護憲ごけん運動うんどう

護憲ごけん運動うんどう（ごけんうんどう）とは、大正たいしょう時代じだいに発生はっせいした立憲りっけん政治せいじを擁護ようごする運動うんどう。憲政けんせい擁護ようご運動うんどう（けんせいようごうんどう）とも呼よばれている。

なお、第だい一いち次じ護憲ごけん運動うんどうについては大正たいしょう政変せいへんの項目こうもくも併あわせて参照さんしょうのこと。

第だい一いち次じ護憲ごけん運動うんどう

第だい一いち次じ護憲ごけん運動うんどうの背景はいけいと発端ほったん

大正たいしょう元年がんねん（1912年ねん）12月、第だい2次じ西園寺さいおんじ公望きんもち内閣ないかくの陸軍りくぐん大臣だいじんだった上原うえはら勇作ゆうさくが陸軍りくぐんの二に個こ師団しだん増設ぞうせつを提言ていげんする。しかし行財政ぎょうざいせい整理せいりによって財源ざいげんを確保かくほし、日にち露ろ戦争せんそう後ごの経営けいえいの完遂かんすいを期きす立場たちばであった西園寺さいおんじはこれを拒否きょひした。すると上原うえはらは単独たんどくで陸相りくしょうを辞任じにんした。当時とうじは軍部ぐんぶ大臣だいじん現役げんえき武官ぶかん制せいで現役げんえきの大将たいしょう・中将ちゅうじょうしか陸海りくかい軍ぐん大臣だいじんにはなれなかった。この規定きていにより、後任こうにんの陸相りくしょうを据すえることができなかった西園寺さいおんじ内閣ないかくは、内閣ないかく総そう辞職じしょくを余儀よぎなくされた。

西園寺さいおんじの後継こうけい内ない閣かくには、陸軍りくぐん大将たいしょうの桂かつら太郎たろうが特とくに詔勅しょうちょくを得えて第だい3次じ桂かつら内閣ないかくを組閣そかくすることとなった（このとき桂かつらに対たいして海軍かいぐん大臣だいじんの斎藤さいとう実みのるは「海軍かいぐん拡張かくちょう費用ひようが通とおらないなら留任りゅうにんしない」と主張しゅちょうし、桂かつらは大正天皇たいしょうてんのうの詔勅しょうちょくで斎藤さいとう留任りゅうにんにこぎつけている）。これを、山縣やまがた有朋ありともの意いを受うけた桂かつらが陸軍りくぐんの軍備ぐんび拡張かくちょうを推おし進すすめようとしたものとみなし、議会ぎかい中心ちゅうしんの政治せいじなどを望のぞんで藩閥はんばつ政治せいじに反発はんぱつする勢力せいりょくにより、「閥族ばつぞく打破だは・憲政けんせい擁護ようご」をスローガンとする第だい一いち次じ護憲ごけん運動うんどうが起おこされた。

第だい一いち次じ護憲ごけん運動うんどう

犬いぬ養やしなえ毅あつし

尾崎おざき行雄ゆきお

立憲りっけん政友せいゆう会かいの尾崎おざき行雄ゆきおと立憲りっけん国民党こくみんとうの犬いぬ養やしなえ毅あつしらは、お互たがいに協力きょうりょくしあって憲政けんせい擁護ようご会かいを結成けっせいする。

大正たいしょう2年ねん（1913年ねん）2月がつ5日にち、議会ぎかいで政友せいゆう会かいと国民党こくみんとうが桂かつら内閣ないかくの不信任ふしんにん案あんを提案ていあんする。その提案ていあん理由りゆうを、尾崎おざき行雄ゆきおは次つぎのように答こたえた。

彼等かれらは常つねに口くちを開あけば、直ただちに忠ちゅう愛あいを唱へ、恰あたかも忠君ちゅうくん愛国あいこくは自分じぶんの一いち手て専売せんばいの如ごとく唱へてありまするが、其為なすところを見みれば、常つねに玉座ぎょくざの蔭かげに隠かくれて政敵せいてきを狙撃そげきするが如ごとき挙動きょどうを執とって居いるのである。彼等かれらは玉座ぎょくざを以もって胸壁きょうへきとなし、詔勅しょうちょくを以もって弾丸だんがんに代だいへて政敵せいてきを倒たおさんとするものではないか — 『大だい日本にっぽん憲政けんせい史し』より

