赤松あかまつ克麿かつまろ

あかまつ かつまろ 赤松あかまつ 克麿かつまろ
生誕せいたん	1894年ねん（明治めいじ27年ねん）12月4日にち
死没しぼつ	(1955-12-13) 1955年ねん12月13日にち（61歳さい没ぼつ）
国籍こくせき	日本にっぽん
出身しゅっしん校こう	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく法科ほうか大学だいがく政治せいじ科か
配偶はいぐう者しゃ	明子あきこ（吉野よしの作造さくぞうの次女じじょ）
親おや	父ちち：赤松あかまつ照あきら幢、母はは：安子やすこ
親戚しんせき	祖父そふ：赤松あかまつ連れん城じょう、叔父おじ：与謝野よさの鉄幹てっかん

赤松あかまつ 克麿かつまろ（あかまつ かつまろ、1894年ねん（明治めいじ27年ねん）12月4日にち - 1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）12月13日にち）は、大正たいしょう・昭和しょうわ時代じだいの社会しゃかい主義しゅぎ運動うんどう家かで、その後ご左翼さよく活動かつどう家か・国家こっか社会しゃかい主義しゅぎ運動うんどう家かに転てんじた。衆議院しゅうぎいん議員ぎいん。

経歴けいれき

山口やまぐち県けん徳山とくやま市し（現げん・周しゅう南市みなみいち）に浄土真宗じょうどしんしゅう本願寺ほんがんじ派は徳とく応おう寺てら住職じゅうしょく赤松あかまつ照あきら幢、安子やすこの四よん男おとことして生うまれる。赤松あかまつ連れん城じょうの孫まごにあたる。徳山とくやま中学校ちゅうがっこうに進学しんがくするが4年ねん次じ在籍ざいせき中ちゅうの1911年ねん（明治めいじ44年ねん）に、校長こうちょう排斥はいせき運動うんどうから同盟どうめい休校きゅうこうを起おこし退学たいがく。中学ちゅうがく検定けんてい試験しけんに合格ごうかくして旧制きゅうせい第だい三さん高等こうとう学校がっこうに進すすみ、1915年ねん（大正たいしょう4年ねん）に東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく法科ほうか大学だいがく政治せいじ科かへ入学にゅうがくした。

帝みかど大だい在学ざいがく中ちゅうに勃発ぼっぱつしたロシア革命かくめいの影響えいきょうを受うけて、宮崎みやざき龍介りゅうすけや石渡いしわた春雄はるおと相談そうだんの上うえで1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）12月に、新人しんじん会かいを結成けっせい。指導しどう教官きょうかんだった吉野よしの作造さくぞう教授きょうじゅにも協力きょうりょくを仰あおいだ。1919年ねん（大正たいしょう8年ねん）に東京帝大とうきょうていだいを卒業そつぎょうすると東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃに勤務きんむし雑誌ざっし「解放かいほう」の編集へんしゅうに携たずさわるが、2年ねん後ごには日本にっぽん労働ろうどう総そう同盟どうめいに参加さんか。更さらにその翌よく1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）には日本にっぽん共産党きょうさんとう（第だい一いち次じ共産党きょうさんとう）に加くわわって中央ちゅうおう委員いいんに就任しゅうにんするも、検挙けんきょされ獄中ごくちゅう転向てんこう。それ以降いこうは寧むしろ無産むさん党とうの中なかでも右派うはの立たち位置いちを取とる様ようになり、1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）に労働ろうどう農民のうみん党とうから分裂ぶんれつした社会しゃかい民衆みんしゅう党とう（社民党しゃみんとう）の結党けっとうに参加さんかし、中央ちゅうおう委員いいんとなった。

