エクスプレスウエスト

エクスプレスウエスト（XpressWest）はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのカリフォルニア州しゅうヴィクターヴィルとネバダ州しゅうラスベガス間あいだに、民間みんかん資本しほんによって提案ていあんされている高速こうそく鉄道てつどう計画けいかくの名称めいしょう。旧称きゅうしょうはデザートエクスプレス（DesertXpress）。デザートエクスプレス計画けいかくのうち、具体ぐたい的てき工事こうじ計画けいかく部分ぶぶんの区間くかんを指さす。2012年ねん6月がつ、計画けいかく会社かいしゃはカリフォルニア州しゅう起点きてんをヴィクターヴィルからカリフォルニア州しゅうパームデールに変更へんこうし、さらにパームデールにてメトロリンクに接続せつぞくする計画けいかくに改あらためた。 2020年ねん9月がつ、名称めいしょうをブライトラインウェスト(Brightline West)に変更へんこうした。 2023年ねん現在げんざいは計画けいかくルートも変更へんこうになりラスベガスからビクター・バレーを経由けいゆしランチョクカモンガをカリフォルニア州しゅう起点きてんに改あらためた。

ラスベガス駅えきからロサンゼルス近郊きんこうに位置いちするランチョクカモンガ（Rancho Cucamonga）駅えきまでの区間くかんの総そう延長えんちょうは218マイル（約やく350km）で、途中とちゅう駅えきとしてビクターバレー（Victor Valley）とヘスペリア（Hesperia）の２駅えきも整備せいびされる。また、同どう区間くかんの所要しょよう時間じかんはおよそ２時じ間あいだとなる予定よていで、大だい部分ぶぶんが州しゅう間あいだ高速こうそく道路どうろ15号線ごうせん（Interstate 15: I-15）の上下じょうげ線せんの間あいだの空間くうかんを活用かつようして整備せいびされる。なお、南みなみカリフォルニア側がわの起点きてん駅えきとなるランチョクカモンガ駅えきでは、ロサンゼルス都市とし圏けんの通勤つうきん鉄道てつどうメトロリンク（Metrolink）のサンバーナーディーノ線せんの列車れっしゃとスムーズに接続せつぞく可能かのうとなる予定よていで、ロサンゼルス中心ちゅうしん部ぶなどへの鉄道てつどうアクセスも確保かくほされる。

名称めいしょう

デザートエクスプレスおよびカリフォルニア高速こうそく鉄道てつどうの計画けいかく路線ろせん図ず

デザートエクスプレスは社名しゃめいをエクスプレスウエストに変更へんこうした。その後ご、建設けんせつ資金しきんとして合衆国がっしゅうこく政府せいふからのローンを申請しんせいしたが「バイ・アメリカン条項じょうこう」を満みたしていないとして却下きゃっかされた。

概要がいよう

ラスベガスやその周辺しゅうへん地域ちいきは人口じんこうが激増げきぞうしており、ラスベガスと、ロサンゼルスをはじめとする南みなみカリフォルニア地域ちいきとを結むすぶ州しゅう間あいだ高速こうそく道路どうろ15号線ごうせんの混雑こんざつが増ましているため、代替だいたい交通こうつう手段しゅだんとして提案ていあんされた。

2015年ねん9月時点じてんでは、中国ちゅうごくとの合弁ごうべん企業きぎょうは2016年ねん9月着工ちゃっこうを目指めざしていた。

鉄道てつどうは鉄輪てつりん式しきで、欧州おうしゅうで実用じつよう化かされている動力どうりょく分散ぶんさん型がたの電車でんしゃ車両しゃりょうを用もちいるとしており、カリフォルニア州しゅうヴィクターヴィルからネバダ州しゅうラスベガスまでの180マイル（約やく290km）を、最高さいこう時速じそく150マイル（約やく241km）で1時じ間あいだ20分ふんで結むすぶ。2015年ねんまでに年間ねんかん1,000万まん人にん，2030年ねんまでに年間ねんかん1,600万まん人にんを輸送ゆそうすることを計画けいかくしている。建設けんせつ費ひとして35〜40億おくドルを見込みこむ。

2024年ねん現在げんざいの計画けいかくでは、最高さいこう速度そくど200mph（320km/h）で走行そうこう可能かのうな高速こうそく鉄道てつどう専用せんよう線せんとして整備せいびされる予定よていで、夏季かきオリンピック・ロサンゼルス大会たいかいが開催かいさいされる2028年ねん頃ごろの完成かんせいを目指めざして工事こうじが進すすめられる予定よてい。同どう区間くかんの建設けんせつ費用ひようは、約やく120億おくドル（１兆ちょう8,600億おく円えん）とされており、このうち30億おくドルについては2021年ねんに成立せいりつしたインフラ投資とうし・雇用法こようほうからの補助ほじょ金きんが割わり当あてられることが決きまっているほか、残のこりの費用ひようについては民間みんかん資金しきんなどが活用かつようされる予定よていとなっている。

また、将来しょうらい的てきにアリゾナ州しゅうフェニックス、ユタ州しゅうソルトレイクシティ、コロラド州しゅうデンバーへの延伸えんしんも検討けんとうされている。

競合きょうごうする計画けいかく

カリフォルニア州しゅうアナハイムからネバダ州しゅうラスベガスまでを磁気じき浮上ふじょう式しき鉄道てつどうで結むすぶ別べつの計画けいかくもあるが、コスト面めんで鉄てつ軌道きどう式しきが有利ゆうりとしている。将来しょうらいは計画けいかく中ちゅうのカリフォルニア高速こうそく鉄道てつどうに接続せつぞくすることが提案ていあんされている。

