百済くだら王おう氏し

百済くだら王おう氏しの祖そ霊れいを祭まつっている百済くだら王おう神社じんじゃ。（大阪おおさか府ふ枚方ひらかた市し）
氏姓しせい	百済くだら王おう（くだらのこにきし）
出自しゅつじ	百済くだら
氏し祖そ	百済くだら王おう善光よしみつ
本ほん貫ぬき	河内かわうち国こく難波なんば
後裔こうえい	三松みまつ氏し（社家しゃけ） など
凡例はんれい / Category:氏し

百済くだら王おう氏し（くだらのこにきしうじ）は、百済くだら最後さいごの王おうである義ぎ慈王の子こである善光よしみつを始祖しそとする日本にっぽんの氏族しぞく。持もち統みつる朝あさに百済くだら王おうの氏姓しせいを賜たまもの与あずかされた。「こにきし」は、古代こだい朝鮮ちょうせんの三さん韓かんの王おうを指さす言葉ことばであり、古代こだい朝鮮ちょうせん語ごに由来ゆらいすると考かんがえられている。

概説がいせつ

氏しとして「百済くだら」を称しょうする氏族しぞくは複数ふくすうある（百済くだら朝臣あそん、百済くだら公こう、百済くだら連れん、百済くだら宿禰すくね）が、王おうという特殊とくしゅな姓せいの示しめすとおり、かつての百済くだら王族おうぞくの出身しゅっしんの氏しを指さす。また延のべ暦れき9年ねん（790年ねん）菅野かんの朝臣あそんの改姓かいせい上表じょうひょうで、百済くだら王仁わに貞さだらが後見こうけん者しゃ然しかと名なを連つらねていることより、百済くだら系けい渡来とらい氏族しぞくの宗家そうけ的てき地位ちいにあったと考かんがえられる。

百済くだら王おう氏しの本拠地ほんきょちは当初とうしょ難波なんばにあったが、その後ご北河内きたかわち交野かたの郡ぐん中宮ちゅうぐう郷きょう（現げん・大阪おおさか府ふ枚方ひらかた市し中宮ちゅうぐう）に本拠ほんきょを移うつし、この地ちに百済くだら王おうの祀まつ廟びょうと百済寺くだらでらを建立こんりゅうした。百済寺くだらでらは中世ちゅうせいに焼失しょうしつしたが、百済くだら王おう神社じんじゃは今いまも大阪おおさか府ふ枚方ひらかた市しに残のこる。

歴史れきし

正史せいしの『三さん国こく遺のこ事こと』 卷まき1 紀き異い1 北きた扶餘に扶余氏し（元もと姓せい）の温ゆたか祚の父ちちである東明とうめい帝みかどが卒そつ本ほん夫おっと餘あまりを建国けんこくしたという記事きじがある。

古記こき云うん 天帝てんてい子こ降くだ于訖升ます骨こつ城じょう(在ざい大だい遼りょう醫い州しゅう界かい) 乘じょう五ご龍車りゅうしゃ 立たて都と稱しょう王おう 國號こくごう北きた扶餘 自稱じしょう名めい解かい慕漱 生子おいご名めい扶婁 以解爲氏ためうじ焉 王おう後ご因いん上帝じょうてい之の命いのち 移うつり都と于東扶餘 東明とうめい帝みかど繼つぎ北きた扶餘而興 立たて都と于卒本州ほんしゅう 爲ため卒そつ本ほん扶餘 卽そく高句麗こうくり之の始はじめ。 — 『三さん国こく遺のこ事こと』 卷まき1 紀き異い1 北きた扶餘

『三さん国史こくし記き』百済くだら本紀ほんぎの分ぶん注ちゅうに、朱蒙チュモンが卒そつ本ほん夫おっと餘あまりに至いたった際さいに娘むすめを得えて二に子しをもうけたとする記事きじがある。

或ある云うん：「朱蒙チュモン到いた卒そつ本ほん，娶めと越こし郡ぐん女おんな，生なま二に子し。」 — 三さん国史こくし記き、巻まき二に十じゅう三さん

「二子ふたご」とは、温ゆたか祚と沸にえ流りゅうのことである。

百済くだら最後さいごの国王こくおう・義よし慈王は倭国わのくにと同盟どうめいし、その王子おうじ豊ゆたか璋あきらと善光よしみつ（扶余勇いさむ・禅ぜん広こう王おう・余あまり禅ぜん広ひろ）を倭国わのくにに送おくった。日本にっぽんに残のこった善光よしみつが百済くだら王族おうぞくの血統けっとうを伝つたえることとなった。

