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価格(カカク)とは? 意味や使い方 - コトバンク

価格かかくみ)カカク英語えいご表記ひょうき)price 英語えいご

デジタル大辞泉だいじせん価格かかく」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

か‐かく【価格かかく

商品しょうひん価値かち貨幣かへいあらわしたもの。値段ねだん
[類語るいご]値段ねだん物価ぶっかあたい金額きんがく単価たんか

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん価格かかく」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

か‐かく【価格かかく

  1. 名詞めいし
  2. もの価値かち貨幣かへいあらわしたもの。値段ねだん。あたい。ね。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「Rate 挌、割合わりあい」(出典しゅってん英和えいわ簿ほうるい(1878)〈田鎖たくさり綱紀つなのり〉)
    2. ゆるがせ(たちまち)印度いんどべい価格かかく(カカク)ばいし、またさんばいして売出うりだししぬ」(出典しゅってん内地ないち雑居ざっきょ未来みらいゆめ(1886)〈坪内つぼうち逍遙しょうようはち)
  3. 貨幣かへいあらわされた商品しょうひん交換こうかん価値かち

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)価格かかく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

価格かかく
かかく
price 英語えいご
prix フランス語ふらんすご
Preis ドイツ

価格かかくとは、一般いっぱんに、ざい用役ようえきふくむ)の価値かち貨幣かへいてき表現ひょうげんである。したがって価値かち概念がいねんちがいによって、価格かかく規定きてい相違そういする。

内島うちじま敏之としゆき

近代きんだい経済けいざいがくにおける価格かかく

商品しょうひん希少きしょうせいは、商品しょうひん生産せいさんりょうや、消費しょうひしゃ選好せんこう依存いぞんしてまるが、ぎゃく商品しょうひん希少きしょうせいにより、生産せいさん活動かつどう消費しょうひ活動かつどう交換こうかんなどがおこなわれる。商品しょうひん価格かかくは、このような希少きしょうせい程度ていどあらわすものである。

 われわれが日々ひびマーケットなどでみる値札ねふだには、リンゴ1個いっこ100えん、バナナ1ぼう300えん、ミカン1キログラム350えんなどとかれている。これらはいずれも商品しょうひん1単位たんいあたなんえんというかたち表示ひょうじされている。つまり商品しょうひん1単位たんい交換こうかんされる貨幣かへいりょうをこれらの値札ねふだ表示ひょうじしている。これをかく商品しょうひん貨幣かへい表示ひょうじ価格かかく、あるいはたん貨幣かへい価格かかくという。貨幣かへい基準きじゅんとした商品しょうひん価格かかく絶対ぜったい価格かかくともよぶが、これは相対そうたい価格かかく特殊とくしゅ場合ばあいである。相対そうたい価格かかくとは、基準きじゅんとする商品しょうひん価値かち尺度しゃくどざいニューメレール)ではかった特定とくてい商品しょうひん価格かかく、つまり交換こうかん比率ひりつをいう。さきれいでリンゴを価値かち尺度しゃくどざいとすると、バナナ1ぼうは3のリンゴ、ミカン1キログラムは3.5のリンゴとして、それぞれの相対そうたい価格かかくしめされる。

