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射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく 」は
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en:Projective geometry 06:49, 20 September 2011)
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(2011年 ねん 9月 がつ )
数学 すうがく における射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく (しゃえいきかがく、英 えい : projective geometry )は、射影 しゃえい 変換 へんかん の下 した で不変 ふへん な幾何 きか 学 がく 的 てき 性質 せいしつ を研究 けんきゅう する学問 がくもん である(エルランゲン・プログラム も参照 さんしょう )。射影 しゃえい 幾何 きか は、初等 しょとう 的 てき なユークリッド幾何 きか とは設定 せってい を異 こと にしており、射影 しゃえい 空間 くうかん といくつか基本 きほん 的 てき な幾何 きか 学 がく 的 てき 概念 がいねん をもとに記述 きじゅつ される。
初等 しょとう 的 てき な直観 ちょっかん としては、射影 しゃえい 空間 くうかん はそれと同 おな じ次元 じげん のユークリッド空間 くうかん と比 くら べて「余分 よぶん な」点 てん (「無限 むげん 遠 とお 点 てん 」と呼 よ ばれる)を持 も ち、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく 的 てき な変換 へんかん においてその余分 よぶん な点 てん と通常 つうじょう の点 てん を行 い き来 き することが許 ゆる されると考 かんが えることができる。射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく における種々 しゅじゅ の有用 ゆうよう な性質 せいしつ は、このような変換 へんかん (射影 しゃえい 変換 へんかん )に関連 かんれん して与 あた えられる。最初 さいしょ に問題 もんだい となるのは、この射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく 的 てき な状況 じょうきょう を適切 てきせつ に記述 きじゅつ することのできる幾何 きか 学 がく 的 てき な言語 げんご はどのようなものであるかということである。例 たと えば、射影 しゃえい 幾何 きか において(ユークリッド幾何 きか で扱 あつか うようには)角 かく の概念 がいねん を考 かんが えることはできない。実際 じっさい 、角 かく が射影 しゃえい 変換 へんかん の下 した で不変 ふへん でないような幾何 きか 学 がく 的 てき 概念 がいねん の一 ひと つであることは透視 とうし 図 ず などを見 み れば明 あき らかであり、このような透視 とうし 図法 ずほう に関 かん する理論 りろん が、事実 じじつ 射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の源流 げんりゅう の一 ひと つともなっている。初等 しょとう 的 てき な幾何 きか 学 がく とのもう一 ひと つの違 ちが いとして「平行 へいこう 線 せん は無限 むげん 遠 とお 点 てん において交 まじ わる」と考 かんが えることが挙 あ げられる。これにより、初等 しょとう 幾何 きか 学 がく の概念 がいねん を射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく へ持 も ち込 こ むことができる。これもやはり、透視 とうし 図 ず において鉄道 てつどう の線路 せんろ が地平線 ちへいせん において交 まじ わるといったような直観 ちょっかん を基礎 きそ に持 も つ概念 がいねん である。二次元 にじげん における射影 しゃえい 幾何 きか の基本 きほん 的 てき な内容 ないよう に関 かん しては射影 しゃえい 平面 へいめん の項 こう へ譲 ゆず る。
こういった考 かんが え方 かた は古 ふる くからあったものだが、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく として発展 はってん するのは主 おも に19世紀 せいき のことである。多 おお くの研究 けんきゅう が取 と りまとめられ、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は当時 とうじ の幾何 きか 学 がく の最 もっと も代表 だいひょう 的 てき な分野 ぶんや となった。ここでいう射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は、座標 ざひょう 系 けい (斉 ひとし 次 じ 座標 ざひょう 系 けい )の各 かく 成分 せいぶん が複素数 ふくそすう となる複素 ふくそ 射影 しゃえい 空間 くうかん についての理論 りろん である。そしていくつかのより抽象 ちゅうしょう 的 てき な数学 すうがく の系譜 けいふ (例 たと えば不変 ふへん 式 しき 論 ろん 、代数 だいすう 幾何 きか 学 がく イタリア学派 がくは 、あるいは古典 こてん 群 ぐん の研究 けんきゅう へつながるフェリックス・クライン のエルランゲン・プログラム など)が射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく を礎 いしずえ として打 う ち立 た てられていった。これらの主題 しゅだい に関 かか わった多 おお くの研究 けんきゅう 者 しゃ は、肩書 かたが きとしては総合 そうごう 幾何 きか 学 がく (synthetic geometry) に属 ぞく する研究 けんきゅう 者 しゃ である。他 ほか にも、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の公理 こうり 的 てき 研究 けんきゅう から生 う まれた研究 けんきゅう 分野 ぶんや として有限 ゆうげん 幾何 きか 学 がく がある。
射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく 自体 じたい も現在 げんざい では多 おお くの研究 けんきゅう 分野 ぶんや へ細分 さいぶん 化 か が進 すす んでおり、主 おも なものとしては、射影 しゃえい 代数 だいすう 幾何 きか 学 がく (射影 しゃえい 代数 だいすう 多様 たよう 体 たい の研究 けんきゅう )と射影 しゃえい 微分 びぶん 幾何 きか 学 がく (射影 しゃえい 変換 へんかん に関 かん する微分 びぶん 不 ふ 変量 へんりょう の研究 けんきゅう )の二 ふた つを挙 あ げることができるだろう。
