オリンピック海岸 かいがん 国立 こくりつ 海洋 かいよう 保護 ほご 区 く (Olympic Coast National Marine Sanctuary ) のラッコは1969年 ねん 、1970年 ねん にアラスカから移 うつ されたものである。
ラッコの保護 ほご 活動 かつどう は、20世紀 せいき 初頭 しょとう に始 はじ まった。当時 とうじ 、ラッコ は大 だい 規模 きぼ な商業 しょうぎょう 狩猟 しゅりょう により、絶滅 ぜつめつ の危機 きき にあった。かつてラッコは北 きた 太平洋 たいへいよう 、すなわち北日本 きたにっぽん 、アラスカ 、メキシコ に亘 わた って広 ひろ く分布 ぶんぷ していた。1911年 ねん までの毛皮 けがわ 目的 もくてき の狩猟 しゅりょう により、ラッコの個体 こたい 数 すう は人間 にんげん の手 て が届 とど かない辺境 へんきょう を中心 ちゅうしん とした2000頭 とう にまで激減 げきげん した。
その後 ご 20世紀 せいき の間 あいだ に、ラッコの個体 こたい 数 すう はロシア 極 ごく 東部 とうぶ 、西 にし アラスカ、カリフォルニア の生 い き残 のこ りから増加 ぞうか した。1960年代 ねんだい からは、かつてラッコが生息 せいそく した地域 ちいき への人工 じんこう 的 てき 移動 いどう も進 すす められ、北 きた アメリカ西海岸 にしかいがん に広 ひろ く分布 ぶんぷ させることに成功 せいこう した。その他 た にも若干 じゃっかん だが成功 せいこう した地域 ちいき もあり、ラッコ保護 ほご 活動 かつどう は、海洋 かいよう 生物 せいぶつ の保護 ほご 活動 かつどう (Marine conservation ) として最 もっと も成功 せいこう した事業 じぎょう の1つと考 かんが えられている[1] 。
ところが近年 きんねん 、ラッコ生息 せいそく 地域 ちいき として重要 じゅうよう な2箇所 かしょ で、ラッコの個体 こたい 数 すう の増加 ぞうか が止 と まり、あるいは減少 げんしょう が起 お こっている。アリューシャン列島 れっとう ではここ数 すう 十 じゅう 年間 ねんかん で、大 おお きく減少 げんしょう している。その原因 げんいん は不 ふ 明確 めいかく であるが、ラッコ頭数 とうすう の変化 へんか は、捕食 ほしょく 者 しゃ であるシャチ 頭数 とうすう の増加 ぞうか と傾向 けいこう が似 に ている。1990年代 ねんだい 、カリフォルニアでは、アラスカとは別 べつ の原因 げんいん で増加 ぞうか が止 と まった。ラッコの成獣 せいじゅう の伝染 でんせん 病 びょう 罹患 りかん 率 りつ が高 たか まったためである。カリフォルニアのラッコがなぜ病気 びょうき にかかりやすいのかは分 わ かっていない。その他 た 、ラッコは石油 せきゆ 流出 りゅうしゅつ による汚染 おせん にも非常 ひじょう に弱 よわ く、その被害 ひがい も報告 ほうこく されている。国際 こくさい 自然 しぜん 保護 ほご 連合 れんごう (IUCN)は、ラッコを絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ に指定 してい している。
ラッコの個体 こたい 数 すう の増加 ぞうか は、絶滅 ぜつめつ 間際 まぎわ からの回復 かいふく として、海洋 かいよう 生物 せいぶつ の保護 ほご として、最 もっと も成功 せいこう を収 おさ めた事業 じぎょう の一 ひと つである。
ラッコ (Enhydra lutris ) は北 きた 太平洋 たいへいよう 沿岸 えんがん 、すなわち北日本 きたにっぽん 、千島 ちしま 列島 れっとう 、カムチャッカ半島 はんとう 東部 とうぶ 、アリューシャン列島 れっとう 、北 きた アメリカ、メキシコに亘 わた って生息 せいそく する海洋 かいよう 哺乳類 ほにゅうるい (marine mammal ) である。動物界 どうぶつかい の中 なか では最 もっと も厚 あつ い毛皮 けがわ を持 も つ。1741年 ねん から1911年 ねん の間 あいだ 、毛皮 けがわ 採取 さいしゅ を目的 もくてき としたラッコの捕獲 ほかく が大 だい 流行 りゅうこう し(「大 おお いなる狩猟 しゅりょう 、Great Hunt」と呼 よ ばれる)、この期間 きかん に全 ぜん 世界 せかい の個体 こたい 数 すう が1,000 - 2,000に激減 げきげん した。それ以後 いご 、先住民 せんじゅうみん による限定 げんてい 的 てき な狩猟 しゅりょう を除 のぞ いて、商業 しょうぎょう 狩猟 しゅりょう のほとんどが禁止 きんし された。
