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磁気じき浮上ふじょう

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ねつ分解ぶんかい炭素たんそ英語えいごばんのシート
ねつ分解ぶんかい炭素たんそ磁気じき浮上ふじょう

磁気じき浮上ふじょう(じきふじょう、えい: Magnetic levitation, maglev, magnetic suspension)は、磁力じりょくのみによって物体ぶったい空中くうちゅう浮揚ふようさせる方法ほうほうす。マグレブとも。重力じゅうりょくこうするちからとして電磁気でんじきりょくもちいられる。

いくつかの場合ばあいには、浮上ふじょうのためのちからとしては磁気じき浮上ふじょうもちいるものの安定あんていのために微小びしょうちからくわえる支持しじ機構きこうもちいられる。これは擬似ぎじ磁気じき浮上ふじょうえい: pseudo-levitation)とばれる。

磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどう磁気じき軸受じくうけ商品しょうひん展示てんじなどにもちいられる。

安定あんていせい

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アーンショーの定理ていりにより、静的せいてき巨視的きょしてき・「古典こてんてき」な電磁場でんじばのみによる安定あんてい浮上ふじょう実現じつげんできないこと証明しょうめいされている。物体ぶったいくわわる重力じゅうりょくせい電場でんじょうせい磁場じばからのちからをどのようにわせても、物体ぶったい位置いち不安定ふあんていとなる。しかし、実用じつようてき浮上ふじょう実現じつげんするための可能かのうせいはいくつかある。たとえば、電気でんき回路かいろによる安定あんていはん磁性じせい利用りようなどである。

方法ほうほう

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磁気じき浮上ふじょうにはいくつかの方法ほうほうがある。磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうもちいられる代表だいひょうてき方法ほうほうは、サーボ安定あんてい電磁でんじ吸引きゅういん支持しじ方式ほうしき電磁でんじ誘導ゆうどう浮上ふじょう支持しじ方式ほうしき、そして(将来しょうらいてきには)インダクトラックである。

束縛そくばく機構きこう擬似ぎじ磁気じき浮上ふじょう

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わずかなかず安定あんていよう機構きこうによって、擬似ぎじ磁気じき浮上ふじょう比較的ひかくてき容易ようい実現じつげんできる。

たとえばいとなどの)1つの鉛直えんちょくじくじょうに2磁石じしゃく束縛そくばくし、たがいにつよ反発はんぱつうようにすると、片方かたがた他方たほううえ浮上ふじょうすることになる。

べつれいとしては、ジッペしき遠心分離機えんしんぶんりきえい: Zippe-type centrifuge)がげられる。これは、磁石じしゃくした磁力じりょくげられた円柱えんちゅうしたからはりじょう軸受じくうけでささえた構造こうぞうとなっている。

はん磁性じせいによる直接ちょくせつ浮上ふじょう

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鉛直えんちょくかれたうち直径ちょっけい 32 mm の Bitter 電磁石でんじしゃくBitter electromagnetない浮上ふじょうするきたカエル磁束じそく密度みつどやく 16 T である。オランダナイメーヘンHigh Field Magnet Laboratory による。動画どうがDirect link to video にある。

はん磁性じせいたい磁場じば反発はんぱつする。どんな物質ぶっしつでもはん磁性じせいゆうしているものの、その効果こうか非常ひじょうよわいため、通常つうじょうはよりつよことなった効果こうかつね磁性じせいつよ磁性じせいによってされる。3種類しゅるい磁性じせいのうちはん磁性じせいもっとつよいものであればなんでも(ちから通常つうじょうそれほどつよくないものの)磁石じしゃく反発はんぱつする。

アーンショーの定理ていりはん磁性じせいたいには適用てきようされない。通常つうじょう磁性じせいとはぎゃく性質せいしつは、とおる磁率 μみゅーrμみゅーr < 1 となっているためにこる。

