下久保しもくぼダム

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神流湖かんなこから転送てんそう
下久保しもくぼダム

下久保ダム

地図
所在地しょざいち 左岸さがん:群馬ぐんまけん藤岡ふじおか保美濃山ほみのやま
右岸うがん:埼玉さいたまけん児玉こだまぐん神川かみかわまち矢納やのう
位置いち 北緯ほくい3607ふん57びょう 東経とうけい13901ふん21びょう / 北緯ほくい36.13250 東経とうけい139.02250 / 36.13250; 139.02250 (下久保しもくぼダム)座標ざひょう: 北緯ほくい3607ふん57びょう 東経とうけい13901ふん21びょう / 北緯ほくい36.13250 東経とうけい139.02250 / 36.13250; 139.02250 (下久保しもくぼダム)
河川かせん 利根川とねがわ水系すいけい神流川かんながわ
ダムみずうみ 神流湖かんなこ
ダムみずうみひゃくせん
ダムしょもと
ダム型式けいしき 重力じゅうりょくしきコンクリートダム
つつみだか 129.0 m
つつみいただきちょう 605.0 m
つつみ体積たいせき 1,345,000
流域りゅういき面積めんせき 322.9 km²
たたえ水面すいめんせき 327.0 ha
そう貯水ちょすい容量ようりょう 130,000,000 m³
有効ゆうこう貯水ちょすい容量ようりょう 120,000,000 m³
利用りよう目的もくてき 洪水こうずい調節ちょうせつ特定とくてい利水りすい
かんがい上水道じょうすいどう
工業こうぎょう用水ようすい発電はつでん
事業じぎょう主体しゅたい みず資源しげん機構きこう
電気でんき事業じぎょうしゃ 群馬ぐんまけん企業きぎょうきょく
発電はつでんしょめい
認可にんか出力しゅつりょく
下久保しもくぼ発電はつでんしょ
(15,000kW
下久保しもくぼだい発電はつでんしょ
(270kW)
施工しこう業者ぎょうしゃ 熊谷組くまがいぐみあいだぐみ
着手ちゃくしゅねん/竣工しゅんこうねん 1959ねん/1968ねん
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下久保しもくぼダム(しもくぼダム)は、群馬ぐんまけん藤岡ふじおか埼玉さいたまけん児玉こだまぐん神川かみかわまちにまたがる、一級いっきゅう河川かせん利根川とねがわ水系すいけい神流川かんながわ(かんながわ)に建設けんせつされたダムである。

独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじんみず資源しげん機構きこう管理かんりする多目的たもくてきダムで、つつみだか129.0m重力じゅうりょくしきコンクリートダム首都しゅとけんみずがめである利根川とねがわ上流じょうりゅうダムぐんひとつであり、規模きぼとしては矢木やぎさわダム利根川とねがわ)にだい規模きぼなダムである。また、烏川からすかわ流域りゅういきのダムぐんなかではもっと規模きぼおおきい。ダムみずうみ河川かせんめいって「神流湖かんなこ」(かんなこ)と命名めいめいされ、2005ねん平成へいせい17ねん)に当時とうじ鬼石おにしまち推薦すいせんによって財団ざいだん法人ほうじんダム水源すいげん環境かんきょう整備せいびセンター選定せんていする「ダムみずうみひゃくせん」にえらばれている。

地理ちり[編集へんしゅう]

神流川かんながわ群馬ぐんま県内けんないにおける利根川とねがわ主要しゅよう支流しりゅうである烏川からすがわみぎささえかわである。群馬ぐんまけん埼玉さいたまけん長野ながのけんさかいにある三国山さんごくやま水源すいげんとし、日本航空にほんこうくう123便びん墜落ついらく事故じこ現場げんばである御巣鷹おすたか尾根おね付近ふきんながれ、上野うえのダムぎてきたながれ、多野たのぐん上野うえのむら楢原ならはらひがしきをえる。その国道こくどう462ごう並行へいこうしてひがしながれ、藤岡ふじおかはいると群馬ぐんま埼玉さいたまりょうけん境界きょうかいせんとなり下久保しもくぼダム・さんせきかい通過つうか再度さいどきたながれえる。藤岡ふじおか通過つうか関越かんえつ自動車じどうしゃどう神流川かんながわきょうえるとただちに烏川からすかわ合流ごうりゅうし、利根川とねがわそそぐ。りゅう延長えんちょうやく87.4km流域りゅういき面積めんせきやく407km2河川かせんであり、ながさだけでいえば烏川からすがわよりもながい。

