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日本語にほんご活用かつようがた

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本語にほんご活用かつようがた(にほんごのかつようけい)は、日本語にほんごにおいて、あるかたり活用かつようした結果けっか、どのようなかたちになるかについて命名めいめいしたもの。

概説がいせつ

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命名めいめいについてはいくつか整理せいり部分ぶぶんがある。たとえば「どこまでを語幹ごかんとし、のこりの部分ぶぶんをどのような形態素けいたいそとして解析かいせきするか」については、いまのところ学校がっこう文法ぶんぽうふく文法ぶんぽう理論りろんにおいて未解決みかいけつであり、いくつかの批判ひはんがある。

あるかたり活用かつようがたにはかたりによって固有こゆうのパターンがあり、そのパターンによって分類ぶんるいされる。たとえば現代げんだい動詞どうしについては、「一段いちだん活用かつよう」「だん活用かつよう」「サぎょう変格活用へんかくかつよう」「カぎょう変格活用へんかくかつよう」などに分類ぶんるいされるが、これを「活用かつようがた種類しゅるい」とぶと煩雑はんざつになるため、「活用かつようがた」と表記ひょうきするやりかたが日本語にほんご処理しょり分野ぶんやにおいてはみられるが、国文法こくぶんぽうがく研究けんきゅう国語こくご教育きょういく日本語にほんご教育きょういく分野ぶんやにおいては普及ふきゅうしていない。

活用かつよう研究けんきゅう歴史れきし

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近代きんだい以前いぜん

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活用かつようという事実じじつについてのいちおう認知にんちは、中世ちゅうせいにおいて断片だんぺんてきではあるが出現しゅつげんしている。初期しょきのものとしては、鎌倉かまくら時代ときよ成立せいりつしたとされる『はちさえずこえしょう』があり、梵語ぼんご名詞めいしかく変化へんかであるはちさえずこえ同種どうしゅ現象げんしょう日本語にほんごにも存在そんざいするとして、それを動詞どうし語尾ごび変化へんかにあてた[1]

活用かつようかんするしょ事実じじつあきらかになったのは、江戸えど時代じだいはいってからのことであり、しゅとして国学こくがくにおいて発展はってんした。たとえば賀茂真淵かものまぶちが『語意ごいこう』にしめした「じゅうれんおん」には、「はつ」「からだ」「よう」「れい」のがあり、谷川たにがわきよしが『日本書紀にほんしょきどおりしょう』にしめした「倭語わごどおりおん」には、「未定みてい」「已然いぜん」「つげじん」「げん」のがある[2]。これらは一種いっしゅ概括がいかつてき活用かつようというべく、このたねのものとしてははつのもので[ちゅう 1]、「活用かつよう源流げんりゅう」というよりは「五十音ごじゅうおん音義おんぎてき解釈かいしゃく」とるべきものであるが、活用かつようについての一応いちおうまとまった考察こうさつはじめて出現しゅつげんしたてんにおいて、史的してき価値かちがある[4]

これをけてほんきょ宣長のりながは『御国みくに活用かつようしょう』で活用かつよう分類ぶんるいした[5]宣長のりながとはべつ富士ふじたに成章しげあきは、『あしゆいしょう冒頭ぼうとうの「そう」において「ほん」「まつ」「引靡」「往」「」「ひつじ」「靡伏」「伏目ふしめ」「たてほん」と区分くぶん[2]語形ごけい変化へんか下位かいるいしめしている[6][7]両者りょうしゃ研究けんきゅうは、いずれも和歌わかの「てにをは」研究けんきゅうから出発しゅっぱつしており、その深化しんかのうちから活用かつようろんまれたのである[4]

はち衢』

やがて活用かつよう研究けんきゅうは、しゅとして宣長のりなが弟子でしすじによって展開てんかいした。鈴木すずきは『かつ断続だんぞく』で活用かつようがたを1とうから8とうけ、それぞれの役割やくわりあきらかにした[8][9]。これにより、活用かつよう現象げんしょうかたりつづきによるものであることが明確めいかくした[10]宣長のりなが実子じっしであるほんきょはるにわは、『はち衢』で動詞どうし活用かつようを「よんだん」「一段いちだん」「ちゅうだん」「しただん」「変格へんかく」の5種類しゅるい分類ぶんるいしているほか[ちゅう 2]、『通路つうろ』では動詞どうしを「自他じた」「兼用けんよう」「のべやく」の3しゅ観点かんてんにより1だんから6だんけている[11][12]