内島うちじま敏之としゆき

価格かかく決定けってい

完全かんぜん競争きょうそうのもとでは、価格かかく需要じゅよう供給きょうきゅうとにより決定けっていされる。いま、たてじく価格かかくをとり、よこじく需要じゅようりょう供給きょうきゅうりょうをとれば、価格かかく下落げらく(または上昇じょうしょう)するにつれて消費しょうひしゃによる需要じゅよう増加ぞうか減少げんしょう)するから、価格かかく需要じゅようりょう関係かんけいしめ需要じゅよう曲線きょくせんDDはみぎがりの曲線きょくせんとなる。他方たほう価格かかく上昇じょうしょう(または下落げらく)するにつれて企業きぎょう供給きょうきゅうりょう増加ぞうか減少げんしょう)させるから、価格かかく供給きょうきゅうりょう関係かんけいしめ供給きょうきゅう曲線きょくせんSSはみぎがりの曲線きょくせんとなる。いまかりに価格かかくがP1であるとすると、その価格かかくおうずる需要じゅようりょうはD1供給きょうきゅうりょうはS1であって、供給きょうきゅう需要じゅよう上回うわまわる。この供給きょうきゅう需要じゅよう上回うわまわりょう超過ちょうか供給きょうきゅうという。これはのこりが状態じょうたいであるから、企業きぎょうはこの過剰かじょうぶんりさばくため価格かかくげようとし、はこのれない商品しょうひんのストックをみてよりひく価格かかく要求ようきゅうする。したがって超過ちょうか供給きょうきゅう価格かかく下落げらく圧力あつりょくむ。つぎ価格かかくがP2であったとすると、需要じゅようりょうD2供給きょうきゅうりょうS2上回うわまわる。その超過ちょうか需要じゅようといい、これはもの不足ふそく状態じょうたいである。がわにおける競争きょうそう価格かかくをつりげ、またたか価格かかく要求ようきゅうする。したがって超過ちょうか需要じゅよう存在そんざいすると価格かかく上昇じょうしょうする傾向けいこうをもつ。価格かかく上昇じょうしょう下落げらくもしない状態じょうたい均衡きんこうとよぶが、均衡きんこう達成たっせいされるのは需要じゅよう曲線きょくせん供給きょうきゅう曲線きょくせんとの交点こうてんEにおいてである。この需要じゅようりょう供給きょうきゅうりょうとがひとしくなるときの価格かかくPeが均衡きんこう価格かかくであり、完全かんぜん競争きょうそう市場いちば市場いちば価格かかくはこのたかさにさだまる。このような商品しょうひん需要じゅようりょう供給きょうきゅうりょうとその価格かかくとの関係かんけいしめすものが需要じゅよう供給きょうきゅう法則ほうそくである。

内島うちじま敏之としゆき

価格かかく調整ちょうせい数量すうりょう調整ちょうせい

商品しょうひん取引とりひきにおいて均衡きんこう存在そんざいすると(つまり超過ちょうか供給きょうきゅう超過ちょうか需要じゅよう存在そんざいすると)、価格かかく上下じょうげして需要じゅよう供給きょうきゅうとの一致いっち達成たっせいされるのであるが、価格かかくのこのような機能きのうを、価格かかくパラメーター(あるいはバロメーター機能きのうとよぶ。取引とりひき状態じょうたいおうじて価格かかく伸縮しんしゅくてき調整ちょうせいされるかぎりにおいては、価格かかくのパラメーター機能きのう市場いちば情報じょうほう伝達でんたつ機能きのう全面ぜんめんてき信頼しんらいくことができる。このような場合ばあいには価格かかく機構きこう価格かかくもとづいてざい資源しげん配分はいぶん所得しょとく分配ぶんぱいめる制度せいど)は十分じゅうぶんはたらき、効率こうりつてきざい資源しげん配分はいぶん達成たっせいされる。

 しかし実際じっさいには、製造せいぞうぎょう製品せいひん価格かかく労働ろうどうサービス価格かかくである賃金ちんぎんなどは、需給じゅきゅう関係かんけい反映はんえいして即座そくざ調整ちょうせいされるのではなく、かなり硬直こうちょくせいをもつこと、そしておおくの場合ばあい、それらの価格かかく下方かほう硬直こうちょくてきであることが観察かんさつされている。とくに寡占かせん企業きぎょうなどは需給じゅきゅう状態じょうたいからある程度ていど独立どくりつ価格かかく設定せっていすることができる市場いちば支配しはいりょくをもち、マーク・アップ原理げんりフルコスト原則げんそくしたがって価格かかく設定せっていする。このようなケースでは価格かかく機構きこう十分じゅうぶん作用さようせず、ざい資源しげん配分はいぶん効率こうりつてきになされない。価格かかく硬直こうちょくせい存在そんざいするときには、市場いちば状態じょうたいおうじて、価格かかくによる調整ちょうせいにかわって数量すうりょうによる調整ちょうせいがなされるのが一般いっぱんてきである。たとえば商品しょうひん超過ちょうか供給きょうきゅうがある場合ばあいには、のこりが在庫ざいこえるので、企業きぎょう生産せいさん減少げんしょうさせる。つぎ生産せいさんぶつ超過ちょうか需要じゅよう存在そんざいする場合ばあい、すなわちしな不足ふそく場合ばあいには、企業きぎょう当面とうめん在庫ざいこひんりさばくことで対応たいおうするが、やがては生産せいさん拡大かくだいし、需給じゅきゅうギャップうずめようとする。

