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ツノダシ - Wikipedia

ツノダシ

スズキニザダイツノダシさかな

ツノダシすみいずる学名がくめいZanclus cornutus)は、ツノダシ分類ぶんるいされるさかな一種いっしゅ。ツノダシ唯一ゆいいつ現生げんなましゅで、ツノダシぞくほんしゅのみからたんがたである。インド太平洋たいへいようサンゴ礁さんごしょう生息せいそくする。

ツノダシ
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: スズキ Perciformes
: ニザダイ Acanthuroidei
: ツノダシ Zanclidae
ぞく : ツノダシぞく Zanclus Cuvier, 1831
たね : ツノダシ Z. cornutus
学名がくめい
Zanclus cornutus
(Linnaeus, 1758)
シノニム[2]
  • Chaetodon cornutus Linnaeus, 1758
  • Chaetodon canescens Linnaeus, 1758
  • Zanclus canescens (Linnaeus, 1758)
英名えいめい
Moorish idol

分類ぶんるい

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1758ねんカール・フォン・リンネの『自然しぜん体系たいけい英語えいごばんだい10はんなかChaetodon cornutus としてはじめて正式せいしき記載きさいされ、タイプ産地さんちインド洋いんどようとされた[3]。1831ねんジョルジュ・キュヴィエたんがたのツノダシぞく設立せつりつし、ほんたね分類ぶんるいした[4]。1876ねんピーター・ブリーカーたんがたのツノダシ提唱ていしょうした[5]従来じゅうらいスズキ分類ぶんるいされていたが、『Fishes of the World』だい5はんでは、ニザダイ英語えいごばんのニザダイ分類ぶんるいされている[6]ニザダイ分類ぶんるいする意見いけんもあるが、がらとげいことがあきらかなちがいである。はじめしん存在そんざいした絶滅ぜつめつぞくである Eozanclusほんたねとニザダイ中間ちゅうかん位置いちするとかんがえられている[7]

名称めいしょう

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「Moolish idol (ムーアじん偶像ぐうぞう)」というわった英名えいめいは、東南とうなんアジア一部いちぶ地域ちいき漁師りょうしがこのさかな敬意けいいあらわし、つかまえたらはなし、そのにお辞儀じぎをして敬意けいいあらわすことによるという[8]。ただしムーアじんばれたベルベルじんモロッコには分布ぶんぷしていない[7][9]ぞくめい古代こだいギリシアの「zanklon(かま)」に由来ゆらいし、なが湾曲わんきょくした背鰭せびれしめしている。たね小名しょうみょうは「かくのある」という意味いみで、うえにあるちいさなかくじょう突起とっき[10]

形態けいたい

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ひだりがツノダシ、みぎじょうがムレハタタテダイ、みぎがハタタテダイ

からだがわひらたした円形えんけいで、細長ほそなが突出とっしゅつしており、比較的ひかくてきたか位置いちにあるうえには一対いっついちいさなかくじょう突起とっきがある。くちちいさく、おおくのなが剛毛ごうもうのようなえている[11]ぜんえらぶたこつがらとげ鋸歯きょしえん[7]背鰭せびれは6-7とげと39-45軟条からり、だい3とげ糸状いとじょう伸長しんちょうする。しりひれは3とげと31-37軟条から[2]体長たいちょうは25cm程度ていど[12]地色じいろ白色はくしょく[7]、2ほん幅広はばひろくろ横縞よこじまはいり、からだ後端こうたん黄色きいろみがかり、吻部にはくろえんられた黄色きいろくらがた模様もようがある[7][11]尾鰭おびれくろく、こうえんしろえんられる[7]チョウチョウウオハタタテダイムレハタタテダイるが、口吻こうふんかたち模様もよう位置いち尾鰭おびれいろなどで区別くべつできる。

分布ぶんぷ生息せいそく

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ソマリアからみなみアフリカのアフリカ大陸たいりく東海岸ひがしかいがんから、ハワイ諸島しょとうイースターとうまで、インド太平洋たいへいようひろ分布ぶんぷする。カリフォルニアわん南部なんぶからペルーまでのひがし太平洋たいへいようガラパゴス諸島しょとうココとうなどの島々しまじまでもられる[1]日本にっぽんでは青森あおもりけんから九州きゅうしゅう南岸なんがんまでの太平洋たいへいようがん伊豆いず小笠原諸島おがさわらしょとう琉球りゅうきゅう列島れっとう分布ぶんぷする[12]にごったラグーン岩礁がんしょうサンゴ礁さんごしょう浅瀬あさせ生息せいそくする[12]生息せいそく水深すいしん表層ひょうそうから182m[11]

