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非常口ひじょうぐち

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
非常口ひじょうぐちピクトグラム消防庁しょうぼうちょう告示こくじ誘導ゆうどうとうおよ誘導ゆうどう標識ひょうしき基準きじゅん」)
非常口ひじょうぐちピクトグラムISO 7010)。下線かせん追加ついかされているてん消防庁しょうぼうちょう告示こくじことなる。
非常口ひじょうぐちピクトグラム(EUの指令しれい 92/58/EEC)

非常口ひじょうぐち(ひじょうぐち、英語えいご: emergency exit)とは、火災かさいやその非常ひじょう事態じたい発生はっせいした場合ばあいそなえて設置せっちされた出口いでぐちことである。日本にっぽん消防しょうぼうほうにおいては避難ひなんこう(ひなんぐち)とばれる。

概説がいせつ

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ビル地下街ちかがい劇場げきじょうホテルなど特定とくてい多数たすうひとあつまる場所ばしょでは、火災かさい地震じしん事故じこその、なんらかの非常ひじょう事態じたい発生はっせいした場合ばあいに、迅速じんそくかつ安全あんぜん退避たいひする必要ひつようがある。そのために常用じょうよう出口でぐちと、それが常用じょうよう出口でぐちであることをしめ標識ひょうしき、および各所かくしょさいよせ非常口ひじょうぐち誘導ゆうどうする案内あんない看板かんばん誘導ゆうどう標識ひょうしき)が設置せっちされている。このうち、はなれた位置いちあるいはけむりなかでも視認しにんしやすくするためにはん透明とうめい表示ひょうじばん電灯でんとう内蔵ないぞうして標識ひょうしき自体じたい発光はっこうさせた設備せつび誘導ゆうどうとうという。

上記じょうき施設しせつなどのほか、えき構内こうないトンネル鉄道てつどう車両しゃりょうバス航空機こうくうきなどのものにも設置せっちされている。

非常口ひじょうぐちには、緊急きんきゅうにのみ使用しようをすることを目的もくてきつくられた出口でぐちほか恒常こうじょうてき使用しようする出入口でいりぐち正面しょうめん玄関げんかんなど)も指定していされる。緊急きんきゅうのみに使用しようする非常口ひじょうぐちは、誤用ごようふせぐためや緊急きんきゅう通報つうほうねるため、火災かさい報知ほうち設備せつびはつむくいさせなければ非常口ひじょうぐち使つかえなかったり、開閉かいへいハッチ自体じたいけることで非常ひじょう通報つうほうわりとなる機能きのうそなえていることがある。

設置せっち場所ばしょ特性とくせいじょう耐火たいかせいたい熱性ねっせいもとめられるじょう緑色みどりいろ火災かさいほのおなかもっと目立めだつとされ、誘導ゆうどうとうにはかなら緑色みどりいろ使用しよう消防しょうぼうほうにより義務付ぎむづけられている。

マークについて、日本にっぽんではみどりしろ基調きちょうとしており、1人ひとり人間にんげん出口いでぐち非常口ひじょうぐち)へはしってにゅうろうしている様子ようすとなっている。

非常口ひじょうぐち誘導ゆうどう標識ひょうしき

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非常口ひじょうぐち誘導ゆうどう標識ひょうしき基準きじゅん制定せいてい

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1883ねん、イギリス・サンダーランドのビクトリアホールで180にん以上いじょう子供こども死亡しぼうする群衆ぐんしゅう事故じこ発生はっせいした。この事故じこでは、ショーのわりに演者えんじゃ特別とくべつせき子供こどもたちにプレゼントをくばはじめ、観覧席かんらんせきにいた子供こどもたち推定すいてい1100にん)がしたりようと階段かいだんめかけた。しかし、階段かいだんたりに設置せっちされていたとびらうちひらきで施錠せじょうされていたため、子供こどもたち階段かいだんそこ滞留たいりゅうしてから子供こどもたち下敷したじきになった[1]。イギリス政府せいふはこの事故じこけ、非常口ひじょうぐちそとひらきかつ内側うちがわからかいじょうできるようにするといった、建築けんちく安全あんぜん最低さいてい基準きじゅん強制きょうせいする法的ほうてき措置そちはじめた。しかし、このうごきは世界せかいてきひろまることはなかった。

1911ねんにニューヨーク発生はっせいしたトライアングル・シャツウェスト工場こうじょう火災かさいは、おおくの労働ろうどうしゃ建物たてもの脱出だっしゅつできずにほのおけむり吸引きゅういん、または転落てんらくりにより死亡しぼうするという歴史れきしてき火災かさい事故じことなった。この工場こうじょうには2つの非常口ひじょうぐちがあったが、1つは労働ろうどうしゃ無断むだん休憩きゅうけい材料ざいりょう盗難とうなんふせぐために施錠せじょうされていた。もう1つの非常口ひじょうぐちほのおねつ避難ひなんする人々ひとびとおもさにえきれず崩壊ほうかいした[2]。また、これらのとびらうちひらきになっていた[3]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく伝統でんとうてき非常口ひじょうぐち誘導ゆうどうとう

この事故じこけてニューヨーク予防よぼうきょく設立せつりつし、労働ろうどうほう建築けんちく基準きじゅん立法りっぽう改正かいせいおこなった。このなかにはスプリンクラー設備せつび非常口ひじょうぐち避難ひなん通路つうろ安全あんぜん基準きじゅんひか誘導ゆうどう標識ひょうしき誘導ゆうどうとう)の要件ようけんまれた[3]アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく国家こっか防火ぼうか協会きょうかい (National Fire Protection Association; NFPA) は1913ねんから非常口ひじょうぐち避難ひなん階段かいだんなどの基準きじゅんについて検討けんとうはじめ、1921ねん建築けんちくぶつ非常口ひじょうぐち基準きじゅん (Buildings Exits Codes) を公表こうひょうした[4]

日本にっぽんでは1932ねん発生はっせいした白木屋しらきや大火たいかをきっかけに、内務省ないむしょう建築けんちく規則きそくにNFPAの基準きじゅん参考さんこうにしたとみられる安全あんぜん基準きじゅんまれた。1960年代ねんだい高度こうど経済けいざい成長せいちょうにはいわこうホテル火災かさいなど増築ぞうちくされたホテルや旅館りょかん火災かさい事故じこ頻発ひんぱつし、1970ねんまでに消防しょうぼうほう建築けんちく基準きじゅんほう安全あんぜん基準きじゅんかかわる法的ほうてき整備せいびすすめられた[5]

