覇権はけん

大だい英えい帝国ていこくの地図ちず (1910年ねん時点じてん) 。最盛さいせい期きには歴史れきし上じょう最大さいだいの帝国ていこくであった。

覇権はけん（はけん、英語えいご: Hegemony、発音はつおん: [hɛˈdʒɛməni] ( 音声おんせいファイル)）とは、政治せいじ的てきあるいは経済けいざい的てきあるいは軍事ぐんじ的てきに抜ぬきん出でた国家こっかが他国たこくを支配しはい・統制とうせいすること。

古代こだいギリシア（紀元前きげんぜん8世紀せいきから紀元きげん6世紀せいき）においては、ヘゲモニーとはあるポリス（都市とし国家こっか）が他たのポリスに対たいして政治せいじ的てき・軍事ぐんじ的てきに支配しはい的てきな状態じょうたいにあることを示しめす語かたりだった。この優位ゆういにある国くには「ヘゲモン（覇権はけん国こく・覇者はしゃ）hegemon」として知しられている。

19世紀せいき、ヘゲモニーとは「社会しゃかい的てきあるいは文化ぶんか的てきな優位ゆうい性せいもしくは支配しはい性せい；社会しゃかいまたは環境かんきょうにおいて、一ひとつの集団しゅうだんが大おおきく優位ゆういにあること」を示しめす語かたりとなった。後のちにこれは「あるグループや政府せいふが、社会しゃかいの中なかで並外なみはずれた影響えいきょう力りょくを有ゆうしている」との意味いみにもなった。また、地政学ちせいがく的てきおよび文化ぶんか的てきな意味いみで、ある国くにが他国たこくを圧あつする優位ゆうい性せいを指さすようにもなった。後のちには帝国ていこく主義しゅぎ時代じだいにおいて、列強れっきょうによるヨーロッパの覇権はけんがアフリカ・アジア・ラテンアメリカを覆おおった状況じょうきょうも「ヘゲモニズム（覇権はけん主義しゅぎ）hegemonism」の語かたりで表あらわされるようになった。

国際こくさい関係かんけいにおける覇権はけん

覇権はけん安定あんてい論ろん

詳細しょうさいは「覇権はけん安定あんてい論ろん」を参照さんしょう

覇権はけん安定あんてい論ろん（Hegemonic stability theory）とは経済けいざい学者がくしゃのチャールズ・キンドルバーガーによって発表はっぴょうされ、ロバート・ギルピンによって確立かくりつされた理論りろんである。一いち国こくの覇権はけんで世界せかいが安定あんていし、かつ経済けいざい的てきに発展はってんするには以下いかの条件じょうけんを要ようする。

1. 一いち国こくが圧倒的あっとうてきな政治せいじ力りょく及および経済けいざい力りょく、すなわち覇権はけん（Hegemony）を有ゆうしていること。
2. 覇権はけん国こくが自由じゆう市場いちばを理解りかいし、それを実現じつげんするために国際こくさい体制たいせいを構築こうちくしようとすること。
3. 覇権はけん国こくによって国際こくさい体制たいせいの中なかで利益りえきを享受きょうじゅすること。

ある単一たんいつの国くにが圧倒的あっとうてきな覇権はけんを掌握しょうあくしておくことで国際こくさい社会しゃかいは安定あんていするというものではない。覇権はけん国こくが諸国しょこくに利益りえきを提供ていきょうすることができる国際こくさい体制たいせいを構築こうちく・維持いじする点てんが重要じゅうようである。この体制たいせいが諸国しょこくにとって有益ゆうえきなものである限かぎり、非ひ覇権はけん国こくは自みずから国際こくさい体制たいせいを築きずくことなく円滑えんかつな経済けいざい活動かつどうを行おこなうことができる。

覇権はけん循環じゅんかん論ろん

覇権はけん循環じゅんかん論ろん（hegemonic cycle theory）は、近きん現代げんだいの国際こくさい関係かんけいについてジョージ・モデルスキーによって唱となえられた理論りろん。

