トランスラピッド

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ドイツのエムスラント実験じっけん施設しせつでのトランスラピッド09
上海しゃんはいのトランスラピッドSMT(フロント)
上海しゃんはいのトランスラピッドSMT(サイド)
上海しゃんはいのトランスラピッドSMT
ティッセンクルップのトランスラピッド05
ボンドイツ博物館はくぶつかんのトランスラピッド06
トランスラピッド06
ミュンヘン空港くうこう展示てんじされているトランスラピッド07

トランスラピッドどく: Transrapid)は、ドイツで開発かいはつされた磁気じき浮上ふじょうしき高速こうそくモノレールである。1969ねん計画けいかく開始かいしされ、1987ねんにはドイツエムスランド試験しけん施設しせつ完成かんせいした。1991ねんには、著名ちょめい大学だいがく協力きょうりょくしたドイツ連邦れんぽう鉄道てつどうにより、実用じつようへの技術ぎじゅつてき準備じゅんびととのったことが承認しょうにんされた[1]

最後さいごのバージョンであるトランスラピッド09は、500km/h(311 mph)の巡航じゅんこう速度そくど設計せっけいされており、やく1 m/s2 (2.24 mph/s)の加速かそく減速げんそく可能かのうである。

2002ねんには、はつ商業しょうぎょう実用じつようである上海しゃんはい高速こうそく交通こうつうもう上海しゃんはい浦東ほとう国際こくさい空港くうこうむすぶ30.5 km (18.95 mi)の「上海しゃんはいトランスラピッド」が完成かんせいした。トランスラピッドシステムは、長距離ちょうきょり都市としあいだ路線ろせんにはまだ導入どうにゅうされていない。

このシステムは、シーメンスティッセンクルップ合弁ごうべん会社かいしゃであるトランスラピッド・インターナショナルが開発かいはつ販売はんばいしている。

2011ねんエムスラントの試験しけん線路せんろはライセンスの期限きげんれにより閉鎖へいさされた。2012ねん初頭しょとうには、工場こうじょうふくむエムスラントの敷地しきち全体ぜんたい解体かいたいえが承認しょうにんされた[2]。2017ねん9がつには、最後さいごのトランスラピッド09をFleischwarenfabrik Kemperの敷地しきちない会議かいぎ博物館はくぶつかんスペースとして使用しようする計画けいかくがあった[3]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

つよ磁性じせいたい永久えいきゅう磁石じしゃく通常つうじょう電磁石でんじしゃくもちいている。液体えきたいヘリウム冷却れいきゃく必要ひつよう[4]ちょう伝導でんどう電磁石でんじしゃくもちいた超電導ちょうでんどうリニア比較ひかくして、ていコストでの導入どうにゅう運用うんよう可能かのうである。また、超電導ちょうでんどうリニアちがい、停止ていし浮上ふじょうしていることから常時じょうじ車輪しゃりん必要ひつようとしない。

浮上ふじょうりょう車両しゃりょうがわコイルと軌道きどうがわあいだで、やく1cm程度ていどである。このため、軌道きどう敷設ふせつ保守ほしゅさいしてこう精度せいど要求ようきゅうされる。また、地震じしん地盤じばん変動へんどうけられない地域ちいきにおいては車両しゃりょう軌道きどう接触せっしょく事故じこ懸念けねんがあり、そのような国土こくど日本にっぽんきゅう国鉄こくてつげんJRではえてなんたか超電導ちょうでんどう利用りようして浮上ふじょうりょうやく10cmを確保かくほできる方式ほうしき研究けんきゅう開発かいはつんだ、という経緯けいいがある。

ドイツ国内こくないにおいては主要しゅよう都市としあいだにおいてすで従来じゅうらいICEによる高速こうそく鉄道てつどうもう整備せいびされつつありトランスラピッドの必要ひつようせい優位ゆういせい年々ねんねんりつつある。そのため高速こうそく鉄道てつどうのインフラストラクチャの整備せいびすすんでいない新興しんこうこくへの輸出ゆしゅつ活路かつろ見出みいだそうとしたが、中国ちゅうごく採用さいようしただけでみは苦戦くせんし、結局けっきょく開発かいはつは2011ねん終了しゅうりょうした[5]

