この
記事 きじ は
特 とく に
記述 きじゅつ がない
限 かぎ り、
日本 にっぽん 国内 こくない の
法令 ほうれい について
解説 かいせつ しています。また
最新 さいしん の
法令 ほうれい 改正 かいせい を
反映 はんえい していない
場合 ばあい があります。
ご自身 じしん が現実 げんじつ に遭遇 そうぐう した事件 じけん については法律 ほうりつ 関連 かんれん の専門 せんもん 家 か にご相談 そうだん ください。 免責 めんせき 事項 じこう もお読 よ みください。
自己 じこ 株式 かぶしき (じこかぶしき、英 えい : Treasury stock 、英 えい : Treasury share )は、株式会社 かぶしきがいしゃ が有 ゆう する自己 じこ の株式 かぶしき をいう。金庫 きんこ 株 かぶ (きんこかぶ)、社内 しゃない 株 かぶ とも呼 よ ばれる。
株式会社 かぶしきがいしゃ の立場 たちば から見 み て「自己 じこ 株式 かぶしき 」は、日本語 にほんご としては
当該 とうがい 株式会社 かぶしきがいしゃ の発行 はっこう する株式 かぶしき
当該 とうがい 株式会社 かぶしきがいしゃ の発行 はっこう する株式 かぶしき のうち、当該 とうがい 株式会社 かぶしきがいしゃ が自 みずか ら保有 ほゆう するもの
の可能 かのう 性 せい が考 かんが えられるが、2006年 ねん に日本 にっぽん で施行 しこう された会社 かいしゃ 法 ほう では、自己 じこ 株式 かぶしき を「株式会社 かぶしきがいしゃ が有 ゆう する自己 じこ の株式 かぶしき 」と定義 ていぎ しており(113条 じょう 4項 こう )、「自己 じこ の株式 かぶしき 」と「自己 じこ 株式 かぶしき 」とが明確 めいかく に呼 よ び分 わ けられている(少 すく なくとも同 どう 法 ほう 条文 じょうぶん 上 じょう は自己 じこ 株式 かぶしき は自己 じこ の株式 かぶしき の一部 いちぶ ということになる)。
株式会社 かぶしきがいしゃ は新株 しんかぶ を発行 はっこう することで発行済 はっこうずみ 株式 かぶしき 総数 そうすう を増 ふ やし、資金 しきん を調達 ちょうたつ する。自己 じこ 株式 かぶしき を取得 しゅとく することはこの反作用 はんさよう 、すなわち、既 すんで 発行 はっこう の株式 かぶしき を入手 にゅうしゅ 回収 かいしゅう (自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく ) し、手元 てもと 資金 しきん を放出 ほうしゅつ して、発行済 はっこうずみ 株式 かぶしき のうち自己 じこ 株式 かぶしき 以外 いがい の総数 そうすう を減 へ らす働 はたら きを持 も つ。取得 しゅとく された自己 じこ 株式 かぶしき は、それ以外 いがい の自己 じこ の株式 かぶしき と区別 くべつ して扱 あつか われることがある(例 れい として、新株 しんかぶ 予約 よやく 権 けん 発行 はっこう 可能 かのう 数 すう の算出 さんしゅつ 時 じ )。また、様々 さまざま な目的 もくてき のために処理 しょり (再度 さいど 放出 ほうしゅつ (自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん ) または消却 しょうきゃく (自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく ) )されることがある。
自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく は、米国 べいこく においては、多 おお くの州 しゅう によって古 ふる くから一般 いっぱん 的 てき に認 みと められていた。一方 いっぽう 、英国 えいこく においては絶対 ぜったい 禁止 きんし とされていたことがあり、ドイツ においても「会社 かいしゃ の重大 じゅうだい な損害 そんがい を避 さ けるために必要 ひつよう な場合 ばあい 」には、資本 しほん の一 いち 割 わり を限度 げんど として自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく を認 みと める[1] 等 ひとし 、国 くに によって規制 きせい は一様 いちよう ではなかった。
日本 にっぽん においては、次 つぎ のとおり制度 せいど 変更 へんこう を経 へ て現在 げんざい に至 いた っている。(商法 しょうほう 改正 かいせい 全般 ぜんぱん については、商法 しょうほう の改正 かいせい 参照 さんしょう )
まず、1890年 ねん (明治 めいじ 23年 ねん )に商法 しょうほう が制定 せいてい された当時 とうじ は、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく が絶対 ぜったい 禁止 きんし とされていた[2] 。これは株式 かぶしき が、株主 かぶぬし の会社 かいしゃ に対 たい する権利 けんり 義務 ぎむ の主体 しゅたい であることから会社 かいしゃ が取得 しゅとく できると民法 みんぽう 第 だい 520条 じょう の混同 こんどう の法理 ほうり に反 はん する(出資 しゅっし を募 つの った株式 かぶしき が戻入 れいにゅう されたのだから消滅 しょうめつ すべきではないか)と考 かんが えられること、かつ、会社 かいしゃ が同時 どうじ に株主 かぶぬし (構成 こうせい 員 いん ・社員 しゃいん )になることが不可能 ふかのう だからであるという理論 りろん に基 もと づくものであった[3] 。もっとも、実際 じっさい 界 かい や学界 がっかい はその緩和 かんわ を望 のぞ んでおり、株主 かぶぬし 失権 しっけん 、株式 かぶしき 消却 しょうきゃく および合併 がっぺい の場合 ばあい に一時 いちじ 的 てき な自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく が可能 かのう であると解釈 かいしゃく 上 じょう 、認 みと められていたこともあり、社団 しゃだん の法理 ほうり に基 もと づく前述 ぜんじゅつ の理由 りゆう だけでは禁止 きんし の説明 せつめい に窮 きゅう する上 うえ 、有価 ゆうか 証券 しょうけん たる株式 かぶしき は発行 はっこう 会社 かいしゃ 自体 じたい も理論 りろん 上 じょう 、有効 ゆうこう に取得 しゅとく し得 え るとされていた(通説 つうせつ )[4] 。
そこで、1938年 ねん (昭和 しょうわ 13年 ねん )の商法 しょうほう 改正 かいせい により、(1)株式 かぶしき の消却 しょうきゃく 、(2)合併 がっぺい ・営業 えいぎょう 譲渡 じょうと および(3)権利 けんり の実行 じっこう の3つが初 はじ めて例外 れいがい 的 てき 許容 きょよう 事項 じこう として明文 めいぶん で規定 きてい された。
もっとも、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく が原則 げんそく 禁止 きんし とされたのは、
会社 かいしゃ 財産 ざいさん の充実 じゅうじつ を害 がい し会社 かいしゃ 債権 さいけん 者 しゃ および会社 かいしゃ の利益 りえき を害 がい する
会社 かいしゃ の内情 ないじょう に通 つう じた取締役 とりしまりやく 等 とう が株価 かぶか 下落 げらく 時 じ に自己 じこ の株式 かぶしき を買 か い占 し めた後 のち 、価格 かかく を高騰 こうとう させる投機 とうき 取引 とりひき を行 おこな い、一般 いっぱん 投資 とうし 家 か ・株主 かぶぬし を欺瞞 ぎまん する弊 へい がある(食 く い逃 に げ増資 ぞうし )
会社 かいしゃ が自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく による株価 かぶか の維持 いじ 工作 こうさく 、増資 ぞうし のための株価 かぶか 工作 こうさく (株価 かぶか のてこ入 い れまたは工作 こうさく 買 か い)などにより不当 ふとう な株価 かぶか 操縦 そうじゅう を行 おこな い、一般 いっぱん 投資 とうし 家 か を欺瞞 ぎまん する弊 へい がある
取締役 とりしまりやく が株式 かぶしき の価値 かち に影響 えいきょう する内部 ないぶ 情報 じょうほう を利用 りよう して自己 じこ の株式 かぶしき の有利 ゆうり な売買 ばいばい を行 おこな うと、一般 いっぱん 投資 とうし 家 か を害 がい する虞 おそれ が多 おお い。
自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく を認 みと めた場合 ばあい に、方法 ほうほう ・対価 たいか いかんによっては、特定 とくてい の株主 かぶぬし を優遇 ゆうぐう する結果 けっか になり株主 かぶぬし 平等 びょうどう の原則 げんそく に反 はん する。
会社 かいしゃ 支配 しはい 権 けん を維持 いじ する目的 もくてき で、会社 かいしゃ 理事 りじ 者 しゃ が会社 かいしゃ の計算 けいさん で他人 たにん 名義 めいぎ で株式 かぶしき を取得 しゅとく して、その議決 ぎけつ 権 けん を利用 りよう するときは、株主 かぶぬし および会社 かいしゃ 債権 さいけん 者 しゃ の利益 りえき が害 がい され、資本 しほん 参加 さんか を伴 ともな わない総会 そうかい 決議 けつぎ 支配 しはい 等 とう の弊 へい が生 しょう じる。
