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青色あおいろはぐれぼし

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ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによるNGC 6397写真しゃしんおおくの青色あおいろはぐれぼしえる[1]

青色あおいろはぐれぼし[2](あおいろはぐれぼし、えい: blue straggler[2])は、散開さんかい星団せいだん球状きゅうじょう星団せいだんなかにあるしゅ系列けいれつぼしで、通常つうじょう星団せいだんなかられるようなヘルツシュプルング・ラッセルがりの位置いちにある恒星こうせいからはなれたところにある、よりあかるくあお恒星こうせいである。青色あおいろはぐれぼしは1953ねんアラン・サンデージ球状きゅうじょう星団せいだんM3測光そっこうをしているさい発見はっけんされた[3][4]恒星こうせい進化しんか標準ひょうじゅん理論りろんでは、ヘルツシュプルング・ラッセル図上ずじょう位置いちは、おおよそ恒星こうせいもと質量しつりょう年齢ねんれいによってまるとされている。星団せいだんでは、すべての恒星こうせいはほぼ同時どうじ生成せいせいするため、ヘルツシュプルング・ラッセルでは、すべての恒星こうせい星団せいだん年齢ねんれい曲線きょくせんじょうにそれぞれの当初とうしょ質量しつりょうのみにしたがってならぶはずである。青色あおいろはぐれぼし星団せいだんほか恒星こうせいくらべて質量しつりょうが2ばいから3ばいもあり、このルールを逸脱いつだつしているようにえる[5]。この問題もんだいは、青色あおいろはぐれぼし観測かんそくされる星団せいだんちゅう密度みつど領域りょういきこる、ふたつないし複数ふくすう恒星こうせい同士どうし相互そうご作用さよう関係かんけいしているものとかんがえられている。

形成けいせい[編集へんしゅう]

青色あおいろはぐれぼし形成けいせいについては、いくつかの説明せつめいかんがえられている。もっと単純たんじゅんなものは、青色あおいろはぐれぼし星団せいだんだい部分ぶぶん恒星こうせい形成けいせいわったのち形成けいせいされたとかんがえるものであるが、これにかんする証拠しょうこかぎられている[6]。またべつ単純たんじゅん説明せつめいとしては、青色あおいろはぐれぼし当初とうしょから星団せいだん構成こうせいしていたものではなく、星団せいだんらえられたとかんがえるものである。しかし青色あおいろはぐれぼし星団せいだん中心ちゅうしんちかくに存在そんざいすることもあるため、この説明せつめいにも疑問ぎもんたれている[7]

星団せいだん相互そうご作用さよう[編集へんしゅう]

提案ていあんされているなかで、もっと可能かのうせいのある2つの説明せつめいは、どちらも星団せいだん構成こうせいする恒星こうせい同士どうし相互そうご作用さよう関係かんけいするものである。

1つ説明せつめいは、青色あおいろはぐれぼし現在げんざい、またはかつてれんぼしであり、それが融合ゆうごうしつつある、またはすで融合ゆうごうしたというものである。2つの恒星こうせい融合ゆうごう質量しつりょうおおきな1つの恒星こうせいつくし、星団せいだんちゅうほかほしよりもかなりおおきくなることもありうる。ヘルツシュプルング・ラッセルがりてんよりもおおきな質量しつりょうって誕生たんじょうした恒星こうせいすでしゅ系列けいれつぼし段階だんかいえているが、融合ゆうごうによっておおきな質量しつりょう獲得かくとくした恒星こうせい急速きゅうそく進化しんか途上とじょうにある。この見方みかた裏付うらづける証拠しょうこはあり、その代表だいひょうてきなものは、青色あおいろはぐれぼし星団せいだんなか密度みつど部分ぶぶんとく球状きゅうじょう星団せいだんかく存在そんざいすることがおおいという事実じじつである。このような領域りょういきには体積たいせきたりの恒星こうせいかずおおいため、衝突しょうとつ接近せっきんかくりつよりもおおきくなる[7]

この仮説かせつ検証けんしょうする1つの方法ほうほうは、変光星へんこうせいでもある青色あおいろはぐれぼし脈動みゃくどう観測かんそくである。融合ゆうごうした恒星こうせいほししんがくてき性質せいしつは、おなじような質量しつりょう光度こうど変光星へんこうせいのものとある程度ていどことなる。しかし、青色あおいろはぐれぼし変光星へんこうせいすう自体じたい非常ひじょうすくなく、脈動みゃくどうはばちいさく、非常ひじょうった場所ばしょ発見はっけんされることがおおいため、脈動みゃくどう測定そくてい非常ひじょうむずかしい。いくつかの青色あおいろはぐれぼし非常ひじょう高速こうそく自転じてんしていることがかっている。たとえばきょしちょう47なかには、太陽たいようの75ばい速度そくど自転じてんする恒星こうせいがあり、これは衝突しょうとつによって形成けいせいされたとする予測よそく合致がっちする[8]