生態せいたい

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海綿動物かいめんどうぶつサンゴポリプホヤエビなどそこせい脊椎動物せきついどうぶつべる[13]通常つうじょうは2-3ひきそこ付近ふきん遊泳ゆうえいしているが、単独たんどく生活せいかつしたり、おおきなつくることもある。幼魚ようぎょながあいだ浮遊ふゆう生活せいかつおこない、これが広範囲こうはんい分布ぶんぷ地理ちりてき均一きんいつ理由りゆうである[2]めす水中すいちゅう精子せいしたまご放出ほうしゅつし、受精卵じゅせいらん海流かいりゅうってただよっていく[13]

ひととのかかわり

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食用しょくようとして流通りゅうつうすることはほとんどく、観賞かんしょうぎょとされている[14]飼育しいくむずかしく、容積ようせき380Lをえるおおきな水槽すいそう必要ひつようとし、食欲しょくよく旺盛おうせい気性きしょうあら場合ばあいがある[15]非常ひじょうきらいがはげしく、すぐにえされることもあれば、まったれずによわってしまうこともある[15]

映画えいがファインディング・ニモ』にはギルというのツノダシが登場とうじょうしており、続編ぞくへんの『ファインディング・ドリー』のポストクレジットシーンにも登場とうじょうしている[16]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ a b Carpenter, K.E.; Lawrence, A.; Myers, R. (2016). Zanclus cornutus. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T69741115A69742744. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T69741115A69742744.en. https://www.iucnredlist.org/species/69741115/69742744 14 October 2024閲覧えつらん. 
  2. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Zanclus cornutus" in FishBase. October 2024 version.
  3. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Zanclus”. researcharchive.calacademy.org. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  4. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Zanclidae”. researcharchive.calacademy.org. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  5. ^ Richard van der Laan; William N. Eschmeyer & Ronald Fricke (2014). “Family-group names of recent fishes”. Zootaxa 3882 (2): 1–230. doi:10.11646/zootaxa.3882.1.1. PMID 25543675. https://biotaxa.org/Zootaxa/article/view/zootaxa.3882.1.1/10480. 
  6. ^ J. S. Nelson; T. C. Grande; M. V. H. Wilson (2016). Fishes of the World (5th ed.). Wiley. pp. 497–502. ISBN 978-1-118-34233-6. https://sites.google.com/site/fotw5th/ 
  7. ^ a b c d e f Kenneth Wingerter (2012ねん10がつ24にち). “Aquarium Fish: Reconsidering the Moorish Idol”. reefs.com. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  8. ^ IDOLE MAURE Zanclus cornutus (Linnaeus, 1758) N° 2225”. doris.ffessm.fr. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  9. ^ Susan Scott (2016ねん2がつ22にち). “Common name for this fish is in need of an origin story”. susanscott.net. Honolulu Star and Advertiser. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  10. ^ Order ACANTHURIFORMES (part 2): Families EPHIPPIDAE, LEIOGNATHIDAE, SCATOPHAGIDAE, ANTIGONIIDAE, SIGANIDAE, CAPROIDAE, LUVARIDAE, ZANCLIDAE and ACANTHURIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (2024ねん5がつ30にち). 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  11. ^ a b c Bray, D.J. (2018ねん). “Zanclus cornutus”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  12. ^ a b c 小学館しょうがくかん図鑑ずかんZ 日本にっぽん魚類ぎょるいかん』433ぺーじ
  13. ^ a b Moorish idol” (英語えいご). The Dallas World Aquarium. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  14. ^ 藤原ふじわらあきらだか. “市場いちば魚介ぎょかいるい図鑑ずかん ツノダシ”. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  15. ^ a b Moorish Idol (Zanclus Cornutus): Fish Species Profile Fish”. 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  16. ^ “Willem Dafoe Returns For 'Finding Dory': 'It's Even Better Than The First'”. The Inquisitr. (2013ねん10がつ6にち). http://www.inquisitr.com/981926/willem-dafoe-returns-for-finding-dory-its-even-better-than-the-first/ 2024ねん10がつ14にち閲覧えつらん 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 波戸はとおかきよしほうちゅうぼうてっ(監修かんしゅう)『小学館しょうがくかん図鑑ずかんZ 日本にっぽん魚類ぎょるいかん小学館しょうがくかん、2018ねんISBN 978-4-09-208311-0 

関連かんれん項目こうもく

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