会社 かいしゃ が株式 かぶしき の買占 かいし めを行 おこな った者 もの から株式 かぶしき を高価 こうか に買取 かいと る場合 ばあい には、会社 かいしゃ に対 たい して財産 ざいさん 的 てき 損害 そんがい を与 あた えるとともに、いわゆる会社 かいしゃ 荒 あ らしを助長 じょちょう する弊 へい が大 おお きい。
等 ひとし の理由 りゆう によるものとされており、このため、許容 きょよう 事項 じこう を限定 げんてい 列挙 れっきょ するに留 とど まっていた。
もっとも、1.については配当 はいとう 可能 かのう 利益 りえき を財源 ざいげん とした場合 ばあい には弊 へい がないこと、2.については投機 とうき 取引 とりひき のために会社 かいしゃ 財産 ざいさん を処分 しょぶん する罪 つみ ・株主 かぶぬし の差止 さしどめ 請求 せいきゅう 権 けん による抑止 よくし 、3.については証券 しょうけん 取引 とりひき 法 ほう 第 だい 125条 じょう ・58条 じょう 等 とう による弊害 へいがい の防止 ぼうし 、4.については市場 いちば 取引 とりひき を通 つう じた場合 ばあい には該当 がいとう しづらいこと、5.については取締役 とりしまりやく の忠実 ちゅうじつ 義務 ぎむ 等 とう 、6.および7.については不法 ふほう 行為 こうい 自体 じたい の抑止 よくし など、法令 ほうれい により対策 たいさく が施 ほどこ されていた。
とはいえ、これらの場合 ばあい の違法 いほう の追及 ついきゅう には実際 じっさい 上 じょう 、立証 りっしょう の困難 こんなん が伴 ともな いやすいことから、法律 ほうりつ 政策 せいさく 上 じょう の理由 りゆう で、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく が原則 げんそく として禁止 きんし とされた。
1950年 ねん (昭和 しょうわ 25年 ねん )の商法 しょうほう 改正 かいせい により、合併 がっぺい ・営業 えいぎょう 譲渡 じょうと に株式 かぶしき 買取 かいとり 請求 せいきゅう 権 けん 制度 せいど が導入 どうにゅう されたことに伴 ともな い、(4)合併 がっぺい ・営業 えいぎょう 譲渡 じょうと における反対 はんたい 株主 かぶぬし 買取 かいとり 請求 せいきゅう 権 けん の行使 こうし が、新 あら たに例外 れいがい 的 てき 許容 きょよう 事項 じこう として追加 ついか された。続 つづ いて、1966年 ねん (昭和 しょうわ 41年 ねん )の商法 しょうほう 改正 かいせい で、株式 かぶしき の譲渡 じょうと 制限 せいげん に関 かん する定款 ていかん 変更 へんこう についても株主 かぶぬし 買取 かいとり 請求 せいきゅう 権 けん 制度 せいど が導入 どうにゅう され、合併 がっぺい ・営業 えいぎょう 譲渡 じょうと に加 くわ え、例外 れいがい 的 てき 許容 きょよう 事項 じこう として追加 ついか されている。
1994年 ねん (平成 へいせい 6年 ねん )の商法 しょうほう 改正 かいせい により、新 あら たに(5)使用人 しようにん に譲渡 じょうと する場合 ばあい 、(6)定時 ていじ 総会 そうかい 決議 けつぎ で利益 りえき により株式 かぶしき を消却 しょうきゃく する場合 ばあい 、(7)譲渡 じょうと 制限 せいげん 会社 かいしゃ における買受 かいうけ 人 じん として指定 してい の請求 せいきゅう をされた場合 ばあい についても自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく ができることとされた。取得 しゅとく に関 かん する目的 もくてき が緩和 かんわ されたことに伴 ともな い、これを補 おぎな うものとして以下 いか の方策 ほうさく が手当 てあ てされた。
手続 てつづき 規制 きせい (株主 かぶぬし 総会 そうかい 決議 けつぎ を要 よう し、かつ買付 かいつ けは公開 こうかい の場 ば で行 おこな う)
財源 ざいげん 規制 きせい (対価 たいか の支出 ししゅつ は配当 はいとう 利益 りえき に限定 げんてい される)
数量 すうりょう 規制 きせい (発行済 はっこうずみ 株式 かぶしき の一定 いってい 割合 わりあい を取得 しゅとく の上限 じょうげん とする)
開示 かいじ 規制 きせい (営業 えいぎょう 報告 ほうこく 書 しょ に記載 きさい を要 よう する)
また、証券 しょうけん 取引 とりひき 法 ほう においては自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく に関 かん する不 ふ 公正 こうせい 取引 とりひき に対処 たいしょ する規定 きてい の整備 せいび が進 すす められ、自己 じこ 株券 かぶけん 買付 かいつけ 状況 じょうきょう 報告 ほうこく 書 しょ の提出 ていしゅつ が義務付 ぎむづ けられた。
1997年 ねん (平成 へいせい 9年 ねん )には、株式 かぶしき の消却 しょうきゃく の手続 てつづき に関 かん する商法 しょうほう の特例 とくれい に関 かん する法律 ほうりつ (平成 へいせい 9年 ねん 法律 ほうりつ 第 だい 55号 ごう 、消却 しょうきゃく 特例 とくれい 法 ほう )が施行 しこう され、定款 ていかん に定 さだ めを置 お くことで、取締役 とりしまりやく 会 かい 決議 けつぎ で利益 りえき により株式 かぶしき を消却 しょうきゃく することができるものとされ、手続 てつづき 規制 きせい の一部 いちぶ が緩和 かんわ された。この際 さい 、取締役 とりしまりやく 会 かい 決議 けつぎ で自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく できる旨 むね のほか、その効力 こうりょく 発生 はっせい 開始 かいし 時期 じき および取得 しゅとく することができる株式 かぶしき 数 すう の上限 じょうげん を定 さだ めなければならなかった。
2001年 ねん (平成 へいせい 13年 ねん )の商法 しょうほう 改正 かいせい は議員 ぎいん 立法 りっぽう により行 おこな われ、その際 さい 、目的 もくてき 規制 きせい および数量 すうりょう 規制 きせい を法文 ほうぶん 上 じょう から完全 かんぜん に無 な くし、併 あわ せて処分 しょぶん 義務 ぎむ も廃止 はいし し取得 しゅとく した自己 じこ 株式 かぶしき の保有 ほゆう を認 みと めた。これにより、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく は、原則 げんそく 禁止 きんし から方向 ほうこう 転換 てんかん がなされ、配当 はいとう 可能 かのう 利益 りえき の範囲 はんい 内 ない であれば定時 ていじ 株主 かぶぬし 総会 そうかい の決議 けつぎ によって行 おこな えるようになった。これに伴 ともな い、前述 ぜんじゅつ の消却 しょうきゃく 特例 とくれい 法 ほう は廃止 はいし された。当時 とうじ のニュースでは、金庫 きんこ 株 かぶ 解禁 かいきん という言葉 ことば が頻繁 ひんぱん に使用 しよう された。これにより、自己 じこ の株式 かぶしき は急増 きゅうぞう するに至 いた り、バブル期 き に集 あつ めすぎた過剰 かじょう 資金 しきん 、不景気 ふけいき による資金 しきん 需要 じゅよう の低迷 ていめい 、株式 かぶしき 持合 もちあ いの解消 かいしょう 等 とう が重 かさ なった結果 けっか 、増資 ぞうし 額 がく を自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく 額 がく が上回 うわまわ る事態 じたい となった。
2003年 ねん (平成 へいせい 15年 ねん )の商法 しょうほう 改正 かいせい によって、定款 ていかん 授権による取締役 とりしまりやく 会 かい 決議 けつぎ に基 もと づく自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく が解禁 かいきん (商法 しょうほう 第 だい 211条 じょう ノ3)となり、手続 てつづ きの簡便 かんべん さも手伝 てつだ って自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく が普及 ふきゅう し始 はじ めた。特 とく に上場 じょうじょう 会社 かいしゃ による自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく は、証券 しょうけん 市場 いちば に対 たい し会社 かいしゃ が現在 げんざい の株価 かぶか を割安 わりやす と考 かんが えているサインを伝 つた える、いわゆる「シグナリング効果 こうか 」があるとされている。
