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位相いそう的場まとば理論りろん

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位相いそうじょう理論りろんから転送てんそう

位相いそう的場まとば理論りろん(いそうてきばのりろん)もしくは位相いそうじょう理論りろん(いそうばりろん)あるいはTQFTは、位相いそう変量へんりょう計算けいさんする量子りょうしろんである。[1]

TQFTは物理ぶつり学者がくしゃにより開拓かいたくされたにもかかわらず、数学すうがくてきにも興味きょうみたれていて、むす理論りろん代数だいすうトポロジー4次元じげん多様たようたい理論りろん代数だいすう幾何きかがくモジュライ空間くうかん理論りろんというのものにも関係かんけいしている。サイモン・ドナルドソン, ヴォーン・ジョーンズ, エドワード・ウィッテン, や マキシム・コンツェビッチみなフィールズしょう をとり、位相いそう的場まとば理論りろん関連かんれんした仕事しごとおこなっている。

物性ぶっせい物理ぶつりがくでは、位相いそう的場まとば理論りろんは、分数ぶんすう量子りょうしホール効果こうかや、ストリングネット英語えいごばん凝縮ぎょうしゅく状態じょうたいつよ相関そうかん量子りょうし液体えきたい英語えいごばん状態じょうたいのような、トポロジカル秩序ちつじょ英語えいごばんていエネルギー有効ゆうこう理論りろんである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

位相いそう的場まとば理論りろんでは、相関そうかん関数かんすう時空じくう計量けいりょう依存いぞんしない。このことは、(トポロジーをえない範囲はんいで)時空じくうかたちわっても理論りろん自体じたい不変ふへんであることを意味いみする。もし時空じくうがったり、収縮しゅうしゅくしたりした場合ばあいでも、相関そうかん関数かんすう変化へんかしない。結局けっきょく、それらは位相いそう変量へんりょうとなる。

位相いそう的場まとば理論りろん素粒子そりゅうし物理ぶつりがく使つかわれるミンコフスキー時空じくうにはさほど興味きょうみはない。ミンコフスキー空間くうかんは、ちぢみ空間くうかん英語えいごばんであるから、そのうえの TQFT は自明じめい位相いそう変量へんりょうのみの計算けいさん結果けっかとなる。結局けっきょく、TQFTは普通ふつうたとえばリーマンめんのような、がった時空じくうじょう研究けんきゅうされる。られている位相いそう的場まとば理論りろん大半たいはんは、5次元じげん未満みまん時空じくううえ定義ていぎ英語えいごばんされている。いくらかたか次元じげん理論りろん存在そんざいしそうであるが、あまりよくられてはいない。

量子りょうし重力じゅうりょくは(ある適当てきとう意味いみで)背景はいけい独立どくりつであるとしんじられていて、TQFT は背景はいけい独立どくりつ量子りょうしろんれい提供ていきょうする。これはこのクラスのモデルの理論りろんてき研究けんきゅう前進ぜんしんさせるというあかしである。

(注意ちゅうい事項じこう: TQFT は有限ゆうげん自由じゆうしかたないとわれることがある。これは基本きほんてき性質せいしつではない。物理ぶつり学者がくしゃ数学すうがくしゃ研究けんきゅうしているれい大半たいはんは、これが有限ゆうげん自由じゆうつこということがあるが、しかし、かならずしも有限ゆうげん自由じゆう必要ひつようはない。もし無限むげん次元じげん射影しゃえい空間くうかんをターゲット空間くうかんとする位相いそうてきシグマモデル定義ていぎされたとすれば、それは可算かさん無限むげん自由じゆう位相いそう的場まとば理論りろんである。

位相いそう的場まとば理論りろんのタイプ[編集へんしゅう]

られている位相いそう的場まとば理論りろんは、2つの一般いっぱんてきなクラスへけられる。ひとつはシュワルツタイプの TQFT であり、もうひとつはウィッテンタイプの TQFT である。ウィッテンタイプの TQFT はコホモロジカルな理論りろんとしてもられている。(Schwarz 2000) を参照さんしょう

シュワルツタイプ TQFT[編集へんしゅう]

シュワルツタイプ TQFTでは、けい相関そうかん函数かんすうあるいは分配ぶんぱい函数かんすうは、計量けいりょう独立どくりつ作用さようひろし関数かんすう経路けいろ積分せきぶんとしてあたえられる。たとえば、BFモデル(BF model)では、時空じくうは2次元じげん多様たようたい M であり、観測かんそくりょうは2-形式けいしき F補助ほじょスカラーじょう B とそれらの微分びぶんから構成こうせいされる。(経路けいろ積分せきぶん決定けっていする)作用さようは、

