(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ブロモチモールブルー - Wikipedia コンテンツにスキップ

ブロモチモールブルー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
ブロモチモールブルー
{{{画像alt1}}}
IUPAC名めい

4,4'-(1,1-dioxido-3H-2,1-benzoxathiole-3,3-diyl)bis(2-bromo-6-isopropyl-3-methylphenol)

識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 76-59-5 チェック
PubChem 6450
ChemSpider 6208 チェック
UNII VGU4LM0H96 チェック
特性とくせい
化学かがく式しき C27H28Br2O5S
モル質量しつりょう 624.38 g mol−1
密度みつど 1.25 g/cm3
融点ゆうてん

202 °C, 475 K, 396 °F

水みずへの溶解ようかい度ど わずかに溶とける[1]
酸さん解離かいり定数ていすう pKa 7.5[2]
危険きけん性せい
安全あんぜんデータシート(外部がいぶリンク) http://www.sciencelab.com/msds.php?msdsId=9927468
NFPA 704
1
2
0
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・常つね圧あつ (100 kPa) におけるものである。
ブロモチモールブルー (pH指示しじ薬やく)
pH 6.0以下いか pH 7.6以上いじょう
6.0 ↔ 7.6
左ひだりから酸性さんせい、中性ちゅうせい、塩基えんき性せいのブロモチモールブルー溶液ようえき

ブロモチモールブルーもしくはブロムチモールブルー、ブロモチモールスルホンフタレイン（英えい: bromothymol blue, BTB）は、分析ぶんせき化学かがくでよく用もちいられる酸さん塩基えんき指示しじ薬やく（pH指示しじ薬やく）のひとつで、分子ぶんし式しき C27H28Br2O5S で表あらわされる、淡あわ黄色きいろまたは淡紅あわべに色しょくの粉末ふんまつである。しばしば水溶液すいようえきはBTB溶液ようえきと呼よばれる。酸さんと塩基えんきを判別はんべつする指示しじ薬やくとして、ナトリウム塩しおの形かたちで市販しはんされている。

構造こうぞうと性質せいしつ[編集へんしゅう]

分子ぶんし量りょうは 624.38、pKa は 7.5 であり、pH 7の中性ちゅうせい付近ふきんに変色へんしょく点てんを持もつ。水溶液すいようえき中なかにおいてはスルトン環たまきが開ひらけ環たまきした構造こうぞうをとり、pHに応答おうとうして色調しきちょうが変化へんかする。色いろの変化へんかは pH < 6.0で黄色おうしょく（酸性さんせい型がた）、pH > 7.6 で青色あおいろ（塩基えんき性せい型がた）であり、その中間ちゅうかんでは緑色みどりいろを示しめす。ただし、非常ひじょうに強つよい酸さんに対たいしては赤色あかいろ（マゼンタ）を、非常ひじょうに強つよい塩基えんきに対たいしては紫色むらさきいろを示しめす。中性ちゅうせい水溶液すいようえき中ちゅうでBTBが緑色みどりいろを示しめすのは、酸性さんせい型がたと塩基えんき性せい型がたの両方りょうほうが混まざり合あっているためである[2]。

酸性さんせい型がたのBTBは吸光強度きょうどの極大きょくだいが波長はちょう433 nmにあるため、酸性さんせい溶液ようえき中ちゅうではBTBは黄色おうしょくを呈ていする。一方いっぽう、塩基えんき性せい型がたのBTBは616 nmの光ひかりを最もっともよく吸収きゅうしゅうし、その結果けっか塩基えんき性せい溶液ようえき中ちゅうでは青色あおいろに見みえる[2]

BTBはトリアリールメタン系けい色素しきそに分類ぶんるいされ、 クロロフェノールレッド（英語えいご版ばん）、チモールブルーやブロモクレゾールグリーン(英語えいご版ばん）など多おおくの酸さん塩基えんき指示しじ薬やくと共通きょうつうの骨格こっかくを有ゆうする[3]。

他たのトリアリールメタン系けい色素しきそとの変色へんしょく域いきの差異さいは骨格こっかく上じょうの置換ちかん基もとの効果こうかによるものである。求もとめ電子でんし性せいの臭素しゅうそ原子げんしと2つの電子でんし供与きょうよ性せいの置換ちかん基もと（アルキル基もと）を持もつため、BTBの変色へんしょく域いきは6.0から 7.6となる[3]。