ラッコは、ウニ 、軟体動物 なんたいどうぶつ 、甲殻 こうかく 類 るい 、数種類 すうしゅるい の魚類 ぎょるい を捕食 ほしょく する。ラッコは、その大 おお きさに比 くら べて活動 かつどう 範囲 はんい が狭 せま いため、エサとして欠 か かせない種 たね が存在 そんざい する。具体 ぐたい 的 てき にはウニ類 るい である。ウニは海草 かいそう の森 もり (kelp forest ) を食 く い荒 あ らし、沿岸 えんがん 侵食 しんしょく の原因 げんいん となっている。ラッコは生態 せいたい 学 がく 的 てき にこれを防 ふせ ぐ役割 やくわり を担 にな っており、さらにはその愛 あい らしさと行動 こうどう の面白 おもしろ さのため、人々 ひとびと の間 あいだ で種 たね を保護 ほご し、生息 せいそく 範囲 はんい を拡大 かくだい する努力 どりょく がなされてきた。ただし、ラッコは、人間 にんげん にとっても重要 じゅうよう なアワビ 、カニ 、ハマグリ といった魚介 ぎょかい 類 るい も捕食 ほしょく する。そのため、漁業 ぎょぎょう 団体 だんたい 、レクレーション団体 だんたい 、海岸 かいがん で自給 じきゅう する人々 ひとびと から、ラッコ保護 ほご 活動 かつどう に対 たい する反対 はんたい 運動 うんどう が起 お こることもあり、漁師 りょうし の中 なか には法 ほう を犯 おか してラッコを殺 ころ すこともあった[2] 。
ラッコの分布 ぶんぷ 地域 ちいき は、現在 げんざい の所 ところ 、不連続 ふれんぞく である。オレゴン州 しゅう や北 きた カリフォルニア などの地域 ちいき には生息 せいそく していない。メキシコや北日本 きたにっぽん ではしばしば目撃 もくげき されるようになってきている。ラッコは人工 じんこう 飼育 しいく が可能 かのう なため、40以上 いじょう の公共 こうきょう 水族館 すいぞくかん や動物 どうぶつ 園 えん で人気 にんき を集 あつ めている[3] 。
ラッコは保温 ほおん のため毛皮 けがわ を清潔 せいけつ に保 たも たなければならない。石油 せきゆ 流出 りゅうしゅつ による汚染 おせん があると、毛 け づくろい の時 とき に油 あぶら を吸 す ってしまう。
IUCNは、ラッコにとって大 おお きく脅威 きょうい となるのは、石油 せきゆ 汚染 おせん (Oil spill ) 、シャチ による捕食 ほしょく 、密猟 みつりょう 、漁業 ぎょぎょう の影響 えいきょう であると分析 ぶんせき している。漁具 ぎょぐ に巻 ま き込 こ まれると、溺 おぼ れることもある[4] 。たとえ悪意 あくい が無 な くても、人 ひと が近 ちか くから観察 かんさつ することがストレスとなることもある。ラッコにとって最 もっと も大 おお きな脅威 きょうい は石油 せきゆ 流出 りゅうしゅつ である[5] 。ラッコは体温 たいおん を毛皮 けがわ で保 たも っている。毛皮 けがわ が油 あぶら で濡 ぬ れると毛 け の間 あいだ の空気 くうき が抜 ぬ けてしまうので、低 てい 体温 たいおん 症 しょう になって死 し んでしまう[5] 。毛 け づくろいをしたり海水 かいすい を飲 の んだりした際 さい に体内 たいない に油 あぶら が吸収 きゅうしゅう されると、肝臓 かんぞう 、腎臓 じんぞう 、肺 はい も損傷 そんしょう を受 う ける[5] 。
