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製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき(せいさくいいんかいほうしき)とは、アニメ映画えいがテレビ番組ばんぐみおもにテレビやバラエティ)などの映像えいぞう作品さくひんや、演劇えんげきミュージカルなどの舞台ぶたい作品さくひんつくるための資金しきん調達ちょうたつさいに、単独たんどく出資しゅっしではなく、複数ふくすう企業きぎょう出資しゅっししてもらう方式ほうしきのこと。

複数ふくすう企業きぎょう出資しゅっししてもらった場合ばあい出資しゅっし企業きぎょう集合しゅうごうたいを「製作せいさく委員いいんかい」とぶ。

建設けんせつぎょうとうにおける共同きょうどう企業きぎょうたい(JV)と同様どうよう形態けいたいパートナーシップ)に相当そうとうする。

単語たんご意味いみ

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2000ねん以降いこうのアニメ業界ぎょうかいでは「制作せいさく」と「製作せいさく」を、それぞれちが意味いみとして区別くべつする用法ようほうがある。

  • 制作せいさく作品さくひんおも映像えいぞう部分ぶぶん)を実際じっさいつくること。アニメを実際じっさいつく制作せいさくプロダクションは「アニメーション制作せいさく会社かいしゃ」などとぶ。
  • 製作せいさく作品さくひん企画きかく発案はつあんし、制作せいさく出資しゅっしし、作品さくひん内容ないようおよびスタッフのコントロールをおこない、作品さくひん全般ぜんぱんにおける最終さいしゅう責任せきにんう。このような出資しゅっし企業きぎょうのことを「製作せいさく会社かいしゃ」という。

製作せいさく委員いいん」という場合ばあいの「製作せいさく」とは出資しゅっししゃ集合しゅうごうたいすが、放送ほうそうきょくやスポンサー各社かくしゃなどによって「製作せいさく」「制作せいさく」の使つかけの方針ほうしんことなり、あまり厳密げんみつ区別くべつされていない。

2010ねん以降いこうのアニメでも、後述こうじゅつ形態けいたいによる「製作せいさく委員いいんかい名義めいぎ使つかわないぜんにちたい作品さくひんでは、テレビ局てれびきょく制作せいさく会社かいしゃ作品さくひんによっては出資しゅっし宣伝せんでん関与かんよした広告こうこく代理だいりてんふくむ)が個別こべつ制作せいさくとしてクレジットされている。

背景はいけい

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一般いっぱんに、アニメや映画えいがなどのエンターテインメント作品さくひん製作せいさくにあたっては、すうせんまんえんすうおくえん単位たんい費用ひよう必要ひつようとする[1]作品さくひんがヒットし、映像えいぞうソフトやグッズがれれば多額たがく利益りえきがもたらされる一方いっぽう興行こうぎょうやテレビの視聴しちょうりつがそれぞれ不振ふしんわった場合ばあいにはおおきな負債ふさいかかえるリスク存在そんざいする。現実げんじつに、製作せいさくした映画えいがやテレビ作品さくひんるわなかったために経営けいえい危機ききたされるほか倒産とうさん清算せいさん)・吸収きゅうしゅう合併がっぺいへとまれたりする企業きぎょうすくなくない。

また、1980年代ねんだい以降いこう衛星えいせい放送ほうそうレンタルビデオケーブルテレビインターネットなどの、配信はいしん手段しゅだん多様たようともない、かくメディアで配信はいしんするソフトがりない事態じたいきており、作品さくひんがヒットした場合ばあい、テレビ放映ほうえいけん、ビデオけんやネット配信はいしんけん値段ねだん高騰こうとうするうえに、権利けんりをめぐって同業どうぎょう他社たしゃとの競合きょうごう発生はっせいすることもあり、テレビ局てれびきょく、ネット配信はいしん会社かいしゃやビデオソフト会社かいしゃ作品さくひんけのさい難航なんこうすることになる。

これらのようなリスクを分散ぶんさん回避かいひするために製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき考案こうあんされた。

