兄弟きょうだい仁義じんぎ (映画えいが)

兄弟きょうだい仁義じんぎ
Code between Brothers
監督かんとく	山下やました耕作こうさく
脚本きゃくほん	村尾むらお昭あきら 鈴木すずき則のり文ぶん
製作せいさく	橋本はしもと慶一けいいち 西川にしかわ幸男ゆきお 俊しゅん藤ふじ浩ひろし滋しげる
出演しゅつえん者しゃ	松方まつかた弘樹ひろき 北島きたじま三郎さぶろう 村田むらた英雄ひでお 鶴田つるた浩二こうじ
音楽おんがく	菊池きくち俊輔しゅんすけ
撮影さつえい	わし尾び元也もとなり
編集へんしゅう	神田かんだ忠男ただお
製作せいさく会社かいしゃ	東映とうえい京都きょうと撮影さつえい所しょ
配給はいきゅう	東映とうえい
公開こうかい	1966年ねん4月がつ23日にち
上映じょうえい時間じかん	87分ふん
製作せいさく国こく	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
次つぎ作さく	続ぞく兄弟きょうだい仁義じんぎ

『兄弟きょうだい仁義じんぎ』（きょうだいじんぎ）は、1966年ねん4月がつ23日にち公開こうかいの日本にっぽん映画えいが。モノクロ・シネマスコープ（2.35:1）・87分ふん。東映とうえい京都きょうと製作せいさく・東映とうえい配給はいきゅう。主演しゅえん：松方まつかた弘樹ひろき・北島きたじま三郎さぶろう。松方まつかたとの連名れんめいながら、北島きたじま三郎さぶろうの初はつ主演しゅえん映画えいがである。『兄弟きょうだい仁義じんぎ』シリーズ（全ぜん8作さく）の第だい1作さく。

1965年ねんに北島きたじまが発売はつばいした同名どうめい歌曲かきょくを映画えいが化か。ヤクザ渡世とせいにおける兄弟分きょうだいぶんの契ちぎりをテーマにした映画えいがであり、楽曲がっきょくと共ともに映画えいがも大だいヒットした。シリーズは鶴田つるた浩二こうじら大物おおものスターが特別とくべつ出演しゅつえんをする任侠にんきょう映画えいがの傑作けっさくとして名高なだかい。

東映とうえい任侠にんきょう路線ろせんは本ほん作さくの成功せいこうにより、鶴田つるた浩二こうじ、高倉たかくら健けんの二に枚まい看板かんばんに、北島きたじま三郎さぶろう、村田むらた英雄ひでおという人気にんき歌手かしゅの主演しゅえんスターを得えて、さらに盤石ばんじゃくなスター・ローテーションを築きずいていった。

製作せいさく

企画きかく

『日本にっぽん侠客きょうかく伝でん』（1964年ねん。日本にっぽん侠客きょうかく伝でんシリーズ第だい1作さく）を機きに、京都きょうと撮影さつえい所しょ所長しょちょう・岡田おかだ茂しげるとプロデューサー・俊しゅん藤ふじ浩ひろし滋しげるは、「主人公しゅじんこうとそれを支ささえる流ながれ者もの」という形かたちに眼めをつけた。これなら男おとこ同士どうしの情念じょうねんも描えがけるし、鶴田つるた浩二こうじ主演しゅえんの『博徒ばくとシリーズ』（1964年ねん - 1971年ねん）にはない形かたちなので「独自どくじのカラーが出だせる、毎回まいかいこれでいこうや」となって、毎回まいかいゲストを出だしては途中とちゅうで殺ころす、という東映とうえい任侠にんきょう映画えいがのひとつのパターンが出来上できあがった。このパターンを発展はってんしたのが、1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）からの『昭和しょうわ残ざん侠伝シリーズ』で、さらに流ながれ者ものの殴なぐり込こみを一本立いっぽんだちさせたのがこの『兄弟きょうだい仁義じんぎ』シリーズである。