2006年 ねん (平成 へいせい 18年 ねん )に会社 かいしゃ 法 ほう が施行 しこう されたが、改正 かいせい 商法 しょうほう の趣旨 しゅし (自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく の自由 じゆう 化 か )は引 ひ き継 つ がれ現在 げんざい に至 いた っている。もっとも法文 ほうぶん 構成 こうせい 自体 じたい は商法 しょうほう 時代 じだい と同 おな じく、許容 きょよう 事項 じこう を限定 げんてい 列挙 れっきょ する形 かたち を採 と っている。なお、海外 かいがい からの日本 にっぽん 株 かぶ への資金 しきん 流入 りゅうにゅう (対外 たいがい 直接 ちょくせつ 投資 とうし )が増加 ぞうか したこと等 とう により、アメリカ的 てき な考 かんが え方 かた として「自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく は、配当 はいとう と同様 どうよう に株主 かぶぬし 還元 かんげん の一 ひと つである」という考 かんが え方 かた も浸透 しんとう しつつあり、配当性向 はいとうせいこう に替 か わり総 そう 還元 かんげん 性向 せいこう (配当 はいとう 総額 そうがく と自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく 額 がく の合計 ごうけい を、当期 とうき 純 じゅん 利益 りえき 等 とう で除 じょ して株主 かぶぬし 還元 かんげん 率 りつ を示 しめ す考 かんが え方 かた )を採用 さいよう する上場 じょうじょう 会社 かいしゃ も現 あらわ れている。
自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく することのメリットとして、次 つぎ のことが挙 あ げられる。
株式 かぶしき の持 も ち合 あ い解消 かいしょう のため株式 かぶしき が市場 いちば で売却 ばいきゃく されると株価 かぶか が下落 げらく する恐 おそ れがあるが、自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく することにより市場 いちば に流通 りゅうつう する発行済 はっこうずみ 株式 かぶしき 数 すう を減少 げんしょう させることで需給 じゅきゅう バランスを調整 ちょうせい し、株価 かぶか の維持 いじ が期待 きたい できること
前述 ぜんじゅつ のとおり、上場 じょうじょう 会社 かいしゃ の場合 ばあい 、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく を決定 けってい することにより証券 しょうけん 市場 いちば に対 たい し株価 かぶか が割安 わりやす であるというメッセージを伝 つた えることができること
会社 かいしゃ 法 ほう 施行 しこう に伴 ともな い財源 ざいげん 規制 きせい が配当 はいとう と統一 とういつ 化 か されたことにより、株主 かぶぬし 還元 かんげん の一環 いっかん として自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく することができること
株式 かぶしき 交換 こうかん 等 ひとし の組織 そしき 再編 さいへん や行使 こうし された転換 てんかん 社債 しゃさい ・新株 しんかぶ 予約 よやく 権 けん のために新株 しんかぶ を発行 はっこう すると、株式 かぶしき の希薄 きはく 化 か (ダイリューション)が起 お こり既存 きそん 株主 かぶぬし の反発 はんぱつ が予想 よそう されるほか、株価 かぶか の下落 げらく の恐 おそ れがあるが、取得 しゅとく した自己 じこ 株式 かぶしき を代用 だいよう 自己 じこ 株式 かぶしき として用 もち いればこれらの懸念 けねん がなくなること
会社 かいしゃ 支配 しはい の不公平 ふこうへい :不法 ふほう 行為 こうい 自体 じたい の抑止 よくし により対応 たいおう
会社 かいしゃ の財産 ざいさん が毀損 きそん する恐 おそ れ:財源 ざいげん 規制 きせい により対応 たいおう
株主 かぶぬし 平等 びょうどう の原則 げんそく に反 はん する:手続 てつづき 規制 きせい により対応 たいおう
株 かぶ 取引 とりひき の不公平 ふこうへい が生 しょう じる恐 おそ れがある:上場 じょうじょう 会社 かいしゃ の場合 ばあい 、金融 きんゆう 商品 しょうひん 取引 とりひき 法 ほう の規制 きせい により対応 たいおう
財源 ざいげん 規制 きせい
自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく には一定 いってい の剰余 じょうよ 金 きん が必要 ひつよう 。
(ただし、事業 じぎょう 全部 ぜんぶ 譲受 ゆずりうけ 、合併 がっぺい および吸収 きゅうしゅう 分割 ぶんかつ で承継 しょうけい する場合 ばあい 、反対 はんたい 株主 かぶぬし 買取 かいとり 請求 せいきゅう 権 けん を行使 こうし された場合 ばあい に取得 しゅとく するときに限 かぎ り、財源 ざいげん 規制 きせい はない。)
分配 ぶんぱい 可能 かのう 額 がく との関係 かんけい
自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく と引 ひ き換 か えに交付 こうふ する金銭 きんせん 等 とう の総額 そうがく は、当該 とうがい 取得 しゅとく 行為 こうい の効力 こうりょく 発生 はっせい 日 び における分配 ぶんぱい 可能 かのう 額 がく を超 こ えてはならない。超過 ちょうか した場合 ばあい は、関係 かんけい 者 しゃ が連帯 れんたい して金銭 きんせん 支払 しはら い義務 ぎむ を負 お う。なお、関係 かんけい 者 しゃ とは、株式 かぶしき の譲渡 じょうと 人 じん 、その取得 しゅとく 行為 こうい を行 おこな った会社 かいしゃ の業務 ぎょうむ 執行 しっこう 者 しゃ 、株主 かぶぬし 総会 そうかい ・取締役 とりしまりやく 会 かい の議案 ぎあん 提案 ていあん 者 しゃ のことをいう。
分配 ぶんぱい 可能 かのう 額 がく の計算 けいさん ※1
分配 ぶんぱい 可能 かのう 額 がく = (1)+(2)
(1)(最終 さいしゅう 事業 じぎょう 年度 ねんど の末日 まつじつ における)その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん +その他 た 利益 りえき 剰余 じょうよ 金 きん -自己 じこ 株式 かぶしき の帳簿 ちょうぼ 価額 かがく +有価 ゆうか 証券 しょうけん 評価 ひょうか 差額 さがく 金 きん ※2+土地 とち 再 さい 評価 ひょうか 差額 さがく 金 きん ※2
(2)(最終 さいしゅう 事業 じぎょう 年度 ねんど の末日 まつじつ 後 ご に剰余 じょうよ 金 きん の配当 はいとう を行 おこな った場合 ばあい における)剰余 じょうよ 金 きん の配当 はいとう の総額 そうがく +準備 じゅんび 金 きん 積立 つみたて 額 がく ※3
※1前提 ぜんてい 条件 じょうけん は、次 つぎ のとおり。臨時 りんじ 計算 けいさん 書類 しょるい を作成 さくせい していない。最終 さいしゅう 事業 じぎょう 年度 ねんど の末日 まつじつ 後 ご に自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん ・消却 しょうきゃく 、資本 しほん 金 きん ・準備 じゅんび 金 きん の減少 げんしょう 、吸収 きゅうしゅう 型 がた 再編 さいへん 受入 うけいれ 行為 こうい ・特定 とくてい 募集 ぼしゅう 、剰余 じょうよ 金 きん の資本 しほん 金 きん への組 くみ 入 い れを行 おこな っていない。不 ふ 公正 こうせい 発行 はっこう による責任 せきにん 履行 りこう により増加 ぞうか したその他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん はない。のれん等 とう 調整 ちょうせい 額 がく はない。連結 れんけつ 配当 はいとう 規制 きせい の適用 てきよう を受 う けない。資本 しほん 金 きん の額 がく +準備 じゅんび 金 きん の額 がく +新株 しんかぶ 予約 よやく 権 けん の額 がく +評価 ひょうか ・換算 かんさん 差額 さがく 等 とう の額 がく (差益 さえき が生 しょう じている場合 ばあい に限 かぎ る)が300万 まん 円 えん 以上 いじょう である。
※2評価 ひょうか 損 そん がある場合 ばあい のみ
※3準備 じゅんび 金 きん の額 がく が資本 しほん 金 きん の1/4に満 み たない場合 ばあい における
自己 じこ 株式 かぶしき の財源 ざいげん 規制 きせい は「株主 かぶぬし への払戻 はらいもど し」として、原則 げんそく 、分配 ぶんぱい 可能 かのう 額 がく へと統一 とういつ 化 か されているが、事前 じぜん 規制 きせい の有無 うむ という観点 かんてん で2通 とお りに区分 くぶん できる。
適用 てきよう あり
(1)「配当 はいとう 等 とう の制限 せいげん 」(会社 かいしゃ 法 ほう 461条 じょう )として、金銭 きんせん 等 とう 交付 こうふ 額 がく の分配 ぶんぱい 可能 かのう 額 がく に対 たい する超過 ちょうか を禁 きん ずるもの(原則 げんそく 論 ろん 。条文 じょうぶん 自体 じたい は取締役 とりしまりやく の責任 せきにん に関 かん するものとなっている)
