいのある不ふ整地せいちでの物資ぶっし輸送ゆそうを担当たんとうする存在そんざいであるといえる。
• GPS機能きのうを使用しようし自動じどうで目的もくてき地ちへ移動いどうする事ことが出来できる他ほか、兵士へいしを認識にんしきして追尾ついびする機能きのうも備そなえる。
• 足あしには姿勢しせい制御せいぎょ用ようの接地せっちセンサーを持もち、レーザージャイロとステレオビジョンで地面じめんの傾かたむきなどを把握はあく出来できる。
• 転倒てんとう対策たいさくに半円はんえんのボディを採用さいようし、転倒てんとう時じは反動はんどうを利用りようして自力じりきで起おき上あがる事ことが出来できる。
• 「大おおきな犬いぬ」という名称めいしょうだが、サイズは小型こがたのラバ程ほど（全長ぜんちょう約やく1m、高たかさ約やく70cm、重量じゅうりょう約やく110kg）もある。

他た

• 当とうロボットのような特殊とくしゅ用途ようとのロボットも数々かずかず研究けんきゅうされている。下記かきのリトルドッグ、二に足そく歩行ほこうのPet-Proto、PETMAN、絵え電気でんき駆動くどうのSpotrobotおよびSpotMiniなどが存在そんざいする。
• 小型こがた化かされたリトルドッグ (Little Dog) も同時どうじ並行へいこうで開発かいはつされている。こちらも同様どうように不ふ整地せいち踏破とうは性せいが強つよく、学習がくしゅう機能きのうにより的確てきかくな接地せっち点てんを判断はんだんしたり、姿勢しせい制御せいぎょや踏ふみ外はずした時ときでの復帰ふっき制御せいぎょ、踏ふむ力ちからの自動じどう調整ちょうせいなどに優すぐれ、動作どうさも高速こうそくである。ちなみに、ビッグドッグと比くらべて脚あしの関節かんせつが1つ減へっている。
• 高速こうそく移動いどうを重視じゅうししたタイプにワイルドキャットと言いうモデルも開発かいはつされている。

外部がいぶリンク

• ボストン・ダイナミクス - ビッグドッグ （英語えいご）
• Boston Dynamics Big Dog - YouTube（2008年ねんのデモンストレーション）