奈良なら時代じだい末期まっきには俊しゅん哲あきらが陸奥むつ守まもる・鎮守ちんじゅ将軍しょうぐん・征せい夷えびす副使ふくしなどに任にんじられ、武たけ鏡きょうは出羽でわ守もりとなるなど、敬けい福ぶく以来いらい東北とうほく地方ちほうの経営けいえいと征せい夷えびす事業じぎょうに関かかわった。平安へいあん時代じだい初期しょきには、桓武かんむ天皇てんのうの母はは（高野たかの新しん笠かさ）が百済くだら系けい渡来とらい氏族しぞくの和かず氏し出身しゅっしんであったため天皇てんのうの外戚がいせきとみなされ厚遇こうぐうを受うけた。一族いちぞくの娘むすめを桓武かんむ天皇てんのう・嵯峨天皇さがてんのうらの後宮こうきゅうの宮人みやびととした。和気わけ氏し・伴ばん氏し・佐伯さえき氏しなどとともに功臣こうしんの子孫しそんとして天皇てんのう即位そくいなどの儀式ぎしきの際さいに氏し爵を受うけ、従したがえ五ご位い下かの官かん人じんを輩出はいしゅつする慣例かんれいができた。これらの百済くだら王おう氏しへの氏し爵は戦国せんごく時代じだいまで行おこなわれていた。

百済くだら王おう神社じんじゃの旧きゅう神主かんぬし家いえである三松みまつ氏しは百済くだら王おう氏しの後裔こうえいを自称じしょうした。

また、平安へいあん時代じだい後期こうきに常陸ひたち国こくの税所さいしょを預あずかって在庁ざいちょう官かん人じんの最高さいこう位いにあった百済くだら氏しも元もとは百済くだら王おう氏しの子孫しそんであったとみられる。

人物じんぶつ

飛鳥あすか時代じだいの人物じんぶつ

• 扶余豊ゆたか璋あきら：善光ぜんこうの兄あにで、善光ぜんこうと共ともに倭国わのくにに派遣はけんされている（日本書紀にほんしょきでは派遣はけん、三さん国史こくし記きでは人質ひとじち）、鬼おに室しつ福ぶく信しんら百済くだら遺臣いしんに迎むかえられて帰国きこくする。
• 百済くだら王おう善光よしみつ（601年ねん - 693年ねん）：持もち統すべ天皇てんのうより百済くだら王おうの氏姓しせいを賜たまわる。正広まさひろ肆（従したがえ三さん位い相当そうとう）、贈おく正せい広こう参さん（正せい三さん位い相当そうとう）
• 百済くだら王おう昌あきら成なり（? - 674年ねん）

飛鳥あすか時代じだいから奈良なら時代じだい初期しょきの人物じんぶつ

• 百済くだら王おう遠とお宝たから
• 百済くだら王おう朗あきら虞おそれ（661年ねん - 737年ねん）：従したがえ四よん位い下か摂津せっつ亮あきら
• 百済くだら王おう南みなみ典てん（666年ねん - 758年ねん）：備前びぜん守もり

奈良なら時代じだいの人物じんぶつ

• 百済くだら王おう慈敬
• 百済くだら王おう孝たかし忠ただし
• 百済くだら王おう敬たかし福ぶく（697年ねん - 766年ねん）：従したがえ三さん位い刑部おさかべ卿きょう。『公卿くぎょう補任ほにん』天平てんぺい廿にじゅう一午条百済王敬福の尻しり付づけには「南みなみ典のり弟おとうと也」とある。

奈良なら時代じだい末期まっきから平安へいあん時代じだい初期しょきの人物じんぶつ

• 百済くだら王おう理り伯はく
• 百済くだら王おう武たけし鏡きょう：出羽でわ守もり
• 百済くだら王おう明信あきのぶ（? - 815年ねん）：藤原ふじわら継つぎ縄なわ室しつ。尚侍しょうじ
• 百済くだら王おう俊しゅん哲あきら：陸奥むつ鎮守ちんじゅ将軍しょうぐん征せい夷えびす副使ふくし
• 百済くだら王仁わに貞さだ：備前びぜん守もり
• 百済くだら王おう教法きょうほう：桓武かんむ天皇てんのう女御にょうご
• 百済くだら王おう教きょう仁ひとし：桓武かんむ天皇てんのう後宮こうきゅう
• 百済くだら王おう教きょう徳とく