ピクトグラムの制定せいていとISO標準ひょうじゅん

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日本にっぽんでかつて一般いっぱんてきだった非常口ひじょうぐち誘導ゆうどうとう

日本にっぽんにおいて、ピクトグラム施行しこうされる前日ぜんじつである1982ねん3がつ31にち以前いぜん落成らくせいした建物たてものでは、「非常口ひじょうぐち」・「非常ひじょう出口でぐち」・「非常ひじょう階段かいだん」(した英語えいごで「EXIT」といてある場合ばあいもある)の文字もじのみの表記ひょうきであった。なおこの文字もじ表示ひょうじのみの誘導ゆうどうとうおそくとも1970年代ねんだい初頭しょとうにはあったとされるが、日本にっぽん照明しょうめい器具きぐ工業こうぎょうかいにおいて誘導ゆうどうとう認定にんてい開始かいしされる1975ねん2がつまでは、通常つうじょう蛍光けいこうランプが点灯てんとうし、停電ていでんにはまめだま3が20分間ふんかん点灯てんとうする仕組しくみのものが、各地かくち消防しょうぼう独自どくじ認定にんてい使つかわれていたとされる[6]

1972ねんせんにちデパート火災かさいでは、非常口ひじょうぐち誘導ゆうどうとうはり付近ふきんたか位置いちけられ、もうけむり停電ていでんによる暗闇くらやみ影響えいきょう避難ひなんしゃには視認しにんできなかった。さらには誘導ゆうどうとうには常用じょうよう電源でんげん(バッテリー)がそなわっておらずに停電ていでん消灯しょうとうし、室内しつない装飾そうしょく誘導ゆうどうとう視認しにんさまたげとなる問題もんだいもあったことから滞在たいざいしゃ避難ひなん支障ししょうきたした。また1973ねん熊本くまもと大洋たいようデパート火災かさいでは、非常口ひじょうぐち誘導ゆうどうとうのサイズがちいさかったために非常口ひじょうぐち場所ばしょ火災かさいによるけむりなどでからず、避難ひなんしゃ混乱こんらんした結果けっかおおくの死傷ししょうしゃしたため、消防しょうぼうほう改正かいせいされるとともに、日本にっぽん照明しょうめい器具きぐ工業こうぎょうかいにおいて誘導ゆうどうとう認定にんてい開始かいしされることになった。とはいうものの、この時点じてんにおいて「非常口ひじょうぐち」などの字体じたい英語えいご表記ひょうき有無うむ誘導ゆうどうとう製造せいぞう会社かいしゃあいだ統一とういつされることはなかった。

そこでだれにでもわかる標識ひょうしき目指めざしデザインが1979ねん公募こうぼされ、およそ3300にん応募おうぼなかから図案ずあん評価ひょうか実験じっけんとう小谷松おやまつ敏文としふみ作品さくひん入選にゅうせん[7]太田おおた幸夫ゆきおによる改良かいりょうて1982ねん1がつ20日はつか消防庁しょうぼうちょう告示こくじ同年どうねん4がつ1にち施行しこうされた。前述ぜんじゅつ理由りゆうあわせて施行しこう直前ちょくぜんである2がつ8にち発生はっせいしたホテルニュージャパン火災かさい影響えいきょうもあって、消防庁しょうぼうちょう告示こくじからわずか1ねんはんで、70%以上いじょう誘導ゆうどうとうしん表示ひょうじ現行げんこうデザイン)にえられたという[8]筐体きょうたいはそのままで表示ひょうじばんだけを交換こうかんすることでえられたケースがほとんどである。

また1987ねんには、消防庁しょうぼうちょう告示こくじのものに下線かせん追加ついかしたデザインのピクトグラムが、国際こくさい標準ひょうじゅん機構きこう (ISO) がさだめる国際こくさい規格きかく ISO 6309:1987 (Fire protection--Safety signs) にまれ、国際こくさい標準ひょうじゅんになった。ISO 7010:2003 (Graphical symbols -- Safety colors and safety signs -- Safety signs used in workplaces and public areas) にも規定きていされている。

かく地域ちいきにおける誘導ゆうどう標識ひょうしき

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2018ねん現在げんざい日本にっぽんとほぼ同等どうとうのピクトグラムを採用さいようするくに地域ちいきは、イギリス[9]、オーストラリア[10]、カナダ[11]韓国かんこく、ニュージーランド[12]などがある。欧州おうしゅう連合れんごう加盟かめいこく (EU)のおおくの国々くにぐにでは文字もじ表示ひょうじせずピクトグラムのみを表示ひょうじしている[9]。このEU指令しれい (92/58/EEC) で規定きていされているピクトグラムはISO標準ひょうじゅんのものとことなり、とびらひとべつになっている。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではしゅうなどの自治体じちたいさだめる基準きじゅんによってことなり、おおくはあかまたはみどりでEXITの文字もじのみの標識ひょうしき使つかわれている。伝統でんとうてきにはあか文字もじでのEXITの表示ひょうじ使つかわれており、たとえばニューヨークの2014ねん建築けんちく基準きじゅんではあかいEXITの表示ひょうじのみが規定きていされている[13]。カナダで1995ねんさだめられた国家こっか建築けんちく基準きじゅんでもあかいEXITの表示ひょうじとなっていたが、2010ねん改正かいせいよりISO標準ひょうじゅんピクトグラムになった[11]

日本にっぽん建築けんちくぶつにおける非常口ひじょうぐち

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非常口ひじょうぐち基準きじゅん

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日本にっぽんでは、建築けんちく基準きじゅんほうによって建築けんちくぶつ構造こうぞうにおける避難ひなんじょうおよび消火しょうかじょう必要ひつよう基準きじゅん避難ひなん階段かいだんなど)がさだめられている。また、建築けんちく基準きじゅんほうによって避難ひなん施設しせつ部分ぶぶん一定いってい照度しょうど以上いじょうたもつための非常ひじょうとう常用じょうよう照明しょうめい器具きぐ)の基準きじゅん消防しょうぼうほうによって常用じょうよう出口でぐち避難ひなんこう)の定義ていぎ常用じょうよう出口でぐち誘導ゆうどうする標識ひょうしき誘導ゆうどうとう)の基準きじゅんさだめられている[14]

非常口ひじょうぐち区画くかくとびら防火ぼうか防火ぼうかシャッター)

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防火ぼうかいている非常口ひじょうぐち防火ぼうか中央ちゅうおうにはくぐりいている。
なるくだ避難ひなん器具きぐ誘導ゆうどうとうれいまど当該とうがい箇所かしょ開閉かいへい可能かのうとなっていて、非常時ひじょうじはそこが避難ひなんこうとなる。

