西にし使し記き

王國おうこく維所輯《古こ行くだり記き校こう錄ろく》中ちゅう的てき《西にし使し記き》書しょ影かげ

《西にし使し記き》，一いち卷かん，元もと代だい劉りゅう郁いく作さく，成なり書しょ於中統すべ四よん年ねん（1263年ねん）三さん月がつ。西にし使し記き實み分ぶん兩りょう部分ぶぶん，前半ぜんはん部ぶ記述きじゅつ常德じょうとく西にし使し的てき行程こうてい，後半こうはん部ぶ記述きじゅつ被ひ旭あさひ烈れつ兀攻陷おちい、征伐せいばつ、或ある自じ行くだり歸き降くだ的てき幾いく個こ中ちゅう亞あ國家こっか。

常德じょうとく行程こうてい

元げん憲けん宗むね二に年ねん（1252年ねん）秋あき，蒙こうむ古こ大だい汗あせ蒙こうむ哥，詔みことのり令れい皇すめらぎ弟おとうと旭あさひ烈れつ兀統率とうそつ大軍たいぐん西にし征せい，前後ぜんご六ろく年ねん，開拓かいたく疆土幾いく萬まん里さと。

元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん正月しょうがつ二に十じゅう日にち（1259年ねん2月がつ13日にち），蒙こうむ古こ大だい汗あせ蒙こうむ哥遣や轉うたて運うん使し常德じょうとく出で使し伊い兒じ汗あせ國こく，覲見旭あさひ烈れつ兀，劉りゅう郁いく隨行ずいこう。使つかい團だん自じ和かず林りん出發しゅっぱつ，出いずる兀孫，西北にしきた行ゆき二に百ひゃく餘あまり里さと，翻こぼし越こし常つね年ねん積雪せきせつ的てき杭くい愛山あいざん、抵達昏木輦河，乘じょう小船こぶね航行こうこう數日すうじつ，過か龍骨りゅうこつ河かわ（今新いまじん疆烏がらす倫りん古河ふるかわ），向こう西北せいほく，去さ別べつ失しつ八はち里り約やく五ご百ひゃく里り，此地多た漢かん民みん，種しゅ黍きび谷だに。龍骨りゅうこつ河西かさい注入ちゅうにゅう乞則里さと八はち寺てら海うみ（今いま烏がらす倫りん古こ湖みずうみ），多可たか食用しょくよう的てき魚類ぎょるい。轉うたて西行さいぎょう，達いたる業ごう瞞城，折おり向こう西南せいなん行ぎょう，達いたる博ひろし羅ら城しろ，此地種しゅ稻いね麥むぎ，山やま多た矮柏，貼は石いし而生，土ど房ぼう鑲琉璃窗。由よし此繼續けいぞく西南せいなん行ぎょう，過か鐵てつ木き兒じ懺關隘（今度こんど松まつ關せき），抵達漢かん回かい雜居ざっきょ，盛さかり產さん瓜ふり、葡萄ぶどう和わ石榴ざくろ的てき阿おもね力ちから麻里まり。元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん二に月がつ二に十じゅう八はち日にち（1259年ねん3月がつ23日にち），過か塔とう剌寺，元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん三さん月がつ初はつ一いち日にち（1259年ねん3月がつ26日にち），過か賽さい蘭らん城しろ，中有ちゅうう一座いちざ浮圖ふと，回かい紇人在ざい此祈拜はい。元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん三さん月がつ初はつ四よん日にち（1259年ねん3月がつ29日にち），渡わたり忽ゆるがせ章あきら河かわ。元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん三さん月がつ初はつ八はち日にち（1259年ねん4月がつ2日にち），抵達撒麻耳みみ干ひ、此地梨花りか、薔薇ばら、玫瑰盛もり開ひらく，出產しゅっさん多種たしゅ中國ちゅうごく沒ぼつ有ゆう的てき藥くすり材ざい。元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん三さん月がつ十じゅう四よん日にち（1259年ねん4月がつ8日にち），渡わたり阿おもね姆河。元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん三さん月がつ十じゅう九きゅう日にち（1259年ねん4月がつ13日にち），過か里さと丑うし城じょう。元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん三さん月がつ二に十じゅう六ろく日にち（1259年ねん4月がつ20日はつか），過か馬うま蘭らん城じょう。元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん三さん月がつ二に十じゅう九きゅう日にち（1259年ねん4月がつ23日にち），過か納おさめ商しょう城じょう、帶おび掃兒城じょう、木き乃奚城じょう。元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん四よん月がつ初はつ六ろく日にち（1259年ねん4月がつ29日にち），過か屹立きつりつ兒じ城じょう，又また過よぎ阿おもね剌模忒堡。劉りゅう郁いく筆ひつ錄ろく的てき前半ぜんはん部ぶ行程こうてい日記にっき到いた此為止どめ。使つかい團だん從したがえ和わ林りん到いた阿おもね拉ひしげ模も忒，前後ぜんご三さん個こ半月はんつき。按波斯文しぶん獻けんじ，此時，元げん憲けん宗むね九きゅう年ねん（1259年ねん）四よん月がつ，旭あさひ烈れつ兀大軍ぐん駐ちゅう守もり伊い兒じ汗あせ國こく都城みやこのじょう大だい不ふ里さと士し，幾いく個月かげつ後ご再さい出征しゅっせい敘利亞あ。使つかい團だん過か阿おもね拉ひしげ模も忒堡後ご，必定ひつじょう到いた大だい不ふ里さと士し覲見旭あさひ烈れつ兀。後來こうらい常德じょうとく、劉りゅう郁いく有無うむ隨ずい軍ぐん出征しゅっせい，或ある到いた過か何處どこ，何時いつ回かい程ほど，文中ぶんちゅう一いち字じ不ふ提ひさげ。