ラッコの行動 こうどう 範囲 はんい は狭 せま いため、カリフォルニア、ワシントン、ブリティッシュコロンビア州 しゅう などで大 おお きな石油 せきゆ 流出 りゅうしゅつ 事故 じこ が発生 はっせい すると、壊滅 かいめつ 的 てき な被害 ひがい をもたらす[6] [7] [8] 。これらの地域 ちいき での石油 せきゆ 流出 りゅうしゅつ 防止 ぼうし とラッコ救済 きゅうさい の準備 じゅんび をすることが、ラッコの個体 こたい 数 すう や生息 せいそく 範囲 はんい を増 ふ やすのに非常 ひじょう に重要 じゅうよう である。
海洋 かいよう 保護 ほご 地域 ちいき (Marine Protected Area ) は、不法 ふほう 投棄 とうき や石油 せきゆ 採掘 さいくつ が禁止 きんし されているため、ラッコの良好 りょうこう な生息 せいそく 地 ち となっている[9] [10] 。モントレー湾 わん 国立 こくりつ 動物 どうぶつ 保護 ほご 地区 ちく (Monterey Bay National Marine Sanctuary ) には1,200以上 いじょう [11] 、オリンピック海岸 かいがん 国立 こくりつ 海洋 かいよう 保護 ほご 区 く (Olympic Coast National Marine Sanctuary ) には500以上 いじょう が生息 せいそく している[12] 。
関連 かんれん 地図 ちず 1-カムチャッカ半島 はんとう , 2-アムチトカ島 とう , 3-プリンス・ウィリアム湾 わん , 4-バンクーバー島 とう , 5-ビッグ・サー
19世紀 せいき より以前 いぜん 、千島 ちしま 列島 れっとう には20,000 - 25,000頭 とう のラッコが住 す み、カムチャッカ半島 はんとう やコマンドルスキー諸島 しょとう にも多 おお く住 す んでいた。「大 おお いなる狩猟 しゅりょう (Great Hunt)」以後 いご は、この地域 ちいき に住 す むラッコはわずか750頭 とう となっていた[13] 。2004年 ねん 現在 げんざい 、かつての生息 せいそく 地 ち 全域 ぜんいき でラッコが見 み られるようになり、27,000頭 とう にまでなった。このうち、約 やく 19,000頭 とう が千島 ちしま 列島 れっとう に住 す み、2000から3500頭 とう がカムチャッカ半島 はんとう に、5,000から5,500頭 とう がコマンドルスキー諸島 しょとう に住 す んでいる[13] 。ここに来 き て増加 ぞうか はわずかに遅 おそ くなり、ほぼ環境 かんきょう 収容 しゅうよう 力 りょく に達 たっ したものと見 み られる[13] 。ロシアでのラッコ生息 せいそく 数 すう の復活 ふっかつ 成功 せいこう は、広範囲 こうはんい かつ長期間 ちょうきかん の保護 ほご によるものであり、島 しま からの人間 にんげん の移住 いじゅう が大 おお きく影響 えいきょう している[13] 。
1930年代 ねんだい 、アラスカのアリューシャン列島 れっとう とプリンス・ウィリアム湾 わん の辺 あた りにラッコの生息 せいそく 地 ち に適 てき した土地 とち が発見 はっけん された。アムチトカ島 とう のラッコ生息 せいそく 地 ち は禁猟 きんりょう 区 く に指定 してい され、個体 こたい 数 すう が増加 ぞうか した[14] 。1960年代 ねんだい 半 なか ば、アムチトカ島 とう は核 かく 実験 じっけん に使用 しよう され、ラッコを数多 かずおお く殺 ころ すことになった。1968年 ねん 、アメリカ原子力 げんしりょく 委員 いいん 会 かい は大 だい 規模 きぼ 核 かく 実験 じっけん を前 まえ にして、数 すう 百 ひゃく 頭 とう の動物 どうぶつ を他 た の場所 ばしょ に移 うつ すことを決 き めた。それを受 う けて1960年代 ねんだい 、ラッコは700頭 とう が移 うつ され、その経験 けいけん から科学 かがく 者 しゃ 達 たち は動物 どうぶつ を安全 あんぜん によそに移 うつ す方法 ほうほう を学 まな んだ[15] 。1973年 ねん 、アラスカのラッコ頭数 とうすう は、100,000から125,000頭 とう に上 のぼ ると推定 すいてい されている[16] 。
ラッコの豊 ゆた かな毛皮 けがわ のせいで、かつては大 だい 規模 きぼ な狩猟 しゅりょう の的 まと となり、今 いま は油 あぶら 流出 りゅうしゅつ の被害 ひがい を受 う けやすくなっている。
