吉見よしみ元もと頼よりゆき

凡例はんれい 吉見よしみ元もと頼よりゆき
時代じだい	安土あづち桃山ももやま時代じだい
生誕せいたん	天正てんしょう3年ねん（1575年ねん）
死没しぼつ	文ぶん禄ろく3年ねん6月4日にち（1594年ねん7月がつ21日にち）
別名べつめい	次郎じろう、次郎じろう兵衛ひょうえ尉じょう（通称つうしょう）
戒名かいみょう	舜しゅん庭にわ寺てら殿どの巨きょ柏かしわ庭にわ公こう大だい居士こじ
墓所はかしょ	島根しまね県けん鹿足かのあし郡ぐん津和野つわの町まち後田うしろだの永えい明寺あけてら
主君しゅくん	毛利もうり輝元てるもと
氏族しぞく	清和せいわ源はじめ氏し為ため義よし流ながれ吉見よしみ氏し
父母ちちはは	吉見よしみ広ひろ頼よりゆき、河原かわはら殿どの（内藤ないとう隆春たかはるの娘むすめ）
兄弟きょうだい	矢野やの局きょく、元げん頼よりゆき、広長ひろなが、ほか
妻つま	雪ゆき岩がん秀しゅう梅うめ（吉川よしかわ元春もとはるの娘むすめ）

吉見よしみ 元もと頼よりゆき（よしみ もとより）は、安土あづち桃山ももやま時代じだいの武将ぶしょう。毛利もうり氏しの家臣かしん。

生涯しょうがい

天正てんしょう3年ねん（1575年ねん）、石見いわみ国こく鹿足かのあし郡ぐん津和野つわのの三本松さんぼんまつ城じょうを本拠ほんきょとした国人くにびと・吉見よしみ広ひろ頼よりゆきの嫡男ちゃくなんとして誕生たんじょう。吉川よしかわ元春もとはるの娘むすめ（吉川よしかわ広ひろ家かの妹いもうと）を正室せいしつとした。

天正てんしょう20年ねん（1592年ねん）4月がつから始はじまる文ぶん禄ろくの役やくでは病やまいの父ちち・広こう頼よりゆきに代かわり、元げん頼よりゆきが出陣しゅつじん。元げん頼よりゆきは出陣しゅつじんにあたって、重臣じゅうしんの下瀬したせ頼よりゆき直ただしに命めいじて陣中じんちゅう日記にっきを記しるさせており、この陣中じんちゅう日記にっきによって吉見よしみ軍ぐんの動向どうこうが窺うかがえる。

元げん頼よりゆきらは3月8日にちに津和野つわのを出陣しゅつじんし、長門ながと国こく阿武あぶ郡ぐん萩はぎの指ゆび月がつ城じょう、周防すおう国こく吉敷よしき郡ぐん山口やまぐちを通とおって関門海峡かんもんかいきょうを渡わたり、4月がつ13日にちに肥前ひぜん国こく名護屋なごやに到着とうちゃく。姉あね・矢野やの局きょくの夫おっとである毛利もうり元康もとやすの部隊ぶたいに属ぞくして4月がつ18日にちに呼子よぶこ浦うらを出港しゅっこうし、壱岐いき国こくと対馬つしま国こくを経へて、5月3日にちに釜山ぷさんに上陸じょうりくした。

上陸じょうりく以降いこう、朝鮮半島ちょうせんはんとう各地かくちを転戦てんせんし、文ぶん禄ろく2年ねん（1593年ねん）1月がつ26日にちの碧あお蹄館の戦たたかいでは追撃ついげき戦せんで活躍かつやくし、自みずから首くび一ひとつを挙あげ、吉見よしみ氏し家臣かしんらも40余あまりの首級しゅきゅうを挙あげた。これに対たいし、輝元てるもとは同年どうねん6月3日にち付づけで元げん頼よりゆきの武功ぶこうを賞しょうする書状しょじょうを送おくっている。また、『吉見よしみ家か譜ふ』では元もと頼よりゆきの碧あお蹄館での武功ぶこうについて「勲功くんこう抜群ばつぐん也」と記しるしている。

同年どうねん3月8日にち、漢かん城じょうに在ざい陣中じんちゅうの元もと頼よりゆきのもとへ、津和野つわのから吉見よしみ氏し家臣かしんの野村のむら善よし三郎さぶろうと波多野はたの弥左衛門やざえもんらが到着とうちゃくし、前年ぜんねんの文ぶん禄ろく元年がんねん（1592年ねん）11月18日にちに元もと頼よりゆき正室せいしつが死去しきょしたと報ほうじた。下瀬したせ頼よりゆき直じきは陣中じんちゅう日記にっきにおいて、元げん頼よりゆきが訃報ふほうを受うけた際さいの様子ようすを「公私こうし仰天ぎょうてんし、殊ことの外そと泣涕こがれ、御ご嘆なげきの事こと限かぎりなし。雨あめ少すこし降ぶり候こう」と記しるしている。元げん頼よりゆきは正室せいしつの追善ついぜんとして、家臣かしん5人にんと共ともに「南無阿弥陀仏なむあみだぶつ」の6字じ（なむあみたふ）をそれぞれ文頭ぶんとうに用もちいた歌うたを詠よみ、元げん頼よりゆきは「あ」を用もちいて「あわれたゝ 消けしにしあとの おもひ草くさ 涙なみだの袖そでを いつかはれまし」と詠よんだ。4月には明あきらとの講和こうわ交渉こうしょうが始はじまったことで毛利もうり軍ぐんにも帰国きこく命令めいれいが出だされ、下瀬したせ頼よりゆき直じきの陣中じんちゅう日記にっきの記述きじゅつも、4月がつ7日にちに漢かん城じょうで釜山ぷさんへの退陣たいじん命令めいれいを受うけた記述きじゅつをもって終了しゅうりょうしている。

その後ご、翌年よくねんの文ぶん禄ろく3年ねん（1594年ねん）5月がつ中旬ちゅうじゅんに津和野つわのへ帰還きかんしたが、元げん頼よりゆきは長ながきに渡わたる出陣しゅつじんによって体調たいちょうを崩くずしていた。そこで、同年どうねん5月25日にちに元もと頼よりゆきの養生ようじょうのために三さん本ほん松城まつしろで猿楽さるがく能のうの興行こうぎょうが催もよおされ、元げん頼よりゆきは見物けんぶつを楽たのしんでいたが、見物けんぶつ半なかばで病状びょうじょうが悪化あっかし、6月4日にちに死去しきょした。享年きょうねん20。津和野つわのの永えい明寺あけてらに葬ほうむられたが、現在げんざいは墓はかの所在しょざいが不明ふめいとなっているという。

吉見よしみ氏しの家督かとくは弟おとうと・広行ひろゆき（後ごの広長ひろなが）が継ついだ。

参考さんこう文献ぶんけん

• 津和野つわの町まち史ふみ刊行かんこう会かい『津和野つわの町まち史し 第だい一いち巻かん』（1970年ねん）p.587-592
• 『萩はぎ藩閥はんばつ閲録』巻まき6「毛利もうり伊勢いせ」