 それぞれの市場いちばにおける価格かかく調整ちょうせい速度そくどはやいかおそいかの認識にんしきちがいにより、価格かかく調整ちょうせい数量すうりょう調整ちょうせいのいずれを重視じゅうしするかの立場たちば差違さいまれ、したがって経済けいざい政策せいさく有効ゆうこうせいをめぐる論議ろんぎしょうずるのである。

内島うちじま敏之としゆき

マルクス経済けいざいがくにおける価格かかく

資本しほん主義しゅぎ経済けいざいにおいては商品しょうひん生産せいさん全面ぜんめんてきおこなわれるが、これらの商品しょうひん価値かちはその生産せいさん社会しゃかいてき必要ひつようとされる労働ろうどうりょう労働ろうどう時間じかん)によって決定けっていされる。その場合ばあい、たとえば上着うわぎをつくる労働ろうどう綿布めんぷをつくる労働ろうどうとは質的しつてきことなっているが、どちらも人間にんげん労働ろうどうりょく支出ししゅつする場合ばあいちがった形態けいたいにすぎないから、その意味いみで「商品しょうひん価値かちは(簡単かんたん平均へいきん労働ろうどう換算かんさんされた)人間にんげんてき労働ろうどうりょく一般いっぱん支出ししゅつ表示ひょうじする」(マルクス)といわれる。しかし、商品しょうひん価値かち直接的ちょくせつてき平均へいきんてき労働ろうどう時間じかん表示ひょうじすることはできないから、間接かんせつてき商品しょうひんとうおけすることによって表現ひょうげんする。この場合ばあい、たとえば1トンのてつ=2オンスのかねというように、ある商品しょうひん価値かち貨幣かへい商品しょうひん通常つうじょうかね)で表示ひょうじしたものが価格かかくである。

 ところが、資本しほん主義しゅぎ経済けいざいにおいては、しょ商品しょうひん前述ぜんじゅつした価値かちまたは価格かかくのとおりには交換こうかんされない。商品しょうひん価値かちは、不変資本ふへんしほん価値かちc+可変かへん資本しほん価値かちv+剰余じょうよ価値かちmで構成こうせいされるが、資本しほんにとっては、費用ひよう価格かかくc+vにたいする剰余じょうよ価値かちmの比率ひりつ利潤りじゅんりつ)が問題もんだいであるから、競争きょうそう結果けっか利潤りじゅんりつ均等きんとうすることになる。費用ひよう価格かかくにこの平均へいきん利潤りじゅんくわえたものを生産せいさん価格かかくとよぶが、市場いちば価格かかく需要じゅよう供給きょうきゅう関係かんけい変動へんどうしながらこの生産せいさん価格かかくくとかんがえられる。ところで、この生産せいさん価格かかく商品しょうひん価値かち一致いっちするのは、たまたま平均へいきん利潤りじゅんりつをあげうる部門ぶもん商品しょうひんかぎられ、商品しょうひんについては両者りょうしゃ一致いっちしない。したがって、これらの商品しょうひん価値かち一致いっちしない生産せいさん価格かかく交換こうかんされることになり、最初さいしょべた商品しょうひん生産せいさん支出ししゅつされた労働ろうどう時間じかん(つまり価値かち)にしたがっては交換こうかんされないことになる。このてんをめぐって、いわゆる「価値かち生産せいさん価格かかくへのてんがた論争ろんそう」がこされた。ひとつのかんがかたとして、生産せいさん価格かかくつうじて交換こうかんされるしょ商品しょうひんふくまれる価値かち総量そうりょう生産せいさん過程かてい商品しょうひん対象たいしょうされた価値かち総量そうりょう一致いっちし、またしょ商品しょうひんはそれにふくまれる価値かち(または価格かかく)どおりに交換こうかんされるのではないが、市場いちばにおいて実現じつげんされる生産せいさん価格かかく背後はいご規制きせいしている実体じったいである、とする見解けんかいがある。

 このほか、独占どくせん資本しほん主義しゅぎ段階だんかいあらわれる独占どくせん価格かかくをどのように説明せつめいするかについても、さまざまな解釈かいしゃくがあって、統一とういつされた見解けんかいはないのが現状げんじょうである。