中ちゅう亞あ諸國しょこく

《西にし使し記き》的てき後半こうはん部ぶ記述きじゅつ在ざい使つかい團だん到來とうらい之の前まえ，被ひ蒙こうむ古こ軍ぐん攻おさむ陷おちい、征伐せいばつ、或ある自じ行くだり歸き降くだ的てき幾いく個こ西域せいいき國家こっか。

• 乞石迷西（今いま克かつ什米爾なんじ），在ざい印度いんど之の西にし，克かつ什米爾なんじ人じん狀じょう如中國ちゅうごく畫が中之なかの達たち摩ま，不ふ食しょく葷不飲酒いんしゅ，日食にっしょく米まい一いち合ごう，所しょ談だん皆みな佛法ぶっぽう。
• 報むくい達たち國こく，
• 天てん房ぼう，
• 密みつ乞兒ほいと國こく，
• 富とみ浪なみ國こく（佛ふつ郎ろう機き），
• 石いし羅ら子こ國くに、
• 印しるし毒どく國こく，
• 黑くろ契ちぎり丹に。

阿おもね拉ひしげ伯はく醫藥いやく

《西にし使し記き》亦また載の有ゆう中ちゅう亞あ的てき幾いく種しゅ特效とっこう草くさ藥やく：阿おもね只ただ兒じ，狀じょう如苦く參さん，治ち馬ば鼠ねずみ瘡かさ、婦人ふじん胎損、打撲だぼく內傷，阿おもね息いき兒じ，狀じょう如地ち骨こつ皮かわ，治ち婦人ふじん產後さんご衣ころも不ふ下した、治ち金瘡きんそう，奴やつ哥撤兒じ，形かたち似に桔梗ききょう，治ち金瘡きんそう、斷だん筋すじ。明あきら李り時じ珍めずらし《本草ほんぞう綱目こうもく》收錄しゅうろく此三藥やく於卷二に十じゅう一いち，這一事實じじつ說明せつめい在ざい13世紀せいき，由ゆかり於成吉せいきち思おもえ汗あせ和かず旭あさひ烈れつ兀的西にし征せい，波なみ斯的てき醫學いがく知識ちしき已やめ經けい通過つうか絲いと綢之路ろ傳でん入にゅう中國ちゅうごく。當時とうじ隨したがえ蒙こうむ古西こにし征ただし的てき穆きよし斯林醫い生せい，將はた波なみ斯文しぶん、阿おもね拉ひしげ伯はく文ぶん的てき伊い斯蘭醫藥いやく書籍しょせき，帶おび入にゅう中國ちゅうごく」，，而當時とうじ來らい華はな的てき阿おもね拉ひしげ伯はく人じん，亦また多た以賣阿おもね拉ひしげ伯はく草くさ藥やく為ため業ぎょう。

版本はんぽん

《西にし使し記き》曾收入下にゅうした列れつ文獻ぶんけん中ちゅう：

• 《秋あき澗大全集ぜんしゅう卷まき》九きゅう十じゅう四よん《玉堂きょくどう佳話かわ》
• 續ぞく弘ひろ簡 《元もと史し類るい編へん》
• 魏ぎ源げん《海國かいこく圖ず誌し》
• 王國おうこく維《古こ行くだり記き校こう錄ろく》

翻譯ほんやく本ほん

西にし使し記き一いち書しょ，對たい於研究けんきゅう蒙こうむ古こ帝國ていこく在ざい歐おう洲しゅう開拓かいたく疆土的てき歷史れきし，和わ研究けんきゅう十じゅう三さん世紀せいき絲いと綢之路ろ歷史れきし，有ゆう重要じゅうよう的てき意義いぎ，因いん此很早さ就受到漢學かんがく家か重視じゅうし，在ざい19世紀せいき就已經けい有ゆう兩りょう種たね法ほう譯本やくほん和わ一いち種しゅ英譯えいやく本ほん出現しゅつげん：

• 1825年ねん法ほう國こく漢學かんがく家か雷かみなり慕沙從したがえ《元もと史し類るい編へん》中ちゅう的てき《西にし使し錄ろく》節ふし譯やく成なり法文ほうぶん， 收入しゅうにゅう 《東方とうほう文選ぶんせん》（Mélanges Asiatiques, ou Choix de morceaux de critique, et de mémoires relatifs aux religions, aux. sciences, à l'histoire, et à la géographie des nations orientales. Vol I， II., Paris, 1825）。
• 1865年ねん法ほう國こく漢學かんがく家か M.G.Pauthier, 重譯じゅうやく《西にし使し記き》附ふ於所著ちょ 《馬うま可か波なみ羅ら傳つたえ》（LE LIVRFE DE MARCO POLO Paris, 1865)。
• 1888年ねん俄にわか國こく漢學かんがく家か貝かい勒校こう對たい四よん種しゅ《西にし使し記き》版本はんぽん後ご，全文ぜんぶん譯やく成なり英文えいぶん。

參考さんこう文獻ぶんけん

• 閻宗臨《中西なかにし交通こうつう史し·西にし使し記き箋注》 2007 廣西ひろせ師範しはん大學だいがく出版しゅっぱん社しゃ ISBN 7-5633-6510-4