基本きほん原理げんり[編集へんしゅう]

浮上ふじょう[編集へんしゅう]

ガイド下部かぶ設置せっちされた、ステータ(鉄心てっしんコイル)と車両しゃりょうがわ電磁石でんじしゃく同士どうし磁気じき吸引きゅういんりょく利用りようして浮上ふじょうする電磁でんじ吸引きゅういん支持しじ方式ほうしきで、HSST同様どうよう方式ほうしきとなっている。しかし磁気じき浮上ふじょうによる車体しゃたい支持しじ推進すいしん車体しゃたい案内あんない分離ぶんりされているてんことなる。

電磁でんじ吸引きゅういん方式ほうしき停止ていしちゅうでもやく8mm程度ていど磁気じき浮上ふじょうをさせる特徴とくちょうち、走行そうこうちゅうにおいてもこの磁気じき浮上ふじょう間隔かんかくたもつ。そのため、この磁気じき浮上ふじょうたもつためには、センサでガイドがわステータと車体しゃたいがわ電磁石でんじしゃくとのギャップをつね計測けいそくし、電磁石でんじしゃく電流でんりゅう制御せいぎょチョッパ制御せいぎょ)をおこなわなければならない。

案内あんない[編集へんしゅう]

前述ぜんじゅつのように車体しゃたい浮上ふじょう案内あんない分離ぶんりしており、推進すいしん浮上ふじょうとはべつ軌道きどう案内あんないのためのガイドよう電磁石でんじしゃく設置せっちされている。浮上ふじょう同様どうよう軌道きどう車両しゃりょうとのよこ方向ほうこうのギャップをセンサにより測定そくていして、これが一定いっていになるようにガイドよう電磁石でんじしゃく磁力じりょく制御せいぎょしている。

推進すいしん[編集へんしゅう]

リニア同期どうきモータ(リニアシンクロナスモータ)しきによる推進すいしんで、基本きほん原理げんり超電導ちょうでんどうリニアとおなじである。車両しゃりょうがわ電磁石でんじしゃく浮上ふじょうよう電磁石でんじしゃく共通きょうつうになっており、地上ちじょうがわコイル極性きょくせいえにより推進すいしんりょく地上ちじょういちしきである。推進すいしんりょくは、車両しゃりょうがわ電磁石でんじしゃくにより進行しんこう方向ほうこうたいしてしょうじた磁界じかい地上ちじょうがわのコイルにながれる電流でんりゅうとのせき比例ひれいする。また車両しゃりょう速度そくどは、地上ちじょうがわコイルに供給きょうきゅうされる交流こうりゅう電流でんりゅう周波数しゅうはすう比例ひれいする。

磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどう特徴とくちょうひとつでもあるが、トランスラピッドは加速かそく性能せいのうきわめてたかく300 km/hまでの加速かそく必要ひつよう距離きょりが5km(動力どうりょく集中しゅうちゅうしきICEは30km 動力どうりょく分散ぶんさんしきのICE3では加速かそく性能せいのう大幅おおはば改善かいぜんされている)とみじかい。

エネルギー条件じょうけん[編集へんしゅう]

トランスラピッドの通常つうじょう走行そうこうでのエネルギー消費しょうひは1区間くかん推進すいしん浮上ふじょう車両しゃりょう制御せいぎょ50-100 kWである。空気くうき抵抗ていこう係数けいすう英語えいごばん(Cd)はやく0.26である。前面ぜんめん投影とうえい面積めんせきが16m²で時速じそく400km (111 m/s) での走行そうこう必要ひつようなエネルギーは以下いかしきによってみちびされる。:

