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排水はいすいりょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ふね船首せんしゅ

排水はいすいりょう(はいすいりょう、英語えいご: displacement)とは、ふね重量じゅうりょうしめ数値すうちであり、しゅとして艦艇かんていについてもちいられる。トン数とんすう一種いっしゅであり[1]排水はいすいトン数とんすう(displacement tonnage)ともしょうされる[2]

載貨さいか重量じゅうりょうトン数とんすう(deadweight tonnage)とは別物べつものなので、混同こんどうしてはならない。

計算けいさんほう

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みずかぶ物体ぶったいは、物体ぶったいおもさと浮力ふりょくうときに、物体ぶったい静止せいしする。また、浮力ふりょくおおきさは、水面すいめんからした物体ぶったい排除はいじょしたおもさによるちからおおきさにひとしい。

ふね水上すいじょうかべたさいしのけられるみず重量じゅうりょうトン単位たんいしめした数値すうちである。アルキメデスの原理げんりより、ふね重量じゅうりょうひとしい数字すうじとなる。ただし、完成かんせいしたふね実際じっさい計量けいりょうするのではなく、海水かいすい比重ひじゅう考慮こうりょしたうえで設計せっけいもと喫水線きっすいせんした体積たいせきから算出さんしゅつされるのが一般いっぱんてきである。計算けいさんにあたっては、まず正面しょうめんせんもちいてかく断面だんめんでの計画けいかく吃水線きっすいせん面積めんせきプラニメータもとめたのち、これらの面積めんせきシンプソンのだい1法則ほうそくもちいて計算けいさんすることで、はだかから排水はいすいりょうnaked displacement)がもとめられる。これにふく排水はいすいりょうとしてそとばん排水はいすいりょうskin displacement)と付加ふかぶつ排水はいすいりょうappendages displacement)をくわえるとぜん排水はいすいりょうとなる[1]

なお常備じょうび排水はいすいりょうについては、下記かきのような概算がいさんほうられている。これによって、実際じっさいの95 - 98パーセント程度ていど近似きんじることができる[1]

常備じょうび排水はいすいりょう
水線すいせんちょう
水線すいせんはば
吃水きっすい
方形ほうけい係数けいすう駆逐くちくかんでは一般いっぱんてきに0.47 - 0.52程度ていど

種類しゅるい

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艦船かんせん状態じょうたいによって排水はいすいりょうことなるため、以下いかとお複数ふくすうのものがある。なお、以下いかで「みず」とあるのは飲料いんりょうすいその生活せいかつ用水ようすいではなく、予備よびかんすい、つまり蒸気じょうき機関きかん使用しようする補充ほじゅうようみずのことである。

けい排水はいすいりょう

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けい排水はいすいりょうえい: light displacement)は、弾薬だんやく燃料ねんりょうなどすべての消耗しょうもうひん搭載とうさいしない状態じょうたい排水はいすいりょう。なお、実際じっさいにこの状態じょうたい航行こうこうすると復原ふくげんせい低下ていかすることから、バラストタンクにバラストすい注水ちゅうすいして重心じゅうしんげることになるが、これを補填ほてんけい排水はいすいりょうballasted light displacement)としょうする[1][3]

基準きじゅん排水はいすいりょう

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基準きじゅん排水はいすいりょうえい: standard displacement)は、満載まんさい状態じょうたいから燃料ねんりょう予備よびすいいた状態じょうたい排水はいすいりょう[1][3]

年代ねんだいおよびくにによって定義ていぎことなるが、一般いっぱんてきには水上すいじょうかんワシントン海軍かいぐん軍縮ぐんしゅく条約じょうやく1923ねん発効はっこう)において、潜水せんすいかんロンドン海軍かいぐん軍縮ぐんしゅく条約じょうやく1930ねん発効はっこう)において採用さいようされた上記じょうき定義ていぎもちいられる[4]仮想かそう敵国てきこくから想定そうていされる作戦さくせん海域かいいき各国かっこくことなり、燃料ねんりょうおよび予備よびかんすいふくめると長大ちょうだい航続力こうぞくりょく必要ひつようとしないくに有利ゆうりになることから、純粋じゅんすい戦闘せんとう能力のうりょくのみで比較ひかくするためにこれらの重量じゅうりょういた状態じょうたいとされた。想定そうてい作戦さくせん海域かいいき広大こうだいであるえいべい不利ふりにならないためであるともわれている。ふね状態じょうたいとしては不自然ふしぜん実用じつようてきではないため、近年きんねんではこの状態じょうたいしょもととして使用しようするくにはない。

