天皇 制 ファシズム
ファシズム |
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概要 [編集 ]
「
1932
1932
各国 には、各国 の国情 に応 じたファシズムが生 じなくてはならぬ。即 ち、我国 においては、日本 化 したファッショが生 まれる(中略 )世界 的 に称 されているファッショが、日本 の武士 道 によってでっちあげられたものでなくてはならぬ。 — 『昭和大 暗殺 史 』序文 、芳 山 房 、1932年 10月
1946
なお「ファシズム」という
日本 国内 のファシズム運動 の発展 時期 区分 [編集 ]
批評 [編集 ]
肯定 論 [編集 ]
三輪 泰史 は著書 「日本 ファシズムと労働 運動 」で、以下 の見解 を述 べた。1935年 頃 を画 期 として、「警察 精神 」の作興 が進 み労使 関係 ・市民 生活 への警察 の介入 が深化 した。警察 は弾圧 のみならず、社会 的 諸 対立 の調整 ・統合 ・民衆 動員 などの機能 を果 たした。すなわち、イタリアやドイツではファシスト大衆 組織 が担 った役割 を担 った。日本 の「下 から」のファシズム運動 は、軍部 ・官僚 などの既成 権力 への権力 依存 的 特質 を有 していたとしている [12]教育 学者 で八戸工業大学 教授 の松浦 勉 は著書 「日本 ファシズムの戦争 教育 体制 と融和 教育 」で、以下 の見解 を述 べた。1942年 8月 に文部省 社会 教育 局 は『国民 同和 への道 』を刊行 し、はじめて政府 の教育 方針 として同和 教育 政策 の理念 ・具体 的 方針 を示 した。同書 は被 差別 部落 の児童 ・青年 を同和 教育 を通 じて「皇 国民 としての純真 な自覚 に立 たしめ、苦悩 に堪 え、艱難 を忍 び、臣 道 実践 に邁進 する強健 なる心身 」に「陶冶 ・鍛錬 」するというものであった。これは旧 水平 社 の「下 から」の運動 のエネルギーをも利用 し、部落 の児童 ・青年 を他 の児童 ・青年 以上 の「皇 国民 」として「陶冶 ・鍛錬 」することを提示 しており、この同和 教育 の指針 を「天皇 制 ファシズム」教育 の極限 形態 の一 つとして把握 する学説 がある [13]。須崎 愼一 は著書 「日本 ファシズムとその時代 」で、「様相 の違 いをもって、日本 を、ファシズムでないときめつけてしまうわけにはいかない。同種 の国家 体制 であれ、その国 や民族 の歴史 的 伝統 や、その環境 などによってさまざまなバリエ—ションをもつのは、ごく当然 のことだから」との見解 を述 べた。[14]。
否定 論 [編集 ]
- アメリカ
人 の政治 学者 、ケビン・M・ドークとグレゴリー・カスザでは、「保守 系 独裁 」というラベルは当 てはまるのに、ファシズムはみなされない。ドークによると、明治 憲法 を守 る目的 で、政府 が標的 にした反 主流 派 は左翼 だけではなく、右翼 とファシストも含 んだ[15]。 - コミンテルンおよび
神山 茂夫 の見解 では、当時 の日本 の政治 体制 は「軍事 的 ・封建 的 帝国 主義 」であり、ファシズムとはみなされない。軍事 的 封建 的 帝国 主義 とは、ヨーロッパ列強 の帝国 主義 と帝政 ロシアの帝国 主義 を区別 してレーニンが用 いた言葉 である。日本 共産党 の綱領 も「日本 帝国 主義 」で統一 している[16]。 古川 隆久 は著書 『昭和 戦中 期 の議会 と行政 』で以下 の見解 を述 べた。二 度 にわたる国体 明徴 声明 では「我 が国体 は天孫 降臨 の際 下 し賜 へる御 神 勅 に依 り昭 示 せらるる所 にして、万世 一 系 の天皇 国 を統治 し給 ひ、宝祚 の隆 は天地 と倶に窮 なし(第 一 次 )」「政教 其他百般 の事項 総 て万邦 無比 なる我 が国体 の本義 を基 とし、その真髄 を顕揚 するを要 す(第 二 次 )」と謳 われており、これは自由 主義 や社会 主義 のみならずファシズムを含 めた外来 の政治 体制 を排除 する意図 が存在 していた(史的 にも、これは既成 の右派 である観念 右翼 ・日本 主義 者 がファシズムを支持 する革新 右翼 を攻撃 する際 にも用 いられた)[17]。姜 尚中 は、「戦前 の日本 はファシズムではなく、内部 がバラバラの状態 。天皇陛下 のもとで一 つにまとまっているように見 えたけれど、かなりセクショナリズム(部局 割拠 主義 )が強 かったのではないか。そこがナチスドイツとは大 きく違 うのかもしれません。」と指摘 している[18]。
その他 [編集 ]