射影 しゃえい 幾何 きか においても距離 きょり は定義 ていぎ できる。例 たと えば、実 じつ 射影 しゃえい 平面 へいめん の点 てん を三 さん 次元 じげん ユークリッド空間 くうかん の原点 げんてん を通 とお る直線 ちょくせん で表現 ひょうげん した時 とき 、ユークリッド空間 くうかん の距離 きょり は直線 ちょくせん 間 あいだ の距離 きょり としては意味 いみ がないが、直線 ちょくせん と原点 げんてん を中心 ちゅうしん とした単位 たんい 球 だま との二 ふた つの交点 こうてん を元 もと に、二 ふた つの直線 ちょくせん 間 あいだ の射影 しゃえい 平面 へいめん での距離 きょり を交点 こうてん 間 あいだ の距離 きょり の短 みじか いほうと定義 ていぎ できる。平面 へいめん 射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は、点 てん と直線 ちょくせん との配置 はいち 問題 もんだい (configuration) の研究 けんきゅう に端 はし を発 はっ する。実際 じっさい 、デザルグ らによる透視 とうし 図法 ずほう の原理 げんり 的 てき な説明 せつめい [1] において、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく として理解 りかい することのできるいくつかの設定 せってい に、幾何 きか 学 がく 的 てき に意味 いみ のある言及 げんきゅう が散見 さんけん される。より高 こう 次元 じげん の空間 くうかん では、超 ちょう 平面 へいめん などの線型 せんけい な部分 ぶぶん 空間 くうかん を考 かんが えることができて、それらは双対 そうつい 性 せい を示 しめ す。この双対 そうつい 性 せい の最 もっと も簡単 かんたん な説明 せつめい として、射影 しゃえい 平面 へいめん における「相 そう 異 こと なる二 に 点 てん は直線 ちょくせん を一意的 いちいてき に定 さだ める」(その直線 ちょくせん は与 あた えられた二 に 点 てん を通 とお る)という言及 げんきゅう と「相 そう 異 こと なる二 に 直線 ちょくせん は点 てん を一意的 いちいてき に定 さだ める」(その点 てん は与 あた えられた二 に 直線 ちょくせん の交点 こうてん )という言及 げんきゅう が、命題 めいだい として同 おな じ構造 こうぞう をしているということを挙 あ げることができる。また、射影 しゃえい 幾何 きか は直 ちょく 定規 じょうぎ のみを用 もち いて構成 こうせい することができる幾何 きか としても捉 とら えることができる[2] 。そして射影 しゃえい 幾何 きか がコンパス を用 もち いた構成 こうせい を必要 ひつよう としないことから、そこには円 えん も角 かく も角度 かくど も平行 へいこう 線 せん も中間 なかま 性 せい の概念 がいねん も存在 そんざい しないことがわかる[3] 。これらの理由 りゆう から射影 しゃえい 幾何 きか において成立 せいりつ する定理 ていり は、初等 しょとう 幾何 きか におけるそれよりも単純 たんじゅん な形 かたち に述 の べることができるようになる。例 たと えば、(初等 しょとう 幾何 きか において)異 こと なる円錐 えんすい 曲線 きょくせん は(複素 ふくそ )射影 しゃえい 幾何 きか においては全 すべ て同値 どうち である。また、円 えん に関 かん する定理 ていり のいくつかは、もっと一般 いっぱん の定理 ていり の特別 とくべつ の場合 ばあい として見 み ることができる。
19世紀 せいき 初頭 しょとう にポンスレー 、ラザール・カルノー らの業績 ぎょうせき が数学 すうがく の一 いち 分野 ぶんや としての射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく を確立 かくりつ する[3] 。その厳密 げんみつ な基礎 きそ 付 づ けは、カール・フォン・シュタウト によって取 と り組 く まれ、19世紀 せいき の後半 こうはん にジュゼッペ・ペアノ 、マリオ・ピエリ 、アレッサンドロ・パドア 、ジーノ・ファノ らによって完成 かんせい を見 み ることになる[4] 。射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は(ユークリッド幾何 きか 学 がく やアフィン幾何 きか 学 がく と同 おな じく)クラインによるエルランゲンプログラム に従 したが った研究 けんきゅう もなされた。これによると、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は射影 しゃえい 群 ぐん に属 ぞく する変換 へんかん のもとで不変 ふへん な幾何 きか 学 がく 的 てき 対象 たいしょう によって特徴付 とくちょうづ けられる。
このような主題 しゅだい に対 たい する多大 ただい な数 かず の定理 ていり についての研究 けんきゅう の結果 けっか 、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の基本 きほん 的 てき 概念 がいねん が理解 りかい されていくことになる。例 たと えば、接続 せつぞく 構造 こうぞう と複 ふく 比 ひ は射影 しゃえい 変換 へんかん の下 した での基本 きほん 的 てき な不 ふ 変量 へんりょう である。また、アフィン平面 へいめん (あるいはアフィン空間 くうかん )に「無限 むげん 遠 とお 」にある直線 ちょくせん (あるいは超 ちょう 平面 へいめん )を加 くわ えて、「通常 つうじょう 」の直線 ちょくせん (あるいは超 ちょう 平面 へいめん )と同様 どうよう に扱 あつか うことによって射影 しゃえい 幾何 きか のモデルを作 つく ることができる[5] 。さらに、射影 しゃえい 幾何 きか を解析 かいせき 幾何 きか 学 がく のやり方 かた で扱 あつか うための代数 だいすう 的 てき なモデルは斉 ひとし 次 じ 座標 ざひょう 系 けい を用 もち いることで与 あた えられる[6] [7] 。それとは別 べつ に、射影 しゃえい 幾何 きか の公理 こうり 的 てき な研究 けんきゅう によって、非 ひ デザルグ平面 へいめん の存在 そんざい が顕 あらわ わになる。これは例 たと えば、(二 に 次元 じげん の場合 ばあい だけだが)斉 ひとし 次 じ 座標 ざひょう 系 けい を通 とお して正当 せいとう 化 か することができないような構造 こうぞう によって、接続 せつぞく の公理系 こうりけい をモデル化 か することができるということを示 しめ している。
基礎 きそ 付 づ けという観点 かんてん からは、射影 しゃえい 幾何 きか と順序 じゅんじょ 幾何 きか は、それが数少 かずすく ない公理 こうり から展開 てんかい されること、あるいはそれがアフィン幾何 きか やユークリッド幾何 きか を基礎 きそ 付 つ けるのに利用 りよう できるということなどから、基本 きほん 的 てき である[8] [9] 。なお、射影 しゃえい 幾何 きか は順序 じゅんじょ 幾何 きか にならない[3] ので、これらは別々 べつべつ の幾何 きか 学 がく 的 てき 基礎 きそ 付 づ けになっている。