酸性さんせい ← （赤あか） − 黄き − 緑みどり − 青あお − （紫むらさき） → 塩基えんき性せい
pH変化へんかに伴ともなうBTBの構造こうぞう変化へんか

BTBは水みずには溶とけにくいが、エタノールなどのアルコールやアルカリ水溶液すいようえきには溶とける。ベンゼンやトルエン、キシレンなどの非ひ極性きょくせい溶媒ようばいには溶とけにくく、石油せきゆエーテルにはほとんど溶とけない[4]。

調製ちょうせい[編集へんしゅう]

酸さん塩基えんき指示しじ薬やくとして用もちいる場合ばあい、0.02 M 水酸化すいさんかナトリウム水溶液すいようえき 8 cm3にBTBを0.10 gを溶解ようかいさせ、250 cm3の水みずで希釈きしゃくする。容積ようせき測定そくていの指示しじ薬やくとして使つかうときは、50%(v/v)含水エタノール100 cm3にBTBを0.1 gを溶解ようかいさせて調製ちょうせいする[4]。

用途ようと[編集へんしゅう]

異ことなるpHでのBTB液えきの色いろ。

中性ちゅうせい付近ふきんの弱酸じゃくさんや塩基えんきの検出けんしゅつに用もちいられる。プールや養殖ようしょく槽そうなどでカルボン酸さんの検出けんしゅつなどに使つかわれる。

生物せいぶつ学がくでスライドを染色せんしょくする際さいに使用しようされることもある。この場合ばあい、青色あおいろの水溶液すいようえきとしてサンプルに数すう滴てき加くわえ、細胞さいぼう壁かべや核かくを青色あおいろに染そめる。

植物しょくぶつの光合成こうごうせいや呼気こきの観察かんさつのための実験じっけんとして、中性ちゅうせいのBTB溶液ようえきにチューブで息いきを吹ふき込こむというものが知しられる。呼気こきに含ふくまれる二酸化炭素にさんかたんそが溶解ようかいすることによって炭酸たんさんが生しょうじ、溶液ようえきは酸性さんせいになるため、緑みどりから黄色おうしょくへと変化へんかする[5][6]。

BTBは、フェノールレッドと混まぜてアスパラギナーゼという酵素こうその活性かっせいを調しらべるのに用もちいられる。酵素こうそがはたらくと、pHが上昇じょうしょうし、フェノールレッドはピンクに、BTBは青あおに変かわる。しかし、最近さいきんの研究けんきゅうでは、酵素こうそがはたらくとともに黄色おうしょくの環たまきができるメチルレッドの方ほうが適てきしていると言いわれている[7]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ “アーカイブされたコピー”. 2015年ねん11月26日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2015年ねん12月11日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c Shimada, Toru; Hasegawa, Takeshi (October 2017). “Determination of equilibrium structures of bromothymol blue revealed by using quantum chemistry with an aid of multivariate analysis of electronic absorption spectra”. Spectrochimica Acta Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy 185: 104–110. doi:10.1016/j.saa.2017.05.040. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1386142517304158 2022年ねん1月がつ6日にち閲覧えつらん。. 
  3. ^ a b De Meyer, Thierry (March 2014). “Substituent effects on absorption spectra of pH indicators: An experimental and computational study of sulfonphthaleine dyes”. Dyes and Pigments 102: 241–250. doi:10.1016/j.dyepig.2013.10.048. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0143720813004294 2014年ねん11月18日にち閲覧えつらん。. 
  4. ^ a b O'Neil, Maryadele J (2006). The Merck Index. Merck Research Laboratory. pp. 1445. ISBN 978-0-911910-00-1 
  5. ^ Sabnis R. W. (2007). Handbook of Acid-Base Indicators. CRC Press. ISBN 0-8493-8218-1 
  6. ^ Sabnis R. W. (2010). Handbook of Biological Dyes and Stains: Synthesis and Industrial Applications (1st ed.). Wiley. ISBN 0-470-40753-0 
  7. ^ Dhale, Mohan (July 2014). “A comparative rapid and sensitive method to screen l-asparaginase producing fungi”. Journal of Microbiological Methods 102: 66–68. doi:10.1016/j.mimet.2014.04.010. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167701214001109 2014年ねん11月18日にち閲覧えつらん。. 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

ウィキメディア・コモンズには、ブロモチモールブルーに関連かんれんするカテゴリがあります。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=ブロモチモールブルー&oldid=101046135」から取得しゅとく