ヘレニズム

ヘレニズム（英語えいご: Hellenism）またはギリシア主義しゅぎ^[1]とは、ギリシア人じん（ヘレネス）の神話しんわ的てき祖先そせん「ヘレーン」に由来ゆらいする語かたり。ギリシャ主義しゅぎとも表記ひょうきされる^[2]。その用法ようほうは様々さまざまである。

アレクサンドロス3世せい東方とうほう遠征えんせいによって生しょうじた古代こだいオリエントとギリシア文化ぶんかが融合ゆうごうした「ギリシア風ふう」の文化ぶんかを指さす。
時代じだい区分くぶんとしてアレクサンドロス3世せい（在位ざいい前ぜん336年ねん - 前ぜん323年ねん）の治世ちせいからプトレマイオス朝ちょうエジプト王国おうこくが滅亡めつぼうするまでの約やく300年間ねんかんを指さす。
ヨーロッパ文明ぶんめいの源流げんりゅうとなる2つの要素ようそとして、ヘブライズムと対置たいちしてヘレニズムが示しめされる場合ばあいもある。この場合ばあいのヘレニズムは古典こてん古代こだいの文化ぶんか（ギリシア・ローマの文化ぶんか）におけるギリシア的てき要素ようそを指さす。理性りせい・知識ちしきの追求ついきゅう、芸術げいじゅつ・体育たいいくの尊重そんちょうなどがその特徴とくちょうとされる。

概念がいねん定義ていぎと批判ひはん

古代こだいオリエント文化ぶんかとの融合ゆうごう

アレクサンドロス大王だいおうの東方とうほう遠征えんせいによって東方とうほうの地域ちいきに伝播でんぱしたギリシア文化ぶんかが、オリエント文化ぶんかと融合ゆうごうして誕生たんじょうした文化ぶんかを指さしてヘレニズム文化ぶんかと称しょうする場合ばあいがある。この文脈ぶんみゃくでヘレニズムの語かたりを用もちいたのは、19世紀せいきドイツの歴史れきし学者がくしゃヨハン・グスタフ・ドロイゼンである。ドロイゼンの功績こうせきは、それまでマケドニアによるポリス征服せいふくまでが古代こだいギリシア史しの重要じゅうよう範囲はんいとされていたため、ほとんど省かえりみることがなかった征服せいふく以降いこうの時期じきに脚光きゃっこうを当あてたことである。これによって、多おおくの研究けんきゅう者しゃの関心かんしんがこの時代じだいに向むかい、研究けんきゅうが前進ぜんしんすることになった。

時代じだい区分くぶんとしてのヘレニズム

時代じだい区分くぶんとしてのヘレニズム時代じだい（Hellenistic period）は、アレクサンドロスの死亡しぼう（紀元前きげんぜん323年ねん）からプトレマイオス朝ちょうエジプトの滅亡めつぼう（紀元前きげんぜん30年ねん）するまでの約やく300年間ねんかんを指さす。

広大こうだいな帝国ていこくをき上ずきあげたのちアレクサンドロスが死しぬと、その版図はんとはアレクサンドロスの部下ぶか達たちによって争奪そうだつ・分割ぶんかつされた。これら、およびさらにそこから派生はせいした諸国しょこくをヘレニズム諸国しょこくという。

これらの国くには東ひがし地中海ちちゅうかいからオリエント地域ちいきを支配しはいし、ギリシア風ふうの「ヘレニズム文化ぶんか」を維持いじ・発展はってんさせたが、次第しだいに共和きょうわ政せいローマが東ひがしへ進出しんしゅつすることで滅ほろぼされ、ついに紀元前きげんぜん30年ねん、最後さいごのヘレニズム王朝おうちょうであったプトレマイオス朝ちょうエジプトがローマに併合へいごうされた。このことによって、ヘレニズム時代じだいは終おわったとされる。

しかし、その後ごも文化ぶんか的てきにはギリシアはローマを圧倒あっとうし続つづけた。ギリシア語ごは東ひがし地中海ちちゅうかい地域ちいきの共通きょうつう語ごとして使つかわれ、ヘレニズム文化ぶんかが栄さかえた。また、ロろーマ帝国まていこく分裂ぶんれつ後ごも7世紀せいき以降いこうの東ひがしロろーマ帝国まていこくでは支配しはい地域ちいき・住民じゅうみんがギリシャ語ご圏けんとなったためにヘレニズムの伝統でんとうが重視じゅうしされ、キリスト教きりすときょうと融合ゆうごうした「ビザンティン文化ぶんか」を生うむことになった。

ヨーロッパ文明ぶんめいの源流げんりゅう

ヨーロッパ文明ぶんめいの基調きちょうをヘブライズム（ユダヤ教きょう・キリスト教きりすときょう）と、ヘレニズムに求もとめる見解けんかいは、19世紀せいきにマシュー・アーノルドによって示しめされた。以降いこう、こういった見解けんかいはヨーロッパ文明ぶんめいを説明せつめいする上じょうで一般いっぱん的てきに用もちいられている。

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

出典しゅってん

^ 畑はたけ 2019, p. 162.
^ weblio 2021, p. hellenism.

参照さんしょう文献ぶんけん

畑はたけ, 潤じゅん「古代こだいギリシアにおける教養きょうよう・教育きょういくの理念りねんに関かんする研究けんきゅう(14)─ W. イェーガーの『パイデイア』に学まなぶ ─」『都留文科大学つるぶんかだいがく研究けんきゅう紀要きよう』第だい90号ごう、都留文科大学つるぶんかだいがく、2019年ねん10月がつ20日はつか、151-193頁ぺーじ、CRID 1390853649803774848、doi:10.34356/00000495、ISSN 0286-3774、NAID 120007015961。「ギリシア主義しゅぎ（Hellenism, der griechischen Rasse ギリシア人じんの種族しゅぞく）〔162頁ぺーじ〕」
weblio「hellenism」『weblio英和えいわ辞典じてん・和英かずひで辞典じてん』2021年ねん6月がつ18日にち。2021年ねん6月がつ18日にち閲覧えつらん。「hellenism…ギリシャ主義しゅぎ、ヘレニズム、ギリシャ語法ごほう」

外部がいぶリンク

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[FOOTNOTE畑2019162-1] 畑はたけ 2019, p. 162.

[FOOTNOTEweblio2021hellenism-2] weblio 2021, p. hellenism.

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