はん磁性じせいによる浮上ふじょうは、ねつ分解ぶんかい炭素たんそ英語えいごばんビスマス非常ひじょうかる小片しょうへん適度てきどつよ永久えいきゅう磁石じしゃくうえ浮上ふじょうさせるのにもちいることができる。みずはん磁性じせい効果こうかつよいため、同様どうよう方法ほうほう水滴すいてきや、バッタやカエルなどの生物せいぶつきたまま浮上ふじょうさせることさえできる(ちなみにこの実験じっけんは、そのユーモラスさから2000ねんイグノーベルしょう受賞じゅしょうしている)。ただし、そのために必要ひつよう磁場じばつよさは非常ひじょうおおきく、典型てんけいてきには 16 T 程度ていどであり、実験じっけん装置そうちちかくにつよ磁性じせいたいがあるとおおきな問題もんだいこす。

はん磁性じせいによる浮上ふじょうのための条件じょうけん である。ただし、

である。

鉛直えんちょく方向ほうこうけられたつつがた電磁石でんじしゃくによる理想りそうてき場合ばあいかんがえると、

  • みず
  • グラファイト

でそれぞれ浮上ふじょうする。

超電導ちょうでんどうたい

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超電導ちょうでんどうたいマイスナー効果こうかにより「完全かんぜんはん磁性じせいたい」(μみゅーr = 0)をしめし、外部がいぶからの磁場じば完全かんぜん排斥はいせきするため浮上ふじょうする。さらにピン効果こうかによって安定あんてい静止せいしする。この原理げんりは、超電導ちょうでんどう軸受じくうけフライホイールなどに利用りようされる。

超電導ちょうでんどうリニアでは、高速こうそく走行そうこう地震じしんなどがあっても安全あんぜん浮上ふじょうだか軌道きどうとのクリアランスを確保かくほするために、強力きょうりょく磁力じりょく必要ひつようとすることから、超電導ちょうでんどう電磁石でんじしゃく採用さいようしている。マイスナー効果こうかによる浮上ふじょうではない。

はん磁性じせいによる安定あんてい

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永久えいきゅう磁石じしゃくは、強力きょうりょく永久えいきゅう磁石じしゃくつよはん磁性じせいたいとの様々さまざま配置はいち方法ほうほうによって安定あんてい浮上ふじょうさせられる。超電導ちょうでんどう電磁石でんじしゃくもちいる場合ばあい永久えいきゅう磁石じしゃく浮上ふじょう人間にんげんゆび水分すいぶんによるわずかなはん磁性じせいによってさえ安定あんていできる[1]

回転かいてんによる安定あんてい

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環状かんじょう磁石じしゃくがつくるトロイダル磁場じばなか磁石じしゃく回転かいてんさせることでジャイロスコープのように安定あんていさせると反発はんぱつ浮上ふじょうさせることができる。ただし、これはとし周期しゅうきおそくなってある閾値下回したまわるまでのあいだしかつづかず、安定あんてい領域りょういき空間くうかんてきにもとし周期しゅうきめんでも非常ひじょうせまい。この現象げんしょう最初さいしょ発見はっけんしたのはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくバーモントしゅう発明はつめい Roy Harrigan であり、それにもとづいた磁気じき浮上ふじょう装置そうち米国べいこく特許とっきょを1983ねん取得しゅとくしている[2]。このメカニズムにより、回転かいてんによる安定あんていもちいたいくつかの製品せいひん空中くうちゅう浮遊ふゆうする独楽こま玩具おもちゃとして商品しょうひんされたものでは、レビトロンえい: Levitron)やU-CAS(ユーカス)[3]など)がある。大学だいがくとう研究けんきゅう施設しせつけに、一般いっぱんけの商品しょうひんとするには安全あんぜんじょう観点かんてんから強力きょうりょくぎる磁石じしゃくもちいた商用しょうよう装置そうちつくられた。

サーボ機構きこう

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つよさが一定いってい磁石じしゃくによる引力いんりょくは、距離きょりはなれるとよわまりちかづくとつよまる。このようなけいは「不安定ふあんてい」とばれる。安定あんていけいとするには、そのぎゃくに、安定あんていてんからずれるともと位置いちもどそうとするちからはたら必要ひつようがある。

安定あんてい磁気じき浮上ふじょうは、物体ぶったい位置いち速度そくどとをはかり、そのうごきを補正ほせいするようにいくつかの電磁石でんじしゃく調整ちょうせいつづけるようなフィードバック・ループもちいることで実現じつげんされ、したがってサーボ機構きこうによるものとなる。