その、『はち衢』のかけおぎなったり、あやまただしたりなどの研究けんきゅうおお出現しゅつげんした[ちゅう 3]なかでも注目ちゅうもくすべきは東条とうじょうよしもん存在そんざいである。もんは『かつ指南しなん』において活用かつようがたを「はたしかげん未然みぜんげんとも)」「連用れんようごと」「截断せつだんごと」「連体れんたいげん」「已然いぜんげん」「希求ききゅうごと」という6つに分類ぶんるいしており、その本質ほんしつろんを『山口やまぐちしおり』などで整理せいりした[12][13]。あまりに活用かつよう重視じゅうしするため、活用かつようひとつにこんじて形式けいしき類似るいじによって表示ひょうじするのみならず、言語げんご分類ぶんるいにおいても活用かつよう至上しじょう原理げんりかんがえたことで、重要じゅうよう言語げんご性質せいしつおおってしまっているが、これはもん活用かつよう機能きのうてき意義いぎみとめていたからである[14]

このほかには富樫とかしひろかげがいる。こうかげは『だまきょう』と『だまたすき』において、単語たんごを「げん」「」「」に分類ぶんるいしたうえ[ちゅう 4]、「」を活用かつよう有無うむから「せい」と「どう」にけている[15]。この分類ぶんるい近代きんだい文法ぶんぽうがくにおいても大体だいたい通用つうようするものとなっている[16]。なお、こうかげ活用かつようがた名称めいしょうに「未然みぜんだん」「ぞくだん」「だんとめだん」「ぞくげんだん」「已然いぜんだん」「おおせ」をもちいている[2]

近代きんだい以降いこう

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西洋せいよう文典ぶんてん影響えいきょうけた活用かつよう解釈かいしゃくは、すでに幕末ばくまつころから出現しゅつげんしている。たとえばオランダ文典ぶんてん下敷したじきにしたつるみねつちのえさる語学ごがく新書しんしょ』は、「現在げんざいかく終止しゅうしがたにあたるかたち)・過去かこかく連用形れんようけいにあたるかたち)・未来みらいかく未然みぜんがたにあたるかたち)」という3つをいた[17]

明治めいじ時代じだいはいると、古来こらい日本語にほんご研究けんきゅう西洋せいよう言語げんごがくとを吟味ぎんみして文法ぶんぽう理論りろん整理せいりしたものが続出ぞくしゅつした。なかでも大槻おおつき文彦ふみひこは、『げんうみ』のなか文法ぶんぽうろん語法ごほう指南しなん」をしるし、のちにこれを増補ぞうほして『こう日本にっぽん文典ぶんてん』として、体系たいけいてき近代きんだいてき文法ぶんぽう学説がくせつつくげた[ちゅう 5]。なお、大槻おおつき活用かつようがたを「だいいち終止しゅうしほう」「連体れんたいほうだい終止しゅうしほう」「だいさん終止しゅうしほう」「不定ふていほう」「中止ちゅうしほう連用れんようほう名詞めいしほう」「命令めいれいほう」のじゅんげている[2]

大槻おおつき黒川くろかわ真頼まよりの『しおり』の講義こうぎにたびたび列席れっせきしており[19]真頼まより文法ぶんぽう学説がくせつにはもんの『みちしるべ』の受容じゅよう指摘してきされている[20]事実じじつ真頼まより活用かつようがたを「はたしかげん」「連用れんようごと」「終止しゅうしごと」「連体れんたいげん」「已然いぜんげん」「希求ききゅうごと」とづけている[2]

活用かつようがた活用かつようがた

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未然みぜんがた」「連用形れんようけい」は活用かつようがたであるが、活用かつようおこなわれるさいにはなに種類しゅるいかのパターンがあり、「だん活用かつよう」「一段いちだん活用かつよう」「不規則ふきそく活用かつよう」などの分類ぶんるいが、これにあたる。これは「活用かつようかた」あるいは「活用かつようがた」ともく。「かつようけい」と「かつようがた」とびわけることもある。活用かつようがた動詞どうし以外いがい形容詞けいようし、および形容動詞けいようどうしなどにもあるとされる。「です」「ます」などは、活用かつようひょうそのものがひとつの活用かつようがたとみなしてつかえない。

動詞どうし活用かつようがた

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学校がっこう文法ぶんぽうもとづく現代げんだい文法ぶんぽうにおいては、日本語にほんご動詞どうし活用かつようがたには「未然みぜんがた」「連用形れんようけい」「終止しゅうしがた」「連体れんたいがた」「仮定かていがた」「命令めいれいがた」のむっつがあるとされる。

