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医療いりょう倫理りんり

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医療いりょう倫理りんりがくから転送てんそう
米国べいこく医師いしかい(AMA)「医療いりょう倫理りんり規定きてい

医療いりょう倫理りんり(いりょうりんり、えい: medical ethics[1][2])または医療いりょう倫理りんりがく[1][2]医学いがく倫理りんり[3]倫理りんりとは[4]医療いりょうしゃまもるべき行動こうどうの(体系たいけいてきな)規範きはん基準きじゅん[4]医療いりょう倫理りんり生命せいめい倫理りんりがく(bioethics)[1]臨床りんしょう倫理りんり(clinical ethics)ともばれるが[5]厳密げんみつにはそれらと区別くべつされる[1]。「医療いりょう倫理りんりかかわっているのは、医師いしおよび病院びょういん患者かんじゃ医療いりょう専門せんもん社会しゃかいたいして義務ぎむである」とされている[6]

一種いっしゅ職業しょくぎょう倫理りんりであり学問がくもんでもある。起源きげん古代こだいギリシア[7][8]、すなわち医学いがくちち」ヒポクラテス[7]および『ヒポクラテスのちか』とかんがえられている[8]

概要がいよう[編集へんしゅう]

医療いりょう倫理りんりは、混乱こんらん矛盾むじゅんしょうじた場合ばあい専門せんもん参照さんしょうできる一連いちれん価値かちかんからつ。これらの価値かちかんには、自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそく自己じこ決定けっていけん[注釈ちゅうしゃく 1](autonomy)、加害かがい原則げんそく[注釈ちゅうしゃく 2](non-maleficence)、 あずかえき原則げんそく[注釈ちゅうしゃく 3](beneficence)、および公平こうへい正義せいぎ原則げんそく[注釈ちゅうしゃく 4](justice/equality)などがふくまれ[9]、この4原則げんそくかぎって場合ばあい一般いっぱんに「生命せいめい医学いがく倫理りんりの4原則げんそく」とばれる。これらの信条しんじょうがあってはじめて、医師いし、ケア提供ていきょうしゃ、および患者かんじゃ家族かぞく治療ちりょう計画けいかく作成さくせいし、おな共通きょうつう目標もくひょうかってともむことが可能かのうとなるのである[10]くわえるべき重要じゅうようなこととして、これら4つの価値かちかんは、重要じゅうようせいまたは関連かんれんせいじゅんでランクけされることはなく、すべてひとしく医療いりょう倫理りんり包含ほうがんされている[11]ということである。しかしながら、倫理りんりてき衝突しょうとつにより、階層かいそう必要ひつようせい必要ひつようとなる矛盾むじゅん(ジレンマ)がしょうじる可能かのうせいがあり、その結果けっか、いくつかの道徳どうとくてき要素ようそはその困難こんなん医学いがくてき状況じょうきょうにおいて最良さいりょう道徳どうとくてき判断はんだん適用てきようするじょうのいくつかの原則げんそくくつがえすものとなる場合ばあいもある[12]

これらの倫理りんり行動こうどう規範きはんもととなるものはすで複数ふくすう存在そんざいしている。ヒポクラテスのちか医療いりょう専門せんもんのための、ナイチンゲール誓詞せいし看護かんごのための、それぞれ基本きほん原則げんそくあつかっている[12]前者ぜんしゃ文書ぶんしょ西暦せいれきまえ5世紀せいきにさかのぼる[13]ヘルシンキ宣言せんげん(1964ねん)とニュルンベルク綱領こうりょう(1947ねん)は医療いりょう倫理りんり貢献こうけんし、ひろられていると定評ていひょうがある。医療いりょう倫理りんり歴史れきしにおける重要じゅうよう特記とっきすべきものは、1973ねん妊娠にんしん中絶ちゅうぜつにかかる権利けんりあらそった「ローたいウェイド「Roe v. Wade」)」アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく最高裁さいこうさい判決はんけつ、ならびに1960年代ねんだいにおける血液けつえき透析とうせき開発かいはつである。さらに近年きんねんでは、ゲノム編集へんしゅう利用りようして疾患しっかん治療ちりょう予防よぼうおよび治療ちりょうすることを目的もくてきとしたゲノム編集へんしゅうのためのあたらしい技術ぎじゅつは、医学いがくおよび治療ちりょうにおけるそれらの応用おうようならびに将来しょうらい世代せだいたいする社会しゃかいてき影響えいきょうについて重要じゅうよう道徳どうとくてき問題もんだい提起ていきしている[14]

この分野ぶんや歴史れきしとおして発展はってん変化へんかつづけているため、世界中せかいじゅうのすべての文化ぶんかてきおよび宗教しゅうきょうてき背景はいけいにおいて、公平こうへいで、バランスのとれた、そして道徳どうとくてきかんがかた、などにその焦点しょうてんをとどめるものとする[15] [16]医療いりょう倫理りんりがく臨床りんしょうでの実用じつようてき応用おうようふくむだけでなく、その歴史れきし哲学てつがく、そして社会しゃかいがくかんする学術がくじゅつてき研究けんきゅうふくむのである。

医療いりょう倫理りんりは、安楽あんらく問題もんだいや、患者かんじゃ情報じょうほうについての守秘しゅひ義務ぎむインフォームド・コンセント医療いりょうてき利益りえき相反あいはんなどに関連かんれんして患者かんじゃ利益りえきだいいち原則げんそく自己じこ決定けっていけん、および公平こうへい正義せいぎ概念がいねん包容ほうようするものである[17] [18] [19]。さらに、文化ぶんかによって倫理りんりてき価値かちかんことなるため、医療いりょう倫理りんり文化ぶんか相互そうご関連かんれんしており、ときには家族かぞく価値かちかん重点じゅうてんき、個人こじん自立じりつせい重要じゅうようせいかるくみるようなケースもきている。このような場合ばあいふくめ、病院びょういんやその医療いりょう現場げんばにおいて文化ぶんかてきちがいを習熟しゅうじゅくしている医師いし倫理りんり委員いいんかい必要ひつようせいもとめられている[15] [20] [16]

倫理りんりとの関係かんけい[編集へんしゅう]

生命せいめい倫理りんり[編集へんしゅう]

広義こうぎには医療いりょう倫理りんりがく(medical ethics)は、生命せいめい倫理りんりがく(bioethics)ともばれる[1]。より厳密げんみつには、医療いりょう倫理りんりがくあつか対象たいしょう生命せいめい全般ぜんぱんではなく、医学いがくにおける研究けんきゅう倫理りんりおよび診療しんりょうにおける臨床りんしょう倫理りんりだという[1]

環境かんきょう倫理りんり[編集へんしゅう]

医学いがく教育きょういく』の論文ろんぶん定義ていぎでは「生命せいめい倫理りんりないに「環境かんきょう倫理りんり」が、環境かんきょう倫理りんりないに「医療いりょう倫理りんり」がふくまれている[21]

はん出生しゅっしょう主義しゅぎてき倫理りんり[編集へんしゅう]

医療いりょう倫理りんりがく』の論文ろんぶんはん出生しゅっしょう主義しゅぎ少数しょうすうであり、物議ぶつぎかも立場たちばである(”Antinatalism is a minority and controversial position.”)べている[22]。(はん出生しゅっしょう主義しゅぎとは、人間にんげんすこと道徳的どうとくてき不正ふせいとする観点かんてん[23]。)

歴史れきし[編集へんしゅう]

医療いりょう倫理りんりという用語ようごは、英国えいこく作家さっか医師いしトーマス・パーシバル英語えいごばん医療いりょう施設しせつない医療いりょう専門せんもん要件ようけん推奨すいしょう著述ちょじゅつする文書ぶんしょ発表はっぴょうした1803ねんにさかのぼる。1847ねんには「倫理りんり綱領こうりょう(The Code of Ethics)」ができたが、それはパーシヴァルの著作ちょさくおおきく依存いぞんしていた[24]。1903ねん、1912ねん、および1947ねんにかけておおきく修正しゅうせいされ[24]以降いこう医療いりょう倫理りんり実践じっせん世界中せかいじゅうひろれられるものとなっている[11]