平安へいあん時代じだい前期ぜんきの人物じんぶつ

• 百済くだら王おう教きょう俊しゅん
• 百済くだら王おう貴命きめい：俊しゅん哲あきらの娘むすめ。嵯峨天皇さがてんのう女御にょうご
• 百済くだら王おう慶けい命いのち：嵯峨天皇さがてんのう後宮こうきゅう。尚侍しょうじ

平安へいあん時代じだい中期ちゅうきの人物じんぶつ

• 百済くだら王おう勝義まさよし（779年ねん - 855年ねん7月がつ）
• 百済くだら王おう貞さだ連れん（くだらのこにきし ていれん／さだつら）

史料しりょうに見みえる百済くだら王おう氏しの陞爵・叙任じょにん

以下いかは、「日本にっぽん三さん代だい実録じつろく」にみえる百済くだら王おう氏しの陞爵・叙任じょにんの一覧いちらん。

• 忠ちゅう岑（嘉よしみ祥さち 3 年ねん(850)5 月がつ己おのれ卯う　中務なかつかさ少しょう丞すすむ）
• 教きょう福ぶく（嘉よしみ祥さち 3 年ねん(850)5 月がつ庚かのえ辰たつ　元興寺がんごうじ使し）
• 慶けい世よ（嘉よしみ祥さち 3 年ねん(850)5 月がつ庚かのえ辰たつ　藥師寺やくしじ使つかい）
• 永えい仁ひとし（仁ひとし寿ことぶき元年がんねん(851)4 月がつ癸みずのと卯う朔ついたち　次じ侍従じじゅう）
• 貴命きめい（仁ひとし寿ことぶき元年がんねん(851)9 月がつ甲かぶと戌いぬ　女御にょうご）
• 安あん宗はじめ（仁ひとし寿ことぶき 3 年ねん(853)正月しょうがつ丁未ていみ　安芸あき介かい）
• 教きょう凝しこり（齊ひとし衡元年ねん(854)2 月がつ辛からし未み　侍従じじゅう
• 安あん宗はじめ（齊ひとし衡 3 年ねん(856)正月しょうがつ辛からし亥い　從したがえ五ご位い下か→從したがえ五ご位い上じょう）
• 貞さだ琳（天てん安やす元年がんねん(857)正月しょうがつ丁未ていみ　從したがえ六ろく位い上じょう→從したがえ五ご位い下か）
• 淳仁じゅんにん（天てん安やす 2 年ねん(858)正月しょうがつ庚かのえ子こ　從したがえ六ろく位い上じょう→ 從したがえ五ご位い下か）
• 永えい仁ひとし（天てん安やす 2 年ねん(858)11 月がつ甲子きのえね　從したがえ五ご位い下か→従したがえ五ご位い上じょう）
• 俊しゅん聰さとし（貞さだ觀かん元年がんねん(859)11 月がつ庚午こうご　正せい六ろく位い上じょう→從したがえ五ご位い下か）
• 香春かわら（貞さだ觀かん元年がんねん(859)11 月がつ辛からし未み　无位→從したがえ五ご位い下か）
• 貞恵さだえ（貞さだ觀かん 2 年ねん(860)11 月がつ壬みずのえ辰たつ　從したがえ五ご位い下か）
• 俊しゅん聡さとし（貞さだ觀かん 6 年ねん(864)10 月がつ丁ちょう卯しげる　從したがえ五ご位い下か）
• 教きょう隆たかし（元もと慶けい 3 年ねん(879)11 月がつ庚かのえ辰たつ　正せい六ろく位い上じょう→從したがえ五ご位い下か）
• 忠ちゅう岑（嘉よしみ祥さち 3 年ねん(850)5 月がつ己おのれ卯う　中務なかつかさ少しょう丞すすむ）
• 教きょう福ぶく（嘉よしみ祥さち 3 年ねん(850)5 月がつ庚かのえ辰たつ　元興寺がんごうじ使し）
• 慶けい世よ（嘉よしみ祥さち 3 年ねん(850)5 月がつ庚かのえ辰たつ　藥師寺やくしじ使つかい）
• 永えい仁ひとし（仁ひとし寿ことぶき元年がんねん(851)4 月がつ癸みずのと卯う朔ついたち　次じ侍従じじゅう）
• 貴命きめい（仁ひとし寿ことぶき元年がんねん(851)9 月がつ甲かぶと戌いぬ　女御にょうご）
• 安あん宗はじめ（仁ひとし寿ことぶき 3 年ねん(853)正月しょうがつ丁未ていみ　安芸あき介かい）
• 教きょう凝しこり（齊ひとし衡元年ねん(854)2 月がつ辛からし未み　侍従じじゅう）
• 安あん宗はじめ（天てん安やす 2 年ねん(858)正月しょうがつ己おのれ酉とり　安芸あき守まもる）
• 永えい仁ひとし（天てん安やす 2 年ねん(858)11 月がつ甲子きのえね　右みぎ兵庫ひょうご頭あたま）
• 慶けい世よ（貞さだ觀かん元年がんねん(859)2 月がつ己おのれ亥い　刑部おさかべ大輔だいすけ）
• 永えい仁ひとし（貞さだ觀かん元年がんねん(859)2 月がつ己おのれ亥い　摂津せっつ権けん介かい）
• 慶けい世よ（貞さだ觀かん元年がんねん(859)4 月がつ丁ちょう亥い　次じ侍従じじゅう）
• 俊しゅん聰さとし（貞さだ觀かん元年がんねん(859)11 月がつ庚午こうご　丹波たんば権けん掾じょう）
• 俊しゅん聡さとし（貞さだ觀かん 6 年ねん(864)10 月がつ丁ちょう卯しげる　伯耆ほうき守もり）
• 俊しゅん聡さとし（天てん安やす 2 年ねん(元もと慶けい 3 年ねん(879)正月しょうがつ丁ひのと酉とり　和泉いずみ守まもる）
• 教きょう隆たかし（元もと慶けい 3 年ねん(879)11 月がつ庚かのえ辰たつ　右みぎ馬ば大だい充たかし）

