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ちょう軽量けいりょう動力どうりょく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
飛行ひこうちゅうのウルトラライトプレーン、Huntair Pathfinder

ちょう軽量けいりょう動力どうりょく(ちょうけいりょうどうりょくき)は、非常ひじょう軽量けいりょうかつ簡単かんたん構造こうぞう機体きたいゆうする動力どうりょくづけ航空機こうくうき[1]

アメリカではウルトラライトプレーンえい: ultralight)、ヨーロッパではマイクロライトプレーンえい: Microlight)とんでいる。こくごとに分類ぶんるい呼称こしょうことなり、たとえばオーストラリアにおいてはウルトラライトとマイクロライトとはことなる型式けいしき軽量けいりょうであり、区別くべつして定義ていぎされている。日本にっぽん航空こうくう行政ぎょうせい当局とうきょくである国土こくど交通省こうつうしょう航空局こうくうきょくはマイクロライトプレーンのうち一定いってい基準きじゅんたす飛行機ひこうきを「ちょう軽量けいりょう動力どうりょく」と定義ていぎしている。

この記事きじではウルトラライトプレーンマイクロライトプレーンちょう軽量けいりょう動力どうりょく(ちょうけいりょうどうりょくき)について解説かいせつする。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ちょう軽量けいりょう動力どうりょくづけ航空機こうくうき1975ねんころからアメリカを中心ちゅうしんもちいられるようになった[1]初期しょきのものはハンググライダー軽量けいりょう簡単かんたん構造こうぞう機体きたいに、改良かいりょうくわえた農業のうぎょうようエンジンとう小型こがた原動機げんどうき搭載とうさいしたものであった[1]

マイクロライトプレーンは、1970年代ねんだいわりころから1980年代ねんだい初頭しょとうにかけて手頃てごろ動力どうりょく飛行ひこうおおくの人々ひとびともとめた結果けっかおおくのくに航空こうくう行政ぎょうせい当局とうきょくによって最小限さいしょうげん法規ほうき適用てきようける、軽量けいりょう低速ていそく飛行ひこう飛行機ひこうきとして定義ていぎされたものである。重量じゅうりょう速度そくど限界げんかい規定きていくにによってことなるが、一般いっぱんに "ultralight" あるいは "microlight" とばれる。マイクロライトプレーンの認証にんしょうをする保安ほあん基準きじゅんくにによってことなり、イギリスイタリアスウェーデンならびにドイツのものはもっときびしく、フランスやアメリカのものはいにひとしい。マイクロライトプレーンについての法規ほうきとくさだめていないくにでは、通常つうじょう航空機こうくうきとしてみなされ、機体きたい操縦そうじゅうしゃには認可にんか条件じょうけんせられる。

イギリスやインドニュージーランドでは "microlight aircraft" とばれ、フランスでは ULM(Ultra Leger Motorisé)とばれる。オーストラリアでは体重たいじゅう移動いどうによって操縦そうじゅうするものを "microlight"、かじめん操縦そうじゅうがたのものを "ultralight" とける。

マイクロライトプレーンは、「トライク」ともばれるハンググライダーエンジンプロペラせただけのシンプルなものから、けい飛行機ひこうき見紛みまがうくらいの、通常つうじょうけい飛行機ひこうきおな構造こうぞうものまで様々さまざま形態けいたいがある。

スカイスポーツ組織そしきである国際こくさい航空こうくう連盟れんめい(FAI)による定義ていぎでは、失速しっそく速度そくどが65 km/h(40 mph以下いかで、重量じゅうりょうが450 kg(992ポンド以下いかとされている。この定義ていぎにより、エンジンが故障こしょうしたさいでも対応たいおうできるような、おそ着陸ちゃくりく速度そくどみじか着陸ちゃくりく滑走かっそう距離きょり能力のうりょくとしてもとめられる。また、水上すいじょう水陸すいりく両用りょうようには最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうに10 %の増量ぞうりょうみとめられ、ドイツやポーランド、フランスなど、パラシュート設置せっちにさらに5 %の増量ぞうりょうみとめられるくにもある。

タイプ[編集へんしゅう]

かじめん操縦そうじゅうがた[編集へんしゅう]

昇降しょうこうかじ方向ほうこうかじ補助ほじょつばさゆうし、この3かじにより機体きたいをコントロールするタイプ。 

体重たいじゅう移動いどう操縦そうじゅうがた[編集へんしゅう]

トライクともばれる。ハンググライダー座席ざせき降着こうちゃく装置そうちとエンジンをけたような機体きたい日本にっぽんでは降着こうちゃく装置そうちあし使つかって離着陸りちゃくりくするもの降着こうちゃく装置そうちはあるが離着陸りちゃくりくあし接地せっちしているものふくめて)はのぞかれる。

パラシュート がた[編集へんしゅう]