アリューシャン列島 れっとう の衰弱 すいじゃく [ 編集 へんしゅう ]
ここ数 すう 十 じゅう 年 ねん で、西 にし アラスカアリューシャン諸島 しょとう のラッコ頭数 とうすう は急落 きゅうらく している。1980年代 ねんだい 、この地域 ちいき に住 す むラッコは55,000 - 100,000頭 とう いたが、2000年 ねん には6,000頭 とう にまで減 へ った[17] 。この理由 りゆう として、反論 はんろん も多 おお いが、シャチ による捕食 ほしょく によるものとする説 せつ がある。この説 せつ を裏付 うらづ ける証拠 しょうこ としては周囲 しゅうい の状況 じょうきょう がある。まず、頭数 とうすう が減少 げんしょう するような病気 びょうき や飢 う えが発生 はっせい していた形跡 けいせき がない[17] 。そして、減少 げんしょう が大 おお きかったのはシャチがたびたび観察 かんさつ される地域 ちいき であり、潟 かた のようにシャチがいないところでは減少 げんしょう が少 すく なかった[18] 。
アラスカに生息 せいそく するシャチの種 たね の中 なか には海洋 かいよう 哺乳類 ほにゅうるい を好 この んで食 た べる種類 しゅるい がある。そのようなシャチは、アザラシ 、アシカ 、小型 こがた のクジラ 、コククジラ の子供 こども などを食 た べる。ラッコは小型 こがた で毛 け が多 おお いので、シャチにとってあまり魅力 みりょく が無 な いエサだが、クジラに比 くら べてシャチの頭数 とうすう が多 おお いことが、何 なん 千 せん ものラッコがシャチに捕食 ほしょく されたことの証拠 しょうこ の一 ひと つに挙 あ げられる。
"sequential megafauna collapse"(大型 おおがた 生物 せいぶつ の連鎖 れんさ 崩壊 ほうかい )と呼 よ ばれる理論 りろん によると、シャチがラッコの捕食 ほしょく を始 はじ めたのは、かつてエサとしていた動物 どうぶつ が減 へ ってしまったことによる。つまりこの理論 りろん では、大型 おおがた クジラが1960年代 ねんだい の商業 しょうぎょう 捕鯨 ほげい で減少 げんしょう してしまい、そのためシャチはゼニガタアザラシ やトド の捕食 ほしょく を始 はじ めたために1970年代 ねんだい から1980年代 ねんだい にはそれらも減少 げんしょう し、ついにはより小型 こがた の動物 どうぶつ がシャチのエサとなってしまった、と説明 せつめい する[19] 。ただし、ラッコの減少 げんしょう がシャチの捕食 ほしょく によるものかどうかの結論 けつろん は出 で ておらず、直接 ちょくせつ それを証明 しょうめい する証拠 しょうこ は出 で ていない[18] 。
エクソンバルディーズ号 ごう 原油 げんゆ 流出 りゅうしゅつ 事故 じこ により、油 あぶら の厚 あつ い膜 まく がプリンス・ウィリアム湾 わん を覆 おお った。
エクソンバルディーズ号 ごう 原油 げんゆ 流出 りゅうしゅつ 事故 じこ [ 編集 へんしゅう ]
1989年 ねん のエクソンバルディーズ号 ごう 原油 げんゆ 流出 りゅうしゅつ 事故 じこ により、プリンス・ウィリアム湾 わん のラッコは壊滅 かいめつ 的 てき な打撃 だげき を受 う けた。油 あぶら にまみれた1000頭 とう ものラッコの死骸 しがい が見 み つかっており[20] 、実際 じっさい の被害 ひがい はこの何 なん 倍 ばい にも上 のぼ ると見 み られている[6] 。2,000頭 とう から6,000頭 とう が死亡 しぼう したと見 み られている。それでも、350頭 とう ほどは救出 きゅうしゅつ され、5ヶ月 かげつ ほどの間 あいだ リハビリを受 う けている[21] 。精神 せいしん 安定 あんてい の治療 ちりょう を受 う け、毛皮 けがわ を洗 あら い、手入 てい れを受 う けた。油 あぶら を飲 の んだラッコに対 たい しては、活性炭 かっせいたん が投与 とうよ された。もっとも手当 てあ てを受 う けた350頭 とう のうち助 たす かったのは200頭 とう ほどであり、多 おお くは放 はな された後 のち に死 し んでしまっている[21] 。この事故 じこ で救 すく われたラッコの数 かず は少 すく なかったが、油 あぶら の被害 ひがい にあったラッコの治療 ちりょう 法 ほう が進歩 しんぽ したのがせめてもの救 すく いである。エクソン・バルディーズ号 ごう 原油 げんゆ 流出 りゅうしゅつ 信託 しんたく 評議 ひょうぎ 会 かい による2006年 ねん の報告 ほうこく 書 しょ によると、ラッコはこの事故 じこ の影響 えいきょう を未 いま だに受 う けている種 たね のひとつとされている[22] 。
