四よん・一いち六ろく事件じけん

四よん・一いち六ろく事件じけん（よんいちろくじけん）は、1929年ねん4月がつ16日にちに行おこなわれた日本にっぽん共産党きょうさんとう（第だい二に次じ共産党きょうさんとう）に対たいする検挙けんきょ事件じけんのことを指さすが、1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）に行おこなわれた一連いちれんの検挙けんきょ事件じけんを総合そうごうして言いうこともある。

概要がいよう

1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）に起おきた三さん・一いち五ご事件じけん以後いご、日本にっぽん共産党きょうさんとうは検挙けんきょを逃のがれた渡辺わたなべ政之まさゆき輔、鍋山なべやま貞さだ親おや、佐野さの学まなぶ、市川いちかわ正一しょういちら4人にんの中央ちゅうおう常任じょうにん委員いいんを中心ちゅうしんとして党とうの再建さいけんを図はかった。上海しゃんはいやモスクワに中央ちゅうおう委員いいんを派遣はけんし、国内こくないでも早々そうそうと活動かつどうを再開さいかいした。しかし、1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）3月がつ18日にちに東京とうきょう地方ちほうオルガナイザー菊池きくち克己かつみ（戦後せんご間あいだもなく変死へんし）が逮捕たいほされて猛烈もうれつな拷問ごうもんによって白状はくじょうさせられ、居宅きょたくの家宅かたく捜索そうさくにより党とうの組織そしき文書ぶんしょが押収おうしゅうされた。そこから党とう中央ちゅうおう直属ちょくぞくのオルガナイザー杉本すぎもと文雄ふみおの逮捕たいほに及および、党とう中央ちゅうおうへの波及はきゅうを余儀よぎなくされ、同年どうねん3月がつ21日にちには中央ちゅうおう事務じむ局きょくメンバー砂すな間あいだ一良かずよしが、同年どうねん3月28日にちには中央ちゅうおう事務じむ局長きょくちょう格かくの間庭まにわ末吉すえきち（のちに除名じょめいされスパイの嫌疑けんぎをかけられたまま獄中ごくちゅうで変死へんし）が検挙けんきょされた。間庭まにわが党員とういん名簿めいぼを持もっていたことから、同年どうねん4月がつ16日にちに共産きょうさん党員とういんの全国ぜんこく1道みち3府ふ24県けんにわたる一斉いっせい検挙けんきょが行おこなわれた。その後ごも検挙けんきょは続つづけられ、1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）には4942人にんが治安ちあん維持いじ法ほう違反いはんで逮捕たいほされた。

裁判さいばんでは、多おおくの被告ひこくが有罪ゆうざいとなり控訴こうそ。1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）秋あきから東京とうきょう控訴こうそ院いんで始はじめられた控訴こうそ審しんは、統一とういつ審理しんりとして行おこなわれたが被告ひこくが騒さわぎ出だし大だい混乱こんらんとなった。1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）1月がつ26日にち、東京とうきょう控訴こうそ院いんで再開さいかいした裁判さいばんは、改あらためて分離ぶんり審理しんりとして行おこなわれることとなった。被告ひこくは前橋まえばし、千葉ちば、静岡しずおか、水戸みと、横浜よこはまの順番じゅんばんで入廷にゅうていさせて判決はんけつのい渡いわたしが行おこなわれたが、水戸みとの被告ひこくらは法定ほうてい内ないで革命かくめい歌かを歌うたい即時そくじ釈放しゃくほうを訴うったえた上うえ、取とり押おさえようとした看守かんしゅに暴行ぼうこうを加くわえるなど混乱こんらんが生しょうじた。大阪おおさかについては別途べっと、同日どうじつ中ちゅうに大阪おおさか控訴こうそ院いんで判決はんけつのい渡いわたしが行おこなわれた。

事件じけんの影響えいきょう

一連いちれんの検挙けんきょにより共産党きょうさんとうは壊滅かいめつ的てきな打撃だげきを受うけたが、1930年代ねんだい（昭和しょうわ初期しょき）のいわゆる「非常時ひじょうじ共産党きょうさんとう」時代じだい（モスクワ帰かえりの若手わかて活動かつどう家かが主導しゅどうした）に大衆たいしゅう組織そしきが拡大かくだいし、党勢とうせいを一時いちじ回復かいふくすることができた。しかし党とう指導しどう部ぶに潜入せんにゅうしたスパイMの挑発ちょうはつ的てき方針ほうしんにより1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）11月の熱海あたみ事件じけんで党とう幹部かんぶが一網打尽いちもうだじんにされた。

1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）6月がつ、市ヶ谷いちがや刑務所けいむしょに収監しゅうかんされていた佐野さの学まなぶ、鍋山なべやま貞さだ親おやが共同きょうどう声明せいめいを発表はっぴょうすると獄中ごくちゅうの同志どうしの多おおくが転向てんこうを表明ひょうめい、さらに多おおくの党員とういんが組織そしきから離脱りだつ、党とうとしては壊滅かいめつ状態じょうたいになった。