特別とくべつ警衛けいえい掛かけ

特別とくべつ警衛けいえい掛かけ（とくべつけいえいかかり）とは、戦前せんぜんの宮みや内省ないせい皇宮警察こうぐうけいさつに設もうけられた組織そしき。

概要がいよう

大正たいしょう期きに入はいり、左ひだり右みぎ両翼りょうよくの勢力せいりょくが台頭たいとうし始はじめ、テロが発生はっせいするなど社会しゃかい不安ふあんを醸かもし出だしていた。そして皇室こうしつに対たいする身辺しんぺん警護けいごも、従来じゅうらいのように武芸ぶげいの素養そようがない侍従じじゅうが一身いっしんをもって警護けいごするのではなく、訓練くんれんされた専門せんもん職しょくによる警護けいごの必要ひつよう性せいが認識にんしきされ始はじめた。

そんな中なか、1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）に摂政せっしょう宮みや裕仁ひろひと親王しんのうが台湾たいわんを行啓ぎょうけいすることになり、朝鮮ちょうせん独立どくりつ運動うんどうの活動かつどう家かが台湾たいわんに潜入せんにゅうするという情報じょうほうがもたらされたことで、急遽きゅうきょ、皇宮警察こうぐうけいさつ内ないに「特別とくべつ警衛けいえい掛かけ」が設もうけられた。その長ちょうには大阪おおさか府警ふけい察部の警視けいし・坂口さかぐち鎮雄しずおが任命にんめいされた。その他たの掛かけ員いんも警視庁けいしちょうや府県警ふけんけい察部の文武両道ぶんぶりょうどうに秀ひいでた警部けいぶや警部補けいぶほが任命にんめいされた。

特別とくべつ警衛けいえい掛かけ員いんは侍従じじゅうの「内うち舎人とねり」の資格しかくを持もって警護けいごするとともに、一般いっぱんの警察けいさつとの連絡れんらくを密みつにするために警視庁けいしちょう警察官けいさつかんとしての資格しかくも併あわせ持もった。また職務しょくむの特殊とくしゅ性せいから「供奉ぐぶ刀がたな」と呼よばれるサーベルの他ほかに、拳銃けんじゅうも携帯けいたいしていた。

特別とくべつ警衛けいえい掛かけの警護けいご対象たいしょうは、原則げんそくとして天皇てんのう及およびその他たの皇族こうぞくであったが、国賓こくひんの来日らいにちにあたっては国賓こくひんの側がわに付ついて警護けいごするなど、現在げんざいのセキュリティポリスの役割やくわりも担になっていた。

戦後せんごの1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）、警視庁けいしちょう皇宮警察こうぐうけいさつ部ぶの発足ほっそくに伴ともない廃止はいしされた。特別とくべつ警衛けいえい掛かけ員いんだった者ものは皇宮警察こうぐうけいさつ官かんとしての身分みぶんは失うしなったが、引ひき続つづき内ない舎人とねりとして警護けいごにあたった。（翌年よくねんに制度せいど改正かいせいがあり、皇室こうしつの身辺しんぺん警護けいごが再ふたたび皇宮警察こうぐうけいさつの所管しょかんとなり、警護けいご担当たんとうの内うち舎人とねりに皇宮こうぐう護衛ごえい官かんとしての身分みぶんが付与ふよされた。）

参考さんこう文献ぶんけん

• 皇宮警察こうぐうけいさつ史し編へんさん委員いいん会かい編へん『皇宮警察こうぐうけいさつ史し』1976年ねん、皇宮警察こうぐうけいさつ本部ほんぶ

関連かんれん項目こうもく

• 皇宮警察こうぐうけいさつ (宮みや内省ないせい)
• ボディーガード
• セキュリティポリス