階段かいだんなどの非常口ひじょうぐちには竪穴たてあな区画くかく区画くかくかべ場合ばあい建築けんちく基準きじゅんほう規定きていにより非常口ひじょうぐち防火ぼうか防火ぼうかシャッターをもうける場合ばあいがある。

防火ぼうか画像がぞうのようなおおきな鉄扉てっぴをイメージすることもおおいが、区画くかくかべけられている特定とくてい防火ぼうか設備せつび該当がいとうするスチールドアも防火ぼうかである。特定とくてい防火ぼうか設備せつびのスチールドアがまいとびらだった場合ばあい開閉かいへい調整ちょうせい装置そうちによってかならけのドアがさきまるよう設計せっけいされている。

防火ぼうか防火ぼうかシャッターは、ちかくにけられただい三種さんしゅけむり感知かんちはつほうすると、自動じどう火災かさい報知ほうち設備せつび連動れんどうし、自動じどう閉鎖へいさするもので、非常口ひじょうぐちにもなるため、そのままけて避難ひなんできるようにラッチフリーになっているほかおおきな防火ぼうか場合ばあい容易ようい避難ひなんするためにくぐりもうけるようになっている。また、防火ぼうかシャッターが設置せっちされている開口かいこう非常口ひじょうぐちとはみなされないため、直近ちょっきんにはスチールドアとう非常口ひじょうぐち設置せっちし、避難ひなんこう誘導ゆうどうとうもうける。非常ひじょうエレベーターのホールとう設置せっちされる防火ぼうかには、消防しょうぼうたい消防しょうぼうようホースをとおせるよう、足元あしもとにホースよう開口かいこうもうけることもある。

過去かこ防火ぼうかシャッターの降下こうか位置いち荷物にもつがあったことで閉鎖へいさせず、延焼えんしょう拡大かくだいした大洋たいようデパート火災かさいや、防火ぼうか絨毯じゅうたんかり、閉鎖へいさしなかったことによってまわりがはやく、避難ひなんおくれたホテルニュージャパン火災かさいなど、区画くかくとびら閉鎖へいさによって甚大じんだい被害ひがいきることもあり、消防しょうぼうでは、シャッターの降下こうか位置いち表示ひょうじするように指導しどうしたり、防火ぼうか軌跡きせきしめして、ものかないように表示ひょうじをするよう指導しどうしている。

また、小学校しょうがっこうなどでは誤作動ごさどうにより降下こうかはじめた防火ぼうかシャッターをあせった児童じどう降下こうかちゅう防火ぼうかくぐけようとし、あたまはさまれて死亡しぼうする事故じこ発生はっせい[15]したことから、防火ぼうかシャッターの昇降しょうこうこう避難ひなんこうではないという周知しゅうち徹底てっていや、危害きがい防止ぼうし装置そうちけ、「きけん!!くぐるな!!」とシャッターに表示ひょうじするひとし指導しどうしている消防署しょうぼうしょもある。

避難ひなんぶくろれい当該とうがい箇所かしょまどおおきさにわせてつくられており、まど避難ひなんこうにして避難ひなんすることができる。

エレベーター

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エレベーターは基本きほんてき非常口ひじょうぐちおよ避難ひなん経路けいろとしてはみなされないが、高齢こうれいしゃ身障者しんしょうしゃ避難ひなんには、ホールが防火ぼうか区画くかくで、非常ひじょう電源でんげん接続せつぞくされている常用じょうようエレベーターを避難ひなん使用しようしてもよいと指導しどうしている消防署しょうぼうしょもある。

避難ひなん器具きぐよう避難ひなんこう

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おもしたかい避難ひなんするために設置せっちされている避難ひなんハッチや、避難ひなんはしご、避難ひなんぶくろとう避難ひなん器具きぐかれていて開閉かいへい可能かのうまど屋上おくじょう避難ひなんこうとなる。そのような設備せつびには''避難ひなん器具きぐ''や''避難ひなんはしご''としろのプレートに黒字くろじかれており、誘導ゆうどうとう同様どうよう発光はっこうしている場合ばあいもある。また、マンションなどの共同きょうどう住宅じゅうたくでは、「非常ひじょうさいはここをやぶってとなり避難ひなんしてください」とかれた破壊はかい可能かのうかべけられている場合ばあいおおい。 消防しょうぼうたい進入しんにゅうする、消防しょうぼうたい進入しんにゅうこうもあるが、消防しょうぼうたい進入しんにゅうするためにさだめられているもので、避難ひなんよう非常口ひじょうぐちではない。

誘導ゆうどうとう

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非常口ひじょうぐちしめ文字もじピクトグラムのデザインは消防しょうぼうほう施行しこう規則きそくもとづいた消防庁しょうぼうちょう告示こくじ誘導ゆうどうとうおよ誘導ゆうどう標識ひょうしき基準きじゅん」でさだめられている[16]日本にっぽん産業さんぎょう規格きかく (JIS) ではこれとのダブルスタンダードを回避かいひするため、案内あんないよう記号きごうさだめたJIS Z 8210[17] や、安全あんぜん標識ひょうしきさだめたJIS Z 9104[18]では規定きていされておらず、参考さんこうとして記載きさいされている。

ピクトグラムの周囲しゅうい緑地りょくち標識ひょうしきと、白地しろじ標識ひょうしきの2種類しゅるいがあり、緑地りょくちのものが「非常口ひじょうぐちそのもの」に設置せっちされる。白地しろじのものは廊下ろうか通路つうろもうけられ、「非常口ひじょうぐちがある方向ほうこう」をしめしているため、すぐちかくに出口でぐちがあるとはかぎらない。ピクトグラムが制定せいていされたばかりのころは、すべて(みぎ矢印やじるし場合ばあいでも)ピクトグラムのひとがた左向ひだりむきであったが[よう出典しゅってん]、その非常口ひじょうぐちのある方向ほうこう直観ちょっかんてきにわかるよう、ピクトグラムを左右さゆう反転はんてんさせて、ひとがた非常口ひじょうぐち方向ほうこうかうように表示ひょうじされる。左右さゆう両側りょうがわ矢印やじるし場合ばあいひとがた基本きほんてき左向ひだりむきである。

1994ねんにはピクトグラムのみのコンパクトスクエアがた登場とうじょう。その光源こうげんひや陰極いんきょく蛍光けいこうとうからLEDとなってしょうエネすすみ、2024ねん現在げんざい日本にっぽんではLEDしきのコンパクトスクエアがた主流しゅりゅうとなっている。また、2009ねん基準きじゅん改正かいせいより「こう輝度きど蓄光しき誘導ゆうどう標識ひょうしき」での代用だいよう一部いちぶみとめられている[19]

