水曜すいよう会かい (社会しゃかい主義しゅぎ団体だんたい)

水曜すいよう会かい（すいようかい）は、1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）8月がつ頃ごろから1923年ねん3月がつ頃ごろまでの時期じきに活動かつどうしていた山川やまかわ均ひとしを中心ちゅうしんとする社会しゃかい主義しゅぎ団体だんたいである。

概要がいよう

1921年ねん5月、日本にっぽん社会しゃかい主義しゅぎ同盟どうめいが内部ないぶ対立たいりつと当局とうきょくの弾圧だんあつにより解散かいさんした後のち、各地かくちで分散ぶんさん的てきに形成けいせいされた社会しゃかい主義しゅぎ者しゃの小しょうグループの一ひとつである。

山川やまかわのほかには高橋たかはし貞樹さだき・徳田とくた球一きゅういちなど、後ごの第だい一いち次じ共産党きょうさんとうに結集けっしゅうする若手わかての活動かつどう家かたちが参加さんかしていたことから、日本にっぽん共産党きょうさんとうの源流げんりゅうの一ひとつとみなされている。

沿革えんかく

1921年ねんの社会しゃかい主義しゅぎ者しゃ同盟どうめいの解散かいさん後ご、発起人ほっきにんの一人ひとりであった山川やまかわ均ひとしは、それまで山崎やまざき今朝弥けさやらの平民へいみん大学だいがくにより発行はっこうされていた雑誌ざっし『社会しゃかい主義しゅぎ研究けんきゅう』の刊行かんこうを引ひき受うけ、その結果けっか、東京とうきょう・大森おおもりの自宅じたくには、同年どうねん8月がつころから西にし雅雄まさおら同誌どうしの編集へんしゅう関係かんけい者しゃたちが、山川やまかわの在宅ざいたく日びである水曜日すいようびに集あつまるようになった。

自然しぜん発生はっせい的てきに始はじまった会合かいごうは定例ていれい会かいの曜日ようびにちなんで水曜すいよう会かいと呼よばれ、山川やまかわを中心ちゅうしんに、西にし雅雄まさお・田所たどころ輝明てるあき・上田うえだ茂樹しげき・高橋たかはし貞樹さだきらが世話せわ役やくとなり、研究けんきゅう会かいには渡辺わたなべ政之まさゆき輔・川合かわい義虎よしとら・徳田とくた球一きゅういち・黒田くろだ寿男としお・井之口いのくち政雄まさおらの若わかい学生がくせい・労働ろうどう者しゃたちが参加さんかした。同年どうねん9月がつ以降いこう、会かいは堺さかい利彦としひこ『なまけ者ものと社会しゃかい主義しゅぎ』に始はじまる「水曜すいよう会かいパンフレット」を続々ぞくぞくと発刊はっかんし、一躍いちやく社会しゃかいに広ひろく知しられるようになった。さらに翌よく1922年ねん1月がつには、山川やまかわほか田所たどころ・上田うえだら水曜すいよう会かい中心ちゅうしんメンバーが発起人ほっきにんとなり、あらたな社会しゃかい主義しゅぎ雑誌ざっしとして『前衛ぜんえい』を創刊そうかん、同誌どうしは事実じじつ上じょうの水曜すいよう会かい機関きかん誌しとなった。

また『前衛ぜんえい』創刊そうかんと同どう時期じきの1922年ねん1月がつ、徳田とくた球一きゅういちは会かいを代表だいひょうして、社会しゃかい主義しゅぎ政権せいけん下かのロシアで開催かいさいされた極東きょくとう諸しょ民族みんぞく大会たいかいに出席しゅっせき、ここでの決議けつぎに従したがい共産党きょうさんとうの建設けんせつに務つとめ、同年どうねん7月がつとされる（第だい一いち次じ）共産党きょうさんとうの「創立そうりつ」に際さいしては会かいのメンバーの多おおくが参加さんかした。この結果けっか、水曜すいよう会かいグループにより編集へんしゅうされる『前衛ぜんえい』『社会しゃかい主義しゅぎ研究けんきゅう』は党とうの機関きかん誌しとされた。

翌よく1923年ねん4月がつ、『前衛ぜんえい』『社会しゃかい主義しゅぎ研究けんきゅう』『無産むさん階級かいきゅう』などの諸しょ雑誌ざっしが共産党きょうさんとう機関きかん誌し『赤旗あかはた』（せっき）に統合とうごうされることが決定けっていされると、水曜すいよう会かい自体じたいも消滅しょうめつした。

関連かんれん文献ぶんけん

• 松尾まつお尊たかし兊 「水曜すいよう会かい」『日本にっぽん近きん現代げんだい史し辞典じてん』 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ、1978年ねん
• 神田かんだ文人もんと 「水曜すいよう会かい」『国史こくし大だい辞典じてん』第だい8巻かん 吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1987年ねん