陳ちん洽ひろし

陳ちん洽ひろし（1370年ねん—1426年ねん），字じ叔遠。常つね州しゅう府ふ武たけ進すすむ縣けん（今いま江蘇ちぁんすー省しょう常つね州しゅう市し武たけ進すすむ）人にん。

陳ちん濟わたる之これ弟おとうと，幼年ようねん穎慧，明あきら洪ひろし武たけ年間ねんかん，以善書しょ法被はっぴ引薦任にん兵科へいか給きゅう事ごと。朱しゅ元もと璋あきら賜金しきん織お羅ら衣ころも。建たて文あや時とき，茹瑺薦こも起おこり文選ぶんせん郎ろう中ちゅう^[1]。累るい擢吏部左ひだり侍さむらい郎ろう^[2]。永えい乐五ご年ねん，赴廣西ひろせ參謀さんぼう軍務ぐんむ，代だい掌てのひら交趾布ぬの按司事ごと。改あらため任にん大だい理り寺てら卿きょう。成山なりやま侯こう王おう通とおる與あずか參まい將はた馬うま瑛あきら合ごう兵へい討黎はじむ利り，陳ちん洽ひろし參まいり贊さん軍務ぐんむ。之これ後ご升ます爲ため兵部ひょうぶ尚書しょうしょ^[3]。

宣せん德とく元年がんねん十じゅう一いち月がつ，至いたり應おう平之ひらの寧やすし橋きょう，王おう通とおる不ふ聽部將はた勸すすむ阻，下した令れい冒おかせ雨う渡河とか而陣，行ぎょう泥濘でいねい中ちゅう，遭黎利り軍ぐん伏ふく擊げき。陳ちん洽ひろし多た處しょ負傷ふしょう，左右さゆう欲よく扶還，陳ちん洽ひろし怒いか目め吼ほえ道どう：“吾われ為國ためくに大臣だいじん，食しょく祿ろく四よん十じゅう年ねん，報國ほうこく在ざい今日きょう，義よし不ふ苟生。”遂とげ自刎じふん死し，死者ししゃ三さん萬まん餘人よにん。追贈ついぞう少しょう保ほ，賜たまもの諡おくりな節ふし湣，民間みんかん稱しょう節ぶし憫公^[4]。

