出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
雷酸水銀(らいさんすいぎん)は水銀の雷酸塩で、淡青色の斜方錐状晶。シアン酸水銀の異性体である。
一価の雷酸水銀(I) と二価の雷酸水銀(II) が知られているが、とくに二価の化合物は雷汞(らいこう)と呼ばれ、雷管の起爆薬として用いられる。雷酸水銀(I) は雷汞の製造の際、硝酸水銀の硝酸溶液とエチルアルコールの反応温度を低くすると (45–55 ℃) 生成する。雷汞と同様に爆発しやすいが、より水に溶けやすい。
雷酸水銀(I) の組成式は Hg(ONC)、雷酸水銀(II) は Hg(ONC)2 である。
水銀化合物であるため、最近は公害問題への対策からジアゾジニトロフェノールで代用されることが多い。
日本国では火薬類取締法(1950年施行)により、(広義の)取り扱いの規制を受ける。なお、一般の水銀化合物は毒物及び劇物取締法(1950年施行)において毒物に指定されているが、雷酸水銀(II) はこの適用除外品目となっている。
-
弾薬製造のための
雷酸水銀(II)の
合成(1871
年、
オー=ド=セーヌ県の
工場にて)
[1]