山田やまだ克巳かつみ

社会しゃかい主義しゅぎ経済けいざいにおける価格かかく

生産せいさんりょく十分じゅうぶん発展はってん各人かくじん能力のうりょくおうじてはたらき、必要ひつようおうじてまえることができるとされる共産きょうさん主義しゅぎ経済けいざいにおいては、価格かかく存在そんざいしないとかんがえられているが、そこへの過渡かとてき社会しゃかい規定きていされる社会しゃかい主義しゅぎ経済けいざいにおいては、資本しほん主義しゅぎ経済けいざいにおける場合ばあいとは性格せいかくことなるとはいえ、なお商品しょうひん生産せいさんおこなわれ、したがって価格かかくたす役割やくわりおおきい。

 社会しゃかい主義しゅぎ経済けいざいにおいては、資本しほん主義しゅぎ経済けいざい原則げんそくである生産せいさん手段しゅだん私的してき所有しょゆうにかわる社会しゃかいてき所有しょゆう基本きほんとして生産せいさんおこなわれる。その結果けっか資本しほん主義しゅぎ経済けいざいにおける価格かかくが、無数むすう生産せいさんしゃ消費しょうひしゃによる政府せいふてき行動こうどう規制きせいし、経済けいざい円滑えんかつさい生産せいさんおこなわれるよう調節ちょうせつ機能きのうたすのにたいし、社会しゃかい主義しゅぎ経済けいざいにおいては、中央ちゅうおう計画けいかく当局とうきょく経済けいざいてき目標もくひょうのみならずさまざまな社会しゃかいてき目標もくひょう考慮こうりょれてつくりあげた計画けいかく実行じっこうするため、計画けいかくてき価格かかく設定せっていさい生産せいさんおこなっていくとかんがえられてきた。

 理論りろんてきには、社会しゃかい主義しゅぎしたでの価格かかくは、(1)やはり商品しょうひん価値かち基礎きそとしてめられるというせつと、(2)たんなる経済けいざい計算けいさんのための指標しひょうとして任意にんいめられるというせつとがある。(2)はO・ランゲなどが提唱ていしょうしたもので、中央ちゅうおう計画けいかく当局とうきょく最初さいしょしょ商品しょうひん価格かかく任意にんい設定せっていしても、需要じゅよう供給きょうきゅう関係かんけい考慮こうりょしながら価格かかく改定かいていしていけば、均衡きんこう価格かかくしたでの資源しげん最適さいてき配分はいぶんができると主張しゅちょうされた。しかし現実げんじつには、価格かかく商品しょうひん価値かち考慮こうりょしながら、前述ぜんじゅつ社会しゃかいてきしょ目標もくひょう達成たっせいできるよう設定せっていされ、必要ひつようおうじて改定かいていされるという(1)のせつしたがっている。ただ、中央ちゅうおう計画けいかく当局とうきょく細部さいぶにわたって計画けいかくをたて、あらゆる商品しょうひん価格かかく設定せっていするのは困難こんなんであり能率のうりつわるいため、ある程度ていど計画けいかく変更へんこう権限けんげん下部かぶ組織そしきにゆだね、価格かかく効率こうりつてき利用りようはかろうとする傾向けいこうがみられる。

 社会しゃかい主義しゅぎ経済けいざいにおける価格かかくは、このように需要じゅよう供給きょうきゅう反映はんえいするだけでなく、投資とうし効率こうりつ生産せいさんせい指標しひょう労働ろうどう意欲いよく刺激しげき技術ぎじゅつ進歩しんぽ促進そくしんなどの要求ようきゅう反映はんえいするよう設定せっていされるが、その結果けっかしょうずる商品しょうひん価値かちからの価格かかく乖離かいり(かいり)をどう処理しょりするかなど解決かいけつ問題もんだいおおい。きゅうソ連それん東欧とうおう諸国しょこくにおいても、社会しゃかい主義しゅぎ経済けいざいにおける価格かかく設定せってい原理げんりをめぐって論争ろんそうつづいていた。

