(Translated by https://www.hiragana.jp/)
黒いオルフェ - Wikipedia コンテンツにスキップ

くろいオルフェ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
くろいオルフェ
Orfeu Negro
監督かんとく マルセル・カミュ
脚本きゃくほん マルセル・カミュ
ジャック・ヴィオフランス語ふらんすごばん
原作げんさく ヴィニシウス・ヂ・モライス
製作せいさく サッシャ・ゴルディーヌフランス語ふらんすごばん
出演しゅつえんしゃ ブレノ・メロポルトガルばん
マルペッサ・ドーンフランス語ふらんすごばん
音楽おんがく アントニオ・カルロス・ジョビン
ルイス・ボンファポルトガルばん
撮影さつえい ジャン・ブルゴワンフランス語ふらんすごばん
編集へんしゅう アンドレー・フェイクスフランス語ふらんすごばん
製作せいさく会社かいしゃ Dispat Films
Gemma Cinematografica
Turpan Filmes
配給はいきゅう フランスの旗 Lux Films
日本の旗 東和とうわ
公開こうかい フランスの旗 1959ねん6がつ12にち
イタリアの旗 1959ねん6がつ30にち
日本の旗 1960ねん7がつ7にち
上映じょうえい時間じかん 107ふん
製作せいさくこく フランスの旗 フランス
ブラジルの旗 ブラジル
イタリアの旗 イタリア
言語げんご ポルトガル
フランス語ふらんすご
テンプレートを表示ひょうじ

くろいオルフェ』(ポルトガル: Orfeu Negro英語えいご: Black Orpheus)は、1959ねんフランスブラジルイタリア恋愛れんあい映画えいが監督かんとくマルセル・カミュ出演しゅつえんブレノ・メロポルトガルばんマルペッサ・ドーンフランス語ふらんすごばんなど。フランス語ふらんすごばんとポルトガルばんの2とおりがある。

ヴィニシウス・ヂ・モライスによる1956ねん戯曲ぎきょくオルフェウ・ダ・コンセイサゥン英語えいごばん』を映画えいがしたものであるが、試写ししゃかいまねかれたヴィニシウスは「これは自分じぶん作品さくひんでない」とつよ否定ひていした。

上記じょうきのように原作げんさくしゃ不興ふきょうったものの、だい12かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいではパルム・ドールだい32かいアカデミーしょうでは外国がいこく映画えいがしょう受賞じゅしょうした。音楽おんがくではルイス・ボンファの「カーニバルのあさくろいオルフェ)」がエバー・グリーンとなった[1]

概要がいよう[編集へんしゅう]

ヴィニシウス・ヂ・モライスの『オルフェウ・ダ・コンセイサゥン』は、ギリシア神話しんわオルペウス(オルフェ)とエウリュディケー(ユリディス)の物語ものがたり舞台ぶたいを、公開こうかい当時とうじのブラジル・リオデジャネイロうつしかえたものである。ほんさくではカーニバルひかえるリオデジャネイロ市内しないファヴェーラおも舞台ぶたいとなっている。

アントニオ・カルロス・ジョビンサウンドトラック担当たんとうし、「カーニバルのあさ」(べつだいくろいオルフェ」、ルイス・ボンファポルトガルばん作曲さっきょく)をはじめとしたボサノヴァおお編曲へんきょく演奏えんそうした。

ストーリー[編集へんしゅう]

ユリディス(ユーリディスとも)というむすめ田舎いなかからリオデジャネイロにる。なにかからまどうユリディスのまえ市内しない電車でんしゃまり、市電しでん運転うんてんしゅ・オルフェが「っていくかい?」とすすめる。ユリディスは市電しでんり、たどりいた車庫しゃこでオルフェの上司じょうし・ヘルメスに案内あんないされ、いとこのセラフィナのがけじょうのファヴェーラへかう。