しかし、この分類ぶんるいではだん動詞どうしの「く(kak-u)」の未然みぜんがたかない(kak-a-na-i)」「こう(kak-ou)」では接尾せつび部分ぶぶんが「-a-」「-ou-」とことなっているため、「-a-」以降いこうに「ない」「ず」「ぬ」などの否定ひてい意味いみあらわかたりつづかたちを「けしがた」とんで区別くべつするという方法ほうほうもある(実際じっさいに、おおくの日本語にほんご処理しょりけいではそうされている)。

また、「仮定かていがた」は「原因げんいん結果けっか」「前提ぜんてい結論けつろん」などをあらわすので「らばるぞ」「ひとのろわばあなふたつ」「どくらわばさらまでねぶれ」には適合てきごうするが、「かきくへばかねるなり法隆寺ほうりゅうじ」では「かきをくふ」ことは「かねる」ことの原因げんいんではなく、たんなる事象じしょう生起せいき順序じゅんじょあらわすものでしかない。そこでこれを区別くべつして、

  • 仮定かていがた:らば・のろわば・わば・いそがば
  • 已然いぜんがた:れば・のろえば・えば・いそげば

分類ぶんるいする必要ひつようがある。

もうひとつは連用形れんようけい連体れんたいがたにおける「現在げんざい時制じせい」と「過去かこまたは完了かんりょう時制じせい」のちがいがある。連用形れんようけいき・いて」と連体れんたいがたく・いた」では、「連用れんよう連体れんたい」の関係かんけいと「現在げんざい時制じせい過去かこまたは完了かんりょう時制じせい」の関係かんけい直交ちょっこうしているため、ふたつではなくよっつの活用かつようがた用意よういしないと機械きかいてきには処理しょりできない。そこで、「連用れんよう現在げんざいかたち」「連用れんよう過去かこ完了かんりょうがた」「連体れんたい現在げんざいかたち」「連体れんたい過去かこ完了かんりょうがた」などとする。

この結果けっか日本語にほんご動詞どうし活用かつようがたは、「未然みぜん連用れんよう終止しゅうし連体れんたい仮定かてい命令めいれい」のむっつではなく、

  • 未然みぜんがた
  • けしがた
  • 連用れんよう現在げんざいかたち
  • 連用れんよう過去かこ完了かんりょうがた
  • 終止しゅうしがた
  • 連体れんたい現在げんざいかたち
  • 連体れんたい過去かこ完了かんりょうがた
  • 仮定かていがた
  • 已然いぜんがた
  • 仮定かていがた
  • 命令めいれいがた

の 11 になる。ただし、このうち終止しゅうしがた現代げんだい日本語にほんごでは連体れんたいがたのあとに「~のだ」「~のです」が省略しょうりゃくされているとみなしてつかえない(実際じっさいに、反例はんれいつからない)ので、「現代げんだい日本語にほんご活用かつようがたには(文藝ぶんげいじょう表現ひょうげんとしてのこってはいるものの)終止しゅうしがたのこってはいない」と結論けつろんして実用じつようじょう問題もんだいはない。日常にちじょう会話かいわレベルで「美味うまい!」(連体れんたいがた)を「美味うまし!」(終止しゅうしがた)と表現ひょうげんすることには、とく問題もんだいはない。とくに、男性だんせいづけにおいては、「あきらさとし(さとし)」「つよしあつし(つよし)」「ふとし(ふとし)」などの形容詞けいようし終止しゅうしがためずらしくない。

ささやかな問題もんだいてんとしては、いままで「終止しゅうしがた」だとおもっていた国語こくご辞典じてん見出みだが、じつは「連体れんたいがた」であったということになる(古語こご辞典じてんでは終止しゅうしがた見出みだになる。「あかき」ではなく「あかし」が見出みだとなる)が、古典こてん現代げんだいぶん混在こんざいするテキストを日本語にほんご処理しょりするときに構文こうぶん解析かいせき手続てつづきが(文法ぶんぽう定義ていぎじょうにおいて)ややこしくなる以上いじょう弊害へいがいはない。「プログラマが理解りかいしづらい」というのは、ユーザにもコンピュータにもなん関係かんけいもない。

