ムルシア

Murcia

州しゅう	ムルシア州しゅう
県けん	ムルシア県けん
面積めんせき	881.86 km²
標高ひょうこう	43m
人口じんこう	447,182 人にん （2018年ねん）
人口じんこう密度みつど	507.09 人にん/km²
住民じゅうみん呼称こしょう	murciano/-a
守護しゅご聖人せいじん	聖せいパトリシオ フエンサンタの聖母せいぼ
Murcia スペイン内ないムルシアの位置いち Murcia ムルシア県内けんないムルシアの位置いち 北緯ほくい37度ど59分ふん10秒びょう 西経せいけい1度ど7分ふん49秒びょう

ムルシア（Murcia）は、スペイン・ムルシア州しゅうのムニシピオ（基礎きそ自治体じちたい）。ムルシア州しゅうの州都しゅうとであり、人口じんこうは約やく42万まん人にんでスペイン第だい7位い。衛星えいせい都市としを含ふくめたムルシア都市とし圏けんは56万まん人にんで、都市とし圏けんとしてはスペイン第だい12位い。セグラ川がわに面めんする。

歴史れきし

825年ねん、ムルシアは「メディナト・ムルシヤ」という名前なまえで、アンダルスを支配しはいしたイスラム教いすらむきょう・後こうウマイヤ朝あさのアミール、アブド・アッラフマーン2世せいによって建設けんせつされた。アラブ人じんはセグラ川がわの流ながれの利点りてんを活いかし、複雑ふくざつな灌漑かんがい用水路ようすいろのネットワークを作つくり上あげた。これによって町まちは繁栄はんえいし、近代きんだいの灌漑かんがいシステムの先取さきどりとなった。12世紀せいきにアラブ人じんの地理ちり学者がくしゃイドリースィーは、この町まちを人口じんこうが多おおく、強つよく要塞ようさい化かされていると述のべている。コルドバのカリフが倒たおれると、ムルシアは順じゅんにアルメリア、トレド、セビリアの支配しはい下かに入はいった。

1079年ねんにセビリア王国おうこくへ併合へいごう、1147年ねんにはバレンシア王国おうこくと共ともにイブン・マルダニーシュ（通称つうしょうローボ王おう）の手てに入はいり、1172年ねんにマルダニーシュが死しぬと遺言ゆいごんによりムワッヒド朝あさの支配しはい下かに入はいった。1223年ねんから1243年ねんまでは独立どくりつした王国おうこくとなった。

1224年ねんにムワッヒド朝あさカリフ・ユースフ2世せいが子この無ないまま亡なくなり、後継こうけい者しゃ争あらそいが勃発ぼっぱつするとアンダルスでも小しょう君主くんしゅ（タイファ）たちが台頭たいとうして領土りょうどが分裂ぶんれつする事態じたいが発生はっせい、ムルシアの支配しはい者しゃも二に転てん三さん転てんした。同年どうねんにムルシア太守たいしゅだったアブドゥッラー・アーディルがカリフを名乗なのったが3年ねん後ごの1227年ねんに暗殺あんさつ、弟おとうとのイドリース・マアムーンが後ごを継ついだが、翌よく1228年ねんに混乱こんらんの隙すきをついたイブン・フードがムルシアを乗のっ取とった。1238年ねんのフードの死後しごはアブー・バクルが支配しはいしていたが、1243年ねん、カスティーリャ王おうフェルナンド3世せいの息子むすこアルフォンソ（後ごのアルフォンソ10世せい）に率ひきいられたカスティーリャ軍ぐんが迫せまると降伏ごうぶく、ムルシアはカスティーリャの領土りょうどになった。翌よく1244年ねんにバレンシア征服せいふくを推進すいしんしていたアラゴン王おうハイメ1世せいとアルフォンソがアルミスラ条約じょうやくを締結ていけつ、カスティーリャとアラゴンの国境こっきょうも画定かくていした。

1264年ねん、グラナダ王おうムハンマド1世せいがアンダルスのムデハル（キリスト教きょう国こく在住ざいじゅうのムスリム）を扇動せんどうして反乱はんらんを起おこさせた。ムルシアも同調どうちょうして反乱はんらんに加くわわったが、カスティーリャ王おうアルフォンソ10世せいの反撃はんげきに遭あいムハンマド1世せいは和睦わぼく、グラナダから見捨みすてられた。1266年ねんにムルシアもカスティーリャの支援しえんに来きたハイメ1世せいの説得せっとくで降伏ごうぶく、再ふたたびカスティーリャが領有りょうゆうした（ムルシア征服せいふく）。反乱はんらん後ごはムデハル追放ついほうでアンダルスの経済けいざいが打撃だげきを受うけた一方いっぽう、アルフォンソ10世せいが推進すいしんしたトレド翻訳ほんやく学派がくはの翻訳ほんやく活動かつどう拠点きょてんに選えらばれ、1269年ねん頃ころにキリスト教きりすときょう・イスラム教いすらむきょう・ユダヤ教きょうの三さん教徒きょうとが学まなべる学校がっこうが創設そうせつされた。