歴史 学者 の伊藤 隆 は、日本 ファシズムという概念 の流行 は、東京 裁判 の判決 によるところが大 きいとした。そこでは勝戦 国 によって、第 二 次 世界 大戦 がファシズム対 民主 主義 の戦 いであるとイデオロギー化 され正当 化 された。この東京 裁判 の論理 が、日本 共産党 の掲 げた「反戦 ・反 ファシズム」とも親近 性 があったために、戦後 学界 の主流 を成 したマルクス主義 史学 では、戦前 の日本 の体制 を当然 の如 くファシズムと規定 した[19]。政治 学者 の山口 定 は、丸山 眞男 の日本 ファシズム論 を評価 すると同時 に、丸山 眞男 によるファシズムの定義 がコミンテルンによる定義 と同 じであるとの批判 にも言及 した[1]。
脚注 [編集 ]
- ^ a b c
丸山 眞男 と歴史 の見方 (山口 定 、2000年 3月 、政策 科学 7-3) - ^
戸 ノ下 達也 、長木 誠司 「総 力戦 と音楽 文化 音 と声 の戦争 」p142青 弓 社 、2008年 10月 - ^ a b ファッショか
共産 主義 か五 来 欣造 1933年 - ^ 「
天皇 制 と国家 :近代 日本 の立憲 君主 制 」(増田 知子 、1999年 、309p) - ^
初出 :『世界 』1946年 5月 号 。所収 :『現代 政治 の思想 と行動 』(上 )、未來社 、1956年 12月。 - ^ この
定義 、丸山 眞男 著 『[新装 版 ]現代 政治 の思想 と行動 』未 来社 2006年 所収 の同 論文 (11-28ページ)に書 かれていませんでした。孫 引の場合 出典 を変更 してください。 - ^ 『
万有 百科 大 事典 』第 11巻 、小学館 、1973年 、494頁 - ^
天皇 制 ファシズム論 (中村 菊男 ) - ^
日本 ファシズム研究 序說 (安部 博 純 ) - ^
闇 に葬 られた事件 - ^
丸山 眞男 「日本 ファシズムの思想 と運動 」(丸山 眞男 著 『[新装 版 ]現代 政治 の思想 と行動 』未 来社 2006年 所収 32ページ) - ^
三輪 泰史 『日本 ファシズムと労働 運動 』校倉 書房 、1988年 。 - ^
松浦 勉 「日本 ファシズムの戦争 教育 体制 と融和 教育 」日本 教育 学会 『日本 教育 学会 大会 発表 要旨 集録 』1991年 8月 28日 参照 。 - ^ 「
日本 ファシズムとその時代 」(須崎 愼一 、大月書店 、1998年 、382p) - ^ Doak, Kevin (2009). “Fascism Seen and Unseen”. In Tansman, Alan. The culture of Japanese fascism. Durham: Duke University Press. p. 44. ISBN 0822344521. "Careful attention to the history of the Special Higher Police, and particularly to their use by Prime Minister Tōjō Hideki against his enemies even further to his political right, reveals that extreme rightists, fascists, and practically anyone deemed to pose a threat to the Meiji constitutional order were at risk."
- ^
日本 共産党 綱領 - 2004年 1月 17日 第 23回 党 大会 で改定 - ^
古川 隆久 『昭和 戦中 期 の議会 と行政 』(吉川弘文館 、2005年 ) - ^ “
台湾 は親日 的 なのに、韓国 が反日 的 なのはなぜか?明治 初期 の「バグ」が一因 に 〈AERA〉”. AERA dot. (アエラドット) (20190927T113000+0900). 2019年 9月 27日 閲覧 。 - ^
大塚 健 洋 『大川 周明 』
参考 文献 [編集 ]
- 「
天皇 制 ファシズムと水平 運動 」『部落 問題 研究 』36号 (尾川 昌 法 、1973年 2月 ) - 「
天皇 制 ファシズムとそのイデオローグたち ― 『国民 精神 文化 研究所 』を例 にとって」『季刊 科学 と思想 』76号 (宮地 正人 、1990年 4月 ) - 「
西田 税 と日本 ファシズム運動 」(堀 真清 、岩波書店 、2007年 ) - 「
日本 ファシズムの形成 」(江口 圭一 、日本 評論 社 、1978年 ) - 「
日本 ファシズムの興亡 」(万 峰 、六興 出版 、1989年 ) - 「
日本 ファシズムとその時代 :天皇 制 ,軍部 ,戦争 ,民衆 」(須崎 慎一 、大月書店 、1998年 ) - 「
日本 ファシズムと優生 思想 」(藤野 豊 、かもがわ出版 、1998年 ) - 「
日本 帝国 主義 と社会 運動 :日本 ファシズム形成 の前提 」(掛 谷 宰 平 、文理 閣 、2005年 ) - 「
未完 のファシズム―「持 たざる国 」日本 の運命 ―」(片山 杜 秀 、新潮 選書 、2012年 [1]) -皇 道 派 を「農本主義 ファシスト」、統制 派 を「生産 力 ファシスト」と呼 び、日本 のファシズムは「未完 」で終 わったとする。