歴史れきしてき西洋せいよう医学いがく倫理りんり初期しょきキリスト教きりすときょうおしえやヒポクラテスのちかのような古代こだいにおける医師いし義務ぎむかんするガイドラインにたどりく。医療いりょう倫理りんり最初さいしょ規範きはん「Formula Comitis Archiatrorum」は5世紀せいき出版しゅっぱんされた。中世ちゅうせい近世きんせいでは、この分野ぶんやはイスラム学者がくしゃたとえば「Conduct of a Physician」をいた、Ishaq ibn Ali al-Ruhawi、などである。これらの知的ちてき伝統でんとうは、カトリック医療いりょう倫理りんり、イスラム医療いりょう倫理りんり、そしてユダヤ医療いりょう倫理りんりとして、今日きょうにいたるまでがれている。

18世紀せいきと19世紀せいきまでには、医療いりょう倫理りんりがより自意識じいしき言説げんせつとして浮上ふじょうする。イギリスでは、トーマス・パーシバルが最初さいしょ現代げんだい医療いりょう倫理りんり規定きてい作成さくせいし、1794ねんにそれをパンフレットにし、1803ねん拡張かくちょうばんいた。そのなかかれは「医学いがく倫理りんり」と「医学いがく法学ほうがく」という表現ひょうげんつくした[25]。しかし、医師いし診察しんさつ関連かんれんするパーシバルのガイドラインが在宅ざいたく医師いし評判ひょうばん過度かど擁護ようごするものだとかんがえるひともいる。ジェフリー・ベラントは、パーシヴァルの医師いし規範きはんを、はん競争きょうそうてきで「ギルド」のような医師いしコミュニティの初期しょきれいであるとかんがえる批評ひひょう一人ひとりである[26] [27]。さらに、19世紀せいきなかばから20世紀せいきにかけて、以前いぜんよりのちかしい医師いし患者かんじゃ関係かんけいうすれ、親密しんみつさが低下ていかし、ときには医療いりょう過誤かごにつながり、その結果けっかとして国民こくみん信頼しんらい低下ていかし、患者かんじゃ自主じしゅ尊重そんちょう自己じこ決定けっていおおきくは民族みんぞく自決じけつ)に重点じゅうてん今日きょう従来じゅうらい父権ふけん主義しゅぎてき(パターナリスティック)医師いしモデルとしての意思いし決定けっていけん低下ていかしてゆくことになる[28]

1815ねんにはApothecariesほうイギリスの議会ぎかいによって可決かけつされ、イギリスの医療いりょう専門せんもん規制きせいするものとして、The Apothecaries協会きょうかい許可きょかしたに、見習みならせい正式せいしき資格しかく導入どうにゅうした。これが今日きょうのイギリスにおける医師いしはじまりである。

1847ねんに、アメリカ医師いしかい最初さいしょ倫理りんり綱領こうりょう採択さいたくした。これはおもにパーシバルの業績ぎょうせきもとづいている[29]世俗せぞくされた分野ぶんやおもにカトリックの医療いりょう倫理りんりから借用しゃくようし、20世紀せいきには独特どくとくリベラルなプロテスタントのアプローチがジョセフ・フレッチャー英語えいごばんのような思想家しそうかによって明確めいかくにされた。 1960年代ねんだいと1970年代ねんだいには、 リベラルリズム手続てつづてき正義せいぎうえって、医学いがく倫理りんりがく言説げんせつおおくは劇的げきてき変化へんか経験けいけんし、だい部分ぶぶん生命せいめい倫理りんりがくへとさい構成こうせいされることになった[30]

4原則げんそく[編集へんしゅう]

医学いがく倫理りんり分析ぶんせき使用しようされる共通きょうつう枠組わくぐみは、「Biomedical ethicsのしょ原理げんりPrinciples of biomedical ethics 1979)」(げん生命せいめい医学いがく倫理りんり」)においてトム・ビーチャム英語えいごばんジェイムズ・チルドレス英語えいごばんによって提唱ていしょうされた「4原則げんそく」アプローチによるものである。それは、かく原則げんそく適用てきよう範囲はんい考慮こうりょしつつ、それぞれ比較ひかく検討けんとう秤量ひょうりょうして判断はんだんされされるべき4つの基本きほんてき道徳どうとくてき原則げんそく分類ぶんるいしたものとなっている。

その4原則げんそく以下いかとお[31]

自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそく[編集へんしゅう]

自主じしゅ(autonomy)尊重そんちょう原則げんそくは、 "autos"(自己じこ)と "nomos(統治とうち)"にけられ[注釈ちゅうしゃく 1]自己じこ決定けっていたいする個人こじん権利けんり自主権じしゅけん自己じこ決定けっていけん)を[28] [32]。これは、個人こじん問題もんだいについては、すべての情報じょうほうあたえられたうえでの自由じゆう意思いし決定けっていくだすことができるべき、という個人こじん権利けんり能力のうりょくたいする社会しゃかい尊重そんちょうざしている[32]自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそくは、社会しゃかいてき価値かちかん変化へんかともに、医療いりょうしつ定義ていぎするじょうで、医療いりょうしゃにとってのそれよりも、むしろ患者かんじゃとその家族かぞく観点かんてんからより重要じゅうようとなった[28]。このように自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそく重要じゅうようせいしていることは、医療いりょうにおける「父権ふけん主義しゅぎ(パターナリズム)まと」な伝統でんとうたいする社会しゃかいてき反応はんのうなすことができる[33] [28]。この患者かんじゃ自主じしゅせい侵害しんがいする歴史れきしてきな「過度かど父権ふけん主義しゅぎ」にたいする反発はんぱつは、ソフトなパターナリズムの適切てきせつ適用てきようさまたげている場合ばあいもあると疑問ぎもんげかけるこえもある[34]

自主じしゅ(autonomy)の定義ていぎは、情報じょうほうたうえで(インフォームド)からの影響えいきょう干渉かんしょうけずに自由じゆうかつ合理ごうりてき決定けっていくだ個人こじんのキャパシティー(能力のうりょくあたえられている状態じょうたい権利けんり)である。したがって、自主じしゅせい程度ていど心身しんしん健康けんこうについての標準ひょうじゅんてき指標しひょうになるともえる。おおくの末期まっき疾患しっかん進行しんこうは、様々さまざま形態けいたいおよび程度ていどで、自主じしゅせい喪失そうしつによって特徴付とくちょうづけられる。たとえば、認知にんちしょう疾患しっかんは、記憶きおく喪失そうしつ誘発ゆうはつし、合理ごうりてき思考しこう低下ていかこす可能かのうせいがあり、ほとんどの場合ばあい自主じしゅせい喪失そうしつをもたらす[35]

精神せいしん臨床りんしょう心理しんり学者がくしゃはしばしば、終末しゅうまつ患者かんじゃ生死せいし決定けっていをする意思いし決定けってい能力のうりょく評価ひょうかするようもとめられることがある。せんもうまたは臨床りんしょうてきうつびょうなどの精神せいしん状態じょうたいゆうするひとは、終末しゅうまつ決定けっていくだ能力のうりょく可能かのうせいもある。これらの人々ひとびと場合ばあい、その治療ちりょう拒否きょひする要望ようぼうについては、かれらの状態じょうたいをベースに判断はんだんされることがある。事前じぜん明示めいじてき反対はんたい意思いし表示ひょうじがないかぎり、精神せいしんてき能力のうりょくいているひと最善さいぜん利益りえきしたがってあつかわれることになる。これには、能力のうりょく以前いぜんのそのひとがどのような決定けっていくだすかについてもっともよくっている人々ひとびと意見いけんふく評価ひょうかとなる[36]終末しゅうまつ決断けつだんくだ精神せいしんてき能力のうりょくひとは、自分じぶん人生じんせいみじかくするかもしれないという理解りかいのもとに治療ちりょう拒否きょひする場合ばあいもある。また、精神せいしん心理しんり学者がくしゃ意思いし決定けってい支援しえんするために関与かんよすることも場合ばあいによってはのぞまれる方策ほうさくである[37]