である。時空じくう計量けいりょうはこの理論りろんにはまったあらわれないので、理論りろんあきらかに位相いそうてき不変ふへんである。位相いそうじょう理論りろん最初さいしょれいはシュワルツによる1977ねん提出ていしゅつされたれいであり、作用さようひろし関数かんすう

である。もうひとつ、さらに有名ゆうめいれいチャーン・サイモンズ理論りろんであり、この理論りろんむす変量へんりょう計算けいさんすることができる。一般いっぱんには、分配ぶんぱい関数かんすう計量けいりょう依存いぞんするが、上記じょうきれいでは計量けいりょうとは独立どくりつであることがしめされている。

ウィッテンタイプ TQFT[編集へんしゅう]

ウィッテンタイプの位相いそう理論りろん最初さいしょれいは、1988ねんのウィッテンの論文ろんぶん(Witten 1988a)にあらわれ、それでは4次元じげん位相いそうてきヤン=ミルズ理論りろんである。その作用さようひろし関数かんすう時空じくう計量けいりょう ふくんでいるが、位相いそうてきツイストしたのちでは、計量けいりょう独立どくりつとなることがかる。けいエネルギー・運動うんどうりょうテンソル 計量けいりょう独立どくりつせいは、BRST作用素さようそ英語えいごばんじているかかにかかっている。ウィッテンのれいのちに、位相いそうてきつる理論りろんおおくのれい発見はっけんされている。

ウィッテンタイプの位相いそうじょう理論りろんは、つぎ条件じょうけんみた場合ばあい成立せいりつする。

1.TQFTの作用さよう 対称たいしょうせいつこと、つまり、対称たいしょうせい変換へんかんあらわしているとすると(たとえば、リー微分びぶん)、みたすこと。
2.対称たいしょうせい変換へんかん完全かんぜんであること、つまり、 であること。
3.観測かんそく可能かのうりょう 存在そんざいして、すべての たいして みたすこと。
4.エネルギー・運動うんどうりょうテンソル(もしくは、同様どうよう物理ぶつりりょう)が、任意にんいのテンソル たいして かたちをしていること。

れいとして、みたすようなそと微分びぶん(リー微分びぶん)をつ 2-形式けいしき がある。この場合ばあいには、

であるので、作用さよう 対称たいしょうせいっている。さらに、(独立どくりつであり、ひろし函数かんすう微分びぶんおなじように作用さようするという条件じょうけんしたで)

みたす。 という表現ひょうげんは、べつな 2-形式けいしき つような 比例ひれいすることを意味いみする。

ここで、対応たいおうするハール測度そくどたいする観測かんそく可能かのうりょう 平均へいきんは、幾何きかがくてき たい独立どくりつであるので、位相いそうてきである。

.

だいさんどうごうは、対称たいしょうせい変換へんかんしたではハール測度そくど不変ふへんであるという事実じじつ使つかった。数値すうちでしかないので、リー微分びぶんはこれへ適用てきようすると 0 となる。

数学すうがくてき定式ていしき[編集へんしゅう]

元来がんらいのアティヤ-セーガルの公理こうり[編集へんしゅう]

マイケル・アティヤは、グラミエ・セーガル英語えいごばん提案ていあんしたきょうかたちじょう理論りろん公理こうり後日ごじつ、セーガルは、(Segal 2001) にまとめた)や、ウィッテンのちょう対称たいしょうせい幾何きかがくてき意味いみについてのかんがかた(Witten 1982)に動機付どうきずけられて、一連いちれん位相いそう的場まとば理論りろん公理こうり示唆しさした(Atiyah 1988)。アティヤの公理系こうりけいは、微分びぶん可能かのう写像しゃぞう位相いそう同型どうけい写像しゃぞう、もしくは、連続れんぞく写像しゃぞう)で境界きょうかいわせることで構成こうせいされるが、一方いっぽう、セーガルの公理系こうりけいは、きょうかたち写像しゃぞう構成こうせいされている。シュワルツタイプは、ウィッテンタイプの全体ぜんたいをとらえていることがあきらかではないにもかかわらず、これらの公理こうりではシュワルツタイプのほうが、数学すうがくてきにはうまくあつかわれた。基本きほんてきなアイデアは、TQFT とは、あるコボルディズムけんからベクトル空間くうかんけんへのはこしゅであるということである。