経緯けいい

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用語ようご起源きげん

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製作せいさく委員いいんかい」とは、もともと映画えいが業界ぎょうかい用語ようごであり、1980年代ねんだいにはすで映画えいが業界ぎょうかいで「製作せいさく委員いいんかい」という用語ようご使つかわれており、当初とうしょ意味いみは、その映画えいが出資しゅっしするスポンサー企業きぎょうをあらわす団体だんたいのことだった[2]

アニメ映画えいが業界ぎょうかいでも「〇〇製作せいさく委員いいんかい」のような名称めいしょう団体だんたいがすでに1991ねんには、映画えいがアルスラーン戦記せんき』や映画えいがサイレントメビウス』などの劇場げきじょうパンフレットでにすることができ、当時とうじ製作せいさく委員いいんかい」とは映画えいが出資しゅっしスポンサー企業きぎょう意味いみだった(なお、製作せいさく角川かどかわ春樹はるきとはべつ製作せいさく委員いいんかいとして角川書店かどかわしょてんげんKADOKAWA)やソニー初代しょだい法人ほうじんげんソニーグループ)(アルスラーン戦記せんき)やパイオニアLDC(げんNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)(サイレントメビウス)などが製作せいさく委員いいんかいつらねている。

その製作せいさくされたアニメ作品さくひんのスポンサー団体だんたいでよく使つかわれるようになり、そのアニメ番組ばんぐみのオープニング動画どうがなどでも制作せいさく会社かいしゃなどとともに紹介しょうかいされるようになった。このような経緯けいいのため、現在げんざいでは映画えいがかぎらずテレビアニメなどでも「製作せいさく委員いいんかい」という用語ようご使つかわれることがおおい。

テレビアニメの出資しゅっし方式ほうしき変遷へんせん

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1995ねんのテレビアニメ『しん世紀せいきエヴァンゲリオン』のヒットがきっかけといわれるが、そのまえのテレビアニメでも「製作せいさく委員いいんかい」という名前なまえこそついてないものの、同様どうよう内容ないようのスポンサー団体だんたい存在そんざいしていた。

そしてエヴァンゲリオンがヒットして社会しゃかい現象げんしょうなどとして報道ほうどうされたことで、日本にっぽん経済けいざいかいではアニメ産業さんぎょうへの投資とうしねつ出資しゅっしねつたかまった。ただし、1995ねんのエヴァンゲリオンの企画きかく団体だんたい「Project EVA」は、ネットじょう評論ひょうろんなどで製作せいさく委員いいんかい間違まちがわれやすいが、そもそも「Project EVA」は製作せいさく会社かいしゃではなく「企画きかく団体だんたいであり、テレビばんエヴァンゲリオンの製作せいさく会社かいしゃは、名義めいぎてきには、テレビ東京てれびとうきょう日本にっぽんアドシステムズの2しゃである。エヴァンゲリオンのすこまえにエヴァンゲリオンとおなじスポンサーのキングレコード出資しゅっしした1993ねんのアニメOVA『無責任むせきにん艦長かんちょうタイラー 』には「タイラープロジェクト」、1994ねんのアニメ『BLUE SEED』には「BS project」という「企画きかく団体だんたい存在そんざいしている。「Project EVA」の実態じったいはキングレコードだが、この理由りゆうは、当時とうじキングレコードのプロデューサーであった大月おおつきしゅんりんがエヴァンゲリオンの企画きかく初期しょき段階だんかいからたずさわってたことを一般いっぱんメディアには公表こうひょうだったため、匿名とくめいてき名前なまえかくしただけである。