参考さんこう文献ぶんけん

^ 《明あかり史し》（卷まき154）：“陳ちん洽ひろし，字じ叔遠，武たけ進すすむ人じん。好古こうこ力學りきがく，與あずか兄あに濟ずみ、弟おとうと浚並有名ゆうめい。洪ひろし武中たけなか，以善書しょ薦こも授兵科か給きゅう事ごと中ちゅう。嘗奉命いのち閱軍，一過いっか輒識之の。有ゆう再さい至いたり者しゃ，輒叱去さ。帝みかど嘉よしみ其能，賜金しきん織衣おりい。父ちち戍五開ひらき歿，洽ひろし奔喪。會かい蠻叛道どう梗，冒險ぼうけん間あいだ行ぎょう，負ふ父ちち骨こつ以歸。建けん文中ぶんちゅう以茹瑺薦，起おこり文選ぶんせん郎ろう中ちゅう。”
^ 《明あかり史し》（卷まき152）：“濟すみ少しょう有ゆう酒しゅ過か，母はは戒之，終おわり其身未み嘗至醉よい。弟おとうと洽あまね為ため兵部ひょうぶ尚書しょうしょ，事こと濟ずみ如父。濟すみ深ふか懼盛滿まん，彌わたる自じ謙抑けんよく。所ところ居きょ蓬よもぎ戶ど葦あし壁かべ，裁たっ蔽風雨う，終日しゅうじつ危坐，手て不ふ釋しゃく卷まき。為ため文ぶん根據こんきょ經けい史し，不ふ事こと葩藻。嘗雲：「文ぶん貴き如布帛菽粟あわ，有益ゆうえき於世爾なんじ。」”
^ 《明あかり史し》（卷まき154）：“成なり祖そ即位そくい，擢吏部ぶ右みぎ侍さむらい郎ろう，改あらため大だい理り卿きょう。安やす南兵みなみへい起おこり，命いのち洽あまね赴廣西にし，與あずか韓かん觀かん選せん士卒しそつ從したがえ征せい。及大軍ぐん出で，遂とげ命いのち贊さん軍務ぐんむ，主しゅ饋餉。安やす南平みなみだいら，轉うたて吏部左ひだり侍さむらい郎ろう。是ぜ時じ黃き福ぶく掌てのひら布ぬの、按二司し事ごと，專務せんむ寬大かんだい，拊循其民。洽ひろし甄拔才能さいのう，振ふ以風紀ふうき。核かく將士しょうし功罪こうざい，建けん置土おきつち官かん，經理けいり兵へい食しょく，剖決如流。還かえ朝あさ，命いのち兼けん署しょ禮れい部ぶ、工こう部ぶ事ごと。七年復參張輔軍討簡定，平之ひらの。還かえ，從したがえ帝みかど北きた征せい，與あずか輔練兵へい塞外さいがい。九年復與輔往交阯，討陳季き擴。居きょ五ご年ねん，進しん兵部ひょうぶ尚書しょうしょ，復ふく留とめ贊さん李り彬あきら軍事ぐんじ。”
^ 《明あかり史し》（卷まき154）：“仁ひとし宗そう召黃福ぶく還かえ，以洽掌てのひら布ぬの、按二司し，仍參軍務ぐんむ。中ちゅう官かん馬ば騏貪暴，洽あまね不能ふのう制せい，反たん者しゃ四よん起おこり，黎はじむ利とぎ尤ゆう桀黠。而榮昌あきら伯はく陳ちん智さとし、都と督とく方かた政せい不ふ相能あいのう，寇勢日び張ちょう。洽ひろし上じょう疏言：“賊ぞく雖乞降，內懷詭詐，黨とう羽わ漸やや盛もり，將はた不可ふか制せい。乞諭諸しょ將しょう速そく滅めつ賊ぞく，毋為所しょ餌えさ。”宣せん宗むね降くだ敕切責せめ智さとし等とう，令れい進すすむ兵へい，復ふく敗はい於茶籠かご州しゅう，帝みかど乃削智さとし、政せい官爵かんしゃく。命いのち成山なりやま侯こう王おう通どおり佩征夷えびす將軍しょうぐん印しるし往討，洽ひろし仍贊其軍。宣せん德とく元年がんねん九きゅう月がつ，通つう至いたり交阯。十一月じゅういちがつ進しん師し應おう平ひらめ，次じ寧やすし橋きょう。洽あまね與あずか諸しょ將しょう言げん地ち險惡けんあく，恐こわ有ゆう伏ふく，宜むべ駐ちゅう師し覘賊。通つう不ふ聽，麾兵徑みち渡わたり，陷おちい泥どろ淖中。伏ふく發はつ，官軍かんぐん大敗たいはい。洽あまね躍おど馬入ばにゅう賊ぞく陣じん，創そう甚墜馬ば。左右さゆう欲よく扶還，洽あまね張ちょう目め叱しか曰：“吾われ為國ためくに大臣だいじん，食しょく祿ろく四よん十じゅう年ねん，報國ほうこく在ざい今日きょう，義よし不ふ茍生。”揮刀殺ころせ賊ぞく數すう人にん，自じ剄死。事こと聞，帝みかど嘆曰：“大臣だいじん以身殉國じゅんこく，一いち代だい幾いく人にん！”贈おく少しょう保たもて，謚節湣。官かん其子樞くるる刑けい科か給きゅう事ごと中ちゅう。”

前任ぜんにん：黃き福ぶく	明朝みょうちょう交趾布ぬの政せい使し兼けん按察使し 1424年ねん—1426年ねん	繼つぎ任にん：無む

[1] 《明あかり史し》（卷まき154）：“陳ちん洽ひろし，字じ叔遠，武たけ進すすむ人じん。好古こうこ力學りきがく，與あずか兄あに濟ずみ、弟おとうと浚並有名ゆうめい。洪ひろし武中たけなか，以善書しょ薦こも授兵科か給きゅう事ごと中ちゅう。嘗奉命いのち閱軍，一過いっか輒識之の。有ゆう再さい至いたり者しゃ，輒叱去さ。帝みかど嘉よしみ其能，賜金しきん織衣おりい。父ちち戍五開ひらき歿，洽ひろし奔喪。會かい蠻叛道どう梗，冒險ぼうけん間あいだ行ぎょう，負ふ父ちち骨こつ以歸。建けん文中ぶんちゅう以茹瑺薦，起おこり文選ぶんせん郎ろう中ちゅう。”