高速こうそく鉄道てつどう比較ひかくして電力でんりょく消費しょうひ良好りょうこうである。効率こうりつが0.85で必要ひつよう電力でんりょくやく4.2 MW (5,632 hp) である。浮上ふじょう案内あんない必要ひつようなエネルギーはやく1.7 kW/tである。推進すいしん装置そうち同様どうよう制動せいどうとき電力でんりょく電力でんりょくもうもど回生かいせいブレーキ機能きのうそなえる。予備よび電源でんげんによって車両しゃりょう浮上ふじょう維持いじすること出来できない場合ばあい自然しぜん停止ていしするため最終さいしゅう手段しゅだんとして非常時ひじょうじには例外れいがいてき車両しゃりょうしたそなえられた着地ちゃくちそりによって制動せいどうする。

市場いちば生態せいたいけいへの影響えいきょう[編集へんしゅう]

従来じゅうらい鉄道てつどうもう比較ひかくしてトランスラピッドはより高速こうそく摩擦まさつとそれにともな磨耗まもうくし、それにもかかわらずエネルギー消費しょうひ整備せいび必要ひつようせいはよりすくなくすること企図きとしている。トランスラピッドの軌道きどうはより柔軟じゅうなん従来じゅうらい鉄道てつどうシステムよりも地形ちけいへの適合てきごうせいすぐれる。1りょうあたりの積載せきさい重量じゅうりょうは15tで最高さいこう速度そくどは550 km/hで従来じゅうらい高速こうそく鉄道てつどう (200–320 km/h) と航空こうくう輸送ゆそう (720–990 km/h) の中間ちゅうかん位置いちする。磁界じかい発生はっせい装置そうちはシステムの容量ようりょう制限せいげんする軌道きどう重要じゅうよう推進すいしん装置そうち一部いちぶである。

競争きょうそう観点かんてんからトランスラピッドは独自どくじ解決かいけつさくである。軌道きどう推進すいしん装置そうち一部いちぶでトランスラピッドの車両しゃりょう公共こうきょう施設しせつ運行うんこう可能かのうとする唯一ゆいいつ手段しゅだんである。車両しゃりょう複雑ふくざつ分岐ぶんきとう複数ふくすう供給きょうきゅうさき見通みとおしはい。

費用ひよう比較ひかく[編集へんしゅう]

軌道きどう建設けんせつ[編集へんしゅう]

上海しゃんはいトランスラピッドそう建設けんせつ駅舎えきしゃ車両しゃりょうふくめて30.5kmで13.3おくUSドルかかった。複線ふくせんの1kmあたりの建設けんせつ車両しゃりょう駅舎えきしゃふくめて4360まんUSドル/kmである。これは商用しょうようはじめて使用しようされる技術ぎじゅつである。中国ちゅうごく国内こくない量産りょうさんされる従来じゅうらい高速こうそく鉄道てつどう建設けんせつは1kmあたり460~3080まんUSドルで大半たいはん農村のうそんである。(中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく高速こうそく鉄道てつどう参照さんしょう

2008ねん時点じてんトランスラピッドオーストラリアビクトリアしゅうでの複線ふくせん建設けんせつは1kmあたり3400まんドル見積みつもられている[6]。これは軌道きどうの50%が地上ちじょうで50%が高架線こうかせんであると仮定かていしている。2つのえきふくむ47kmのリージョナルレールリンク英語えいごばんのビクトリアしゅうでの建設けんせつ比較ひかくすると50おくごうドルまたは1kmあたり1おく500まんごうドルである。

以上いじょうより特定とくてい用途ようとへのトランスラピッドまたは高速こうそく鉄道てつどう軌道きどうのどちらがやすいかをべること不可能ふかのうである。

費用ひよう比較ひかくにおいて磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどう運行うんこう速度そくどはよりはやいため、結果けっかとしておな車両しゃりょうすうおな距離きょりおな時間じかんない輸送ゆそうできるりょうはよりおおこと特筆とくひつすべきである。特定とくてい計画けいかくにおける費用ひよう比較ひかくにおいてトランスラピッドシステムのきゅう曲線きょくせん通過つうか能力のうりょくきゅう勾配こうばい登坂とさか能力のうりょくおおきな影響えいきょうあたえる可能かのうせいがある。