やがて「製作せいさく委員いいんかい」という用語ようご定着ていちゃくするにつれ、複数ふくすうのスポンサー企業きぎょうによるアニメ産業さんぎょうへの出資しゅっし形態けいたいのことを「製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき」などとぶようになった。しかし、そもそもアニメ業界ぎょうかいでは大半たいはんのアニメ作品さくひん出資しゅっし企業きぎょう複数ふくすうであり、単一たんいつ企業きぎょう出資しゅっし製作せいさくされるアニメ[ちゅう 1]はごく小数しょうすうなので、逆説ぎゃくせつてき事実じじつじょう大半たいはんのアニメにおいて「製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき採用さいようされているということになった。1997ねん以前いぜんは、実際じっさいにはあきらかに5しゃ場合ばあいによっては10しゃ以上いじょうといった多数たすう企業きぎょうがアニメに出資しゅっししているアニメ作品さくひんであっても、放映ほうえいされたアニメ番組ばんぐみでは、出資しゅっし企業きぎょうのうちの幹事かんじてきな1~3しゃだけを、クレジットで「製作せいさく会社かいしゃとして紹介しょうかいする場合ばあいおおかったが、実際じっさい放映ほうえい当時とうじのアニメグッズの販売はんばい企業きぎょうかずや、キーきょくでの放送ほうそうのスポンサーなどのかずから、あきらかに、公表こうひょうされた「製作せいさく会社かいしゃよりもおおくの企業きぎょう作品さくひん出資しゅっししている。

21世紀せいきはいると、アニメ以外いがい番組ばんぐみでも「製作せいさく委員いいんかい」という用語ようご使用しようされはじめ、深夜しんや特撮とくさつ番組ばんぐみきばおおかみ<GARO>シリーズ[ちゅう 2]や、バラエティ番組ばんぐみでは『FNSの[ちゅう 3]・『週刊しゅうかんAKB[ちゅう 4]・『内村うちむらさまぁ〜ず』・『バナナえん』、スポーツ中継ちゅうけいでは『全国ぜんこく高等こうとう学校がっこうサッカー選手権せんしゅけん大会たいかい[ちゅう 5]が、民放みんぽうキーきょくであるテレビ東京てれびとうきょうでは金曜きんよう深夜しんやの『ドラマ24』・『テレビ東京てれびとうきょう月曜げつよう10わく連続れんぞくドラマ』では製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき採用さいようした。映像えいぞう作品さくひん以外いがいでも、タツノコプロ関与かんよしたゆるキャラ[ちゅう 6]においても、製作せいさく委員いいんかい方式ほうしきちかかたち採用さいようしている。

テレビアニメでの「製作せいさく委員いいんかい」の普及ふきゅうのタイミング

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1997ねんには、アニメ『HAUNTEDじゃんくしょん』の「企画きかく」に三菱商事みつびししょうじくわわったことが当時とうじのアニメ評論ひょうろんでそこそこ話題わだいになった[3]

ただし、このころにはまだ「製作せいさく委員いいんかい」の名前なまえ使つかわれていない。上述じょうじゅつした三菱商事みつびししょうじは「企画きかく」であるし、また1997ねんのアニメ『はいぱーぽりす』では「協力きょうりょく」として丸紅まるべにがクレジットされた。これら商社しょうしゃ関与かんよは、海外かいがいでの権利けんりビジネスを目的もくてきとしたものである。

1999ねんになると、アニメーション制作せいさく会社かいしゃAICに関係かんけいする深夜しんやアニメの作品さくひんのクレジット表記ひょうきで、「製作せいさく委員いいんかい」という表記ひょうきてくる。

1999ねんにAICがアニメーション制作せいさく担当たんとうして放映ほうえいされたアニメ『トラブルチョコレート』では、テレビ朝日てれびあさひやアニメイトフィルムやエイベックスなどが、「トラブルチョコレート製作せいさく委員いいんかい」の一員いちいんとしてクレジット表記ひょうきされた。

また、AIC原作げんさくの1999ねんのアニメ『A.D.POLICE』(テレビアニメばん)では、「製作せいさく」が「A.D.POLICE 製作せいさく委員いいんかい」と表記ひょうきされた。なお、この1999ねんの『A.D.POLICE』のアニメーション制作せいさくは、AICではなく、「プラム」というべつ会社かいしゃである。