現在 げんざい の状況 じょうきょう [ 編集 へんしゅう ]
2006年 ねん 現在 げんざい 、アラスカには73,000頭 とう のラッコがいると見 み られている。2005年 ねん 夏 なつ 、アメリカの絶滅 ぜつめつ の危機 きき に瀕 ひん する種 たね の保存 ほぞん に関 かん する法律 ほうりつ (絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ 法 ほう )により、ラッコは「西南 せいなん アラスカ地域 ちいき 個体 こたい 群 ぐん 」のうちの「絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ 」に認定 にんてい されている[23] 。1年 ねん 以上 いじょう 後 ご 、アリゾナ に本拠 ほんきょ を置 お く生物 せいぶつ 多様 たよう 性 せい センター は、米国 べいこく 魚類 ぎょるい 野生 やせい 生物 せいぶつ 局 きょく (United States Fish and Wildlife Service ) に対 たい し、同局 どうきょく が絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ 法 ほう に定 さだ められた「生息 せいそく 地 ち の保護 ほご 」を行 おこな わなかったとして、訴訟 そしょう を起 お こしている[24]
ブリティッシュコロンビア、ワシントン、オレゴン [ 編集 へんしゅう ]
1969年 ねん から1972年 ねん にかけて、89頭 とう のラッコが流 なが されて、あるいは運 はこ ばれて、カナダブリティッシュコロンビア州 しゅう のバンクーバー島 とう 西海岸 にしかいがん に来 き ていた。それが順調 じゅんちょう に増 ふ えて、あるいは人間 にんげん の保護 ほご を受 う けて、2004年 ねん には3,000頭 とう 以上 いじょう となり、生息 せいそく 地 ち も同島 どうとう のトフィーノ (en ) からケープ・ スコット州立 しゅうりつ 公園 こうえん (en ) にまで広 ひろ がっている[25] 。しかしながら、ラッコを人工 じんこう 的 てき に保護 ほご することについて、カナダの先住民 せんじゅうみん 族 ぞく であるファースト・ネーション の意見 いけん を調 しら べていなかった。人工 じんこう 的 てき に移 うつ されたラッコは、生態 せいたい 系 けい をかつての姿 すがた に改善 かいぜん した。しかし、ラッコが甲殻 こうかく 類 るい やウニを捕食 ほしょく したため、地元 じもと の先住民 せんじゅうみん 族 ぞく はラッコの復活 ふっかつ をよく思 おも わなかった[26] 。
1989年 ねん 、ブリティッシュコロンビア海岸 かいがん の中央 ちゅうおう 部 ぶ に、ラッコの生息 せいそく 地域 ちいき が発見 はっけん された。2004年 ねん に300頭 とう が確認 かくにん されている。この生息 せいそく 地域 ちいき は、他 た の生息 せいそく 地域 ちいき とは孤立 こりつ しており、ここに住 す むラッコが人工 じんこう 移植 いしょく したラッコが流 なが れ住 す んだものなのか、あるいはかつての狩猟 しゅりょう の生 い き残 のこ りであるのかはよく分 わ かっていない[25] 。ラッコはカナダでは絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ 法 ほう (SARA)で保護 ほご されている[27] 。