(2)取得 しゅとく 条項 じょうこう 付 づけ 株式 かぶしき ・取得 しゅとく 請求 せいきゅう 権 けん 付 づけ 株式 かぶしき (取締役 とりしまりやく の責任 せきにん 規律 きりつ 適用 てきよう がふさわしくないケース)
適用 てきよう なし(自己 じこ の意思 いし と無関係 むかんけい に自己 じこ 株式 かぶしき を取得 しゅとく するケース)
組織 そしき 再編 さいへん 等 とう で承継 しょうけい する場合 ばあい
株主 かぶぬし の買取 かいとり 請求 せいきゅう による場合 ばあい
自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく [ 編集 へんしゅう ]
2001年 ねん の商法 しょうほう 改正 かいせい に伴 ともな い解禁 かいきん された金庫 きんこ 株 かぶ 制度 せいど の流 なが れをうけ、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく (英 えい : Aquisition of own share 、独 どく : Erwerb eigener Aktien 、仏 ふつ : rachat par une société de ses propres actions )は、会社 かいしゃ 法 ほう 上 じょう 、次 つぎ のとおり定 さだ められている。
株式会社 かぶしきがいしゃ による自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく (155条 じょう )
取得 しゅとく 条項 じょうこう 付 づけ 株式 かぶしき の取得 しゅとく (155条 じょう 1号 ごう )
譲渡 じょうと 制限 せいげん 株式 かぶしき の取得 しゅとく (155条 じょう 2号 ごう )
株主 かぶぬし 総会 そうかい の決議 けつぎ (155条 じょう 3号 ごう )
取得 しゅとく 請求 せいきゅう 権 けん 付 づけ 株式 かぶしき の取得 しゅとく (155条 じょう 4号 ごう )
全部 ぜんぶ 取得 しゅとく 条項 じょうこう 付 づけ 株式 かぶしき の取得 しゅとく (155条 じょう 5号 ごう )
株式 かぶしき 相続 そうぞく 人 じん 等 とう への売 うれ 渡 わたり 請求 せいきゅう に基 もと づく取得 しゅとく (155条 じょう 6号 ごう )
単元 たんげん 未満 みまん 株式 かぶしき の買取 かいと り(155条 じょう 7号 ごう )
所在 しょざい 不明 ふめい 株式 かぶしき の買取 かいと り(155条 じょう 8号 ごう )
端 はし 数 すう 処理 しょり 手続 てつづき における買取 かいと り(155条 じょう 9号 ごう )
他 た の会社 かいしゃ の事業 じぎょう の全部 ぜんぶ を譲 ゆず り受 う ける場合 ばあい にその会社 かいしゃ が有 ゆう する株式 かぶしき の取得 しゅとく (155条 じょう 10号 ごう )
合併 がっぺい 消滅 しょうめつ する会社 かいしゃ からの株式 かぶしき の承継 しょうけい (155条 じょう 11号 ごう )
吸収 きゅうしゅう 分割 ぶんかつ をする会社 かいしゃ からの株式 かぶしき の承継 しょうけい (155条 じょう 12号 ごう )
以上 いじょう の他 ほか 、法務省 ほうむしょう 令 れい で定 さだ める場合 ばあい (155条 じょう 13号 ごう 、規則 きそく 27条 じょう )
自己 じこ の株式 かぶしき を無償 むしょう で取得 しゅとく する場合 ばあい (規則 きそく 27条 じょう 1号 ごう )
他 た の法人 ほうじん 等 とう が行 おこな う剰余 じょうよ 金 きん の配当 はいとう 又 また は残余 ざんよ 財産 ざいさん の分配 ぶんぱい 等 とう によって自己 じこ の株式 かぶしき の交付 こうふ を受 う ける場合 ばあい (規則 きそく 27条 じょう 2号 ごう )
他 た の法人 ほうじん 等 とう が行 おこな う次 つぎ に掲 かか げる行為 こうい に際 さい して他 た の法人 ほうじん 等 とう の株式 かぶしき と引換 ひきか えに自己 じこ の株式 かぶしき の交付 こうふ を受 う ける場合 ばあい (規則 きそく 27条 じょう 3号 ごう )
組織 そしき の変更 へんこう (規則 きそく 27条 じょう 3号 ごう イ)
合併 がっぺい (規則 きそく 27条 じょう 3号 ごう ロ)
株式 かぶしき 交換 こうかん (外国 がいこく の法令 ほうれい 等 とう に基 もと づく株式 かぶしき 交換 こうかん に相当 そうとう する行為 こうい を含 ふく む。)(規則 きそく 27条 じょう 3号 ごう ハ)
取得 しゅとく 条項 じょうこう 付 づけ 株式 かぶしき (これに相当 そうとう する株式 かぶしき を含 ふく む。)の取得 しゅとく (規則 きそく 27条 じょう 3号 ごう ニ)
全部 ぜんぶ 取得 しゅとく 条項 じょうこう 付 づけ 種類 しゅるい 株式 かぶしき (これに相当 そうとう する株式 かぶしき を含 ふく む。)の取得 しゅとく (規則 きそく 27条 じょう 3号 ごう ホ)
他 た の法人 ほうじん 等 とう の新株 しんかぶ 予約 よやく 権 けん 等 とう の定 さだ めに基 もと づき取得 しゅとく と引換 ひきか えに自己 じこ の株式 かぶしき の交付 こうふ を受 う けるとき(規則 きそく 27条 じょう 4号 ごう )
株式会社 かぶしきがいしゃ が法 ほう 第 だい 116条 じょう 第 だい 5項 こう 、第 だい 469条 じょう 第 だい 5項 こう 、第 だい 785条 じょう 第 だい 5項 こう 等 とう で定 さだ める反対 はんたい 株式 かぶしき 買取 かいとり 請求 せいきゅう に応 おう じ自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく する場合 ばあい (規則 きそく 27条 じょう 5号 ごう )
合併 がっぺい 後 ご 消滅 しょうめつ する法人 ほうじん 等 とう (会社 かいしゃ を除 のぞ く。)から自己 じこ の株式 かぶしき を承継 しょうけい する場合 ばあい (規則 きそく 27条 じょう 6号 ごう )
他 た の法人 ほうじん 等 とう (会社 かいしゃ 及 およ び外国 がいこく 会社 かいしゃ を除 のぞ く。)の事業 じぎょう の全部 ぜんぶ を譲 ゆず り受 う ける場合 ばあい に、他 た の法人 ほうじん 等 とう が有 ゆう する自己 じこ の株式 かぶしき を譲 ゆず り受 う けるとき(規則 きそく 27条 じょう 7号 ごう )
その権利 けんり の実行 じっこう に当 あ たり目的 もくてき を達成 たっせい するために自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく することが必要 ひつよう かつ不可欠 ふかけつ である場合 ばあい (前 ぜん 各号 かくごう に掲 かか げる場合 ばあい を除 のぞ く。)(規則 きそく 27条 じょう 8号 ごう )
子会社 こがいしゃ からの自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく の場合 ばあい は、取締役 とりしまりやく 会 かい 設置 せっち 会社 かいしゃ にあっては、取締役 とりしまりやく 会 かい において取得 しゅとく に関 かん する事項 じこう を定 さだ める(163条 じょう )。
取得 しゅとく の方法 ほうほう [ 編集 へんしゅう ]
自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく に関 かん する会計 かいけい 上 じょう の考 かんが え方 かた は2種類 しゅるい 存在 そんざい している。財務 ざいむ 会計 かいけい ・税務 ぜいむ 会計 かいけい とも2001年 ねん 商法 しょうほう 改正 かいせい に伴 ともな う金庫 きんこ 株 かぶ 制度 せいど 解禁 かいきん の影響 えいきょう を受 う けた。
資産 しさん 説 せつ
自己 じこ 株式 かぶしき を資産 しさん として取扱 とりあつか う理由 りゆう は、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく が有価 ゆうか 証券 しょうけん の取得 しゅとく と同様 どうよう 、資産 しさん の取得 しゅとく であるという考 かんが えによる。従 したが って取得 しゅとく 価額 かがく を貸借 たいしゃく 対照 たいしょう 表 ひょう の資産 しさん の部 ぶ (無形 むけい 固定 こてい 資産 しさん または流動 りゅうどう 資産 しさん )に計上 けいじょう する。2001年 ねん の商法 しょうほう 改正 かいせい 前 まえ は、自己 じこ 株式 かぶしき の継続 けいぞく 保有 ほゆう が禁 きん じられていたこと故 ゆえ に取得 しゅとく 自体 じたい も稀 まれ であるとの認識 にんしき から、この考 かんが え方 かた により会計 かいけい 処理 しょり されていた。これにより個別 こべつ 財務諸表 ざいむしょひょう においては自己 じこ 株式 かぶしき が資産 しさん 計上 けいじょう され、一方 いっぽう 、連結 れんけつ 財務諸表 ざいむしょひょう においては資本 しほん 控除 こうじょ として処理 しょり されていた。
資本 しほん 控除 こうじょ 説 せつ