桂かつらは不信任ふしんにん案あんを避さけるため、5日間にちかんの議会ぎかい停止ていしを命めいじた。ところが停会ていかいを知しった国民こくみんは怒いかり、桂かつらを擁護ようごする議員ぎいんに暴行ぼうこうするという事件じけんまでが発生はっせいする。桂かつらは9日にちに詔勅しょうちょくを政友せいゆう会かいの西園寺さいおんじ総裁そうさいに下くださせ、それを盾たてに不信任ふしんにん案あんの撤回てっかいを政友せいゆう会かいに迫せまったが、政友せいゆう会かい内ないでは動揺どうようする原はら敬たかしら党とう幹部かんぶを一般いっぱん代議士だいぎしが突つき上あげる形かたちで不信任ふしんにん案あんをもってのぞむことが確認かくにんされた。これに対たいして桂かつらは衆院しゅういん解散かいさんをもって議会ぎかいに臨のぞもうとした。

そうした中なかの2月がつ10日とおか、衆院しゅういん解散かいさんに反対はんたいする過激かげきな憲政けんせい擁護ようご派はらが上野公園うえのこうえんや神田かんだなどで桂かつら内閣ないかくをあからさまに批判ひはんする集会しゅうかいを開ひらき、その集会しゅうかいでの演説えんぜつに興奮こうふんした群衆ぐんしゅうが国会こっかい議事堂ぎじどうに押おし寄よせるという事件じけんを起おこした。桂かつらは衆議院しゅうぎいん議長ぎちょうの大岡おおおか育造いくぞうから「解散かいさんすれば内乱ないらんが起おきる」と説得せっとくされて総そう辞職じしょくを決意けついし、そのためにさらに3日間にちかんの議会ぎかいの停会ていかいを命めいじた。

しかし事情じじょうを知しらぬ群衆ぐんしゅうは、停会ていかいに激怒げきどして国民こくみん新聞しんぶん社しゃや交番こうばんなどを襲おそった。さらにこの憲政けんせい擁護ようご運動うんどうは東京とうきょうだけでは収おさまらず、関西かんさいなどにおいても同様どうようの襲撃しゅうげき事件じけんが発生はっせいし、各地かくちで桂かつら内閣ないかくに反対はんたいする暴動ぼうどうが相次あいついだ。

2月がつ11日にち、桂かつら内閣ないかくは総そう辞職じしょくした。後継こうけい内ない閣かくは海軍かいぐん大将たいしょう山本やまもと権兵衛ごんべえが政友せいゆう会かいを与党よとうとして組織そしきした。民衆みんしゅうの多おおくは政友せいゆう会かいと国民党こくみんとう連携れんけいによる政党せいとう内ない閣かくを期待きたいする声こえが多おおかったので、政友せいゆう会かいが山本やまもと内閣ないかくに妥協だきょうしたことは民衆みんしゅうを失望しつぼうさせた。このため尾崎おざきらが政友せいゆう会かいを離党りとうし、新あらたに政友せいゆう倶楽部くらぶを結党けっとうした。国民党こくみんとうも山本やまもと内閣ないかくと一線いっせんを画かくす立場たちばをとった。これに対たいし山本やまもと内閣ないかくと政友せいゆう会かいは文官ぶんかん任用にんよう令れいの改正かいせい、軍部ぐんぶ大臣だいじん現役げんえき武官ぶかん制せい改正かいせい（現役げんえき規定きていをなくす）、行財政ぎょうざいせい整理せいりの断行だんこうなどを実施じっしすることで批判ひはんをかわし、第だい一いち次じ護憲ごけん運動うんどうは一応いちおう束たばねしていった。

第だい一いち次じ護憲ごけん運動うんどうは政党せいとうと新聞しんぶん記者きしゃらが表面ひょうめんに立たってはいたが、日にち露ろ戦争せんそう後のちに頻発ひんぱつした都市とし民衆みんしゅうによる騒擾そうじょう事件じけんによって民衆みんしゅうの政治せいじ意識いしきが成長せいちょうしはじめ、民衆みんしゅうの運動うんどうが絶たえず政党せいとうを突つき上あげ、客観きゃっかん的てき主導しゅどう力りょくは民衆みんしゅうの側がわにあったとされる。また青年せいねん層そうや実業じつぎょう家かも活発かっぱつな動うごきを示しめした。総そうじて大正たいしょうデモクラシーを大おおきく切きり開ひらいたものとされる。

