玉たま勝しょう間あいだ

玉たま勝しょう間あいだ（たまがつま／たまかつま）は江戸えど時代じだいの国学こくがく者しゃ、本ほん居きょ宣長のりながの随筆ずいひつ。1005段だんよりなる。

概要がいよう

14巻かんで目録もくろくが1巻かん。1793年ねん（寛政かんせい5年ねん）より起稿きこうし、1801年ねん（享とおる和わ元年がんねん）までの記事きじを載のせ、推敲すいこうを重かさねて完成かんせいした後のち、1795年ねん（寛政かんせい7年ねん）から1812年ねん（文化ぶんか9年ねん）の間あいだに、3巻かんずつ刊行かんこうされた。なお、「たまがつま」の「たま」は接頭せっとう語ごで、目めの細こまかい竹たけの籠かごを表あらわす古語こご、あるいは竹たけ籠かごの実みと蓋ぶたが合あうことから、「あへ」「あふ」「しま」「し」にかかる枕詞まくらことばでもある。

宣長のりながが古典こてん研究けんきゅうで得えた知識ちしきを収録しゅうろくし、有職故実ゆうそくこじつや語源ごげんの考証こうしょう、談話だんわ・聞書ききがき抄録しょうろくなど多様たようの分野ぶんやにわたる学問がくもん・思想しそうについての見解けんかいを述のべたもので、「葬礼そうれい婚礼こんれいなど、ことに田舎いなかには古ふるく面白おもしろき事こと多おおし」とあり、民俗みんぞく的てき視点してんをもそなえている。宣長のりながの生活せいかつ・学問がくもんへの傾注けいちゅうが記述きじゅつされており、晩年ばんねんの思想しそうを知しる上じょうでも重要じゅうような書しょである。

注解ちゅうかい刊行かんこう本ほん

• 松井まつい博信ひろのぶ『〈中等ちゅうとう國文こくぶん解釋かいしゃく叢書そうしょ・第だい3篇へん〉玉たま勝しょう間あいだ・鈴屋すずや集しゅう抄しょう』立川たちかわ文明ふみあき堂どう、1932年ねん
• 小林こばやし爲三郎ためさぶろう『全譯ぜんやく玉だま勝間かつま詳解しょうかい：全ちょん』大修館書店たいしゅうかんしょてん、1934年ねん
• 村岡むらおか典嗣つねつぐ校訂こうてい『玉たま勝しょう間あいだ』上下じょうげ、岩波書店いわなみしょてん〈岩波いわなみ文庫ぶんこ〉、1934年ねん
• 平木ひらき四よん三さん二に『玉たま勝間かつま抄しょう精義せいぎ』修おさむ文ぶん館かん、1942年ねん
• 久ひさ曾神昇のぼり編へん『正解せいかい玉だま勝間かつま』弘文社こうぶんしゃ、1944年ねん
• 田口たぐち庸一よういち『〈文法ぶんぽう解明かいめい叢書そうしょ34〉玉たま勝しょう間あいだ・源氏物語げんじものがたり玉だまの小しょう櫛くし要よう解かい』有精ゆうせい堂どう、1957年ねん
• 大野おおの晋すすむ・大久保おおくぼ正ただし編へん『本ほん居きょ宣長のりなが全集ぜんしゅう1』筑摩書房ちくましょぼう、1968年ねん
• 吉川よしかわ幸次郎こうじろうほか校こう注ちゅう『〈日本にっぽん思想しそう大系たいけい40〉本ほん居きょ宣長のりなが』岩波書店いわなみしょてん、1978年ねん
• 神道しんとう大系たいけい編纂へんさん会かい『神道しんとう大系たいけい 論説ろんせつ編へん25：復古ふっこ神道しんとう』（梅澤うめざわ伊い勢ぜい三さん・高橋たかはし美由紀みゆき校こう注ちゅう）1982年ねん

現代げんだい語ご訳やく

• 吉田よしだ健一けんいち訳やく「玉たま勝しょう間あいだ」『〈日本にっぽんの古典こてん21〉新井あらい白石はくせき・本ほん居きょ宣長のりなが』（杉浦すぎうら明あきら平ひらほか訳やく）河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、1972年ねん

参考さんこう文献ぶんけん

• 『角川かどかわ第だい二に版はん日本にっぽん史し辞典じてん』p610、高柳たかやなぎ光ひかり寿ことぶき・竹内たけうち理り三さん：編へん、角川書店かどかわしょてん、1966年ねん
• 『岩波いわなみ日本にっぽん史し辞典じてん』p740、監修かんしゅう：永原ながはら慶けい二に、岩波書店いわなみしょてん、1999年ねん