1928年ねんの総そう選挙せんきょでは恩師おんし・吉野よしのの故郷こきょうだった宮城みやぎ1区くから立候補りっこうほするも、落選らくせん。1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）には社民党しゃみんとう書記しょき長ちょうに就任しゅうにんするが、この頃ころから社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎから更さらに右派うは的てきな国家こっか社会しゃかい主義しゅぎへの関心かんしんを深ふかめ、翌よく1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）には石川いしかわ準じゅん十郎じゅうろう、津久井つくい龍雄たつおら右翼うよく活動かつどう家かと共ともに日本にっぽん社会しゃかい主義しゅぎ研究所けんきゅうじょを創設そうせつし、三さん月がつ事件じけんや十じゅう月がつ事件じけんにも関与かんよする。同年どうねん10月がつ21日にちに社民党しゃみんとうの中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん会かいによって片山かたやま哲あきら・小池こいけ四郎しろう・島中しまなか雄三ゆうぞうの三さん氏しを派遣はけんし、同年どうねん11月がつ22日にちには三さん氏しの報告ほうこくに基もとづき満蒙まもう問題もんだいに関かんする決議けつぎを発表はっぴょうしたが、その決議けつぎでは日ひ支ささえの無産むさん大衆たいしゅうの生活せいかつ利益りえきのために満蒙まもうを社会しゃかい主義しゅぎ的てき国家こっか管理かんり体制たいせいに移行いこうさせ、両者りょうしゃの共同きょうどう経済けいざいを樹立じゅりつすることが満蒙まもう問題もんだいの真しんの解決かいけつにつながると、ともすれば国家こっか社会しゃかい主義しゅぎ的てきな色彩しきさいの濃こい内容ないようだった。

この決議けつぎによる国家こっか社会しゃかい主義しゅぎ派はの優勢ゆうせいを見みて、1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）1月がつ18日にちに社民党しゃみんとう新しん運動うんどう方針ほうしんが中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん会かいで可決かけつされたが、同年どうねん3月がつ21日にちに大阪おおさかで開ひらかれた官業かんぎょう勞働ろうどう總そう同盟どうめいの中央ちゅうおう委員いいん会かいが社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎを擁護ようごする立場たちばから赤松あかまつの国家こっか社会しゃかい主義しゅぎに反対はんたいの声明せいめいを発表はっぴょう。更さらに鈴木すずき文治ぶんじや西尾にしお末広すえひろなどが赤松あかまつの動うごきを社民党しゃみんとう自体じたいを親おや軍ぐん化かせんと非難ひなんするに至いたり、4月がつ15日にちに赤松あかまつは一派いっぱを率ひきいて社民党しゃみんとうを脱党だっとうする。この直後ちょくご、フランスから来日らいにちした女性じょせいジャーナリスト、アンドレ・ヴィオリスのインタビューを受うけ、その模様もようが『1932年ねんの大日本帝国だいにっぽんていこく』に活写かっしゃされている。

