類書るいしょ

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類書るいしょ(るいしょ)とは、

  1. 現代げんだい日本語にほんごで「ある書物しょもつ類似るいじする書物しょもつ」を意味いみする単語たんご。この記事きじではあつかわない。
  2. ぜん近代きんだい中国ちゅうごく日本にっぽん存在そんざいした、伝統でんとうてき書物しょもつジャンルひとつ。この記事きじあつかう。

類書るいしょ(るいしょ、拼音: lèishū)とは、あらゆる単語たんごについて、その用例ようれい過去かこ書籍しょせきから引用いんようしたうえで、それらの単語たんご天地人てんちじん草木くさき鳥獣ちょうじゅうなどの分類ぶんるいじゅんまたはいんじゅん配列はいれつして検索けんさく便びんをはかった、のことである。結果けっかとして百科ひゃっか事典じてん機能きのうももつ。

現代げんだい古典こてん文献ぶんけんがくにおいて、類書るいしょ重要じゅうよう資料しりょうとみなされる。というのも、類書るいしょつくられたあとで引用いんようもととなった書籍しょせき散逸さんいつしてしまうケースも多々たたしょうじた。そのような散逸さんいつした書籍しょせきのことを「逸書いっしょ」(佚書いっしょ)といい、逸書いっしょから引用いんようされた文章ぶんしょうまたは現行げんこうほん文章ぶんしょうを「逸文いつぶん」(佚文いつぶん)という。類書るいしょふくまれた逸文いつぶんは、逸書いっしょ現代げんだい再現さいげん輯逸)したり現行げんこうほん補完ほかんしたりするじょうかせない材料ざいりょうになる。そのような理由りゆうから、類書るいしょ重要じゅうようされる。

歴史れきし[編集へんしゅう]

中国ちゅうごくでは、『りょ春秋しゅんじゅう』や『淮南ワイナン』が原点げんてんとされているが、いずれも思想しそうについてまとめたものであり、本格ほんかくてき類書るいしょ最古さいこのものとされるのは、たかし曹丕ぶんみかど)の『すめらぎらん中国語ちゅうごくごばん』(現存げんそんしない)がルーツとかんがえられている。ただし、初期しょき類書るいしょ漢詩かんし作成さくせいのための用語ようごしゅうてきなものであったとかんがえられ、現在げんざい中国ちゅうごくのこされている最古さいこ類書るいしょとされるはつとうつくられたおうの『芸文げいぶん類聚るいじゅう』、おそれみなみの『きたどうしょ』、じょけんの『初学しょがく』などは、そうした色彩しきさいつよ類書るいしょである。

また、仏教ぶっきょう文献ぶんけんかんする類書るいしょとして、とう道世みちよの『ほうえんたまりん』、道教どうきょう文献ぶんけんかんする類書るいしょとして、きたあまねたけみかどせんとされる『無上むじょうよう』、きたそうだいの『くもきゅうななくじ』がある。

だいじゅうこく時代じだい以後いごに、より実用じつようてき目的もくてきった類書るいしょ登場とうじょうするようになる。そうだいの『太平たいへい御覧ごらん』や『さつもとかめ』、あきらだいの『永楽えいらく大典たいてん』や『さんさい図会ずえ』、きよしだいの『佩文いん』や『古今ここん図書としょ集成しゅうせい』などが、その代表だいひょうれいである。

日用にちよう類書るいしょ[編集へんしゅう]

そうだいからしんだいにかけて、印刷いんさつ技術ぎじゅつ発達はったつなどを背景はいけいに、実用じつようてき生活せいかつ百科ひゃっか事典じてん通称つうしょう日用にちよう類書るいしょ」も多数たすうつくられた[1][2]れいとして、『しゃ抜錦』『さんだいまんよう正宗まさむね』『きょ必要ひつようごとるい全集ぜんしゅう』などがある。日用にちよう類書るいしょ内容ないようは、天文てんもん地理ちりからうらな術数じゅっすうがく)、法律ほうりつ医学いがく教育きょういく料理りょうりレシピしょく)まで多岐たきにわたる。

日本にっぽんへの影響えいきょう[編集へんしゅう]

中国ちゅうごくうみへだてた日本にっぽんでは漢籍かんせき蒐集しゅうしゅうすること困難こんなんであったため、類書るいしょ伝来でんらい歓迎かんげいされた。『ぐんしょよう』や『太平たいへい御覧ごらん』などは、江戸えど幕府ばくふ金沢かなざわ文庫ぶんこから正確せいかくはんせてさら校訂こうていくわえて写本しゃほんさせたことられている。

日本にっぽん編纂へんさんされた類書るいしょとしては、平安へいあん時代じだいの『りゃく』(1000かんのうち2かんのみ現存げんそん)、『和名わみょう類聚るいじゅうしょう』、『類聚るいじゅう国史こくし』、江戸えど時代じだいの『和漢わかんさんさい図会ずえ』などがられている。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 酒井さかい 2011.
  2. ^ 坂出さかいで 2018, 日用にちよう類書るいしょについて.

関連かんれん文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 小川おがわ陽一よういち日用にちよう類書るいしょによるあきらしん小説しょうせつ研究けんきゅうけんぶん出版しゅっぱん、1995ねんISBN 978-4876361311
  • 加地かじ伸行のぶゆき加地かじ伸行のぶゆき著作ちょさくしゅう1 中国ちゅうごくろん理学りがく研究けんきゅう 経学けいがく基礎きそてき探求たんきゅうけんぶん出版しゅっぱん、2012ねん原著げんちょ1983ねん)。ISBN 978-4876364022 
  • 酒井さかい忠夫ただお中国ちゅうごくにちよう類書るいしょ研究けんきゅう国書刊行会こくしょかんこうかい、2011ねんISBN 978-4-336-05315-2 
  • 坂出さかいでさちしん初学しょがくしゃのための中国ちゅうごく古典こてん文献ぶんけん入門にゅうもん筑摩書房ちくましょぼう〈ちくま学芸がくげい文庫ぶんこ〉、2018ねん原著げんちょ2008ねん)。ISBN 978-4480098696 
  • 酒井さかい忠夫ただお監修かんしゅう坂出さかいでさちしん小川おがわ陽一よういちへん中国ちゅうごくにちよう類書るいしょ集成しゅうせいぜん14かん 汲古書院しょいん 2000-2004ねん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

  • 中林なかばやし史朗しろう (2004ねん). “類書るいしょについて”. 大東文化大学だいとうぶんかだいがく. 2021ねん3がつ20日はつか閲覧えつらん
  • 中林なかばやし史朗しろう. “日用にちよう類書るいしょ”. 大東文化大学だいとうぶんかだいがく. 2021ねん3がつ20日はつか閲覧えつらん