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サラダ - Wikipedia

サラダ

野菜やさいなどのざいしおあぶら香辛料こうしんりょうなどの調味ちょうみりょうをふりかけるか、えてりつけた料理りょうり

サラダ英語えいご: salad [ˈsæləd]フランス語ふらんすご: salade [salad]ポルトガル: salada [sɐˈladɐ])とは、野菜やさいなどのざいしおあぶら香辛料こうしんりょうなどの調味ちょうみりょうをふりかけるか、えてりつけた料理りょうり総称そうしょう。ただし日本語にほんごのサラダはややそれとはことなる。

一般いっぱんてきなサラダ
フルーツサラダ

なまのままの野菜やさいや、ポテト、ブロッコリー豆類まめるいなどのたものをましてからわせ、マヨネーズドレッシングしおとうをかけてべるものが一般いっぱんてきだが、野菜やさい以外いがい材料ざいりょうおおふくたまごサラダツナサラダハムサラダマカロニサラダなどもサラダとしょうされる。素材そざいえらかたによってはビタミンC食物しょくもつ繊維せんいなどをおおふくむ。

なお、サラダのドレッシングにてきしたあぶらのことを日本にっぽんではサラダ油さらだゆという。 また、サラダ油さらだゆ使つかった煎餅せんべいスナック菓子すなっくがしなどで塩味しおあじのものを「サラダあじ」としょうすることがある[1]

古代こだいギリシャローマ時代じだいにはすでになま野菜やさいおもキュウリなど)をしょく習慣しゅうかんがあり、「サラダ」の語源ごげん調味ちょうみりょうの「しお」を意味いみするラテン語らてんごの「サル」(sal)または「しおくわえる」を意味いみする動詞どうし「サラーレ」(salare)にあり、当時とうじのサラダの原形げんけいしおりかけてなま野菜やさいしょくすることにあったことをうかがわせる。当時とうじ人々ひとびとにとって、なま野菜やさいは、ちょうはたらきをととのえる「薬効やっこう」を食材しょくざいとらえられていた。ローマの初代しょだい皇帝こうていアウグストゥスは、病気びょうきにかかったさいレタスべて一命いちめいをとりとめた、という逸話いつわもある。

14世紀せいきすえには、英国えいこくリチャード2せい料理りょうりちょうが、パセリセージネギニンニクなどにオリおりブ油ぶゆしおをふりかけてべるレシピをしるしており、今日きょうのサラダにちかいものをくえしていたことがかる。

15世紀せいきミラノ宴会えんかい料理りょうりにサラダ(zelada)という野菜やさい料理りょうりがあった。多量たりょうしお(salè)、ジャム、マスタード、レモンで味付あじつけした煮込にこじる酢漬すづけや塩漬しおづけのみどり野菜やさいにかける料理りょうりだった。やがてローマじんならってゆたか野菜やさいなまみどり野菜やさいしるをかけるように変化へんかし、しるあぶらをかける方法ほうほう変化へんかしていった。15世紀せいき中頃なかごろにはフランスでサラダにてきした野菜やさいのリストがつくられた。16世紀せいき野菜やさいきな詩人しじんピエール・ド・ロンサールはサラダの料理りょうりほうをそのままあらわした"ジャスミンにささげる頌歌"をのこしている[2]

野菜やさい以外いがいのサラダが登場とうじょうしたのは17世紀せいき後半こうはんのことで、鶏肉とりにくさかなエビなどがもちいられ、18世紀せいきわりにはフルーツサラダもみられるようになった。

なお、このような需要じゅようはあっても一時期いちじきまでのヨーロッパにおける野菜やさい料理りょうり地位ちいひくく、なつのみのにく料理りょうり脇役わきやくであった。こうしたサラダの普及ふきゅうには野菜やさい温室おんしつ栽培さいばいや、温暖おんだん地域ちいきよりの輸入ゆにゅう時代じだいたねばならなかった。20世紀せいきはいり、にく料理りょうり多量たりょうなま野菜やさいえるアメリカからの影響えいきょうが、ヨーロッパでの野菜やさいサラダの地位ちい確立かくりつおおきな影響えいきょうおよぼしたといわれる[3]