社民党しゃみんとうを追おわれる格好かっこうとなった赤松あかまつは、日本にっぽん社会しゃかい主義しゅぎ研究所けんきゅうじょの面々めんめんや全国ぜんこく労農ろうのう大衆たいしゅう党とうを離党りとうした小池こいけ四郎しろう・独自どくじに農民のうみん運動うんどうを率ひきいていた平野ひらの力三りきぞうとともに5月29日にち日本にっぽん国家こっか社会党しゃかいとうを結成けっせいし、自身じしんは党務とうむ長ちょうに就任しゅうにんした。しかし国家こっか社会しゃかい主義しゅぎから科学かがく的てき日本にっぽん主義しゅぎに向むかう赤松あかまつとあくまで国家こっか社会しゃかい主義しゅぎの側がわに立たつ津久井つくい・平野ひらのらが対立たいりつ。結局けっきょく赤松あかまつは国家こっか社会党しゃかいとうを離党りとうして国民こくみん協会きょうかいを設立せつりつし雑誌ざっし「国民こくみん運動うんどう」を発行はっこう、1937年ねんの総そう選挙せんきょで北海道ほっかいどう4区くから立候補りっこうほし初はつ当選とうせんし、初はじめて国政こくせい進出しんしゅつを果はたした。右翼うよく団体だんたいを束たばねる時局じきょく協議きょうぎ会かい内うちで議会ぎかい進出しんしゅつと新党しんとう結成けっせいを掲かかげてきた赤松あかまつは、同年どうねん7月がつに江藤えとう源九郎げんくろう、菅かん舜しゅん英えい、津久井つくい竜雄たつお（元もと大だい日本にっぽん生産せいさん党とう）、小池こいけ四郎しろう（愛国あいこく政治せいじ同盟どうめい）、下中しもなか弥三郎やさぶろう（新しん日本にっぽん国民同盟こくみんどうめい）らの右翼うよく活動かつどう家かと共ともに日本にっぽん革新党かくしんとうを結党けっとうし党務とうむ長ちょうとなり、9月には陸軍りくぐんの依頼いらいで上海しゃんはい派遣はけん軍ぐん報道ほうどう部ぶに所属しょぞく。新しん体制たいせい運動うんどうには積極せっきょく的てきな協力きょうりょく姿勢しせいを見みせ大政たいせい翼賛よくさん会かいが結成けっせいされると初代しょだい企画きかく部長ぶちょうに就任しゅうにんしたが、その後ごは翼賛よくさん会かいでも主流しゅりゅうの座ざから追おわれ1942年ねんの翼賛よくさん選挙せんきょでも非ひ推薦すいせん候補こうほとなって落選らくせんした。

戦後せんごは戦争せんそう協力きょうりょくの罪つみにより公職こうしょく追放ついほうとなり、追放ついほう解除かいじょ後ごの1953年ねん（昭和しょうわ28年ねん）に日本にっぽん産業さんぎょう協力きょうりょく連盟れんめいを設立せつりつ、理事りじ長ちょうとして労務ろうむ管理かんりに携たずさわるが2年ねん後ごに癌がんにより死去しきょ。61歳さい。

著書ちょしょ

• 『社會しゃかい革命かくめい史論しろん』（大だい鐙あぶみ閣かく）1922年ねん
• 『國際こくさい勞働ろうどう總會そうかい概況がいきょう報告ほうこく』（出版しゅっぱん元もと不明ふめい）1924年ねん
• 『無産むさん階級かいきゅうの政治せいじ行動こうどう』（科学かがく思想しそう普及ふきゅう会かい）1924年ねん
• 『勞働ろうどう爭議そうぎ』（日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ）
• 『労働ろうどう組合くみあい運動うんどう』（科学かがく思想しそう普及ふきゅう会かい）1924年ねん
• 『日本にっぽん勞働ろうどう運動うんどう發達はったつ史し』（文化ぶんか學會がっかい出版しゅっぱん部ぶ）1925年ねん3月がつ20日はつか
• 『轉換期てんかんきの日本にっぽん社會しゃかい運動うんどう』（厚生こうせい閣かく書店しょてん）、1926年ねん
• 『勞働ろうどう歌集かしゅう』（社會しゃかい民衆みんしゅう新聞しんぶん社しゃ）1927年ねん
• 『日本にっぽん勞働ろうどう運動うんどう發達はったつ史し』（新潮社しんちょうしゃ）1928年ねん
• 『社會しゃかい運動うんどうに於おける現實げんじつ主義しゅぎ』（青雲せいうん閣かく書房しょぼう）1928年ねん
• 『解放かいほう運動うんどうの指導しどう理論りろん』（クララ社しゃ）1929年ねん
• 『社會しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎの旗はたの下したに』（忠誠ちゅうせい堂どう）1930年ねん
• 『日本にっぽん無産むさん政黨せいとう史し』（白はく揚よう社しゃ）1931年ねん
• 『無産むさん戰線せんせんを撹亂かくらんする者ものは誰だれか?』（クララ社しゃ）1931年ねん
• 『五ごケ年かねん鬪爭とうそう史し 社會しゃかい民衆みんしゅう黨とう』（社會しゃかい民衆みんしゅう黨とう書記しょき局きょく）1932年ねん
• 『新しん國民こくみん運動うんどうの基調きちょう』（萬里ばんり閣かく）1932年ねん4月がつ24日にち
• 『故こ吉野よしの博士はかせを語かたる』（中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ）1934年ねん
• 『人民戰線じんみんせんせん打倒だとう論ろん』（国民こくみん協会きょうかい出版しゅっぱん部ぶ）1936年ねん
• 『日本人にっぽんじんの新しん教養きょうよう』（教材きょうざい社しゃ）1942年ねん
• 『日本にっぽん社會しゃかい運動うんどうの歴史れきし的てき研究けんきゅう』（労務ろうむ行政ぎょうせい研究所けんきゅうじょ）1948年ねん
• 『日本にっぽん社會しゃかい運動うんどう史し』（岩波いわなみ新書しんしょ 青あお83）1952年ねん
• 『東洋とうようへの郷愁きょうしゅう』（日本にっぽん政經せいけい公論こうろん社しゃ）1953年ねん
• 『勞使ろうし関係かんけいの在あり方かた』（元々もともと社しゃ）1954年ねん
• 『東洋とうようと青年せいねん』（池田いけだ書店しょてん）1954年ねん