初期しょきのピクトグラム非常口ひじょうぐち(昭和しょうわ50年代ねんだい製造せいぞう)

設置せっち基準きじゅん

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誘導ゆうどうとう設置せっち基準きじゅんは、消防しょうぼうほう施行しこうれいだい26じょう消防しょうぼうほう施行しこう規則きそくだい28じょうの3、消防しょうぼうだい245ごうによりさだめられており、この2つの標識ひょうしきは、商用しょうよう施設しせつ工業こうぎょう施設しせつ宿泊しゅくはく施設しせつなどにたいして設置せっち義務付ぎむづけられている。通路つうろ一定いってい間隔かんかく通路つうろ誘導ゆうどうとうが、脱出だっしゅつ可能かのう出口でぐち避難ひなんこう誘導ゆうどうとう設置せっちされている。これらは、蓄電池ちくでんちによりすうじゅうふんから数時間すうじかん程度ていど点灯てんとうつづける能力のうりょくゆうしているため、避難ひなんさいにもし停電ていでんしたとしても、脱出だっしゅつ目標もくひょうとして使用しようできるようになっている。通常つうじょう誘導ゆうどうとうではやく20ふん以上いじょう長時間ちょうじかん点灯てんとうがたでは1時間じかん以上いじょうとなっている。また、特定とくてい多数たすう出入でいりする建物たてものにおいてはキセノンランプ点滅てんめつ装置そうち(ストロボ)・音声おんせい案内あんない装置そうちがついている機種きしゅもある。なお、非常ひじょうとうは、建築けんちく基準きじゅんほうによってさだめられているもので、用途ようと所管しょかんまったことなる。

誘導ゆうどうとうあかるさが支障ししょうきた劇場げきじょう映画えいがかんひとしでは、上演じょうえんちゅう上映じょうえいちゅう消灯しょうとうする場合ばあいおおいが、非常時ひじょうじには自動じどう火災かさい報知ほうち設備せつびうつりほう入力にゅうりょくにより、誘導ゆうどう灯用とうよう信号しんごう装置そうちにより点灯てんとうするようになっており、そのむね告知こくち放送ほうそう館内かんない放送ほうそうによっておこなわれる場合ばあいがある。またこれらの場所ばしょでは公演こうえん上映じょうえい支障ししょうがない程度ていどあかるさで足下あしもとらす客席きゃくせき誘導ゆうどうとうもうけられていることがおおい。ただし、誘導ゆうどうとう消灯しょうとうする場合ばあい消防しょうぼうほう施行しこう規則きそくだい28じょうの3、消防しょうぼうだい245ごうにより消灯しょうとう条件じょうけんさだめられているほか所轄しょかつ消防署しょうぼうしょへの確認かくにん協議きょうぎ必要ひつようとなる。

1982ねんおよびそれ以降いこうにデザインが変更へんこうされたさい落成らくせいみの建物たてもの遡及そきゅうしたしんデザインへのえは強制きょうせいしておらず、消防しょうぼうほうでは新旧しんきゅうわず誘導ゆうどうとうには緑色みどりいろ (緑地りょくちしろ文字もじおよびそのぎゃくのもの) が使つかわれていればよいとさだめられているため改装かいそう誘導ゆうどうとう更新こうしんなどをおこなっていないかぎりそれらの建物たてものでは改正かいせい以降いこう過去かこのデザインのまま使用しようされている。また、パネルだけを現行げんこうピクトグラムのものに交換こうかんし、誘導ゆうどうとう自体じたい制定せいてい以前いぜんのままといったれいられる。

Cきゅう避難ひなんこう誘導ゆうどうとう充電じゅうでんモニタ(みどり)とランプモニタ(あか)が点灯てんとうおよ点滅てんめつしている。

構造こうぞう

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誘導ゆうどうとう内部ないぶ充電じゅうでんしき電池でんち電池でんち蛍光けいこうとう(またはひや陰極いんきょく蛍光けいこうとうLED)を点灯てんとうさせるインバータ、充電じゅうでん回路かいろ通常つうじょう点灯てんとうよう安定あんてい内蔵ないぞうされている電池でんち内蔵ないぞうがたと、充電じゅうでん回路かいろ充電じゅうでんしき電池でんちたない電源でんげん別置べっちがたがある。両者りょうしゃ見分みわかたは、機能きのうチェックをするための点検てんけんスイッチと正常せいじょう充電じゅうでんされていることしめすモニターランプ(1985ねん以前いぜん器具きぐでは赤色あかいろ。それ以降いこう緑色みどりいろ現在げんざい緑色みどりいろ充電じゅうでんモニターと赤色あかいろのランプモニター)がいのが電源でんげん別置べっちがたである。電源でんげん別置べっちがた器具きぐ自体じたい多少たしょう安価あんかだが非常ひじょうよう電源でんげん装置そうち誘導ゆうどうとう蓄電池ちくでんち限定げんてい)が必要ひつようで、器具きぐ常用じょうよう電源でんげん装置そうちあいだ耐火たいか配線はいせん(860℃-30ふんえる必要ひつようがある)での工事こうじとなり小規模しょうきぼ場合ばあい割高わりだかとなるのでだい規模きぼ施設しせつ使つかわれる。

おおきさ(区分くぶん

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1999(平成へいせい11)ねん9がつ21にち消防しょうぼうほう改正かいせいでAきゅう表示ひょうじめんたて寸法すんぽうが0.4m以上いじょう)、Bきゅう表示ひょうじめんたて寸法すんぽうが0.2m以上いじょう0.4m未満みまん)、Cきゅう表示ひょうじめんたて寸法すんぽうが0.1m以上いじょう0.2m未満みまん)になった。現在げんざいは1999ねん製造せいぞうはじめられたLED光源こうげんのものが主流しゅりゅうであるが、蛍光けいこうとうのものが主流しゅりゅうであった消防しょうぼうほう改正かいせいまえまでは大形おおがた基本きほん蛍光けいこうとう40W×2とう特殊とくしゅ場所ばしょ天井てんじょうひくく、大形おおがた取付とりつけ出来できない場所ばしょように(32W・35Wまたは40W)×1とう)・中形ちゅうがた蛍光けいこうとう20W×1とう)・小形おがた蛍光けいこうとう10W×1とう)であった。BきゅうはBHかたちとBLかたちとがあり、BHがたきゅう大形おおがたのうち、蛍光けいこうとう32W・35Wまたは40W×1とうのものに該当がいとうし、BLがたきゅう中形ちゅうがた該当がいとうする。BHかたちとBLがたではおおきさがおなじでもそれぞれ専用せんよう器具きぐとパネルを使用しようしなければならない。ただし、LED光源こうげんのものはパネルはBHかたち・BLがたとで共用きょうようである。Aきゅうきゅう大形おおがた蛍光けいこうとう40W×2とうのもの)、Cきゅうきゅう小形こがたである。