車両しゃりょう取得しゅとく費用ひよう[編集へんしゅう]

2008ねん時点じてんにおいてオーストラリアビクトリアしゅう政府せいふ見積みつもりは1りょうあたり1650まん近郊きんこうよう)から2000まん高級こうきゅうごうドルである[6]。トランスラピッドの車両しゃりょうはばは3.7mなのでゆか面積めんせきやく92m²で1m²あたり179,000~217,000ごうドルである。

同様どうようシーメンス生産せいさんされるICE比較ひかくすると費用ひようは1りょうあたり600まんごうドルである。ICEの車体しゃたいはばは2.9mなのでゆか面積めんせきは72m²で1m²あたり83,000ごうドルである。

これはトランスラピッドの費用ひよう現時点げんじてんにおいて従来じゅうらいがた高速こうそく鉄道てつどうであるICE3のおよそ2ばい以上いじょうであることをしめしている。しかしながら、UKトランスラピッド英語えいごばんによればトランスラピッドの編成へんせい運行うんこう速度そくど加速かそくはやいので効率こうりつが2ばい以上いじょうである。これらの事例じれい調査ちょうさによると従来じゅうらい高速こうそく鉄道てつどうの44%の車両しゃりょう本数ほんすうおな輸送ゆそうりょうをまかなえるとされる。

運行うんこう費用ひよう[編集へんしゅう]

トランスラピッドは[7]システムの特性とくせいとして接触せっしょくなので摩擦まさつ磨耗まもういので従来じゅうらい高速こうそく鉄道てつどう比較ひかくして整備せいび大幅おおはばすくないと主張しゅちょうする。

車両しゃりょう技術ぎじゅつ[編集へんしゅう]

ブレーキ[編集へんしゅう]

ブレーキは地上ちじょうがわ電磁石でんじしゃくによる回生かいせいブレーキ採用さいようし、しょう電力でんりょくはかっている。緊急きんきゅうようとして車両しゃりょうがわにブレーキようスキッドが用意よういされており、緊急きんきゅうにはスキッドを軌道きどう接地せっちさせて停止ていしする。

しゅうでん[編集へんしゅう]

走行そうこうは、電磁でんじ誘導ゆうどう原理げんり利用りようして車両しゃりょうがわ接触せっしょく給電きゅうでんおこなわれる。車両しゃりょう速度そくどやく100 km/h以上いじょうになると車内しゃない必要ひつようすべての電力でんりょく供給きょうきゅうできる。低速ていそくにはバックアップバッテリーでサポートし、えき停止ていしする場合ばあいには接触せっしょくしゅうでんでバッテリーに充電じゅうでんする仕組しくみになっている。

その[編集へんしゅう]

後述こうじゅつする位置いち検知けんちのためにミリによるデータ伝送でんそうのためのアンテナ車両しゃりょう先頭せんとう屋根やねけられている。

地上ちじょう設備せつび[編集へんしゅう]

軌道きどう[編集へんしゅう]

Tがた断面だんめんをした変形へんけいモノレールを採用さいようしている。T丁度ちょうど軒下のきした部分ぶぶんにマグネットを設置せっち。これにより風雨ふううなどの周囲しゅうい環境かんきょうからの影響えいきょう最小限さいしょうげんおさえる工夫くふうがなされている。また、ガイドようとしてガイド側面そくめん鉄製てつせいのガイドレールが設置せっちされている。

位置いち検知けんち[編集へんしゅう]

