原内はらうち閣かく

原内はらうち閣かく
内閣ないかく総理そうり大臣だいじん	第だい19代だい 原はら敬たかし
成立せいりつ年月日ねんがっぴ	1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）9月29日にち
終了しゅうりょう年月日ねんがっぴ	1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）11月13日にち
与党よとう・支持しじ基盤きばん	立憲りっけん政友せいゆう会かい
施行しこうした選挙せんきょ	第だい14回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょ
衆議院しゅうぎいん解散かいさん	1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）2月がつ26日にち
内閣ないかく閣僚かくりょう名簿めいぼ（首相しゅしょう官邸かんてい）

原内はらうち閣かく（はらないかく）は、衆議院しゅうぎいん議員ぎいん・立憲りっけん政友せいゆう会かい総裁そうさいの原はら敬たかしが第だい19代だい内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに任命にんめいされ、1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）9月29日にちから1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）11月13日にちまで続つづいた日本にっぽんの内閣ないかく。

陸軍りくぐん大臣だいじん・海軍かいぐん大臣だいじん・外務がいむ大臣だいじんを除のぞく国務大臣こくむだいじんに、原はら敬たかしが総裁そうさいを務つとめる立憲りっけん政友せいゆう会かいの党員とういんを起用きようしたことから、日本にっぽん初はつの本格ほんかく的てき政党せいとう内ない閣かくと言いわれる。日本にっぽん史上しじょう初はつの政党せいとう内ない閣かくは第だい1次じ大隈おおくま内閣ないかくである。

内閣ないかくの顔かおぶれ・人事じんじ

国務大臣こくむだいじん

1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）9月がつ29日にち任命にんめい。在職ざいしょく日数にっすう1,133日にち。

職名しょくめい	代だい	氏名しめい		出身しゅっしん等とう	特命とくめい事項じこう等とう	備考びこう
内閣ないかく総理そうり大臣だいじん	19	原はら敬たかし		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい	司法しほう大臣だいじん兼任けんにん	1921年ねん11月4日にち死亡しぼう欠かけ缺かけ 立憲りっけん政友せいゆう会かい総裁そうさい
外務がいむ大臣だいじん	34	内田うちだ康哉こうさい		外務省がいむしょう （子爵ししゃく→） 伯爵はくしゃく
内務ないむ大臣だいじん	32	床次とこなみ竹二郎たけじろう		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい	鉄道てつどう院いん総裁そうさい	初はつ入閣にゅうかく
大蔵おおくら大臣だいじん	21	高橋たかはし是清これきよ		貴族きぞく院いん 立憲りっけん政友せいゆう会かい （交友こうゆう倶楽部くらぶ） 男爵だんしゃく
陸軍りくぐん大臣だいじん	14	田中たなか義一ぎいち		（陸軍りくぐん中将ちゅうじょう→） 陸軍りくぐん大将たいしょう （陸りく大だい8期き） 男爵だんしゃく		初はつ入閣にゅうかく 1921年ねん6月がつ9日にち免めん
	15	山梨やまなし半はん造づくり		（陸軍りくぐん中将ちゅうじょう→） 陸軍りくぐん大将たいしょう （陸りく大だい8期き）		初はつ入閣にゅうかく 1921年ねん6月がつ9日にち任にん
海軍かいぐん大臣だいじん	8	加藤かとう友三郎ともさぶろう		海軍かいぐん大将たいしょう （海兵かいへい7期き） 男爵だんしゃく		留任りゅうにん
司法しほう大臣だいじん	22	原はら敬たかし		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい	内閣ないかく総理そうり大臣だいじん兼任けんにん	1920年ねん5月がつ15日にち免めん兼けん
	23	大木たいぼく遠とお吉よし		貴族きぞく院いん 立憲りっけん政友せいゆう会かい （研究けんきゅう会かい） 伯爵はくしゃく		初はつ入閣にゅうかく 1920年ねん5月がつ15日にち任にん
文部もんぶ大臣だいじん	29	中橋なかはし徳五郎とくごろう		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい		初はつ入閣にゅうかく
農のう商務しょうむ大臣だいじん	28	山本やまもと達雄たつお		貴族きぞく院いん 立憲りっけん政友せいゆう会かい （交友こうゆう倶楽部くらぶ） 男爵だんしゃく
逓信ていしん大臣だいじん	25	野田のだ卯太郎うたろう		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい		初はつ入閣にゅうかく
鉄道てつどう大臣だいじん	（鉄道てつどう省しょう未み設置せっち）					1920年ねん5月がつ15日にち設置せっち
	1	元田もとだ肇はじめ		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい		1920年ねん5月がつ15日にち任にん
辞令じれいのある留任りゅうにんは個別こべつの代だいとして記載きさいし、辞令じれいのない留任りゅうにんは記載きさいしない。 臨時りんじ代理だいりは、大臣だいじん空位くういの場合ばあいのみ記載きさいし、海外かいがい出張しゅっちょう時じ等とうの一時いちじ不在ふざい代理だいりは記載きさいしない。 代数だいすうは、臨時りんじ兼任けんにん・臨時りんじ代理だいりを数かぞえず、兼任けんにん・兼務けんむは数かぞえる。