山田やまだ克巳かつみ

『J・R・ヒックスちょ安井やすい琢磨たくま熊谷くまがい尚夫ひさおやく価値かち資本しほんぜん2かん(1951・岩波書店いわなみしょてん)』『J・M・ヘンダーソン、R・E・クォントちょ小宮こみや隆太郎りゅうたろうやく現代げんだい経済けいざいがく』(1961・そうぶんしゃ)』『W・ブルスちょ鶴岡つるおか重成しげなりやく社会しゃかい主義しゅぎ経済けいざい機能きのうモデル』(1971・合同ごうどう出版しゅっぱん)』おかみのるちょ社会しゃかい主義しゅぎ経済けいざいろんしん展開てんかい』(1975・しん評論ひょうろん)』『P・A・サムエルソンちょ都留つる重人しげとやく新版しんぱんサムエルソン経済けいざいがくぜん2かん(1981・岩波書店いわなみしょてん)』『K・マルクスちょ資本しほんろん』(長谷部はせべ文雄ふみおやく青木あおき文庫ぶんこ向坂さきさか逸郎いつおやく岩波いわなみ文庫ぶんこ岡崎おかざき次郎じろうやく大月書店おおつきしょてん国民こくみん文庫ぶんこ)』


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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん価格かかく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

価格かかく (かかく)
price

ざいやサービスの1単位たんい購入こうにゅうするにさいして,その対価たいかとして提供ていきょうしなければならない貨幣かへいりょうのこと。無限むげんともおもえる人間にんげん欲求よっきゅうたいして,それを満足まんぞくさせるために必要ひつよう自然しぜん資源しげんだい部分ぶぶん有限ゆうげんである。資源しげんをどのように配分はいぶんしてどのざい・サービスを,どれだけ,どのような方法ほうほう生産せいさんし,その結果けっか構成こうせいいんあいだにどのように分配ぶんぱいするかという資源しげん配分はいぶんおよび生産物せいさんぶつ分配ぶんぱい問題もんだいは,いかなる人間にんげん社会しゃかいもがなんらかのかたち解決かいけつせねばならない基礎きそてき問題もんだいである。現在げんざい欧米おうべい諸国しょこく日本にっぽんのようないわゆる資本しほん主義しゅぎ社会しゃかい基本きほんてき特質とくしつは,この問題もんだい解決かいけつ価格かかくという制度せいどつうじてっているてんにある。すなわち,需要じゅよう供給きょうきゅうはたらきをつうじてすべてのざい・サービスの価格かかく体系たいけい確立かくりつし,その価格かかく体系たいけいおうじて種々しゅじゅざい・サービスを生産せいさんし,構成こうせいいんあいだ分配ぶんぱいしているのである。このてんすこくわしくみておこう。

ここで対象たいしょうとする社会しゃかい経済けいざいてき意思いし決定けってい主体しゅたい家計かけい企業きぎょう大別たいべつされる。家計かけいは,消費しょうひかんする意思いし決定けってい主体しゅたいであると同時どうじに,労働ろうどうりょく資本しほん土地とちという生産せいさん要素ようそ所有しょゆうしゃとして,それら生産せいさん要素ようそのサービス(以下いかではたん生産せいさん要素ようそ略記りゃっき)をどれだけ供給きょうきゅうすべきかを決定けっていする主体しゅたいでもある。家計かけい経済けいざい行動こうどうは,その所有しょゆうする生産せいさん要素ようそ販売はんばいして貨幣かへい収入しゅうにゅう,それをもちいて種々しゅじゅ生産せいさんぶつざいとサービスの両方りょうほうふくむ)を購入こうにゅうし,消費しょうひ活動かつどうにあてるというかたちをとる。この収入しゅうにゅう支出ししゅつ関係かんけい予算よさん制約せいやくばれるが,かく家計かけいは,この予算よさん制約せいやくわくないで,自分じぶん満足まんぞくもっとたかめるような生産せいさんぶつ購入こうにゅう生産せいさん要素ようそ販売はんばいのパターンを選択せんたくするであろう。そのさいには,かく生産せいさんぶつ価格かかくおよびかく生産せいさん要素ようそ価格かかく(つまり労賃ろうちん地代じだい利子りし)の高低こうていが,購入こうにゅう販売はんばいのパターンの選択せんたく重要じゅうよう影響えいきょうをもつことになろう。生産せいさんぶつ価格かかくとその購入こうにゅうりょうとの関係かんけい家計かけい生産せいさんぶつ需要じゅよう関数かんすうばれ,生産せいさん要素ようそ価格かかくとその販売はんばいりょうとの関係かんけい家計かけい生産せいさん要素ようそ供給きょうきゅう関数かんすうばれる。