ダムは神流川かんながわ中流ちゅうりゅう藤岡ふじおか神川かみかわまちさかい建設けんせつされた。名称めいしょう建設けんせつされた場所ばしょ由来ゆらいする。なお、ダム完成かんせい当時とうじ所在しょざい自治体じちたい多野たのぐん鬼石おにしまち児玉こだまぐん神泉しんせんむらであったが、平成へいせいだい合併がっぺいによっておのおの藤岡ふじおか神川かみかわまちになっている。また人造湖じんぞうこである神流湖かんなこ一部いちぶは、秩父ちちぶにもかっている。

沿革えんかく[編集へんしゅう]

1947ねん昭和しょうわ22ねんカスリーン台風たいふう襲来しゅうらいだい打撃だげきこうむった利根川とねがわ流域りゅういき根本こんぽんてき治水ちすい対策たいさくもとめられるようになった経済けいざい安定あんてい本部ほんぶ1949ねん昭和しょうわ24ねん)に利根川とねがわはじ全国ぜんこく主要しゅよう10水系すいけい対象たいしょうに「河川かせん改訂かいてい改修かいしゅう計画けいかく」を策定さくていした。利根川とねがわについては「利根川とねがわ改訂かいてい改修かいしゅう計画けいかく」を策定さくてい、これに沿って建設省けんせつしょう関東かんとう地方ちほう建設けんせつきょくげん国土こくど交通省こうつうしょう関東かんとう地方ちほう整備せいびきょく)は利根川とねがわ水系すいけいきゅう多目的たもくてきダムを建設けんせつして利根川とねがわ総合そうごうてき治水ちすいはかろうとした。

烏川からすがわ高崎たかさき藤岡ふじおかなど群馬ぐんまけん西部せいぶ西にしばれる)を網羅もうらする利根川とねがわ水系すいけい主要しゅよう支流しりゅうであり、流域りゅういき面積めんせき群馬ぐんま県内けんない利根川とねがわ水系すいけいでは屈指くっしであったため利根川とねがわ治水ちすい対策たいさくあたえる影響えいきょうおおきく、河川かせん整備せいび必須ひっすであった。建設省けんせつしょう烏川からすかわ流域りゅういき流域りゅういき面積めんせきひろ神流川かんながわ着目ちゃくもく当時とうじ多野たのぐん鬼石おにしまち坂原さかはらげん藤岡ふじおか坂原さかはら)に「坂原さかはらダム」を建設けんせつして治水ちすいおこなおうとした。たかさ120.0m、そう貯水ちょすい容量ようりょうやく2,200まんトンという規模きぼのものであった。だが「坂原さかはらダム」は調査ちょうさおこなっただけにわり、そのよりいダム地点ちてん検索けんさくおこなった。「坂原さかはらダム」中止ちゅうしはより上流じょうりゅう多野たのぐん中里なかさとむらげん多野たのぐんかみりゅうまちかみげん地点ちてんに「かみげんダム」を建設けんせつする計画けいかく浮上ふじょうしたが、これも断念だんねんされた。

