ロイヤル・コレクション

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『馬上もうえのチャールズ1世せいとサン・アントワーヌの領主りょうしゅの肖像しょうぞう』（1633年ねん）
アンソニー・ヴァン・ダイク

ロイヤル・コレクション（英えい: The Royal Collection）またはイギリス王室おうしつコレクションはイギリス王室おうしつが所有しょゆうする美術びじゅつ品ひんコレクション。イギリス王室おうしつの私的してき財産ざいさんで、王室おうしつの一部いちぶ局きょくである英国えいこく王立おうりつ所蔵しょぞう品ひん協会きょうかいの管理かんりとなっている[1]。英国えいこく王立おうりつ所蔵しょぞう品ひん協会きょうかい（The Royal Collection Department）はロイヤル・コレクションの分類ぶんるい、保存ほぞん、洗浄せんじょう、修復しゅうふくや、書物しょもつ、絵画かいが、彫刻ちょうこくなどの展示てんじに対たいして責任せきにんがあるが、建築けんちく物ぶつについては管轄かんかつ外がいとなっている。399人にんのスタッフがおり、2009年度ねんどには2,642万まんポンド以上いじょうの収益しゅうえきがあった[2]。

ロイヤル・コレクションには7,000点てん以上いじょうの絵画かいが、40,000点てん以上いじょうの水彩すいさい画が、ドローイング、150,000点てん以上いじょうの版画はんがのほか、歴史れきし的てきな価値かちがある写真しゃしん、タペストリー、調度ちょうど品ひん、陶磁器とうじき、書物しょもつなど、様々さまざまな美術びじゅつ品ひんの一大いちだいコレクションとなっている。一般いっぱん大衆たいしゅうに公開こうかいされ、王族おうぞくは住すんでいないハンプトン・コート宮殿きゅうでんや、王族おうぞくの邸宅ていたくではあるが一般いっぱん公開こうかいされているウィンザー城じょうなど、複数ふくすうの場所ばしょに分散ぶんさんして収蔵しゅうぞうされている。ロンドンのバッキンガム宮殿きゅうでんにあるクイーンズ・ギャラリー（en:Queen's Gallery）や、エディンバラのホリールード宮殿きゅうでんにあるエディンバラ・クイーンズ・ギャラリー（en:Queen's Gallery, Edinburgh）にも、ロイヤル・コレクションの美術びじゅつ品ひんが数ヶ月すうかげつ間あいだ展示てんじされることがある。ロイヤル・コレクションの金銭きんせん的てき価値かちは総額そうがく3,600億おくポンドといわれている[3]。

歴史れきし[編集へんしゅう]

バッキンガム宮殿きゅうでんクイーンズ・ギャラリーに展示てんじされる『菜食さいしょく主義しゅぎを唱道しょうどうするピタゴラス』（1618年ねん - 1630年ねん頃ごろ）
ピーテル・パウル・ルーベンス

コレクションの中なかに16世紀せいきのイングランド王おうヘンリー8世せい以前いぜんの美術びじゅつ品ひんはほとんど存在そんざいしない。ロイヤル・コレクションの発展はってんに最もっとも大おおきな寄与きよをしたのは、イタリア・ルネサンス絵画かいがの熱心ねっしんなコレクターで、アンソニー・ヴァン・ダイクらの芸術げいじゅつ家かを庇護ひごしたチャールズ1世せいだった。このコレクションはイングランド内戦ないせんによる1649年ねんのチャールズ1世せいの処刑しょけい後ごに売うり払はらわれてしまったが、1660年ねんの王政おうせい復古ふっこで国王こくおうの座ざに就ついたチャールズ2世せいが、コレクションのほとんどを取とり戻もどしている。また、ネーデルラント連邦れんぽう共和きょうわ国こくから28点てんのイタリア・ルネサンス絵画かいがや12点てんの古代こだい彫刻ちょうこくなどを贈おくられ（en:Dutch Gift）、後のちにチャールズ2世せいも絵画かいがや美術びじゅつ品ひんを多数たすう購入こうにゅうしている。1760年ねんに即位そくいしたジョージ3世せいは、王室おうしつ図書館としょかん長ちょうフレデリック・オーガスタ・バーナード（en:Frederick Augusta Barnard）とともに非常ひじょうに重要じゅうような版画はんがと絵画かいがをコレクションに加くわえており、1837年ねんに即位そくいしたヴィクトリア女王じょおうと王おう配はいアルバートは、当時とうじの現代げんだい絵画かいがとオールド・マスターの絵画かいがを熱心ねっしんに収集しゅうしゅうした。ロイヤル・コレクションの所蔵しょぞう美術びじゅつ品ひんには美術館びじゅつかんに贈与ぞうよされた作品さくひんもあり、歴代れきだい君主くんしゅの中なかではジョージ3世せいとヴィクトリア女王じょおうが多おおくの絵画かいがを美術館びじゅつかんに寄付きふしている。特とくに王室おうしつ図書館としょかんの収蔵しゅうぞう品ひんの大だい部分ぶぶんがジョージ3世せいによって大だい英えい博物館はくぶつかんに寄付きふされ、現在げんざいでは大だい英えい図書館としょかんの所蔵しょぞうとなっている書物しょもつは現在げんざいでも「王室おうしつ（Royal）」としてカタログに記載きさいされている。ロイヤル・コレクションの中核ちゅうかくとなっているのは1603年ねんにスコットランド王おうに加くわえイングランドなどの王おうに即位そくいしたジェームズ1世せいが購入こうにゅうしたコレクションで、ウェールズの地図ちず学者がくしゃハンフリー・ルイド（en:Humphrey Llwyd）、初代しょだいラムリー男爵だんしゃくジョン・ラムリー（en:John Lumley, 1st Baron Lumley）、第だい19代だいアランデル伯爵はくしゃくヘンリー・フィッツアランらのコレクションと関連かんれんがある[4]。