射影 しゃえい 的 てき な現象 げんしょう の幾何 きか 学 がく 的 てき 性質 せいしつ が初 はじ めて発見 はっけん されるのは、3世紀 せいき ごろアレクサンドリアのパップス による[3] 。フィリッポ・ブルネレスキ (1404–1472) は1425年 ねん に透視 とうし 図法 ずほう の幾何 きか 学 がく を開始 かいし している[10] 。ヨハネス・ケプラー (1571–1630) とジラール・デザルグ (1591–1661) はそれぞれ独立 どくりつ に、極 きわ めて重要 じゅうよう な「無限 むげん 遠 とお 点 てん 」の概念 がいねん を作 つく り上 あ げた[11] 。デザルグはまた、消失 しょうしつ 点 てん の使用 しよう をそれらが無限 むげん に遠 とお い場合 ばあい を含 ふく めて一般 いっぱん 化 か した投影 とうえい 図法 ずほう の別 べつ な構成 こうせい も与 あた えている。デザルグは、平行 へいこう 線 せん が真 しん に平行 へいこう となるユークリッド幾何 きか 学 がく を特別 とくべつ な場合 ばあい として完全 かんぜん に内包 ないほう するような幾何 きか 学 がく 的 てき 体系 たいけい を作 つく り上 あ げた。円錐 えんすい 曲線 きょくせん に関 かん するデザルグの研究 けんきゅう は、16歳 さい のブレーズ・パスカル の関心 かんしん を惹 ひ き、彼 かれ がパスカルの定理 ていり を定式 ていしき 化 か する助 たす けとなった。それに続 つづ く射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の発展 はってん に重要 じゅうよう な仕事 しごと は、18世紀 せいき 暮 く れから19世紀 せいき 初頭 しょとう にかけてガスパール・モンジュ によってなされる。デザルグの業績 ぎょうせき は1845年 ねん のミシェル・シャルル による手書 てが きの写 うつ しに突如 とつじょ として現 あらわ れるまでは見捨 みす てられており、その間 あいだ の1822年 ねん にジャン=ヴィクトール・ポンスレー が射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の基礎 きそ 的 てき な論文 ろんぶん を出版 しゅっぱん している。ポンスレーは幾何 きか 学 がく 的 てき 対象 たいしょう の射影 しゃえい 的 てき 性質 せいしつ を個々 ここ のクラスに分類 ぶんるい し、射影 しゃえい 的 てき 性質 せいしつ と計量 けいりょう の間 あいだ の関係 かんけい 性 せい を確 たし かなものとした。非 ひ ユークリッド幾何 きか 学 がく はそれからすぐに、双 そう 曲 きょく 空間 くうかん のクラインモデル のようなモデルを持 も つことが、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく との関連 かんれん 性 せい を含 ふく めて示 しめ されている。
これら19世紀 せいき の射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は、解析 かいせき 幾何 きか 学 がく から代数 だいすう 幾何 きか 学 がく への足掛 あしが かりであった。実際 じっさい 、斉 ひとし 次 じ 座標 ざひょう 系 けい を用 もち いた射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の扱 あつか いは、解析 かいせき 幾何 きか 学 がく において幾何 きか 学 がく 的 てき 問題 もんだい を代数 だいすう へ還元 かんげん する方法 ほうほう を拡張 かくちょう したものとみることができるし、このような拡張 かくちょう はいくつかの特別 とくべつ な場合 ばあい に還元 かんげん することができる。二 に 次 じ 曲面 きょくめん の詳細 しょうさい な研究 けんきゅう やジュリウス・プリュッカー の「直線 ちょくせん の幾何 きか 学 がく 」は、もっと一般 いっぱん の幾何 きか 学 がく 的 てき 概念 がいねん を駆使 くし する幾何 きか 学者 がくしゃ にとっても豊 ゆた かな例 れい を与 あた えるものである。
ポンスレーやスタイナー らの仕事 しごと は解析 かいせき 幾何 きか 学 がく を拡張 かくちょう する方向 ほうこう には向 む かわなかった。彼 かれ らの手法 しゅほう は「総合 そうごう 幾何 きか 学 がく 」に裏打 うらう ちされたものであり、おかげで射影 しゃえい 空間 くうかん は今日 きょう では公理 こうり 的 てき に導入 どうにゅう されるものと理解 りかい されている。結果 けっか として、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の初期 しょき の研究 けんきゅう は再 さい 定式 ていしき 化 か され、現在 げんざい の標準 ひょうじゅん 的 てき な扱 あつか いでは、厳密 げんみつ な理解 りかい がいささか困難 こんなん を伴 ともな いうる。射影 しゃえい 平面 へいめん だけを考 かんが えた場合 ばあい でさえ、公理 こうり 的 てき な方法 ほうほう では、そのモデルの中 なか で線型 せんけい 代数 だいすう 学 がく を通 つう じた記述 きじゅつ ができないという結果 けっか となる。
幾何 きか 学 がく におけるこのような状況 じょうきょう が覆 くつがえ ることになるのは、クレブシュ 、リーマン 、マックス・ネーター らによる(既存 きそん の手法 しゅほう を拡充 かくじゅう する)一般 いっぱん の代数 だいすう 曲線 きょくせん に関 かん する研究 けんきゅう 、そして不変 ふへん 式 しき 論 ろん の登場 とうじょう による。世紀 せいき の終 お わりにかけて代数 だいすう 幾何 きか 学 がく イタリア学派 がくは (エンリケ , セグレ, セヴェリ )はそれまでの古 ふる い射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく 的 てき 手法 しゅほう を打 う ち破 やぶ り、より深 ふか い手法 しゅほう を要 よう する主題 しゅだい へと昇華 しょうか させた。
19世紀 せいき の後半 こうはん には、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の詳 くわ しい研究 けんきゅう は流行 りゅうこう ではなくなっていたが、いくつか文献 ぶんけん が刊行 かんこう されている。いくつかの重要 じゅうよう な仕事 しごと が、特 とく に数 かぞ え上 あ げ幾何 きか 学 がく においてシューベルトによってなされ、これは今 いま では、グラスマン多様 たよう 体 たい のトポロジー を表 あらわ すものとして用 もち いられるチャーン類 るい の理論 りろん の先駆 さきが けと見 み なされている。
ポール・ディラック も射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく を研究 けんきゅう し、それを量子力学 りょうしりきがく における彼 かれ の概念 がいねん を展開 てんかい する基礎 きそ として用 もち いた(ただし、結果 けっか を公表 こうひょう する際 さい は常 つね に代数 だいすう 的 てき な形 かたち にして述 の べられている)。See a blog article referring to an article and a book on this subject, also to a talk Dirac gave to a general audience in 1972 in Boston about projective geometry, without specifics as to its application in his physics.