ムルシアに多おおくの移住いじゅう者しゃが北きたカスティーリャとプロヴァンスから移住いじゅうした。1296年ねん、ムルシアとその領域りょういきはアラゴンに引ひき渡わたされたが、1304年ねん、トレラス条約じょうやくによって最終さいしゅう的てきにカスティーリャに編入へんにゅうされた。

18世紀せいき、ムルシアは絹織物きぬおりもの業ぎょうによって繁栄はんえいした。教会きょうかいや記念きねん碑ひの多おおくはこの時期じきに建たてられている。

ムルシアと周辺しゅうへんの地域ちいきは、1651年ねん、1879年ねん、1907年ねんに洪水こうずいの被害ひがいを受うけたが、堤防ていぼうの建築けんちくはセグラ川がわを水路すいろの中なかにうまく留とめている。有名ゆうめいな歩道ほどうマレコンは、堤防ていぼうの上うえに引ひかれている。

1829年ねん、ムルシアは地震じしんに襲おそわれた。約やく6,000人にんの死者ししゃが出でたと推定すいていされている。

1838年ねんにはムルシア県けんの県けん都ととなった。1982年ねんにはムルシア県けん単独たんどくでムルシア自治じち州しゅうが成立せいりつし、ムルシアはムルシア自治じち州しゅうの州都しゅうととなった。

地理ちり・気候きこう

「ウエルタ」または「ムルシアの菜園さいえん」として知しられる豊ゆたかな低地ていちの平原へいげんのほぼ中央ちゅうおうに築きずかれている。その平原へいげんはセグラ川がわの谷たにを含ふくみ、右手みぎてには支流しりゅうのグアダレンティン川がわが流ながれ、山地さんちに囲かこまれている。

ムルシアは地中海ちちゅうかい性せい気候きこうの影響えいきょうを受うけたステップ気候きこう（ケッペンの気候きこう区分くぶんではBSh）である。地中海ちちゅうかいに近ちかいために、『半はん乾燥かんそう・地中海ちちゅうかい性せい気候きこう』と一般いっぱん的てきに称しょうされ、冬ふゆは温暖おんだんである。市街地しがいちは直接ちょくせつ海うみに面めんしていないため、夏なつは高温こうおんである。平年へいねんの年間ねんかん日照ひでり日数にっすうは320日にちを超こえる。降水こうすい量りょうは少すくなく、2004年ねん10月がつから2005年ねん9月がつの1年間ねんかんに観測かんそくされた降水こうすい量りょうは200mm以下いかだった。地形ちけい性せいの豪雨ごううに見舞みまわれることがある。

冬季とうきには夜間やかんの降霜こうそうが発生はっせいするが、降雪こうせつは稀まれである。ムルシアにおける降雪こうせつは20世紀せいき中ちゅうに8回かい（1910・1914・1926・1942・1951・1957・1971・1983年ねん）、21世紀せいきには2回かい（2017および2021年ねん）に観測かんそくされている。 夏季かきには気温きおんが40°Cを超こえる日ひが年としに1、2日にち程度ていどある。アルカンタリーリャ空港くうこうにおける最高さいこう気温きおんの記録きろくは1994年ねん7月がつ4日にちおよび2021年ねん8月がつ15日にちに観測かんそくされた47.0°Cである。