このたね機構きこうもちいたけいおおくは、重力じゅうりょくさからって磁力じりょく物体ぶったいげる方式ほうしきとすることである程度ていど自然しぜん鉛直えんちょく方向ほうこう安定あんていせいられることを利用りようしている。また、いくつかは磁石じしゃく引力いんりょく斥力せきりょくわせをもちいて物体ぶったいげている。

これは電磁でんじ吸引きゅういん支持しじ方式ほうしきえい: Electromagnetic suspension, EMS)とばれる。

非常ひじょう単純たんじゅんれいとして、磁気じき浮上ふじょう卓上たくじょう披露ひろうするのにこの原理げんりもちいられる場合ばあいがあり、物体ぶったい光線こうせんさえぎることで位置いちはかられる。浮上ふじょうさせられる物体ぶったい上方かみがたかれた電磁石でんじしゃくは、物体ぶったいちかづきすぎるとスイッチがオフになり、落下らっかしてはなぎるとオンにもどる。このよう単純たんじゅんけいはそれほどロバストではなく、はるかに効率こうりつてき制御せいぎょけいにあるものの、基本きほんてき概念がいねん上記じょうきのように説明せつめいされる。

電磁でんじ吸引きゅういん支持しじ方式ほうしき鉄道てつどう車両しゃりょう浮上ふじょうはこのたね方法ほうほうもとづく。車両しゃりょうはレールをつつんでおり、車体しゃたい下部かぶげられる。サーボ制御せいぎょによりレールとの距離きょり安全あんぜん一定いっていたもたれる。

誘導ゆうどう電流でんりゅううず電流でんりゅう

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電磁でんじ誘導ゆうどう浮上ふじょう支持しじ方式ほうしきえい: ElectroDynamic Suspension System, EDS)とばれることもある。

導体どうたい磁石じしゃくとの相対そうたいてき運動うんどう

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どうアルミニウムぎんなどの良導体りょうどうたい磁石じしゃくのそばでうごかすと、磁場じば変化へんかさまた磁石じしゃく反発はんぱつするようなぎゃくきの磁場じばつくきのうず電流でんりゅう導体どうたいないながれる(レンツの法則ほうそく)。うごきが十分じゅうぶんはや場合ばあい保持ほじされた磁石じしゃく導体どうたいうえ浮上ふじょうする。あるいはぎゃく磁石じしゃくうえ導体どうたいかせることもできる。

技術ぎじゅつてきとく興味深きょうみぶかいのは、棒状ぼうじょう永久えいきゅう磁石じしゃく1個いっこわりにハルバッハ配列はいれつえい: Halbach array)をもちいた場合ばあいである。その場合ばあい磁場じばつよさがほぼ2ばいになり、結果けっかとしてうず電流でんりゅうおおきさもほぼ2ばいになり、全体ぜんたいとして浮上ふじょうりょくは3ばいよりもおおきくなる。2つのぎゃくきのハルバッハ配列はいれつもちいると磁場じばさらつよくできる[4]

ハルバッハ配列はいれつジャイロスコープモーター発電はつでん回転かいてんじくにもてきしている。

交流こうりゅう電磁場でんじば

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交流こうりゅう電流でんりゅうながした電磁石でんじしゃくうえ導体どうたいを(または導体どうたいうえ電磁石でんじしゃくを)浮上ふじょうさせることができる。導体どうたいちゅう発生はっせいするうず電流でんりゅうによって通常つうじょうのどんな導体どうたいでもはん磁性じせいたいのように[5][6]うず電流でんりゅうもととなる磁場じば反発はんぱつするような磁場じばつくるため、導体どうたい電磁石でんじしゃく反発はんぱつする。

この効果こうかこるためには、導体どうたいアルミニウムどうなどのつよ磁性じせいでない良導体りょうどうたいである必要ひつようがある。つよ磁性じせいたい電磁石でんじしゃくつよせられ、また抵抗ていこうたかうず電流でんりゅうよわくなる傾向けいこうがある。

