花はな (瀧たき廉太郎れんたろう)

花はな（墨田すみだ区民くみん愛唱あいしょう歌か）
区民くみん歌かの対象たいしょう 墨田すみだ区く
作詞さくし	武島羽衣たけしまはごろも（1900年ねん）
作曲さっきょく	瀧たき廉太郎れんたろう（1900年ねん）
採用さいよう時期じき	1990年ねん
言語げんご	日本語にほんご

「花はな」（はな）は、日本にっぽんの明治めいじ時代じだいに作成さくせいされた楽曲がっきょく。もともとは1900年ねん（明治めいじ33年ねん）11月1日にち付づけに共益きょうえき商社しょうしゃ出版しゅっぱんから刊行かんこうされた瀧たき廉太郎れんたろうの歌曲かきょく集しゅう（組歌くみうた）『四季しき』の第だい1曲きょくであった。

東京とうきょう都と墨田すみだ区くでは、本ほん曲きょくを「区民くみんの愛唱あいしょう歌か」に指定していしている。隅田すみた公園こうえんの台東たいとう区く側がわには本ほん曲きょくの歌碑かひがある。

2006年ねん（平成へいせい18年ねん）に文化庁ぶんかちょうと日本にっぽんPTA全国ぜんこく協議きょうぎ会かいが「日本にっぽんの歌うた百ひゃく選せん」に選定せんていした。

概要がいよう

みんなのうた 花はな
歌手かしゅ	ザ・ピーナッツ
作詞さくし者しゃ	武島羽衣たけしまはごろも
作曲さっきょく者しゃ	瀧たき廉太郎れんたろう
編曲へんきょく者しゃ	宮川みやがわ泰やすし
映像えいぞう	影絵かげえ
映像えいぞう制作せいさく者しゃ	木馬もくば座ざ
初はつ放送ほうそう月がつ	1962年ねん4月がつ
再さい放送ほうそう月がつ	2021年ねん3月がつ（ラジオのみ）

本来ほんらいのタイトルは「花盛はなざかり」であったが、第だい3曲きょく「月つき」、第だい4曲きょく「雪ゆき」と合あわせるために「花はな」にした（雪月花せつげっか）という。「荒城こうじょうの月つき」、「箱根はこね八はち里り」と並ならび、瀧たき廉太郎れんたろうの歌曲かきょくの中なかでも広ひろく親したしまれている曲きょくのひとつである。歌詞かしは武島羽衣たけしまはごろもによって作詞さくしされた。速はやいテンポの二に部ぶ形式けいしきで書かかれ、当時とうじ隅田川すみだがわで盛さかんであった漕艇そうてい（ボートレース、レガッタ）の様子ようすなど、春はるの隅田川すみだがわの情景じょうけいが歌うたわれている。

ピアノ伴奏ばんそう付つきの女声じょせい二に部ぶ合唱がっしょう、もしくは女声じょせい二に重唱じゅうしょうまた、混声こんせい二に部ぶ合唱がっしょう、混声こんせい二に重唱じゅうしょうで歌うたわれる。3番ばんまで歌詞かしがある有ゆう節ぶし歌曲かきょく形式けいしきに基もとづくが、単純たんじゅんな繰返くりかえしではなくところどころで旋律せんりつを変かえている。イ長調いちょうちょう・4分ぶんの2拍子ひょうしで書かかれており速度そくど記号きごうはAllegro moderatoとなっている。

歌曲かきょく集しゅう『四季しき』

歌曲かきょく集しゅう『四季しき』の他ほかの曲きょくは、第だい2曲きょくが「納涼のうりょう」（作詞さくし：東あずまくめ、単たん声こえとピアノ用よう）、第だい3曲きょくが「月つき」（作詞さくし：瀧たき廉太郎れんたろう自身じしんによる、無む伴奏ばんそうの四よん部ぶ合唱がっしょう）、第だい4曲きょくが「雪ゆき」（作詞さくし：中村なかむら秋香あきか、四よん部ぶ合唱がっしょう、ピアノとオルガン用よう）と題だいされている。しかしもっぱら第だい1曲きょく「花はな」のみが有名ゆうめいになり、他たの3曲きょくはほとんど知しられておらず、歌うたわれることも滅多めったにない。ただし後年こうねんに三善みよし晃あきらが編曲へんきょくした「日本にっぽんの四季しき」には4曲きょくとも含ふくまれている。

初版しょはんの序文じょぶんで瀧たき廉太郎れんたろうは、「（当時とうじ作つくられていた）日本にっぽんの歌曲かきょくは、教育きょういく用ようの学校がっこう唱歌しょうかばかりで質しつの高たかいものが少すくないため、微力びりょくながら日本語にほんごの歌詞かしに作曲さっきょくした曲きょくを世よに出だすことによって、日本にっぽん歌曲かきょくの発展はってんに寄与きよしたい」という趣旨しゅしの発言はつげんを残のこしている。