ムルシア-アルカンタリーリャ空軍くうぐん基地きち (1981〜2010年ねんの平年へいねん値ち)の気候きこう
月つき	1月がつ	2月がつ	3月がつ	4月がつ	5月	6月がつ	7月がつ	8月がつ	9月	10月	11月	12月	年とし
平均へいきん最高さいこう気温きおん °C （°F）	16.6 (61.9)	18.1 (64.6)	20.9 (69.6)	23.1 (73.6)	26.4 (79.5)	30.9 (87.6)	34.0 (93.2)	34.0 (93.2)	30.4 (86.7)	25.6 (78.1)	20.2 (68.4)	17.0 (62.6)	24.8 (76.6)
日にち平均へいきん気温きおん °C （°F）	10.2 (50.4)	11.7 (53.1)	14.1 (57.4)	16.1 (61)	19.6 (67.3)	23.9 (75)	26.9 (80.4)	27.2 (81)	24.0 (75.2)	19.4 (66.9)	14.3 (57.7)	11.1 (52)	18.2 (64.8)
平均へいきん最低さいてい気温きおん °C （°F）	3.9 (39)	5.2 (41.4)	7.2 (45)	9.2 (48.6)	12.7 (54.9)	16.9 (62.4)	19.7 (67.5)	20.4 (68.7)	17.4 (63.3)	13.2 (55.8)	8.4 (47.1)	5.1 (41.2)	11.6 (52.9)
降水こうすい量りょう mm （inch）	26 (1.02)	28 (1.1)	31 (1.22)	25 (0.98)	28 (1.1)	18 (0.71)	2 (0.08)	10 (0.39)	29 (1.14)	34 (1.34)	33 (1.3)	25 (0.98)	290 (11.42)
平均へいきん降水こうすい日数にっすう	3	3	3	4	4	2	1	1	3	4	4	4	35
出典しゅってん：Agencia Estatal de Meteorología

降水こうすい量りょうが少すくないため、灌漑かんがいに使つかう水みずについての話はなし合あいムルシア平原へいげんの賢人けんじん会かいが行おこなわれる。

政治せいじ

首長しゅちょう一覧いちらん（1979-）

任期にんき	首長しゅちょう名めい	政党せいとう
1979–1983	ホセ・マリーア・アロカ・ルイス＝フネス	PSOE
1983–1987	アントニオ・ボダロ・サントージョ	PSOE
1987–1991	ホセ・メンデス・エスピノ	PSOE
1991–1995	ホセ・メンデス・エスピノ	PSOE
1995–1999	ミゲル・アンヘル・カマラ・ボティア	PP
1999–2003	ミゲル・アンヘル・カマラ・ボティア	PP
2003–2007	ミゲル・アンヘル・カマラ・ボティア	PP
2007–2011	ミゲル・アンヘル・カマラ・ボティア	PP
2011–2015	ミゲル・アンヘル・カマラ・ボティア	PP
2015–2019	ホセ・バリェスタ・ヘルマン	PP
2019–	n/d	n/d

人口じんこう

ムルシアの人口じんこう推移すいい 1842－2011

出典しゅってん:INE（スペイン国立こくりつ統計とうけい局きょく）1900年ねん - 1991年ねん、1996年ねん -

経済けいざい

ムルシアでは農産物のうさんぶつの生産せいさんが盛さかんである。パプリカはDO指定してい。ヨーロッパのスーパーマーケットでは、ムルシア産さんのトマト、レタス、特とくにレモン、オレンジがよく見みられる。

最近さいきんでは、「居住きょじゅう観光かんこう」が注目ちゅうもくされている。北きたヨーロッパの多おおくの人々ひとびとが陽光ようこう豊ゆたかなムルシアに別荘べっそうを持もっている。

名所めいしょ

南方なんぽうのカラスコイ山地さんちから見みたムルシア市街しがい

カテドラルは、1394年ねんから1465年ねんにかけてカスティーリャ・ゴシック様式ようしきで建たてられた。1792年ねんに完成かんせいされた塔とうは、スタイルの混成こんせいを示しめしている。最初さいしょの2階かい（1521-1546年ねん）はルネサンス様式ようしきで、3階かいはバロック、鐘かね塔とうはロココと新しん古典こてん主義しゅぎの影響えいきょうが見みられる。ファサード（1736-1754年ねん）は、スペイン・バロックの代表だいひょう作さくと見みなされている。

ほかにカテドラル前まえの広場ひろば（カルデナル・ベルーガ広場ひろば）で有名ゆうめいな建物たてものには、カラフルな司教しきょう館かん（18世紀せいき）や、建築けんちく家かラファエル・モネオの手てによる物議ぶつぎをかもした新しん市庁舎しちょうしゃがある。

セグレ川かわ沿ぞいのグロリエタは、伝統でんとう的てきな市しの中心ちゅうしん部ぶで、18世紀せいきに作つくられた景色けしきのよい場所ばしょである。アユンタミエント（市庁舎しちょうしゃ）はここに位置いちする。

