法定ほうてい強姦ごうかん

法定ほうてい強制きょうせい性交せいこう（ほうていきょうせいせいこう）とは、日本にっぽんにおける性的せいてき同意どうい年齢ねんれい未み満まんの子供こどもに対たいする性行為せいこういである。

性行為せいこういに合意ごういがあったか否ひか、明白めいはくな圧力あつりょくや脅迫きょうはくがあったか否いやかに関かかわらず、性行為せいこういそのものがレイプ（メイル・レイプ含ふくむ）と同様どうようのものとして扱あつかわれるため、法定ほうてい強制きょうせい性交せいこうは他たのタイプの強制きょうせい性交せいこうと明確めいかくに異ことなる。

概要がいよう

「少女しょうじょ愛あい運動うんどう」や「NAMBLA」などの団体だんたい、ミシェル・フーコーやジャック・デリダを含ふくむ一部いちぶの人間にんげん達たちはこのような法律ほうりつ制度せいどに対たいする抗議こうぎを行おこなった。彼かれらの主張しゅちょうはおおむね、合意ごういに基もとづいて行おこなわれた性行為せいこうい（和姦わかん）を「強姦ごうかん」として処罰しょばつすることに対たいする批判ひはんであり、法定ほうてい強姦ごうかん制度せいどの存在そんざいは、「単たんなる少年しょうねん・少女しょうじょに対たいする性行為せいこうい」と「暴力ぼうりょくや脅迫きょうはくに基もとづいて行おこなわれる実際じっさいの強姦ごうかん」の混同こんどうをもたらし、後者こうしゃに対たいする重大じゅうだい性せいの認識にんしきを減少げんしょうさせる可能かのう性せいがあるとするものである。

また、適切てきせつな性的せいてき同意どうい年齢ねんれいについては社会しゃかい全般ぜんぱん的てきにも、多種たしゅ多様たような意見いけん、10代の性せい行動こうどうの一般いっぱん調査ちょうさの結果けっかと概念がいねんの矛盾むじゅんなどが様々さまざま指摘してきされている。

法定ほうてい強姦ごうかんの理論りろん的てき基礎きそは、「子供こどもが十分じゅうぶんに成長せいちょうしておらず、相手あいてを十分じゅうぶん認識にんしきしていない」という考かんがえである。

別べつの理論りろん的てき基礎きそは、「子供こどもが成人せいじんに対たいし法律ほうりつ的てき、経済けいざい的てき、社会しゃかい的てきに同等どうとうでない」という事実じじつである。典型てんけい的てきには彼かれらは経済けいざい的てき・社会しゃかい的てきに従属じゅうぞくしており、十分じゅうぶんな法律ほうりつ上じょうの権利けんりを欠かいているとする。この状況じょうきょうは例たとえば、被害ひがい者しゃの従業じゅうぎょう員いんが加害かがい者しゃの上司じょうしを提訴ていそする事ことを躊躇ちゅうちょする状況じょうきょうに似にている。

また、別べつの理論りろん的てき基礎きそは強姦ごうかんを立件りっけんする困難こんなんに関係かんけいする。強姦ごうかんはそもそも被害ひがい者しゃの承諾しょうだくが無ない事ことを証明しょうめいしなければならないという、判定はんていするのに困難こんなんな犯罪はんざいである。そのため、法定ほうてい強姦ごうかんに関かんする法ほうは承諾しょうだくの有無うむを証明しょうめいする必要ひつようから検察けんさつ当局とうきょくを解放かいほうする。

元々もともとの法定ほうてい強姦ごうかん法ほうの本来ほんらいの目的もくてきは「童貞どうてい・処女しょじょを保護ほごする」ことであった。つまり、同どう法ほう制定せいてい当初とうしょの理論りろん的てき基礎きそは「児童じどうの童貞どうてい・処女しょじょ性せいを保護ほごし不ふ必要ひつような妊娠にんしんを防止ぼうしする」ことであった。