用途ようと

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  • 避難ひなんこう誘導ゆうどうとう・・・パネルが緑地りょくちのものでピクトグラムが強調きょうちょうされているもので、非常口ひじょうぐち場所ばしょしめ
  • 通路つうろ誘導ゆうどうとう・・・避難ひなんこう誘導ゆうどうとうかべ商品しょうひんだななどの障害しょうがいぶつにより直接ちょくせつ視認しにんできない場合ばあい避難ひなんこう誘導ゆうどうとう補助ほじょとしてもうけることが義務付ぎむづけられている。パネルが白地しろじのもので矢印やじるしみどり強調きょうちょうされているもので、非常口ひじょうぐちがある方向ほうこうしめ
  • 階段かいだん通路つうろ誘導ゆうどうとう 客席きゃくせき誘導ゆうどうとう・・・通路つうろらすものである
  • 避難ひなん器具きぐ誘導ゆうどうとう・・・通路つうろ誘導ゆうどうとうおなじく、パネルは白地しろじ文字もじ黒色こくしょくで''避難ひなん器具きぐ'' ''避難ひなんハッチ'' ''避難ひなんはしご''とう表示ひょうじがある。法律ほうりつじょうひからなければならないというわけではないが、所轄しょかつ消防署しょうぼうしょ指示しじにより、誘導ゆうどうとうのパネルを前述ぜんじゅつ表記ひょうき交換こうかんしてうちあきらしきとして設置せっちする場合ばあいがある(避難ひなん器具きぐよう避難ひなんこう画像がぞう参照さんしょう
器具きぐ種類しゅるい
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ストロボを内蔵ないぞうした誘導ゆうどうとう
誘導ゆうどうおんはっするスピーカーがいた誘導ゆうどうとう

避難ひなんこう通路つうろ誘導ゆうどうとう器具きぐには、下記かきよう種類しゅるいがある。

  • 一般いっぱんがた
    • 一般いっぱんがたは、ピクトグラム表示ひょうじ照明しょうめいのみで、付加ふか機能きのうゆうしない誘導ゆうどうとうである。通路つうろ誘導ゆうどうとうには一般いっぱんがた使用しようされる。もっとおお設置せっちされている。
  • 点滅てんめつしき誘導ゆうどうとう
    • 点滅てんめつしき誘導ゆうどうとうは、ピクトグラム表示ひょうじ照明しょうめいほかに、ひかり非常口ひじょうぐち方向ほうこうらせる装置そうち付加ふかされている。点滅てんめつしき誘導ゆうどうとうには火災報知器かさいほうちき連動れんどうしてあかるさが100%-36%(停電ていでん36%-10%)の可変かへんかえうちあきらしきとキセノンフラッシュランプが点滅てんめつするそとあきらしきそとづけわせ、内蔵ないぞう)がある。現在げんざいそとあきらしき内蔵ないぞうがたのものがほとんどである。2018ねんそとあきらしき内蔵ないぞうがた点滅てんめつ装置そうちがキセノンランプからLEDされた点滅てんめつしき誘導ゆうどうとう発売はつばいされた。
    • 消防しょうぼうほううえかなら設置せっちしなければならないわけではないが、特定とくてい多数たすう出入でいりする建物たてものには設置せっちすることがのぞましいとされているほかおも大都市だいとし所轄しょかつ消防署しょうぼうしょ設置せっち指示しじされる場合ばあいがある。
  • 誘導ゆうどうおん付加ふかがた誘導ゆうどうとう
    • 誘導ゆうどうおん付加ふかがた誘導ゆうどうとうは、点滅てんめつがた誘導ゆうどうとう機能きのうほか点滅てんめつしき誘導ゆうどうとう同様どうよう自動じどう火災かさい報知ほうち設備せつび連動れんどうして、チャイムおんとともに「非常口ひじょうぐちはこちらです」と音声おんせいはっする。誘導ゆうどうおん装置そうち自動じどう火災かさい報知ほうち設備せつび連動れんどうのほか、直上ちょくじょうかいおよ直下ちょっかかい誘導ゆうどうおん付加ふかがた誘導ゆうどうとう接続せつぞくされる。また、蓄積ちくせき機能きのうきのだい三種さんしゅけむり感知かんち接続せつぞくして該当がいとう非常口ひじょうぐち階段かいだん)がけむり充満じゅうまんして危険きけん場合ばあい音声おんせい点滅てんめつわせの場合ばあい点滅てんめつも)を上下じょうげかい音声おんせい停止ていしさせる機能きのうゆうする。
    • 点滅てんめつしき誘導ゆうどうとう誘導ゆうどうおん付加ふかがた誘導ゆうどうとうはその性格せいかくじょう避難ひなんこう誘導ゆうどうとうとしてのみ使用しようされる。これらの誘導ゆうどうとう使用しようすると、従来じゅうらい大形おおがた(Aきゅう)の設置せっち義務ぎむづけられていた場所ばしょでも1ランクちいさいもの(BHかたち、BLがた)に変更へんこう出来でき場合ばあいがある。
  • その長時間ちょうじかんていかくがた停電ていでん非常ひじょう点灯てんとう時間じかん一般いっぱんの20ふんから1あいだ延長えんちょうされている)も高層こうそうビルけにある。長時間ちょうじかんていかくがた誘導ゆうどうとうにも一般いっぱんがた点滅てんめつしき誘導ゆうどうおん付加ふかがたかく種類しゅるいがある。また、特殊とくしゅ環境かんきょうようとして防湿ぼうしつぼうがた、クリーンルームようぼうばくがた[20]ひとしがある。

誘導ゆうどうとう取付とりつけは、通常つうじょう天井あまいただし(または専用せんよう金具かなぐもちいての)取付とりつけかべ取付とりつけ、または天井てんじょうパイプ取付とりつけの3種類しゅるいである。その天井てんじょううめこみがた表示ひょうじ露出ろしゅつ)、かべうめこみがたゆかうめこみがたがある。

問題もんだいてん対策たいさく

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エネルギー問題もんだい

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安全あんぜんのためにかすことのできないものではあるが、常時じょうじ点灯てんとうさせるための電力でんりょく消費しょうひ無視むしできない。