訳書やくしょ

• アー・ボグダーノフ『經濟けいざい科學かがく十じゅう二に講こう』（白はく揚よう社しゃ）1924年ねん
• バーバラ・ドレーク『英國えいこく婦人ふじん勞働ろうどう運動うんどう史し』（厚生こうせい閣かく書店しょてん）1927年ねん
• カール・カウツキー『エルフルト綱領こうりょう』（平凡社へいぼんしゃ）1929年ねん

親戚しんせき・血縁けつえん

祖父そふは西本願寺にしほんがんじの重鎮じゅうちん赤松あかまつ連れん城じょう、父ちち・照あきら幢は与謝野よさの鉄幹てっかんの実兄じっけいにあたる。

長兄ちょうけいの赤松あかまつ智さとし城じょうは浄土真宗じょうどしんしゅう本願寺ほんがんじ派はの僧侶そうりょの傍かたわら宗教しゅうきょう学者がくしゃとなり、次兄じけい・赤松あかまつ信しん麿まろは医学いがく者しゃ、三さん兄けい・赤松あかまつ義よし麿まろは洋画ようが家かとなった。弟おとうとの赤松あかまつ五ご百ひゃく麿まろも兄あにを追おって政治せいじ活動かつどう家かとなり、和歌山わかやま高等こうとう商業しょうぎょう学校がっこうで教鞭きょうべんをとった。妹いもうと・赤松あかまつ常子つねこは全ぜん繊同盟どうめいでの活動かつどうを経へて戦後せんご、右派うは社会党しゃかいとう・民社党みんしゃとうの参議院さんぎいん議員ぎいんとなっている。妻つまの明子あきこは恩師おんし吉野よしの作造さくぞうの次女じじょ。明子あきことの共とも訳やくでバーバラ・ドレイク『英国えいこく婦人ふじん労働ろうどう運動うんどう史し』（1927年ねん）、著作ちょさく『婦人ふじん解放かいほう論ろん』（1929年ねん）などがある。多磨たま霊園れいえんの吉野よしの作造さくぞうが眠ねむる「吉野家よしのや」には赤松あかまつ明子あきこ（刻こくは赤松あかまつ明あきら）の刻きざみはあるが、克麿かつまろの名なはない。克麿かつまろの墓所はかしょは不明ふめい。

参考さんこう文献ぶんけん

• 加田かだ哲二てつじ『日本にっぽん國家こっか社會しゃかい主義しゅぎ批判ひはん』（春秋しゅんじゅう社しゃ）1932年ねん11月20日にち

関連かんれん項目こうもく

• 麻生あそう久ひさ
• 秦はた真しん次じ
• 小林こばやし順一郎じゅんいちろう
• 佐々木ささき武雄たけお
• 白蓮びゃくれん事件じけん
• 赤旗あかはたの歌うた