平高ひらたか清きよし

平たいら 高清たかきよ（たいら の たかきよ／平ひら 六ろく代だい （たいら の ろくだい）、承うけたまわ安やす3年ねん（1173年ねん?）- 没年ぼつねん不ふ詳しょう）は、平安へいあん時代じだい末期まっきから鎌倉かまくら時代ときよ前期ぜんきにかけての平家ひらか一門いちもん、僧侶そうりょ。父ちちは平維盛たいらのこれもり。平清盛たいらのきよもりの曾孫そうそんにあたる。母ははは藤原ふじわら成しげる親おやの娘むすめ・新しん大納言だいなごん局きょく。

生涯しょうがい

幼名ようみょうは平正盛たいらのまさもりから数かぞえて直系ちょっけいの六ろく代目だいめに当あたることに因ちなんで「六ろく代だい（ろくだい）」と名なづけられた。「高こう清きよし」という実名じつめいは高野山こうのやまの歴史れきしを記しるした『高野たかの春秋しゅんじゅう編へん年ねん輯録』などに記載きさいされているが、『平家ひらか物語ものがたり』が幼名ようみょうの六ろく代だいを用もちい続つづけているために「平たいら 六ろく代だい」の名前なまえで呼よばれるのが一般いっぱん的てきである（本ほん項目こうもくでも、特とくに断ことわりが無ない限かぎりは「（平ひらた）六ろく代だい」と表記ひょうきする）。

寿ことぶき永ひさし2年ねん（1183年ねん）、源義仲みなもとのよしなかの攻勢こうせいの前まえに平たいら氏しが都落みやこおちを決意けついしたとき、維盛は都とに慣なれ親したしんでいる妻つまを共ともに西国さいこくに落おち延のびさせることは忍しのび難がたいとして、妻子さいしを都とに残のこして一門いちもんと共ともに西にし走はしする。このとき維盛は妻つまに対たいして子供こどものことを頼たのむと共ともに、自みずからに何なにかあったら再婚さいこんしてほしいとい残いのこした。

六ろく代だいは母ははと共ともに京都きょうと普あまね照寺しょうじ奥おく大覚寺だいかくじ北きたに潜伏せんぷくしていたが、平たいら氏し滅亡めつぼう後ごの文治ぶんじ元年がんねん（1185年ねん）12月、北条ほうじょう時政ときまさの捜索そうさくによって捕とらえられた。清盛きよもりの曾孫そうそんに当あたることから本来ほんらいなら鎌倉かまくらに送おくられて斬首ざんしゅになるところであったが、文覚もんがく上人しょうにんの助命じょめい嘆願たんがんがあって処刑しょけいを免まぬかれ、その身柄みがらは文覚もんがくに預あづけられることとなった。また、前述ぜんじゅつの維盛の妻つま（六ろく代だいの母はは）は夫おっとの死後しごに頼朝よりともの信頼しんらいが厚あつい公卿くぎょうの吉田よしだ経けい房ぼうと再婚さいこんしており、この事ことも六ろく代だいの助命じょめいと関係かんけいしている事ことが考かんがえられる。文治ぶんじ5年ねん（1189年ねん）に六ろく代だいは剃髪ていはつして妙みょう覚さとしと号ごうす。建たて久ひさ5年ねん（1194年ねん）には文覚もんがくの使者ししゃとして鎌倉かまくらを訪おとずれ、大江広元おおえのひろもとを通つうじて異こと心無こころなく出家しゅっけしたことを伝つたえた。源みなもと頼朝よりともは平治へいじの乱らん後ご、六ろく代だいの祖父そふである平重盛たいらのしげもりが自身じしんの助命じょめいのために尽力じんりょくしてくれた恩おんに報むくいるためとして六ろく代だいを関東かんとうに滞在たいざいさせ、その後ご六ろく代だいを招まねいて、異い心しんがなければどこかの寺てらの別当べっとう職しょくに任命にんめいしようと申もうし出でている。