位置いち検知けんちINKREFAというシステムめい付与ふよしている。地上ちじょういちのリニア同期どうきモータ制御せいぎょのため、正確せいかく車両しゃりょう位置いち地上ちじょうがわ装置そうち検出けんしゅつする必要ひつようがあり、位置いち検知けんちには非常ひじょうたか精度せいど(モータコイルのきょくピッチ相当そうとう精度せいど)がもとめられる。トランスラピッドでは、軌道きどうがわけられた位置いち基準きじゅん突起とっきばん車両しゃりょうがわのセンサが検知けんち突起とっきばん基準きじゅんとして磁束じそく変化へんか観測かんそくして絶対ぜったい位置いち検知けんちおこなっている。車両しゃりょうがわ検知けんちした位置いちデータは車両しゃりょうけられているアンテナをかいして無線むせん(ミリ)で地上ちじょう設備せつび送信そうしんしている。

環境かんきょう人体じんたいへの影響えいきょう[編集へんしゅう]

騒音そうおんは、400 km/h運転うんてんでも89 dBでしべる程度ていどで、300 km/h運転うんてんTGV (92 dBでしべる) よりひくいとしている。

磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうでは磁力じりょくせん影響えいきょう人体じんたいあたえることが懸念けねんされているが、トランスラピッドが外部がいぶ放出ほうしゅつする磁力じりょくせんは100μみゅーTesla程度ていどブラウン管ぶらうんかんテレビの1/5程度ていど)と説明せつめいされている。

開発かいはつ組織そしき[編集へんしゅう]

現在げんざいは、ドイツ政府せいふドイツ鉄道てつどうシーメンスティッセンクルップ官民かんみん出資しゅっししたトランスラピッド・インターナショナルが開発かいはつ主体しゅたいである。もとは、モノレールられるALWEGしゃ研究けんきゅうしていたもので[8]、1969ねんきゅう西にしドイツ政府せいふじゅう機械きかいメーカー、クラウス=マッファイしゃ委託いたくして開発かいはつはじまった。

実験じっけん車両しゃりょう[編集へんしゅう]

TR-05[編集へんしゅう]

  • 車両しゃりょうながさ - 26m
  • 車両しゃりょう重量じゅうりょう - 30.8t
  • 座席ざせきすう - 68せき
  • 編成へんせい - 1りょう

TR-06[編集へんしゅう]

  • 設計せっけい最高さいこう速度そくど - 400 km/h
  • 車両しゃりょうだか - 4.2m
  • ながさ×はば - 27m
  • はば - 3.7m
  • 車両しゃりょう重量じゅうりょう - 51.2t
  • 編成へんせい - 2りょう
  • 座席ざせき - 96せき x 2りょう

TR-07[編集へんしゅう]

  • 設計せっけい最高さいこう速度そくど - 500 km/h
  • 車両しゃりょうだか - 4.08m
  • 車両しゃりょうながさ - 25.5m
  • はば - 3.7m
  • 車両しゃりょう重量じゅうりょう - 46t
  • 編成へんせい - 2りょう
  • 座席ざせき - 100せき x 2りょう

TR-08[編集へんしゅう]

  • 設計せっけい最高さいこう速度そくど - 500 km/h
  • 車両しゃりょうだか - 4.2m
  • はば - 3.7m
  • 編成へんせい - 15りょう

TR-09[編集へんしゅう]

2007ねん9がつ一般いっぱん公開こうかいされた。

  • 設計せっけい最高さいこう速度そくど - 505 km/h(営業えいぎょう最高さいこう速度そくど350 km/h)
  • 車両しゃりょうだか - 4.25m
  • 車両しゃりょうながさ - 25m(3りょうで25.8m)
  • 編成へんせい - 3りょう - 5りょう
  • 座席ざせき - 222にん
  • 座席ざせき - 全体ぜんたいでは412にん輸送ゆそう可能かのう

歴史れきし[編集へんしゅう]

1922ねんにドイツの磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうちちばれるヘルマン・ケンペル磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどう研究けんきゅうはじめる。1934ねんにケンペルは磁気じき浮上ふじょう鉄道てつどう基本きほん特許とっきょ (DPR 643 316) をドイツで取得しゅとく