勤務きんむえたオルフェは婚約こんやくしゃのミラと役所やくしょたずねる。2人ふたり窓口まどぐち婚姻こんいんとどけしたところ、かかり役人やくにんが「オルフェなら、つまはユリディスだろう?」とギリシア神話しんわになぞらえた冗談じょうだんわれ、ミラは機嫌きげんそこねる。結婚けっこん指輪ゆびわをねだるミラであったが、オルフェは「カーニバルにけて質屋しちやあづけたギターをさないといけない」とわない。オルフェはギターとうた名手めいしゅで、カーニバルでかたることをたのしみにしていた。そのギターはオルフェがれるまえから「オルフェはわたし主人しゅじん」とかれた奇妙きみょうふるいギターであった。

ユリディスはセラフィナの自宅じたくたずねるなり、「なぞおとこわれている。つかまればころされる」となぞめいた言葉ことばげる。一方いっぽう、ギターをかえったオルフェはユリディスと再会さいかいしておどろく。オルフェのいえはセラフィナととなり同士どうしだった。オルフェはむすめが「ユリディス」であることに運命うんめいかんじる。

翌日よくじつ、セラフィナはファヴェーラのサンバチーム「バビロニア」にユリディスを加入かにゅうさせ、衣装いしょうあたえる。カーニバルの練習れんしゅうつうじ、オルフェとユリディスはこいちてしまう。そのよる、ユリディスをう、死神しにがみおもわせるドクロの仮面かめんくろいタイツをまとった「なぞおとこ」があらわれる。オルフェがたすけにると、なぞおとこは「おんなあづける。おれいそがない」とってる。2人ふたりあいい、よるかす。オルフェの浮気うわきったミラは嫉妬しっとくるう。

カーニバル当日とうじつ。セラフィナのはからいによって、ユリディスは衣装いしょうかおかくしてオルフェとおどる。それをつけたミラが「ころしてやる」とさけびながらあらわれ、ユリディスにつかみかかる。はらってげるユリディスは、ふたたびあらわれた仮面かめんおとこにもわれる。市電しでん変電へんでんしょいつめられたユリディスは、おくれてやってたオルフェがかりをもとめて不用意ふよういかべのスイッチをれたために、をかけていた高圧線こうあつせん感電かんでんし、たおれる。仮面かめんおとこは「ユリディスはおれのものだ」とさけび、オルフェをなぐって気絶きぜつさせ、ユリディスをかかえて変電へんでんしょり、それきり姿すがたす。

ましたオルフェは、ユリディスをさがしてまちをさまよいあるく。マクンバ英語えいごばん祈祷きとうしょにたどりき、うたいのりをささげていると、ユリディスの「わたしちかくにいる。でもかえらないで」というこえく。それでもかえったオルフェは、こえあるじ霊媒れいばい老婆ろうばであったことをみとめ、「おれをだましたな」といかり、祈祷きとうしょす。そこへあらわれたヘルメスがユリディスのらせる。

よるけ、死体したい安置あんちしょからユリディスの遺体いたいかかえてもどったオルフェをっていたのは、いかくるって自宅じたくはなったミラだった。ミラはオルフェにいしげつける。いしあたまたったオルフェはよろけて、ユリディスの遺体いたいとともにがけからちて絶命ぜつめいする。「オルフェはわたし主人しゅじん」とかれたふるいギターだけがのこり、ファヴェーラの少年しょうねんたちがそれをひろって自分じぶんたちのものにし、かきらしてうたおどる。

キャスト[編集へんしゅう]

役名やくめい 俳優はいゆう 日本語にほんご吹替
フジテレビはん
オルフェ ブレノ・メロポルトガルばん 田中たなか信夫しのぶ
ユリディス マルペッサ・ドーンフランス語ふらんすごばん 麻上あさがみ洋子ようこ
ミラ ルールデス・デ・オリベイラ英語えいごばん 加藤かとうみどり
セラフィナ レア・ガルシアポルトガルばん 北浜きたはま晴子はるこ
仮面かめんおとこ アデマール・ダ・シルバ 加藤かとう正之まさゆき
ヘルメス(オルフェの上司じょうし アレッサンドロ・コンスタンティノ 伊藤いとう弘一こういち
チコ(軍人ぐんじん・ミラの恋人こいびと ヴァルダマー・デ・ソウザ 飯塚いいづか昭三しょうぞう
ベネディット(少年しょうねん ジョルジ・ドス・サントス 塩屋しおやつばさ
エルネスト(船員せんいん マルセル・カミュ
ファウスト(遺体いたい安置あんちしょ職員しょくいん ファウスト・グエルゾーニイタリアばん
ゼッカ(ギターきの少年しょうねん アウリノ・カッシアーノ 山本やまもと嘉子よしこ
祈祷きとうしょ清掃せいそうがかり カルトーラ
演出えんしゅつ 飯塚いいづかりゅうろう
翻訳ほんやく 山内やまうち泰雄やすお
効果こうか
調整ちょうせい
制作せいさく ニュージャパンフィルム
解説かいせつ
初回しょかい放送ほうそう 1973ねん10月5にち
よるのロードショー』