そこで、設置せっち可能かのう場所ばしょかぎられるが蓄光機能きのうこう硬度こうど石英せきえい成形せいけいばん作成さくせいした誘導ゆうどうばん開発かいはつされ注目ちゅうもくされているほか、消費しょうひ電力でんりょくすくなく(ひや陰極いんきょくかん比較ひかくして)いろムラのすくないLED光源こうげんとする誘導ゆうどうとう実用じつようされ、ひや陰極いんきょくかん蛍光けいこうとう蛍光けいこうとうかたってわってきている。

また、百貨店ひゃっかてんやショッピングセンターなど、閉店へいてん関係かんけいしゃ以外いがいらないという条件じょうけんきで、閉店へいてん誘導ゆうどうとう消灯しょうとうみとめられている(事前じぜん所轄しょかつ消防署しょうぼうしょとの確認かくにん協議きょうぎ必要ひつよう介護かいご施設しせつなどで入居にゅうきょしゃ睡眠すいみんさまたげにならないように消灯しょうとうする場合ばあいは、自動じどう火災かさい報知ほうち設備せつび誘導ゆうどう灯用とうよう信号しんごう装置そうち連動れんどうさせ、非常時ひじょうじ点灯てんとうするようにすること消灯しょうとうみとめられる(事前じぜん所轄しょかつ消防署しょうぼうしょとの確認かくにん協議きょうぎ必要ひつよう場合ばあいがある。

LEDがた避難ひなんこう誘導ゆうどうとう石英せきえいばんのプレートをけたもの

その

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2005ねん宮城みやぎけんホームセンター設置せっちされている誘導ゆうどうとう発火はっかし、商品しょうひん一部いちぶける火災かさい発生はっせいした。

その、2006ねん札幌さっぽろ三重みえけん誘導ゆうどうとう発火はっかしている。

内蔵ないぞうする蛍光けいこうとう安定あんてい(32W・40W)がまれに異常いじょう発熱はつねつこし近傍きんぼう合成ごうせい樹脂じゅしがしたり、発火はっかいたるものである。当初とうしょ50Hzへるつ地区ちくのみで多発たはつしたためメーカは60Hzへるつ地区ちくについては対策たいさくおこなわれていなかったが三重みえけん同様どうよう事故じこしょうじたため一斉いっせい対策たいさくになった(カバーの交換こうかん延焼えんしょう防止ぼうし金属きんぞくばん追加ついかする)。

これらの誘導ゆうどうとう東芝とうしばライテックが1990年代ねんだい製造せいぞうしたもので、全国ぜんこく各地かくちおなじタイプの誘導ゆうどうとう修理しゅうりなどがおこなわれている[21]

誘導ゆうどうとうふくめて照明しょうめい器具きぐ寿命じゅみょうを8ねんから10ねんさだめており、寿命じゅみょうちかづいた器具きぐ点検てんけんまた交換こうかんするように照明しょうめい器具きぐメーカーのカタログとうけられている。

誘導ゆうどうとう消防しょうぼう設備せつびことなり規格きかく失効しっこういが交換こうかん部品ぶひん生産せいさん終了しゅうりょうにより事実じじつじょう規格きかく失効しっこうむかえた誘導ゆうどうとう存在そんざいする。

交通こうつう機関きかんにおける非常口ひじょうぐち

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旅客機りょかくき

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ボーイング767の非常口の例。客室部の先頭部分にはタイプA非常口、客室中央部にはタイプIII非常口が設置されている ボーイング737のタイプIII非常口(外側)
ボーイング767非常口ひじょうぐちれい客室きゃくしつ先頭せんとう部分ぶぶんにはタイプA非常口ひじょうぐち客室きゃくしつ中央ちゅうおうにはタイプIII非常口ひじょうぐち設置せっちされている
ボーイング737のタイプIII非常口ひじょうぐち(外側そとがわ)
ボーイング737のタイプIII非常口ひじょうぐち(内側うちがわ)

旅客機りょかくきでは、アメリカ連邦れんぽう航空局こうくうきょく(FAA)および欧州おうしゅう共同きょうどう航空こうくう当局とうきょく(JAA)によって、不時着ふじちゃく緊急きんきゅう脱出だっしゅつこう設置せっちすることが義務付ぎむづけられている。非常時ひじょうじ脱出だっしゅつさいには、片側かたがわ非常口ひじょうぐちから90びょう以内いない乗客じょうきゃく全員ぜんいん脱出だっしゅつさせなければならない。非常口ひじょうぐちおおきさは以下いかのようにめられている[22]

  • タイプA(最小さいしょう寸法すんぽうはば106.7cm×たかさ182.9cm)…ボーイング747から採用さいようされた。
  • タイプI(最小さいしょう寸法すんぽうはば61cm×たかさ122cm)
  • タイプII(最小さいしょう寸法すんぽうはば50.8cm×たかさ111.8cm)
  • タイプIII(最小さいしょう寸法すんぽうはば50.8cm×たかさ91.4cm、機内きないゆかから下辺かへんまで50.8cm)…主翼しゅよくじょう
  • タイプVI(最小さいしょう寸法すんぽうはば48.3cm×たかさ66cm、機内きないゆかから下辺かへんまで91.4cm)…主翼しゅよくじょう

タイプA、タイプIおよびタイプIIの非常口ひじょうぐち内側うちがわには脱出だっしゅつようシュート(すべりだい)がけられており、非常時ひじょうじにドアをけた場合ばあい自動的じどうてき展開てんかいするようになっている。

航空機こうくうきにおいて、非常口ひじょうぐちかずおおきさは、航空機こうくうき最大さいだい定員ていいんにも影響えいきょうする。たとえば、ボーイング737において、-800がたと-900がたでは全長ぜんちょうが2.6mもことなるが、最大さいだい旅客りょかく定員ていいんおなじ189めいとなっている。これは、非常口ひじょうぐちかず仕様しようが、-800がたと-900がたわらないことによるものである。つまり、飛行機ひこうき最大さいだい定員ていいんは、「90びょう以内いない脱出だっしゅつできる最大さいだい人数にんずう」ということになる。

非常口ひじょうぐちかず運行うんこう必要ひつよう客室きゃくしつ乗務じょうむいん客室きゃくしつ保安ほあん要員よういん)の人数にんずうなどにもかかわってくる。たとえば、ボーイング777-300満席まんせきさいには、客室きゃくしつ乗務じょうむいんは10めい乗務じょうむさせることになる。これは、片側かたがわ5箇所かしょ非常口ひじょうぐちがあり、通路つうろが2ほんあるため、乗客じょうきゃく誘導ゆうどう必要ひつよう人数にんずうとして5×2=10めい必要ひつよう算出さんしゅつされるからである。