ただし2007年 ねん 4月 がつ 、カナダ野生 やせい 動物 どうぶつ 絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ の現況 げんきょう 委員 いいん 会 かい (en ) は、この地域 ちいき でのラッコの繁殖 はんしょく 力 りょく が強 つよ いことを考慮 こうりょ して、SARA法 ほう の中 なか での位置 いち づけを「絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ 」(threatened)から「特別 とくべつ 懸念 けねん 種 しゅ 」(special concern)に格下 かくさ げした[28] 。
1969年 ねん と1970年 ねん に59頭 とう のラッコがアムチトカ島 とう からワシントン州 しゅう に移 うつ され、2000年 ねん には504頭 とう 、2004年 ねん には743頭 とう が確認 かくにん されている[8] 。同 どう 州 しゅう は1981年 ねん 、ラッコを絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ (endangered species) に指定 してい している[8] 。1970年代 ねんだい 、93頭 とう のラッコがオレゴン州 しゅう の海岸 かいがん に移 うつ されたが、1980年代 ねんだい 初頭 しょとう にはいなくなっている。逃 に げたのか死 し んだのかは分 わ かっていない[15] 。
年 とし とともに広 ひろ がるカリフォルニアラッコの生息 せいそく 地域 ちいき
カリフォルニアはカリフォルニアラッコ (Enhydra lutris nereis )がある程度 ていど まとまって生息 せいそく する唯一 ゆいいつ の地域 ちいき である。1938年 ねん 、望遠鏡 ぼうえんきょう のテストをしていた人 ひと が、カリフォルニアビッグ・サー (Big Sur ) に50頭 とう ほどのラッコの群 む れがいることに気付 きづ いた[29] 。このラッコは環境 かんきょう 保護 ほご を受 う けたため、周辺 しゅうへん で繁殖 はんしょく した[20] 。もっとも、他 た の地区 ちく と比 くら べると繁殖 はんしょく 速度 そくど は遅 おそ く、同 どう 海域 かいいき のカリフォルニアアシカ やゼニガタアザラシ と比 くら べても遅 おそ い[30] 。1914年 ねん から1984年 ねん にかけての平均 へいきん 増加 ぞうか 率 りつ はわずか5%ほどであり、1990年代 ねんだい になると増加 ぞうか は止 と まり、減少 げんしょう の傾向 けいこう も見 み られる[31] 。カリフォルニアラッコは1977年 ねん 、絶滅 ぜつめつ の危機 きき に瀕 ひん する種 たね の保存 ほぞん に関 かん する法律 ほうりつ (ESA)の絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ (threatened subspecies)に指定 してい された。2007年 ねん 春 はる の調査 ちょうさ によると、カリフォルニアに住 す むラッコは3,000をわずかに越 こ えており、今 いま でも増加 ぞうか 傾向 けいこう にあるが、大 だい 規模 きぼ 狩猟 しゅりょう 前 まえ の16,000頭 とう には達 たっ していない[32] 。それでも3年 ねん 以上 いじょう の間 あいだ 3,090頭 とう が連続 れんぞく して確認 かくにん されているため、今 いま ではこの亜種 あしゅ は絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ から外 はず されている[32]