製作せいさく[編集へんしゅう]

  • 出演しゅつえんしゃたちは演技えんぎ経験けいけんしゃばかりだった。なかなか配給はいきゅう会社かいしゃつからなかった事情じじょうもあり、そのあいだ、フランスの監督かんとく自宅じたく出演しゅつえん候補者こうほしゃたちをあつめて、なんげつもリハーサルがかえされた。
    • 出演しゅつえんしゃなかにはのちにサンバ歌手かしゅ作曲さっきょくとしてられることとなるカルトーラもいる。カルトーラはもともとつまドナ・ジカポルトガルばんとともに現場げんば雑用ざつようがかりとしてやとわれていた。
  • 映画えいがちゅうえがかれるリオのカーニバルは、実際じっさいのものではなく、エキストラたちがえんじたもの。

評価ひょうか[編集へんしゅう]

後述こうじゅつの1999年版ねんばん『オルフェ』の音楽おんがく担当たんとうしたカエターノ・ヴェローゾは、「『くろいオルフェ』は、単純たんじゅん悲恋ひれん物語ものがたり終始しゅうしして、ヴィニシウス原作げんさくにあったブラジルやファヴェーラの本質ほんしつえがいていない、したがってブラジルじんはまったく評価ひょうかしていない」とべている[よう出典しゅってん]

音楽おんがく[編集へんしゅう]

サウンドトラック収録しゅうろくきょく

  • 1 くろいオルフェ(カーニバルのあさ)(メイン・タイトル)
  • 2 フェリシダージ(かなしみよさようなら)
  • 3 フレヴォ
  • 4 カルナヴァルのサンバ
  • 5 カルナヴァルのサンバ (打楽器だがっきとアコーディオンのヴァリエーション) (エクストラ・トラック)
  • 6 オルフェのうた (オルフェ・ヴァージョン)
  • 7 にちだし情景じょうけい
  • 8 オルフェのうた (ギター・ヴァージョン) (エクストラ・トラック)
  • 9 マクンバの祈祷きとう
  • 10 カルナヴァルのサンバ (ロング・ヴァージョン)
  • 11 オルフェのうた (ユリディス・ヴァージョン)
  • 12 オルフェのサンバ
  • 13 チャペルの打楽器だがっきたい (エクストラ・トラック)
  • 14 オルフェのうた|フェリシダージ|オルフェのサンバ (メドレー) (エクストラ・トラック)

関連かんれん作品さくひん[編集へんしゅう]

オルフェ(1999ねん[編集へんしゅう]

1999ねん、『オルフェウ・ダ・コンセイサゥン』のさい映画えいが作品さくひんとしてブラジルの映画えいが監督かんとくであるカルロス・ヂエギスポルトガルばんにより『オルフェ』が製作せいさくされた。ヂエギスは『オルフェ』を『くろいオルフェ』のリメイクとわれることをつよ否定ひていし「まったくあたらしい作品さくひんとして仕上しあげた」とコメントしている。

「『くろいオルフェ』をさがして」[編集へんしゅう]

2005ねんにフランスで、ほんさく関係かんけいしゃ取材しゅざいしたドキュメンタリー映画えいがくろいオルフェ』をさがして ブラジル音楽おんがくをめぐるたび」(原題げんだい:Looking For Black Orpheus)がつくられた。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ ルイス・ボンファ 2022ねん10がつ28にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]