第だい二に次じ護憲ごけん運動うんどう

加藤かとう高明こうめい

第だい一いち次じ護憲ごけん運動うんどう以降いこう、公党こうとうは立憲りっけん政友せいゆう会かいと憲政けんせい会かいの二に大だい政党せいとうに収斂しゅうれんする。特とくに政友せいゆう会かいは、原はら敬たかし総裁そうさいのもとで山縣やまがた総裁そうさい以下いか藩閥はんばつの勢力せいりょくを圧倒あっとうし、1918年ねんには初はじめて政党せいとうを主体しゅたいとする原内はらうち閣かくが成立せいりつ、政党せいとう内ない閣かく制せいが本格ほんかく的てきに到来とうらいしたに思おもわれた。しかし、原はら首相しゅしょうの暗殺あんさつ後ご、後継こうけいとなった高橋たかはし内閣ないかくは、高橋たかはし是清これきよ総裁そうさいが党内とうない各派かくはの対立たいりつをまとめられずに政権せいけん崩壊ほうかい。対たいする憲政けんせい会かいの加藤かとう高明こうめい総裁そうさいは、元老げんろうより首相しゅしょうとして力量りきりょう不足ふそくとみられており、元老げんろう会議かいぎは政党せいとう人じんの首相しゅしょう選任せんにんを断念だんねん、非ひ政党せいとう人じんから加藤かとう友三郎ともさぶろう海軍かいぐん大将たいしょうを選任せんにんした。1923年ねん8月がつ、加藤かとう首相しゅしょうの没後ぼつごは、やはり軍ぐん界かいより山本やまもと権兵衛ごんべえ元もと首相しゅしょうを選任せんにん、2代だい続つづけての中なか間あいだ内ない閣かくとなった（第だい3党とうの革新かくしん倶楽部くらぶは与党よとう入いりし、犬いぬ養やしなえ毅あつし総裁そうさいが入閣にゅうかくした）。

第だい2次じ山本やまもと内閣ないかくは、翌年よくねんに迫せまった第だい15回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょまでの選挙せんきょ管理かんり内ない閣かくとみなされていたことから、同年どうねん10月がつ頃ごろより、両りょう党内とうないで選挙せんきょ後ごをにらんだ動うごきが活発かっぱつになる。政友せいゆう会かいにおいては、政権せいけん崩壊ほうかい後ごも総裁そうさいに留とまる高橋たかはしへの退陣たいじん要求ようきゅうが出だされるが、総務そうむ職しょくを増員ぞういん、各派かくはの長老ちょうろう議員ぎいんを追加ついかすることが妥協だきょうされる。また、憲政けんせい会かいにおいて、庚申こうしん俱楽部ぶとの合同ごうどう、および、元老げんろう会議かいぎからあからさまに敵視てきしされた加藤かとう総裁そうさいを排はいする動うごきが起おこったが、三菱みつびし財閥ざいばつの姻族いんぞくである加藤かとう総裁そうさいの資金しきん力りょくは憲政けんせい会かいの生命せいめい線せんとなっており、追及ついきゅうの動うごきは鈍にぶかった。

またこれと同期どうきして、政憲まさのり両りょう党とうの間あいだでの連携れんけいの話はなしも持もち上あがる。12月以降いこう、岡崎おかざき邦くに輔と安達あだち謙蔵けんぞうが窓口まどぐちとなり、山本やまもと内閣ないかくの議員ぎいん引ひき抜ぬき工作こうさくへの対応たいおうなどで連携れんけいを深ふかめるが、倒閣とうかくなった後のち、高橋たかはし、加藤かとうのどちらが首相しゅしょうとなるかについては一致いっちを見みなかった。

その最中さいちゅう、12月27日にち、虎ノ門とらのもん事件じけんが発生はっせいし、山本やまもと内閣ないかくは総そう辞職じしょく。後継こうけいの首相しゅしょうにはやはり中間ちゅうかん内閣ないかくとして清浦きようら奎吾枢密院すうみついん議長ぎちょうが選任せんにんされる。清浦きようら首相しゅしょうは、当初とうしょは研究けんきゅう会かいと政友せいゆう会かいを貴き衆しゅう両院りょういんの与党よとうとして組閣そかくする心こころづもりであったが、選挙せんきょ管理かんり内ない閣かくという性質せいしつ上じょう、衆議院しゅうぎいんの各党かくとうとは距離きょりをとることを求もとめられたため、やむを得えず、研究けんきゅう会かいを中心ちゅうしんとした貴族きぞく院いんを地盤じばんとして、1月がつ7日にち、内閣ないかく発足ほっそくに至いたった。