研究けんきゅう本格ほんかくしたのは1960年代ねんだいはいってからで、西にしドイツ当時とうじ)は国家こっかてき支援しえん積極せっきょくてきおこなう。メッサーシュミット・ベルコウ・ブローム (MBB) しゃ1966ねんから本格ほんかくてき研究けんきゅうはじめ、1971ねんPrinzipfahrzeugくるまじょういちリニア誘導ゆうどうモータ)が90 km/hの記録きろくをつくる。また、1975ねんCometが14mmの電磁でんじ吸引きゅういん浮上ふじょう水蒸気すいじょうきロケット推進すいしんながら401.3 km/hの記録きろくをマークした。またシーメンスしゃ中心ちゅうしんとして超電導ちょうでんどうによる電磁でんじ誘導ゆうどうしき浮上ふじょうEET-01を1974ねんに280mの円形えんけい軌道きどうで230 km/hまで走行そうこう確認かくにんおこなわれた。

1969ねん、TR・プロジェクトは西にしドイツ研究けんきゅう技術ぎじゅつしょうからクラウス=マッファイしゃ委託いたくされるかたち研究けんきゅう開発かいはつ開始かいし試作しさくのTR-02号機ごうきが1971ねんに164 km/hでの走行そうこう成功せいこうした。

西にしドイツ政府せいふはそれまでTSSTM-Bahn、EET、COMETなどバラバラにおこなわれていた磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうのプロジェクトの一本いっぽんをはかり、1978ねんにトランスラピッドを中心ちゅうしんとした高速こうそく輸送ゆそう技術ぎじゅつ開発かいはつプロジェクトへと集約しゅうやくされる。

1979ねんに、西にしドイツのハンブルク開催かいさいされた国際こくさい交通こうつう博覧はくらんかい (IVA79) でTR-05による一般いっぱん試乗しじょうおこなわれる。3週間しゅうかん会期かいきちゅう、50,000にん以上いじょう乗客じょうきゃく輸送ゆそうした実績じっせきつくった。

1980ねんからエムスランド実験じっけんせん建設けんせつはじまり、1983ねん完成かんせい。TR-06による走行そうこう試験しけんはじまる。1988ねんにはTR-06を使用しよう有人ゆうじんで412.6 km/hを達成たっせい当時とうじ世界せかい最高さいこう)。

1988ねん、ハンブルクでおこなわれた国際こくさい交通こうつう博覧はくらんかい (IVA88) でTR-07を公開こうかい1989ねん12月15にち、エムスランドでTR-07により436 km/hを達成たっせい1993ねんに450 km/hを達成たっせい

2000ねん6がつ上海しゃんはい浦東ほとう国際こくさい空港くうこうのアクセス鉄道てつどうとしてトランスラピッドの採用さいよう決定けってい2003ねん12月磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうとしては世界せかいで3番目ばんめ営業えいぎょう運転うんてんはじめる。

2006ねん9月22にちに、エムスランド実験じっけんせんラーテンえき近郊きんこうにて、試運転しうんてんちゅうのトランスラピッドが工事こうじよう車両しゃりょう衝突しょうとつ詳細しょうさい後述こうじゅつ世界せかい磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうで、はじめて死傷ししょうしゃしただい事故じこである。

2008ねん3月27にち、ドイツのティーフェンゼー運輸うんゆ建設けんせつしょう事業じぎょう大幅おおはば増大ぞうだい理由りゆうにトランスラピット路線ろせん建設けんせつ断念だんねんすると発表はっぴょう

2011ねん、トランスラピッドの開発かいはつ終了しゅうりょう実験じっけんせん2014ねんこわされることになった[5]

火災かさい[編集へんしゅう]

2006ねん8がつ11にち午後ごご220ふんごろ上海しゃんはいトランスラピッドで走行そうこうちゅう車両しゃりょうから火災かさい発生はっせいした。りゅうようえき乗客じょうきゃく全員ぜんいんろしたのち車両しゃりょうえきから移動いどうさせて消火しょうかにあたった。この火災かさい乗客じょうきゃく被害ひがいはなかった。