射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は、基本 きほん 的 てき な幾何 きか 学 がく (ユークリッド幾何 きか 学 がく - 計量 けいりょう のある幾何 きか 学 がく - アフィン幾何 きか 学 がく - 射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく )の中 なか で、最 もっと も一般 いっぱん で制約 せいやく が最 もっと も少 すく ない。射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は、内在 ないざい 的 てき な計量 けいりょう を持 も たない幾何 きか 学 がく である(射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく で成 な り立 た つ事実 じじつ はどんな距離 きょり 構造 こうぞう を入 い れるかということに依存 いぞん しない)。射影 しゃえい 変換 へんかん のもとで接続 せつぞく 構造 こうぞう と複 ふく 比 ひ は保存 ほぞん される。射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は非 ひ ユークリッド幾何 きか 学 がく である。特 とく に、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は透視 とうし 図法 ずほう の中心 ちゅうしん 原理 げんり の一 ひと つ「平行 へいこう 線 せん は無限 むげん 遠 とお で交 まじ わるものとして描 えが ける」を定式 ていしき 化 か するものである。本質 ほんしつ 的 てき には、射影 しゃえい 幾何 きか はユークリッド幾何 きか の拡張 かくちょう と考 かんが えることができて、そこでは各 かく 直線 ちょくせん の「方向 ほうこう 」が余分 よぶん な「点 てん 」として各 かく 直線 ちょくせん に含 ふく まれ、天地 てんち 二 に 平面 へいめん の交線としての「地平線 ちへいせん 」が「直線 ちょくせん 」と見 み なされる。従 したが って、平行 へいこう 線 せん はそれらが共通 きょうつう に持 も つ向 む きのおかげで、地平線 ちへいせん 上 じょう で交 まじ わる。
理想 りそう 化 か された「方向 ほうこう 」は無限 むげん 遠 とお 点 てん として理解 りかい され、理想 りそう 化 か された「地平線 ちへいせん 」は無限 むげん 遠 とお 直線 ちょくせん と呼 よ ばれる。同様 どうよう に、無限 むげん 遠 とお 直線 ちょくせん はすべて無限 むげん 遠 とお 平面 へいめん 上 じょう にある。しかし、「無限 むげん 遠 とお 」は計量 けいりょう (距離 きょり )的 てき な概念 がいねん であるから、純粋 じゅんすい な射影 しゃえい 幾何 きか においては、このような無限 むげん 遠 とお 点 てん 、無限 むげん 遠 とお 直線 ちょくせん 、無限 むげん 遠 とお 平面 へいめん といったような特別 とくべつ な対象 たいしょう を選 えら び出 だ すということはできない。つまり、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく ではこのような無限 むげん 遠 とお の対象 たいしょう たちも他 た の対象 たいしょう と区別 くべつ 無 な く同様 どうよう に扱 あつか われるのである。
ユークリッド幾何 きか 学 がく が射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく に含 ふく まれるから、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく をより単純 たんじゅん に基礎 きそ 付 つ けることができる。つまり、ユークリッド幾何 きか 学 がく における一般 いっぱん の結果 けっか は透過 とうか 的 てき なやり方 かた で射影 しゃえい 幾何 きか における結果 けっか に読 よ み替 か えることができる。このとき、ユークリッド幾何 きか 学 がく では似 に ているが別々 べつべつ であった定理 ていり が射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく の枠組 わくぐ みで統一 とういつ 的 てき に扱 あつか える場合 ばあい がある。例 たと えば、勝手 かって な射影 しゃえい 平面 へいめん を理想 りそう 化 か された平面 へいめん として選 えら び出 だ し、それを斉 ひとし 次 じ 座標 ざひょう 系 けい を用 もち いて「無限 むげん 遠 とお 」に配置 はいち すれば、平行 へいこう 線 せん と平行 へいこう でない線 せん で場合 ばあい を分 わ けて考 かんが える必要 ひつよう はなくなる。
他 た に重要 じゅうよう な基本 きほん 性質 せいしつ として、デザルグの定理 ていり とパップスの定理 ていり がある。次元 じげん が 3 かそれ以上 いじょう の射影 しゃえい 空間 くうかん では必 かなら ずデザルグの定理 ていり を証明 しょうめい することができるが、二 に 次元 じげん の場合 ばあい はそうではないので、デザルグの定理 ていり が成立 せいりつ する幾何 きか と成立 せいりつ しない幾何 きか は分 わ けて考 かんが えなければならない。
デザルグの定理 ていり が成立 せいりつ する場合 ばあい には、他 た の定理 ていり と組 く み合 あ わせることによって算術 さんじゅつ の基本 きほん 演算 えんざん を幾何 きか 学 がく 的 てき に定義 ていぎ することができる。得 え られる演算 えんざん は体 からだ の公理 こうり を満足 まんぞく する(ただし、乗法 じょうほう の可 か 換 かわ 性 せい を得 え る場合 ばあい にはパップスの定理 ていり が必要 ひつよう )。結果 けっか として、各 かく 直線 ちょくせん 上 じょう の点 てん の全体 ぜんたい は与 あた えられた体 からだ F に余分 よぶん な元 もと W を加 くわ えたものに一対一 いちたいいち 対応 たいおう する。ただし、W は rW = W , −W = W , r + W = W , r /0 = W , r /W = 0, W − r = r − W = W を満足 まんぞく するものとし、また 0/0, W /W , W + W , W − W , 0W , W 0 は定義 ていぎ しない。