自己 じこ 株式 かぶしき を資本 しほん 控除 こうじょ として取扱 とりあつか う理由 りゆう は、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく が、会社 かいしゃ ・株主 かぶぬし 間 あいだ の資本 しほん 取引 とりひき であるという考 かんが えによる。ちょうど、株主 かぶぬし の出資 しゅっし を受 う け新株 しんかぶ を発行 はっこう するのと正 せい 反対 はんたい に、株主 かぶぬし に対 たい して出資 しゅっし を払 はら い戻 もど し会社 かいしゃ が株式 かぶしき を取得 しゅとく する。従 したが って、自己 じこ 株式 かぶしき は資本 しほん の控除 こうじょ 項目 こうもく として処理 しょり される。特 とく に2001年 ねん 商法 しょうほう 改正 かいせい 以降 いこう は、自己 じこ 株式 かぶしき を保有 ほゆう し続 つづ けることが想定 そうてい されたため、債権 さいけん 者 しゃ を保護 ほご する観点 かんてん からもあるべき論 ろん として資本 しほん 控除 こうじょ 説 せつ が採用 さいよう された。会計 かいけい 上 じょう の考 かんが え方 かた は、従来 じゅうらい から資本 しほん 控除 こうじょ 説 せつ に立 た っていたため、上記 じょうき のとおり連結 れんけつ 財務諸表 ざいむしょひょう において自己 じこ 株式 かぶしき を資本 しほん 控除 こうじょ として処理 しょり していたが、個別 こべつ 財務諸表 ざいむしょひょう については商法 しょうほう に整合 せいごう させていた。
日本 にっぽん においては2001年 ねん 商法 しょうほう 改正 かいせい を転機 てんき として資産 しさん 説 せつ から資本 しほん 控除 こうじょ 説 せつ へと異 こと なる考 かんが え方 かた が採用 さいよう され、企業 きぎょう 会計 かいけい 基準 きじゅん 委員 いいん 会 かい は2002年 ねん (平成 へいせい 14年 ねん )2月 がつ 21日 にち 付 づ けで次 つぎ のとおり会計 かいけい 基準 きじゅん を設 もう け、同年 どうねん 4月 がつ 1日 にち 以降 いこう に適用 てきよう となった。
「自己 じこ 株式 かぶしき 及 およ び法定 ほうてい 準備 じゅんび 金 きん の取 と 崩 くずし 等 とう に関 かん する会計 かいけい 基準 きじゅん 」(企業 きぎょう 会計 かいけい 基準 きじゅん 1号 ごう )
「自己 じこ 株式 かぶしき 及 およ び法定 ほうてい 準備 じゅんび 金 きん の取 と 崩 くずし 等 とう に関 かん する会計 かいけい 基準 きじゅん 適用 てきよう 指針 ししん 」(企業 きぎょう 会計 かいけい 基準 きじゅん 適用 てきよう 指針 ししん 2号 ごう )
「その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん の処分 しょぶん による配当 はいとう を受 う ける株主 かぶぬし の会計 かいけい 処理 しょり 」 (企業 きぎょう 会計 かいけい 基準 きじゅん 適用 てきよう 指針 ししん 3号 ごう )
これらの会計 かいけい 基準 きじゅん は、2005年 ねん 12月27日 にち に改正 かいせい された後 のち 、会社 かいしゃ 法 ほう 施行 しこう に合 あ わせて2006年 ねん 5月 がつ にこれらを改正 かいせい し、上記 じょうき 1.は「自己 じこ 株式 かぶしき 及 およ び準備 じゅんび 金 きん の額 がく の減少 げんしょう 等 とう に関 かん する会計 かいけい 基準 きじゅん 」に、上記 じょうき 2.は「自己 じこ 株式 かぶしき 及 およ び準備 じゅんび 金 きん の額 がく の減少 げんしょう 等 とう に関 かん する会計 かいけい 基準 きじゅん の適用 てきよう 指針 ししん 」となっている。
資産 しさん 説 せつ から資本 しほん 控除 こうじょ 説 せつ への移行 いこう に伴 ともな う会計 かいけい 処理 しょり の変化 へんか は、下表 かひょう のとおり。
商法 しょうほう 改正 かいせい 前 まえ の貸借 たいしゃく 対照 たいしょう 表 ひょう (資産 しさん 説 せつ )
資産 しさん の部 ぶ
金額 きんがく
負債 ふさい ・資本 しほん の部 ぶ
金額 きんがく
流動 りゅうどう 資産 しさん
90
負債 ふさい の部 ぶ
50
自己 じこ 株式 かぶしき
10
資本 しほん の部 ぶ
50
資産 しさん 合計 ごうけい
100
負債 ふさい ・資本 しほん 合計 ごうけい
100
2001年 ねん 商法 しょうほう 改正 かいせい 後 ご の貸借 たいしゃく 対照 たいしょう 表 ひょう (資本 しほん 控除 こうじょ 説 せつ )
資産 しさん の部 ぶ
金額 きんがく
負債 ふさい ・資本 しほん の部 ぶ
金額 きんがく
流動 りゅうどう 資産 しさん
90
負債 ふさい の部 ぶ
50
資本 しほん の部 ぶ
50
自己 じこ 株式 かぶしき
-10
資産 しさん 合計 ごうけい
90
負債 ふさい ・資本 しほん 合計 ごうけい
90
なお、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく に要 よう した附随 ふずい 費用 ひよう は、損益 そんえき 計算 けいさん 書 しょ 上 うえ の営業 えいぎょう 外 がい 費用 ひよう に計上 けいじょう される。また、会社 かいしゃ 法 ほう 施行 しこう に伴 ともな い資本 しほん の部 ぶ は、純資産 じゅんしさん の部 ぶ へと名称 めいしょう 変更 へんこう しているが、上表 じょうひょう では便宜上 べんぎじょう 、旧称 きゅうしょう のままとしている。
2006年 ねん 3月31日 にち まで
法人 ほうじん が自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく した場合 ばあい は、資産 しさん として計上 けいじょう されていた(資産 しさん 説 せつ 。購入 こうにゅう 手数料 てすうりょう も資産 しさん 計上 けいじょう に含 ふく める)。取得 しゅとく に伴 ともな う交付 こうふ 金 きん 銭 ぜに 等 とう が、当該 とうがい 法人 ほうじん の取得 しゅとく 直前 ちょくぜん の資本 しほん 等 とう の金額 きんがく を超 こ える場合 ばあい は、その超 こ える部分 ぶぶん の金額 きんがく は、自己 じこ 株式 かぶしき を譲渡 じょうと した株主 かぶぬし にみなし配当 はいとう が生 しょう じることとされており、自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく した法人 ほうじん は、その超 こ える部分 ぶぶん の金額 きんがく を利益 りえき 積立 つみたて 金 きん から減算 げんざん していた。これは、株主 かぶぬし が払込 はらいこ んだ分 ぶん だけの資本 しほん 金 きん の払戻 はらいもど しに加 くわ え、当該 とうがい 法人 ほうじん が得 え た利益 りえき の積立 つみた てが株主 かぶぬし に還元 かんげん されるという考 かんが え方 かた に依 よ るもので、税務 ぜいむ 会計 かいけい 上 じょう の基本 きほん となっている。自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく は、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく という資産 しさん の取得 しゅとく と、一部 いちぶ 利益 りえき 積立 つみたて 金 きん の払戻 はらいもど しという資本 しほん 取引 とりひき の混合 こんごう 処理 しょり が採用 さいよう され、税務 ぜいむ 上 じょう 、自己 じこ 株式 かぶしき の簿 ぼ 価 か が計上 けいじょう されていた。また、取得 しゅとく 事由 じゆう により次 つぎ のとおり処理 しょり がなされた。
(1)原則 げんそく (相対 そうたい 取引 とりひき )
法人 ほうじん が自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく した場合 ばあい 、株主 かぶぬし に交付 こうふ した金銭 きんせん 等 とう の額 がく が当該 とうがい 株式 かぶしき に対応 たいおう する取得 しゅとく 時 じ の資本 しほん 等 とう の額 がく を超 こ える場合 ばあい には、その超 こ える金額 きんがく を利益 りえき 積立 つみたて 金 きん から控除 こうじょ する。
(2)例外 れいがい (市場 いちば 買付 かいつけ 、公開 こうかい 買 かい 付 づけ )
上場 じょうじょう 会社 かいしゃ 等 とう が市場 いちば 買 かい 付 づけ ・公開 こうかい 買 かい 付 づけ の方法 ほうほう によって自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく した場合 ばあい については、株主 かぶぬし に交付 こうふ した金銭 きんせん 等 とう の額 がく が当該 とうがい 株式 かぶしき に対応 たいおう する取得 しゅとく 時 じ の資本 しほん 等 とう の額 がく を超 こ えても、その超 こ える額 がく は利益 りえき 積立 つみたて 金 きん から控除 こうじょ しない。
2006年 ねん 4月 がつ 1日 にち 以降 いこう