事故じこ[編集へんしゅう]

2006ねん9月22にち日本にっぽん時刻じこく午後ごご5ごろ)、エムスランド実験じっけんせんラーテンえき近郊きんこうにて、試運転しうんてんちゅうのトランスラピッドが、時速じそく200 km/h前後ぜんご推定すいていされる速度そくど工事こうじよう車両しゃりょう衝突しょうとつ作業さぎょういん2にんと、トランスラピッドに乗車じょうしゃしていた見学けんがくしゃらがまれ、うち23にん死亡しぼう、11にん重傷じゅうしょう。リニアモーターカーとしてははじめて死傷ししょうしゃしただい事故じこである。原因げんいんは、人為じんいてきなものと推測すいそくされている。

上海しゃんはいトランスラピッド[編集へんしゅう]

実用じつよう計画けいかく[編集へんしゅう]

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく[編集へんしゅう]

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく全土ぜんど敷設ふせつ予定よてい高速こうそく鉄道てつどう規格きかくとして検討けんとうされているが、2006ねん現在げんざい技術ぎじゅつ移転いてん特許とっきょ問題もんだいでドイツがわ消極しょうきょくてき態度たいどをとりつづけている[9]

ドイツ[編集へんしゅう]

1990年代ねんだいなかばには、ハンブルク - ベルリンあいだ292kmをむす計画けいかくがあった。1998ねん成立せいりつした連立れんりつ政権せいけんはこの計画けいかく建設けんせつ着工ちゃっこう公約こうやくとしてかかげ、2004ねんころ開通かいつう目指めざすとしていたが、2000ねん5月予算よさんのめどがたず中止ちゅうしとなった。

こののちミュンヘン国際こくさい空港くうこう - ミュンヘン中央ちゅうおうえきまでの37.4kmを営業えいぎょう最高さいこう速度そくど300 km/h、所要しょよう時間じかんやく10ふんむすぶことが計画けいかくされ、2007ねん9がつ24にちには2014ねん営業えいぎょう開始かいし目指めざしてバイエルンしゅう政府せいふいち建設けんせつ正式せいしき決定けっていした。しかし2008ねん3がつ27にち建設けんせつ当初とうしょの1.5ばいふくがることなどを理由りゆうに、ふたたび建設けんせつ断念だんねんすることとなった[10]

ヨーロッパ[編集へんしゅう]

イギリス政府せいふによるロンドン - グラスゴーあいだを500 km/h[11]バーミンガムリバプール/マンチェスターリーズティーズサイドニューカッスルエジンバラ経由けいゆする計画けいかくがあったが2007ねん7がつ却下きゃっかされた[12]UK Ultraspeed参照さんしょう)。ほかにもオランダ国内こくないでの計画けいかく、およびベルリンとひがしヨーロッパしょ都市としむす計画けいかく存在そんざいする。

スイスでもベルン - チューリッヒあいだローザンヌ - ジュネーブあいだ検討けんとうされている[13][14]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[編集へんしゅう]

アメリカ政府せいふボストン - ニューヨーク - ワシントンロサンゼルス - ラスベガスなどの鉄道てつどう区間くかん磁気じき浮上ふじょう鉄道てつどうえる計画けいかくMDP[15]発表はっぴょう。ドイツはこのプロジェクトにトランスラピッドをんでいる[16]

イラン[編集へんしゅう]

2007ねんにイランとドイツの企業きぎょうテヘラン - マシュハドあいだをトランスラピッドでむす計画けいかく合意ごういした。マシュハド国際こくさい見本市みほんいち会場かいじょう期間きかんちゅうにイラン道路どうろ交通省こうつうしょうとドイツの企業きぎょうあいだ合意ごうい文書ぶんしょ調印ちょういんされた。磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうはテヘラン - マシュハドあいだの900kmの所要しょよう時間じかんやく2.5あいだ短縮たんしゅくする[17]。ミュンヘンを拠点きょてんとするSchlegelコンサルティングエンジニアはかれらはイラン交通省こうつうしょうとマシュハドの知事ちじ契約けいやく調印ちょういんし"我々われわれ準備じゅんび段階だんかいにある。"とべた[18]