平安へいあん時代じだい後期こうきの人物じんぶつ

以下いかは、各種かくしゅ史料しりょうによる平安へいあん時代じだい後期こうきにおける百済くだら王おう氏しの陞爵・叙任じょにんの一覧いちらん。ただし一部いちぶは百済くだら王おう氏しではなく、百済くだら朝臣あそん・百済くだら宿禰すくねなどのような百済くだら系けいの氏姓しせいが含ふくまれている可能かのう性せいがある。

• 百済くだら王おう （昌あきら泰たい 3(900)8・20　河内かわうち権けん介かい）
• 百済くだら貞さだ運うん （延長えんちょう元もと(923)12・13　内うち舎人とねり）
• 百済くだら王おう貞さだ運うん （天てん慶けい 2(939)5・15　武蔵むさし守もり）
• 百済くだら王おう貞さだ運うん （天てん慶けい 2(939)5・17　武蔵むさし守もり,前ぜん上総かずさ守まもる,従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら貞さだ運うん （天てん慶けい 2(939)12.11/12.29　武蔵むさし守もり）
• 百済くだら王おう興きょう勢ぜい （天てん慶けい 9(946)10・28　散ち位くらい従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら王おう （応おう和わ元もと(961)6・5　図書としょ頭あたま）
• 百済くだら （安和あわ 2(969)7・8　山城やましろ大だい掾じょう）
• 百済くだら （治ち承うけたまわ 4(1180)4・21　従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら清重きよしげ （長ちょう徳とく 2(996)正ただし・25　播磨はりま権けん少しょう掾じょう）
• 百済くだら王おう為ため孝こう （長ちょう徳とく 3(996)正ただし・28　周防すおう権けん掾じょう,正せい六ろく位い上じょう）
• 百済くだら述じゅつ高だか （長和ながわ 4(1015)11・16　播磨はりま国有こくゆう年ねん庄しょう寄人よりうど）
• 百済くだら王おう基はじめ貞さだ （応おう徳とく 3(1086)12・16　禁きん野の司し小口こぐち,従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら惟おもんみ助すけ （長治ながはる 2(1105)8・20　異国いこく警固けいご斫本司し 兼けん監かん代だい）
• 百済くだら王おう清重きよしげ （永久えいきゅう 4(1116)12・20　播磨はりま権けん掾じょう,正せい六ろく位い上じょう）
• 百済くだら年ねん旧きゅう （永久えいきゅう 4(1116)12・20　上野うえの少しょう掾じょう）
• 百済くだら花押かおう （仁平にだいら元はじめ(1151)4・8　散ち位くらい）
• 百済くだら雅みやび国こく （長ちょう寛ひろし 3(1165)年ねん 7・25　従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら重次しげつぐ （承うけたまわ安やす 2 年ねん(1172)12・30　豊前ぶぜん国こく日足ひあし庄しょう官かん 人じん代だい）