ラッコの繁殖 はんしょく は魚介 ぎょかい 類 るい の減少 げんしょう 原因 げんいん となる。1980年代 ねんだい 始 はじ め、米国 べいこく 魚類 ぎょるい 野生 やせい 生物 せいぶつ 局 きょく (en ) はメキシコとの国境 こっきょう 付近 ふきん のコンセプション岬 みさき (Point Conception ) に「ラッコ不在 ふざい 海域 かいいき (otter-free zone)」を設 もう けて、この矛盾 むじゅん を解消 かいしょう しようと試 こころ みた。すなわちラッコ繁殖 はんしょく 地 ち をサンニコラス島 とう (San Nicolas Island ) に限定 げんてい し、ここから離 はな れたところにラッコがいた場合 ばあい はここに連 つ れ戻 もど す、というものである。しかし「ラッコ不在 ふざい 海域 かいいき 」に現 あらわ れるラッコが何 なん 百 ひゃく といたため、この政策 せいさく は今 いま では断念 だんねん されている[33] 。
モントレー 湾 わん 水族館 すいぞくかん (Monterey_Bay_Aquarium )によると、保護 ほご した子供 こども のラッコを自然 しぜん に帰 かえ した1年 ねん 後 ご の生存 せいぞん 率 りつ は、人 ひと に育 そだ てられた場合 ばあい は約 やく 10%、2001年 ねん から始 はじ めた雌 めす ラッコに託 たく す場合 ばあい は約 やく 3分 ぶん の2。
生息 せいそく 数 すう の安定 あんてい 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
カリフォルニアラッコの減少 げんしょう 問題 もんだい は、まだ終 お わったわけではない。カリフォルニアにおけるラッコの出生 しゅっしょう 率 りつ は他 た の地域 ちいき よりも遅 おそ いわけではないのに、ラッコの数 かず が増 ふ えないのは、その死亡 しぼう 率 りつ が高 たか いためである。[30] 。異常 いじょう なまでに高 たか い死亡 しぼう 率 りつ には、成獣 せいじゅう も含 ふく まれており、とりわけメスが多 おお いことが報告 ほうこく されている[32] 。死因 しいん のトップは病気 びょうき であり、ついで水質 すいしつ 汚染 おせん 、魚 さかな 網 もう に捕 と らえられての溺死 できし であるとされる[34] 。
カリフォルニアでは最近 さいきん 、繁殖 はんしょく 年齢 ねんれい のラッコの死亡 しぼう 率 りつ が高 たか い
死 し んだラッコの死骸 しがい のほとんどは海中 かいちゅう に沈 しず んでしまうが、海岸 かいがん に打 う ち上 あ げられた死体 したい を解剖 かいぼう して死因 しいん が調 しら べられている。その死因 しいん は、原生 げんせい 生物 せいぶつ による脳炎 のうえん 、鉤 かぎ 頭 あたま 動物 どうぶつ の寄生 きせい 、サメによる捕食 ほしょく 、心臓 しんぞう 病 びょう である[30] 。病死 びょうし は63.8%にのぼり、そのほとんどは寄生虫 きせいちゅう による。特 とく にトキソプラズマ 脳炎 のうえん に感染 かんせん している個体 こたい が多 おお く、心臓 しんぞう 病 びょう で死 し んだものの中 なか にもその原因 げんいん がトキソプラズマによるものである可能 かのう 性 せい がある[30] 。また、サメに襲 おそ われやすくなったのも、トキソプラズマ脳炎 のうえん による異常 いじょう 行動 こうどう が原因 げんいん である可能 かのう 性 せい もある[30] 。
ある研究 けんきゅう によると、生 い きているラッコも42%がトキソプラズマが感染 かんせん しているとされる[35] 。トキソプラズマ感染 かんせん はラッコにとって致命 ちめい 的 てき となることが多 おお く、野良猫 のらねこ や飼 か い猫 ねこ から感染 かんせん することが多 おお い。すなわち猫 ねこ の排泄 はいせつ 物 ぶつ 中 ちゅう のトキソプラズマが廃水 はいすい を通 つう じて海 うみ に流 なが れ込 こ み、ラッコに感染 かんせん する[36] 。
カリフォルニアのラッコの死因 しいん の多 おお くが病死 びょうし であるのは明 あき らかだが、なぜ彼 かれ らが他 た の地域 ちいき よりも病気 びょうき にかかりやすいのかは分 わ かっていない。いわゆるボトルネック効果 こうか により、遺伝 いでん 的 てき 多様 たよう 性 せい が失 うしな われたからとする説 せつ もある。
注釈 ちゅうしゃく 、出典 しゅってん [ 編集 へんしゅう ]
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