高橋たかはし内閣ないかく時じから内紛ないふんをおこしていた政友せいゆう会かいは、清浦きようら内閣ないかくへの擁護ようごの賛否さんぴを巡めぐって混迷こんめいを深ふかめる。15日にちの幹部かんぶ会かいにて議論ぎろんをしたとき、高橋たかはし総裁そうさいは"反はん清浦きようら"を旗印はたじるしに、自みずから次期じき総そう選挙せんきょに立候補りっこうほする考かんがえを表明ひょうめい。対たいする"親おや清浦きようら"派はは、17日にちに脱党だっとうを表明ひょうめい、29日にちに政友せいゆう本ほん党とう（床次とこなみ竹二郎たけじろう総裁そうさい）を結党けっとうし、清浦きようら内閣ないかくの与党よとうとなる。この時点じてんで、残留ざんりゅう組ぐみは129名めい、脱党だっとう組ぐみは149名めいであり、政友せいゆう会かいは議員ぎいんが一時いちじで半減はんげん以下いかに落おち込こむ事態じたいに至いたった。期きせずして議会ぎかい第だい一いち党とうを与党よとうに得えた清浦きようら内閣ないかくは、31日にち、衆議院しゅうぎいん解散かいさんに踏ふみ切きる。

残のこった政友せいゆう会かいは、憲政けんせい会かい、革新かくしん倶楽部くらぶと連携れんけいをとる。1月18日にち、退役たいえき陸軍りくぐん中将ちゅうじょう三浦みうら梧楼ごろうの斡旋あっせんによって高橋たかはし・加藤かとう・犬いぬ養やしなえの三さん総裁そうさいが党首とうしゅ会談かいだんに臨のぞみ、護憲ごけん三さん派はを結成けっせいし、「清浦きようら内閣ないかくを倒たおして憲政けんせいの本義ほんぎに則のっとり、政党せいとう内ない閣かく制せいの確立かくりつを期きすこと」で互たがいに合意ごういした。

我輩わがはいは前年ぜんねん一いちたび三さん党首とうしゅの結合けつごうを計はかって失敗しっぱいしたが、今いまや官僚かんりょう内ない閣かくの続出ぞくしゅつするを見みて、黙止もだせられず、二にたび其結合けつごうを計はかるの必要ひつようを感かんずるに至いたった。……加藤かとうと前後ぜんごして高橋たかはしも来きた。犬いぬ養やしなえも来きた。三さん党首とうしゅ皆みな揃そろうた。ソコで我輩わがはいが一いち通とおり憲政けんせい擁護ようごの為ためめ、三さん派は連合れんごうの必要ひつようを説とくと、何いずれも異議いぎなく賛成さんせいして、護憲ごけん三さん派はの結合けつごうが愈いよいよ愈いよいよ此に成立なりたったのだ。……三さん党首とうしゅの申もうし合あわせは、憲政けんせいの本義ほんぎに則のっとり、政党せいとう内ない閣かく制せいの確立かくりつを期きする事ことと云うんふのであった — 『観かん樹じゅ将軍しょうぐん回顧かいこ録ろく』より

そして20日はつか、三さん党とうの幹部かんぶの会合かいごうにて、以下いかの盟約めいやくが結むすばれた。

1. 政党せいとう内ない閣かくを確立かくりつすること
2. 特権とっけん勢力せいりょくの専せん横よこを阻止そしすること
3. 以上いじょうの目的もくてき貫徹かんてつのため、将来しょうらいもまた一致いっちの行動こうどうをとること
4. 以上いじょうの趣旨しゅしのもと、清浦きようら内閣ないかくを否認ひにんすること

護憲ごけん三さん派はは、関西かんさいで憲政けんせい擁護ようご大会たいかいを開ひらいて演説えんぜつを行おこなうなどして大衆たいしゅうからの支持しじを呼よびかけるなど、盛さかんに運動うんどうする。加くわえて、貴族きぞく院いん内部ないぶでも、出身しゅっしん母体ぼたいの研究けんきゅう会かいから3名めいを入閣にゅうかくさせた清浦きようら首相しゅしょうに対たいして、他た会派かいはからの批判ひはんが湧わき起おこっていた。更さらに、当初とうしょは任期にんき満了まんりょう選挙せんきょを想定そうていしていた清浦きようら内閣ないかくが、政友せいゆう本ほん党とう結党けっとう直後ちょくごに解散かいさんに踏ふみ切きったことから、選挙せんきょ管理かんり内ない閣かくとしての立場たちばを逸脱いつだつして、研究けんきゅう会かいと政友せいゆう本ほん党とうの支持しじを背景はいけいに長期ちょうき政権せいけん化かを狙ねらったものとされて、世論せろんの硬化こうかを招まねいた。このため、この解散かいさんは「懲罰ちょうばつ解散かいさん」ないし「清浦きようらクーデター」の名称めいしょうで呼よばれるようになる。さらに、選挙せんきょの投票とうひょう日びは、前年ぜんねんの関東大震災かんとうだいしんさいによる選挙せんきょ人じん名簿めいぼの損傷そんしょうによって延期えんきされたが、その間あいだに清浦きようら内閣ないかくが護憲ごけん三さん派はの選挙せんきょ運動うんどうの妨害ぼうがいを図はかったことから、国民こくみん各層かくそうの憤激ふんげきを招まねいた。