曲折きょくせつのち現在げんざいのダム地点ちてん下流かりゅう500m地点ちてん箇所かしょ最終さいしゅう候補こうほとして選定せんていされたが、下流かりゅうあん地質ちしつてき問題もんだいがあり最終さいしゅうてき現在げんざい下久保しもくぼ地点ちてんがダム地点ちてんとして決定けっていされた。こうして建設省けんせつしょう直轄ちょっかつダムとして1959ねん昭和しょうわ34ねん4がつより事業じぎょう着手ちゃくしゅされたが、このあいだ東京とうきょうはじめとする首都しゅとけん人口じんこう急増きゅうぞうともなみず需要じゅようがひっぱく。このため系統的けいとうてきみず資源しげん開発かいはつもとめられて1962ねん昭和しょうわ37ねん)に「みず資源しげん開発かいはつ促進そくしんほう」が制定せいてい。「利根川とねがわ水系すいけいすい資源しげん開発かいはつ基本きほん計画けいかく」(フルプラン)が策定さくていされ、以後いご水資源開発公団みずしげんかいはつこうだんげんみず資源しげん機構きこう)による総合そうごうてきみず資源しげん開発かいはつ推進すいしんされた。これを建設省けんせつしょう事業じぎょう展開てんかいしていた矢木やぎさわダムとこの下久保しもくぼダムを公団こうだん事業じぎょう移管いかん1965ねん昭和しょうわ40ねん)より本体ほんたい工事こうじ開始かいし1968ねん昭和しょうわ43ねん)に完成かんせいした。

ダム建設けんせつともなって群馬ぐんまけん鬼石おにしまち万場まんばまち)と埼玉さいたまけん神泉しんせんむら吉田よしだまち)のけんよん町村ちょうそんにまたがる321・364世帯せたい水没すいぼつ対象たいしょうとなった。このためダム建設けんせつたいする反対はんたい運動うんどうはげしく、補償ほしょう交渉こうしょう長期ちょうきした。最終さいしゅうてきにインフラ整備せいび地場じば産業さんぎょう発展はってん育成いくせいなどといった補償ほしょう内容ないよう呈示ていじされて交渉こうしょう妥結だけつした。首都しゅとけん発展はってんとうと犠牲ぎせいとなった364世帯せたい住民じゅうみんへの報恩ほうおんのため、現在げんざいダムはたには「望郷ぼうきょういしぶみ」が建立こんりゅうされている。このいしぶみにはダム建設けんせつともなって故郷こきょうからの移転いてん余儀無よぎなくされた住民じゅうみんすべての氏名しめいられており、苦渋くじゅう決断けつだんおこなった住民じゅうみん労苦ろうくしのばせる。なお、「望郷ぼうきょういしぶみ」の毛筆もうひつたい揮毫きごうしたのは、当時とうじ内閣ないかく総理そうり大臣だいじん佐藤さとう栄作えいさくである。

目的もくてき[編集へんしゅう]

神水じんずいダム

地図
所在地しょざいち 左岸さがん:群馬ぐんまけん藤岡ふじおか鬼石おにし
右岸うがん:埼玉さいたまけん児玉こだまぐん神川かみかわまち矢納やのう
位置いち 北緯ほくい3609ふん08びょう 東経とうけい13902ふん57びょう / 北緯ほくい36.15222 東経とうけい139.04917 / 36.15222; 139.04917 (神水じんずいダム)
河川かせん 利根川とねがわ水系すいけい神流川かんながわ
ダムみずうみ 神水かんずい
ダムしょもと
ダム型式けいしき 重力じゅうりょくしき
コンクリートダム
つつみだか 20.5 m
つつみいただきちょう 128.0 m
つつみ体積たいせき 19,000
流域りゅういき面積めんせき 337.8 km²
たたえ水面すいめんせき 8.0 ha
そう貯水ちょすい容量ようりょう 235,000 m³
有効ゆうこう貯水ちょすい容量ようりょう 200,000 m³
利用りよう目的もくてき 発電はつでん
事業じぎょう主体しゅたい 群馬ぐんまけん
電気でんき事業じぎょうしゃ 群馬ぐんまけん企業きぎょうきょく
発電はつでんしょめい
認可にんか出力しゅつりょく
鬼石おにし発電はつでんしょ
(790kW)
施工しこう業者ぎょうしゃ 熊谷組くまがいぐみ
着手ちゃくしゅねん/竣工しゅんこうねん /1967ねん
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上流じょうりゅうから下久保しもくぼダム。がっているつつみたい確認かくにんできる
下久保しもくぼだい発電はつでんしょより放流ほうりゅうされる河川かせん維持いじ放流ほうりゅうすい