鎌倉かまくら・室町むろまち期きの人物じんぶつ

以下いかは、各種かくしゅ史料しりょうによる室町むろまち・鎌倉かまくら期きにおける百済くだら王おう氏しの陞爵・叙任じょにんの一覧いちらん。ただし一部いちぶは百済くだら王おう氏しではなく、百済くだら朝臣あそん・百済くだら宿禰すくねなどの ような百済くだら系けいの氏姓しせいが含ふくまれている可能かのう性せいがある。

• 百済くだら王おう時じ里さと （治ち承うけたまわ 4(1180)4・21　従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら岑基 （建たて久ひさ 9(1190)2・26　従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら王おう光こう房ぼう （寛ひろし元もと 4(1246)3・8　従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら王おう貞秀さだひで （弘安ひろやす 11(1288)3・8　従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら高だか延のべ （貞和さだかず元もと(1349)12・21　従したがえ五ご位い下か）
• 百済くだら王おう遠どお倫りん （永えい正ただし 18(1521)3・17　従したがえ五ご位い下か）

系譜けいふ

『続ぞく日本にっぽん紀き』天平てんぺい神護かんご2年ねん6月がつ壬みずのえ子こ条じょう百済王敬福薨伝による系図けいず

義ぎ慈王                                               善光よしみつ   扶余豊ゆたか璋あきら                 昌あきら成なり                 朗ろう虞おそれ                 敬けい福ぶく