射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく は円錐 えんすい 曲線 きょくせん の理論 りろん (これはユークリッド幾何 きか 学 がく の範疇 はんちゅう で既 すで に非常 ひじょう によく調 しら べられている)を全 すべ て含 ふく む。射影 しゃえい 幾何 きか で考 かんが えることの明 あき らかな優位 ゆうい 性 せい としては、双曲線 そうきょくせん と楕円 だえん の区別 くべつ を、双曲線 そうきょくせん は無限 むげん 遠 とお 直線 ちょくせん と交 まじ わるということのみで判断 はんだん できるということ、そして放物線 ほうぶつせん は無限 むげん 遠 とお 直線 ちょくせん に接 せっ するということで他 た と区別 くべつ できることが挙 あ げられる。円 えん 全体 ぜんたい の成 な す族 ぞく は複素 ふくそ 座標 ざひょう を考 かんが えるだけで「無限 むげん 円 えん 直線 ちょくせん 上 じょう の二 に 点 てん を通 とお る円錐 えんすい 曲線 きょくせん 」として見 み ることができる。座標 ざひょう というのは「総合 そうごう 幾何 きか 学 がく 」的 てき ではないから、代 か わりに直線 ちょくせん とその上 うえ の二 に 点 てん を固定 こてい して、研究 けんきゅう の基本 きほん 対象 たいしょう としてそれらに点 てん を通 とお る円錐 えんすい 曲線 きょくせん 全体 ぜんたい の成 な す「線型 せんけい 系 けい 」を考 かんが える。この手法 しゅほう は才能 さいのう ある幾何 きか 学者 がくしゃ にとって非常 ひじょう に魅力 みりょく 的 てき であり、この分野 ぶんや はとことん調 しら べつくされている。このような手法 しゅほう の例 れい として、ベイカー による複数 ふくすう 巻 まき に及 およ ぶ論文 ろんぶん がある。
様々 さまざま な射影 しゃえい 幾何 きか が存在 そんざい するが、それらは「離散 りさん 」と「連続 れんぞく 」の二 ふた つに大別 たいべつ することができる。離散 りさん 射影 しゃえい 幾何 きか では、それが含 ふく む点 てん の集合 しゅうごう が「有限 ゆうげん 」の場合 ばあい も無限 むげん の場合 ばあい もありうるが、連続 れんぞく 射影 しゃえい 幾何 きか には必 かなら ず無限 むげん に多 おお くの点 てん が隙間 すきま 無 な く含 ふく まれていなければならない。
次元 じげん が 0 の射影 しゃえい 幾何 きか はただ一 いち 点 てん のみからなり、次元 じげん 1 の射影 しゃえい 幾何 きか は少 すく なくとも三 さん 点 てん を含 ふく むただ一 ひと つの直線 ちょくせん からなる。算術 さんじゅつ 的 てき 演算 えんざん の幾何 きか 学 がく 的 てき 構成 こうせい からこれらの場合 ばあい を導 みちび くことはできない。二 に 次元 じげん の場合 ばあい 、デザルグの定理 ていり が成 な りたないことで豊 ゆた かな構造 こうぞう が存在 そんざい する。
ファノ平面 へいめん は最 もっと も点 てん と直線 ちょくせん の数 かず が少 すく ない射影 しゃえい 平面 へいめん である。
Greenberg (1999) 等 とう によれば、最 もっと も簡単 かんたん な二 に 次元 じげん 射影 しゃえい 幾何 きか はファノ平面 へいめん と呼 よ ばれ、各 かく 直線 ちょくせん はちょうど三 さん 点 てん からなり、全部 ぜんぶ で七 なな つの点 てん と七 なな つの直線 ちょくせん が、以下 いか のような共 とも 線 せん 条件 じょうけん に従 したが って配置 はいち される。
[ABC]
[ADE]
[AFG]
[BDG]
[BEF]
[CDF]
[CEG]
各 かく 点 てん の座標 ざひょう は A = {0,0}, B = {0,1}, C = {0,W} = {1,W}, D = {1,0}, E = {W,0} = {W,1}, F = {1,1}, G = {W, W} のように書 か ける。デザルグ平面 へいめん におけるこれらの点 てん の座標 ざひょう 系 けい の設定 せってい は、一般 いっぱん には無限 むげん 遠 とお 点 てん (この例 れい では C, E, G)が、紛 まぎ れなく明確 めいかく に定義 ていぎ されるものでない。
しかし、この幾何 きか は Coxeter (2003) のやり方 かた と一貫 いっかん 性 せい を持 も たせるには複雑 ふくざつ さが十分 じゅうぶん でない。この場合 ばあい のもっとも単純 たんじゅん な例 れい は点 てん が31個 いっこ 、直線 ちょくせん が31本 ほん 、各 かく 直線 ちょくせん 上 じょう の点 てん の数 かず は 6 となるもので、PG[2,5] と書 か かれる。コクセターの記号 きごう 法 ほう で有限 ゆうげん 射影 しゃえい 幾何 きか PG[a , b ] は
a が次元 じげん の値 ね で
直線 ちょくせん 上 じょう の点 てん が与 あた えられるとき、b はその点 てん を通 とお るほかの直線 ちょくせん の数 かず
を表 あらわ す。従 したが って、先 さき ほどの点 てん の数 かず が 7 の例 れい は PG[2,2] ということになる。
「射影 しゃえい 幾何 きか 」の語 かたり は、背景 はいけい となる一般 いっぱん 化 か された抽象 ちゅうしょう 幾何 きか を指 さ すこともあるし、広 ひろ く興味 きょうみ の対象 たいしょう となる特定 とくてい の幾何 きか (例 たと えば、平坦 へいたん な平面 へいめん 上 じょう に斉 ひとし 次 じ 座標 ざひょう 系 けい を入 い れて解析 かいせき できるようにしたもの)を指 さ す場合 ばあい もある。後者 こうしゃ ではユークリッド幾何 きか を埋 う め込 こ むことができるから、拡張 かくちょう ユークリッド幾何 きか と呼 よ ぶこともある。