実際じっさい、Atiyahの公理こうりばれて当然とうぜんである公理系こうりけいには、2つのことなったセットがあり、基本きほんてきには、TQFTを研究けんきゅうするときにひとつの固定こていした n 次元じげんリーマン/ローレンツ時空じくう M をかんがえるのか、それともすべての n 次元じげん時空じくう同時どうじかんがえるのかのちがいがある。

単位たんいもと 1 をかわたまきとする。(現実げんじつには、ほとんどの場合ばあいΛらむだ として Z, R もしくは C としている。)元々もともと、アティヤは以下いかるように基礎きそとなるたまき うえ定義ていぎされた d 次元じげん位相いそう的場まとば理論りろん公理こうり提案ていあんしている。 この提案ていあんは、位相いそう空間くうかんけんとしても特徴付とくちょうづ英語えいごばんている。

(A) きづけられたじた d 次元じげん微分びぶん可能かのう多様たようたい むすびついた有限ゆうげん生成せいせい -ぐん (ホモトピーせい公理こうり対応たいおう),
(B) きづけられた (d+1) 次元じげん微分びぶん可能かのう多様たようたい境界きょうかいつ)むすびついたもと (加法かほうせい公理こうり対応たいおう).

これらのデータはつぎのような公理こうりとなる。

(1) 微分びぶん同相どうしょうについては はこしゅてき(functorial) である。
(2) たいごう(involutory)てき、すなわち、 である。ここに きづけをぎゃくにした であり、そうたいぐんあらわすことにする。
(3) 乗法じょうほうてき(multiplicative)である.

さらに、アティヤは2つの公理こうり(4)と(5)をこれらにくわえた。

(4) d 次元じげんそら多様たようたいについて とし、(d+1) 次元じげんそら多様たようたいについては とする。

もしもじた多様たようたい たい数値すうちてき不変ふへんりょうとみなすと、境界きょうかい多様たようたいたい を「相対そうたいてき変量へんりょうかんがえることができる。微分びぶん同相どうしょうたもきづけで、はし により同一どういつする。これが多様たようたい あたえ、この公理こうり

ということを意味いみしている。ここに こされた自己じこ同型どうけいである。

(5) である。(エルミートせい公理こうり) 同値どうちであるが、随伴ずいはん作用素さようそである。

境界きょうかい 多様たようたい たいし、共通きょうつう部分ぶぶん つねつねじた多様たようたいとできることに注意ちゅういすると、(5) は、

であることをしめしている。この右辺うへんはエルミートな(定値ていちでもよいが)計量けいりょうでのノルムとなっている。

物理ぶつりとの関係かんけい[編集へんしゅう]

物理ぶつりてきには (2)+(4) は相対そうたいろんてき不変ふへんせい関連かんれんしていて、一方いっぽう (3)+(5) は理論りろん量子りょうしてき性質せいしつしめしている。

物理ぶつりてき空間くうかんあらわしていることを意図いとしていて (標準ひょうじゅんてき物理ぶつりでは d = 3 )、なか余剰よじょう次元じげんは「きょ時間じかんである。空間くうかん 量子りょうしろんヒルベルト空間くうかんであり、ハミルトニアン 物理ぶつりてき理論りろんは、時間じかん発展はってん作用素さようそ  、もしくは「むなし時間じかん作用素さようそ っている。「位相いそうてき量子りょうしじょう理論りろんときであり、このことはシリンダー 沿った実際じっさいちからや(なみの)伝播でんぱはないことを意味いみしている。しかしながら、境界きょうかい ち、 から あいだ介在かいざいする多様たようたい とおして、自明じめいな「伝播でんぱ」(もしくはトンネル振幅しんぷく)がありうる。これは のトポロジーを反映はんえいしている。

もし であれば、ヒルベルト空間くうかん なかのベクトル は、 により定義ていぎされた 真空しんくう期待きたいかんがえることができる。じた多様たようたい たいして、数値すうち 真空しんくう期待きたいである。統計とうけい力学りきがくとのアナロジーでは、分配ぶんぱい関数かんすうばれる。