ダムの目的もくてき洪水こうずい調節ちょうせつ特定とくてい利水りすい水力すいりょく発電はつでん上水道じょうすいどう工業こうぎょう用水ようすいである。

洪水こうずい調節ちょうせつ利根川とねがわ水系すいけいダムぐん連携れんけいしたかたちおこなわれ、治水ちすい基準きじゅんてんである伊勢崎いせざき八斗島やったじま地点ちてんにおける計画けいかくだか水流すいりゅうりょう過去かこ最大さいだい洪水こうずい流量りゅうりょう利根川とねがわ場合ばあいはカスリーン台風たいふう洪水こうずい基準きじゅんとなる)毎秒まいびょう17,000トンを毎秒まいびょう14,000トン(毎秒まいびょう3,000トンのカット)に低減ていげんさせる。ダム地点ちてんにおいては毎秒まいびょう2,000トンの計画けいかくだか水流すいりゅうりょう毎秒まいびょう500トン(毎秒まいびょう1,500トンのカット)に大幅おおはば低減ていげんさせる役割やくわりつ。完成かんせい以来いらいてんはし部分ぶぶんにある常用じょうよう洪水こうずいき・ラジアルゲートはいちひらかれることがかったが、2005ねん5がつ点検てんけんおこなうため30ねんにしてはじめてラジアルゲートをひらいて放流ほうりゅうおこなった。このとき地元じもと住民じゅうみん観光かんこうきゃくほか全国ぜんこくからおおくの「ダムき」があつまり豪快ごうかい放流ほうりゅう堪能たんのうしたという。

かんがいについては神流川かんながわ利根川とねがわちゅう流域りゅういきやく12,000ヘクタールたいして毎秒まいびょう10トンを農繁期のうはんき補給ほきゅうする。上水道じょうすいどうについては東京とうきょう埼玉さいたまけんたいしそれぞれにちりょう108まんトンとにちりょう13まんトンを供給きょうきゅう工業こうぎょう用水ようすいどうについては埼玉さいたまけんにちりょう155,520トンを供給きょうきゅうする。これらのみず利根りこん大堰おおせぎより武蔵むさし水路すいろ朝霞あさか水路すいろ東京とうきょう水道局すいどうきょく三郷みさと浄水じょうすいじょうおくられる。水力すいりょく発電はつでんについては群馬ぐんまけん企業きぎょうきょく下久保しもくぼ発電はつでんしょ認可にんか出力しゅつりょく:15,000キロワット)にくわえ、先述せんじゅつ河川かせん維持いじ放流ほうりゅう効率こうりつてき利用りようするための小規模しょうきぼ水力すいりょく発電はつでんとして下久保しもくぼだい発電はつでんしょ認可にんか出力しゅつりょく:270キロワット)がもうけられている。直下ちょっかりゅうたかさ20.5メートルの重力じゅうりょくしきコンクリートダム・神水じんずいダム(しんすいダム)が群馬ぐんまけんによって1967ねん昭和しょうわ42ねん)に建設けんせつされているが、これは発電はつでんしょ放流ほうりゅう不安定ふあんてい流量りゅうりょう一旦いったん貯水ちょすいすることで安定あんていさせ、定量ていりょう放流ほうりゅうすることで急激きゅうげき増水ぞうすい減水げんすい防止ぼうしするぎゃく調整ちょうせい役割やくわりつ。さらにこのぎゃく調整ちょうせい放流ほうりゅう利用りようして鬼石おにし発電はつでんしょによる発電はつでんおこなう。

ダムは上流じょうりゅうがわかってアルファベットの「Lがたがっているが、これは貯水ちょすい容量ようりょう確保かくほするには現在げんざいたかさにしなければならなかったが、通常つうじょう設計せっけいでは技術ぎじゅつてき問題もんだいがあったことによる。このため埼玉さいたまけんがわたかさ73.0メートルの補助ほじょダムをもうけ、結果けっかてきに「L」がた特徴とくちょうてきなダムとなった。補助ほじょダムの岩盤がんばん透水とうすいせいたかかったためみず遮断しゃだんする措置そち必要ひつようとなり、上部じょうぶアスファルト下部かぶコンクリート舗装ほそうしたさえぎみずかべみずさえぎっている。ロックフィルダム工法こうほうである。また。完成かんせい貯水池ちょすいち深層しんそうからの取水しゅすいによる冷水れいすい問題もんだいきたため、対策たいさくとして貯水池ちょすいち表面ひょうめん日光にっこうあたたまったみず取水しゅすいする「表面ひょうめん取水しゅすい設備せつび」を1977ねん昭和しょうわ52ねん)に設置せっちしている。