そして5月がつ10日とおかに行おこなわれた第だい15回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょの結果けっか、護憲ごけん三さん派はからは286名めい（憲政けんせい会かい152名めい。政友せいゆう会かい102名めい。革新かくしん倶楽部くらぶ30名めい）らが当選とうせんする。これに対たいして清浦きようら内閣ないかくを支持しじしていた政友せいゆう本ほん党とうは111名めいが当選とうせんしたにとどまり、護憲ごけん三さん派はの圧勝あっしょうに終おわった。6月11日にち、第だい一いち党とう総裁そうさいの加藤かとう高明こうめいに内閣ないかく組閣そかくの大命たいめいが下くだり、加藤かとう高明こうめい内閣ないかくが発足ほっそく（政友せいゆう会かいから2名めい、革新かくしん倶楽部くらぶから1名めい入閣にゅうかく）。高橋たかはし内閣ないかくいらい2年ねんぶりに政党せいとう内ない閣かくが復活ふっかつした。

第だい二に次じ護憲ごけん運動うんどうの影響えいきょう

第だい二に次じ護憲ごけん運動うんどうは、大衆たいしゅうの関与かんよの薄うすい政党せいとう中心ちゅうしんの運動うんどうであり、その規模きぼも第だい一いち次じと較くらべるとあまりに小規模しょうきぼであった。盛もり上あがりを欠かいた背景はいけいは様々さまざまあるが、一ひとつの理由りゆうとして、清浦きようら内閣ないかくは翌年よくねん5月がつ10日とおかに予定よていされていた総そう選挙せんきょ施行しこうのための期間きかん限定げんていの選挙せんきょ管理かんり内ない閣かくであり、中立ちゅうりつ性せいに配慮はいりょした結果けっか、政党せいとう色しょくのない貴族きぞく院いん議員ぎいんが占しめるのは仕方しかたがないとする見方みかたもあったからである（先述せんじゅつの通とおり、前任ぜんにんの山本やまもと権兵衛ごんべえが首相しゅしょうとなった理由りゆうの一ひとつも、選挙せんきょが迫せまっていたことだった）。その後ご、政友せいゆう会かいが分裂ぶんれつし、しかも与党よとうとなった政友せいゆう本ほん党とうの方ほうが規模きぼは大おおきかったから、衆議院しゅうぎいん第だい一いち党とうを欠かく運動うんどうとなってしまった。さらに護憲ごけん三さん派はの具体ぐたい的てきな政策せいさく面めんでの主張しゅちょうがはっきりせず、一致いっち点てんが多おおくなかった点てんも挙あげられる。普通ふつう選挙せんきょの導入どうにゅうには政友せいゆう会かいがやや消極しょうきょく的てき、一方いっぽうで貴族きぞく院いん改革かいかくには憲政けんせい会かいが冷ひややかといった具合ぐあいであった。

しかし憲法けんぽう学者がくしゃの美濃部みのべ達吉たつきちは、「長ながい梅雨つゆが明あけて、かすかながらも日光にっこうを望のぞむことができたような気持きもち」と、この運動うんどうを高たかく評価ひょうかしている。

加藤かとう内閣ないかくは陸軍りくぐん4個こ師団しだんの廃止はいし（いわゆる「宇垣うがき軍縮ぐんしゅく」）や予算よさん一いち億おく円えんの削減さくげん、有ゆう爵議員ぎいんのうち、伯はく・子こ・男おとこの数かずを150名めいに減へらすなどの貴族きぞく院いん改革かいかく、外務がいむ大臣だいじん 幣ぬさ原はら喜重郎きじゅうろうの協調きょうちょう外交がいこうによるソ連それんとの国交こっこう樹立じゅりつ、普通ふつう選挙せんきょ法ほうおよび治安ちあん維持いじ法ほうの制定せいていなどが行おこなわれた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 升ます味あじ準じゅん之の輔『日本にっぽん政治せいじ史し 3 政党せいとうの凋落ちょうらく、総そう力戦りきせん体制たいせい』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、東京とうきょう都と文京ぶんきょう区く、1988年ねん7月がつ8日にち。ISBN 4-13-033043-8。 

関連かんれん項目こうもく

• 憲法けんぽう
• 大正たいしょう政変せいへん
• 憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎ
• 護憲ごけん
• 大正たいしょうデモクラシー