歩行ほこう者しゃ用ようの区域くいきは旧きゅう市街しがいのほとんどを占しめ、中央ちゅうおうにプラテリア通どおりとトラペリア通どおりがある。トラペリア通どおりはカテドラルからサント・ドミンゴ広場ひろば（以前いぜんの市場いちば）に通つうずる。トラペリア通どおりには、1847年ねんに社交しゃこう場じょうとして作つくられたカジノがあり、その豪華ごうかな室内しつないにはアルハンブラ宮殿きゅうでんを意識いしきしたムーア式しきの中庭なかにわがある。

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  グロリエタ、左手ひだりてに市庁舎しちょうしゃ
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  カテドラル前まえのカルデナル・ベルーガ広場ひろば
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  カテドラル
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  サント・ドミンゴ広場ひろば

祭まつり

スペインではムルシアの聖せい週間しゅうかんの祭まつりは有名ゆうめいである。フランシスコ・サルシーリョによる実物じつぶつ大だいの彫刻ちょうこくが美術館びじゅつかんから引ひき出だされ、花はなとろうそくに飾かざられて街まち中ちゅうを優雅ゆうがに行列ぎょうれつする。これらはキリストの磔刑たっけいに至いたる事件じけんを描えがいた彫刻ちょうこくである。

聖せい週間しゅうかんのあとで、もっともきらびやかな儀式ぎしきは、聖せい週間しゅうかんの次週じしゅうにムルシアの人々ひとびとが伝統でんとう的てきな「huertano」の服ふくを着きて祝いわう「Bando de la Huerta」で、その次週じしゅうには「Entierro de la Sardina」（イワシの埋葬まいそう）のパレードが行おこなわれる。

交通こうつう

ムルシアから南東なんとう35kmのサン・ハビエルに、ムルシア＝サン・ハビエル空港くうこうがあり、市内しない中心ちゅうしん部ぶからは車くるまで30分ぶんの距離きょりである。マドリード、バルセロナからの近距離きんきょり便びんやイギリス、北欧ほくおうからの格安かくやす航空こうくう便びんが飛とんでいる。ムルシアへの旅行りょこうには、70km離はなれたアリカンテ＝エルチェ空港くうこうもよく使つかわれる。

鉄道てつどう（スペイン国鉄こくてつ）を使つかうと、マドリードからは4時じ間あいだ強きょうかかる。

教育きょういく

ムルシアには3つの大学だいがくがある。ムルシア大学だいがく（1912年ねん創立そうりつ）、カルタヘナ工科こうか大学だいがく、サン・アントニオ・カトリック大学だいがく(UCAM)である。

スポーツ

• レアル・ムルシア : リーガ・エスパニョーラに所属しょぞくするサッカークラブ。
• UCAMムルシア : リーガ・エスパニョーラに所属しょぞくするサッカークラブ。
• CBムルシア : リーガACBに所属しょぞくするバスケットボールクラブ。
• エルポソ・ムルシアFS : プリメーラ・ディビシオンに所属しょぞくするフットサルクラブ。
• HRT F1 : F1チーム。

姉妹しまい都市とし

グラース、フランス マイアミ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく ウッチ、ポーランド

レッチェ、イタリア ムルシア、フィリピン イラプアト、メキシコ

参考さんこう文献ぶんけん

•  この記事きじにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく内うちで著作ちょさく権けんが消滅しょうめつした次つぎの百科ひゃっか事典じてん本文ほんぶんを含ふくむ: Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Murcia". Encyclopædia Britannica (英語えいご). Vol. 19 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 33.
• D.W.ローマックス著ちょ、林はやし邦夫くにお訳わけ『レコンキスタ 中世ちゅうせいスペインの国土こくど回復かいふく運動うんどう』刀かたな水すい書房しょぼう、1996年ねん。
• 池上いけがみ岑夫ほか監修かんしゅう『新しん訂てい スペイン・ポルトガルを知しる事典じてん』平凡社へいぼんしゃ、2001年ねん。
• 芝しば修身しゅうしん『真しん説せつレコンキスタ <イスラームVSキリスト教きりすときょう>史観しかんをこえて』書肆しょし心しん水すい、2007年ねん。
• 関せき哲あきら行ぎょう・立石たていし博ひろし高だか・中塚なかつか次郎じろう『世界せかい歴史れきし大系たいけい スペイン史し 1 -古代こだい～中世ちゅうせい-』山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ、2008年ねん。

外部がいぶリンク

公式こうしき

• 公式こうしきウェブサイト （スペイン語ご）

観光かんこう

• ムルシア観光かんこう局きょく （スペイン語ご）（英語えいご）
• スペイン政府せいふ観光かんこう局きょく - ムルシア （日本語にほんご）