日本にっぽんにおける「自己じこ決定けっていけん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、法学ほうがくしゃうた孝一こういちの1965ねん論文ろんぶん(「治療ちりょう行為こういにおける患者かんじゃ承諾しょうだく医師いし説明せつめい」『契約けいやく法大ほうだいけいまき、1965ねん2がつ医事いじ法学ほうがくへのあゆみ』、1970ねん医事いじほうそこにあるもの」さいろく)のなかで、ドイツのPersonale Selbstbestimmung の訳語やくごとして患者かんじゃの「個人こじん自己じこ決定けっていけん」が使つかわれているという。それとどう時期じきに、ヘルシンキ宣言せんげんふくめ、欧米おうべいでの患者かんじゃ権利けんりのための運動うんどうさかんになり、そこで主張しゅちょうされた英語えいごの Patient Autonomy が「患者かんじゃ自己じこ決定けっていけん」とやくされたようになった[38]という。(当時とうじより self-determination は民族みんぞく自決じけつ運動うんどうしていた)

その世界せかい医師いしかいリスボン宣言せんげんでも「患者かんじゃ自己じこ決定けってい権利けんり」がうたわれた。ただし、1995ねん「リスボン宣言せんげんバリ総会そうかい改訂かいていばん」の採択さいたくにおいて、日本にっぽん医師いしかい唯一ゆいいつ棄権きけんしている[39]

日本にっぽん医師いしかい生命せいめい倫理りんり懇談こんだんかいはそのあいだインフォームド・コンセントもとにした、1990ねんに「説明せつめい同意どうい」と表現ひょうげんする患者かんじゃ自己じこ決定けっていけん保障ほしょうするシステムあるいは一連いちれんのプロセスの概念がいねんしめした。そして1997ねん医療いりょうほう改正かいせいされ「説明せつめい同意どうい」をおこな義務ぎむが、はじめて法律ほうりつとして明文化めいぶんかされることになった[40]。これにたいし、日弁連にちべんれん日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごうかい)は2011ねん10がつ6にちだい54かい人権じんけん擁護ようご大会たいかい声明せいめいにおいて、「くにには、このような基本きほんてき人権じんけんである患者かんじゃ権利けんりさだめた法律ほうりつがない」「日本にっぽん医師いしかい生命せいめい倫理りんり懇談こんだんかいによる1990ねんの『説明せつめい同意どうい』についての報告ほうこくも、こうしたながれをけたものではあるが、『説明せつめい同意どうい』という訳語やくごは、インフォームド・コンセント理念りねんまさしくつたえず、むしろ従来じゅうらいがたパターナリズム温存おんぞんさせるものである」と批判ひはんした[41]

日本にっぽんにおける「"自律じりつ"尊重そんちょう原則げんそく[編集へんしゅう]

日本にっぽん医療いりょう分野ぶんやでは、「患者かんじゃ自主権じしゅけん自己じこ決定けってい」の文脈ぶんみゃくにおいてしばしば「自律じりつせい」と誤訳ごやくしたうえで「患者かんじゃ自分じぶんりっして自己じこ規制きせいすること」などとせい反対はんたいの「患者かんじゃ権利けんり否定ひてい」するような意味いみ誤用ごようされている。

あずかえき原則げんそく[編集へんしゅう]

あずかえき善行ぜんこう)という用語ようごは、他人たにん幸福こうふく促進そくしんする行動こうどうす。医学いがくてきには、これは患者かんじゃとその家族かぞく最善さいぜん利益りえき役立やくだつような行動こうどうをとること(利益りえきだいいち)を意味いみする[9]。しかしながら、どの処置しょち患者かんじゃたすけるものになるのかは確実かくじつせいふくむので厳密げんみつ定義ていぎすることはむずかしいとされている。

ジェームズ・チルドレスとトム・ビーチャム による「生物せいぶつ医学いがく倫理りんり原則げんそく」(1978ねん)ではあずかえき医療いりょう倫理りんり核心かくしんてき価値かちひとつであるとしている。エドマンド・ペレグリノのような学者がくしゃたちは、あずかえき医療いりょう倫理りんり唯一ゆいいつ基本きほん原則げんそくであるとも主張しゅちょうしている。かれらは、治療ちりょう医学いがく唯一ゆいいつ目的もくてきであるべきであり、そして美容びよう整形せいけい手術しゅじゅつ安楽あんらくような努力どりょくはひどく倫理りんりてきであり、 ヒポクラテスのちかはんすると主張しゅちょうしている。

加害かがい原則げんそく[編集へんしゅう]

加害かがい危害きがい)の概念がいねんは、「まずだいいちに、がいあたえない(first, do no harm,)」というフレーズ、またはラテン語らてんごの「primum non nocere」から由来ゆらいするものである。おおくのひとがそれがおも、またはおも考慮こうりょ事項じこう(したがっていちてき考察こうさつ)とすべきだとかんがえている。つまりそれは、患者かんじゃいことをするよりも、がいあたえないことがより重要じゅうようであるということになる[42]。これは、熱心ねっしん医者いしゃが、患者かんじゃいとおもって色々いろいろ治療ちりょうしたが、最初さいしょにそれら治療ちりょうほう十分じゅうぶん評価ひょうかしていないため結果けっかてきがいくわえることになったというようなケースがありうるからである。よく「治療ちりょう成功せいこうしたが、患者かんじゃ死亡しぼうした」などと表現ひょうげんがあるように、結果けっかとして患者かんじゃたいしておおくの危害きがいくわえられたのである。

ぜんおこなうことよりもがいあたえないことが重要じゅうようであるだけでなく、あなたの治療ちりょう患者かんじゃがいおよぼす可能かのうせいがどれほどあるのか、をること重要じゅうようとなる。したがって、医師いし自分じぶんたちが有害ゆうがいであるとっているくすり処方しょほうしないだけでなく、さらにさきすすむべきです - 治療ちりょう有害ゆうがいである可能かのうせいひくいとわかっていないかぎり、かれまたは彼女かのじょくすり処方しょほうするべきではありません。あるいは、すくなくとも患者かんじゃがリスクと利益りえき両方りょうほう理解りかいしており、利益りえきがリスクよりも上回うわまわ場合ばあいかぎるべき、ということである。

しかし実際じっさいには、おおくの治療ちりょうほうがいおよぼす危険きけんせいがある。 状況じょうきょうによっては、たとえば治療ちりょうなしでの結果けっか重大じゅうだいであるような絶望ぜつぼうてき状況じょうきょうでは、治療ちりょうしないことのリスクもがいおよぼす可能かのうせい非常ひじょうたかいので、患者かんじゃがいあたえる可能かのうせいたか危険きけん治療ちりょう正当せいとうされる。したがって、2つの原則げんそく効果こうか一緒いっしょになるとじゅう効果こうか後述こうじゅつする)がしょうじることがおおいため、 加害かがい原則げんそく絶対ぜったいてきなものではなく、 あずかえき原則げんそくとのバランスがとられる。また、血液けつえきサンプルの採取さいしゅくすり注射ちゅうしゃのような基本きほんてき行為こういでも、患者かんじゃからだがいおよぼすものである。安楽あんらくまた、患者かんじゃ医師いしによる治療ちりょう結果けっかとして死亡しぼうするため、あずかえき原則げんそくはんするものである。