任意 にんい の射影 しゃえい 幾何 きか が持 も つ基本 きほん 性質 せいしつ は「任意 にんい の相 そう 異 こと なる二 に 直線 ちょくせん l と m が射影 しゃえい 平面 へいめん においてただ一 いち 点 てん P のみで交 まじ わる」といった形 かたち の「楕円 だえん 型 がた 接続 せつぞく 関係 かんけい 」である。解析 かいせき 幾何 きか 学 がく において特別 とくべつ な場合 ばあい であった「平行 へいこう 線 せん 」も、交点 こうてん P が「無限 むげん 遠 とお 直線 ちょくせん 」上 じょう にあるものとして他 ほか の場合 ばあい と円滑 えんかつ にまとめることができる。つまり、射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく では無限 むげん 遠 とお 直線 ちょくせん も他 た の普通 ふつう の直線 ちょくせん とまったく同様 どうよう に扱 あつか うことができ、区別 くべつ したり特別 とくべつ 扱 あつか いをする必要 ひつよう はないのである(エルランゲン・プログラム の精神 せいしん に添 そ って言 い えば、これは射影 しゃえい 変換 へんかん の群 ぐん は任意 にんい の直線 ちょくせん を無限 むげん 遠 とお 直線 ちょくせん に移 うつ したり、その逆 ぎゃく を行 おこな ったりすることができるということを意味 いみ する)。
与 あた えられた直線 ちょくせん l とその上 うえ に無 な い点 てん P に対 たい して、楕円 だえん 型 がた の平行 へいこう 線 せん 条件 じょうけん は放 ひ 物 もの 型 がた と双 そう 曲 きょく 型 がた の平行 へいこう 線 せん 条件 じょうけん に、以下 いか のような対照 たいしょう を成 な すものである。
楕円 だえん 型 がた : 点 てん P を通 とお る任意 にんい の直線 ちょくせん は、直線 ちょくせん l とただ一 いち 点 てん で交 まじ わる。
放 ひ 物 もの 型 がた : 点 てん P を通 とお り、直線 ちょくせん l と交 まじ わらない直線 ちょくせん がただ一 ひと つ存在 そんざい する。
双 そう 曲 きょく 型 がた : 点 てん P を通 とお り、直線 ちょくせん l と交 まじ わらない直線 ちょくせん が一 ひと つより多 おお く存在 そんざい する。
楕円 だえん 型 がた の平行 へいこう 線 せん 条件 じょうけん が射影 しゃえい 幾何 きか の双対 そうつい 原理 げんり を(そして恐 おそ らく、全 すべ ての射影 しゃえい 幾何 きか が共通 きょうつう に持 も つ重要 じゅうよう な性質 せいしつ のほとんどを)導 みちび く上 うえ で鍵 かぎ となる考 かんが えである。
1825年 ねん にジョセフ・ジェルゴンヌ は、射影 しゃえい 平面 へいめん 幾何 きか を特徴付 とくちょうづ ける双対 そうつい 性 せい の原理 げんり について記 しる している。これは、射影 しゃえい 幾何 きか の任意 にんい の定義 ていぎ あるいは定理 ていり において、「点 てん 」と「直線 ちょくせん 」、「—の上 うえ にある」と「—を通 とお る」、「共 とも 線 せん 」と「共 とも 点 てん 」、「交 まじ わり」と「結 むす び」をいっせいに互 たが いに入 い れ替 か えたとき、結果 けっか として得 え られる命題 めいだい は定理 ていり であり、得 え られる定義 ていぎ は意味 いみ のあるものとなるというものである。このとき得 え られた定理 ていり や定義 ていぎ は、もとのものの「双対 そうつい 」であると言 い われる。三 さん 次元 じげん においても同様 どうよう で、点 てん と平面 へいめん に関 かん する双対 そうつい 性 せい が成 な り立 た つので、任意 にんい の定理 ていり において「点 てん 」と「平面 へいめん 」、「—を含 ふく む」と「—に含 ふく まれる」を入 い れ替 か えることで別 べつ な定理 ていり に書 か き換 か えることができる。もっと一般 いっぱん に、次元 じげん N の射影 しゃえい 空間 くうかん に対 たい して、次元 じげん R の部分 ぶぶん 空間 くうかん と次元 じげん N − R −1 の部分 ぶぶん 空間 くうかん との間 あいだ に双対 そうつい 性 せい が存在 そんざい する。N = 2 の場合 ばあい を考 かんが えれば、これは最 もっと もよく知 し られた形 かたち の、点 てん と直線 ちょくせん の間 あいだ の双対 そうつい 性 せい に特殊 とくしゅ 化 か される。この双対 そうつい 原理 げんり はジャン=ヴィクトル・ポンスレ も独立 どくりつ に発見 はっけん している。
双対 そうつい 性 せい を示 しめ すには、問題 もんだい にしている次元 じげん に対 たい する公理系 こうりけい の双対 そうつい 版 ばん となる各 かく 命題 めいだい が真 しん であることを示 しめ すだけで十分 じゅうぶん である。故 ゆえ に、三 さん 次元 じげん 射影 しゃえい 空間 くうかん に対 たい しては、(1*) 各 かく 点 てん は相 あい 異 こと なる三 さん 平面 へいめん の上 うえ にある、(2*) 任意 にんい の二 に 平面 へいめん はただ一 ひと つの直線 ちょくせん で交 まじ わる、(3*) 二 に 平面 へいめん P, Q の交 まじ わりと別 べつ の二 に 平面 へいめん R, S の交 まじ わりとが共 とも 面 めん であるならば、P と R との交 まじ わりと Q と S との交 まじ わりも共 とも 面 めん である(ただし、平面 へいめん P と S は Q と R と異 こと なるものとする)の三 みっ つを示 しめ す必要 ひつよう がある。