 生産せいさん活動かつどうかんする意思いし決定けってい主体しゅたい企業きぎょうである。企業きぎょう家計かけいから生産せいさん要素ようそ購入こうにゅうし,それをもちいて生産せいさんした生産せいさんぶつ家計かけい販売はんばいして,そのさい売上うりあげと費用ひよう利潤りじゅんとして獲得かくとくする。できるだけおおくの利潤りじゅん獲得かくとくするには,生産せいさん要素ようそ価格かかく高低こうていおうじてしょ生産せいさん要素ようそ使用しよう比率ひりつ選択せんたくし,また生産物せいさんぶつ価格かかく高低こうていおうじて生産せいさん販売はんばいりょう調節ちょうせつしなければならない。生産せいさんぶつ価格かかくとその販売はんばいりょうとの関係かんけい企業きぎょう生産せいさんぶつ供給きょうきゅう関数かんすうであり,生産せいさん要素ようそ価格かかく購入こうにゅうりょうとの関係かんけい企業きぎょう生産せいさん要素ようそ需要じゅよう関数かんすうである(生産せいさん要素ようそのなかには,家計かけい所有しょゆうする生産せいさん要素ようそのほかに,企業きぎょうあいだ売買ばいばいされる生産せいさん要素ようそ,つまり中間ちゅうかん生産せいさんぶつがあるが,ここでは,叙述じょじゅつ簡単かんたんのため,これを無視むしする)。

つぎに,これらの家計かけい企業きぎょう生産せいさんぶつ生産せいさん要素ようそ売買ばいばいする市場いちばをみることにする。個々ここ家計かけいあるいは企業きぎょう需要じゅよう供給きょうきゅう関数かんすう社会しゃかい全体ぜんたいについて合計ごうけいしたものは市場いちば需要じゅよう供給きょうきゅう関数かんすうばれる。つまり,ある生産せいさんぶつ生産せいさん要素ようそ)の市場いちば需要じゅよう供給きょうきゅう関数かんすうとは,種々しゅじゅ価格かかくのもとで社会しゃかい全体ぜんたいがその生産せいさんぶつ生産せいさん要素ようそ)をどれだけ購入こうにゅう販売はんばい)しようとしているかをしめ関数かんすうである。もしも,ある価格かかくのもとで生産せいさんぶつ生産せいさん要素ようそ)の需要じゅようりょう供給きょうきゅうりょうよりおおきければ,そのことは,この生産せいさんぶつ生産せいさん要素ようそ)をいたいにもかかわらずえない経済けいざい主体しゅたいがあることを意味いみする。この経済けいざい主体しゅたいは,価格かかくすこしばかりつりげてでもその生産せいさんぶつ生産せいさん要素ようそ)をおうとし,したがってこの場合ばあい価格かかく上昇じょうしょうする傾向けいこうをもつだろう。そしてこの価格かかく上昇じょうしょうは,通常つうじょう需要じゅようりょうらし,供給きょうきゅうりょうをふやすことにより,需給じゅきゅうのギャップを減少げんしょうさせよう。ぎゃく供給きょうきゅうりょう需要じゅようりょうよりおおきい場合ばあいには価格かかく下落げらく傾向けいこうしめし,この下落げらく今度こんど需要じゅようりょうをふやし,供給きょうきゅうりょうらして需給じゅきゅうあいだのギャップを減少げんしょうさせよう。したがって結局けっきょく価格かかくは,需要じゅようりょう供給きょうきゅうりょう均衡きんこうする水準すいじゅんくとみられる。この価格かかく均衡きんこう価格かかくばれ,すべての生産せいさんぶつおよび生産せいさん要素ようそ均衡きんこう価格かかく体系たいけい均衡きんこう価格かかく体系たいけいばれる。

 この均衡きんこう価格かかく体系たいけいつうじてなに実現じつげんされているだろうか。まず,どのざい・サービスをどれだけ生産せいさんするかの問題もんだいは,かく企業きぎょうが,この価格かかく体系たいけいのもとで自己じこ利潤りじゅん最大さいだいにする生産せいさんりょう選択せんたくするというかたちで,ひとつのかいあたえられている。どのような方法ほうほう生産せいさんするかの問題もんだいは,均衡きんこう生産せいさん要素ようそ価格かかくのもとでそう生産せいさん最小さいしょうにする生産せいさん要素ようそ組合くみあわせを企業きぎょう選択せんたくするというかたちで,かいあたえられている。そう生産せいさん最小さいしょう利潤りじゅん最大さいだいひとつの条件じょうけんだからである。また生産物せいさんぶつ構成こうせいいんあいだにどのように分配ぶんぱいするかの問題もんだいは,かく家計かけいがそのゆうする生産せいさん要素ようそ均衡きんこう価格かかくってれる貨幣かへい収入しゅうにゅうが,社会しゃかいそう生産せいさんぶつのうちその家計かけいてられるまえめるというかたちで,解決かいけつされている。このようにして価格かかくは,人間にんげん社会しゃかいがその存続そんぞくのための基礎きそてき経済けいざい問題もんだいいていくための,ひとつの社会しゃかいてき制度せいどなのである。