その計画けいかく[編集へんしゅう]

アラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽうでも検討けんとうされている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ magermunson (2011ねん1がつ17にち). “Der Transrapid - Werbefilm ThyssenKrupp”. 2018ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  2. ^ Transrapid-Teststrecke vor dem Abriss, NDR (in German)”. 2020ねん12月1にち閲覧えつらん
  3. ^ Ende einer Legende: Transrapid 09: «Nächster Haltepunkt, Nortrup Endstation»” (ドイツ) (2017ねん9がつ14にち). 2018ねん5がつ29にち閲覧えつらん
  4. ^ 液体えきたいヘリウムもちいない比較的ひかくてき安価あんか冷却れいきゃく方式ほうしきによるちょう伝導でんどう磁石じしゃく開発かいはつすすめられている。詳細しょうさいちょう伝導でんどう電磁石でんじしゃく参照さんしょう
  5. ^ a b (リニア インパクト)コスト膨張ぼうちょうどく挫折ざせつ - 朝日新聞あさひしんぶん、2014ねん1がつ6にち
  6. ^ a b Transrapid quote to Victorian Government[リンク]
  7. ^ Transrapid Website - Economic Efficiency
  8. ^ 佐藤さとう信之のぶゆき『モノレールとしん交通こうつうシステム』グランプリ出版しゅっぱん、2004ねん、18ぺーじISBN 4-87687-266-X 
  9. ^ Maas, Harald (2008ねん1がつ2にち). “Schanghai stutzt den Transrapid” (German). Tagesspiegel. http://www.tagesspiegel.de/wirtschaft/Transrapid-China;art271,2448347 2008ねん3がつ27にち閲覧えつらん 
  10. ^ ドイツ 政治せいじ動向どうこう”. JETRO 日本にっぽん貿易ぼうえき振興しんこう機構きこう (2008ねん11月13にち). 2009ねん2がつ24にち閲覧えつらん
  11. ^ Clark, Andrew (2005ねん6がつ6にち). “China's 270mph flying train could run on London to Glasgow route if plan takes off”. The Guardian. http://www.guardian.co.uk/uk/2005/jun/06/communities.china 2008ねん12月26にち閲覧えつらん 
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  15. ^ えい: Maglev deployment program
  16. ^ Dawn of a new transportation era”. Transrapid International-USA. 2008ねん3がつ27にち閲覧えつらん
  17. ^ アーカイブされたコピー”. 2011ねん5がつ21にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん9がつ29にち閲覧えつらん
  18. ^ UPDATE 2-ThyssenKrupp, Siemens unaware of Iran train deal

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

リニアモータ方式ほうしき磁気じき浮上ふじょう方式ほうしき 電磁でんじ吸引きゅういん方式ほうしき 電磁でんじ誘導ゆうどう方式ほうしき
支持しじ案内あんない分離ぶんりしき 支持しじ案内あんない兼用けんようしき
地上ちじょういちリニア同期どうきモータ トランスラピッド(TR-05〜、ドイツ)
M-Bahn(きゅう西にしドイツ)
CM1(中国ちゅうごく)
  超電導ちょうでんどうリニア(日本にっぽん)
EET(きゅう西にしドイツ)
MAGLEV 2000(アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく)
くるまじょういちリニア誘導ゆうどうモータ KOMET(きゅう西にしドイツ)
EML(日本にっぽん)
HSST(日本にっぽん)
バーミンガムピープルムーバ(イギリス)
トランスラピッド(TR-02・TR-04、きゅう西にしドイツ)
トランスアーバン(きゅう西にしドイツ)
ROMAG(アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく)
 
推進すいしん方式ほうしき未定みてい
(リニアモータも可能かのう)
インダクトラック(アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく)