バロック・ポップ

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バロック・ポップ
Baroque pop
様式ようしきてき起源きげん ロック[1]
クラシック音楽おんがく[1]
ポップ[2]
オーケストラ・ポップ[3]
バロック音楽おんがく[3]
文化ぶんかてき起源きげん 1960年代ねんだい
イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
使用しよう楽器がっき ハープシコード[3]ストリングス[3]フレンチ・ホルン[3]オーボエ[3]
派生はせいジャンル フィラデルフィア・ソウル[1]
チェンバー・ポップ英語えいごばん[1]
関連かんれん項目こうもく
アート・ポップアヴァン・ポッププログレッシブ・ロック
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バロック・ポップとは1960年代ねんだいなかごろからはじまった音楽おんがく様式ようしき。その特長とくちょうは、クラシック要素ようそロック・ミュージック作曲さっきょく録音ろくおんにもちこむことである[4]。バロック・ロック、イングリッシュ・バロック 、チェンバー・ロック、チェンバー・ポップともよばれる。ハープシコードオーボエチェロフレンチホルンなどのロックにはなじみのない楽器がっき演奏えんそうされる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

バロック・ポップの最盛さいせいは、シンセサイザーサンプラー導入どうにゅう以前いぜん、さまざまななま楽器がっきが「実際じっさいに」セッション・ミュージシャンによって演奏えんそうされていた60年代ねんだいなかばから70年代ねんだい前半ぜんはんである。バロック・ポップのきょく構成こうせいは、バロック音楽おんがくやクラシック音楽おんがく影響えいきょうけている。歌詞かし内容ないようは、プログレッシブ・ロックられるような抽象ちゅうしょうてきなものではない。バロック・ポップはアソシエーション、トミー・ジェイムズ&ションデルズらのサンシャイン・ポップとも似通にかよっているが、それよりも哀愁あいしゅう陰影いんえいびた曲調きょくちょうである場合ばあいおおい。

詳細しょうさい[編集へんしゅう]

バロック・ポップのルーツのひとつとして、1960年代ねんだい前半ぜんはんバート・バカラックは「ウォーク・オン・バイ」でフリューゲルホルン使つかうなどのクラシックてきこころみをしていた。フィル・スペクターも、自身じしんの「ウォール・オブ・サウンド」のためにクラシックでもちいられる様々さまざま楽器がっき導入どうにゅうしていた。またビートルズは、クラシックの素養そようのあるプロデューサー、ジョージ・マーティンによって、楽曲がっきょくイエスタディ」や「エリナー・リグビー」のためにストリングス・カルテットを導入どうにゅうしたり、「イン・マイ・ライフ」では回転かいてん速度そくど操作そうさによりハープシコードのようなおとになったピアノをれたりした[5]。1966ねんローリング・ストーンズがリリースした「レディ・ジェーン」では、ブライアン・ジョーンズがダルシマーを演奏えんそうしている。ストーンズは「ルビー・チュ-ズデイ」でもバロック・ポップてきなサウンドを披露ひろうしている。ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンは、1965ねんの『トゥデイ』『サマー・デイズ』から、ハープシコードやツィターなどでオーケストアレンジを使つかはじめ、よく1966ねん発表はっぴょうの『ペット・サウンズ』は商業しょうぎょう主義しゅぎといったん決別けつべつした芸術げいじゅつ志向しこうのアルバムだった。ストーン・ポニーズのヒットきょくかなしきロック・ビート」(1967)や、ジュディ・コリンズの「青春せいしゅんひかりかげ」(1968、ジョニ・ミッチェル作曲さっきょく)もバロック・ポップの楽曲がっきょくとされる。

イギリスのゾンビーズが1964ねんにリリースしたシングル「シーズ・ノット・ゼア」は、クラシックでもちいられる楽器がっき使用しようしていないにもかかわらず、のバロック・ポップであらわれる特徴とくちょうてきなハーモニーがよくているため、このジャンルの初期しょきれいとしてよく引用いんようされている[6]。ニューヨークのバンドであるレフト・バンクのメンバー、マイケル・ブラウンはそれに触発しょくはつされ、1966ねん発表はっぴょうのシングル「いとしのルネ」でハープシコードとストリング・カルテットを導入どうにゅうした[6]

バロック・ポップは、1970年代ねんだいパンク・ロックテクノ・ミュージック流行りゅうこうするにつれて、次第しだい姿すがたしていったが、80年代ねんだいになって、すこ復活ふっかつしはじめた。オーケストラアレンジやクラシックきょく構成こうせいをもちいたバロック・ポップは、少数しょうすう音楽おんがくジャンルの楽曲がっきょく使用しようされている[4]。21世紀せいきのバロック・ポップに分類ぶんるいされるアーティストは、フォークアメリカーナサイケデリックドリーム・ポップなど、さまざまな分野ぶんや横断おうだんしている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d Baroque pop”. AllMusic. 2019ねん2がつ17にち閲覧えつらん
  2. ^ Smith, Steve (2012ねん11月29にち). “Steve Smith: Wyman and Taylor join the Rolling Stones onstage; Coldplay takes a break”. Pasadena Star-News. オリジナルの2012ねん12月3にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121203041259/http://www.pasadenastarnews.com/weekend/ci_22091693/steve-smith-wyman-and-taylor-join-rolling-stones 2019ねん2がつ17にち閲覧えつらん 
  3. ^ a b c d e f Hawkins, Stan (2015). Queerness in Pop Music: Aesthetics, Gender Norms, and Temporality. Routledge. p. 193. ISBN 978-1-317-58972-3. https://books.google.com/books?id=tb80CwAAQBAJ 
  4. ^ a b "Baroque pop", Allmusic Guides, retrieved 2012-07-14.
  5. ^ Myers, Marc (2013-10-30). “Bach & Roll: How the Unsexy Harpsichord Got Hip”. The Wall Street Journal. https://www.wsj.com/articles/SB10001424052702304200804579163670969242120. 
  6. ^ a b R. Stanley, 'Baroque and a soft place', Guardian 21/09/07, retrieved 13/04/09.

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]