1952年ねんに即位そくいした女王じょおうエリザベス2世せいのもとで重要じゅうような美術びじゅつ品ひんがコレクションに加くわえられており、これらには購入こうにゅうや遺贈いぞうのほかに諸しょ外国がいこくや公的こうてき機関きかんからの贈与ぞうよも含ふくまれている[5]。イギリス連邦れんぽうからの贈与ぞうよが多おおく、一いち例れいとして1985年ねんから2001年ねんにかけてカナダ水彩すいさい画が協会きょうかい（CSPWC）から75点てんの現代げんだい水彩すいさい画ががコレクションに加くわえられたことがあげられる。

1962年ねん、バッキンガム宮殿きゅうでんの一角いっかくにクイーンズギャラリーが開設かいせつされ、ロイヤル・コレクションは一般いっぱんに公開こうかいされるようになった。1993年ねんにはロイヤル・コレクション・トラストが設立せつりつされ、コレクション管理かんりの他ほか、ギャラリー運営うんえい、グッズ販売はんばいに至いたるまで、近代きんだい的てきなシステムにより経営けいえいされることとなった（初代しょだい理事りじ長ちょうには皇太子こうたいし時代じだいのチャールズ3世せいが就任しゅうにん）。2002年ねんにはクイーンズギャラリーが拡大かくだいされるとともにエディンバラにも新あらたなギャラリーが開設かいせつされ、スコットランドでもロイヤル・コレクションの鑑賞かんしょうが可能かのうとなった[6]。

主要しゅようなコレクション[編集へんしゅう]

絵画かいが、版画はんが、ドローイング[編集へんしゅう]

アングロアメリカ

オランダ美術びじゅつ（200点てん以上いじょう）[7]

『音楽おんがくの稽古けいこ』（1612年ねん - 1617年ねん）ヨハネス・フェルメール

イギリス美術びじゅつ

『ウィンザー宮みや近況きんきょう』（1841年ねん - 1843年ねん）
エドウィン・ランドシーア

フランドル美術びじゅつ

『聖母せいぼ被ひ昇天しょうてん』（1662年ねん - 1664年ねん頃ごろ）
ピーテル・パウル・ルーベンス

フランス美術びじゅつ

『手紙てがみを読よむ聖せいヒエロニムス』（1621年ねん - 1623年ねん）
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール

ドイツ美術びじゅつ

『我がに触ふれるな (Noli me tangere)』（1532年ねん - 1533年ねん頃ごろ）
ハンス・ホルバイン

イタリア美術びじゅつ

『笛ふえを持もつ少年しょうねん』（1508年ねん頃ごろ）
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ帰属きぞく。以前いぜんはジョルジョーネの作品さくひんと考かんがえられていた。
『果物くだものの皮かわを剥むく少年しょうねん』（1593年ねん）
カラヴァッジョ
『キリスト昇天しょうてん祭さいのブチントーロの帰還きかん』（1732年ねん）
カナレット
アングロアメリカ
オランダ絵画かいが
イギリス絵画かいが
フランドル絵画かいが
フランス絵画かいが
ドイツ絵画かいが
イタリア絵画かいが

フランス調度ちょうど品ひん[編集へんしゅう]

幅広はばひろい年代ねんだいに渡わたって125点てん以上いじょうの作品さくひんがあり、世界せかい最大さいだいかつ最さい重要じゅうようのコレクションになっている。

  • ジョセフ・バウムハウアー - 1点てん
  • ピエール・アントワン・ベランジェ - 13点てん
  • アンドレ＝シャルル・ブーレ - 12点てん;
  • マルタン・カルラン - 2点てん
  • フランソワ＝オノレ＝ジョルジュ・ジャコブ＝デマルテル - 1点てん
  • ヤコブ・フレール - 1点てん
  • ジェラール＝ジャン・ガレ - 1点てん
  • ピエール・ガルニエール - 2点てん
  • ジョルジュ・ヤコブ - 30点てん
  • ジル・ジュベール - 2点てん
  • ピエール・ラングロワ - 5点てん
  • エチエンヌ・ルヴァスール - 7点てん
  • マルタン＝エロイ・リニュルー - 2点てん
  • ベルナール・モリトール - 3点てん
  • ジャン・アンリ・リーズネル - 6点てん
  • フランス国立こくりつセーブル製せい陶すえ所しょ - 1点てん
  • ピエール＝フィリップ・トミール - 15点てん
  • ベンジャミン・ヴリアミー、ベンジャミン・ルイ・ヴリアミー - 4点てん
  • ベンジャミン・ヴリアミー - 3点てん
  • アダム・ヴァイスヴァイラー - 13点てん