パラグライダーに、座席ざせき降着こうちゃく装置そうちとエンジンをけたような機体きたい日本にっぽんでは降着こうちゃく装置そうちあし使つかって離着陸りちゃくりくするもの降着こうちゃく装置そうちはあるが離着陸りちゃくりくあし接地せっちしているものふくめて)はのぞかれる。

オーストラリア[編集へんしゅう]

オーストラリアでの娯楽ごらくよう航空機こうくうきおおくのカテゴリに分類ぶんるいされるが[2]もっと一般いっぱんてきなカテゴリはつぎ規定きていたす必要ひつようがある。

  • 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうが544 kg (1,199 lb)以下いか水上すいじょう飛行機ひこうきは614 kg (1,354 lb)以下いか)。
  • 着陸ちゃくりく体勢たいせいでの失速しっそく速度そくどは45ノットまん
  • 定員ていいんは2めい以下いか

軽量けいりょうスポーツ航空機こうくうきあたらしい認証にんしょう2006ねん1がつ7にち施行しこうされた[3]。このカテゴリは前述ぜんじゅつのカテゴリのえではなく、つぎ規定きていたすあたらしいカテゴリである。

これらのいずれのカテゴリも、メーカーせい航空機こうくうき自家製じかせい航空機こうくうき区別くべつされる。

オーストラリアでは"microlight aircraft"は定員ていいんが1めいまたは2めい体重たいじゅう移動いどう操縦そうじゅうする、最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうが450 kg (992 lb)以下いかのものとして"Civil Aviation Safety Authority"によって規定きていされている。オーストラリアでは"microlight aircraft"は"ultralight trikes"(ウルトラライトトライク)ともばれ、3かじによって操縦そうじゅうする"ultralight aircraft"とは区別くべつされる。

オーストラリアでは、"microlight aircraft"とその操縦そうじゅうしゃは"Hang Gliding Federation of Australia" (HGFA)[4]または or "Recreational Aviation Australia" (RA Aus)のいずれかに登録とうろくされる[5]自家製じかせい単座たんざ"ultralight aeroplane"をのぞ[6]、 "microlight aircraft"やトライクのいずれの場合ばあいもCivil Aviation Regulationsによって規定きていされている。

日本にっぽん[編集へんしゅう]

国土こくど交通省こうつうしょう航空局こうくうきょく文書ぶんしょによると、ちょう軽量けいりょう動力どうりょくとは、日本にっぽん国土こくど交通省こうつうしょう航空局こうくうきょく航空こうくう情報じょうほうサーキュラー(AIC)[7]なか規定きていされ、操縦そうじゅうしゃ着座ちゃくざ姿勢しせい飛行ひこうおこないうる着陸ちゃくりくみず装置そうちおよ動力どうりょく装置そうち装備そうびした簡易かんい構造こうぞう飛行機ひこうきのうち、以下いか条件じょうけんたしている飛行機ひこうきのことを[8]

  1. 区分くぶんは、かじめん操縦そうじゅうがた体重たいじゅう移動いどう操縦そうじゅうがたおよびパラシュートがたとする。
  2. 単座たんざまたふくであること。
  3. 自重じちょうは、単座たんざのものは180 Kg以下いかふくのものは225 Kg以下いか(「K」が大文字おおもじなのは原文げんぶんどおり)
  4. つばさ面積めんせきは10平方へいほうm以上いじょうであること。
  5. 失速しっそく速度そくど65 km/h以下いかであること。
  6. 最大さいだい水平すいへい速度そくど185 km/h以下いかであること。
  7. 推進すいしんりょくプロペラによってるものであること。
  8. 車輪しゃりんそりフロートひとし着陸ちゃくりく装置そうち装備そうびしたものであること。
  9. 燃料ねんりょう容量ようりょうは、30リットル以下いかであること。
  10. たい速度そくどけいおよ高度こうどけい装備そうびしたものであること。

ちょう軽量けいりょう動力どうりょく運行うんこうは、国土こくど交通省こうつうしょう航空局こうくうきょく指定してい許可きょかることで可能かのうとなる。ちょう軽量けいりょう動力どうりょくは、一般いっぱん飛行機ひこうきよりも飛行ひこうさせるための許可きょかるのが簡単かんたんになっている。

一般いっぱん飛行機ひこうき必要ひつようたいそら証明しょうめい操縦そうじゅうしゃ技能ぎのう証明しょうめい必要ひつようなく(自動車じどうしゃたとえれば、車検しゃけん運転うんてん免許めんきょ必要ひつようないのと同様どうよう)、機体きたい操縦そうじゅうしゃ離着陸りちゃくりく場所ばしょについて、事前じぜん航空こうくうほううえ許可きょか取得しゅとくすればばすことが可能かのうである。許可きょかについては、以下いかの3てん必要ひつようとなる。