平高ひらたか清きよし（六ろく代だい御前ごぜん）の墓はか

その後ごの六ろく代だいについて『平家ひらか物語ものがたり』などでは庇護ひご者しゃであった文覚もんがくが流罪るざいとなった後のち、弟子でしであったことから修行しゅぎょう中ちゅうであった六ろく代だいも捕とらえられて処刑しょけいされたとするが、その時期じきについては文覚もんがくが三さん左衛門さえもん事件じけんに連座れんざして流罪るざいとなった正治しょうじ元年がんねん（1199年ねん）のほかに源みなもと頼朝よりともが在世ざいせい中ちゅうであった建たて久ひさ9年ねん（1198年ねん）、建たて仁ひとし2年ねん（1202年ねん）、同どう3年ねん（1203年ねん）またはそれ以降いこう、場所ばしょも相模さがみ国こく田越たこえ川がわ（多胡たご江河こうが）、鎌倉かまくら六浦むつうら坂ざか、同おなじく鎌倉かまくらの芝しば(詳細しょうさい不明ふめい)、駿河するが国こく千本せんぼん松原まつばらなどとまちまちである点てんや、六ろく代だいの処刑しょけいを伝つたえる諸もろ書しょがいずれも文覚もんがくの弟子でしであった事ことをその理由りゆうに挙あげながらも、主おもな処罰しょばつ対象たいしょうである文覚もんがくが流罪るざいであるのに対たいし、従属じゅうぞく的てきな立場たちばにあった六ろく代だいの方ほうがより重おもい死罪しざいとされているという矛盾むじゅんがあり、また実際じっさいに文覚もんがくの流罪るざいを主導しゅどうしたと考かんがえられている源みなもと通とおる親おやらにはあえて六ろく代だいを殺害さつがいする動機どうきが見当みあたらないこと、さらに六ろく代だい処刑しょけいの記事きじは『平家ひらか物語ものがたり』の諸しょ本ほん以外いがいではいくつかの年代ねんだい記きや系譜けいふ類るいに限かぎられ、『吾妻あづま鏡きょう』などの確実かくじつな史料しりょうでこれに触ふれたものが全まったくない等とうの点てんから、処刑しょけいの事実じじつ自体じたいを疑問ぎもん視しする見解けんかいも存在そんざいする。

墓所はかしょ：逗子ずし市し桜山さくらやま8丁目ちょうめに六ろく代だいの墓はかと伝つたえられる塚づかがあり、逗子ずし市し史跡しせき指定してい地ちとなっている。六ろく代だいを最後さいごとして、清盛きよもりの嫡流ちゃくりゅうは完全かんぜんに断絶だんぜつした。

参考さんこう文献ぶんけん

• 冨とみ倉くら徳次郎とくじろう『平家ひらか物語ものがたり全ぜん注釈ちゅうしゃく 下巻げかん（2）』角川書店かどかわしょてん〈日本にっぽん古典こてん評釈ひょうしゃく・全ぜん注釈ちゅうしゃく叢書そうしょ〉、1968年ねん。 
• 上うえ横手よこて雅まさ敬たかし『平家ひらか物語ものがたりの虚構きょこうと真実しんじつ 上じょう』塙はなわ書房しょぼう〈はなわ新書しんしょ 061〉、1985年ねん。ISBN 4-8273-4061-7。 
• 関せき幸彦さちひこ、福田ふくだ豊彦とよひこ 編へん『源平げんぺい合戦かっせん事典じてん』吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2006年ねん。ISBN 4-642-01435-7。 

関連かんれん項目こうもく

• 平家ひらか物語ものがたり
• 文覚もんがく
• 義経よしつね千本せんぼん桜さくら

外部がいぶリンク

• 逗子ずし市内しないの重要じゅうよう文化財ぶんかざい - 逗子ずし市役所しやくしょ