また、この活用かつようがた以外いがいに、語幹ごかん相当そうとうする「原形げんけい」という活用かつようがたかんがえ、けしがた形態素けいたいそである「な」「ぬ」「ず」「ん」とかんがえることもできる。そうすると使役しえきの「せる/させる」・可能かのう受動じゅどう/尊敬そんけいの「れる/られる」と統合とうごうできるため、日本語にほんご処理しょり分野ぶんやでは使つかわれていることもある。

なお、この分類ぶんるいには助動詞じょどうし「ます」につづかたちは(「ございます」「おっしゃいます」「いらっしゃいませ」とう)ふくまれていない。

活用かつようがたとしては、文語文ぶんごぶんほうでは母音ぼいん末尾まつび動詞どうし一段いちだん活用かつよう子音しいん末尾まつび動詞どうしよんだん活用かつようという原則げんそくがあったが、末尾まつびおんの「h」おときとりづらくなったため、現代げんだいでは a・o・u おと末尾まつび動詞どうしは「母音ぼいん末尾まつびだがだん活用かつよう」とされる。現代げんだいだん活用かつようくだり分類ぶんるいされる動詞どうしは、古語こご辞典じてんでは h おとよんだん対応たいおうする[ちゅう 6]

具体ぐたいてきには、日本語にほんご動詞どうしには「だん活用かつようする」母音ぼいん末尾まつび動詞どうしと「くだり」で活用かつようする子音しいん末尾まつび末尾まつび動詞どうしがあるとされるが、このちがいを五十音ごじゅうおん(つまりかなベース)で説明せつめいすると複雑ふくざつになるため、マ字まじ説明せつめいしようというこころみがある[21]。ただし「だんくだり」の説明せつめいがうまくゆかなかった。そこで「h おと消失しょうしつ」を考慮こうりょれ、現代げんだい日本語にほんごかんしては末尾まつびおん

* i/e 「る(mi-)」「る(de-)」
* a/o/u 「う(a-)」「おもう(omo-)」「う(ku-)」
* k/g 「く(kak-)」「ぐ(kog-)」
* s 「す(os-)」
* t/r 「つ(ut-)」「る(tor-)」
* n/b/m 「ぬ(sin-)」「ぶ(tob-)」「む(yom-)」

ろくグループに分類ぶんるいすればほぼりることが、計量けいりょう言語げんごがくてきたしかめられている。ただ文語ぶんごたいしては、語幹ごかんが h おとわるかたり(「けい(h-)」など。「語幹ごかんのないかたり」としてられる)などを追加ついかする必要ひつようがある。また、これにより、年代ねんだい地方ちほうせいなどが検出けんしゅつされることもある(「あるいて」を「って」と表現ひょうげんするなど)。

また、s おと末尾まつびだん活用かつようどうのうち「漢字かんじいち+ sおと」は「サ変さへん」、「漢字かんじいち+z+iおと」は「ザへん」との交絡があるため、「あいす/あいする」「かんじず/かんじる/かんずる」のような表現ひょうげん対応たいおうようす/ようする[ちゅう 7]という。

形容詞けいようし活用かつようがた

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現代げんだいでは連用形れんようけい「~く」と連体れんたいがた「~い」があるが、文語ぶんごでは連用形れんようけい「~く」と連体れんたいがた「~き」以外いがい終止しゅうしがた「~し」がある。

活用かつようがたとしては a おとまつ、o・u おとまつ、iおとまつ、si おんまつ、e おとまつがある。a おとまつを o・u おとまつべつてにしたのは「しゃっく/あかう」「たかく/たかう」などのれいがあり、「ありがとう」「おめでとう」「もったいのう」など、定型ていけい表現ひょうげんふくまれていて出現しゅつげん頻度ひんどたかいからである。

ただし計量けいりょう言語げんごがくによる検証けんしょうによれば i おとまつは「みみっちい」ほかすう(「ずるっちい」「ばっちい」「ばばっちい」)があるのみであり、e おとまつも「かそけし」「さやけし」「たけしし」「むくつけし」とう文藝ぶんげいてき表現ひょうげんとしてのこっているのみである。かずすくなく、現代げんだい活用かつよう一致いっちしないため、活用かつようがたそのものをデータテーブル(=辞書じしょ)に登録とうろくすることが日本語にほんご処理しょり分野ぶんやではおこなわれることがある。『しん明解めいかい国語こくご辞典じてん』(三省堂さんせいどうだいななはん)によれば、形容詞けいようし活用かつようがた