法人 ほうじん が自己 じこ の株式 かぶしき を取得 しゅとく した場合 ばあい は、資本 しほん 金 きん 等 とう の額 がく 、利益 りえき 積立 つみたて 金額 きんがく を減少 げんしょう させることとなった(資本 しほん 控除 こうじょ 説 せつ )。つまり、法人 ほうじん 税法 ぜいほう 上 じょう でも有価 ゆうか 証券 しょうけん の定義 ていぎ から自己 じこ 株式 かぶしき が外 はず された。2006年 ねん 4月 がつ 1日 にち 時点 じてん で自己 じこ 株式 かぶしき を所有 しょゆう していた会社 かいしゃ は、自己 じこ 株式 かぶしき の税務 ぜいむ 上 うえ の簿 ぼ 価 か が資本 しほん 金 きん 等 とう と相殺 そうさい され、ゼロとなる措置 そち が講 こう じられた。また、取得 しゅとく 事由 じゆう により次 つぎ のとおり処理 しょり の変更 へんこう がなされ、原則 げんそく として資本 しほん 金 きん 等 とう を減額 げんがく し、例外 れいがい 的 てき に資本 しほん 金 きん 等 とう と利益 りえき 積立 つみたて 金 きん を合 あ わせて減額 げんがく することとされた。
(1)証券 しょうけん 取引 とりひき 所 しょ での買付 かいつ け
(2)店頭 てんとう 売買 ばいばい 登録 とうろく 銘柄 めいがら の店頭 てんとう 売買 ばいばい での買付 かいつ け
(3)事業 じぎょう の全部 ぜんぶ 譲受 じょうじゅ
(4)合併 がっぺい に対 たい する反対 はんたい 株主 かぶぬし 買取 かいとり 請求 せいきゅう 権 けん の行使 こうし に基 もと づく買取 かいと り
(5)単元 たんげん 未満 みまん 株式 かぶしき 買取 かいとり 請求 せいきゅう または端株 はかぶ 買取 かいとり 請求 せいきゅう に基 もと づく買取 かいと り
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
資本 しほん 金 きん 等 とう
100
現金 げんきん
100
(6)剰余 じょうよ 金 きん 配当 はいとう (利益 りえき 配当 はいとう ・剰余 じょうよ 金 きん 分配 ぶんぱい を含 ふく む)、解散 かいさん による残余 ざんよ 財産 ざいさん 分配 ぶんぱい または合併 がっぺい に伴 ともな う合併 がっぺい 法人 ほうじん からの交付 こうふ
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
資本 しほん 金 きん 等 とう
100
受取 うけとり 配当 はいとう 金 きん
100
(7)合併 がっぺい ・会社 かいしゃ 分割 ぶんかつ ・現物 げんぶつ 出資 しゅっし による被 ひ 合併 がっぺい 法人 ほうじん ・分割 ぶんかつ 法人 ほうじん ・現物 げんぶつ 出資 しゅっし 法人 ほうじん からの移転 いてん
(8)組織 そしき 再編 さいへん に伴 ともな う抱合 ほうごう 株式 かぶしき の発生 はっせい
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
資本 しほん 金 きん 等 とう
150
資本 しほん 金 きん 等 とう
100
利益 りえき 積立 つみたて 金 きん
50
(9)上記 じょうき (1)~(8)以外 いがい の事由 じゆう による取得 しゅとく
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
資本 しほん 金 きん 等 とう
100
現金 げんきん
150
利益 りえき 積立 つみたて 金 きん
50
自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく は会社 かいしゃ がキャッシュ・アウトするものであるが、生 しょう じる効果 こうか は、会社 かいしゃ の純資産 じゅんしさん (自己 じこ 資本 しほん )の状況 じょうきょう によって異 こと なる。
総 そう 資産 しさん =純資産 じゅんしさん (負債 ふさい 0)のケース
単純 たんじゅん にキャッシュ・アウトするだけなので、企業 きぎょう 価値 かち を毀損 きそん させる効果 こうか が生 しょう じる。例 たと えば現金 げんきん 100が総 そう 資産 しさん かつ純資産 じゅんしさん の会社 かいしゃ があり、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく を10だけ行 おこな うと、10だけ現金 げんきん を失 うしな うこととなる。
負債 ふさい と純資産 じゅんしさん が存在 そんざい するケース
1. 同様 どうよう にキャッシュ・アウトはするものの、その結果 けっか 、資本 しほん コスト を減少 げんしょう させレバレッジ 効果 こうか が生 しょう じる。現金 げんきん 100が総 そう 資産 しさん の会社 かいしゃ があり、この現金 げんきん が負債 ふさい 50・純資産 じゅんしさん 50で構成 こうせい されている場合 ばあい 、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく を10だけ行 おこな うと総 そう 資産 しさん は90に減少 げんしょう するものの、純資産 じゅんしさん が40に減少 げんしょう することにより、D/Eレシオは1(50/50)から1.25(50/40)へと変化 へんか する。このことは、後述 こうじゅつ のとおり、ROE 向上 こうじょう へと繋 つな がる一方 いっぽう で、安全 あんぜん 性 せい を損 そこ なう効果 こうか もある。
これらを仕訳 しわけ で表 あらわ すと次 つぎ のとおりとなる。
総 そう 資産 しさん =純資産 じゅんしさん (上段 じょうだん )現金 げんきん 10で自己 じこ 株式 かぶしき を取得 しゅとく 後 ご (下段 げだん )
資産 しさん の部 ぶ
金額 きんがく
負債 ふさい ・純資産 じゅんしさん の部 ぶ
金額 きんがく
現金 げんきん
100
純資産 じゅんしさん
100
資産 しさん 合計 ごうけい
100
負債 ふさい ・純資産 じゅんしさん 合計 ごうけい
100
資産 しさん の部 ぶ
金額 きんがく
負債 ふさい ・純資産 じゅんしさん の部 ぶ
金額 きんがく
現金 げんきん
90
純資産 じゅんしさん
90
資産 しさん 合計 ごうけい
90
負債 ふさい ・純資産 じゅんしさん 合計 ごうけい
90
負債 ふさい と純資産 じゅんしさん が存在 そんざい (上段 じょうだん )現金 げんきん 10で自己 じこ 株式 かぶしき を取得 しゅとく 後 ご (下段 げだん )
資産 しさん の部 ぶ
金額 きんがく
負債 ふさい ・純資産 じゅんしさん の部 ぶ
金額 きんがく
現金 げんきん
100
負債 ふさい
50
純資産 じゅんしさん
50
資産 しさん 合計 ごうけい
100
負債 ふさい ・純資産 じゅんしさん 合計 ごうけい
100
資産 しさん の部 ぶ
金額 きんがく
負債 ふさい ・純資産 じゅんしさん の部 ぶ
金額 きんがく
現金 げんきん
90
負債 ふさい
50
純資産 じゅんしさん
40
資産 しさん 合計 ごうけい
90
負債 ふさい ・純資産 じゅんしさん 合計 ごうけい
90
自己 じこ 株式 かぶしき を取得 しゅとく したことで、ROEすなわち自己 じこ 資本 しほん (純資産 じゅんしさん )に対 たい する利益 りえき 率 りつ を高 たか めることができる。
例 たと えば上記 じょうき の負債 ふさい と純資産 じゅんしさん が存在 そんざい するケースの場合 ばあい で、ある期 き に10の利益 りえき を創出 そうしゅつ したと仮定 かてい すると、自己 じこ 株式 かぶしき 取得 しゅとく 前 まえ のROEは20%(10/50)であるが、自己 じこ 株式 かぶしき 取得 しゅとく 後 ご のROEは25%(10/40)に向上 こうじょう することとなる。
自己 じこ 株式 かぶしき の処理 しょり [ 編集 へんしゅう ]
保有 ほゆう している自己 じこ 株式 かぶしき の処理 しょり には、(1)自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく 、(2)自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん (狭義 きょうぎ )および(3)新株 しんかぶ の代用 だいよう の3つ方法 ほうほう がある((2)と(3)、または全 すべ てを自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん と取扱 とりあつか う場合 ばあい もある)。会社 かいしゃ 法 ほう においては、消却 しょうきゃく を直接的 ちょくせつてき に規定 きてい する条文 じょうぶん が存在 そんざい しているが、処分 しょぶん については旧 きゅう 商法 しょうほう と異 こと なり間接 かんせつ 的 てき に規定 きてい する程度 ていど で、新株 しんかぶ の代用 だいよう に至 いた っては規定 きてい している条文 じょうぶん が存在 そんざい しない。もっとも新株 しんかぶ の代用 だいよう が禁 きん じられているわけではなく、「株式 かぶしき を交付 こうふ する」という文言 もんごん が使用 しよう されており、株式 かぶしき の交付 こうふ には新株 しんかぶ 発行 はっこう に限 かぎ らず自己 じこ 株式 かぶしき の代用 だいよう が許容 きょよう されているとされ従前 じゅうぜん のとおり運用 うんよう されている。なお、4つ目 め の処理 しょり 方法 ほうほう として、「自己 じこ 株式 かぶしき の市場 いちば 売却 ばいきゃく 」(179条 じょう )が会社 かいしゃ 法 ほう 立案 りつあん 当初 とうしょ に検討 けんとう されていたが、国会 こっかい 審議 しんぎ を経 へ る際 さい に規定 きてい が削除 さくじょ されることとなり、会社 かいしゃ 法 ほう が施行 しこう されたときから条 じょう 数 すう のみが残存 ざんそん している。