実用 じつよう 上 じょう 、双対 そうつい 原理 げんり を使 つか えば二 ふた つの幾何 きか 学 がく 的 てき 構成 こうせい の間 あいだ の「双対 そうつい 対応 たいおう 」を構築 こうちく することができるようになる。そのようなものの中 なか で最 もっと もよく知 し られたものは、円錐 えんすい 曲線 きょくせん (二 に 次元 じげん の場合 ばあい )あるいは二 に 次 じ 曲面 きょくめん (三 さん 次元 じげん の場合 ばあい )における二 ふた つの図形 ずけい の両 りょう 極性 きょくせい もしくは相互 そうご 関係 かんけい である。ありふれた例 れい が、双対 そうつい 多面体 ためんたい を得 え るための同心 どうしん 球 だま における対称 たいしょう 多面体 ためんたい の相互 そうご 関係 かんけい に見 み つかる。
任意 にんい に与 あた えられた幾何 きか が、適当 てきとう な公理 こうり の集合 しゅうごう から演繹 えんえき されるという場合 ばあい がある。射影 しゃえい 幾何 きか は「楕円 だえん 型 がた 」の平行 へいこう 線 せん 公理 こうり 「任意 にんい の二 に 平面 へいめん がただ一 ひと つの直線 ちょくせん において交 まじ わる」(平面 へいめん の場合 ばあい は「任意 にんい の二 に 直線 ちょくせん がただ一 いち 点 てん において交 まじ わる」)によって特徴付 とくちょうづ けられる。い換 いか えれば、射影 しゃえい 幾何 きか において平行 へいこう 線 せん や平行 へいこう 面 めん といったようなものは存在 そんざい しない。射影 しゃえい 幾何 きか に対 たい するいくつもの公理系 こうりけい が提示 ていじ されている(例 たと えば Coxeter (2003) , Hilbert & Cohn-Vossen (1999) , Greenberg (1980) などを参照 さんしょう )。
以下 いか の公理系 こうりけい は、ホワイトヘッド の「射影 しゃえい 幾何 きか の公理系 こうりけい 」("The Axioms of Projective Geometry") に基 もと づく。まず、空間 くうかん には二 に 種類 しゅるい の要素 ようそ 、「点 てん 」と「直線 ちょくせん 」が存在 そんざい して、それらの「接続 せつぞく 」関係 かんけい が定 さだ められているものとしたうえで、射影 しゃえい 幾何 きか の公理系 こうりけい は以下 いか の三 みっ つの公理 こうり からなる。
G1: 任意 にんい の直線 ちょくせん は少 すく なくとも三 さん 点 てん を含 ふく む。
G2: 任意 にんい の二 に 点 てん A, B はただ一 ひと つの直線 ちょくせん AB の上 うえ にある。
G3: 二 に 直線 ちょくせん AB および CD が交 まじ わるならば、二 に 直線 ちょくせん AC および BD も交 まじ わる(ただし、A および D は B および D とは異 こと なるものと仮定 かてい する)。
各 かく 直線 ちょくせん が少 すく なくとも三 さん 点 てん を持 も つと仮定 かてい するのは、退化 たいか してしまう場合 ばあい を除 のぞ くためである。これら三 さん 公理 こうり を満足 まんぞく する空間 くうかん は、高々 たかだか 一 ひと つの直線 ちょくせん を持 も つか、ある斜体 しゃたい 上 うえ の適当 てきとう な次元 じげん の射影 しゃえい 空間 くうかん が、非 ひ デザルグ平面 へいめん かのいずれかである。
次元 じげん や座標 ざひょう 環 たまき を制限 せいげん するために他 ほか にも公理 こうり を追加 ついか することができる。例 たと えばコクセターの「射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく 」[12] では、ヴェブレン[13] を引用 いんよう して、上記 じょうき 三 さん 公理 こうり に五 ご 公理 こうり を追加 ついか して、次元 じげん が 3 で座標 ざひょう 環 たまき が標 しるべ 数 すう 2 でない可 か 換 かわ 体 からだ となるようにしている。
三 さん 項 こう 関係 かんけい を用 もち いた公理系 こうりけい [ 編集 へんしゅう ]
射影 しゃえい 幾何 きか の公理 こうり 化 か として、ある種 しゅ の三 さん 項 こう 関係 かんけい を仮定 かてい するものがある。三 さん 項 こう 関係 かんけい [ABC] は、(必 かなら ずしも異 こと なるとは限 かぎ らない)三 さん 点 てん A, B, C が共 とも 線 せん である(同 どう 一直線 いっちょくせん 上 じょう にある)ことを意味 いみ するものとなるように、次 つぎ のような公理 こうり 化 か を考 かんが えることができる。
C0: 任意 にんい の A, B に対 たい して [ABA] が成 な り立 た つ。
C1: 二 に 点 てん A, B が [ABC] および [ABD] を満 み たすならば [BDC] が成 な り立 た つ。
C2: 任意 にんい の二 に 点 てん A, B に対 たい して第 だい 三 さん 点 てん C で [ABC] を満 み たすものが存在 そんざい する。
C3: 任意 にんい の二 に 点 てん A, C と別 べつ の二 に 点 てん B, D で [BCE] および [ADE] は満 み たすが [ABE] は満 み たさないとき、さらに別 べつ の点 てん F で [ACF] および [BDF] を満 み たすものが存在 そんざい する。
相 そう 異 こと なる二 に 点 てん A, B が与 あた えられれば、[ABC] を満 み たす点 てん C の全体 ぜんたい として、直線 ちょくせん AB が定義 ていぎ される。公理 こうり C0 および C1 からホワイトヘッドの公理 こうり G2 が得 え られ、同様 どうよう に公理 こうり C2 から公理 こうり G1 が、公理 こうり C3 から公理 こうり G3 が導 みちび ける。