日本にっぽんにおける歴史れきし

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きん現代げんだいいたるまで日本にっぽんでは、人糞じんぷん材料ざいりょう肥料ひりょうにするなどはたけ衛生えいせい状態じょうたいくなかったため、ふりスイカなどを果物くだものとしてべ、ネギなどを薬味やくみにする以外いがいに、野菜やさいをそのままで生食なましょくする習慣しゅうかんはなかった。わせやビタミンみなもととしての野菜やさい漬物つけものおひたし煮物にもの汁物しるものがその役割やくわりたしていた。

幕末ばくまつから明治めいじ時代じだいになり、欧米おうべい諸国しょこくとの外交がいこうはじまると、外国がいこくじんけにサラダが提供ていきょうされ、おもフランス語ふらんすご英語えいごちかサラドサラデといういいかたもちいられた。ただし、トマトダイコンるいか、カリフラワーアスパラガスなどのいったんでた野菜やさいおもである。1872ねん明治めいじ5ねん出版しゅっぱんの『西洋せいよう料理りょうり指南しなん』にはトマトのサラダなどのつくかた掲載けいさいされている[4]。また、1875ねん明治めいじ8ねん8がつ27にち宮中きゅうちゅうまえアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大蔵おおくらきょうらをまねいたさいフランス語ふらんすごのメニューにsaladeが記載きさいされている[5]キャベツなどの外国がいこくじんけの野菜やさい栽培さいばいもこのころはじまった。

明治めいじ時代じだいジャーナリスト服部はっとり誠一せいいちは、著書ちょしょ東京とうきょうしん繁昌はんじょう』のなかでサラダに撒拉たくという漢字かんじてた[6]。ほかにも、近代きんだい国語こくご辞典じてん節用せつようしゅうひだりりょう[7]薩拉[8]なまさい料理りょうり[9]といった漢字かんじ表記ひょうきられる。

日本にっぽん牛肉ぎゅうにく料理りょうりカツレツなどの洋食ようしょく伝来でんらいし、普及ふきゅうするなかで、うしカツなどにキャベツ千切せんぎりなどがわされた。また、サラダの材料ざいりょうとなるなま野菜やさい輸入ゆにゅうされるようになり、一部いちぶ食通しょくつうあいだでは、なま野菜やさいのサラダがしょくされていた。

大正たいしょう時代じだい1924ねん大正たいしょう13ねん)に、日清製油にっしんせいゆ現在げんざいにちしんオイリオ)が、「にちしんサラダ油さらだゆ」という透明とうめいたかえてもにごらないサラダようサラダ油さらだゆ)を販売はんばいした[10]。しかし、まだまだ一般いっぱんひとびとの食卓しょくたくならぶものではなかった。

昭和しょうわ時代じだいになるとヘッドレタス登場とうじょうし、サラドさい[11]などの専門せんもん料理りょうりほんにも掲載けいさいされるようになった。しかし、主流しゅりゅうトマトキュウリキャベツポテトサラダであった。

だい世界せかい大戦たいせん直後ちょくご日本にっぽんではいまだ下肥しもごえ利用りよう一般いっぱんてきであり、回虫かいちゅうギョウチュウなど寄生虫きせいちゅう蔓延まんえんしていた。これにたいGHQは、強烈きょうれつ嫌悪けんおかんもよおし、進駐軍しんちゅうぐんよう食事しょくじきょうする野菜やさいは、べつ栽培さいばいさせ下肥しもごえ使用しようゆるさなかった。一般いっぱんようにも化学かがく肥料ひりょう堆肥たいひ使用しようすすめた。そのも、厚生省こうせいしょうから1955ねん昭和しょうわ30ねん)に清浄せいじょう野菜やさい普及ふきゅうについて指導しどうされるなど衛生えいせいめん改善かいぜん徐々じょじょすすみ、安心あんしんしてなまべられるしょく環境かんきょう整備せいび浸透しんとうはかられた。かく家庭かてい食卓しょくたくにまでサラダが普及ふきゅうするのは、1970年代ねんだい中期ちゅうき以降いこうである。