なお、日本にほんテレビ系列けいれつで1997ねんの『けんふう伝奇でんきベルセルク』の深夜しんやアニメ当時とうじ一定いってい話題わだいになったが[3]日本にほんテレビはそれまで深夜しんやアニメには消極しょうきょくてきだった)、どう番組ばんぐみのOP・EDクレジットには大手おおて商社しょうしゃ名前なまえられず、「製作せいさく委員いいんかい」の名称めいしょうもクレジットに[4]

手法しゅほう

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一般いっぱんに、映像えいぞうコンテンツの出資しゅっし募集ぼしゅうでは、主導しゅどうけん幹事かんじ会社かいしゃ複数ふくすう会社かいしゃたい出資しゅっしつのり、資金しきんリスクを分散ぶんさんする。

製作せいさく委員いいんかい方式ほうしきでは、もし利益りえき場合ばあいは、これを出資しゅっし比率ひりつじゅんじて分配ぶんぱいする。スポンサー企業きぎょうにとっては1作品さくひんへの投資とうしらすことができるため、1しゃがよりおおくの作品さくひん投資とうしすることが可能かのうとなり、制作せいさくプロダクションとしては制作せいさく容易ようい調達ちょうたつできる。

出資しゅっしスポンサーとしては、放送ほうそうきょくキーきょく・BSデジタル放送ほうそうきょくスカパー![5]など)・映画えいが会社かいしゃ制作せいさくプロダクション広告こうこく代理だいりてん商社しょうしゃ出版しゅっぱんしゃ新聞しんぶんしゃレコード会社かいしゃ・ビデオソフトの販売はんばい会社かいしゃ(パブリッシャー)・芸能げいのう事務所じむしょ通信つうしん会社かいしゃ玩具おもちゃメーカー・インターネット各種かくしゅ関連かんれん会社かいしゃなどがげられる。

テレビでの放映ほうえいけん取得しゅとくやキャストを登場とうじょうさせる宣伝せんでん番組ばんぐみ放送ほうそう可能かのうとするため、劇場げきじょう公開こうかいよう映画えいが製作せいさく委員いいんかいテレビ局てれびきょく出資しゅっしするれいもある[6]

製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき採用さいようしているテレビアニメ番組ばんぐみでは、放送ほうそうきょく製作せいさく直接ちょくせつ関与かんよしていないれいすくなくない。

2010年代ねんだい以降いこうNHK(日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい放送ほうそうされるアニメにも製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき制作せいさくされる作品さくひん登場とうじょうしている[ちゅう 7][ちゅう 8]。この場合ばあい特殊とくしゅ法人ほうじん公共こうきょう放送ほうそう)であるNHK自体じたい参加さんかできないため[ちゅう 9]形式けいしきてきには「民間みんかん企業きぎょうあつかいとなる子会社こがいしゃNHKエンタープライズ(NEP)のみが、NHK関連かんれん団体だんたいかなら製作せいさく委員いいんかい参加さんかする。作品さくひんによっては、NEPと同様どうよう形態けいたいNHK出版しゅっぱん製作せいさく委員いいんかい参加さんかすることがある。またTBS読売よみうりテレビのように、製作せいさく委員いいんかい参加さんか程度ていどまり、きょく自体じたい放送ほうそうせず、きょく放送ほうそう対象たいしょうエリアない独立どくりつきょくTOKYO MXKBS京都きょうとなど)を中心ちゅうしん放送ほうそう展開てんかいするれい一部いちぶある。

放送ほうそうきょく参加さんかする場合ばあいかく系列けいれつネットワーク組織そしき拘束こうそくされないため、系列けいれつことなるきょく一緒いっしょ参加さんかしたり、前述ぜんじゅつのように参加さんかきょく自体じたいではなく競合きょうごうきょく放送ほうそうすることもめずらしくない。

そののアニメでの「製作せいさく委員いいんかい

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アニメ映画えいがやOVAビデオアニメでは基本きほんてきに「製作せいさく委員いいんかい」をもちいる。一方いっぽう一部いちぶのOVAで「製作せいさく委員いいんかい」がクレジットされない作品さくひん存在そんざいしている(れい:ブラック・ジャック FINAL)。