ゼロハミルトニアンを理論りろんがなぜうまく定式ていしきされるかの理由りゆうは、量子りょうしろん(QFT)への経路けいろ積分せきぶんのアプローチにある。これは相対そうたいろんてき不変ふへんせい (これが (d+1) 次元じげんの「時空じくう」を提供ていきょうするのあるが) とあいまって、理論りろん形式けいしきてき適当てきとうラグランジアン -つまり理論りろん古典こてんじょうひろし関数かんすうくだすことにより定義ていぎされる。時間じかんかんしての形式けいしきてきだいいち微分びぶん意味いみするラグランジアンは、ゼロハミルトニアンを導出どうしゅつするが、ラグランジアン自体じたい のトポロジーにハミルトニアンを関連付かんれんづける自明じめい様子ようすていするかもしれない。

アティヤのれい[編集へんしゅう]

1988ねん、アティヤは当時とうじかんがえられていた位相いそうてき量子りょうしじょうあたらしいれいいた論文ろんぶん提出ていしゅつした。(Atiyah 1988) このなかには、いくつかのあたらしい位相いそうてき不変ふへんりょうあたらしいかんがかたがのべられている。それらは、キャッソン変量へんりょうドナルドソン変量へんりょうグロモフの理論りろん英語えいごばんフレアーホモロジージョーンズ-ウィッテン理論りろんである。

d = 0 の場合ばあいには、空間くうかん 有限ゆうげんてんからなる。ひとつのてんには、ベクトル空間くうかん むすいていて、n-てんには n じゅうのテンソルせき : むすびつている。対称たいしょうぐん うえ作用さようする。量子りょうしろんヒルベルト空間くうかん標準ひょうじゅんてき方法ほうほうは、古典こてんてきシンプレクティック多様たようたい (もしくはあい空間くうかん) をあたえ、それを量子りょうしする。対称たいしょうぐん をコンパクトリーぐん 拡張かくちょうし、直線ちょくせんたばからできるシンプレクティック構造こうぞうの「積分せきぶん」な軌道きどうかんがえると、量子りょうし うえへのすんでやく表現ひょうげんみちびく。これはボレル-ヴェィユの定理ていり英語えいごばんもしくはボレル-ヴェィユ-ボットの定理ていり英語えいごばん物理ぶつり解釈かいしゃくとなる。これらの理論りろんのラグランジアンは古典こてん作用さよう (直線ちょくせんたばホロノミー英語えいごばん)である。このようにして、次元じげんが d = 0 の位相いそうてき量子りょうしじょう理論りろん自然しぜんにリーぐん対称たいしょうぐん古典こてんてき表現ひょうげんろん関係かんけいしている。[2]
d = 1 の場合ばあいは : コンパクトなシンプレクティック多様たようたい なかへいループによってあたえられる周期しゅうきてき境界きょうかい条件じょうけんかんがえる。(Witten 1982)にしたがうと、そのようなループのしゅうるホロノミーは、d = 0 のときにラグラジアンとして使つかったように、ハミルトニアンを変形へんけいすることに使つかわれる。じた曲面きょくめん たいし、理論りろん変量へんりょう は、グロモフの意味いみで(もし ケーラー多様たようたいであれば、通常つうじょう正則せいそく写像しゃぞうである)、なずらえ正則せいそく写像しゃぞうかずである。もしこのかず無限むげんだいとなる、つまり「モジュライ」があるとき、 うえのデータを固定こていする必要ひつようがある。これは、いくつかのてん をとり、まったちょう平面へいめん固定こていする正則せいそく写像しゃぞう かんがえることで可能かのうとなる。(Witten 1988b)はこの理論りろん適当てきとうなラグランジアンをくだした。フレアーは(Witten 1982)のモース理論りろんのアイデアにもとづき、厳密げんみつあつかフレアーホモロジー考案こうあんした。境界きょうかい条件じょうけん周期しゅうきてきであることにかわり、区間くかんである場合ばあいには、経路けいろ最初さいしょ端点たんてん最後さいご端点たんてんは2つのラグランジュ部分ぶぶん多様たようたいうえにある。この理論りろんは、グロモフ・ウィッテン変量へんりょう理論りろんとして発展はってんした。