このような仕方 しかた で捉 とら えた直線 ちょくせん の概念 がいねん は平面 へいめん やより高 こう 次元 じげん の部分 ぶぶん 空間 くうかん の概念 がいねん に一般 いっぱん 化 か することができる。つまり部分 ぶぶん 空間 くうかん AB…XY は、点 てん Z が部分 ぶぶん 空間 くうかん AB…X を動 うご くときの任意 にんい の直線 ちょくせん YZ 上 じょう にある点 てん 全体 ぜんたい の成 な す部分 ぶぶん 空間 くうかん として、帰納的 きのうてき に定義 ていぎ することができる。このとき、共 とも 線 せん 性 せい の概念 がいねん は「独立 どくりつ 性 せい 」の概念 がいねん に一般 いっぱん 化 か される。すなわち、点 てん の集合 しゅうごう {A, B, …, Z} が独立 どくりつ であるとは、{A, B, …, Z} が部分 ぶぶん 空間 くうかん AB…Z の最小 さいしょう の生成 せいせい 系 けい となっていることを言 い い、[AB…Z] で表 あらわ す。
射影 しゃえい 幾何 きか の公理系 こうりけい は、空間 くうかん の次元 じげん における極限 きょくげん を仮定 かてい する公理 こうり を用 もち いても与 あた えられる。最小 さいしょう 次元 じげん は、要求 ようきゅう された数 かず の元 もと からなる独立 どくりつ 系 けい が存在 そんざい するかどうかを見 み ることによって決定 けってい することができる。最小 さいしょう 次元 じげん の判定 はんてい 条件 じょうけん は以下 いか のような形 かたち に述 の べることができる。
L1: 射影 しゃえい 空間 くうかん が少 すく なくとも一 いち 点 てん を持 も つならば、その空間 くうかん の次元 じげん は 0 以上 いじょう である。
L2: 射影 しゃえい 空間 くうかん が少 すく なくとも相 あい 異 こと なる二 に 点 てん (従 したが って少 すく なくとも一 ひと つの直線 ちょくせん )を持 も つならば、その空間 くうかん の次元 じげん は 1 以上 いじょう である。
L3: 射影 しゃえい 空間 くうかん が少 すく なくとも三 みっ つの共 とも 線 せん でない点 てん (あるいは二 に 直線 ちょくせん 、もしくは一 ひと つの直線 ちょくせん とその直線 ちょくせん 上 じょう に無 な い一 いち 点 てん )を持 も つならば、その空間 くうかん の次元 じげん は 2 以上 いじょう である。
L4: 射影 しゃえい 空間 くうかん が少 すく なくとも四 よっ つの共 とも 面 めん でない点 てん (同 どう 一 いち 平面 へいめん 上 じょう に無 な い点 てん )を持 も つならば、その空間 くうかん の次元 じげん は 3 以上 いじょう である。
他 た の次元 じげん についても同様 どうよう である。また、最大 さいだい 次元 じげん も同様 どうよう の方法 ほうほう で決定 けってい できる。最大 さいだい 次元 じげん に関 かん して以下 いか のような判定 はんてい 条件 じょうけん を考 かんが えることができる。
M1: 射影 しゃえい 空間 くうかん が一 ひと つより多 おお くの点 てん を持 も たないならば、その空間 くうかん の次元 じげん は 0 以下 いか である。
M2: 射影 しゃえい 空間 くうかん が一 ひと つより多 おお くの直線 ちょくせん を持 も たないならば、その空間 くうかん の次元 じげん は 1 以下 いか である。
M3: 射影 しゃえい 空間 くうかん が一 ひと つより多 おお くの平面 へいめん を持 も たないならば、その空間 くうかん の次元 じげん は 2 以下 いか である。
以下 いか 同様 どうよう 。さて、一般 いっぱん に(公理 こうり C3 の帰結 きけつ として)「同 どう 一 いち 平面 へいめん 上 じょう にある任意 にんい の直線 ちょくせん は必 かなら ず交 まじ わる」という定理 ていり が成 な り立 た つが、これはそもそも射影 しゃえい 幾何 きか 学 がく が構築 こうちく される指導原理 しどうげんり となったまさにその命題 めいだい そのものである。従 したが って、性質 せいしつ M3 は「任意 にんい の二 に 直線 ちょくせん が必 かなら ず交 まじ わるならば」と書 か き換 か えてもよい。
射影 しゃえい 空間 くうかん の次元 じげん を 2 以上 いじょう と仮定 かてい することは一般 いっぱん 的 てき であり、時 とき に射影 しゃえい 平面 へいめん についてのみを問題 もんだい とするときは、先 さき ほどの性質 せいしつ M3 やその類 るい いの条件 じょうけん を仮定 かてい することができる。例 たと えば (Eves 1997 , p. 111) の公理系 こうりけい は C1, C2, L3, M3 を仮定 かてい する(公理 こうり C3 は M3 の下 した では常 つね に真 しん であり、従 したが ってこの文脈 ぶんみゃく では明示 めいじ 的 てき に仮定 かてい することを要 よう しない)。
接続 せつぞく 幾何 きか (incidence geometry) において、いくつかの文献 ぶんけん [14] [15] が最小 さいしょう の有限 ゆうげん 射影 しゃえい 平面 へいめん としてのファノ平面 へいめん PG(2, 2) を扱 あつか っている。その公理系 こうりけい は次 つぎ のようなものである。
(P1) 任意 にんい の相 そう 異 こと なる二 に 点 てん に対 たい してそれを通 とお る直線 ちょくせん がただ一 ひと つ存在 そんざい する。
(P2) 任意 にんい の相 そう 異 こと なる二 に 直線 ちょくせん はただ一 いち 点 てん において交 まじ わる。
(P3) どの三 みっ つも同 どう 一直線 いっちょくせん 上 じょう に無 な いような少 すく なくとも四 よん 点 てん が存在 そんざい する。
コクセターの「幾何 きか 学 がく 入門 にゅうもん 」[16] にはバックマンによる射影 しゃえい 幾何 きか の五 いつ つの公理 こうり が掲載 けいさい されている。これは上述 じょうじゅつ の公理系 こうりけい にパップスの定理 ていり を加 くわ えて標 しるべ 数 すう 2 の体 からだ 上 じょう の射影 しゃえい 平面 へいめん を除外 じょがい するものである。
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