しかし均衡きんこう価格かかく体系たいけいつうじて実現じつげんされているのは,これだけにとどまらない。かく企業きぎょうはその担当たんとうする生産せいさん過程かていにおいて(費用ひよう最小さいしょう追求ついきゅうするなかで)効率こうりつてき資源しげん利用りよう実現じつげんし,またかく家計かけい予算よさん制約せいやくわくない最大さいだい満足まんぞくをもたらす消費しょうひパターンを選択せんたくするのだが,これらの純粋じゅんすい利己りこてき行動こうどう結果けっかのような社会しゃかいてき効率こうりつせい達成たっせいされていることが証明しょうめいできる。すなわちかく生産せいさんぶつは,生産せいさんぶつ生産せいさんりょうらしたり生産せいさん要素ようそ使用しようりょうをふやしたりせずに生産せいさんできる,最大さいだい生産せいさんりょう実現じつげんしているし,またかく家計かけい満足まんぞくは,家計かけい満足まんぞくげることなしに達成たっせい可能かのうな,最高さいこう水準すいじゅんたっしているのである。この効率こうりつせいはまたパレート最適さいてきともばれるが,これを実現じつげんする価格かかく市場いちばはたらきが,かつてアダム・スミスによって〈かみえざる〉とづけられたものであって,歴史れきしじょうほか種々しゅじゅ経済けいざい制度せいどにくらべ,価格かかくという制度せいどがもつおおきな利点りてんひとつである。

価格かかく制度せいどはたらきの説明せつめいわるにあたって,この制度せいど限界げんかい簡単かんたんにふれておく。とくに重要じゅうようなのは公共こうきょうざい独占どくせんである。公共こうきょうざいは,ある経済けいざい主体しゅたいによるその消費しょうひが,経済けいざい主体しゅたいによるその同時どうじてき消費しょうひ排除はいじょしないざいとサービスと定義ていぎされ,国防こくぼう公園こうえんとう代表だいひょうてきれいである。かく個別こべつ経済けいざい主体しゅたい観点かんてんからみるなら,これらのざい・サービスは,代価だいかはらわずに便益べんえきだけを享受きょうじゅする可能かのうせいをつねにのこすため,その生産せいさんりょう調節ちょうせつ価格かかく制度せいどにゆだねた場合ばあいには,その生産せいさんりょう社会しゃかいてきのぞましい水準すいじゅんして過少かしょうとなる。独占どくせんとは,ある生産せいさんぶつ供給きょうきゅう単一たんいつ企業きぎょう担当たんとうしている事態じたいをいうが,この企業きぎょうは,利潤りじゅん増大ぞうだいざして生産せいさんりょう削減さくげん価格かかく引上ひきあげをはかるため,独占どくせん生産せいさんぶつ生産せいさんりょうも,社会しゃかいてき過少かしょうとなる。

 ところで,以上いじょう資源しげん配分はいぶん所得しょとく分配ぶんぱい問題もんだいほろ経済けいざいがく(ミクロ経済けいざいがく)あるいは厚生こうせい経済けいざいがく分野ぶんやあつかわれるが,そこでは,貨幣かへいのないいわゆる実物じつぶつ経済けいざい仮定かていされることがおおい。この場合ばあい価格かかくは,貨幣かへいざいばれるざい一般いっぱんざい・サービスとの交換こうかん比率ひりつであって,ざい・サービスのしゅ変換へんかん現実げんじつには貨幣かへい媒介ばいかいとした購入こうにゅう販売はんばいとしておこなわれるてん無視むしされる。