じゅう効果こうか[編集へんしゅう]

じゅう効果こうか(Double effect)は、1つの行動こうどうによって2種類しゅるい結果けっかまれる可能かのうせいがあることを[43]医療いりょう倫理りんりでは、それは通常つうじょうあずかえき原則げんそく加害かがい原則げんそくふくあい効果こうかなされる[44]

この現象げんしょう一般いっぱんてき引用いんようされるれいは、末期まっき患者かんじゃにおけるモルヒネまたは鎮痛ちんつうやく使用しようである。このようなモルヒネの使用しようは、呼吸こきゅうけい活性かっせいかいして患者かんじゃ寿命じゅみょうみじかくするという有害ゆうがい効果こうかゆうすると同時どうじに、患者かんじゃいたみおよび苦痛くつう軽減けいげんするという有益ゆうえき効果こうかゆうするといえる[45]

公平こうへい正義せいぎ原則げんそく[編集へんしゅう]

価値かちかん[編集へんしゅう]

人権じんけん尊重そんちょう[編集へんしゅう]

人権じんけん時代じだいは1945ねん国連こくれん結成けっせいされたころからはじまった。世界せかい人権じんけん宣言せんげん(1948)は、人権じんけん定義ていぎする最初さいしょ主要しゅよう文書ぶんしょである。医師いし患者かんじゃ人権じんけんひと尊厳そんげんまもるという倫理りんりてき義務ぎむがあり、人権じんけん定義ていぎする文書ぶんしょ出現しゅつげん医療いりょう倫理りんりにも影響えいきょうおよぼした[46]。ほとんどの医療いりょう倫理りんり規定きていいま患者かんじゃ人権じんけん尊重そんちょうもとめるものになっている。

ヨーロッパ評議ひょうぎかい欧州おうしゅう評議ひょうぎかい)は、その47の加盟かめいこくのために統一とういつされた医学いがく倫理りんり規定きてい作成さくせいするために、「人権じんけん生物せいぶつ医学いがくかんする欧州おうしゅう条約じょうやく 」(1997)を採択さいたく条約じょうやく国際こくさい人権じんけんほう医療いりょう倫理りんり適用てきようしている。それは、子供こどもふくむ、同意どういすることができない人々ひとびとのために身体しんたいてき一体いったいとなる特別とくべつ保護ほご規定きていしている。

だい5じょうもとづいて同意どういする能力のうりょくたないひとについては、臓器ぞうきまたは組織そしき除去じょきょおこなってはならない[47]

2013ねん12月の時点じてんで、条約じょうやくは、欧州おうしゅう評議ひょうぎかいの29の加盟かめいこくによって批准ひじゅんまたは承認しょうにんされている[48]国連こくれん教育きょういく科学かがく文化ぶんか機関きかん (ユネスコ)においても人権じんけんひと尊厳そんげん保護ほご推進すいしんしており、ユネスコによると、 「宣言せんげん批准ひじゅん対象たいしょうではない規範きはん定義ていぎするもうひとつの手段しゅだんである」としている。勧告かんこくのように、かれらは、国家こっか共同きょうどうたい可能かのうかぎ最大さいだい権威けんいあたえ、可能かのうかぎ幅広はばひろ支援しえんあたえることをのぞんだ普遍ふへんてき原則げんそくさだめた。ユネスコは、医療いりょう倫理りんりにおける国際こくさい人権じんけんほう適用てきよう推進すいしんするために、「世界せかい人権じんけん宣言せんげんおよび生物せいぶつ医学いがく宣言せんげん」を採択さいたくしている。この宣言せんげんは、行為こうい能力のうりょく制限せいげんしゃたいする人権じんけん特別とくべつ保護ほご提供ていきょうするものとなっている。

科学かがくてき知識ちしき医療いりょう行為こういおよび関連かんれん技術ぎじゅつ適用てきよう進歩しんぽさせるさいには、人間にんげん脆弱ぜいじゃくせい考慮こうりょれるべきである。 特別とくべつ脆弱ぜいじゃくせい個人こじんやグループは保護ほごされ、そのような個人こじん個人こじんてき完全かんぜんせい尊重そんちょうされるべきである。[49]

社会しゃかいとの連帯れんたい[編集へんしゅう]

アングロサクソン共同きょうどうたいられる社会しゃかい正義せいぎ関連かんれんする自主じしゅせいおよび個人こじんてき人権じんけんのより個性こせいてき基準きじゅんは、共同きょうどうたいという概念がいねん衝突しょうとつし、それを補完ほかんすることもできます。そして利己りこてきでないひとは、すべてのひと平等びょうどう医療いりょう提供ていきょうしたいとかんがえています[50]米国べいこくでは個人こじん主義しゅぎてき自己じこ関心かんしんのあるヘルスケア規範きはん支持しじされていますが、ヨーロッパ諸国しょこくふくほか国々くにぐにでは、コミュニティへの敬意けいい個人こじんてき支援しえん無料むりょうヘルスケアにかんしてよりおおきく支持しじされている[50]

医学いがくにおける「あいまいさ」の受容じゅよう[編集へんしゅう]

正常せいじょうせい概念がいねん、すなわち病気びょうき異常いじょうおよびいたみの状態じょうたい対照たいしょうてき人間にんげん生理学せいりがくてき基準きじゅんがあるということは、健康けんこう管理かんり実践じっせん悪影響あくえいきょうおよぼす仮定かてい偏見へんけんにつながりうる[51]平凡へいぼんさというのはあいまいであり、医療いりょうにおけるあいまいさ、およびそのようなあいまいさの容認ようにんは、より謙虚けんきょ医療いりょう実践じっせんしていくうえでも、また、複雑ふくざつめずらしい医療いりょう事例じれい理解りかいするためにも必要ひつようであることを認識にんしきすることが重要じゅうようとなる[51]。したがって、あずかえき原則げんそく社会しゃかい中心ちゅうしんてきとされる概念がいねんにおける見解けんかい疑問ぎもんされ再考さいこうされなければならず、医療いりょう行為こういにおける中心ちゅうしんてき役割やくわりたすものとして、「あいまいさ」を採用さいようするものとする[51]

衝突しょうとつ[編集へんしゅう]

自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそくあずかえき原則げんそく加害かがい原則げんそくあいだ[編集へんしゅう]

医療いりょう専門せんもん患者かんじゃ最善さいぜん利益りえきになるとしんじる勧告かんこく患者かんじゃ同意どういしない場合ばあい自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそくあずかえき原則げんそく対立たいりつする場面ばめんしょうじる可能かのうせいがある。患者かんじゃ利益りえき患者かんじゃ福祉ふくし矛盾むじゅんする場合ばあい、さまざまな社会しゃかいがさまざまな方法ほうほうでその葛藤かっとう解決かいけつすることになる。一般いっぱんに、西洋せいよう医学いがくは、医療いりょうチームが自分じぶん最善さいぜん利益りえきのために行動こうどうしていないとかんがえる場合ばあいでも、精神せいしんてき有能ゆうのう患者かんじゃ自分じぶん判断はんだんくだすことを希望きぼうしている。ただ、文化ぶんかではあずかえき優先ゆうせんしているような社会しゃかいもある。

れいとしては、たとえば宗教しゅうきょうてきまたは文化ぶんかてき見解けんかいのために患者かんじゃ治療ちりょうのぞまない場合ばあいげられる。安楽あんらく場合ばあい患者かんじゃ、または患者かんじゃ親戚しんせきは、患者かんじゃ人生じんせいわらせたいとおもうかもしれない。 また、 病気びょうき不安ふあんしょう美容びよう整形せいけい手術しゅじゅつ場合ばあいのように、患者かんじゃ必要ひつよう治療ちりょうのぞんでいるかもしれない。ここで、医療いりょうしゃは、問題もんだいにおける患者かんじゃ情報じょうほうもとづく自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそくたいする医学いがくてき必要ひつよう潜在せんざいてきリスクにたいする患者かんじゃ欲求よっきゅうのバランスをとることを要求ようきゅうされる場合ばあいがある。患者かんじゃ自主じしゅせい満足まんぞくさせることこばむと医師いし患者かんじゃ関係かんけいせい英語えいごばんそこなわれるため、医師いし自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそくこのむことがおおいとえる。

臓器ぞうき提供ていきょうについてもしばしば興味深きょうみぶかいシナリオを提供ていきょうする[32]患者かんじゃをNHBDとして分類ぶんるいすることは、だれかが治療ちりょうてき集中しゅうちゅう治療ちりょうける資格しかくがある可能かのうせいがあります。治療ちりょうは、提供ていきょうされる臓器ぞうき保護ほごするためにのみおこなわれ、ドナーの生命せいめい維持いじするためにはおこなわれない[32]。 これは、ドナーにたいする敬意けいい自主じしゅ尊重そんちょうとしてかれらの健康けんこう臓器ぞうき提供ていきょうすることをのぞんでいるという見方みかたもあれば、倫理りんりてき問題もんだいこす可能かのうせいもある[32]。このプロセスを世界せかいてき慣習かんしゅうてき方法ほうほうとなることで、ひと自然しぜんぬプロセスとそれがもたらす様々さまざまなものをうばうものだと懸念けねんする人達ひとたちもいる[32]

自主じしゅせいあずかえきあいだ対立たいりつ解決かいけつあいだに、ぜん情報じょうほうあたえられたうえでの自由じゆう意思いし決定けっていのための個人こじん能力のうりょく問題もんだいになる場合ばあいもある。代替だいたい意思いし決定けっていしゃ役割やくわりは、自主権じしゅけん原則げんそく拡張かくちょうえる。

その一方いっぽうで、自主じしゅ尊重そんちょう原則げんそくあずかえき原則げんそく加害かがい原則げんそくがすべて重複じゅうふくする可能かのうせい存在そんざいする。たとえば、患者かんじゃ自主じしゅせい侵害しんがいは、集団しゅうだんない医療いりょうサービスにたいする信頼しんらい低下ていかさせ、その結果けっか援助えんじょもとめる意欲いよく低下ていかする可能かのうせいがあり、その結果けっかとして恩恵おんけいけることができなくなる可能かのうせいである。

安楽あんらく[編集へんしゅう]

米国べいこく医師いしあいだでは、加害かがい原則げんそく安楽あんらく実践じっせん除外じょがいするかどうかにかんして意見いけん相違そうい存在そんざいしている。安楽あんらく現在げんざい、ワシントンDC、カリフォルニア、コロラド、オレゴン、バーモント、ワシントンの各州かくしゅう合法ごうほうである。世界中せかいじゅうで、 幇助ほうじょ(PAD)、またはの問題もんだいかんする法律ほうりつ変更へんこうしようとするさまざまな組織そしき存在そんざいする。そのような組織そしきれいは、アメリカのヘムロック協会きょうかいとイギリスでの尊厳そんげんキャンペーンである。これらのグループは、患者かんじゃ自分じぶん自身じしん決定けっていするのに十分じゅうぶん意識いしきてきであり、代替だいたい医療いりょう可能かのうせいについて知識ちしきがあり、よろこんで自分じぶん人生じんせいわらせるようもとめたり手段しゅだんへのアクセスを要求ようきゅうした場合ばあいにのみ医師いし患者かんじゃ人生じんせいわらせる権利けんりあたえようと活動かつどうしている。

この議論ぎろん世界せかい様々さまざま地域ちいきでも議論ぎろんされているものである。たとえば、ルイジアナしゅうでは、ひと人生じんせいわらせるための助言じょげん手段しゅだん提供ていきょう犯罪はんざい行為こういとみなされ、重罪じゅうざいとして起訴きそされる可能かのうせいがある。しゅう法廷ほうていにおいては、この犯罪はんざい故殺こさつ相当そうとうする。ミシシッピしゅうとネブラスカしゅうにもおな法律ほうりつ適用てきようされている[52]

インフォームド・コンセント[編集へんしゅう]

倫理りんりにおけるインフォームド・コンセントは、あるひと自分じぶん治療ちりょう選択せんたく潜在せんざいてき利益りえきとリスクについて十分じゅうぶん情報じょうほうあたえられ、理解りかいしたうえでなされるものでなければならないというかんがえを意味いみする。 「インフォームド・コンセント」と相関そうかん関係かんけいにあるのは、「インフォームド・リフューザル=拒否きょひ(informed refusal)」の概念がいねんである。 全体ぜんたいてき情報じょうほうあたえられていないひとは、自分じぶん価値かちかん希望きぼう反映はんえいした選択せんたく出来できずに、あやまっておこな危険きけんせいがある。これは、同意どういるためのプロセス、または場所ばしょによってことなる特定とくてい法的ほうてき要件ようけん明確めいかく意味いみするものではない。患者かんじゃ自分じぶん医学いがくてき決定けっていくだすことを選択せんたくするか、または意思いし決定けってい権限けんげん家族かぞくなどに委任いにんすることができる。患者かんじゃ行為こうい能力のうりょく制限せいげんしゃである場合ばあい世界中せかいじゅう法律ほうりつはインフォームド・コンセントをるためのさまざまなプロセスを指定していしている。通常つうじょう患者かんじゃまたはその近親きんしんしゃによって任命にんめいされたひと決定けっていくださせることによっておこなわれる。なお、医師いし当事とうじしゃ立場たちばであり中立ちゅうりつせい違反いはんになるので担当たんとう医師いし委任いにんすることは通常つうじょうあってはならない。インフォームド・コンセントの価値かちは、自主じしゅ尊重そんちょう自己じこ決定けっていけんおよび、真実しんじつかたる、ということの価値かち密接みっせつ関係かんけいしているのである。

守秘しゅひ義務ぎむ[編集へんしゅう]

守秘しゅひ義務ぎむ一般いっぱんてき医師いし患者かんじゃあいだにおける会話かいわなどに適用てきようされる。この概念がいねん一般いっぱんに「患者かんじゃ医師いしあいだ秘匿ひとく特権とっけん」(Physician–patient privilege)としてられている。 これは、法廷ほうていでの宣誓せんせいもとであっても、医師いし患者かんじゃとの会話かいわ内容ないようあきらかにしなくてもよいような法的ほうてき保護ほごけられることをう。

米国べいこくでは、 HIPAAとしてられる1996ねん健康けんこう保険ほけん携帯けいたいせいおよび説明せつめい責任せきにんかんする法律ほうりつとくにプライバシー規則きそく、およびHIPAAよりも厳密げんみつなさまざまな州法しゅうほうによって、機密きみつ保持ほじ義務付ぎむづけられている。 しかし、長年ながねんにわたり、規則きそくたいする多数たすう例外れいがいもうけられている。 たとえば、おおくのしゅうでは、医師いしじゅうによるきず警察けいさつ報告ほうこくし、障害しょうがいのある運転うんてんしゅ自動車じどうしゃ部門ぶもん報告ほうこくすることを要求ようきゅうしている。配偶はいぐうしゃ診断しんだんあきらかにすることを拒否きょひする患者かんじゃにおけるせい感染かんせんしょう診断しんだん、および両親りょうしんらないうちにおこなわれる未成年みせいねん妊娠にんしん堕胎だたいなどがられている。米国べいこくおおくのしゅうでは、未成年みせいねん中絶ちゅうぜつにおけるおや通知つうちについて規定きていする法律ほうりつ存在そんざいしている[53] [54]