内田うちだ内閣ないかく総理そうり大臣だいじん臨時りんじ代理だいり

1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）11月4日にち任命にんめい。在職ざいしょく日数にっすう10日にち。

職名しょくめい	代だい	氏名しめい		出身しゅっしん等とう	特命とくめい事項じこう等とう	備考びこう
内閣ないかく総理そうり大臣だいじん	-	内田うちだ康哉こうさい		外務省がいむしょう 伯爵はくしゃく	臨時りんじ兼任けんにん （外務がいむ大臣だいじん兼任けんにん）
外務がいむ大臣だいじん	25	内田うちだ康哉こうさい		外務省がいむしょう 伯爵はくしゃく	内閣ないかく総理そうり大臣だいじん臨時りんじ兼任けんにん	留任りゅうにん
内務ないむ大臣だいじん	32	床次とこなみ竹二郎たけじろう		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい	鉄道てつどう院いん総裁そうさい	留任りゅうにん
大蔵おおくら大臣だいじん	21	高橋たかはし是清これきよ		貴族きぞく院いん 立憲りっけん政友せいゆう会かい （交友こうゆう倶楽部くらぶ） 子爵ししゃく		留任りゅうにん
陸軍りくぐん大臣だいじん	15	山梨やまなし半はん造づくり		陸軍りくぐん大将たいしょう （陸りく大だい8期き）		留任りゅうにん
海軍かいぐん大臣だいじん	8	加藤かとう友三郎ともさぶろう		海軍かいぐん大将たいしょう （海兵かいへい7期き） 男爵だんしゃく		留任りゅうにん
司法しほう大臣だいじん	23	大木たいぼく遠とお吉よし		貴族きぞく院いん 無所属むしょぞく （研究けんきゅう会かい） 伯爵はくしゃく		留任りゅうにん
文部もんぶ大臣だいじん	29	中橋なかはし徳五郎とくごろう		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい		留任りゅうにん
農のう商務しょうむ大臣だいじん	28	山本やまもと達雄たつお		貴族きぞく院いん 立憲りっけん政友せいゆう会かい （交友こうゆう倶楽部くらぶ） 男爵だんしゃく		留任りゅうにん
逓信ていしん大臣だいじん	25	野田のだ卯太郎うたろう		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい		留任りゅうにん
鉄道てつどう大臣だいじん	1	元田もとだ肇はじめ		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい		留任りゅうにん
辞令じれいのある留任りゅうにんは個別こべつの代だいとして記載きさいし、辞令じれいのない留任りゅうにんは記載きさいしない。 臨時りんじ代理だいりは、大臣だいじん空位くういの場合ばあいのみ記載きさいし、海外かいがい出張しゅっちょう時じ等とうの一時いちじ不在ふざい代理だいりは記載きさいしない。 代数だいすうは、臨時りんじ兼任けんにん・臨時りんじ代理だいりを数かぞえず、兼任けんにん・兼務けんむは数かぞえる。