[2] 《明あかり史し》（卷まき152）：“濟すみ少しょう有ゆう酒しゅ過か，母はは戒之，終おわり其身未み嘗至醉よい。弟おとうと洽あまね為ため兵部ひょうぶ尚書しょうしょ，事こと濟ずみ如父。濟すみ深ふか懼盛滿まん，彌わたる自じ謙抑けんよく。所ところ居きょ蓬よもぎ戶ど葦あし壁かべ，裁たっ蔽風雨う，終日しゅうじつ危坐，手て不ふ釋しゃく卷まき。為ため文ぶん根據こんきょ經けい史し，不ふ事こと葩藻。嘗雲：「文ぶん貴き如布帛菽粟あわ，有益ゆうえき於世爾なんじ。」”

[3] 《明あかり史し》（卷まき154）：“成なり祖そ即位そくい，擢吏部ぶ右みぎ侍さむらい郎ろう，改あらため大だい理り卿きょう。安やす南兵みなみへい起おこり，命いのち洽あまね赴廣西にし，與あずか韓かん觀かん選せん士卒しそつ從したがえ征せい。及大軍ぐん出で，遂とげ命いのち贊さん軍務ぐんむ，主しゅ饋餉。安やす南平みなみだいら，轉うたて吏部左ひだり侍さむらい郎ろう。是ぜ時じ黃き福ぶく掌てのひら布ぬの、按二司し事ごと，專務せんむ寬大かんだい，拊循其民。洽ひろし甄拔才能さいのう，振ふ以風紀ふうき。核かく將士しょうし功罪こうざい，建けん置土おきつち官かん，經理けいり兵へい食しょく，剖決如流。還かえ朝あさ，命いのち兼けん署しょ禮れい部ぶ、工こう部ぶ事ごと。七年復參張輔軍討簡定，平之ひらの。還かえ，從したがえ帝みかど北きた征せい，與あずか輔練兵へい塞外さいがい。九年復與輔往交阯，討陳季き擴。居きょ五ご年ねん，進しん兵部ひょうぶ尚書しょうしょ，復ふく留とめ贊さん李り彬あきら軍事ぐんじ。”

[4] 《明あかり史し》（卷まき154）：“仁ひとし宗そう召黃福ぶく還かえ，以洽掌てのひら布ぬの、按二司し，仍參軍務ぐんむ。中ちゅう官かん馬ば騏貪暴，洽あまね不能ふのう制せい，反たん者しゃ四よん起おこり，黎はじむ利とぎ尤ゆう桀黠。而榮昌あきら伯はく陳ちん智さとし、都と督とく方かた政せい不ふ相能あいのう，寇勢日び張ちょう。洽ひろし上じょう疏言：“賊ぞく雖乞降，內懷詭詐，黨とう羽わ漸やや盛もり，將はた不可ふか制せい。乞諭諸しょ將しょう速そく滅めつ賊ぞく，毋為所しょ餌えさ。”宣せん宗むね降くだ敕切責せめ智さとし等とう，令れい進すすむ兵へい，復ふく敗はい於茶籠かご州しゅう，帝みかど乃削智さとし、政せい官爵かんしゃく。命いのち成山なりやま侯こう王おう通どおり佩征夷えびす將軍しょうぐん印しるし往討，洽ひろし仍贊其軍。宣せん德とく元年がんねん九きゅう月がつ，通つう至いたり交阯。十一月じゅういちがつ進しん師し應おう平ひらめ，次じ寧やすし橋きょう。洽あまね與あずか諸しょ將しょう言げん地ち險惡けんあく，恐こわ有ゆう伏ふく，宜むべ駐ちゅう師し覘賊。通つう不ふ聽，麾兵徑みち渡わたり，陷おちい泥どろ淖中。伏ふく發はつ，官軍かんぐん大敗たいはい。洽あまね躍おど馬入ばにゅう賊ぞく陣じん，創そう甚墜馬ば。左右さゆう欲よく扶還，洽あまね張ちょう目め叱しか曰：“吾われ為國ためくに大臣だいじん，食しょく祿ろく四よん十じゅう年ねん，報國ほうこく在ざい今日きょう，義よし不ふ茍生。”揮刀殺ころせ賊ぞく數すう人にん，自じ剄死。事こと聞，帝みかど嘆曰：“大臣だいじん以身殉國じゅんこく，一いち代だい幾いく人にん！”贈おく少しょう保たもて，謚節湣。官かん其子樞くるる刑けい科か給きゅう事ごと中ちゅう。”

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