• なお、百済くだら王おう氏しは詳くわしい系図けいずが伝つたわっておらず、系譜けいふ関係かんけいが不明ふめいな人物じんぶつも多おおい。『続ぞく群ぐん書しょ類従るいじゅう』系譜けいふ部ぶに「百済くだら王おう氏し系図けいず」が収録しゅうろくされていたことが知しられるが、現在げんざい伝つたわっていない。また百済くだら王おう氏しの後裔こうえいを自称じしょうする三松みまつ氏しの系譜けいふ『百済くだら王おう三松みまつ氏し系図けいず』が存在そんざいするが、その史料しりょう価値かちには疑問ぎもんを呈ていする意見いけんがあり、『国史こくし大だい辞典じてん』など主要しゅような辞典じてん類るいでも採用さいようしていないものが多おおい。
• 百済くだら王おう氏し（百済くだら王族おうぞく）の血統けっとうは、百済くだら最後さいごの国王こくおう・義ぎ慈王の王子おうじ・百済くだら王おう善光よしみつの子孫しそんが皇室こうしつを通とおして現代げんだいにも伝つたわっており、義よし慈王 ― 百済くだら王おう善光よしみつ ― 百済くだら王おう昌あきら成なり ― 百済くだら王おう郎ろう虞おそれ ― 百済くだら王おう敬たかし福ぶく ― 百済くだら王おう理り伯はく ― 百済くだら王おう俊しゅん哲あきら ― 百済くだら王おう教きょう俊しゅん ― 百済くだら王おう慶けい命いのち（嵯峨天皇さがてんのう女御にょうご） ― 源みなもと定じょう（嵯峨さが第だい六ろく源氏げんじ） ― 源みなもと唱 ― 源みなもと周子かねこ ― 源みなもと高明こうめい ― 源みなもと明子あきこ ― 藤原ふじわら尊子たかこ (藤原ふじわら道長みちながの娘むすめ) ― 源みなもと顕房あきふさ ― 藤原ふじわら賢子さとこ（白河天皇しらかわてんのう中宮なかみや） ― 堀河ほりかわ天皇てんのう ― （以後いご歴代れきだい天皇てんのう）となる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 上野うえの利三としみつ「「百済くだら王おう三松みまつ氏し系図けいず」の史料しりょう価値かちについて : 律令りつりょう時代じだいの帰化きか人じんの基礎きそ的てき研究けんきゅう」『慶應義塾けいおうぎじゅく創立そうりつ一いち二に五ご周年しゅうねん記念きねん論ろん文集ぶんしゅう : 慶應けいおう法ほう学会がっかい政治せいじ学がく関係かんけい』、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく法学部ほうがくぶ、1983年ねん10月がつ、385-407頁ぺーじ。 
• 大澤おおさわ泉いずみ 著ちょ「鎌倉かまくら期き常陸ひたち国こくにおける国衙こくが機構きこうの変遷へんせんと在庁ざいちょう官かん人じん」、高橋たかはし修おさむ 編へん『常陸ひたち平たいら氏し』戎えびす光ひかり祥さち出版しゅっぱん〈中世ちゅうせい関東かんとう武士ぶしの研究けんきゅう；第だい16巻かん〉、2015年ねん6月がつ。ISBN 978-4-86403-167-7。 （初出しょしゅつ:『茨城いばらき県けん史し研究けんきゅう』91号ごう、2007年ねん）
• 太田おおた亮あきら「国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション 百済くたら　クダラ」『姓氏せいし家系かけい大だい辞典じてん』 第だい2、上田うえだ萬年かずとし、三上みかみ参さん次じ監修かんしゅう、姓氏せいし家系かけい大だい辞典じてん刊行かんこう会かい、1934年ねん、2069-2073頁ぺーじ。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47004572。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1130938/128 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション。 
• 大坪おおつぼ秀俊ひでとし「光ひかり仁じん朝あさにおける百済くだら王おう氏し」『龍谷りゅうざく史し壇だん』第だい113号ごう、龍谷大りゅうこくだい学がく、1999年ねん10月がつ25日にち、19-52頁ぺーじ、NAID 110009979715。 
• 大坪おおつぼ秀俊ひでとし「桓武かんむ朝あさにおける百済くだら王おう氏し」『龍谷りゅうざく史し壇だん』119・120、龍谷大りゅうこくだい学がく、2003年ねん3月がつ30日にち、118-177頁ぺーじ、NAID 110009987001。 
• 小森こもり正明まさあき 著ちょ「中世ちゅうせいにおける常陸ひたち国衙こくがの一いち断面だんめん—税所さいしょ氏しの基礎きそ的てき考察こうさつを中心ちゅうしんとして」、高橋たかはし修おさむ 編へん『常陸ひたち平たいら氏し』戎えびす光ひかり祥さち出版しゅっぱん〈中世ちゅうせい関東かんとう武士ぶしの研究けんきゅう；第だい16巻かん〉、2015年ねん6月がつ。ISBN 978-4-86403-167-7。 （初出しょしゅつ:『書しょ陵りょう部ぶ紀要きよう』40号ごう、1988年ねん）
• 崔ちぇ恩おん永ひさし『百済くだら王おう氏しの成立せいりつと動向どうこうに関かんする研究けんきゅう』 滋賀県立大学しがけんりつだいがく〈博士はかせ（人間にんげん文化ぶんか学がく） 甲かぶと第だい99号ごう〉、2017年ねん。doi:10.24795/24201k099。NAID 500001085117。https://doi.org/10.24795/24201k099。 
• 田中たなか史生ふみお「「王おう」姓せい賜たまもの与あずかと日本にっぽん古代こだい国家こっか」『日本にっぽん古代こだい国家こっかの民族みんぞく支配しはいと渡来とらい人じん』校倉あぜくら書房しょぼう〈歴史れきし科学かがく叢書そうしょ〉、1997年ねん8月がつ、40-71頁ぺーじ。ISBN 4751727400。 
• 田中たなか史生ふみお「桓武かんむ朝あさの百済くだら王おう氏し」『日本にっぽん古代こだい国家こっかの民族みんぞく支配しはいと渡来とらい人じん』校倉あぜくら書房しょぼう〈歴史れきし科学かがく叢書そうしょ〉、1997年ねん8月がつ、72-109頁ぺーじ。ISBN 4751727400。 
• 藤本ふじもと孝一こういち「史料しりょう紹介しょうかい　三松みまつ家か系図けいず」『平安へいあん博物館はくぶつかん研究けんきゅう紀要きよう』7輯、古代こだい学がく協会きょうかい、1982年ねん6月がつ、ISSN 0289372X。 
• 間瀬ませ智広ともひろ「「百済くだら王おう」姓せいの成立せいりつと百済くだら王おう氏しの楽らく舞まい奏上そうじょう」『歴史れきし研究けんきゅう』第だい51号ごう、愛知教育大学あいちきょういくだいがく歴史れきし学会がっかい、2005年ねん3月がつ、89-110頁ぺーじ、NAID 40007112754。 

史料しりょう

• 『続ぞく日本にっぽん紀き』

関連かんれん項目こうもく

• 百済くだら郡ぐん
• 百済寺くだらでら

外部がいぶリンク

• 百済くだら王おう氏しの成立せいりつとその変質へんしつ - （学習院大学がくしゅういんだいがく史学しがく会かい）