  • 未然みぜんがた「かろ」(「う」はふくめない)
  • 連用形れんようけい「く」(用言ようげん、たとえば「なる」や助詞じょし「て」に接続せつぞくする)
  • 連用形れんようけい「かっ」(「た」は活用かつよう語尾ごびふくめない)
  • 終止しゅうしがた「し」でいきる。
  • 連体れんたいがた体言たいげん接続せつぞくし、助動詞じょどうし「ようだ」「ような」に接続せつぞくする)
  • 仮定かていがた助詞じょし「ば」に接続せつぞくする)
  • 命令めいれいがた「かれ」

ななしゅ分類ぶんるいされている。

助動詞じょどうし活用かつようがた

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助動詞じょどうし「です」(「だ」「である」)「ます」も活用かつようするが、不規則ふきそくであるため、活用かつようひょう(データテーブル)そのものを活用かつようがたかんがえることが日本語にほんご処理しょりにおいてはおこなわれる。

「だ」を助詞じょしあるいは形態素けいたいそふくめず、形容動詞けいようどうし接続せつぞくする助詞じょしとみる立場たちばもある。その場合ばあい

  • 未然みぜんがた「だろ」
  • 連用形れんようけい「で」「に」
  • 連用形れんようけい「だっ」(「た」、「て」)に接続せつぞくする
  • 終止しゅうしがた「だ」
  • 連体れんたいがた「な」
  • 仮定かていがた「なら」

ろくしゅ分類ぶんるいされている。

ただし、「です」「である」および「である」の「ある」や「ない」との交絡があり、確定かくていてきではない。日本語にほんご処理しょり分野ぶんやでは、

  • 未然みぜんがた「でしょう」「だろう」「では(「ある」「ない」に接続せつぞくするので、あつかいとしては連用形れんようけい)」「であろう」は「ある」の活用かつようがた
  • 連用形れんようけい「でして」「で」。
  • 連用形れんようけい「だっ」(「て」「た」)に接続せつぞくし、連用形れんようけい連体れんたいがたになる。
  • 終止しゅうしがた「です」「だ」
  • 連体れんたいがた「でした」「だった」。「で・あった」は動詞どうし「ある」から派生はせい
  • 仮定かていがた「ある」の仮定かていがたから「あらば」「あれば」になる。
  • 命令めいれいがた「あれ」の命令めいれいがたから「であれ」になる。

といったあつかいがされていたりするが、トレードシークレットかかわる問題もんだいでもあり、ほとんど企業きぎょう内部ないぶからはてこない。

なお、「活用かつよう語尾ごび形態素けいたいそ接尾せつびか」の分類ぶんるいについて議論ぎろんになっており、「助動詞じょどうし」と呼称こしょうされているものには以下いかのようなものがある。

  • 未然みぜん:「う」「よう」
  • けし:「ぬ」「ん」「ず」「ない」
  • どう尊敬そんけい:「れる」「られる」
  • 使役しえき:「せる」「させる」「しむ」「しめる」
  • 可能かのう:「れる」「られる」
  • 丁寧ていねい:「ます」
  • 連体れんたいいきりとして終止しゅうしふくめることもある):「た」「だ」)
  • 「たい」「たがる」 - 「たい」は欲求よっきゅう、「がる」は表出ひょうしゅつ
  • 伝聞でんぶん様態ようたい:「そうだ」
  • 「ようだ」「みたいだ」
  • 「らしい」
  • 述語じゅつご:「だ」「です」(いわゆる形容動詞けいようどうし活用かつよう語尾ごびとしてあつかわれることもある)
  • 禁止きんし:「な」
  • 「まい」「まじ」

詳細しょうさい接尾せつびこう参照さんしょうのこと。

いわゆる形容動詞けいようどうし活用かつようがた

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文語ぶんご「なり」「たり」も活用かつようするが、「たり」は「と・あり」の省略形しょうりゃくけいなので、動詞どうし「あり」とおなじ。いわゆる「タルト」活用かつよう(「堂々どうどうたる」など)は、「と・あり」から派生はせいしたため、やや不規則ふきそくである。おなじく形容動詞けいようどうし分類ぶんるいされるもののうち、「複雑ふくざつ」などは「~な」「~に」と活用かつようされると学校がっこう文法ぶんぽうではおしえられるが、たん助詞じょしかんがえたほうが文法ぶんぽう記述きじゅつ簡単かんたんになることが日本語にほんご処理しょり分野ぶんやではられている。

