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中村なかむら雄二郎ゆうじろう

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中村なかむら 雄二郎ゆうじろう
人物じんぶつ情報じょうほう
生誕せいたん (1925-10-13) 1925ねん10月13にち
日本の旗 日本にっぽん東京とうきょう
死没しぼつ 2017ねん8がつ26にち(2017-08-26)(91さいぼつ
出身しゅっしんこう 東京大学とうきょうだいがく
学問がくもん
研究けんきゅう分野ぶんや 哲学てつがく
研究けんきゅう機関きかん 明治大学めいじだいがく
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中村なかむら 雄二郎ゆうじろう(なかむら ゆうじろう、1925ねん大正たいしょう14ねん10月13にち - 2017ねん平成へいせい29ねん8がつ26にち)は、日本にっぽん哲学てつがくしゃ評論ひょうろん文学ぶんがく博士はかせ[1]明治大学めいじだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。 

東大とうだい哲学てつがくそつ卒業そつぎょう文化放送ぶんかほうそう就職しゅうしょくするが、1955ねんから明大めいだい勤務きんむし、1964ねん教授きょうじゅとなった。

はやくからフランス人文じんぶん主義しゅぎ関心かんしんをもち、パスカルやデカルトを研究けんきゅうし『パスカルとその時代じだい』(1965ねん)をく。一方いっぽう近代きんだい合理ごうり主義しゅぎきびしく批判ひはんし、感性かんせい情念じょうねん正当せいとう位置いちづけをこころみて『感性かんせい覚醒かくせい』(1975ねん)をあらわした。また人間にんげん存在そんざい根源こんげんから回復かいふくさせる方法ほうほうとして、人間にんげん共通きょうつう感覚かんかく重視じゅうしする『共通きょうつう感覚かんかくろん』(1979ねん)を執筆しっぴつ現代げんだい日本にっぽん代表だいひょうする国際こくさいてき哲学てつがくしゃ一人ひとり

経歴けいれき

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1925ねん東京とうきょうまれ。だい東京とうきょう市立しりつ中学ちゅうがく成城せいじょう高等こうとう学校がっこうて、東京大学とうきょうだいがく文学部ぶんがくぶ卒業そつぎょうした。卒業そつぎょう文化放送ぶんかほうそう入社にゅうしゃ。その明治大学めいじだいがく法学部ほうがくぶうつって教授きょうじゅながつとめた。

講座こうざ生命せいめい」vol.6以降いこうは、高齢こうれいもあり動静どうせいつたわってこない状況じょうきょうであったが、岩波書店いわなみしょてん編集へんしゅうしゃとして長年ながねん仕事しごとともにした大塚おおつか信一しんいちもと社長しゃちょうが、著書ちょしょ哲学てつがくしゃ中村なかむら雄二郎ゆうじろう仕事しごと <道化どうけてきモラリスト>のかた冒険ぼうけん』(トランスビュー)を執筆しっぴつさい東京とうきょうにある中村なかむらたく訪問ほうもんしており、2008ねん時点じてんで、中村なかむら自身じしんが2大病たいびょうたものの、平穏へいおんらしていることあきらかにしていた[2]。しかし、2017ねん8がつ26にち老衰ろうすいのため死去しきょした[3]

研究けんきゅう内容ないよう業績ぎょうせき

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魔女まじょランダこう』について

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  • 代表だいひょうさくは、こう掲『魔女まじょランダこう』である。中村なかむらは、王子おうじ魔女まじょであるははランダに迫害はくがいされるというストーリーのバリ島ばりとう野外やがい演劇えんげきにおいてしめされる、あいすべきははにくむべき魔女まじょというじゅう背反はいはんした関係かんけいをあるときは服従ふくじゅうしつつ、あるときはあらそいつつ克服こくふくすることによってしめされるたんなる理性りせいてき知識ちしきえた身体しんたい共通きょうつう感覚かんかくもとづく実践じっせんてきである「演劇えんげきてき」をもって「近代きんだい解体かいたい」を目指めざした。

共通きょうつう感覚かんかくについて

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  • 中村なかむらが『共通きょうつう感覚かんかくろん』なる自著じちょで、もちいた用語ようご。「常識じょうしき」のことを英語えいごで「コモンセンス」というが、これはアリストテレス哲学てつがく用語ようごである「センススコムニス」が語源ごげんである。コモンセンスは「社会しゃかいかく構成こうせいいんあいだ共通きょうつう感覚かんかく」という意味いみだが、センススコムニスは「五感ごかん統合とうごう様式ようしき」という意味合いみあいだった。両者りょうしゃ綜合そうごうしようというこころみが本書ほんしょでなされており、刊行かんこう当時とうじ流行りゅうこうしていたパラダイムろん身体しんたいろんてきとらなおそうとしたものとみられる[4]
  • この共通きょうつう感覚かんかくは、カントの「統覚とうかく」に非常ひじょうちか概念がいねんだと、西田にしだ哲学てつがくについての講演こうえんかたっている[5]