デメリット

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民法みんぽうじょう問題もんだい対策たいさく

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製作せいさく委員いいんかいは、法律ほうりつてきには民法みんぽううえ任意にんい組合くみあいであり「組合くみあいいん」である出資しゅっしスポンサーは無限むげん責任せきにんう。そのため、機関きかん投資とうし金融きんゆう関係かんけいしゃなどが参加さんかしにくく、出資しゅっしさきひろげにくいという欠点けってんがある。また、作品さくひん著作ちょさくけんかく出資しゅっしスポンサーに分散ぶんさんされ、各種かくしゅメディアでの事業じぎょう展開てんかいさい権利けんり処理しょり煩雑はんざつになるという欠点けってんがある(アンチコモンズの悲劇ひげき参照さんしょう)。

さらに、出資しゅっしスポンサーが倒産とうさん解散かいさんするなどした場合ばあい、「強制きょうせい執行しっこうなどの任意にんいでない持分もちぶん移転いてんにより、予期よきせぬ著作ちょさくけん流出りゅうしゅつ発生はっせいする」「権利けんり所在しょざい不明ふめいとなり、作品さくひん利用りようができなくなる」といった事態じたいこりうる。また、一般いっぱん任意にんい組合くみあいである製作せいさく委員いいんかい法人ほうじん登記とうきがなされないため、外部がいぶもの構成こうせい主体しゅたいこと困難こんなんであり、「事実じじつじょう権利けんり所在しょざい不明ふめいであるため作品さくひん利用りようができない」という事態じたいこりうる。

そこで最近さいきんでは「特別とくべつ目的もくてき会社かいしゃ」(SPC)や「有限ゆうげん責任せきにん事業じぎょう組合くみあい」(LLP)を利用りようして、作品さくひん製作せいさくするための会社かいしゃ設立せつりつすることもおこなわれている。出資しゅっしスポンサーは有限ゆうげん責任せきにん保障ほしょうされており、資金しきんながれが透明とうめいされるため、機関きかん投資とうし金融きんゆう関係かんけいしゃなどが出資しゅっししやすくなり、出資しゅっしスポンサーの多様たよう製作せいさく予算よさん拡大かくだい容易よういになる。また、作品さくひん著作ちょさくけん帰属きぞくがSPCやLLPに一本いっぽんされるため、将来しょうらい誕生たんじょうするあたらしいメディア媒体ばいたい事業じぎょう展開てんかいするさいにスピーディに対応たいおうできるという利点りてんがある。代表だいひょうれいとして『かいけつゾロリ』の「ゾロリエンターテイメント」[7]げられる。また、株式会社かぶしきがいしゃ方式ほうしきでは松竹しょうちく主導しゅどう設立せつりつした同名どうめい映画えいが作品さくひんアナザヘヴンしゃもある[8]

アニメーターのてい賃金ちんぎん問題もんだい

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ちから関係かんけい資金しきんりょくよわく、製作せいさく委員いいんかいはいむことが困難こんなんアニメ制作せいさく会社かいしゃ製作せいさく委員いいんかいから提示ていじされた金額きんがく発注はっちゅうけるかたちとなるため、下請したうとなるアニメ制作せいさく会社かいしゃやそこではたらアニメーターなどには利益りえき配分はいぶんされにくいという問題もんだいがある。アニメ制作せいさく会社かいしゃ賃上ちんあげも収益しゅうえき圧迫あっぱくによる経営けいえい危機ききつながる可能かのうせいからむずかしく、日本にっぽん政府せいふによる介入かいにゅうもとめる識者しきしゃ意見いけんもある[9]

国際こくさい連合れんごう人権じんけん理事りじかい製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき問題もんだいしており、どう理事りじかいのピチャモン・イェオファントンは「人権じんけん侵害しんがいあらためないかぎり、日本にっぽんのアニメ作品さくひんNetflixAmazon Prime Videoから排除はいじょされるリスクがある」とべている[9]

