ヨーロッパウズラ

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ヨーロッパウズラ

ヨーロッパウズラ(うえオス、しもメス)
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : とりつな Aves
: キジ Galliformes
: キジ Phasianidae
ぞく : ウズラぞく Coturnix
たね : ヨーロッパウズラ
C. coturnix
学名がくめい
Coturnix coturnix (L., 1758)
和名わみょう
ヨーロッパウズラ
英名えいめい
Common Quail
ごえ
     繁殖はんしょく      留鳥りゅうちょう地域ちいき      繁殖はんしょく      導入どうにゅうされたが絶滅ぜつめつ      導入どうにゅう留鳥りゅうちょうとして存続そんぞく

ヨーロッパウズラおうともみうずら学名がくめいCoturnix coturnix)は、キジキジ鳥類ちょうるいカール・フォン・リンネによって1758ねん著書ちょしょ自然しぜん体系たいけい』(Systema Naturae)のなかクロライチョウぞくTetrao coturnixとして分類ぶんるいされた[2]

形態けいたい[編集へんしゅう]

全長ぜんちょう17cmと小型こがたで、まるっこいからだをしている。からだしょく茶色ちゃいろしまがあり、白色はくしょくせんがあり、ゆうあごくろい。長距離ちょうきょりわたりをするため、つばさながい。

地上ちじょう生活せいかつし、種子しゅし地上ちじょうせい昆虫こんちゅうるいべる。植生しょくせいかくれていることがおおく、飛翔ひしょうするよりもひたひたとあるいてげることをこのむため、観察かんさつすることはむずかしい。おどろかされてしてもたかくはばず、すぐに植生しょくせいなかかくれてしまう。このたね存在そんざいげる唯一ゆいいつ証拠しょうこゆうかえすさえずりであることがおおい。さえずりはあさ夕方ゆうがたおおいが、夜間やかんくこともある。さえずりは英語えいご擬声語ぎせいごでは「ウェット・マイ・リップス」("wet-my-lips")とあらわされる。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

ヨーロッパアジア

生態せいたい[編集へんしゅう]

ヨーロッパウズラのたまご

生後せいご6〜8週間しゅうかん成熟せいじゅくし、けた農地のうち草原そうげん地面じめんつくり、6〜18たまごむ。たまご同属どうぞくウズラおなじく褐色かっしょく斑点はんてんがあり、16〜18にち孵化ふかする。わたどりで、アフリカ越冬えっとうする。

人間にんげんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

あきわた地中海ちちゅうかい地方ちほう通過つうかするときに狩猟しゅりょうどりとして頻繁ひんぱんられる[よう出典しゅってん]近年きんねんでは、愛鳥あいちょうによってアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとヨーロッパで人為じんいてき繁殖はんしょくおこなわれている[よう出典しゅってん]

古代こだいエジプトの時代じだいから、にくたまご食用しょくようとされている。また観賞かんしょうようとしてもわれた[3]。ローマじんたたかえうずらおこなった[3]

毒性どくせい[編集へんしゅう]

ほんしゅ地中海ちちゅうかい地方ちほうわたりをするあきようするに地中海ちちゅうかい地方ちほうでもっとも狩猟しゅりょうさかんな時期じきに、一部いちぶ個体こたいにく脂肪しぼうどく蓄積ちくせきされるらしく、それらをくちにすることで coturnism[注釈ちゅうしゃく 1]しょうされる中毒ちゅうどく発症はっしょうすることがある。具体ぐたいてきにはよこもんすじ融解ゆうかいしょう発症はっしょうし、大量たいりょうミオグロビンちゅう溶解ようかいすることでミオグロビン尿にょうしょうられる。最悪さいあく場合ばあいしたミオグロビンが尿にょう細管さいかんまって細管さいかん壊死えしこし、急性きゅうせい腎不全じんふぜんおちいいる。また臓器ぞうき機能きのう不全ふぜん同時どうじきて、そうした症状しょうじょう多発たはつによりいたる。もっとも、わたりのぶし4ヶ月かげつぎた野生やせいのウズラや、養殖ようしょくウズラで中毒ちゅうどくきたことはない[4]

このことは紀元前きげんぜん4世紀せいき古代こだいギリシャ時代じだいからられていて、マ帝国まていこくころにはすでに当時とうじ医師いし神官しんかん学者がくしゃあいだ常識じょうしきとなっており、アリストテレスルクレティウスガレノスらも著書ちょしょ言及げんきゅうしている。旧約きゅうやく聖書せいしょ[5]にもシナイ半島しないはんとうでウズラを多食たしょくしていたイスラエルじんたちが多数たすう発症はっしょうしたことがしるされている[6]。なお、なぜだかよくわかっていないが、20世紀せいき以降いこうになって発症はっしょうしたれいはほとんどない。

この中毒ちゅうどくにはひとにより感受性かんじゅせいがあり、おなじウズラのあぶらげたジャガイモをれたスープをんでいた4にんのうち、1人ひとりのみが発症はっしょうしたことがある[4]有毒ゆうどくするメカニズムはほんしゅがある特定とくてい植物しょくぶつ[注釈ちゅうしゃく 2]しょくするからとかんがえられているが、どの植物しょくぶつにくあぶら有毒ゆうどくするのかといったてんはまだ議論ぎろんがなされている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 日本語にほんごには対応たいおうする訳語やくご存在そんざいしない。ちなみに中国ちゅうごくではうずらにく中毒ちゅうどくしょうという訳語やくごがある。
  2. ^ ドクニンジンドクゼリ種子しゅし一因いちいん指摘してきされている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Coturnix coturnix (Species Factsheet by BirdLife International)
  2. ^ ラテン語らてんご Linnaeus, C (1758). Systema naturae per regna tria naturae, secundum classes, ordines, genera, species, cum characteribus, differentiis, synonymis, locis. Tomus I. Editio decima, reformata.. Holmiae. (Laurentii Salvii).. pp. 161. "T. pedibus nudis, corpore griseo-maculate, supercilií albis, rectricibus margine lunulaque ferruginea." 
  3. ^ a b Lexikon der Antike: Wachtel. Lexikon der Antike, S. 6102. (vgl. LDA, S. 625)
  4. ^ a b “Coturnism: Human Poisoning by European Migratory Quail”. Journal of Cultural Geography 7 (2): 51–65. (1987). doi:10.1080/08873638709478507. 
  5. ^ みんすうだい11しょう,31-35せつ
  6. ^ Ouzounellis T (16 February 1970). “Some notes on quail poisoning”. JAMA 211 (7): 1186–7. doi:10.1001/jama.1970.03170070056017. PMID 4904256. 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]