形態素けいたいそ活用かつようがた

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接尾せつびの「使役しえき可能かのう尊敬そんけい受動じゅどう」をあらわ形態素けいたいそは、動詞どうし活用かつようがたおなじである。ただし、運用うんようじょうにおいては相互そうご作用さようともいいえる相関そうかん関係かんけいがあり、「かせる」はせいだが「かす」は規範きはん文法ぶんぽううえ不正ふせい(というか、「ぞく」)とされるが、「かせられる」よりも「かされる」のほうが自然しぜんであるという意見いけんもある。使役しえき形態素けいたいそ「-sase-」と「-sas-」の用法ようほうちがいについては、「日本語にほんごネイティブにとってはかりきったこと」なので、国語こくご教育きょういくにおいてはほとんど問題もんだいにはされない。日本語にほんご教育きょういくにおいてはある程度ていど重要じゅうようてんではあるので、強調きょうちょうはしておきたい。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 両者りょうしゃ相互そうご関係かんけいについては不明ふめいである[3]
  2. ^ したいちだんというはやし圀雄いとぐちたまき』によってつくられ、ちゅうだん名称めいしょうはのちに黒沢くろさわおうみつる言霊ことだま指南しなん』によってうえだんあらためられた[10]
  3. ^ いわゆる「はち衢派」としょうされる国学こくがくしゃ研究けんきゅうである[10]
  4. ^ これは中世ちゅうせいの「からだ」「よう」「てにをは」以来いらい伝統でんとう継承けいしょうするものである[15]
  5. ^ ただし品詞ひんし分類ぶんるいにおいては一応いちおう解決かいけつしたが、ぶんあつかいにおいては課題かだいのこった[18]
  6. ^ 月刊げっかん言語げんご』(大修館書店たいしゅうかんしょてん)の1992ねん1がつごう・3がつごう・5がつごうの『言語げんご空間くうかんらんにおいて議論ぎろんがある。
  7. ^ 「る」を名詞めいしとして登録とうろくしてこれを回避かいひするという手法しゅほうがあるが、辞書じしょ管理かんりしゃがこれを削除さくじょしてしまって製品せいひん回収かいしゅういたったれいがある。

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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図書としょ
  • 佐久間さくまかなえ現代げんだい日本語にほんご表現ひょうげん語法ごほう厚生こうせいかく、1936ねん5がつ 増補ぞうほばん恒星こうせいしゃ厚生こうせいかく、1966ねん)(復刊ふっかん、くろしお出版しゅっぱん、1983ねん
  • 鈴木すずき康之やすゆき日本語にほんご文法ぶんぽう基礎きそ三省堂さんせいどう、1977ねん6がつISBN 4385346836 
  • 寺村てらむら秀夫ひでお日本語にほんごのシンタクスと意味いみⅡ』くろしお出版しゅっぱん、1985ねん7がつISBN 9784874240038 
  • 遠藤えんどう佳那子かなこ近世きんせい後期こうきテニヲハろん展開てんかい活用かつよう研究けんきゅうつとむまこと出版しゅっぱん、2019ねん11月。ISBN 9784585280477 
  • 仁田にった義雄よしお国語こくご問題もんだい日本語にほんご文法ぶんぽう研究けんきゅうひつじ書房しょぼう、2021ねん12月。ISBN 9784823411144 
論文ろんぶん
辞書じしょるい

関連かんれん文献ぶんけん

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  • 川端かわばた善明よしあき活用かつよう研究けんきゅう1』大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん3がつ増補ぞうほ再版さいはん清文せいぶんどう出版しゅっぱん、1997ねん4がつISBN 4792413338
  • 川端かわばた善明よしあき活用かつよう研究けんきゅう2』大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん2がつ増補ぞうほ再版さいはん清文せいぶんどう出版しゅっぱん、1997ねん4がつISBN 4792413346
  • 坪井つぼい美樹みき日本語にほんご活用かつよう体系たいけい変遷へんせん笠間かさま書院しょいん、2001ねん4がつISBN 4305702290ぞうていばん、2007ねん5がつISBN 9784305703538
  • 山内やまうち洋一郎よういちろう活用かつよう活用かつようがたつうてき研究けんきゅう清文せいぶんどう出版しゅっぱん、2003ねん7がつISBN 479241377X
  • 福田ふくだこん日本語にほんご形容詞けいようし動詞どうし活用かつようがた起源きげん』FLL、2007ねん10がつ
  • 三原みはら健一けんいち日本語にほんご活用かつよう現象げんしょう』ひつじ書房しょぼう、2015ねん11月。ISBN 9784894767683