名称めいしょう

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製作せいさく委員いいんかい名称めいしょうは「○○製作せいさく委員いいんかい」が基本きほんであるが、「○○プロジェクト」・「○○パートナーズ」・「○○フィルムパートナーズ」・「○○フィルム・コミッティ」(フィルム・コミッションではない)・「Team○○」などの名称めいしょうがある。

また、アニメ作品さくひんにおいては『銀河ぎんが鉄道てつどう物語ものがたり』の「銀河ぎんが鉄道てつどう管理かんりきょく」(だい1さくのみ)、『けいおん!』シリーズにおける「さくらだか軽音けいおん」、『たまこまーけっと』における「うさぎやま商店しょうてんがい」(このほか京都きょうとアニメーション製作せいさくのものにはとくおおい)や『ハヤテのごとく!』シリーズにおける「さんせんいん執事しつじ」「しろすめらぎ学院がくいん生徒せいとかい」、『イナズマイレブン』での「FCイナズマイレブン」、『トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動きどう救急きゅうきゅう警察けいさつ』での「ドライブヘッド」、『注文ちゅうもんはうさぎですか?』での「ご注文ちゅうもん製作せいさく委員いいんかいですか?」などのように作品さくひんのイメージ・世界せかいかんげきちゅう登場とうじょうする組織そしきにちなんだ名称めいしょうられる。

著作ちょさくけん表示ひょうじにおける著作ちょさくけんしゃめい製作せいさく委員いいんかいへの出資しゅっしがくじゅんならべられることがおおい(原作げんさくしゃ原作げんさく著作ちょさくけん/出版しゅっぱんしゃ漫画まんが小説しょうせつ原作げんさく場合ばあい)/制作せいさくきょく/○○製作せいさく委員いいんかいなど)。

日本にっぽん国外こくがいでの製作せいさく委員いいんかい表記ひょうきは「○○製作せいさく委員いいんかい」(production committee)、「○○フィルムパートナーズ」(Film Partners)と表記ひょうきされることがある。

類語るいご変遷へんせん

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エヴァンゲリオンがヒットした1995ねん以降いこう、1996ねん時点じてんでは、まだ「製作せいさく委員いいんかい」という用語ようご自体じたい一般いっぱん普及ふきゅうしておらず、幹事かんじてき出資しゅっし企業きぎょう以外いがいにはべつ用語ようご使つかわれていた。

1996ねん放映ほうえいの『セイバーマリオネットJ』および『天空てんくうのエスカフローネ』では、幹事かんじてき製作せいさく会社かいしゃ以外いがい出資しゅっししゃを「製作せいさく協力きょうりょく」とび、「製作せいさく協力きょうりょく」としてバンダイビジュアルが紹介しょうかいされていた。(なお「制作せいさく協力きょうりょく」と「製作せいさく協力きょうりょく」はアニメ業界ぎょうかいでは意味いみちがう。「制作せいさく協力きょうりょく」についてくわしくはグロス参照さんしょう。)

1997ねんには、『ネクスト戦記せんきEHRGEIZ』のオープニング動画どうがでは、「製作せいさく」 が PROJECT EHRGEIZ としてクレジット紹介しょうかいされた。

1997ねんにエヴァンゲリオンの劇場げきじょうばん映画えいがで「EVA製作せいさく委員いいんかい」の名前なまえ使つかわれている。これが『エヴァンゲリオン』シリーズでは最初さいしょ製作せいさく委員いいんかい表記ひょうきとされている。よく1998ねん劇場げきじょうばん映画えいがとして公開こうかいされた機動きどう戦艦せんかんナデシコ映画えいがばんでも、「NADESICO製作せいさく委員いいんかい」とクレジット表記ひょうきされているにもかかわらず、『エヴァンゲリオン』や『ナデシコ』の共通きょうつうのスポンサー企業きぎょうであるキングレコードや角川書店かどかわしょてん主要しゅようスポンサーとして提供ていきょうするテレビアニメでは、これらの映画えいが公開こうかいどう時期じきのテレビアニメ作品さくひんでは「製作せいさく委員いいんかい」という表記ひょうきもちいられず、テレビアニメの製作せいさくクレジットでは、従来じゅうらいどおりに個別こべつ会社かいしゃめい表示ひょうじによる記法きほう活用かつようした。