おも著書ちょしょ著作ちょさく

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  • 現代げんだい世界せかいにおける合理ごうり非合理ひごうり」『講座こうざ 現代げんだい哲学てつがくVI』。 
  • 近代きんだい市民しみん倫理りんり行動こうどう様式ようしき」『人生じんせいろん毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ毎日まいにちライブラリー〉、1958ねん 
  • 『デカルト パスカル』筑摩書房ちくましょぼう世界せかい文学ぶんがく体系たいけい13〉。 

1960年代ねんだい

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1970年代ねんだい

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1980年代ねんだい

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1990年代ねんだい

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  • 哲学てつがく水脈すいみゃく岩波書店いわなみしょてん
  • のう人間にんげん高次こうじ機能きのうをめぐって」「現代げんだい思想しそう」1991,1
  • 臨床りんしょうとはなにか』岩波いわなみ新書しんしょ
  • 『かたちのオディッセイ─エイドス・モルフェー・リズム』岩波書店いわなみしょてん
  • 中村なかむら雄二郎ゆうじろうへん人間にんげん環境かんきょううちそと天理てんりやまと文化ぶんか会議かいぎ天理教てんりきょうどうともしゃ
  • あく哲学てつがくノート』岩波書店いわなみしょてん
  • 人類じんるいしょう百家はっけげん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ朝日あさひ選書せんしょひゃくいえげん講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ
  • 日本にっぽん文化ぶんかあくつみ新潮社しんちょうしゃ
  • 講座こうざ 生命せいめいvol.1』哲学てつがく書房しょぼう
  • 講座こうざ 生命せいめいvol.2』哲学てつがく書房しょぼう
  • 講座こうざ 生命せいめいvol.3』哲学てつがく書房しょぼう
  • 術語じゅつごしゅうII』岩波いわなみ新書しんしょ
  • 述語じゅつごてき世界せかい制度せいど 場所ばしょ論理ろんり彼方かなたへ』岩波書店いわなみしょてん
  • 「インターネット哲学てつがくアゴラ」づけCD-ROM
  • 池田いけだ清彦きよひこ生命せいめい岩波書店いわなみしょてん
  • 金子かねこいくようよわさ』岩波書店いわなみしょてん
  • 町田まちだ宗鳳そうほう宗教しゅうきょう岩波書店いわなみしょてん
  • きょう尚中しょうちゅう文化ぶんか岩波書店いわなみしょてん
  • いとうせいこう哲学てつがく岩波書店いわなみしょてん
  • 上野うえの千鶴子ちづこ日本にっぽん社会しゃかい岩波書店いわなみしょてん
  • 小松こまつ和彦かずひこ岩波書店いわなみしょてん
  • 野家のや啓一けいいち歴史れきし岩波書店いわなみしょてん
  • 正念場しょうねんば岩波いわなみ新書しんしょ
  • 鈴木すずき忠志ただし増補ぞうほばん】『劇的げきてき言語げんご朝日あさひ文庫ぶんこ
  • 講座こうざ 生命せいめいvol.4』河合かわい文化ぶんか研究所けんきゅうじょ

2000年代ねんだい

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  • 精神せいしんのフーガ―音楽おんがくそうのもとに』小学館しょうがくかん
  • 対談たいだんしんきずになどもたち』まことしん書房しょぼう
  • 西田にしだ幾多郎きたろうII』岩波いわなみ現代げんだい文庫ぶんこ
  • 対話たいわしゅう変貌へんぼう現在げんざい青土おうづちしゃ
  • 対話たいわしゅう現代げんだい芸術げいじゅつ戦略せんりゃく青土おうづちしゃ
  • へん市川いちかわひろし身体しんたいろん集成しゅうせい岩波いわなみ現代げんだい文庫ぶんこ
  • 講座こうざ 生命せいめいvol.6』河合かわい文化ぶんか研究所けんきゅうじょ
  • 『テロは世界せかいえたか』青土おうづちしゃ
  • 宗教しゅうきょうとはなにか』岩波いわなみ現代げんだい文庫ぶんこ