2つ説明せつめいは、れんぼしとして形成けいせいされた恒星こうせいあいだ質量しつりょう移動いどうこったというものである。質量しつりょうおおきい恒星こうせいはや進化しんかし、ロッシュ・ローブあふれさせる。質量しつりょうおおきい恒星こうせいからちいさい恒星こうせいにすぐ質量しつりょう転移てんいし、恒星こうせい衝突しょうとつ仮説かせつたような状況じょうきょうこる[9]ひかりだま炭素たんそ酸素さんそ割合わりあいすくない恒星こうせい青色あおいろはぐれぼしがいくつか発見はっけんされているのがこの仮説かせつ根拠こんきょである[10]

結局けっきょくのところ、れんぼしあいだ衝突しょうとつ質量しつりょう移動いどうによって青色あおいろはぐれぼし形成けいせいされたことを支持しじする証拠しょうこしめされている[11]。M3やきょしちょう47、NGC 6752なかでは、衝突しょうとつによってできた青色あおいろはぐれぼし星団せいだん中心ちゅうしん付近ふきん質量しつりょう移動いどうによってできたものが外側そとがわというふうに、どちらの機構きこうでできたものも存在そんざいするとかんがえられている[12]探査たんさケプラーによって、2つの青色あおいろはぐれぼしまわりに低質ていしつりょう白色はくしょく矮星発見はっけんされたことは、この2つの青色あおいろはぐれぼし質量しつりょう移動いどうによって質量しつりょう獲得かくとくしたことを示唆しさしている[13]

そののタイプ[編集へんしゅう]

黄色おうしょくはぐれぼし」や「赤色あかいろはぐれぼし」は、いろがりてん赤色あかいろ巨星きょせい分岐ぶんきあいだにあるが、じゅん巨星きょせい分岐ぶんきよりもあかるい恒星こうせいし、散開さんかい星団せいだん球状きゅうじょう星団せいだんられる。このような恒星こうせいは、以前いぜん青色あおいろはぐれぼしであったものが巨星きょせいかって進化しんかしている途上とじょう恒星こうせいであるとかんがえられている[14]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Too Close for Comfort”. Hubble Site. NASA (2003ねん8がつ7にち). 2010ねん1がつ21にち閲覧えつらん
  2. ^ a b 青色あおいろはぐれぼし美星びせい天文台てんもんだい 美星びせいまち のデータベース
  3. ^ Sandage, Allan (1953). “The color-magnitude diagram for the globular cluster M3”. The Astronomical Journal 58: 61–75. doi:10.1086/106822. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1953AJ.....58...61S/abstract. 
  4. ^ John Noble Wilford (1991ねん8がつ27にち). “Cannibal Stars Find a Fountain of Youth”. http://www.nytimes.com/1991/08/27/science/cannibal-stars-find-a-fountain-of-youth.html 2010ねん1がつ18にち閲覧えつらん 
  5. ^ Astronomy Picture of the Day - Blue Stragglers in NGC 6397” (2000ねん6がつ22にち). 2010ねん1がつ18にち閲覧えつらん
  6. ^ “NASA's Hubble Space Telescope Finds "Blue Straggler" Stars in the Core of a Globular Cluster”. Hubble News Desk. (1991ねん7がつ24にち). http://hubblesite.org/newscenter/newsdesk/archive/releases/1991/12/text/ 2006ねん5がつ24にち閲覧えつらん 
  7. ^ a b Leonard, Peter J. T. (1989). “Stellar collisions in globular clusters and the blue straggler problem”. The Astronomical Journal 98: 217–226. doi:10.1086/115138. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1989AJ.....98..217L/abstract. 
  8. ^ “Hubble Catches up with a Blue Straggler Star”. Hubble News Desk. (1997ねん10がつ29にち). http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/1997/35/text/ 2010ねん1がつ18にち閲覧えつらん 
  9. ^ Shu, Frank (1982). The Physical Universe. University Science Books. ISBN 9780935702057. https://books.google.co.jp/books?id=v_6PbAfapSAC&redir_esc=y&hl=ja 
  10. ^ “Origin of Strange 'Blue Straggler' Stars Pinned Down”. space.com. (2006ねん10がつ5にち) 
  11. ^ Nancy Atkinson (2009ねん12月23にち). “Blue Stragglers Can Be Either Vampires or Stellar Bad Boys”. Universe Today. http://www.universetoday.com/2009/12/23/blue-stragglers-can-be-either-vampires-or-stellar-bad-boys/ 2010ねん1がつ18にち閲覧えつらん 
  12. ^ Mapelli, M. et al. (2006). “The radial distribution of blue straggler stars and the nature of their progenitors”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 373 (1): 361–368. doi:10.1111/j.1365-2966.2006.11038.x. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2006MNRAS.373..361M/abstract. 
  13. ^ Di Stefano, Rosanne (2010). “Transits and Lensing by Compact Objects in the Kepler Field: Disrupted Stars Orbiting Blue Stragglers”. ArXiv. http://adsabs.harvard.edu/abs/2010arXiv1002.3009D. 
  14. ^ Clark, L. Lee, et al. (2004). “The Blue Straggler and Main-Sequence Binary Population of the low-mass globular cluster Palomar 13”. The Astronomical Journal 128 (6): 3019–3033. doi:10.1086/425886. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2004AJ....128.3019C/abstract.