なお、海上かいじょう自衛隊じえいたい艦艇かんてい公式こうしきしょもととして基準きじゅん排水はいすいりょう公表こうひょうしているが、これは名称めいしょうこそおなじであるものの、1978ねん昭和しょうわ53ねん)に制定せいていされた船舶せんぱく設計せっけい基準きじゅん細則さいそく規定きていされているものである[4]具体ぐたいてきには、ワシントン海軍かいぐん軍縮ぐんしゅく条約じょうやく定義ていぎによる基準きじゅん排水はいすいりょうから、「弾薬だんやく食料しょくりょう乗員じょういん」のおもさをいたものであり、建造けんぞう排水はいすいりょう純粋じゅんすいかんとしてのおもさ)とひとしい[5]

常備じょうび排水はいすいりょう

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常備じょうび排水はいすいりょうえい: normal load displacement)は、乗員じょういん弾薬だんやく定数ていすうを、また燃料ねんりょう真水しみず糧食りょうしょくなどの消耗しょうもうひんは3ぶんの2を搭載とうさいした状態じょうたい排水はいすいりょう戦場せんじょう目的もくてき)に到着とうちゃくしたときの状態じょうたい想定そうていしたものである。ワシントン海軍かいぐん軍縮ぐんしゅく条約じょうやく締結ていけつ以前いぜんは、これを排水はいすいりょう標準ひょうじゅんとして使用しようするくにおおかった。

イギリスではかつて積載せきさい排水はいすいりょうと、また大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐんではおおやけためし排水はいすいりょうしょうしていた。なお大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん場合ばあい大正たいしょう時代じだい末期まっきまでは、おおやけためし排水はいすいりょうとはべつに、弾薬だんやく3/4、燃料ねんりょう1/4、みず1/2の搭載とうさい状態じょうたい常備じょうび排水はいすいりょうとして定義ていぎしていた[3]

満載まんさい排水はいすいりょう

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満載まんさい排水はいすいりょうえい: full load displacement)は、乗組のりくみいん弾薬だんやく燃料ねんりょうみずなど、計画けいかくじょう搭載とうさいできるものすべてを搭載とうさいした状態じょうたいでの排水はいすいりょう[1]。ただしバラストすい半量はんりょうとする[3]近年きんねんおおくの海軍かいぐんではこれを公式こうしきしょもととして使用しようしている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f 岡田おかだ幸和ゆきかずだい1 基本きほん計画けいかくへん」『艦艇かんてい工学こうがく入門にゅうもん理論りろん実際じっさい-』海人あましゃ、1997ねん11月、7-70ぺーじISBN 4905551625 
  2. ^ もりひさしえい「1. 船体せんたい各部かくぶ名称めいしょう」『艦船かんせんメカニズム図鑑ずかんグランプリ出版しゅっぱん、1989ねん8がつ、10-21ぺーじISBN 4-906189-87-3 
  3. ^ a b c d 小林こばやし義秀よしひで「トンのはなし」『世界せかい艦船かんせんだい482ごう海人あましゃ、1994ねん6がつ、104-108ぺーじ 
  4. ^ a b 北島きたじま郁夫いくお艦艇かんてい設計せっけいかえりみて」『防衛庁ぼうえいちょう技術ぎじゅつ研究けんきゅう本部ほんぶじゅうねん』2002ねん11月、114-115ぺーじNCID BA62317928https://dl.ndl.go.jp/pid/1283286/1/5 
  5. ^ 排水はいすいりょうトン数とんすうはなし”. てしなき業務ぎょうむ日記にっき. 海事かいじ代理だいり 高橋たかはしつよし (2013ねん7がつ). 2019ねん9がつ18にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2019ねん9がつ18にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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