なお誘導ゆうどうとうかんしては、国内線こくないせん国際線こくさいせんわず、ISO標準ひょうじゅんピクトグラムもちいられず、アメリカしきで「非常口ひじょうぐち EXIT」(かく言語げんごごとことなる)とかれた、白地しろじあかのものがもちいられている場合ばあいおおい。ただし、ボーイング787およ一部いちぶエアバス一部いちぶA330A380A350など)にかんしては、ISO標準ひょうじゅんのピクトグラムが採用さいようされている。

船舶せんぱく

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船舶せんぱくではSOLAS条約じょうやくにおいて、脱出だっしゅつこうについてもさだめられている。

この条約じょうやくによると、救命胴衣きゅうめいどうい着用ちゃくようした乗員じょういん乗客じょうきゃく迅速じんそく脱出だっしゅつできるように、十分じゅうぶんかず脱出だっしゅつこうそなえなければならないことになっている。船舶せんぱくないから脱出だっしゅつこうまでの順路じゅんろには堅固けんご構造こうぞう足場あしばはしご恒久こうきゅうてき固定こていしていなければならない。また、かく乗員じょういん乗客じょうきゃくたいしては、すくなくとも2くみ脱出だっしゅつ経路けいろ確保かくほしなくてはならないことともされている。

屋根やねじょう非常口ひじょうぐちれいくろ四角よつかど部分ぶぶん

バス車両しゃりょう普通ふつう乗用車じょうようしゃなどと比較ひかくしゃだかたかく、構造こうぞうじょう出入口でいりぐち片側かたがわにしかないことくわえ、変形へんけいした乗降じょうこうとびら内側うちがわからこじけたり、まどガラスをって脱出だっしゅつしようとすると転落てんらくなどの災害さいがい原因げんいんにもなりかねないため、乗降じょうこうようとびらとは反対はんたいがわ側面そくめんまたは後部こうぶにおいて脱出だっしゅつこう設置せっちする必要ひつようがある。

欧州おうしゅうでは、まど寸法すんぽうおおきめに設定せっていし、非常時ひじょうじにはガラスをハンマーやぶって脱出だっしゅつこうとするれい一般いっぱんてきである。ガラスの中心ちゅうしん非常ひじょうようハンマーによりたたくと、ガラス全面ぜんめんこまかく破砕はさいされ脱出だっしゅつこうとなり、座席ざせきだいとしてまどから車外しゃがい脱出だっしゅつすることになる[23]。この場合ばあい、ガラス破片はへんとがらないようにする必要ひつようがあるため、強化きょうかガラス使用しようすることになる。

一部いちぶ車種しゃしゅでは、屋根やねじょう脱出だっしゅつこうがオプションで設置せっちできるようになっており、換気かんきこうねた構造こうぞうとなっているものもある。

日本にっぽんのバス車両しゃりょう保安ほあん基準きじゅんにおいては、幼児ようじ専用せんようしゃと30にん以上いじょう定員ていいんゆうする自動車じどうしゃにおいては、座席ざせきごとに乗降じょうこうこうがある場合ばあいのぞいて、かなら非常ひじょうとびら設置せっちしなくてはならない[24]輸入ゆにゅうしゃにおいても例外れいがいではなかったが、近年きんねん輸入ゆにゅうしゃにおいては、実証じっしょう試験しけんおこなったうえで、さき記述きじゅつしたまどガラスを脱出だっしゅつこうとして使用しようする仕様しようみとめられるようになっている。バスの非常口ひじょうぐち表記ひょうき以前いぜんまどガラスにあか文字もじで「非常口ひじょうぐち」と記載きさいしてあったが(バス事業じぎょうしゃにより横書よこがきとたてきのちがいもられた)、現在げんざいはピクトグラムを使用しようしている。

日本の基準に合わせたため車道側に非常口扉が設置されているネオプラン・セントロライナー 欧州の基準をそのまま適用したため非常口扉が車道側にないメルセデス・ベンツ・シターロ 非常口のドアを開けて座席を倒した状態(日野ブルーリボンシティハイブリッド)
日本にっぽん基準きじゅんわせたため車道しゃどうがわ非常口ひじょうぐちとびら設置せっちされているネオプラン・セントロライナー
欧州おうしゅう基準きじゅんをそのまま適用てきようしたため非常口ひじょうぐちとびら車道しゃどうがわにないメルセデス・ベンツ・シターロ
非常口ひじょうぐちのドアをけて座席ざせきたおした状態じょうたい日野ひのブルーリボンシティハイブリッド

鉄道てつどう

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ICE車内に備えられている非常用ハンマーの例。赤い丸の部分をハンマーで叩くとガラスが破砕する アムトラックのスーパーライナー展望車。窓上部の赤く示された把手を引くと、窓枠を支えるゴムが外れ、窓ガラスを取り外せるようになっている。
ICE車内しゃないそなえられている常用じょうようハンマーのれいあかまる部分ぶぶんをハンマーでたたくとガラスが破砕はさいする
アムトラックスーパーライナー展望てんぼうしゃまど上部じょうぶあかしめされた把手とってくと、まどわくささえるゴムがはずれ、まどガラスをはずせるようになっている。
都営地下鉄12-000形電車の正面非常口を開放した様子。 階下普通車の乗客に非常口(1階窓の左隣にある、縦長のパッキン)を設置した小田急20000形。共通運用の371系にも同様の設備がある。
都営とえい地下鉄ちかてつ12-000かたち電車でんしゃ正面しょうめん非常口ひじょうぐち開放かいほうした様子ようす
階下かいか普通ふつうしゃ乗客じょうきゃく非常口ひじょうぐち(1かいまどひだりとなりにある、縦長たてながパッキン)を設置せっちした小田急おだきゅう20000かたち共通きょうつう運用うんよう371けいにも同様どうよう設備せつびがある。

欧州おうしゅうでは、バスと同様どうようまど寸法すんぽうおおきめに設定せっていし、非常時ひじょうじにはガラスをハンマーやぶって脱出だっしゅつこうとするれい一般いっぱんてきである[ちゅう 1]

現代げんだいアメリカの鉄道てつどうでは、まどわくごとはずせるようになるかたち非常口ひじょうぐちそなえている場合ばあいおおく、アムトラック各地かくち通勤つうきん鉄道てつどうでみられる。アムトラックでは航空機こうくうきのような避難ひなん手引てびき客席きゃくせき用意よういし、非常時ひじょうじそなえている。