歌詞かし

2017年ねん（平成へいせい29年ねん）12月31日にちに著作ちょさく権けんの保護ほご期間きかんを満了まんりょう。

1. 春はるのうららの　隅田川すみだがわ（すみだがわ）
   のぼりくだりの　船人ふなびと（ふなびと）が
   櫂かい（かひ）のしずくも　花はなと散ちる
   ながめを何なにに　たとうべき
2. 見みずやあけぼの　露ろ（つゆ）あびて
   われにもの言いう　桜木さくらぎ（さくらぎ）を
   見みずや夕ゆう（ゆう）ぐれ　手てをのべて
   われさしまねく青柳あおやぎ（あおやぎ）を
3. 錦にしき（にしき）おりなす　長堤ちょうてい（ちょうてい）に
   暮くれ（く）るればのぼる　おぼろ月つき（づき）
   げに一刻いっこく（いっこく）も　千金せんきん（せんきん）の
   ながめを何なにに　たとうべき

1番ばんの歌詞かしは源氏物語げんじものがたり「胡蝶こちょう」の巻まきで詠よまれた和歌わか「春はるの日ひのうららにさして行いく船ふねは棹ざおのしづくも花はなぞちりける」によったものであり、3番ばんは蘇そ軾の詩し「春はる夜よる」の一節いっせつ「春宵しゅんしょう一いち刻こく値ち千金せんきん」（春はるの夜よるのすばらしさは、ひとときが千金せんきんにもあたいするほど貴重きちょうなものだ）からの着想ちゃくそうである。

楽曲がっきょくの使用しよう

• 国技こくぎ館かん5000人にんの第だい九きゅうコンサート - イベントのエンディング曲きょくとして毎年まいとし歌うたわれている。公演こうえん会場かいじょうとなっている両国りょうこく国技こくぎ館かんの近ちかくを隅田川すみだがわが流ながれていることによる。
• ライオンスペシャル '85春はる・ファッション!歌うたう国技こくぎ館かん - かつてフジテレビで放送ほうそうされた番組ばんぐみ。上記じょうき同様どうよう、国技こくぎ館かんが公演こうえん会場かいじょうであったためにオープニングテーマとして使用しようされた。
• みんなのうた - NHKの番組ばんぐみ。1962年ねん4月がつに本ほん曲きょくを放送ほうそう。編曲へんきょくは宮川みやがわ泰やすし、歌うたはザ・ピーナッツ。映像えいぞうは木馬もくば座ざ制作せいさくの影絵かげえ。2008年ねんには同音どうおん異こと曲きょく（2曲きょく目め、暮くれ部ぶ拓哉たくやの楽曲がっきょく）が放送ほうそうされている。
• 上野うえの駅えき - 台東たいとう区くにある鉄道てつどう駅えき。1982年ねんから1991年ねんまで、東北新幹線とうほくしんかんせんおよび上越新幹線じょうえつしんかんせんの列車れっしゃにおいて、同どう駅えき発着はっちゃく時じの車内しゃないチャイム（ふるさとチャイム）として使用しようされていた。
• 伊賀いが神戸こうべ駅えき - 三重みえ県けん伊賀いが市しにある鉄道てつどう駅えき。かつて近鉄きんてつ大阪おおさか線せんの特急とっきゅう列車れっしゃにおいて、同どう駅えき到着とうちゃく時じの車内しゃないチャイムとして使用しようされていた。
• 浅草あさくさ駅えき - 台東たいとう区くにある鉄道てつどう駅えき。2012年ねん10月がつから、東京とうきょうメトロ銀座ぎんざ線せんホームの発車はっしゃメロディ（発車はっしゃサイン音おん）として使用しようされている。編曲へんきょくは塩塚しおつか博はく。
• 豊後ぶんご竹田たけだ駅えき - 2024年ねん（令れい和わ6年ねん）3月がつの駅えきリニューアルに合あわせて発車はっしゃメロディに使用しよう（到着とうちゃく時じに使用しようされてきた瀧たき廉太郎れんたろうの「荒城こうじょうの月つき」は継続けいぞく）。
• 二に代目だいめ林家はやしや木き久蔵きゅうぞう - 落語らくご家か。出で囃子ばやしとして使用しようしている。
• めぞん一刻いっこく - テレビアニメ。第だい17話わの響子きょうこが高校こうこう時代じだいを回想かいそうするシーンの時ときに、合唱がっしょうが聞きこえる。

外部がいぶリンク

• 花はな - 歌うたネット