自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく [ 編集 へんしゅう ]
株式会社 かぶしきがいしゃ は、取得 しゅとく した自己 じこ 株式 かぶしき を、取締役 とりしまりやく 会 かい 設置 せっち 会社 かいしゃ の場合 ばあい には取締役 とりしまりやく 会 かい の決議 けつぎ (非 ひ 設置 せっち 会社 かいしゃ の場合 ばあい には取締役 とりしまりやく の決定 けってい )により、消却 しょうきゃく することができ(178条 じょう )、これを自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく (英 えい : Cancellation of Treasury share 、独 どく : Einziehung von Aktien 、独 どく : Amortisation 、仏 ふつ : amortissement des actions )という。その際 さい 、決定 けってい すべき事項 じこう は次 つぎ のとおり。
消却 しょうきゃく する株式 かぶしき の種類 しゅるい (種類 しゅるい 株式 かぶしき を発行 はっこう している場合 ばあい のみ)
消却 しょうきゃく する株式 かぶしき 数 すう (自己 じこ 株式 かぶしき の数 かず を超 こ えることは当然 とうぜん にできない)
効力 こうりょく 発生 はっせい 日 び (時期 じき を定 さだ めなければ決定 けってい 時 じ )
商法 しょうほう においては、自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく には(1)取締役 とりしまりやく 会 かい 決議 けつぎ による消却 しょうきゃく (旧 きゅう 商法 しょうほう 212条 じょう )、(2)資本 しほん 減少 げんしょう の規定 きてい に従 したが う消却 しょうきゃく (同 どう 法 ほう 213条 じょう )または(3)定款 ていかん の規定 きてい に基 もと づき株主 かぶぬし に配当 はいとう すべき利益 りえき をもってする消却 しょうきゃく (同 どう 法 ほう 同 どう 条 じょう )の3種類 しゅるい があり、消却 しょうきゃく した際 さい に減少 げんしょう する資本 しほん 項目 こうもく は、取締役 とりしまりやく 会 かい 等 とう の決議 けつぎ に従 したが うこととされていた。また、自己 じこ 株式 かぶしき を消却 しょうきゃく した場合 ばあい には、同時 どうじ に授権資本 しほん 枠 わく (発行 はっこう 可能 かのう 株式 かぶしき 総数 そうすう )を減少 げんしょう させることが通常 つうじょう とされていたため、消却 しょうきゃく 株式 かぶしき 数 すう 分 ふん だけ自己 じこ 株式 かぶしき と授権資本 しほん 枠 わく の両方 りょうほう を減 げん ずる必要 ひつよう があった。本来 ほんらい 、授権資本 しほん 枠 わく は株主 かぶぬし 総会 そうかい の特別 とくべつ 決議 けつぎ を経 へ て定 さだ められる「枠 わく 」であるから、消却 しょうきゃく によってこれを減 へ らさなければならないという実務 じつむ 慣行 かんこう に異議 いぎ を唱 とな える説 せつ もあった。会社 かいしゃ 法 ほう 施行 しこう に伴 ともな い、自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく により減 げん ぜられるのは自己 じこ 株式 かぶしき に限定 げんてい されることが明確 めいかく にされ、授権資本 しほん 枠 わく を減少 げんしょう させる必要 ひつよう がなくなった(定款 ていかん に一律 いちりつ 減少 げんしょう させる規定 きてい がある場合 ばあい は別 べつ )。また、会社 かいしゃ 法 ほう 上 じょう の公開 こうかい 会社 かいしゃ は、定款 ていかん 変更 へんこう によって授権資本 しほん 枠 わく を発行済 はっこうずみ 株式 かぶしき 総数 そうすう の4倍 ばい を超 こ えて増加 ぞうか させてはならないとされている(113条 じょう )が、消却 しょうきゃく によって結果 けっか 的 てき に授権資本 しほん 枠 わく が発行済 はっこうずみ 株式 かぶしき の総数 そうすう の4倍 ばい を超 こ えた場合 ばあい は、同 どう 規定 きてい に反 はん しないとされている[5] 。
上場 じょうじょう 会社 かいしゃ の場合 ばあい は取得 しゅとく により減少 げんしょう した流通 りゅうつう 株式 かぶしき を、消却 しょうきゃく により再 さい 流通 りゅうつう させないことが確定 かくてい するため証券 しょうけん 市場 いちば から歓迎 かんげい され、株価 かぶか に一定 いってい の効果 こうか をもたらすとされている。ただし、授権資本 しほん 枠 わく に変化 へんか はないことから、単 たん に発行 はっこう 可能 かのう 株式 かぶしき の数 かず が増加 ぞうか する効果 こうか を生 う んでいるという説 せつ も一方 いっぽう ではある。
財務 ざいむ 会計 かいけい
自己 じこ 株式 かぶしき の会計 かいけい 処理 しょり は、消却 しょうきゃく の手続 てつづ きが法的 ほうてき に完了 かんりょう したときに行 おこな う。より具体 ぐたい 的 てき には、消却 しょうきゃく 手続 てつづ きが完了 かんりょう する効力 こうりょく 発生 はっせい 日 び がこれに該当 がいとう する。会社 かいしゃ 計算 けいさん 規則 きそく において、その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん から優先 ゆうせん 的 てき に減額 げんがく することが規定 きてい された(同 どう 規則 きそく 第 だい 47条 じょう )ことを受 う け、「自己 じこ 株式 かぶしき 及 およ び準備 じゅんび 金 きん の額 がく の減少 げんしょう 等 とう に関 かん する会計 かいけい 基準 きじゅん 」(企業 きぎょう 会計 かいけい 基準 きじゅん 第 だい 1号 ごう )においても同 おな じ取扱 とりあつか いがされることとなった。その仕訳 しわけ は下表 かひょう のとおり。
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん
100
自己 じこ 株式 かぶしき
100
この仕訳 しわけ によって、資本 しほん の控除 こうじょ 項目 こうもく である自己 じこ 株式 かぶしき に正数 せいすう が加算 かさん され消却 しょうきゃく 相当 そうとう 額 がく 分 ぶん のマイナスが消 き え、一方 いっぽう 、同額 どうがく のその他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん (繰越 くりこし 利益 りえき 剰余 じょうよ 金 きん )が減少 げんしょう することとなる。その結果 けっか 、本 ほん 仕訳 しわけ のみが貸借 たいしゃく 対照 たいしょう 表 ひょう 上 じょう の総 そう 資産 しさん 額 がく に及 およ ぼす影響 えいきょう は「0」となる。
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
その他 た 利益 りえき 剰余 じょうよ 金 きん
100
自己 じこ 株式 かぶしき
-100
その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん
100
自己 じこ 株式 かぶしき
100
なお、旧 きゅう 商法 しょうほう 下 か における会計 かいけい 基準 きじゅん では、資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん (その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん )または利益 りえき 剰余 じょうよ 金 きん (その他 た 利益 りえき 剰余 じょうよ 金 きん )のいずれから減額 げんがく するかは、会社 かいしゃ の意思 いし 決定 けってい (取締役 とりしまりやく 会 かい 等 とう の決議 けつぎ )に委 ゆだ ねることとされていた。
税務 ぜいむ 会計 かいけい
会社 かいしゃ 法 ほう 施行 しこう に伴 ともな い2006年 ねん 4月 がつ 1日 にち から自己 じこ 株式 かぶしき は有価 ゆうか 証券 しょうけん として取扱 とりあつか われなくなった。このため、自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく は、税務 ぜいむ 会計 かいけい において何 なに も認識 にんしき されない取引 とりひき へと取扱 とりあつか いが変 か わった(仕訳 しわけ なし)。また、附随 ふずい 費用 ひよう が損金 そんきん 参入 さんにゅう できるようになった。