北島きたじま三郎さぶろうは、「歌手かしゅとしてデビューしたばかりの自分じぶんを、映画えいがの世界せかいに導みちびいてくれたのが、岡田おかださんと俊しゅん藤ふじさんでした。まさに芸げいの道みちを開ひらいてくれた恩人おんじんです」と話はなした。

当時とうじの北島きたじまの俳優はいゆうとしてのキャリアがまだ浅あさかったため、低てい予算よさんとなったことから、本ほん作さくはシリーズ唯一ゆいいつの白黒しろくろ作品さくひんである。

当時とうじ芸能人げいのうじんの暴力団ぼうりょくだんとの縁切えんきり声明せいめいが出でたため、暴力ぼうりょく映画えいがのメッカ東映とうえいでもこれに応おうじるように暴力ぼうりょく否定ひていの企画きかくが多数たすう挙あがっていた。今井いまい正ただし監督かんとくの仮題かだい『母かあさんと呼よべた』は、原爆げんばくで両親りょうしんを失うしなった男おとこが、妹いもうとと弟おとうとを養やしなうため、暴力団ぼうりょくだんに入はいり、のっぴきならぬ境遇きょうぐうに陥おちいり、これを見みかねてかつての乳母うばが愛あいに手てを差さしのべるという内容ないよう。東映とうえいはこれまで口くちにしたことのない『二に十じゅう四よんの瞳ひとみ』東映とうえい版ばんと吹聴ふいちょうしていた。また山本やまもと薩夫監督かんとくでも、東映とうえい暴力団ぼうりょくだん映画えいがの元締もとじめ・鶴田つるた浩二こうじが学校がっこうの先生せんせいに扮ふんし、生徒せいとたちの悪あくに立たち向むかう、1955年ねんの著名ちょめいなアメリカ映画えいが『暴力ぼうりょく教室きょうしつ』のパクリで、1976年ねんに同おなじ東映とうえいで、松田まつだ優作ゆうさく主演しゅえんで映画えいが化かされている。マスメディアから「変かわれば変かわるものだ」「春はるの映画えいが界かいの珍事ちんじ」などと揶揄やゆされたが、また本ほんシリーズも大だいヒットしたことで、先さきの二に本ほん他た、暴力ぼうりょく否定ひてい映画えいがは全すべて吹ふき飛とばされ、似にたパターンのヤクザ映画えいがで押おし切きることになった。

宣伝せんでん・興行こうぎょう

広ひろく出回でまわった宣伝せんでんポスターには、当初とうしょ出演しゅつえん予定よていだった里見さとみ浩太郎こうたろう、大木おおき実みのる、遠藤えんどう辰雄たつお、関山せきやま耕司こうじ、小川おがわ知子ともこ、ルーキー新一しんいち、小島こじま慶四郎けいしろう、小松こまつ方正ほうせいらの姿すがたがみられるが、最終さいしゅう的てきには下記かきのキャストとなった。

キャスト

クレジットタイトルの順じゅんは松方まつかた弘樹ひろき・北島きたじま三郎さぶろうの連名れんめい（松方まつかたが上手じょうず）から始はじまり、鶴田つるた浩二こうじはトメで「友情ゆうじょう出演しゅつえん」の注ちゅうが添そえられている。2作さく目め以後いごは北島きたじまが主演しゅえんクレジットとなる。

• 藤ふじ上うえ栄次郎えいじろう：鶴田つるた浩二こうじ

  「流ながれ星ぼしの栄次えいじ」の通称つうしょうを持もつ浅草あさくさ生うまれの旅人たびびと。上うえ州しゅう鳴子なるこ組ぐみ客人きゃくじん。

• 貴島きじま勝次かつじ：北島きたじま三郎さぶろう

  イカサマをする半端はんぱなヤクザだったが改心かいしんし、上うえ州しゅう鳴子なるこ組ぐみが経営けいえいする旅館りょかんの従業じゅうぎょう員いんとなる。函館はこだて生うまれ。