 ざい・サービスが現実げんじつには貨幣かへい媒介ばいかいとしてしか交換こうかんされえないということからくる重要じゅうよう問題もんだいひとつにインフレーションがある。これは,貨幣かへいとの交換こうかん比率ひりつという本来ほんらい意味いみでのしょ価格かかく平均へいきん,つまり物価ぶっか水準すいじゅん時間じかんてき変化へんか問題もんだいであり,ぎゃくにみれば貨幣かへい購買こうばいりょく時間じかんてき変化へんか問題もんだいであって,巨視的きょしてき経済けいざいがく(マクロ経済けいざいがく)であつかわれる。
執筆しっぴつしゃ

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百科ひゃっか事典じてんマイペディア価格かかく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

価格かかく【かかく】

商品しょうひん価値かち貨幣かへいあらわしたもの。実際じっさい価格かかくは,価値かち平均へいきん利潤りじゅんくわえた生産せいさん価格かかく中心ちゅうしん需要じゅよう供給きょうきゅう変動へんどうおうじて上下じょうげする(市場いちば価格かかく)。売手うりて買手かいて自由じゆう競争きょうそうのもとで成立せいりつする競争きょうそう価格かかく競争きょうそう制限せいげんされて成立せいりつする独占どくせん価格かかくまたは管理かんり価格かかく大別たいべつされる。
関連かんれん項目こうもく価値かちミクロ経済けいざいがく

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん価格かかく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

価格かかく
かかく
price

ざい・サービスの希少きしょうせい指標しひょう通常つうじょう貨幣かへいでもってあらわされる。貨幣かへい価格かかく絶対ぜったい価格かかくといい,相対そうたいてき希少きしょうせいあらわす相対そうたい価格かかく区別くべつすることがある。需要じゅよう供給きょうきゅう価格かかく関数かんすうであり,価格かかくつうじて調整ちょうせいされる。一方いっぽう価格かかく需給じゅきゅう影響えいきょうけて変動へんどうするので,需要じゅよう供給きょうきゅう価格かかくの3しゃ相互そうご依存いぞん関係かんけいにあるといえる。競争きょうそうてき市場いちばにおいては価格かかくつうじて資源しげん最適さいてき配分はいぶん達成たっせいされるが,独占どくせん寡占かせん存在そんざいする場合ばあいには,価格かかく希少きしょうせいただしく反映はんえいしない。また,公共こうきょうざい供給きょうきゅうにおいては価格かかく有効ゆうこう指標しひょうとはなりえず,市場いちばてきな,あるいは選挙せんきょといった政治せいじてき解決かいけつたなければならない。

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普及ふきゅうばん どおり価格かかく」のみ・字形じけい画数かくすう意味いみ

価格かかく】かかく

ねだん。

どおりあたい」の項目こうもく

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ブランド用語ようごしゅう価格かかく」の解説かいせつ

価格かかく

価格かかくとは製品せいひんやサービスの対価たいかとして支払しはらうべき金銭きんせん価値かちのことをいう。

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち価格かかく言及げんきゅう

価値かち】より

経済けいざいがく正統せいとう価値かち概念がいねんとおざけるよう努力どりょくしてきたのは,科学かがくであろうとするかぎり,当然とうぜんといえよう。
価値かち価格かかく
 経済けいざい現象げんしょうそくしていうと,価値かち価格かかく変動へんどう統御とうぎょするいわば重心じゅうしんのようなものだとみなされてきた。時々刻々じじこくこく変化へんかする価格かかく世界せかいが,つまり市場いちば機構きこうが,なんらか安定あんていした制度せいどとして社会しゃかい中枢ちゅうすう存続そんぞくしうるのは何故なぜか,という疑問ぎもんこたえるために,価格かかく変動へんどう究極きゅうきょくにおいてしたがわせるものとしての価値かち法則ほうそく存在そんざい想定そうていしたということである。…

物価ぶっか】より

物価ぶっかとは文字もじどおりぶつ価格かかくであるが,経済けいざいがくたん物価ぶっかというとき,あるいは物価ぶっか問題もんだいというようにもちいられるときには通常つうじょう個々ここざい価格かかくではなく,経済けいざい全体ぜんたいでの一般いっぱんてき物価ぶっか水準すいじゅんす。もちろん現実げんじつ経済けいざい一般いっぱんてき物価ぶっかというものが存在そんざいするわけではなく,それは統計とうけいてき指数しすう(おおくのざい価格かかく平均へいきん)によってとらえられるものである。…

※「価格かかく」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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