日本にっぽん鉄道てつどう車両しゃりょうにおいては、鉄道てつどうかんする技術ぎじゅつじょう基準きじゅんさだめる省令しょうれいにより、乗降じょうこうようとびらすくなく、非常ひじょうさい旅客りょかく脱出だっしゅつ支障ししょうがある可能かのうせいがある場合ばあいは、非常口ひじょうぐち設置せっちすることが義務付ぎむづけられている。また、前方ぜんぽうからつよ衝撃しょうげきけたさい貫通かんつうとびらひらいたり脱落だつらくすることで、前面ぜんめんおおきな損傷そんしょうけたさいにも非常口ひじょうぐちとしての機能きのう維持いじできる構造こうぞうになっているものもある[ちゅう 2]非常口ひじょうぐちのサイズははば40cm以上いじょうたかさは120cm以上いじょうさだめられており、そとひらのいずれかとされている。

日本にっぽん地下鉄ちかてつ場合ばあいは、がわかたへの退避たいひ困難こんなん場合ばあいおおいため、編成へんせい最前さいぜん最後さいご正面しょうめん非常口ひじょうぐち用意よういされる。

新幹線しんかんせんにおいては0けい側面そくめん非常口ひじょうぐち採用さいようされていたが、2000番台ばんだい以降いこう後期こうき製造せいぞうしゃでは廃止はいしされ、形式けいしき採用さいようされていない。

車体更新前の東鉄線メトロキャメル電車は正面で非常扉がある 東鉄線R-Trainの正面非常口
車体しゃたい更新こうしんまえ東鉄ひがしてつせんメトロキャメル電車でんしゃ正面しょうめん非常ひじょうとびらがある
東鉄ひがしてつせんR-Train正面しょうめん非常口ひじょうぐち

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 日本にっぽんにおいても、20けい客車きゃくしゃなどでハンマーが用意よういされていた。
  2. ^ JR西日本にしにほん225けい電車でんしゃJR西日本にしにほん323けい電車でんしゃなど。

出典しゅってん

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  1. ^ Victoria Hall Disaster 16th June 1883”. 2019ねん1がつ25にち閲覧えつらん
  2. ^ U.S. Department of Labor - The Triangle Shirtwaist Factory Fire of 1911”. アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく労働省ろうどうしょう. 2018ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  3. ^ a b Lloyd Duhaime (2013ねん1がつ20日はつか). “1911: The Fire That Changed The Law - Timetable of World Legal History”. duhaime.org - Learn Law. 2018ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  4. ^ The Exit Light Co.: NFPA 101, Life Safety Code”. Exit Light Co.. 2018ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  5. ^ 北後きたうしろ明彦あきひこ (2002ねん9がつ20日はつか). “火災かさい調査ちょうさ歴史れきし建築けんちくぶつ避難ひなん安全あんぜん計画けいかくたしてきた役割やくわり”. 神戸大学こうべだいがく都市とし安全あんぜん研究けんきゅうセンター. 2019ねん1がつ25にち閲覧えつらん
  6. ^ 誘導ゆうどうとう歴史れきし 黎明れいめいから現在げんざいまで
  7. ^ 様々さまざま応募おうぼあん
  8. ^ 非常口ひじょうぐちピクトグラフ誕生たんじょう背景はいけいについて
  9. ^ a b BS 5499 Safety Signs, Including Fire Safety Signs”. Safelincs Ltd. 2018ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  10. ^ AS 2293 Set-2005 : Emergency escape lighting and exit ...”. SAI Global Pty Limited. 2018ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  11. ^ a b Traditional Signs to EXIT in Favour of the Running Man”. Canadian Property Management (2010ねん). 2013ねん2がつ28にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2018ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  12. ^ Acceptable Solutions and Verification Methods For New Zealand Building Code Clause F8 Signs” (PDF). Ministry of Business, Innovation and Employment (2014ねん). 2018ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  13. ^ Buildings - 2014 Construction Codes”. CHAPTER 10: MEANS OF EGRESS. City of New York.. 2018ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  14. ^ 25. 常用じょうよう照明しょうめい器具きぐ誘導ゆうどうとう”. マンション管理かんり支援しえん協議きょうぎかい. 2018ねん7がつ6にち閲覧えつらん
  15. ^ 日経にっけいクロステック(xTECH). “凶器きょうきした防火ぼうかシャッタ”. 日経にっけいクロステック(xTECH). 2022ねん12月6にち閲覧えつらん
  16. ^ 誘導ゆうどうとうおよ誘導ゆうどう標識ひょうしき基準きじゅんだいよんさんの()、およびべつだい1平成へいせいじゅういちねんさんがつじゅうななにち消防庁しょうぼうちょう告示こくじだいごう改正かいせい 平成へいせいいちさんねんはちがつ消防庁しょうぼうちょう告示こくじだいさんきゅうごう
  17. ^ JIS Z 8210:2002附属ふぞくしょひょう3 標準ひょうじゅん案内あんないよう記号きごう(安全あんぜん)、p.31、日本にっぽん産業さんぎょう標準ひょうじゅん調査ちょうさかい
  18. ^ JIS Z 9104:2005附属ふぞくしょひょう2 ISO 7010 記号きごうしゅう、p.12、日本にっぽん産業さんぎょう標準ひょうじゅん調査ちょうさかい
  19. ^ 蓄光しき誘導ゆうどう標識ひょうしきとうかか運用うんようについて(通知つうち” (PDF). 総務そうむしょう消防庁しょうぼうちょう (2010ねん4がつ9にち). 2018ねん7がつ2にち閲覧えつらん
  20. ^ ぼうばくがたLED誘導ゆうどうとう~LZUB series~|星和電機せいわでんき株式会社かぶしきがいしゃ”. 星和電機せいわでんき. 2022ねん10がつ1にち閲覧えつらん
  21. ^ 東芝とうしばライテック 誘導ゆうどうとう大形おおがた薄型うすがたタイプ)ご愛用あいようのお客様きゃくさま
  22. ^ 航空こうくう実用じつよう事典じてんうち非常口ひじょうぐちドア」の記述きじゅつより。
  23. ^ 非常口ひじょうぐちかか日本にっぽん基準きじゅん当該とうがいれんぶしバスの非常口ひじょうぐち仕様しよう比較ひかくひょう記載きさいより。
  24. ^ 道路どうろ運送うんそう車両しゃりょう保安ほあん基準きじゅんだい26じょうによる。

関連かんれん項目こうもく

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