定着ていちゃく初期しょきのサラダはかならずしもなま野菜やさい主体しゅたいではなく、一旦いったんとおしたカリフラワーや、あるいは千切せんぎりしたリンゴミカン缶詰かんづめ、さらにはマカロニなどをくわえ、マヨネーズ全体ぜんたいてき味付あじつけするといった、やや甘口あまくちのものがおおかった。うすくスライスしたなまキュウリやなまトマト、マッシュポテトも徐々じょじょわせざいくわわるようになり、いよいよなまレタスやなまキャベツといったぶつ野菜やさい生食なましょくたいするしょく信頼しんらい定着ていちゃく全国ぜんこく大手おおてのドレッシング・メーカーがいく種類しゅるいものドレッシング・ソースを商品しょうひん開発かいはつ全国ぜんこく販売はんばい、TVCMも啓蒙けいもう一役ひとやくい、今日きょう普及ふきゅうしているサラダとして食卓しょくたくならぶまでにいたった。

2010年代ねんだいにあっては、パワーサラダ名付なづけられたサラダが脚光きゃっこうびている。これはビタミンミネラルれる野菜やさい果物くだものに、さかなや畜肉といった蛋白質たんぱくしつふく食材しょくざいまじえ、まめ雑穀ざっこく、ナッツといったトッピングをくわえることで、いちにち摂取せっしゅすべき栄養素えいようそいちさら容易よういることのできるサラダである[12][13]

サラダの種類しゅるい

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一般いっぱんてきなもの

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各国かっこく特色とくしょくあるサラダ

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日本にっぽん

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生食なましょく文化ぶんかつよ日本にっぽんだが野菜やさい生食なましょく料理りょうり歴史れきしてきすくない。

よりくわしくえば、野菜やさい生食なましょく農家のうか自家じか消費しょうひてきおこなうもので料理りょうりとはなされていなかった。

よって日本にっぽんのサラダはものべつとすればほとんどが戦後せんごひろまったものである。

なお、英語えいごばんwikipediaのサラダのリストには胡麻和ごまあ掲載けいさいされている。


中国ちゅうごく

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台湾たいわん

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  • りょうたけのこすなひしげ(リャンスンシャーラー liángsǔn shālā) - たけのこサラダ。おもほそいたけのこの先端せんたん部分ぶぶんをゆでて、あまみのあるマヨネーズをつけてべる。

マレーシア、インドネシア

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アングロアメリカ

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  • リヨネーズ(salade Lyonnaise、リヨンふう) - マスタードりドレッシングでえた野菜やさいうえにベーコン、ポーチドエッグクルトンせたサラダ。
  • ニソワーズ(salade Niçoise、ニースふう) - プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地方ちほうのサラダ。ニンニクでかおりづけしたさらうえやしたトマト、アンチョビフィレ、ピーマン、タマネギなどをならべ、オリーブオイルとしお、コショウ、バジルでつくったドレッシングをかけ、かたたまごとオリーブをあしらう[14]
  • スュド・ウェスト(salade Sud-Ouest、南西なんせいふう) - フランス南西なんせいペリゴールおよびラングドック地方ちほう料理りょうりすなきもサラダ。家禽かきんるいすなきもいためたものおよびかもなまハムを野菜やさいうえいろどる。半熟はんじゅく目玉焼めだまやきをせる場合ばあいもある。
  • マセドワーヌ(Macédoine)- 1cmかくった野菜やさいまたは果物くだもののサラダ。野菜やさいのマセドワーヌ(マセドワーヌ・ド・レギュム Macédoine de légumes)はゆたかさいひやさいどちらとしてもよい。
  • タブーレ (taboulé)- クスクス調理ちょうりしてやし、トマトやキュウリなどのかくりやオリーブ、乾燥かんそうフルーツなどをぜたサラダ。クスクスつぶによる独特どくとくしょくかんがある。原型げんけいひがし地中海ちちゅうかい地方ちほうの「タブーリ」(後述こうじゅつ)。
  • ムスクラン (mesclun)- 色々いろいろ種類しゅるい若菜わかなわせた、南仏なんふつのサラダ。
  • ジャジュック(Cacık) - キュウリのヨーグルトえサラダ
  • ピヤズ(Piyaz) - しろインゲンまめのサラダ
  • パトルジャンサラタス(Patlıcan salatası) - ナスのペーストじょうサラダ
  • チョバンサラタス(Çoban salatası) - チョバンとはひつじのこと。ひつじいが仕事しごとさき材料ざいりょうってってそこでつくったとされることから。