内閣ないかく書記官しょきかん長ちょう・法制ほうせい局きょく長官ちょうかん

1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）9月がつ29日にち任命にんめい。

職名しょくめい	代だい	氏名しめい		出身しゅっしん等とう	特命とくめい事項じこう等とう	備考びこう
内閣ないかく書記官しょきかん長ちょう	21	高橋たかはし光ひかり威たけし		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい
法制ほうせい局きょく長官ちょうかん	19	横田よこた千せん之これ助すけ		衆議院しゅうぎいん 立憲りっけん政友せいゆう会かい	内閣ないかく恩給おんきゅう局長きょくちょう
辞令じれいのある留任りゅうにんは個別こべつの代だいとして記載きさいし、辞令じれいのない留任りゅうにんは記載きさいしない。 臨時りんじ代理だいりは、大臣だいじん空位くういの場合ばあいのみ記載きさいし、海外かいがい出張しゅっちょう時じ等とうの一時いちじ不在ふざい代理だいりは記載きさいしない。 代数だいすうは、臨時りんじ兼任けんにん・臨時りんじ代理だいりを数かぞえず、兼任けんにん・兼務けんむは数かぞえる。

参政さんせい官かん

任命にんめいなし。1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）5月15日にち廃止はいし。

勢力せいりょく早見はやみ表ひょう

※ 内閣ないかく発足ほっそく当初とうしょ（前ぜん内閣ないかくの事務じむ引継ひきつぎは除のぞく）。

出身しゅっしん	国務大臣こくむだいじん	その他た
りつけんせいゆうかい立憲りっけん政友せいゆう会かい	6	内閣ないかく書記官しょきかん長ちょう、法制ほうせい局きょく長官ちょうかん
こうゆうくらふ公おおやけ友とも倶楽部くらぶ	2
くんふ軍部ぐんぶ	2	国務大臣こくむだいじんのべ4
けんきゆうかい研究けんきゅう会かい	1
かんりよう官僚かんりょう	1
	12

内閣ないかくの動うごき

大正たいしょう中期ちゅうきの国政こくせいは、立憲りっけん政友せいゆう会かいが衆議院しゅうぎいんにおいて一いち党とう優位ゆうい状態じょうたいを確立かくりつさせていたが、天皇てんのうへの首相しゅしょうの奏請そうせい権けん（事実じじつ上じょうの任命にんめい権けん）を持もっていた山縣やまがた有朋ありとも筆頭ひっとう元老げんろうが政友せいゆう会かいを嫌きらっており、同どう党とうの原はら敬たかし総裁そうさいの首相しゅしょう就任しゅうにんを拒否きょひしていた。しかし1918年ねん、山縣やまがた率ひきいる藩閥はんばつの直系ちょっけいである寺内てらうち正毅まさきが、政友せいゆう会かいの協力きょうりょくを得えられずに、寺内てらうちの健康けんこう問題もんだいが理由りゆうで辞職じしょくすると、山縣やまがたはついに原はらを首相しゅしょうに奏請そうせい、9月29日にち、政友せいゆう会かいを与党よとうとする原内はらうち閣かくが発足ほっそくした。