ファイナンス
自己 じこ 株式 かぶしき の消却 しょうきゃく によって、キャッシュ・フローが生 しょう じるわけではないため、ファイナンス上 じょう の効果 こうか は生 しょう じない。
自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん [ 編集 へんしゅう ]
会社 かいしゃ 法 ほう 施行 しこう に伴 ともな い、自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん (英 えい : Disposal of Treasury share )は、募集 ぼしゅう 株式 かぶしき (199条 じょう )の規定 きてい において、株式 かぶしき を引受 ひきう ける株主 かぶぬし を募集 ぼしゅう する行為 こうい の中 なか で、引受 ひきう ける対象 たいしょう として新株 しんかぶ の発行 はっこう と自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん が同等 どうとう のものとして整理 せいり されている。これは、自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん が新株 しんかぶ 発行 はっこう と同様 どうよう の効果 こうか を有 ゆう していることに着目 ちゃくもく し、既 すんで 発行 はっこう なのか未 み 発行 はっこう なのかが実質 じっしつ 的 てき に問題 もんだい とならない点 てん に着目 ちゃくもく しているからである。従 したが って、自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん については、会社 かいしゃ は新株 しんかぶ 発行 はっこう と同様 どうよう の手続 てつづ きをとらなければならない。
財務 ざいむ 会計 かいけい
自己 じこ 株式 かぶしき は、取得 しゅとく した価額 かがく (取得 しゅとく 原価 げんか )が帳簿 ちょうぼ 価額 かがく (いわゆる簿 ぼ 価 か )として貸借 たいしゃく 対照 たいしょう 表 ひょう に計上 けいじょう され、投資 とうし 有価 ゆうか 証券 しょうけん と異 こと なり時価 じか 評価 ひょうか されない(取得 しゅとく 原価 げんか 主義 しゅぎ )。特 とく に上場 じょうじょう 株式 かぶしき の場合 ばあい 、簿 ぼ 価 か と自己 じこ 株式 かぶしき を処分 しょぶん する際 さい の価額 かがく (処分 しょぶん 価額 かがく )との間 あいだ に差額 さがく が生 しょう じることがあり、その際 さい には自己 じこ 株式 かぶしき 処分 しょぶん 差 さ 損益 そんえき を計上 けいじょう することとなる。プラスが生 しょう じたときは、その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん に自己 じこ 株式 かぶしき 処分 しょぶん 差益 さえき を計上 けいじょう し、マイナスが生 しょう じたときは、その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん から自己 じこ 株式 かぶしき 処分 しょぶん 差損 さそん の分 ぶん を減額 げんがく する。その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん を超 こ えた差損 さそん が生 しょう じた場合 ばあい は、その分 ぶん をその他 た 利益 りえき 剰余 じょうよ 金 きん (繰越 くりこし 利益 りえき 剰余 じょうよ 金 きん )から減額 げんがく する。
その仕訳 しわけ は下表 かひょう のとおり。
自己 じこ 株式 かぶしき 処分 しょぶん 差益 さえき が生 しょう じた場合 ばあい
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
現金 げんきん
100
自己 じこ 株式 かぶしき
90
その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん
10
自己 じこ 株式 かぶしき 処分 しょぶん 差益 さえき が生 しょう じた場合 ばあい
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
現金 げんきん
80
自己 じこ 株式 かぶしき
90
その他 た 資本 しほん 剰余 じょうよ 金 きん
10
税務 ぜいむ 会計 かいけい
会社 かいしゃ 法 ほう 施行 しこう に伴 ともな い2006年 ねん 4月 がつ 1日 にち から自己 じこ 株式 かぶしき を取得 しゅとく したときの税務 ぜいむ 上 うえ の簿 ぼ 価 か がゼロとされたため、自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん は資本 しほん 取引 とりひき とされ、通常 つうじょう の増資 ぞうし と同 おな じく課税 かぜい 所得 しょとく が発生 はっせい しない取引 とりひき へと取扱 とりあつか いが変 か わった。
借方 かりかた
金額 きんがく
貸方 かしかた
金額 きんがく
現金 げんきん
100
資本 しほん 金 きん 等 とう
100
ファイナンス
自己 じこ 株式 かぶしき の処分 しょぶん はキャッシュ・イン・フローを生 しょう じさせるため、企業 きぎょう 価値 かち を向上 こうじょう させるといえる。ただし、自己 じこ の株式 かぶしき の取得 しゅとく とは逆 ぎゃく 、すなわち資本 しほん コスト を増加 ぞうか させレバレッジ に変化 へんか が生 しょう じる。すなわち自己 じこ 資本 しほん (純資産 じゅんしさん )に対 たい する利益 りえき 率 りつ は低下 ていか するが、安全 あんぜん 性 せい を高 たか めることができる。
新株 しんかぶ の代用 だいよう [ 編集 へんしゅう ]
吸収 きゅうしゅう 合併 がっぺい 等 とう の組織 そしき 再編 さいへん 等 とう 、また新株 しんかぶ 予約 よやく 権 けん ・転換 てんかん 社債 しゃさい 型 がた 新株 しんかぶ 予約 よやく 権 けん 付 づけ 社債 しゃさい の対価 たいか として受渡 うけわたし す新株 しんかぶ に代 か えて交付 こうふ することができる。これを「代用 だいよう 自己 じこ 株式 かぶしき 」(英 えい : Substitute for share issue )という。
また、会社 かいしゃ は定款 ていかん に定 さだ めれば、株主 かぶぬし からの単元 たんげん 未満 みまん 株式 かぶしき の売 うれ 渡 わたり 請求 せいきゅう (194条 じょう 、買 かい 増 ぞう 請求 せいきゅう (かいましせいきゅう))に対 たい し、保有 ほゆう する自己 じこ 株式 かぶしき を売 う り渡 わた すことができる。この場合 ばあい 、市場 いちば 売却 ばいきゃく ではなく株主 かぶぬし との相対 そうたい 取引 とりひき で行 おこな うため、上場 じょうじょう 会社 かいしゃ の場合 ばあい 、請求 せいきゅう の到達 とうたつ した日 ひ の終値 おわりね を用 もち いて自己 じこ 株式 かぶしき を売却 ばいきゃく するのが一般 いっぱん 的 てき である。なお、当該 とうがい 売 うり 渡 わたり 請求 せいきゅう に対 たい し、会社 かいしゃ は自己 じこ 株式 かぶしき を交付 こうふ することと明文化 めいぶんか されており、上記 じょうき の例 れい と異 こと なり、新株 しんかぶ を発行 はっこう する義務 ぎむ がそもそもない。
^ 田中 たなか 耕 こう 太郎 たろう 編 へん 『株式会社 かぶしきがいしゃ 法 ほう 講座 こうざ 第 だい 二 に 巻 かん 』有斐閣 ゆうひかく 刊 かん 、1956年 ねん 2月 がつ 29日 にち 発行 はっこう (603,611ページ)
^ 上柳 うえやなぎ 克郎 かつろう ・鴻 おおとり 常夫 つねお ・竹内 たけうち 昭夫 あきお 編集 へんしゅう 代表 だいひょう 『新版 しんぱん 注釈 ちゅうしゃく 会社 かいしゃ 法 ほう (3)株式 かぶしき (1)』有斐閣 ゆうひかく 刊 かん 、1986年 ねん 4月 がつ 10日 とおか 発行 はっこう (226-236ページ)
^ 宮田 みやた 暢 とおる 著 ちょ 『株式会社 かぶしきがいしゃ 法 ほう 実務 じつむ 編 へん 』実業 じつぎょう 之 の 世界 せかい 社 しゃ 刊 かん 、1915年 ねん 9月 がつ 1日 にち 発行 はっこう (256ページ)
^ 上柳 うえやなぎ 克郎 かつろう ・鴻 おおとり 常夫 つねお ・竹内 たけうち 昭夫 あきお 編集 へんしゅう 代表 だいひょう 『新版 しんぱん 注釈 ちゅうしゃく 会社 かいしゃ 法 ほう (3)株式 かぶしき (1)』有斐閣 ゆうひかく 刊 かん 、1986年 ねん 4月 がつ 10日 とおか 発行 はっこう (229ページ)
^ 相澤 あいざわ 哲 あきら ・葉 は 玉 だま 匡美 きょうみ ・郡 こおり 谷 たに 大輔 だいすけ 編著 へんちょ 『論点 ろんてん 解説 かいせつ 新 しん ・会社 かいしゃ 法 ほう 千 せん 問 もん の道標 どうひょう 』商事 しょうじ 法務 ほうむ 刊 かん 、2006年 ねん 6月 がつ 10日 とおか 発行 はっこう (182ページ)