著作ちょさくしゅう・エッセイしゅう

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  • 中村なかむら雄二郎ゆうじろうエッセー集成しゅうせい (青土おうづちしゃ、1993ねん)
  • かんがえるたのしみ』
  • 哲学てつがくてき断章だんしょう
  • 共振きょうしんする世界せかい
  • さわするイデー』
  • 表現ひょうげんする生命せいめい
  • 『デザインする意志いし
  • せいのレッスン』1999ねん
  • 哲学てつがくじゅうねん
  • 『デジタルな時代じだい』2000ねん
  • よろこばしきポイエシス』2001ねん
  • 著作ちょさくしゅう だいいち (岩波書店いわなみしょてん、1993ねん)
  • I『情念じょうねんろん
  • II『制度せいどろん
  • III『言語げんごろん
  • IV『方法ほうほう序説じょせつ
  • V『共通きょうつう感覚かんかく
  • VI『パトスろん
  • VII『西田にしだ哲学てつがく
  • VIII『ドラマトゥルギー』
  • IX『術語じゅつごしゅう問題もんだいぐん
  • X『トポスろん
  • 著作ちょさくしゅう だい (岩波書店いわなみしょてん、2000ねん)
  • I『かたちのオディッセイ 』
  • II『臨床りんしょう
  • III『あく哲学てつがくノート』
  • IV『増補ぞうほ 21世紀せいき問題もんだいぐん/術語じゅつごしゅうII』
  • V『宗教しゅうきょう科学かがく/人類じんるいしょう
  • VI『新編しんぺん 日本にっぽん文化ぶんかにおけるあくつみ/正念場しょうねんば
  • VII『述語じゅつごてき世界せかい制度せいど
  • VIII『精神せいしんのフーガ(づけ音楽おんがくろん)』
  • IX『新編しんぺん パスカルとその時代じだい
  • X『新編しんぺん 近代きんだい日本にっぽんにおける制度せいど思想しそう

おも訳書やくしょ

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  • ロジェ・ダヴァル『フランス社会しゃかい思想しそう串田くしだ孫一まごいちともやく白水しろみずしゃ 文庫ぶんこクセジュ、1954ねん、のち改版かいはん
  • フランソワ・グレゴワール『哲学てつがく入門にゅうもん白水しろみずしゃ 文庫ぶんこクセジュ、1963ねん、のち改版かいはん
  • ブレーズ・パスカル『パスカル全集ぜんしゅう2』人文書院じんぶんしょいん公開こうかい書簡しょかんしゅう「プロヴァンシアル」「どう関係かんけい文書ぶんしょ
  • アンリ・ベルクソン道徳どうとく宗教しゅうきょう源泉げんせん』「全集ぜんしゅう6」白水しろみずしゃ、1965ねん度々たびたび新版しんぱん
  • ベルクソン『時間じかん自由じゆう』「世界せかいだい思想しそう河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、1972ねん、オンデマンドばん2005ねん
  • アラン思索しさく行動こうどうのために 著作ちょさくしゅう1』白水しろみずしゃ度々たびたび再刊さいかん
    • 改訳かいやく新版しんぱん哲学てつがく講義こうぎ 白水しろうずイデークラシックス』白水しろみずしゃ、2012ねん
  • アラン『幸福こうふくろん 著作ちょさくしゅう2』串田くしだ孫一まごいちどもやく白水しろみずしゃ白水しろみずUブックスほか新装しんそう再刊さいかん多数たすう
  • ミシェル・フーコー考古学こうこがく河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、1970ねん新装しんそう再刊さいかん多数たすう
  • ミシェル・フーコー『言語げんご表現ひょうげん秩序ちつじょ河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、1972ねん度々たびたび新版しんぱん
  • ガストン・バシュラール否定ひてい哲学てつがく遠山とおやま博雄ひろおどもやく白水しろみずしゃ、1978ねん新版しんぱん1998ねん
  • アンリ・グイエ『人間にんげんデカルト』原田はらだ佳彦よしひこどもやく白水しろみずしゃ、1981ねん新版しんぱん1988ねん

関連かんれん人物じんぶつ

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都市としかい

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「へるめす」同人どうじん

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その

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出典しゅってん

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  1. ^ 国立こくりつ国会こっかい図書館としょかん. “博士はかせ論文ろんぶん『パスカルとその時代じだい”. 2023ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  2. ^ 哲学てつがくしゃ中村なかむら雄二郎ゆうじろう仕事しごと <道化どうけてきモラリスト>のかた冒険ぼうけん』(トランスビュー)のあとがきより
  3. ^ 哲学てつがくしゃ中村なかむら雄二郎ゆうじろうさんが死去しきょ…91さい. 読売新聞よみうりしんぶん. (2017ねん8がつ30にち). https://web.archive.org/web/20170830115333/http://www.yomiuri.co.jp/culture/20170830-OYT1T50106.html 
  4. ^ 共通きょうつう感覚かんかくろん」(岩波いわなみ現代げんだい文庫ぶんこ
  5. ^ 西田にしだ哲学てつがくかたる』239ぺーじ西田にしだ哲学てつがくあたらしさ」(燈影とうえいしゃ
  6. ^ 中村なかむら雄二郎ゆうじろう西田にしだ哲学てつがく日本にっぽん社会しゃかい科学かがく」5-6ぺーじ,『思想しそう 1995ねんだい11ごう』pp.5-22,岩波書店いわなみしょてん,1995ねん

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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