硝酸しょうさん水銀すいぎん(I)

硝酸しょうさん水銀すいぎん(I) Mercury(I) nitrate
IUPAC名めい Mercury(I) nitrate
別称べっしょう 硝酸しょうさん第だい一いち水銀すいぎん
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう	10415-75-5, (無む水物みずもの) [7782-86-7] (二水にすい和物あえもの)
特性とくせい
化学かがく式しき	Hg2(NO3)2 (無む水物みずもの) Hg2(NO3)2·2H2O (二水にすい和物あえもの)
モル質量しつりょう	525.19 g/mol (無む水物みずもの) 561.22 g/mol (二水にすい和物あえもの)
外観がいかん	白色はくしょくの単たん斜はす晶あきら系けい結晶けっしょう (無む水物みずもの) 無色むしょくの結晶けっしょう(二水にすい和物あえもの)
密度みつど	? g/cm3 (無む水物みずもの) 4.8 g/cm3 (二水にすい和物あえもの)
融点ゆうてん	? (無む水物みずもの) 70℃で分解ぶんかい (二水にすい和物あえもの)
水みずへの溶解ようかい度ど	僅わずかに溶とけ、反応はんのうする。
関連かんれんする物質ぶっしつ
その他たの陰かげイオン	フッ化か水銀すいぎん(I) 塩化えんか水銀すいぎん(I) 臭におい化か水銀すいぎん(I) ヨウ化か水銀すいぎん(I)
その他たの陽ひイオン	硝酸しょうさん水銀すいぎん(II)
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・常つね圧あつ (100 kPa) におけるものである。

硝酸しょうさん水銀すいぎん(I)（しょうさんすいぎん(I)、英えい: Mercury(I) nitrate）は水銀すいぎんの硝酸塩しょうさんえんで、化学かがく式しきHg₂(NO₃)₂で表あらわされる無機むき化合かごう物ぶつ。

反応はんのう

水銀すいぎんと希まれ硝酸しょうさんとの反応はんのうにより得えられる。この際さい濃こ硝酸しょうさんを使用しようすると硝酸しょうさん水銀すいぎん(II)が生しょうじる。還元かんげん性せいを持もち、空気くうきに触ふれると酸化さんかする。水溶液すいようえきにすると酸化さんかを遅おくらせることができる。

${\ce {{Hg2(NO3)2}+ H2O -> {Hg2(NO3)(OH)}+ H^+}}$

熱湯ねっとうとの接触せっしょくや光ひかりの曝露ばくろにより不ふ均ひとし化か反応はんのうが起おき、硝酸しょうさん水銀すいぎん(II)と水銀すいぎんに分解ぶんかいする。

${\ce {2Hg2(NO3)2 -> {Hg}+ Hg(NO3)2}}$

安全あんぜん性せい

日本にっぽんの毒物どくぶつ及および劇げき物ぶつ取締とりしまり法ほうでは毒物どくぶつに、消防しょうぼう法ほうでは第だい1類るい危険きけん物ぶつ（酸化さんか性せい固体こたい）に分類ぶんるいされる。ラットに経口けいこう投与とうよした場合ばあいの半数はんすう致死ちし量りょう(LD50)は170mg/kg、経けい皮がわ投与とうよした場合ばあいのLD50は2330mg/kgである。眼めや皮膚ひふへの腐食ふしょく性せいがある。摂取せっしゅした場合ばあいは主おもに腎臓じんぞうや神経しんけい系けいに影響えいきょうが及およぶ。

これ自体じたいは不燃ふねん性せいであるが、酸化さんか剤ざいであり周囲しゅういでの燃焼ねんしょうを助長じょちょうする。加熱かねつによる分解ぶんかいで腐食ふしょく性せい・毒性どくせいのある煙霧えんむを生しょうじることがある。