れいは、正則せいそくきょうかたちじょう理論りろんであり、1988ねん当時とうじはヒルベルト空間くうかん無限むげん次元じげんであるため厳密げんみつ量子りょうしじょう理論りろんではなかったかもしれない。きょうかたちじょう理論りろんもコンパクトリーぐん 関連かんれんしていて、そこでは古典こてんてきあい空間くうかんはループぐん 中心ちゅうしん拡大かくだいからなる。これらを量子りょうしすると、すんでやくな(射影しゃえいてき表現ひょうげんろんのヒルベルト空間くうかん生成せいせいされる。ここでぐん 対称たいしょうぐんにとってかわり、重要じゅうよう役目やくめたす。そのような理論りろん分配ぶんぱい関数かんすうは、複素ふくそ構造こうぞう依存いぞんしていて、純粋じゅんすいにトポロジカルではない。
d = 2 の場合ばあいもっと重要じゅうよう理論りろんはジョーンズ-ウィッテン理論りろんである。そこでは、古典こてんてきあい空間くうかんは、閉曲めん むすいていて、うえ平坦へいたん -バンドルのモジュライ空間くうかんである。ラグランジアンは(わくきである)3-次元じげん多様たようたいうえ-接続せつぞくチャーン・サイモンズ形式けいしき整数せいすうばいである。整数せいすうばい整数せいすう はレベルともばれ、理論りろんのパラメータであり、古典こてん極限きょくげんあたえる。この理論りろん自然しぜんに d = 0 の理論りろん結合けつごうし、「相対そうたいてき」な理論りろん生成せいせいする。詳細しょうさいはウィッテンによりしめされ、3-たまないの(わくき)から分配ぶんぱい関数かんすうは、まさに適当てきとう単位たんいたいするジョーンズ多項式たこうしきになる。理論りろん適当てきとうえんぶんからだうえ定義ていぎすることができる。境界きょうかいったリーマンめんかんがえると、この理論りろんは、d = 0 に結合けつごうした d = 2 理論りろんかわりに、d = 1 のきょうかたち理論りろんになっている。この理論りろんはジョーンズ-ウィッテン理論りろんとして発展はってんし、むす理論りろん量子りょうしろんむす契機けいきとなったことがかる。[3]
d = 3 の場合ばあいは、ドナルドソンが インスタントンのモジュライ空間くうかん使つかい、微分びぶん可能かのう4次元じげん多様たようたい整数せいすう変量へんりょう定義ていぎした。これらの変量へんりょうだいホモロジーのうえ多項式たこうしきである。このように4次元じげん多様たようたいは、対称たいしょう代数だいすうからなる余剰よじょうなデータをっている必要ひつようがある。 (Witten 1988a) はドナルドソン理論りろん形式けいしきてき再現さいげんするちょう対称たいしょうせいつラグランジアンを提示ていじした。ウィッテンの公式こうしきガウス-ボネの定理ていり(Gauss-Bonnet theorem)の無限むげん次元じげんでの類似るいじかんがえることができるかもしれない。後日ごじつ、この理論りろんはさらに発展はってんし、ちょう対称たいしょうせいつ4次元じげん ゲージ理論りろんは、還元かんげんできるというサイバーグ-ウィッテン理論りろんとなっていく。この理論りろんのハミルトニアンのバージョンは、フレアーにより3-次元じげん多様たようたい接続せつぞくつく空間くうかんのことばで研究けんきゅうされた。フレアーはジョーンズ-ウィッテン理論りろんのラグランジアンであるチャーン-サイモンズひろし関数かんすう使つかい、ハミルトニアンを変形へんけいした。詳細しょうさいは (Atiyah 1988) を参照さんしょうのこと. (Witten 1988a) もまた、どのように d = 3 の理論りろんと d = 1 の理論りろんたがいに関連かんれんしているかをしめしていて、これはジョーンズ-ウィッテン理論りろんの d = 2 と d = 0 の理論りろん関係かんけい酷似こくじしている。