アラブけん

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アラブじんのサラダには一般いっぱんてきヴィネグレットたサラダドレッシングがもちいられるが、ヨーロッパのヴィネグレットよりもあぶらたいするやレモンじる比率ひりつたかい。

使つかわれる材料ざいりょう

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一般いっぱんにはなま野菜やさい使つかうとはされるが、一部いちぶにはでた直後ちょくごのまだあたたかいものをサラダとするゆたかサラダや、でた野菜やさい主体しゅたいとなるゆたか野菜やさい料理りょうりなどがある。なお、日本にっぽんではブロッコリー、カリフラワーズッキーニマッシュルームなどをなま野菜やさいサラダにすることはまずないが、これは北米ほくべいヨーロッパではけっしてめずらしくないしょく習慣しゅうかんである。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ おせんべいやスナック菓子すなっくがしの「サラダあじ」 いったいどんなあじ”. 朝日新聞あさひしんぶんDIGITAL (2022ねん8がつ18にち). 2022ねん8がつ18にち閲覧えつらん
  2. ^ マグロンヌ・トゥーサン=サマ 『世界せかい食物しょくもつ百科ひゃっか玉村たまむらゆたかおとこ 翻訳ほんやく監修かんしゅうはら書房しょぼう、1998ねんISBN 4087603172、pp.721-725
  3. ^ 石毛いしげ直道なおみち世界せかいべもの しょく文化ぶんか地理ちり』p239 講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ
  4. ^ たかし学堂がくどう主人しゅじん、『西洋せいよう料理りょうり指南しなんしたp17、1872ねん東京とうきょう東京とうきょう書林しょりん雁金かりがね [1]
  5. ^ 秋山あきやま四朗しろうへん、『秋山あきやま徳蔵とくぞうメニュー・コレクション』p16、1976ねん東京とうきょう秋山あきやま徳蔵とくぞうしのかい出版しゅっぱん
  6. ^ 服部はっとり誠一せいいち東京とうきょうしん繁昌はんじょうろく山城やましろ政吉まさきち、1876ねん、28ぺーじ 
  7. ^ 山田やまだ美妙びみょう帝国ていこく以呂節用せつよう大全たいぜん嵩山すせどう、1898ねん、616ぺーじ 
  8. ^ 森本もりもときこりさく へん実用じつようしん辞典じてん:発音はつおんすう引』ひらきぶんかん、1908ねん、428ぺーじ 
  9. ^ 大槻おおつき文彦ふみひこ「サラダ」『大言たいげんうみ』(新編しんぺん冨山とやまぼう、1982ねん、863ぺーじ 
  10. ^ サラダ油さらだゆ語源ごげん”. あぶらQ&A. にちしんオイリオ. 2008ねん12月1にち閲覧えつらん
  11. ^ 吉浦よしうら秀吉ひでよし、「サラドの」『西洋せいようささえ料理りょうりほう』p161、1935ねん大阪おおさかしばらんしゃ家政学かせいがくえん
  12. ^ 健康けんこう美人びじんはじめてる!今年ことし注目ちゅうもくのパワーサラダって?All About Beauty.2017ねん1がつ4にち閲覧えつらん
  13. ^ キユーピーアヲハタニュース2017ねん2がつ15にちキユーピードレッシング「みどりキャップ」シリーズを使用しようしたオリジナルの“パワーサラダ”をパワーサラダ専門せんもんてん「HIGH FIVE SALAD」で提供ていきょう
  14. ^ つじ調ちょうグループ つじ静雄しずお料理りょうり教育きょういく研究所けんきゅうじょ 編著へんちょ 『フランス料理りょうりハンドブック』 柴田しばた書店しょてん、2012ねん、p31

関連かんれん項目こうもく

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