1999ねんになると、アニメーション制作せいさく会社かいしゃAIC関係かんけいする深夜しんやアニメの作品さくひんのクレジット表記ひょうきで、「製作せいさく委員いいんかい」という表記ひょうきてくる。

1999ねんにAICがアニメーション制作せいさく担当たんとうして放映ほうえいされたアニメ『トラブルチョコレート』では、テレビ朝日てれびあさひやアニメイトフィルムやエイベックスなどが、「トラブルチョコレート製作せいさく委員いいんかい」の一員いちいんとしてクレジット表記ひょうきされた。

また、AIC原作げんさくの1999ねんのアニメ『A.D.POLICE』(テレビアニメばん)では、「製作せいさく」が「A.D.POLICE 製作せいさく委員いいんかい」と表記ひょうきされた。なお、この1999ねんの『A.D.POLICE』のアニメーション制作せいさくは、AICではなく「プラム」というべつ会社かいしゃっている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ キングレコード製作せいさくの『ポプテピピック』、ツインエンジン製作せいさくの『刻刻こくこく』『からくりサーカス』など。
  2. ^ 最初さいしょこそビデオばん販売はんばい促進そくしんだったが、途中とちゅうから参加さんかしたサンセイアールアンドディによるパチンコ機種きしゅ販売はんばい促進そくしん変更へんこうされた。
  3. ^ 名称めいしょうは「フジネットワーク27しゃ」。フジテレビ主幹しゅかん制作せいさく送出そうしゅつのもと、日本にほんテレビ系列けいれつとのクロスネットきょくであるテレビ大分てれびおおいた(2002ねんから2006まで参加さんかしていたころは「フジネットワーク28しゃ」)をのぞいたぜん加盟かめいきょく企画きかく参加さんかあつかいで関与かんよしている。1997ねん以降いこうサブタイトルは『FNS27あいだテレビ』。
  4. ^ 後継こうけい番組ばんぐみの『AKBうさぎ道場どうじょう』でも製作せいさく委員いいんかい方式ほうしき採用さいようされている。
  5. ^ 名称めいしょうは「民間みんかん放送ほうそう43しゃ」(原文げんぶんママ)であり、日本にほんテレビネットワーク協議きょうぎかい(NNS)加盟かめいきょく(29しゃ)、全国ぜんこく独立どくりつ放送ほうそう協議きょうぎかい加盟かめいきょく(12しゃTOKYO MXのぞく)、NNS加盟かめいきょく宮崎みやざきけんTBS系列けいれつきょく宮崎放送みやざきほうそうテレビ宮崎てれびみやざきNNNのみに加盟かめい)が、NNNもふくめて加盟かめいきょく沖縄おきなわけんフジテレビ系列けいれつきょく沖縄テレビ放送おきなわてれびほうそう構成こうせいされている。地方ちほう大会たいかい決勝けっしょうせん中継ちゅうけいは43しゃすべてが個別こべつ担当たんとうするが、独立どくりつきょくとのいにより、日本にほんテレビ東京とうきょう独立どくりつテレビ局てれびきょく不在ふざい地域ちいき茨城いばらきけん讀賣テレビ放送よみうりてれびほうそう大阪おおさかのみを、中京テレビ放送ちゅうきょうてれびほうそう愛知あいちけんのみを担当たんとうする。全国ぜんこく大会たいかい中継ちゅうけい日本にほんテレビが制作せいさく担当たんとうするものの、実況じっきょうは43しゃのスポーツ中継ちゅうけい担当たんとうきょくアナおおむ地方ちほう大会たいかい決勝けっしょうせん中継ちゅうけい担当たんとうしたもの)がまわりで担当たんとうする。全国ぜんこく大会たいかい決勝けっしょうせん中継ちゅうけいは43しゃすべてで実施じっしされる。だい78かい大会たいかいからすべてのNNS加盟かめいきょくおよびとちぎテレビ参加さんか南日本放送みなみにほんほうそう離脱りだつしたため、だい79かい大会たいかい以降いこうからは現在げんざいの43しゃ体制たいせい出来上できあがった。
  6. ^ ぶんじほたるホッチ』(国分寺こくぶんじイメージキャラクター)、『別府べっぷ宣伝せんでん部長ぶちょう べっぴょん』など。
  7. ^ こばと。』および『少年しょうねんアシベ GO! GO! ゴマちゃん』など。2016ねん10がつ以降いこうNHK総合そうごうテレビ深夜しんやアニメわく該当がいとう
  8. ^ NHKが受信じゅしんりょうのみの金銭きんせん収入しゅうにゅうささえられ、コマーシャルメッセージ企業きぎょうによる宣伝せんでん広告こうこく)を放送ほうそう出来できない「公共こうきょう放送ほうそう」であるため、製作せいさく委員いいんかい名称めいしょうのみのクレジットにまり、テレビ放送ほうそうばんのみ参加さんかしている企業きぎょう詳細しょうさいはクレジットされておらず、ビデオグラムはんのみにクレジットされている。このような措置そちのため、漫画まんがやライトノベルなど、既存きそん原作げんさくをアニメした場合ばあい原作げんさくしゃ個人こじん団体だんたい名称めいしょうまでのクレジットにまり、原作げんさく版元はんもと連載れんさいはクレジットされていない。一部いちぶ作品さくひんかぎるが、ビデオグラムばんかぎって原作げんさく版元はんもと掲載けいさいがクレジットされる場合ばあいもある。
  9. ^ 製作せいさく委員いいんかいは「民間みんかん企業きぎょう」でないと参加さんかできず、民間みんかん放送ほうそう事業じぎょうしゃ直接ちょくせつ参加さんかしているのはそのため。