主おもな政策せいさく

• シベリア出兵しゅっぺい - ロシア革命かくめいへの介入かいにゅうを目的もくてきとして、寺内前てらうちまえ内閣ないかくは英えい仏ふつら欧州おうしゅう列強れっきょうと協調きょうちょうして派兵はへいをしていたが、原内はらうち閣かくは基本きほん的てきに米国べいこくの方針ほうしんに追従ついしょうする立場たちばをとる。1918年ねん10月がつ5日にちには、バイカル湖こ以西いせいからの撤兵てっぺいを閣議かくぎ決定けってい。陸軍りくぐんもこれに追従ついしょうして、平時へいじ編成へんせいで対応たいおうする方針ほうしんを進言しんげんし、12月19日にちには出兵しゅっぺい数すうを平時へいじの2万まん人にんにまで削減さくげんする。
  その後ご、1920年ねん1月がつに米国べいこくが完全かんぜん撤兵てっぺいを開始かいしすると、原はらは歩調ほちょうを合あわせて撤兵てっぺいを指示しじ。陸軍りくぐんは撤兵てっぺいに難色なんしょくを示しめし、6月がつには赤軍せきぐんによる日本にっぽん軍ぐん捕虜ほりょの処刑しょけいが明あかるみとなり（尼あま港みなと事件じけん）、世論せろんは強硬きょうこう論ろんに傾かたむく。しかし原はらは撤兵てっぺいを推おし進すすめ、統帥とうすい権けんを保持ほじする陸軍りくぐん参謀さんぼう本部ほんぶ（上原うえはら勇作ゆうさく参謀さんぼう総長そうちょう）を屈服くっぷくさせ、7月がつ15日にちに停戦ていせん議定ぎてい書しょ調印ちょういん。原げん死後しごの1922年ねん10月がつに完全かんぜん撤兵てっぺいし、革命かくめいへの介入かいにゅうは失敗しっぱいに終おわった。
• 第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん/パリ講和こうわ会議かいぎ - 1918年ねん11月に欧州おうしゅう大戦たいせんが停戦ていせん、翌よく1919年ねん1月がつより開ひらかれた講和こうわ会議かいぎには西園寺さいおんじ公望きんもち元もと首相しゅしょうを首席しゅせき全権ぜんけんとして派遣はけんする。日本にっぽんは戦中せんちゅう、石井いしい菊次郎きくじろう駐米ちゅうべい大使たいしの主導しゅどうでロンドン宣言せんげんに加入かにゅう、世界せかい秩序ちつじょの安定あんていに寄与きよしていたことにより戦後せんご処理しょりへの発言はつげん権けんを得えており、敗戦はいせん国こくドイツが失陥しっかんした山東さんとう省しょう、南洋なんよう諸島しょとうを編入へんにゅうすることとなった。同年どうねん6月がつ28日にち調印ちょういん。
• 選挙せんきょ権けん拡大かくだい - 普ひろし選せん運動うんどうが沸わき上あがったのに配慮はいりょして、公職こうしょく選挙せんきょ法ほうを改正かいせい、直じき性せい国税こくぜいの要件ようけんを従来じゅうらいの10円えんから3円えんに引ひき下さげた（1919年ねん3月がつ25日にち成立せいりつ、5月23日にち施行しこう）。翌よく1920にも更さらなる拡大かくだいを求もとめる運動うんどうは続つづき、野党やとうも改正かいせい案あんを提出ていしゅつしたが、原はらは更さらなる拡大かくだいには消極しょうきょく的てきで、対立たいりつを口実こうじつに衆議院しゅうぎいんを解散かいさん。第だい14回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょ（5月がつ10日とおか投開票とうかいひょう）で政友せいゆう会かいが勝利しょうりしたことで、機運きうんはしぼむ。
• 宮中きゅうちゅう問題もんだい - 1919年ねん11月がつ頃ごろより大正天皇たいしょうてんのうの様態ようたいが悪化あっかし、皇太子こうたいし裕仁ひろひと親王しんのうの摂政せっしょう就任しゅうにんが現実味げんじつみを帯おびる。貞明皇后ていめいこうごうは摂政せっしょう設置せっちに消極しょうきょく的てきで、更さらに皇太子こうたいしの欧州おうしゅう歴訪れきほう計画けいかくに対たいして在野ざいや右翼うよくの反対はんたい運動うんどうがおこる。これと前後ぜんごして宮中きゅうちゅう某ぼう重大じゅうだい事件じけんが発生はっせいして山縣やまがた筆頭ひっとう元老げんろうが失脚しっきゃくするなどの動揺どうようが起おこったが、原はらは無事ぶじに処理しょりした。原はらの死後しご、皇太子こうたいしの摂政せっしょう就任しゅうにんが実現じつげんする。

1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）11月4日にち、原はら敬たかしが暗殺あんさつされたことにより総そう辞職じしょく。後継こうけいには高橋たかはし是清これきよ蔵相ぞうしょうが首相しゅしょうを兼任けんにん、政友せいゆう会かいの総裁そうさいにも就任しゅうにんして、政友せいゆう会かい内閣ないかくは継続けいぞくする。

関連かんれん項目こうもく

• 1918年ねんの政治せいじ
• 1919年ねんの政治せいじ
• 1920年ねんの政治せいじ
• 1921年ねんの政治せいじ
• 原はら敬たかし暗殺あんさつ事件じけん

外部がいぶリンク

• 首相しゅしょう官邸かんてい - 原内はらうち閣かく