ブリル・ビルディング

ブリル・ビルディング（Brill Building)は、ニューヨーク市しマンハッタン区くの49丁目ちょうめ通どおり、ブロードウェイ1619番地ばんちのオフィス・ビル。タイムズ・スクエアの少すこし北きたにある。

音楽おんがく事務所じむしょやスタジオが入はいっており、名曲めいきょくがいくつか生うまれた。

「ブリル」は、小間物こまもの商しょうで成功せいこうし同どうビルを買かった人物じんぶつの名字みょうじ。Victor Bark Jr.が設計せっけいし、1931年ねんに Alan E. Lefcourt ビルディングとして竣工しゅんこう^[1]^[2]。11階かい建だて総そう床ゆか面積めんせき16300平米へいべい。

LLC社しゃが2013年ねんに買収ばいしゅう、2009年ねん現在げんざい改装かいそう中ちゅう^[1]。

ビッグバンド時代じだい[編集へんしゅう]

戦前せんぜんからたくさんの音楽おんがく出版しゅっぱん社しゃ・事務所じむしょが入居にゅうきょしていた。1941年ねんのASCAPストライキ中ちゅうには多おおくのライターがペンネームを使つかった。

ブリル・ビルディングで制作せいさくされた曲きょくはしばしばビルボードの音楽おんがくチャートで1位いを獲得かくとくし、ベニー・グッドマン楽団がくだんやグレン・ミラー楽団がくだん、ジミー（英語えいご版ばん）およびトミー・ドーシー楽団がくだんなどが演奏えんそうした。

この時期じきの音楽おんがく出版しゅっぱん社しゃにLeo Feist Inc.、 Lewis Music Publishing、 Mills Music Publishingがある。

また、この時代じだいに活躍かつやくした作曲さっきょく家かは以下いかの通とおり。

ブリル・ビルディング・サウンド[編集へんしゅう]

同どうビルと周辺しゅうへんのミュージシャンがつくる音楽おんがくはブリル・ビルディング・サウンド（英語えいご版ばん）と呼よばれ、1950年代ねんだい後半こうはんから1960年代ねんだい末まつまで流行りゅうこうした。最盛さいせい期きの1962年ねんには165の音楽おんがく会社かいしゃが入居にゅうきょし、出版しゅっぱん・印刷いんさつ・デモ音源おんげん制作せいさく・レコードの宣伝せんでん・ラジオのプロモーターとの契約けいやくが一いちヶ所かしょでできた。 ^[3]

キャロル・キングは当時とうじを振ふり返かえっている。

「毎日まいにち小ちいさい個室こしつに乗のり込こむ。そこにはピアノと（ピアノ用よう）ベンチ、運うんが良よければ作詞さくし家か用ようのイスがある。そこにすわって作曲さっきょくしていると、となりの部屋へやから作曲さっきょく中ちゅうの歌うたが、自分じぶんのとそっくりなのが聴きこえてくる。ブリル・ビルディングでのプレッシャーはほんとうに「すばらし」かった。なぜってドン・カーシュナーがソングライターに競争きょうそうさせたから。彼かれはよく言いっていた。"僕ぼくらには新あたらしいスマッシュ・ヒットが必要ひつようだ"と。で、あたしたちはみんな部屋へやに戻もどって曲きょくを書かく。で、次つぎの日ひにボビー・ヴィーのプロデューサーの前まえでオーディションするの」
—The Sociology of Rock by Simon Frithから^[4]

ブリル・ビルディング・サウンドは第だい一いち次じロックンロールブーム後ごに流行りゅうこうしたことから、ある意味いみでロックンロール以前いぜんへの逆流ぎゃくりゅうだった。歌手かしゅなどはだれの首くびもすげかえ可能かのうだったので、出版しゅっぱん社しゃ・事務所じむしょの経営けいえい陣じんに権力けんりょくが移行いこうした。^[5]