この効果こうかは、手品てじなのタネとしてアルミニウムばん仕込しこんだ電話でんわちょう空中くうちゅう浮遊ふゆうさせる仕掛しかけなどに使つかわれることがある。

つよ収斂しゅうれん

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アーンショーの定理ていり厳密げんみつしずか磁場じばにのみ適用てきようされる。交流こうりゅう磁場じばは、純粋じゅんすいきのみの変動へんどうしている場合ばあいでも[7]安定あんていせいもととなるとともに磁場じばちゅうとお経路けいろ限定げんていし、浮上ふじょう効果こうかあたえうる。

この効果こうか粒子りゅうし加速器かそくき荷電かでん粒子りゅうし浮上ふじょうさせめるのに使つかわれる。また、磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうへの応用おうよう提案ていあんされている[7]

難点なんてん

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磁気じき浮上ふじょう技術ぎじゅつ大半たいはんはさまざまな複雑ふくざつ問題もんだいてんかかえている。

  • 能動のうどうてき浮上ふじょう方法ほうほうおおくは安定あんてい領域りょういき非常ひじょうせまい。
  • そもそも磁場じば振動しんどう排除はいじょするようになっていない。このため物体ぶったい安定あんてい領域りょういきからはずれる原因げんいんとなる振動しんどうモードが存在そんざいしうる。うず電流でんりゅう導体どうたい適切てきせつ形状けいじょうであれば安定あんていとなる。また、その機械きかいてき電気でんきてきぼう技術ぎじゅつ使つかわれる場合ばあいもある。
  • 重量じゅうりょうぶつげるには、必要ひつよう磁場じば電磁石でんじしゃくつくるためにだい電力でんりょくだい電流でんりゅう要求ようきゅうされる。
  • 超電導ちょうでんどうごく低温ていおん必要ひつようとし、ヘリウム冷却れいきゃく使つかわれる場合ばあいおおい。

用途ようと

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磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどう磁気じき軸受じくうけとう使用しようされる。一部いちぶのぞいて実用じつようされたれいかぎられている。また、めんふるえ装置そうちとしての研究けんきゅうすすめられている。[8]

利用りようれい

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歴史れきし

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  • 1839ねん アーンショーの定理ていりせい電場でんじょうによる浮上ふじょう不可能ふかのうであると証明しょうめいし、のちしゃによってしずか磁場じばによる浮上ふじょうにもこの定理ていり適用てきよう拡大かくだいされた。
  • 1912ねん エミール・バチェット (えい: Emile Bachelet)は1912ねん3がつ電磁でんじしき浮上ふじょうシステムによる"浮上ふじょうしき輸送ゆそう装置そうち” (特許とっきょ番号ばんごう. 1,020,942)の特許とっきょ取得しゅとくした。
  • 1934ねん ヘルマン・ケンペル (どく: Hermann Kemper)は“車輪しゃりんしきモノレール”の特許とっきょ取得しゅとくした。ドイツ特許とっきょ番号ばんごう 643316
  • 1939ねん Braunbeckたちはん磁性じせいたい磁気じき浮上ふじょう可能かのうであることしめした。
  • 1961ねん ジェームズ・ポーウェルとBNLの同僚どうりょうゴードン・ダンディーちょう伝導でんどう磁石じしゃくによって電磁でんじしき浮上ふじょうおこなった。
  • 1970年代ねんだいにRoy M. Harriganによって 回転かいてん安定あんていしき磁気じき浮上ふじょうHarrigan top)が出来できた。
  • 1974ねん マグネティック・リバーEric Laithwaiteしゃによって開発かいはつされた。
  • 1979ねん トランスラピッド乗客じょうきゃく輸送ゆそうした。
  • 1984ねん 低速ていそく磁気じき浮上ふじょう車両しゃりょうがバーミンガムでEric Laithwaiteしゃによって設置せっちされた。
  • 1999ねん 永久えいきゅう磁石じしゃく使用しようした磁気じき浮上ふじょうであるインダクトラックがゼネラルアトミックしゃによって開発かいはつされた。
  • 2000ねん アンドレ・ガイムきたかえるはん磁性じせいによって浮上ふじょうさせ、イグノーベルしょう受賞じゅしょうした。

関連かんれん項目こうもく

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出典しゅってん

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外部がいぶリンク

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