さんせきかい復活ふっかつ[編集へんしゅう]

さんせきかい。かつてはみず状態じょうたいつづいていたが現在げんざい流水りゅうすい復活ふっかつしている。
さんせき独特どくとく斑紋はんもんがある緑色みどりいろいし天然記念物てんねんきねんぶつであり許可きょか採取さいしゅ禁止きんしされている。

特定とくてい利水りすいについては当初とうしょ目的もくてきにははいっていなかったが、2001ねん平成へいせい13ねん)より実施じっしされた「下久保しもくぼダムすい環境かんきょう改善かいぜん事業じぎょう」にともな河川かせん維持いじ放流ほうりゅう目的もくてきとして追加ついかされた。これはダム完成かんせい長年ながねんわた無水むすい区間くかんであった直下ちょっかりゅうにあるくに天然記念物てんねんきねんぶつ指定していされた名勝めいしょうさんせきかい(さんばせききょう)の清流せいりゅう復活ふっかつ最大さいだい目的もくてきである。

三波川さんばがわたい語源ごげんにもなったさんせきかいうつくしい結晶けっしょう片岩かたいわ荒々あらあらしいながれが清流せいりゅうであった。うつくしいいわは「さんせきかいよんじゅうはちいわ」とばれいわごと名称めいしょうけられ、洪水こうずいさい土砂どしゃみがかれることでそのうつくしさを永続えいぞくさせ、高価こうか庭石にわいしとして地元じもと特産とくさんひんにもなっていた。ところが下久保しもくぼダム完成かんせいともな併設へいせつされた下久保しもくぼ発電はつでんしょにより取水しゅすいされたみず峡谷きょうこくえて下流かりゅう放流ほうりゅうされるようになった。このためダムから発電はつでんしょ放流ほうりゅうこうまでのやく4km区間くかん、すなわちさんせきかい大半たいはん流水りゅうすい途絶とぜつし、以後いご30ねん以上いじょうあいだ無水むすい区間くかんとなった。これによりさんせきくろずんでかがやきをくし、河原かわはら雑草ざっそう繁茂はんもしてさんせきかい荒廃こうはい名産めいさんひんであるさんせき品質ひんしつ低下ていかにもつながることから峡谷きょうこく清流せいりゅう復活ふっかつ地元じもと長年ながねんわた悲願ひがんであった。

1997ねん平成へいせい9ねん)の河川かせんほう改正かいせいにより、河川かせん環境かんきょう維持いじ治水ちすい利水りすいならほう最大さいだい目的もくてき規定きていされたことから国土こくど交通省こうつうしょうみず資源しげん機構きこう全国ぜんこくのダムにおいて河川かせん維持いじ放流ほうりゅう設備せつび設置せっちして河川かせん環境かんきょう向上こうじょうはかった。下久保しもくぼダムでは河川かせん維持いじ放流ほうりゅうおこなってさんせきかい清流せいりゅう復活ふっかつさせる「下久保しもくぼダムすい環境かんきょう改善かいぜん事業じぎょう」にした。これはダム直下ちょっか下久保しもくぼだい発電はつでんしょもうけて管理かんりよう発電はつでんおこないながら維持いじ放流ほうりゅうおこない、流水りゅうすい復活ふっかつさせると同時どうじ土砂どしゃ下流かりゅうんで洪水こうずい流下りゅうかさせるというものである。三波さんなみせき洪水こうずいによる土砂どしゃみがかれ、うつくしい緑色みどりいろたもつことから地元じもとでは「洪水こうずいさんせき化粧水けしょうすい」ともばれており、かつての河川かせん環境かんきょうちかづけることを最大さいだい目標もくひょうとした。