概おおむね16世紀せいき以降いこう、世界せかいの政治せいじ・経済けいざい・軍事ぐんじ他た覇権はけんは欧米おうべいを中心ちゅうしんにある特定とくていの大国たいこくによりその時代じだい担になわれ、その地位ちいの循環じゅんかんを繰くり返かえすとする。この世界せかい大国たいこくは歴代れきだい16世紀せいきのポルトガル、17世紀せいきのオランダ、18世紀せいきと19世紀せいきの大だい英えい帝国ていこく、20世紀せいきのアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくといった具合ぐあいに2世紀せいき連続れんぞくしてその地位ちいを務つとめた大だい英えい帝国ていこくを例外れいがいとし、大体だいたい1世紀せいきで交代こうたいするものとされその覇権はけんに異議いぎを唱となえ対抗たいこうするのはスペイン、フランス、ドイツ、ソ連それんといった大陸たいりく国こくで、決きまって勝利しょうりすることは無ない。

新興しんこう大国たいこくが既存きそんの世界せかい大国たいこくに反旗はんきを翻ひるがえし世界せかいの不安定ふあんてい性せいが増ました際さいに決きまって世界せかい戦争せんそうが起おこり、そこで新興しんこう大国たいこくは敗北はいぼくし先代せんだいの世界せかい大国たいこくの側がわに付つき共どもに戦たたかった国くにが新あたらしい世界せかい大国たいこくの地位ちいを得えるとする。世界せかい大国たいこくとなる条件じょうけんには

• 外界がいかいに対たいして開ひらかれた島国しまぐにもしくは半島はんとう国くにであること。
• 内政ないせいに競合きょうごうがあり、しかも政局せいきょくが安定あんてい（例れいとしては大だい英えい帝国ていこくの保守党ほしゅとうと労働党ろうどうとう、アメリカの共和党きょうわとうと民主党みんしゅとうの二に大だい政党せいとう制せい）していること。
• 世界中せかいじゅうにその意思いしを知しらしめ影響えいきょう力りょくを行使こうしする暴力ぼうりょく装置そうち（例れいとしては強力きょうりょくな海軍かいぐんや情報じょうほう機関きかん）を持もっていること。

などを要ようするとされる。

ポスト覇権はけん

詳細しょうさいは「ポストヘゲモニー」を参照さんしょう

覇権はけんが、もはや国家こっかまたはポスト国家こっか社会しゃかい秩序ちつじょの組織そしき原則げんそく、または世界せかい秩序ちつじょ内ないの国家こっか間あいだの関係かんけいとして機能きのうしないと言いわれる期間きかんまたは状況じょうきょうのこと。

米国べいこくの衰退すいたい

詳細しょうさいは「アメリカの衰退すいたい」を参照さんしょう

フランスの社会しゃかい学者がくしゃエマニュエル・トッドは、超ちょう大国たいこくとしての米国べいこくの最終さいしゅう的てきな衰退すいたいと崩壊ほうかいを予測よそくしている。「何なん年ねんも問題もんだい解決かいけつ者しゃとして認識にんしきされた後のち、米国べいこく自体じたいは今いまや世界せかいの他ほかの国々くにぐににとって問題もんだいとなっている」。2010年代ねんだい以降いこう、米国べいこく内ないの非対称ひたいしょう的てきな二に極きょく化か、世界せかい的てきに認識にんしきされている米国べいこくの外交がいこう政策せいさくの失敗しっぱい、および世界中せかいじゅうで中国ちゅうごくの影響えいきょう力りょくの高たかまりの結果けっか、一部いちぶの学者がくしゃや地政学ちせいがく専門せんもん家かは、米国べいこくはすでに世界中せかいじゅうのソフト・パワーの衰退すいたいを経験けいけんしている可能かのう性せいがあると主張しゅちょうしている。

関連かんれん項目こうもく

• 文化ぶんかヘゲモニー
• 中核ちゅうかく
• 宗主そうしゅ国こく
• 中華ちゅうか思想しそう
• 大陸たいりく国家こっか
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• 勢力せいりょく均衡きんこう
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