ラスベガスには1997年ねんまでアムトラックがデザート・ウィンドという列車れっしゃを走はしらせていたが、2009年ねん現在げんざい、ラスベガスに行いくことのできる旅客りょかく列車れっしゃは存在そんざいしない。 2014年ねんを目標もくひょうにロサンゼルスとラスベガス間あいだでLas Vegas Railway Express社しゃが豪華ごうか旅客りょかく列車れっしゃを走はしらせる計画けいかくがある。

米べい中ちゅう合弁ごうべんによる建設けんせつ計画けいかくと合弁ごうべん解消かいしょう

2015年ねん9月、エクスプレスウエスト社しゃは中国ちゅうごく鉄路てつろ総そう公司こうしが率ひきいる中国ちゅうごくのコンソーシアムと合弁ごうべん事業じぎょう会社かいしゃを設立せつりつすることで合意ごういした。 初期しょき投資とうし1億おくドル、総そう投資とうし額がくは127億おくドル、2016年ねん9月がつに着工ちゃっこうする予定よていとなっていた 。ロサンゼルス - ラスベガス間あいだを結むすぶ高速こうそく鉄道てつどうの建設けんせつには50億おくドル超ちょうの費用ひようがかかるが、ヴィクターヴィル - ラスベガス間あいだの1億おくドルの路線ろせん建設けんせつ費用ひように関かんしては、中国ちゅうごく国営こくえいの鉄道てつどう会社かいしゃとなるChina Railwayからの出資しゅっしによって賄まかない、残額ざんがくに関かんしては連邦れんぽう政府せいふによる公共こうきょう投資とうし向むけ融資ゆうしに頼たよるとしており、実現じつげんすればアメリカ初はつの高速こうそく鉄道てつどうとなるはずだった。

ところが、2016年ねん6月8日にち、エクスプレスウエスト社しゃは、西部せいぶ・ロサンゼルス - ラスベガス間あいだの高速こうそく鉄道てつどう建設けんせつについて、中国ちゅうごく企業きぎょうとの合弁ごうべんを解消かいしょうし別べつの協力きょうりょく相手あいてを探さがすと発表はっぴょうを行おこなっている。エクスプレス社しゃは中国ちゅうごく企業きぎょう側がわの計画けいかくの遅おくれが、合弁ごうべん解消かいしょうの主しゅたる理由りゆうだと説明せつめいしている。また現地げんち紙しは要因よういんとして、開発かいはつ認可にんか取得しゅとくの遅おくれや、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう政府せいふが求もとめる要件ようけんとして「高速こうそく鉄道てつどうはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく国内こくないで製造せいぞうされなくてはならない」とされている点てんにふれており、エクスプレスウェスト社しゃも発表はっぴょうしたステートメントの中なかで「高速こうそく鉄道てつどう車両しゃりょうがアメリカ国内こくないで一切いっさい造つくられていないことは誰だれもが知しっている」と述のべていることを指摘してきしている。

米べい中ちゅうの合弁ごうべんは、合意ごういから1年ねんも経たたないうちに計画けいかく頓挫とんざという形かたちに終おわった。合弁ごうべん解消かいしょうにあたりトニー・マーネルCEOは「他社たしゃとの提携ていけいや選択肢せんたくしを模索もさくしている」と述のべている。

ブライトラインによる経営けいえい権けんの取得しゅとく

2018年ねん9月、フロリダ州しゅうで旅客りょかく鉄道てつどうを運行うんこうするブライトラインはエクスプレスウエスト社しゃの経営けいえい権けんを取得しゅとくし着工ちゃっこう、建設けんせつすると発表はっぴょうした。2019年ねん着工ちゃっこう、2022年ねん開業かいぎょうの予定よていであったが、 着工ちゃっこうは遅おくれ2024年ねん前半ぜんはんに着工ちゃっこう、2028年ねんの開業かいぎょう予定よていである 。 2024年ねん4月がつ22日にちに着工ちゃっこうした 。連邦れんぽう政府せいふから30億おくドルの補助ほじょ金きんの支給しきゅうを受うける。 ブライトライン・ウェストは全線ぜんせん電化でんか路線ろせんとして建設けんせつされる予定よていで、車両しゃりょうはシーメンスのヴェラロが導入どうにゅうされる 。 ブライトラインウェストは2024年ねん5月がつ1日にち、導入どうにゅうする車両しゃりょうの製造せいぞうメーカーについて、ドイツの車両しゃりょうメーカー「シーメンス・モビリティ（Siemens Mobility）」を優先ゆうせん交渉こうしょう者しゃにすると発表はっぴょうした。ブライトラインは、欧州おうしゅうの高速こうそく鉄道てつどうなどで幅広はばひろく採用さいようされているヴェラロ（Velaro）シリーズの次世代じせだい型がたモデル「ヴェラロ・ノボ（Velaro Novo）」を北米ほくべい仕様しようにした車両しゃりょう「アメリカン・パイオニア２２０（American Pioneer 220: AP220）」を導入どうにゅうする計画けいかくで、今後こんご、車両しゃりょう製造せいぞうおよび30年間ねんかんの車両しゃりょうメンテナンスなどを含ふくむ契約けいやくをシーメンスと締結ていけつする予定よていである 。

関連かんれん項目こうもく

• 最初さいしょの大陸たいりく横断おうだん鉄道てつどう
• カリフォルニア高速こうそく鉄道てつどう
• メトロリンク (南みなみカリフォルニア)
• バイ・アメリカン条項じょうこう（英語えいご）

外部がいぶリンク

• Brightline West - 公式こうしきサイト（英語えいご）