伝統でんとうてきに、医療いりょう倫理りんり守秘しゅひ義務ぎむ比較的ひかくてき交渉こうしょう不可能ふかのう医療いりょう行為こうい原則げんそくなしてきた。 ごく最近さいきんでは、Jacob Appelのような批評ひひょうたちは、さらにおおくの柔軟じゅうなんせいみとめるよう、この義務ぎむへのより微妙びみょうなアプローチを主張しゅちょうしている[17]。 これは、守秘しゅひ義務ぎむが「プライマリケア倫理りんり」における重要じゅうよう問題もんだいであり、そこでは医師いしおな家族かぞく地域ちいき社会しゃかいからのおおくの患者かんじゃをケアしており、しばしば第三者だいさんしゃがプライマリヘルスケアであつめられる医療いりょうデータベースからの情報じょうほう必要ひつようとなるからである。

オンラインじょう医療いりょう行為こういとプライバシー[編集へんしゅう]

医療いりょう研究けんきゅうしゃは、ディスカッション掲示板けいじばん掲示板けいじばんなどのオンライン環境かんきょう研究けんきゅう活動かつどうをしているため、ガイドラインが存在そんざいするものの、インフォームド・コンセントおよびプライバシーの要件ようけん適用てきようされないことが懸念けねんされている[55]

また、医療いりょう機関きかんのWebサイトには、オンライン訪問ほうもんしゃ個人こじん医療いりょう記録きろく製薬せいやく会社かいしゃ職業しょくぎょう記録きろく保険ほけん会社かいしゃわたって販売はんばいされ、収益しゅうえきされるのをふせぐための責任せきにんわされるべきである。

インターネットヘルスケアプラットフォームの拡大かくだいともない、オンライン開業医かいぎょうい正当せいとうせいとプライバシーの説明せつめい責任せきにんは、電子でんしパパラッチ、オンライン情報じょうほうブローカー、産業さんぎょうスパイ、利益りえきのために伝統でんとうてき医療いりょう規範きはんがいはたら許可きょか情報じょうほうプロバイダーなどの特有とくゆう課題かだい直面ちょくめんしています。 American Medical Association(AMA)は、医療いりょうWebサイトはオンライン訪問ほうもんしゃのヘルスケアプライバシーを確保かくほし、保険ほけん会社かいしゃ雇用こようぬし、およびマーケティング担当たんとうしゃわたって販売はんばいされ収益しゅうえきされることから患者かんじゃ記録きろく保護ほごする責任せきにんがあるとべている[40]。これらのオンライン診断しんだんウェブサイトを作成さくせいするためのヘルスケア、ビジネス慣行かんこう、コンピュータサイエンスおよび電子でんし商取引しょうとりひき急速きゅうそく統一とういつともない、ヘルスケアシステムの倫理りんりてき機密きみつせい基準きじゅん維持いじするための努力どりょく同様どうようにしつづける必要ひつようがある。 今後こんごすう年間ねんかんにわたり、保健ほけん社会しゃかい福祉ふくししょうは、健康けんこう保険ほけん携帯けいたいせい説明せつめい責任せきにんかんする法律ほうりつ(HIPAA)のもとで、オンラインでのプライバシーと患者かんじゃ電子でんしカルテ(EMR)のデジタル転送てんそう合法ごうほうてき保護ほごすることにんでいるとべています。 [41]

管理かんり解決かいけつ[編集へんしゅう]

病院びょういんないにおいて、適切てきせつ倫理りんりてき価値かちかん適用てきようされることを確実かくじつにするために、効果こうかてきな「病院びょういん認定にんてい」が必要ひつようとされ、たとえば医師いし全体ぜんたいせいインテグリティ(integrity)評価ひょうか利益りえき相反あいはん行為こうい防止ぼうしさく研究けんきゅう倫理りんりおよび臓器ぞうき移植いしょく倫理りんりかんして倫理りんりてき考慮こうりょがなされているかを確認かくにんすべきである。

ガイドライン[編集へんしゅう]

ヘルシンキ宣言せんげん以来いらい様々さまざま指針ししんもとめられてきた歴史れきしがあり、おおくの文書ぶんしょ存在そんざいする。医学いがく倫理りんりふく研究けんきゅうのための最初さいしょ行動こうどう規範きはんは「ニュルンベルク綱領こうりょう行動こうどう規範きはん」となる。それが1947ねん導入どうにゅうされたように、この文書ぶんしょはナチス戦争せんそう犯罪はんざいおおきな関連かんれんせいがあるものである。そのため慣習かんしゅうてき医療いりょう行為こういおおきく規制きせいするものであるとはえなかった。このため、あらたな指針ししんとなるものがもとめられることになったのである。そこで登場とうじょうした「ヘルシンキ宣言せんげん」はそれがかれている方法ほうほうふくめて、ニュルンベルク綱領こうりょうといくつかのおおきなちがいがあった。ニュルンベルク綱領こうりょう簡単かんたん説明せつめいけて、非常ひじょう簡潔かんけつかれおり、ヘルシンキ宣言せんげんは、徹底的てっていてき説明せつめい念頭ねんとういてかれたもので、おおくの具体ぐたいてき解説かいせつふくまれている[56]

訳注やくちゅう日本にっぽんにおいては、なぜか「リスボン宣言せんげん」が「患者かんじゃ権利けんり宣言せんげん」として比較的ひかくてきられている。英語えいごけんではなぜかいつも言及げんきゅうすくない)

英国えいこくでは、 General Medical Councilが、「Good Medical Practice」ステートメントのかたちで、明確めいかく現代げんだいてきなガイダンスを提供ていきょうしている[57]世界せかい医療いりょう保護ほご協会きょうかいおおくの大学だいがく部門ぶもんなどの組織そしきは、倫理りんりかんする問題もんだいについて相談そうだんけつけている。

倫理りんり委員いいんかい[編集へんしゅう]

おおくの場合ばあい単純たんじゅんなコミュニケーションでは紛争ふんそう解決かいけつするのに十分じゅうぶんではなく、複雑ふくざつ問題もんだい決定けっていするために病院びょういんにおいて倫理りんり委員いいんかい招集しょうしゅうもとめられる。

おも医療いりょう専門せんもん構成こうせいされるものの、法律ほうりつふくむことがおおい。さら哲学てつがくしゃ一般人いっぱんじん聖職せいしょくしゃふくむこともある - 実際じっさい世界せかいおおくの地域ちいきで、バランスをとるためにそれらの存在そんざい必須ひっすかんがえられている。

米国べいこく、ヨーロッパおよびオーストラリアにおけるそのような機関きかん想定そうていされる構成こうせいかんして、以下いか適用てきようされる[58]

米国べいこく勧告かんこくには、研究けんきゅう倫理りんり委員いいんかい(REB)には、すくなくとも1人ひとり科学かがくしゃ1人ひとり科学かがくしゃ、およびその機関きかん所属しょぞくしていない1人ひとりひとふくむ5にん以上いじょうのメンバーがふくまれるべきであると示唆しさしています。 REBには、法律ほうりつ実務じつむ基準きじゅん、および専門せんもんとしての行動こうどう精通せいつうした人々ひとびとふくめる必要ひつようがある。 検討けんとうちゅう議定ぎていしょ要求ようきゅうされている場合ばあいは、特別とくべつ会員かいいん資格しかく障害しょうがいしゃまたは身体しんたい障害しょうがいしゃ懸念けねんについて提唱ていしょうされることになる。

欧州おうしゅう臨床りんしょう臨床りんしょう実践じっせんフォーラム(EFGCP)は、REBには生物せいぶつ医学いがく研究けんきゅう経験けいけん共有きょうゆうし、研究けんきゅうおこなわれている機関きかんから独立どくりつしている2めい開業医かいぎょういふくめることを推奨すいしょうしている。1人ひとり素人しろうと弁護士べんごし1にんそして1人ひとり救急きゅうきゅう医療いりょう専門せんもんたとえば看護かんごまたは薬剤師やくざいしかれらは、定員ていいんかい幅広はばひろ年齢ねんれいそう男女だんじょふくめ、地域ちいき社会しゃかい文化ぶんかてき構成こうせい反映はんえいさせることをすすめている。

1996ねんのオーストラリア保健ほけん倫理りんり委員いいんかい勧告かんこくは、「一般いっぱん制度せいどてき倫理りんり委員いいんかいのメンバーシップ」とだいされた。 かれらは、委員いいんちょうは、就職しゅうしょくしていないか、そうでなければ教育きょういく機関きかんとつながっているひとであることがのぞましいと示唆しさしている。 メンバーには、専門せんもんによる医療いりょう、カウンセリング、または人間にんげん治療ちりょうかんする知識ちしき経験けいけんひとふくめる必要ひつようがあります。宗教しゅうきょう大臣だいじんまたは同等どうとう大臣だいじん 先住民せんじゅうみん長老ちょうろう素人しろうと弁護士べんごし病院びょういんベースの倫理りんり委員いいんかい場合ばあい看護かんご

哲学てつがくしゃ宗教しゅうきょうてき聖職せいしょくしゃ任命にんめいは、社会しゃかい関係かんけいする基本きほんてき価値かちかんくわえた重要じゅうようせい反映はんえいするためである。

文化ぶんかてき配慮はいりょ[編集へんしゅう]

文化ぶんかちがいはむずかしい医療いりょう倫理りんり問題もんだいこす可能かのうせいがある。たとえば、病気びょうき起源きげん原因げんいんについての精神せいしんてきまたは魔法まほうてき理論りろん文化ぶんかもあり、これらの信念しんねん西洋せいよう医学いがく教義きょうぎ調和ちょうわさせることは非常ひじょう困難こんなんなものとなっている。ことなる文化ぶんかざりい、よりおおくの文化ぶんかたがいに共存きょうぞんするにつれて、出生しゅっしょうくるしみなどの重要じゅうようなライフイベントに対処たいしょする傾向けいこうがあるヘルスケアシステムは、ときには文化ぶんかてき衝突しょうとつ対立たいりつまねきかねない困難こんなんなジレンマに直面ちょくめんすることになる。文化ぶんかてき敏感びんかん方法ほうほう対応たいおうする努力どりょくは、文化ぶんかてき寛容かんよう限界げんかい区別くべつする必要ひつようせいとのいである[15]

文化ぶんか言語げんご[編集へんしゅう]

さまざまな文化ぶんかてき宗教しゅうきょうてき背景はいけい人々ひとびと米国べいこくなどのほか国々くにぐに移動いどうするにつれて、すべての人々ひとびと最良さいりょうのヘルスケアを提供ていきょうするために、すべてのコミュニティにたいして文化ぶんかてき敏感びんかんになることがますます重要じゅうようになっている[16]文化ぶんかてき知識ちしき欠如けつじょ誤解ごかい不十分ふじゅうぶん注意ちゅういさえももたらし、それは倫理りんりてき問題もんだいこす場合ばあいがある。一般いっぱんてき患者かんじゃ苦情くじょうは、こえていないか、おそらく理解りかいされていないような気持きもちをける[16]矛盾むじゅん拡大かくだいふせぐには、通訳つうやくもとめ、自分じぶん自身じしん患者かんじゃ両方りょうほう身体しんたい言語げんご調子ちょうしをつけ、許容きょよう可能かのう選択肢せんたくしたっするために患者かんじゃ視点してん理解りかいしようとこころみることによって達成たっせいできる[16]

なかには、将来しょうらいてきにはほとんどの医師いしがバイリンガルであること、またはバイリンガルであることからおおいに恩恵おんけいけるようなシステムが必要ひつようであるとかんがえるひともいる。言語げんごることにくわえて、しん文化ぶんか理解りかいすることは最適さいてきなケアをおこなうえ最善さいぜんだからである[59]最近さいきん、「ナラティブ医療いりょう」とばれる診療しんりょうが、患者かんじゃ医師いしのコミュニケーションを改善かいぜんし、患者かんじゃ視点してん理解りかいする可能かのうせいめているため、ある程度ていど関心かんしんあつめている。 患者かんじゃデータを標準ひょうじゅんして収集しゅうしゅうするのではなく、患者かんじゃはなし日々ひび活動かつどう解釈かいしゃくすることで、かく患者かんじゃ自分じぶん病気びょうきかんしてなに必要ひつようとしているのかをより適切てきせつ把握はあくすることができる。この背景はいけい知識ちしきがないと、おおくの医師いしは、文化ぶんかてきちがいをただしく理解りかいできず、2人ふたりことなる患者かんじゃ区別くべつすることが出来できずに文化ぶんかてき鈍感どんかんまたは不適切ふてきせつ治療ちりょうほう診断しんだんまたは推奨すいしょうすることになってしまうのである。一言ひとことえば、患者かんじゃナラティブは、そうでなければ見過みすごされるかもしれない患者かんじゃ情報じょうほうこのみをあきらかにする、ということを意味いみする。

利益りえき相反あいはん行為こうい[編集へんしゅう]

医師いしは、利益りえき相反あいはん立場たちば医学いがくてき判断はんだん影響えいきょうおよぼすことをけっしてゆるしてはならない。場合ばあいによっては、双方そうほう利益りえき相反あいはんする矛盾むじゅん回避かいひするのがむずかしい場合ばあいがあり、医師いしにはそのような状況じょうきょうにならないようにする責任せきにんう。研究けんきゅうでは、利益りえき相反あいはん不正ふせい行為こうい学術がくじゅつかい医師いしたち[60]臨床りんしょう医師いしたちあいだ非常ひじょう一般いっぱんてきであることをしめしている[61]

紹介しょうかい[編集へんしゅう]

医療いりょう検査けんさのために患者かんじゃ紹介しょうかいすることから収入しゅうにゅうている医師いしは、医療いりょう検査けんさのためによりおおくの患者かんじゃ紹介しょうかいしがちであることがしめされている[62]。この慣習かんしゅうは、 アメリカ医科いか大学だいがく倫理りんりマニュアルによってきんじられている行為こういである[63]

製薬せいやく会社かいしゃとの関係かんけい[編集へんしゅう]

研究けんきゅうによると、医師いし贈答ぞうとうひんものふく製薬せいやく会社かいしゃとうベンダー)からの利益りえき供与きょうよ影響えいきょうける可能かのうせいがある[19]業界ぎょうかい主催しゅさい継続けいぞく医学いがく教育きょういく (CME)プログラムは処方しょほうパターンに影響えいきょうあたえている[64]。ある研究けんきゅうでは、調査ちょうさによって、製薬せいやく会社かいしゃからの医師いしおくもの処方しょほう慣習かんしゅう影響えいきょうあたえていることをあきらかにしている[65]スタンフォード大学だいがく製薬せいやく会社かいしゃ主催しゅさい昼食ちゅうしょくおくもの禁止きんししていることからもあきらかなように、製薬せいやく業界ぎょうかいのマーケティングが医療いりょう行為こういあたえる影響えいきょうらすべく、米国べいこく医師いしたちあいだおおきなうごきがきている。製薬せいやく業界ぎょうかい主催しゅさいおくもの食品しょくひん禁止きんししているほか学術がくじゅつ機関きかんには、ジョンズホプキンス医科いか大学だいがく、ミシガン大学だいがく、ペンシルバニア大学だいがく、およびエール大学だいがくなどがふくまれている[66] [67]

家族かぞくあつか[編集へんしゅう]