• 岩木いわき五郎ごろう：人見ひとみきよし

  貴島きじまとコンビを組くむイカサマ師し。

上うえ州しゅう鳴子なるこ組ぐみ

• 鳴子なるこ治ち三郎さぶろう：村田むらた英雄ひでお

  鳴子なるこ組ぐみ組長くみちょう。

• 鳴子なるこくに：宮園みやその純子じゅんこ

  組長くみちょうの娘むすめ。清滝きよたきの婚約こんやく者しゃ。

• 清滝きよたき勇吉ゆうきち：松方まつかた弘樹ひろき

  鳴子なるこ組ぐみ代だい貸かし。貴島きじまの兄貴あにき分ぶんになる。

鬼頭おにがしら組ぐみ

• 鬼頭おにがしら鉄五郎てつごろう：安部あべ徹とおる

  鬼頭おにがしら組ぐみ組長くみちょう。

• 神田かんだ儀ただし市し：曽根そね晴美はるみ

  鬼頭おにがしら組ぐみ若衆わかしゅ。

• 武井たけい唐とう助すけ：佐藤さとう京一きょういち

  鬼頭おにがしら組ぐみ若衆わかしゅ。

• 赤あか蟹かにの寅とら七なな：阿波あわ地ち大輔だいすけ

  鬼頭おにがしら組ぐみ若衆わかしゅ。

その他た

• 黒江くろえ元三もとぞう：待まち田京たきょう介かい

  鬼頭おにがしら組ぐみ客人きゃくじん。

• 大岩おおいわ喜之助きのすけ：香川かがわ良介りょうすけ

  草間くさま温泉おんせんの地主じぬし。湯元ゆもとの地所じしょを鬼頭おにがしらに売うる。

• 小関おぜき次郎じろう：新川しんかわ二に朗ろう

  祭まつりの歌手かしゅ。

• おゆき：二宮にのみやゆき子こ

  小料理こりょうり屋やの店員てんいん。

同時どうじ上映じょうえい

『網走あばしり番外地ばんがいち 荒野あらのの対決たいけつ』

• 主演しゅえん：高倉たかくら健けん / 脚本きゃくほん・監督かんとく：石井いしい輝男てるお

※『網走あばしり番外地ばんがいち』シリーズ第だい5作さく

ネット配信はいしん

• 東映とうえいシアターオンライン（YouTube）：2023年ねん11月3日にち21:00（JST） - 同年どうねん同月どうげつ17日にち20:59（JST）

兄弟きょうだい仁義じんぎシリーズ

• 兄弟きょうだい仁義じんぎ（1966年ねん）
• 続ぞく兄弟きょうだい仁義じんぎ（1966年ねん）
• 兄弟きょうだい仁義じんぎ 関東かんとう三さん兄弟きょうだい（1966年ねん）
• 兄弟きょうだい仁義じんぎ 続ぞく関東かんとう三さん兄弟きょうだい（1967年ねん）
• 兄弟きょうだい仁義じんぎ 関東かんとう命知いのちしらず（1967年ねん）
• 兄弟きょうだい仁義じんぎ 関東かんとう兄貴あにき分ぶん（1967年ねん）
• 兄弟きょうだい仁義じんぎ 逆縁ぎゃくえんの盃さかずき（1968年ねん）
• 新しん兄弟きょうだい仁義じんぎ（1970年ねん）

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

参考さんこう文献ぶんけん・ウェブサイト

• 大高おおだか宏ひろし雄ゆう『仁義じんぎなき映画えいが列伝れつでん』鹿砦ろくさい社しゃ、2002年ねん。ISBN 978-4846306366。 
• 笠原かさはら和夫かずお『映画えいがはやくざなり』新潮社しんちょうしゃ、2003年ねん。ISBN 978-4104609017。 

外部がいぶリンク

• 兄弟きょうだい仁義じんぎ - 日本にっぽん映画えいが製作せいさく者しゃ連盟れんめい
• 「兄弟きょうだい仁義じんぎ」シリーズ - 日本にっぽん映画えいが製作せいさく者しゃ連盟れんめい
• 兄弟きょうだい仁義じんぎ - allcinema
• 兄弟きょうだい仁義じんぎ - KINENOTE
• 兄弟きょうだい仁義じんぎ - IMDb（英語えいご）