さて、固定こていした次元じげんかんがえるのではなく、同時どうじすべての次元じげんかんがえると、位相いそう的場まとば理論りろんはこしゅとみなすことができる。

固定こていした時空じくう場合ばあい[編集へんしゅう]

を、(morphism)が M の n 次元じげん部分ぶぶん多様たようたいであり、対象たいしょうがそのような部分ぶぶん多様たようたい境界きょうかい連結れんけつ成分せいぶんであるようなカテゴリとする。M の部分ぶぶん多様たようたいとおしてホモトピックであれば、2つの同値どうちとみなし、そのことによりしょうカテゴリを とすると、対象たいしょう(object)は 対象たいしょうとなり、のホモトピー同値どうちるいである。M の位相いそう的場まとば理論りろんとは、 からベクトル空間くうかんのカテゴリへの対称たいしょうモノイダルはこしゅ英語えいごばんである。

もし、境界きょうかい一致いっちするのであれば、コボルディズムはたがいにわせて、あたらしいボルディズムを生成せいせいすることに注意ちゅういすると、コボルディズムのカテゴリの合成ごうせいりつであることがかる。合成ごうせいりつ保持ほじすることがはこしゅには要求ようきゅうされるので、たがいにわせた対応たいおうする線型せんけい写像しゃぞうは、まさに各々おのおの部品ぶひん線型せんけい写像しゃぞう合成ごうせいならない。

2次元じげん位相いそう的場まとば理論りろんのカテゴリとかわフロベニウス代数だいすうのカテゴリのあいだにはカテゴリ同値どうち英語えいごばんがある。

同時どうじすべての n 次元じげん時空じくうかんがえる[編集へんしゅう]

パンツのペア英語えいごばん(1+1) 次元じげんボルディズムで、2 次元じげんTQFTのせきもしくはせき対応たいおうしている。

すべての時空じくう同時どうじかんがえる、 をよりおおきなカテゴリでえる必要ひつようがある。 をボルディズムのカテゴリとする。すなわち、境界きょうかいった n-次元じげん多様たようたいであり、対象たいしょう(object)が n 次元じげん多様たようたい境界きょうかい連結れんけつ成分せいぶんであるようなカテゴリとする。(任意にんい-次元じげん多様たようたい 対象たいしょう(object)としてあらわれるかもしれない) じょうのように、2つのなか同値どうちとは、それらがホモトピックであり、しょうカテゴリ 形成けいせいする場合ばあいをいう。 はそれらのちょくからつくられるボルディズムへ2つのボルディズムをっていく操作そうさしたモノイダルはこしゅ英語えいごばんである。すると n-次元じげん多様たようたいじょう位相いそう的場まとば理論りろんは、 からベクトル空間くうかんのカテゴリへのはこしゅである。そのときは、ベクトル空間くうかんのテンソルせきをボルディズムの直和なおかずとすることで構成こうせいされる。

たとえば、(1+1) 次元じげんボルディズム (1次元じげん多様たようたいあいだの2次元じげんボルディズム)にたいして、パンツのペア英語えいごばんむす写像しゃぞうは、せきもしくはせきをもたらし、境界きょうかい成分せいぶんがどのようにグループされるかとは独立どくりつである – かわもしくはかわである。一方いっぽう、ディスクにむすいた写像しゃぞうは、コユニット (トレース) もしくはユニット (スカラー)をもたらし、境界きょうかいのグループとは独立どくりつであるので、(1+1) 次元じげん位相いそう的場まとば理論りろんは、フロベニウス代数だいすう対応たいおうする。

さらに最近さいきん上記じょうきのボルディズムで関係かんけいづけられた4次元じげん、3次元じげん、2次元じげん多様たようたい同時どうじかんがえることで、豊富ほうふ重要じゅうようれいられている。

その発展はってん[編集へんしゅう]

位相いそう的場まとば理論りろん発展はってんをみると、それが非常ひじょうおおくの応用おうようっていることがかる。応用おうようさきは、サイバーグ-ウィッテン理論りろん英語えいごばん位相いそうてきつる理論りろんむす理論りろん量子りょうしろんとの関係かんけい量子りょうしむす変量へんりょうである。さらに、数学すうがく物理ぶつり双方そうほう非常ひじょう興味深きょうみぶか対象たいしょう提供ていきょうしている。

最近さいきん非常ひじょう興味きょうみをもたれていることとして、位相いそう的場まとば理論りろん局所きょくしょ作用素さようそがある。(Gukov & Kapustin (2013)) つる理論りろん基本きほんてきなものとすると、局所きょくしょてき位相いそうじょう理論りろん計算けいさん可能かのう局所きょくしょつる理論りろん充分じゅうぶん近似きんじすることができる物理ぶつりてきモデルとなすことができる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 適当てきとう参考さんこうしょ日本語にほんごにはないが、(河野こうの 1998)をげた。
  2. ^ (河野こうの 1998)のxiiページにBorel-Weilの定理ていりとシンプレクティック幾何きかがくのことが記載きさいされている。どう趣旨しゅしってもよい。
  3. ^ (河野こうの 1998)のだいしょうは「Jones-Witten 理論りろん」とだいして、詳細しょうさい記述きじゅつがある。きょうかたちじょう理論りろんについての記述きじゅつもある。だいさんしょうは「Chern-Simons摂動せつどう理論りろんである。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

Template:Quantum field theories

  • 河野こうの, しゅんたけ (1998), “理論りろんとトポロジー”, 岩波いわなみ講座こうざ 現代げんだい数学すうがく展開てんかい 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]