こうした対策たいさくと、地元じもと住民じゅうみん共同きょうどう環境かんきょう整備せいびおこなったことによってさんせきかい清流せいりゅう復活ふっかつ徐々じょじょにではあるがかつての光景こうけいもどそうとしている。現在げんざいでは親水しんすい公園こうえん設置せっちさんせきかい身近みぢかれる環境かんきょう整備せいびおこなっている。なお、さんせきくに天然記念物てんねんきねんぶつ指定していされているので、いし大小だいしょうにかかわらず許可きょか採取さいしゅすることは文化財ぶんかざい保護ほごほうもとづき禁止きんしされており、違反いはんすると処罰しょばつされる。

ダムさい開発かいはつ事業じぎょう[編集へんしゅう]

下久保しもくぼダムの完成かんせいにより神流川かんながわ治水ちすい効果こうかてきはかられ、ダム完成かんせい以降いこう神流川かんながわおおきな水害すいがい発生はっせいしていない。2005ねんにはさい上流じょうりゅう多野たのぐん上野うえのむら東京電力とうきょうでんりょく上野うえのダムつつみだか120.0m・重力じゅうりょくしき)を完成かんせいさせている。これは全面ぜんめん稼働かどうすれば日本にっぽん最大さいだいとなる揚水ようすいしき水力すいりょく発電はつでんしょ神流川かんながわ発電はつでんしょ下部かぶ調整ちょうせいとして建設けんせつされ、上部じょうぶ調整ちょうせいである南相木みなみあいきダムとも分水嶺ぶんすいれいをまたいで認可にんか出力しゅつりょく2,820,000キロワットの電力でんりょく発生はっせいさせる。また、支流しりゅう塩沢しおざわがわには小規模しょうきぼ生活せいかつ貯水池ちょすいちとして塩沢しおざわダムつつみだか38.0m・重力じゅうりょくしき)が1994ねん平成へいせい6ねん)に完成かんせいしている。

一方いっぽう神流川かんながわ合流ごうりゅうする烏川からすがわであるが、1965ねん昭和しょうわ40ねん)に当時とうじ群馬ぐんまぐん榛名はるなまちげん高崎たかさき榛名湖はるなこまち本庄ほんじょうさき建設省けんせつしょうによる「本庄ほんじょうダム(湯殿山ゆどのさんダム)計画けいかく」が浮上ふじょう実施じっし計画けいかく調査ちょうさおこなわれたが中止ちゅうし、その補助ほじょ多目的たもくてきダムとして1984ねん昭和しょうわ59ねん)より当時とうじ群馬ぐんまぐん倉渕くらぶちむらげん高崎たかさき倉渕くらぶちまち)に倉渕くらぶちダムが着工ちゃっこうされたが、公共こうきょう事業じぎょう見直みなおしによって2003ねん平成へいせい15ねん)より事業じぎょう凍結とうけつしている。鏑川かぶらかわ碓氷川うすいがわ流域りゅういきでは道平どうたいらがわダム(道平どうたいらがわ)やきりせきダム(きり積川つがわ)が建設けんせつされ、坂本さかもとダム砂防さぼう堰堤えんていさい開発かいはつしてダムしている。現在げんざい碓氷川うすいがわ支流しりゅう九十九川つくもがわしょうひだりささえかわ増田ますだがわ増田ますだがわダムが計画けいかくちゅうであるが、「不要ふよう公共こうきょう事業じぎょう税金ぜいきん無駄遣むだづかい」として日本にっぽん共産党きょうさんとう市民しみん団体だんたい反対はんたいしている。