ヨーロッパ調度ちょうど品ひん[編集へんしゅう]

イギリス[編集へんしゅう]

  • ロバート・ヒューム - 1点てん

フランドル[編集へんしゅう]

  • 作者さくしゃ未み詳しょう - 2点てん

ドイツ[編集へんしゅう]

  • ヨハン・ダニエル・ゾンマー - 2点てん
  • メルキオール・バウムガルトナー - 2点てん

オランダ 　[編集へんしゅう]

  • 作者さくしゃ未み詳しょう - 1点てん

時計とけい[編集へんしゅう]

  • アンドレ＝シャルル・ブール - 4点てん
  • アブラアム＝ルイ・ブレゲ - 1点てん
  • デ・ラ・クロワ - 1点てん
  • ジェラール＝ジャン・ガレ - 1点てん
  • ジャン＝アントワーヌ・レピン - 1点てん
  • マルタン＝エロイ・リニュルー - 1点てん
  • ピエール＝フィリップ・トミール - 1点てん
  • ベンジャミン・ヴリアミー - 1点てん
  • ベンジャミン・ルイ・ヴリアミー - 1点てん

装飾そうしょく美術びじゅつ[編集へんしゅう]

  • マシュー・ボールトン - 4点てん
  • ファベルジェ - 世界せかい最大さいだいのコレクションの一ひとつ
  • ジェラール＝ジャン・ガレ - 2点てん
  • フランソワ・ルモンド - 12点てん
  • ピエール＝フィリップ・トミール - 3点てん

陶磁器とうじき[編集へんしゅう]

  • フランス国立こくりつセーブル製せい陶すえ所しょ - まず間違まちがいなく世界せかい最大さいだいのコレクション
  • チェルシー磁器じき工房こうぼう - 全すべての磁器じきがコレクションされている

彫刻ちょうこく[編集へんしゅう]

『レリーのヴィーナス』（古代こだいローマ・五ご賢けん帝みかど時代じだい）
2005年ねんから大だい英えい博物館はくぶつかんに貸与たいよされている
  • アントニオ・カノーヴァ - 3点てん
  • フランソワ・ジラルドン - 1点てん
  • ルイ・クロード・ヴァッセ - 1点てん
  • 古代こだいローマ彫刻ちょうこく - 1点てん

タペストリー / 絨毯じゅうたん[編集へんしゅう]

  • ゴブラン織ごぶらんおり - 14点てん

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ The Royal Collection - What is the Royal Collection?
  2. ^ Company Accounts, available from Companies House
  3. ^ “The Queen”. The Sunday Times. Rich List (London). (27 April 2008). オリジナルの2009年ねん5月がつ7日にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090507171859/http://business.timesonline.co.uk/tol/business/specials/rich_list/article3766741.ece 2009年ねん5月がつ20日はつか閲覧えつらん。. 
  4. ^ R. Brinley Jones, ‘Llwyd, Humphrey (1527–1568)’, Oxford Dictionary of National Biography, Oxford University Press, Sept 2004
  5. ^ Royal Treasures, A Golden Jubilee Celebration. Edited by Jane Roberts. Publisher: Royal Collection Enterprises, St. James' Palace, London, 2002. Page 25 (by Sir Hugh Roberts) and Page 391 (chapter 14). ISBN 1 902163 49 4 (h-b uk) and ISBN 1 902163 52 4 (pb uk)
  6. ^ 桜井さくらい武たけし『ロンドンの美術館びじゅつかん』、平凡社へいぼんしゃ新書しんしょ、2008
  7. ^ The Social Affairs Unit - Web Review: Dutch Paintings at the Royal Collection
  8. ^ Jones, Jonathan (2006年ねん8月がつ30日にち). “The real Da Vinci code”. The Guardian (London). http://arts.guardian.co.uk/features/story/0,,1860869,00.html 2011年ねん7月がつ14日にち閲覧えつらん。 
  9. ^ 池上いけがみ英洋ひでひろ『西洋せいよう美術びじゅつ史し入門にゅうもん』筑摩書房ちくましょぼう、2012年ねん、125頁ぺーじ。ISBN 978-4-480-68876-7。 
  10. ^ The Royal Collection - The Art of Italy in the Royal Collection: Renaissance & Baroque

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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