アメリカ医師いしかい (AMA)は、「医師いし一般いっぱんてき自分じぶん自身じしんやその家族かぞく一員いちいん治療ちりょうするべきではない」としている[68]医師いしあいするひと治療ちりょうしているときに専門せんもんてき客観きゃっかんせいそこなわれる可能かのうせいがあるため、この規範きはん患者かんじゃ医師いし保護ほごするものである。複数ふくすう保健ほけん機関きかんからの研究けんきゅうでは、医師いし家族かぞく関係かんけい診断しんだん検査けんさ費用ひよう増加ぞうかこしかねないことを例証れいしょうした[69]おおくの医者いしゃはまだかれらの家族かぞくあつかいます。そうする医師いしは、利益りえき相反あいはんしょうじさせたり不適切ふてきせつあつかったりしないように注意深ちゅういぶか行動こうどうしなければならない[70] [71]確立かくりつされた医学いがく倫理りんり原則げんそく家族かぞく深刻しんこく病気びょうき直面ちょくめんしているとき道徳どうとくてき必須ひっすではないかもしれないので、家族かぞく治療ちりょうする医師いし親戚しんせき治療ちりょうするとき相反あいはんする期待きたいとジレンマを意識いしきする必要ひつようがあるのである[69]

性的せいてき関係かんけい[編集へんしゅう]

患者かんじゃとの性的せいてき関係かんけいは、医師いし受託じゅたくしゃ責任せきにん違反いはんしうるため、医師いし患者かんじゃあいだ性的せいてき関係かんけい倫理りんりてき衝突しょうとつこす。現代げんだい医学いがくにおけるおおくの規律きりつ懲戒ちょうかい一環いっかんとして、医師いし-患者かんじゃあいだ性的せいてき不正ふせい行為こうい発生はっせい調査ちょうさした研究けんきゅう存在そんざいする。それらによると、特定とくてい分野ぶんやおおくの性的せいてき不正ふせい行為こうい発生はっせいしていることをしめした。たとえば、精神せいしん産科さんか婦人ふじんは、性的せいてき不正ふせい行為こうい割合わりあいたかいことで注目ちゅうもくされている2つの分野ぶんやである[72]医師いし患者かんじゃあいだ倫理りんりてき行為こうい違反いはんは、医師いし患者かんじゃ年齢ねんれい性別せいべつとも関連かんれんしている。40〜49さいおよび50〜59さい男性だんせい医師いし性的せいてき不祥事ふしょうじ報告ほうこくおおいとされている2つのグループであり、一方いっぽう、20〜39さい女性じょせい性的せいてき被害ひがい報告ほうこくされた犠牲ぎせいしゃのかなりの部分ぶぶんめている[73]

患者かんじゃ性的せいてき関係かんけいむす医師いしは、 医療いりょう免許めんきょうしない、訴追そついけることになる。1990年代ねんだい初頭しょとうには、医師いしの2〜9%がこの規則きそく違反いはんしたと推定すいていされている[74]医師いし患者かんじゃ家族かぞくとのあいだ性的せいてき関係かんけいも、一部いちぶ法域ほういきでは法律ほうりつ禁止きんしされている[75]

医療いりょう倫理りんり指針ししん(AMA Code of Medical Ethics)には、「患者かんじゃ医師いし関係かんけいどう時期じきこる性的せいてき接触せっしょくは、不正ふせい行為こうい違法いほう行為こうい)に相当そうとうし、医師いし患者かんじゃあいだ性的せいてきまたは恋愛れんあいてき交流こうりゅうは、医師いし患者かんじゃのあるべき関係かんけいそこない、患者かんじゃよわ立場たちば悪用あくようされる可能かのうせいがあり、 医師いし客観きゃっかんてき判断はんだんなまらせる可能かのうせいがある。そのため、最終さいしゅうてき患者かんじゃにとって有害ゆうがいになりる」としている[76]とくに、精神せいしん患者かんじゃ私的してき関係かんけいつことは、タブー(禁忌きんき)とされてきた。それは精神せいしんでは心理しんりがく用語ようごでいう「転移てんい」を利用りようして患者かんじゃ治療ちりょうおこない、そのような立場たちば利用りようして患者かんじゃ行為こういなされるのである。精神せいしん患者かんじゃ私的してき関係かんけいつことは、治療ちりょうしゃ中立ちゅうりつせいにもはんすることされる。

精神せいしん熊木くまき徹夫てつおはその著書ちょしょ序文じょぶんで「わたし精神せいしんになってから18ねんちましたが、これまでにだれからもあらためて『精神せいしん患者かんじゃさんをあいしてはいけない』といましめられたことはありません。が、これは人類じんるいがどの文化ぶんかにおいてもインセスト(近親きんしん相姦そうかん)タブーを堅持けんじしてきたのと同様どうよう精神せいしん職業しょくぎょうモラルとしてさい重要じゅうようなもののひとつであり、かつ不文ふぶんりつです。この前提ぜんていくずされたとき、精神せいしん医療いりょう正義せいぎ破綻はたんします」としている[77]

また、看護かんご - 患者かんじゃあいだ同様どうようで、患者かんじゃ看護かんごにおける関係かんけいせい不公平ふこうへいちから関係かんけいしょうじ、患者かんじゃ看護かんごたい脆弱ぜいじゃくいなりにされるがままのよわ立場たちばかれる。看護かんごがその職業しょくぎょうてき立場たちば自覚じかくせずに軽視けいしすると、患者かんじゃ潜在せんざいてき虐待ぎゃくたい搾取さくしゅ対象たいしょうとなる。その均衡きんこうは、患者かんじゃ看護かんご提供ていきょうするサービスに依存いぞんし、看護かんご専門せんもん知識ちしき医療いりょう機関きかんにおける権限けんげんと、患者かんじゃ個人こじん秘匿ひとく情報じょうほうれる立場たちば、そして患者かんじゃ決断けつだん左右さゆうさせうる立場たちばなどからる。また、看護かんごという仕事しごと特性とくせいじょう患者かんじゃたいしてみつ肉体にくたいてき精神せいしんてき感情かんじょうてき親密しんみつさという雰囲気ふんいき醸成じょうせいするが、これは同時どうじ患者かんじゃ脆弱ぜいじゃくせい増長ぞうちょうさせてしまう。この潜在せんざいてき権力けんりょく乱用らんようにつながるちから関係かんけい均衡きんこう職業しょくぎょうてき立場たちば認識にんしきし、患者かんじゃ萎縮いしゅくさせてしまうようにかんじさせたり、依存いぞんさせるようなこと、またはよわ立場たちばるようなことにならないように注意ちゅういするのは看護かんご責任せきにんである[78]、と規定きてい医療いりょうける患者かんじゃよわみにったり、看護かんご立場たちばじょうられるちから乱用らんようしない、というのが患者かんじゃ看護かんごあいだにおける信頼しんらい関係かんけい基本きほんであり、看護かんご患者かんじゃ(家族かぞくふくむ)のあいだに、個人こじんてき感情かんじょうや、プライベートの関係かんけい恋愛れんあい性的せいてき関係かんけいことは、職業しょくぎょうてき境界きょうかいせん侵害しんがい看護かんご-患者かんじゃ職業しょくぎょうてき境界きょうかいせん侵害しんがいする行為こういは、信頼しんらい関係かんけい毀損きそん治療ちりょう妨害ぼうがい重大じゅうだい倫理りんり規範きはん違反いはんとなり、罰則ばっそく免許めんきょ剥奪はくだつもある違法いほう犯罪はんざい行為こういにもなりうる行為こうい指摘してきしている[78]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

医学いがく研究けんきゅう[編集へんしゅう]

関連かんれん倫理りんり[編集へんしゅう]

関連かんれん原則げんそく[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

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  2. ^ a b non-maleficenceは、日本にっぽんでは「危害きがい原則げんそく」との表記ひょうきおおくみられる。
  3. ^ a b beneficenceは、日本にっぽんでは「善行ぜんこう原則げんそく」や「利益りえきだいいち原則げんそく」などの表記ひょうきおおくみられる。
  4. ^ a b justice/equalityは、たんに「正義まさよし原則げんそく」などとする場合ばあいもある。

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外部がいぶリンク[編集へんしゅう]