  1. 航空こうくうほうだい11じょうだい1こうただ航空機こうくうき許可きょか
  2. 航空こうくう法規ほうきだい28じょうだい3こう操縦そうじゅうしゃ許可きょか
  3. 航空こうくう法規ほうきだい79じょうただき(飛行場ひこうじょう許可きょか

自動車じどうしゃなどにくらべれば手続てつづきは煩雑はんざつだが、それでも免許めんきょ不要ふようであるなど、航空機こうくうきなかではもっと申請しんせい手軽てがる部類ぶるいである。そのため、近年きんねん[いつ?]愛好あいこうしゃえていっている。

なお、これらの許可きょかは1年間ねんかん有効ゆうこうであり、毎年まいとし申請しんせいする必要ひつようがある。

制限せいげん

日本にっぽんでは基本きほんてきに、いえ道路どうろのある区域くいきではべず、ひろ空間くうかんぶためにはおおきな河川かせん海辺うみべなどの地域ちいき限定げんていされる。またった場所ばしょとはべつ場所ばしょりることもゆるされていない。そのため、交通こうつう手段しゅだんとしては使つかえないレジャースポーツ目的もくてき機体きたいである。

問題もんだいてん

ウルトラライトプレーンは、そらものではあるが、それを操縦そうじゅうするために操縦そうじゅう技能ぎのう証明しょうめいしょ自家用じかよう操縦そうじゅう事業じぎょうよう操縦そうじゅう)を取得しゅとくする必要ひつようはないため、航空こうくう工学こうがく知識ちしき操縦そうじゅうかんする知識ちしき技能ぎのうなどがとぼしいまま操縦そうじゅうするものがおり、その結果けっか初歩しょほてきヒューマンエラー人的じんてきミス、過失かしつ)による航空こうくう事故じこ多数たすうこっている[9]国土こくど交通省こうつうしょう航空こうくう鉄道てつどう事故じこ調査ちょうさ委員いいんかいによる航空機こうくうき事故じこ調査ちょうさ報告ほうこくしょによれば、離陸りりくどき急激きゅうげき機首きしゅあたまげにともな失速しっそく墜落ついらく航空機こうくうき特性とくせい理解りかい不足ふそく操縦そうじゅう技量ぎりょう未熟みじゅく)、急激きゅうげき旋回せんかいによる空中くうちゅう分解ぶんかい機体きたい制限せいげん事項じこうたいする理解りかい不足ふそく)、着陸ちゃくりくどき操縦そうじゅう操作そうさあやま墜落ついらく操縦そうじゅう技量ぎりょう未熟みじゅく)、離陸りりく滑走かっそうなか操作そうさあやまる(操縦そうじゅう技量ぎりょう未熟みじゅく)、自作じさく自己流じこりゅう改造かいぞうによる機体きたい部品ぶひん破損はそん墜落ついらく航空機こうくうき構造こうぞうなどの理解りかい不足ふそく)などのヒューマンエラーでの死亡しぼう事故じこ多数たすう報告ほうこくされている。報告ほうこくしょないでは、教育きょういく訓練くんれん不足ふそくによる問題もんだい記述きじゅつしており、技量ぎりょう知識ちしきひくさを指摘してきし、これらのてん改善かいぜんすべきであるとの記載きさいがある[よう出典しゅってん]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 日本航空にほんこうくう協会きょうかい日本航空にほんこうくう 昭和しょうわ戦後せんごへん』1992ねん、493ぺーじ
  2. ^ http://www.raa.asn.au/operations/regulations.html Accessed 25 Nov 2010
  3. ^ http://www.raa.asn.au/operations/LSA_explained.html Accessed 25 Nov 2010
  4. ^ Hang Gliding Federation of Australia (undated). “The HGFA”. 2008ねん5がつ25にち閲覧えつらん
  5. ^ Recreational Aviation Australia Inc (2007ねん8がつ). “About the RA-Aus association and our mission”. 2008ねん5がつ25にち閲覧えつらん
  6. ^ Legal Services Group Civil Aviation Safety Authority (2007ねん7がつ). “PART 200 Aircraft to which CASR do not apply”. 2008ねん5がつ25にち閲覧えつらん
  7. ^ 用語ようごしゅう A~C - 国土こくど交通省こうつうしょう>航空こうくう>航空こうくう行政ぎょうせい概要がいよう更新こうしん不明ふめい)2018ねん5がつ19にち閲覧えつらん
  8. ^ ちょう軽量けいりょう動力どうりょくまたはジャイロプレーンにかんする試験しけん飛行ひこうとう許可きょかについて(国土こくど交通省こうつうしょう航空局こうくうきょくサーキュラー)
  9. ^ ちょう軽量けいりょう動力どうりょくとう安全あんぜん飛行ひこうのために”. 運輸うんゆ安全あんぜん委員いいんかい. 2023ねん5がつ10日とおか閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]