出典しゅってん

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  1. ^ 伊藤いとう雅之まさゆき (2008ねん7がつ15にち). “テレビアニメのDVDはなぜたかい? コンテンツのビジネスモデルをさぐる(1)”. 2008ねん7がつ18にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2013ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  2. ^ 東宝とうほう株式会社かぶしきがいしゃ 新卒しんそつ採用さいよう2020 2019ねん7がつ24にち閲覧えつらん
  3. ^ a b 『90年代ねんだい地方ちほうみん東京とうきょう目指めざしたーーなぜなら「深夜しんやアニメ」があったから』 ルポライター 昼間ひるまたかし の記事きじ
  4. ^ BANDAI CHANNEL『けんふう伝奇でんきベルセルク だい1(24ふん)』 2020ねん4がつ13にち閲覧えつらん
  5. ^ AT-XアニマックスWOWOWなど。
  6. ^ おにめつ』に山崎やまざき賢人けんじん、GACKT、橋本はしもとたまき奈、うごした“実写じっしゃばん”とキャスト候補こうほ - 週刊しゅうかん女性じょせいPRIME
  7. ^ “TVアニメ製作せいさくプロジェクトに特別とくべつ目的もくてき会社かいしゃ活用かつよう. ITmediaニュース (アイティメディア株式会社かぶしきがいしゃ). (2003ねん12月3にち). https://www.itmedia.co.jp/news/0312/03/njbt_03.html 
  8. ^ 映画えいが公式こうしきもしくは会社かいしゃ公式こうしき関連かんれん企業きぎょうかんするページのこう参照さんしょう
  9. ^ a b Satoshi Hanzawa (2024ねん10がつ9にち). “国連こくれん日本にっぽんアニメは「労働ろうどう搾取さくしゅ」 ネットフリックスなどから排除はいじょ”. 日経にっけいESG. 日経にっけいビジネス. 2024ねん10がつ19にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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