法定ほうてい強姦ごうかんの定義ていぎは各国かっこく・地域ちいきによって広ひろく変化へんかする。更さらに、年上としうえの者ものが同等どうとうの年齢ねんれいであるならば、複数ふくすうの国くには法定ほうてい強姦ごうかんからの除外じょがいを適用てきようする。もしくは、双方そうほうが結婚けっこんした場合ばあいは告発こくはつされない場合ばあいもある。

日本にっぽん

日本にっぽんでは13歳さい未満みまんの男女だんじょに対たいするわいせつ行為こういを法定ほうてい強姦ごうかん等とう（法定ほうてい強姦ごうかん、法定ほうてい強制きょうせいわいせつ）として、相手方あいてがたの同意どういや暴行ぼうこう・脅迫きょうはくの有無うむを問とわず、強姦ごうかん罪ざいまたは強制きょうせいわいせつ罪ざいと同様どうようの重犯じゅうはん罪ざいとして処罰しょばつしていた。

改正かいせい刑けい法案ほうあんが2017年ねん（平成へいせい29年ねん）6月がつ16日にちに可決かけつ成立せいりつし、強姦ごうかん罪ざいの類型るいけいが強制きょうせい性交せいこう等とう罪ざいに拡大かくだいされるとともに、監護かんご者しゃの立場たちばに乗じょうじて18歳さい未満みまんの男女だんじょにこれらの行為こういを働はたらいた場合ばあい（同意どういの有無うむを問とわない）にも監護かんご者しゃ性交せいこう等とう罪ざい、監護かんご者しゃわいせつ罪ざいに問とわれる事こととなった。

同どう改正かいせいにより、以下いかの行為こういは法定ほうてい強制きょうせい性交せいこう等とう、法定ほうてい強制きょうせいわいせつとして、相手方あいてがたの同意どういや暴行ぼうこう・脅迫きょうはくの有無うむを問とわず、強制きょうせい性交せいこう等とう罪ざいまたは強制きょうせいわいせつ罪ざいと同様どうようの重犯じゅうはん罪ざいとして処罰しょばつされる。

• 13歳さい未満みまんの男女だんじょに対たいする「性交せいこう等とう」（相手方あいてがたの膣ちつ内ない、肛門こうもん内ない若もしくは口腔こうくう内ないに自己じこ若もしくは第三者だいさんしゃの陰茎いんけいを入いれ、または相手方あいてがたの陰茎いんけいを自己じこもしくは第三者だいさんしゃの膣ちつ、肛門こうもんもしくは口腔こうくうに入いれさせる行為こうい）、またはわいせつ行為こうい
• 監護かんご者しゃの立場たちばに乗じょうじての18歳さい未満みまんの男女だんじょに対たいする「性交せいこう等とう」（同上どうじょう）、またはわいせつ行為こうい

これらは判断はんだん能力のうりょくの未熟みじゅくな青少年せいしょうねんを法的ほうてきに保護ほごする趣旨しゅしであり、また監護かんご者しゃについては監護かんご者しゃの庇護ひごがなければ年少ねんしょうの被ひ監護かんご者しゃが生活せいかつ上じょうの不利益ふりえきを大おおきく受うけるなど、監護かんご者しゃの要求ようきゅうを拒絶きょぜつしがたいという事情じじょうがあるなど、脅迫きょうはく・暴行ぼうこうと同一どういつ視しすべきものも見みられ、また、監護かんご者しゃが自みずからの欲望よくぼうについて被ひ監護かんご者しゃをほしいままにするという社会しゃかい倫理りんりとしてもとる面めんも見みられることから、影響えいきょう力りょくに乗じょうじて性交せいこう等とうを行おこなった場合ばあい、強制きょうせい性交せいこう等とうと同一どういつ視ししたものである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 米沢よねざわ広一ひろかず「子こどもの年齢ねんれいと法ほう(2)」（PDF）『大阪市立大学おおさかいちりつだいがく法学ほうがく雑誌ざっし』第だい61巻かん第だい1-2号ごう、大阪市立大学おおさかいちりつだいがく法ほう学会がっかい、大阪おおさか市し、2014年ねん12月30日にち、2-3頁ぺーじ、doi:10.24544/ocu.20180117-029、ISSN 0441-0351、NAID 110009911821、OCLC 5824362016、2019年ねん3月がつ1日にち閲覧えつらん。