下久保しもくぼダムについては、地球ちきゅう温暖おんだんともな全国ぜんこくてき極端きょくたん集中しゅうちゅう豪雨ごうう長期間ちょうきかんかんばつ被害ひがい毎年まいとし多発たはつしている現状げんじょうで、首都しゅとかかえる利根川とねがわ水系すいけい治水ちすいおよび利水りすいはか目的もくてきで。2005ねんより「利根川とねがわ上流じょうりゅうダムぐんさい開発かいはつ事業じぎょう」を国土こくど交通省こうつうしょう関東かんとう地方ちほう整備せいびきょく計画けいかくしている。これは利根川とねがわ水系すいけいのダムぐん効率こうりつてき管理かんりするため総合そうごうてきなダムさい開発かいはつおこなうものである。新規しんきのダム計画けいかく烏川からすかわ遊水地ゆうすいち計画けいかくなど様々さまざま提案ていあんされたが、最終さいしゅうてき藤原ふじわらダム利根川とねがわ)・そのげんダム片品川かたしながわ)とこの下久保しもくぼダムがさい開発かいはつ対象たいしょうとなった。下久保しもくぼダムについては神流湖かんなこ満水まんすい低下ていかさせて洪水こうずい調節ちょうせつ容量ようりょう確保かくほする有効ゆうこう貯水ちょすい容量ようりょう変更へんこうじくにしたさい開発かいはつ計画けいかくしている。すで神流湖かんなこ観光かんこう漁業ぎょぎょうにおいて重要じゅうよう役割やくわりっていることもあり、沿岸えんがん市町村しちょうそん国土こくど交通省こうつうしょうとのあいだ現在げんざい対策たいさく折衝せっしょうしている。

神流湖かんなこ[編集へんしゅう]

神流湖かんなこ

ダムみずうみである神流湖かんなこ群馬ぐんまけん南部なんぶにある人造湖じんぞうことしては最大さいだいのものである。湖岸こがんはるになるとソメイヨシノほこり、花見はなみ名所めいしょとなっている。また、ヘラブナなどの魚類ぎょるいおお棲息せいそくすることから、埼玉さいたまけんがわひょうたんとう周辺しゅうへんなどのスポットにおおくのきゃくおとずれる。長瀞ながとろ渓谷けいこく富岡とみおか製糸せいしじょう秩父ちちぶといった観光かんこう名所めいしょ名勝めいしょう比較的ひかくてきちかい。

ダムへは上信越じょうしんえつ自動車じどうしゃどう藤岡ふじおかインターチェンジから群馬ぐんまけんどう埼玉さいたまけんどう13ごう前橋まえばし長瀞ながとろせん経由けいゆ国道こくどう462ごうはいり、鬼石おにし上野うえの方面ほうめんすす下久保しもくぼトンネルをぎてからぐに左折させつする。本庄ほんじょう児玉こだまインターチェンジより国道こくどう462ごう藤岡ふじおか方面ほうめん直進ちょくしんしても可能かのう。ダム直下ちょっかへは鬼石おにし中心ちゅうしんがい通過つうかさんせきかいはい道路どうろ案内あんない標識ひょうしきあり)があるので、左折させつ直進ちょくしんする。三波さんなみせきかい景観けいかんぎると、眼前がんぜん巨大きょだいつつみたいがそびえつ。公共こうきょう交通こうつう機関きかんではJR東日本ひがしにっぽん高崎線たかさきせん新町しんまちえき八高線はちこうせん群馬藤岡ぐんまふじおかえき下車げしゃ日本にっぽん中央ちゅうおうバス路線ろせんバスで「万場まんば」または「上野うえのむら方面ほうめんきに乗車じょうしゃする。

下久保しもくぼダムが登場とうじょうする作品さくひん[編集へんしゅう]

漫画まんが[編集へんしゅう]

特撮とくさつ[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 建設省けんせつしょう関東かんとう地方ちほう建設けんせつきょく利根川とねがわひゃくねん編纂へんさん委員いいんかいへん利根川とねがわひゃくねん」:1987ねん
  • 建設省けんせつしょう河川かせんきょく監修かんしゅう全国ぜんこく河川かせん総合そうごう開発かいはつ促進そくしん期成きせい同盟どうめいかいへん日本にっぽん多目的たもくてきダム」1963年版ねんばん山海さんかいどう 1963ねん
  • 建設省けんせつしょう河川かせんきょく監修かんしゅう全国ぜんこく河川かせん総合そうごう開発かいはつ促進そくしん期成きせい同盟どうめいかいへん日本にっぽん多目的たもくてきダム 直轄ちょっかつへん」1980年版ねんばん山海さんかいどう 1980ねん
  • 財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽんダム協会きょうかい 「ダム便覧びんらん 2006」:2006ねん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

すべての座標ざひょうしめした地図ちず - OSM
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